(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
薄膜トランジスタと、第1透明電極と、第2透明電極とを形成するステップを備えるアレイ基板の製造方法において、前記第1透明電極及び第2透明電極によって多次元電界が形成され、第1透明電極を形成するステップは、
半導体特性を有する金属酸化物薄膜を形成するステップと、
前記金属酸化物薄膜の一部に対して金属化処理を行って第1透明電極を形成し、金属化処理されなかった金属酸化物薄膜の部分が半導体活性層を形成するステップと、を備え、
前記薄膜トランジスタと、第1透明電極と、第2透明電極とを形成するステップは、
ゲート線と、ゲート電極と、ゲート絶縁層とが形成された基板に、金属酸化物薄膜と、エッチングストップ層薄膜とを順次形成するステップと、
パターニング工程を介して、前記エッチングストップ層薄膜に対して処理を行い、TFTチャンネル領域を覆うエッチングストップ層を形成するステップと、
エッチングストップ層に覆われなかった金属酸化物薄膜に対して金属化処理を行い、導体特性を有する金属酸化物薄膜を形成し、金属酸化物薄膜の前記エッチングストップ層に覆われ、且つ金属化処理されなかった部分が半導体活性層を形成するステップと、
パターニング工程を介して、前記導体特性を有する金属酸化物薄膜に対して処理を行い、第1透明電極と、前記半導体活性層に接続されたソース接続電極及びドレイン接続電極と、を形成するステップと、
前記半導体活性層と、エッチングストップ層と、第1透明電極とが形成された基板に、ソース電極と、ドレイン電極と、データ線と、パッシベーション層と、第2透明電極とを形成し、前記ソース電極は前記ソース接続電極と電気接続され、前記ドレイン電極は前記ドレイン接続電極と電気接続されるステップと、を備えることを特徴とするアレイ基板の製造方法。
ゲート線と、ゲート電極と、ゲート絶縁層とが形成された基板に、金属酸化物薄膜と、エッチングストップ層薄膜とを順次形成する前に、基板にゲート線と、ゲート電極と、共通電極線とを形成するステップ、及び前記基板、前記ゲート線、前記ゲート電極、前記共通電極線の上にゲート絶縁層を形成するステップ、をさらに備え、
半導体活性層と、エッチングストップ層と、第1透明電極とが形成された基板に、ソース電極と、ドレイン電極と、データ線と、パッシベーション層と、第2透明電極とを形成するステップは、半導体活性層と、エッチングストップ層と、第1透明電極とが形成された基板に、データ線と、ソース電極と、前記第1透明電極と電気接続されたドレイン電極とを形成するステップと、第1ビアホールを備えるパッシベーション層を形成し、前記第1ビアホールが前記パッシベーション層と前記ゲート絶縁層とを貫通し、前記共通電極線を露出するステップと、前記パッシベーション層に第2透明電極を形成し、前記第2透明電極が前記第1ビアホールを介して前記共通電極線と電気接続されるステップと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のアレイ基板の製造方法。
ゲート線と、ゲート電極と、ゲート絶縁層とが形成された基板に、金属酸化物薄膜と、エッチングストップ層薄膜とを順次形成する前に、基板にゲート線と、ゲート電極と、共通電極線と、ゲート絶縁層とを形成するステップ、及び、前記ゲート絶縁層に前記第1透明電極及び前記共通電極線とを接続するための第2ビアホールを形成するステップ、をさらに備え、
半導体活性層と、エッチングストップ層と、第1透明電極とが形成された基板に、ソース電極と、ドレイン電極と、データ線と、パッシベーション層と、第2透明電極とを形成するステップは、前記半導体活性層、前記エッチングストップ層、前記第1透明電極とが形成された基板に、ソース電極、ドレイン電極と、データ線とを形成するステップと、第三ビアホールを備えるパッシベーション層を形成し、前記第三ビアホールが前記パッシベーション層を貫通し、前記ドレイン電極を露出するステップと、前記パッシベーション層に第2透明電極を形成し、前記第2透明電極が前記第三ビアホールを介して前記ドレイン電極と電気接続されるステップと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のアレイ基板の製造方法。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイは、現在よく使われるフラットパネルディスプレイであり、その中の薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display、単に「TFT-LCD」と記す)は液晶ディスプレイ中の主流製品である。
【0003】
高度化超次元転換技術(Advanced Super Dimension Swich、単にADSと記す)に基づくTFT-LCDは、低消費電力で、視覚が広いという特徴を有し、幅広く適用されている。ADS技術は、主に同一の平面内におけるスリット電極の辺縁に生じた電界と、スリット電極及び板状電極層の間に生じた電界とによって多次元電界が形成され、液晶セルにおけるスリット電極の間及び電極の直上方に位置する全ての配向液晶分子が旋回可能になり、液晶動作効率が向上され、透過率も向上される。高度化超次元転換技術はTFT−LCD製品の画面品質を向上することができ、高解像度、高透過率、広視覚、高開口率、低色差、プッシュムラ(push mura)がないなどの優れた利点を有している。
【0004】
ADS型のTFT−LCDアレイにおいて、共通電極もアレイ基板に形成されるので、ADS型のTFT−LCDのアレイ基板の製造工程において、余計に一回の共通電極を形成する工程を増やす必要がある。
【0005】
従来、ADS型のTFT−LCDアレイ基板の製造工程において数回のパターニング工程が必要である。さらに、各パターニング工程において、成膜と、露光と、現像と、エッチングと、剥離などの工程を含む。そのため、パターニング工程数を削減することは、製造コストが削減されることを意味する。
【0006】
従来技術において、六回のパターニング工程を介してADS型のTFT−LCDアレイ基板(
図1に示す)を製造する方法が開示された。即ち、下記のステップを含む。
【0007】
ステップ1において、第1金属薄膜を堆積し、一回目のパターニング工程を介して、ゲート線と、ゲート電極11と、共通電極線12とを形成する。
【0008】
ステップ2において、第1絶縁薄膜と、半導体薄膜と、ドープ半導体薄膜とを堆積し、二回目のパターニング工程を介して、ゲート絶縁層13と、半導体活性層14と(半導体層とドープ半導体層により構成される)を形成する。
【0009】
ステップ3において、第1透明導電薄膜を堆積し、三回目のパターニング工程を介して板状の画素電極14’を形成する。
【0010】
ステップ4において、第2金属薄膜を堆積し、四回目のパターニングを介してソース電極16と、ドレイン電極17と、データ線とを形成する。
【0011】
ステップ5において、第2絶縁薄膜を堆積してパッシベーション層18を形成し、五回目のパターニング工程を介して、パッシベーション層18とゲート絶縁層13とを貫通するビアホールを形成し、共通電極線12を露出する。
【0012】
ステップ6において、第2透明導電薄膜を堆積し、六回目のパターニング工程を介してスリットを有する共通電極19を形成し、この共通電極19はステップ5において形成されたビアホールを介して共通電極線12と電気接続される。
【0013】
このような方法は六回のパターニング工程が必要となるので、製造コストが依然として高い。市場競争力を強化し、市場におけるシェア率を上げるため、さらにアレイ基板の製造プロセスにおけるパターニング工程の回数を削減する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、アレイ基板の製造方法と、アレイ基板と、表示装置と、を提供することによって、アレイ基板の製造プロセスにおけるパターニング工程の回数を削減し、製造コストを削減する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以上の目的を達成するため、本発明の実施例は下記の技術手段を採用する。
【0016】
本発明の一実施例によるアレイ基板の製造方法は、薄膜トランジスタ、第1透明電極と、第2透明電極とを形成し、前記第1透明電極と前記第2透明電極によって多次元電界が形成され、第1透明電極を形成するステップは、半導体特性を有する金属酸化物薄膜を形成するステップと、前記金属酸化物薄膜の一部に対して金属化処理を行って第1透明電極を形成するとともに、前記金属酸化物薄膜の金属化処理されなかった部分が半導体活性層を形成するステップと、を備える。
【0017】
また、本発明の一実施例では、前記薄膜トランジスタと、第1透明電極と、第2透明電極とを形成するステップは、下記のステップを備える。即ち、ゲート線と、ゲート電極と、ゲート絶縁層とが形成された基板に、金属酸化物薄膜と、エッチングストップ層とを順次形成するステップと、パターニング工程を介して、前記エッチングストップ層薄膜に対して処理を行い、TFTチャンネル領域を覆うエッチングストップ層を形成するステップと、エッチングストップ層に覆われなかった金属酸化物薄膜に対して金属化処理を行い、導体特性を有する金属酸化物薄膜を形成するとともに、金属酸化物薄膜の前記エッチングストップ層に覆われ、且つ金属化処理されなかった部分が半導体活性層を形成するステップと、パターニング工程を介して、前記導体特性を有する金属酸化物薄膜に対して処理を行い、第1透明電極と、前記半導体活性層に接続されたソース接続電極及びドレイン接続電極とを形成するステップと、前記半導体活性層と、エッチングストップ層と、第1透明電極とが形成された基板に、ソース電極と、ドレイン電極と、データ線と、パッシベーション層と、第2透明電極とを形成し、前記ソース電極が前記ソース接続電極と電気接続され、前記ドレイン電極が前記ドレイン接続電極と電気接続されるステップと、を備える。
【0018】
また、本発明の一実施例では、ゲート線と、ゲート電極と、ゲート絶縁層とが形成された基板に、金属酸化物薄膜と、エッチングストップ層薄膜とを順次形成する前に、基板にゲート線と、ゲート電極と、共通電極線とを形成するステップと、前記基板、前記ゲート線、前記ゲート電極、前記共通電極の上にゲート絶縁層を形成するステップと、をさらに備えてもよい。半導体活性層と、エッチングストップ層と、第1透明電極とが形成された基板に、ソース電極と、ドレイン電極と、データ線と、パッシベーション層と、第2透明電極とを形成するステップは、半導体活性層と、エッチングストップ層と、第1透明電極とが形成された基板に、データ線と、ソース電極と、前記第1透明電極と電気接続されるドレイン電極とを形成するステップと、第1ビアホールを備えるパッシベーション層を形成し、前記第1ビアホールが前記パッシベーション層と前記ゲート絶縁層とを貫通し、前記共通電極線を露出するステップと、前記パッシベーション層に第2透明電極を形成し、前記第2透明電極が前記第1ビアホールを介して前記共通電極線と電気接続されるステップと、をさらに備える。
【0019】
また、本発明の一実施例では、ゲート線と、ゲート電極と、ゲート絶縁層とが形成された基板に、金属酸化物薄膜と、エッチングストップ層薄膜とを順次形成する前に、基板にゲート線と、ゲート電極と、共通電極線と、ゲート絶縁層とを形成するステップと、前記ゲート絶縁層に、前記第1透明電極と前記共通電極線とを接続するための第2ビアホールを形成するステップと、をさらに備える。半導体活性層と、エッチングストップ層と、第1透明電極とが形成された基板に、ソース電極と、ドレイン電極と、データ線と、パッシベーション層と、第2透明電極とを形成するステップは、前記半導体活性層、前記エッチングストップ層、前記第1透明電極とが形成された基板に、ソース電極と、ドレイン電極と、データ線とを形成するステップと、第三ビアホールを備えるパッシベーション層を形成し、前記第三ビアホールが前記パッシベーション層を貫通し、前記ソース電極を露出するステップと、前記パッシベーション層に第2透明電極を形成し、前記第2透明電極が前記第三ビアホールを介して前記ドレイン電極と電気接続されるステップと、を備える。
【0020】
また、本発明の一実施例では、前記金属化酸化物薄膜の一部に対して金属化処理を行って第1透明電極を形成するステップは、プラズマ工程またはアニール工程を介して、前記金属酸化物薄膜の一部に対して金属化処理を行い、第1透明電極を形成するステップを備えてもよい。
【0021】
また、本発明の一実施例では、前記第1透明電極が画素電極または共通電極であってもよい。
【0022】
また、本発明の一実施例では、前記金属酸化物薄膜は、半導体特性を有する透明金属酸化物材料を採用してもよい。例えば、前記金属酸化物材料は、InGaZnO、InGaO、ITZO、またはAlZnOのいずれか1つであればよい。
【0023】
本発明の他の実施例は、上記の方法により製造されたアレイ基板を提供する。
【0024】
本発明のまた他の実施例は、上記アレイ基板を備える表示装置を提供する。
本発明の実施例における技術手段をより明瞭に説明するため、以下実施例の図面について簡単に紹介する。なお、下記に説明する図面はただ本発明の実施例の一部であり、本発明を限定することはないのは勿論のことである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施例の目的、技術手段及び効果をより明瞭にするために、以下、本発明の実施例を表す図面を参照しながら、本発明の実施例を明瞭且つ完全に説明する。なお、ここで記載された実施例は、ただ本発明の一部の実施例だけであり、本発明の全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づき、当業者が創造的な労働をしない前提で得られる他の実施例は全て本発明の技術範囲に含まれる。
【0027】
特別に定義がない場合、ここで使う技術用語または科学用語は、本発明の属する技術分野における一般的な技能を有する者が理解する通常の意味である。本願出願の明細書及び請求の範囲に使われる「第1」や「第2」や、それらに類似した言葉のいずれかは、順次、数量及び重要性を意味することではなく、異なる部分を区分するためだけである。同じく、「一つ」や、「一」や、それらに類似した言葉も数量を制限することではなく、少なくとも一つが存在することのみを意味する。また、「備える」または「含む」や、それらに類似した言葉は、その前に現れた素子や部品が「備える」または「含む」の後に挙げられた素子や部品及びそれらと同等する物をカバーするが、他の素子や部品を排除することではない。また、「接続」や「繋がる」や、それらに類似した言葉は、物理的な接続や機械的な接続に限ることではなく、直接や間接の接続にかかわらず、電気的接続も含む。さらに、「上」、「下」、「左」、「右」等は、相対の位置関係を表すだけに用いられ、対象物の絶対の位置が変更されると、それに応じて相対の位置関係が変わる可能性もある。
【実施例1】
【0028】
本発明が提供したアレイ基板の製造方法は、薄膜トランジスタと、第1透明電極と、第2透明電極と、を製造する工程を備える。この第1透明電極と、この第2透明電極とによって多次元電界が生じる。なお、第1透明電極の製造工程は下記のステップを含む。
【0029】
ステップ1において、金属酸化物薄膜を形成する。この金属酸化物薄膜は半導体特性を有する。
【0030】
ステップ2において、この金属酸化物薄膜の一部に対して金属化処理を行って第1透明電極を形成し、金属化処理されなかった部分が半導体活性層を形成する。
【0031】
さらに、ステップ2において、「この金属酸化物薄膜の一部に対して金属化処理を行って第1透明電極を形成する」とは、プラズマ工程またはアニール工程等を介して、この金属酸化物薄膜の一部に金属化処理を行って第1透明電極を形成することを含む。
【0032】
さらに、本実施例では、前記第1透明電極は画素電極または共通電極である。
【0033】
本実施例が提供したアレイ基板の製造方法は、金属酸化物薄膜の一部に対して、導体特性を有するように金属化処理を行って第1透明電極を形成するとともに、金属化処理されなかった部分が半導体特性を有して半導体活性層を形成する。導体特性と半導体特性と、を有する同一の層における金属酸化物薄膜は、一回のパターニング工程を介して、半導体活性層と第1透明電極を形成し、個別に第1透明電極を製造する工程が省略され、製造コストが削減される。
【実施例2】
【0034】
本発明の実施例が提供したアレイ基板の製造方法は、
図2に示すように、下記のステップを備える。
【0035】
ステップS201において、基板にゲート線と、薄膜トランジスタのゲート電極と、ゲート絶縁層と、を形成する。
【0036】
例えば、
図3を参照すると、まず、プラズマ化学気相成長法(PECVD)や、マグネトロンスパッタリングや、蒸着法または他の成膜方法を介して、基板10(例えばガラス基板または石英基板)に第1金属薄膜を形成する。なお、この第1金属薄膜はモリブデン、アルミニウム、Al-Nd合金、タングステン、クロム、または銅等の金属によって形成された単層の薄膜であってもよいが、以上の金属による複数の層に堆積して形成された多層の薄膜であっもよい。第1金属薄膜にフォトレジストを塗布した後に、マスクによる露光・現像と、エッチングと、剥離等のパターニング工程を介して、
図3に示すゲート電極11及び
図3に図示されていないゲート線パターンを形成する。その後、化学気相成長法や、蒸着等方法によって基板10、ゲート線及びゲート電極11上にゲート絶縁層13を形成する。
【0037】
ステップ202では、ゲート線と、ゲート電極と、ゲート絶縁層とが形成された基板に順次に金属酸化物薄膜及びエッチングストップ層薄膜を形成する。
【0038】
例えば、
図4に示すように、ゲート線と、ゲート電極11と、ゲート絶縁層13とが形成された基板10に、順次に金属酸化物薄膜140とエッチングストップ層150を形成する。例えば、マグネトロンスパッタリングや、蒸着法や、または化学気相成長法などの方法を介して金属酸化物薄膜140とエッチングストップ層薄膜150とを形成すればよい。例えば、金属酸化物薄膜140は、半導体特性を有する透明である金属酸化物材料を採用してもよい。例えば、InGaZnO、InGaO、ITZO、AlZnO等の透明金属酸化物材料であればよい。エッチングストップ層薄膜150は緻密なシリコンナイトライド、シリコン酸化物、酸化窒化シリコン等の材料であってもよい。
【0039】
ステップ203では、パターニング工程を介して前記エッチングストップ層薄膜に対して処理することで、TFTチャンネル領域を覆うエッチングストップ層のパターンを形成する。
【0040】
例えば、
図5を参照すると、エッチングストップ層薄膜150に第1フォトレジストを塗布した後に、マスクによる露光・現像処理を介して、
図5に示すTFTチャンネル領域に残した第1フォトレジスト20が得られ、他の領域にはフォトレジストがない。その後、
図6に示すように、エッチング工程を介して、第1フォトレジスト20に覆われないエッチングストップ層150に対してエッチングを行い、処理後、第1フォトレジスト20に覆われる領域(即ち、TFTチャンネル領域)のエッチングストップ層薄膜のみが残され、TFTチャンネル領域を覆うエッチングストップ層15を形成し、エッチングストップ層15に覆われない金属酸化物薄膜140が露出される。
【0041】
ステップ204では、エッチングストップ層15に覆われない金属酸化物薄膜140に対して金属化処理を行い、導体特性を有する金属酸化物薄膜を形成する。なお、金属酸化物薄膜の、エッチングストップ層15に覆われた金属化処理されなかった部分は半導体活性層を形成する。
【0042】
例えば、
図7に示すように、プラズマ工程またはアニール工程等を介して、露出された金属酸化物薄膜140に金属化処理をすればよい。このステップは下記の三つの形態によって実現できる。
【0043】
形態1:
図6に示す構成がある基板を真空チャンパに置き、一定の温度まで加熱し、一定の時間の後、大気中で冷却させる。一定の温度とは、例えば、200〜300℃でればよい。一定の時間とは、20〜40分であればよい。
【0044】
形態2:
図6に示す構成がある基板を還元性雰囲気中で、200〜400℃で熱処理をすればよい。
【0045】
形態3:
図6に示す構成がある基板を真空チャンパに置き、プラズマ処理方法を採用する。通常に、パワーが1500〜2500Wであり、圧力が1000〜2000mtorrであり、水素(H
2)プラズマや酸素(O
2)プラズマの二種の方法がある。水素プラズマや酸素プラズマ処理をする時、水素や酸素のガス流量は、通常5000〜15000sccmである。
【0046】
以上の三つの形態によって、金属化処理された金属酸化物薄膜140は、キャリア濃度が向上でき、導体特性を有するようになり、従来における画素電極材料に替えることが可能になる。一方、エッチングストップ層15の下方の金属化処理されなかった金属酸化物薄膜は、キャリア濃度が低く、半導体特性を有し、即ち、半導体活性層141である。
【0047】
ステップ205において、パターニング工程を介して、前記導体特性を有する金属酸化物薄膜に対して処理を行い、第1透明電極と、半導体活性層に接続されたソース接続電極及びドレイン接続電極とを形成する。
【0048】
例えば、
図7に示すエッチングストップ層15を覆う第1フォトレジスト20を剥離した後に、この基板10に第2フォトレジスト層を塗布し、マスクによる露光・現像処理を介して、
図8に示すように、エッチングストップ層15上及びその両側に残された第2フォトレジスト21と、導体特性を有する金属酸化物薄膜140上に残され、第1透明電極領域に対応する第三フォトレジスト22とが得られる。他の領域にはフォトレジストがない。その後、
図9に示すように、エッチング工程を介して、露出された導体特性を有する金属酸化物薄膜に対してエッチングを行い、第1透明電極14と、前記半導体活性層141に接続されたソース接続電極142及びドレイン接続電極143とを形成し、最後に、
図9に示す第2フォトレジスト21と第三フォトレジスト22を剥離する。
【0049】
ステップ206において、半導体活性層と、エッチングストップ層と、第1透明電極とが形成された基板に、順次にソース電極と、ドレイン電極と、データ線と、パッシベーション層と、第2透明電極とのパターンを形成する。
【0050】
なお、本実施例では、第1透明電極14を画素電極(すなわち、ソース電極と電気接続される)とした例を説明したが、本実施例は、第1透明電極14が必ず画素電極であることを限定することがない。第1透明電極14は共通電極であってもよい。
【0051】
本ステップにおいて、ソース・ドレイン電極、データ線、パッシベーション層及び第2透明電極はそれぞれ三回のパターニング工程を介して形成されてもよい。
【0052】
図10を参照すると、従来におけるマグネトロンスパッタリングや、蒸着法等の成膜方法を介して、基板10に金属薄膜を形成し、パターニング工程を介して、ソース接続電極142と電気接続されるソース電極16と、ドレイン電極143と電気接続されるドレイン電極17と、データ線(
図10に図示せず)とのパターンを形成する。ここで、ソース・ドレイン電極と、データ線とを形成する金属薄膜は、モリブデン、アルミニウム、Al-Nd合金、タングステン、クロム、銅等の金属によって形成された単層の薄膜であってもよいが、以上の金属によって複数の層に堆積して形成された多層の薄膜であってもよい。
【0053】
次に、
図11に示すように、基板10に化学気相成長法や蒸着法等の方法を介して、絶縁薄膜を製造し、パッシベーション層18を形成する。なお、絶縁薄膜はシリコンナイトライド、シリコン酸化物、酸化窒化ケイ素の単層の薄膜を採用すればよいが、上記材料による複数の層に堆積して形成された多層の薄膜を採用してもよい。
【0054】
最後に、
図12に示すように、マグネトロンスパッタリングや、蒸着法等の方法を介して透明導電薄膜を形成し、パターニング工程を介してスリットがある第2透明電極19を形成する。第1透明電極14と第2透明電極19の間に、多次元の電界が形成できる。なお、第2透明電極19の材料は、ITO、ZnO、InGaZnO、InZnO、InGaO等の透明導電材料であってもよい。
【0055】
本発明の実施例が提供したアレイ基板の製造方法は、金属酸化物薄膜の一部に対して、導体特性を有するように金属化処理して第1透明電極を形成するとともに、金属化処理されなかった部分が半導体特性を有して半導体活性層を形成する。導体特性及び半導体特性を有する同一の層における金属酸化物薄膜は一回のパターニング工程を介して、半導体活性層及び第1透明電極を形成し、個別に第1透明電極を製造するステップが省略され、製造コストが削減される。
【0056】
また、金属酸化物半導体材料は水や空気中で酸化されやすいので、後の工程において、TFTチャンネル領域における金属酸化物半導体材料がウェットエッチングされる際に破壊されやすく、TFT特性が低下する。本発明の実施例では、TFTチャンネル領域に対応してエッチングストップ層が覆われるので、TFTチャンネル領域における金属酸化物半導体材料はエッチングストップ層によりエッチング際の破壊から保護され、TFT特性が確保できるので、製品の表示品質が確保できる。
【実施例3】
【0057】
本発明の実施例が提供したアレイ基板の製造方法の基本プロセスは実施例2と類似しているので、実施例2を参照すればよい。
【0058】
本発明の実施例は、実施例2のステップS201の代わり、本実施例のステップS201’において、
図13に示すように、基板10にゲート線(
図13に図示せず)、ゲート電極11を形成するとともに、共通電極線12を形成し、その後、基板10にゲート絶縁層13を形成することが実施例2と異なる。
【0059】
さらに、共通電極線12と、ゲート電極11及びゲート線とは一回のパターニング工程を介して形成される。
【0060】
ゲート線と、ゲート電極と、共通電極線とが形成された後のステップは実施例2のステップS202−S205と同じであるので、ここで説明を省略する。
【0061】
半導体活性層と、エッチングストップ層と、第1透明電極とが形成された基板に、ソース電極と、ドレイン電極と、デート線と、パッシベーション層と、第2透明電極とのパターンを形成する。実施例2のステップS206の代わり、
図14を参照すると、本実施例のステップS206’において、半導体活性層141と、エッチングストップ層15と、第1透明電極14とが形成された基板に、順次にソース電極16と、第1透明電極14と電気接続されるドレイン電極17及びデータ線と、を形成する。そして、ゲート線と、ソース電極16と、ドレイン電極17とが形成された基板に、第1ビアホール181を備えるパッシベーション層18を形成する。このビアホール181はパッシベーション層18とゲート絶縁層13とを貫通し、共通電極線12を露出する。次に、パッシベーション層18に第2透明電極19を形成する。この第2透明電極19は、第1ビアホール181を介して共通電極線12と電気接続される。この第2透明電極19は、スリットがある透明電極である。第1透明電極14と、スリットがある第2透明電極19とによって多次元電界が形成される。
【0062】
従って、本実施例では、第1透明電極14は画素電極であり、ドレイン電極17と直接に接触して電気接続を実現する。第2透明電極19は共通電極であり、第1ビアホール181を介して共通電極線12と電気接続される。
【0063】
本発明の実施例が提供したアレイ基板の製造方法は、金属酸化物薄膜の一部に対して、導体特性を有するように金属化処理して第1透明電極を形成するとともに、金属化処理されなかった部分が半導体特性を有して半導体活性層を形成する。導体特性及び半導体特性を有する同一の層における金属酸化物薄膜は一回のパターニング工程を介して、半導体活性層及び第1透明電極を形成し、個別に第1透明電極を製造するステップが省略され、製造コストが削減される。そして、共通電極と共通電極線とを電気接続されることによって、大幅に共通電極の抵抗が低減される。パネルサイズの増加に従って、共通電極の抵抗によって画面の遅延や表示異常などの問題が生じるので、上記第1ビアホールを介して共通電極と共通電極線とは直接に電気接続されるのが実現されるので、上記問題が徹底に解決される。
【0064】
また、金属酸化物半導体材料は水や空気中で酸化されやすいので、後の工程に、TFTチャンネル領域における金属酸化物半導体材料がウェットエッチングされる際に破壊されやすく、TFT特性が低下する。本発明の実施例では、TFTチャンネル領域に対応してエッチングストップ層が覆われるので、TFTチャンネル領域における金属酸化物半導体材料はエッチングストップ層によりエッチング際の破壊から保護され、TFT特性が確保できるので、製品の表示品質が確保できる。
【実施例4】
【0065】
本発明の実施例が提供したアレイ基板の製造方法の基本プロセスは実施例2と類似しているので、実施例2を参照すればよい。
【0066】
本発明の実施例は、実施例2のステップS201の代わり、
図15に示すように、本実施例のステップS201’’において、基板10にゲート線(
図15に図示せず)、ゲート電極11と、共通電極線12と、ゲート絶縁層13とを形成し、その後、ゲート絶縁層13に第2ビアホール131を形成し、この第2ビアホール131は、後の工程に形成される第1透明電極14と共通電極線12とが接続されるように、共通電極線12を露出する。
【0067】
後のステップは、実施例2のステップS202−S204と類似している。
図16を参照すると、本実施例の第1透明電極14は第2ビアホール131を介して、共通電極線12に接続される。
【0068】
実施例2のステップS205の代わりに、
図16を参照すると、本実施例のステップS205’’において、パターニング工程を介して、形成された導体特性を有する金属酸化物薄膜に対して処理を行い、第1透明電極14と、前記半導体活性層141に接続されるソース接続電極142及びドレイン接続電極143とを形成する。なお、第1透明電極14は、第2ビアホール131を介して共通電極線12と電気接続される。
【0069】
実施例2のステップS206の代わりに、
図16を参照すると、本実施例のステップ206’’において、半導体活性層141と、エッチングストップ層15と、第1透明電極14’とが形成された基板10に、順次にソース電極16、ドレイン電極17、データ線(
図16に図示せず)が形成された後に、さらに第三ビアホール182を備えるパッシベーション層18を形成する。このビアホール182は前記パッシベーション層18を貫通し、ソース電極17を露出する。次に、ビアホール182が形成されているパッシベーション層18に、第2透明電極19を形成する。この第2透明電極19は、第三ビアホール182を介してソース電極17と電気接続される。
【0070】
そこで、本実施例では、第1透明電極14は共通電極であり、ゲート絶縁層13における第2ビアホール131を介して共通電極線12と電気接続される。第2透明電極19は画素電極であり、パッシベーション層18における第三ビアホール182を介してドレイン電極17と電気接続される。
【0071】
本発明の実施例が提供したアレイ基板の製造方法は、金属酸化物薄膜の一部に対して、導体特性を有するように金属化処理して第1透明電極を形成するとともに、金属化処理されなかった部分が半導体特性を有して半導体活性層を形成する。導体特性及び半導体特性を有する同一の層にある金属酸化物薄膜は一回のパターニング工程を介して、半導体活性層及び第1透明電極を形成し、個別に第1透明電極を製造するステップが省略され、製造コストが削減される。そして、共通電極と共通電極線とを電気接続されることによって、大幅に共通電極の抵抗が低減される。パネルサイズの増加に従って、共通電極の抵抗によって画面の遅延や表示異常などの問題が生じるので、上記第1ビアホールを介して共通電極と共通電極線との直接の電気接続が実現されるので、上記問題が徹底に解決される。
【0072】
また、金属酸化物半導体材料は水や空気中で酸化されやすいので、後の工程に、TFTチャンネル領域における金属酸化物半導体材料がウェットエッチングされる際に破壊されやすく、TFT特性が低下する。本発明の実施例では、TFTチャンネル領域に対応してエッチングストップ層が覆われるので、TFTチャンネル領域における金属酸化物半導体材料はエッチングストップ層によりエッチング際の破壊から保護され、TFT特性が確保できるので、製品の表示品質が確保できる。
【実施例5】
【0073】
本発明の実施例が提供した上記各実施例に説明したアレイ基板の製造方法によって得られたアレイ基板は、薄膜トランジスタと、第1透明電極と、第2透明電極とを備え、前記第1透明電極と前記第2透明電極によって多次元電界が形成され、前記薄膜トランジスタの半導体活性層、及び前記第1透明電極は同一の金属酸化物薄膜により一回のパターニング工程を介して形成される。なお、前記第1透明電極は、前記金属酸化物薄膜により金属化処理を介して得られる。前記半導体活性層は、金属化処理されなかった金属酸化物薄膜によって形成される。
【0074】
なお、上記各実施例では、画素電極と共通電極とが異なる層に設置されるアレイ基板を例として説明した。以上の実施例では、アレイ基板に、画素電極と共通電極とが同一の層に設置される場合に、パターニング工程や金属化処理などを介して、一層の金属酸化物薄膜に、活性層と、画素電極と、共通電極とのパターンを形成してもよい。ここで、本発明が提供したアレイ基板は適切な変形によってIPS(平面内転換)型とAD−SDS型とのTFTアレイ基板にも適用される。
【0075】
本発明の実施例が提供したアレイ基板の製造方法は、金属酸化物薄膜の一部に対して、導体特性を有するように金属化処理して第1透明電極を形成するとともに、金属化処理されなかった部分が半導体特性を有して半導体活性層を形成する。導体特性及び半導体特性を有する同一の層にある金属酸化物薄膜は一回のパターニング工程を介して、半導体活性層及び第1透明電極を形成し、個別に第1透明電極を製造するステップが省略され、製造コストが削減される。
【実施例6】
【0076】
本発明が提供した表示装置は、実施例5に記載したアレイ基板を備え、このアレイ基板は上記実施例1から実施例4のいずれか一つ実施例のアレイ基板の製造方法によって得られる。このアレイ基板は、薄膜トランジスタと、第1透明電極と、第2透明電極とを備える。前記第1透明電極及び前記第2透明電極によって多次元電界が形成される。前記薄膜トランジスタの半導体活性層と前記第1透明電極は、同一の金属酸化物薄膜により一回のパターニング工程を介して形成される。なお、前記第1透明電極は、金属酸化物薄膜が金属化処理を介して得られる。前記半導体活性層は、金属化処理されなかった金属酸化物薄膜によって形成される。
【0077】
本発明の実施例が提供した表示装置において、アレイ基板に、金属酸化物薄膜の一部に対して導体特性を有するように金属化処理して第1透明電極を形成するとともに、金属化処理されなかった部分が半導体特性を有して半導体活性層を形成する。導体特性及び半導体特性を有する同一の層にある金属酸化物薄膜は一回のパターニング工程を介して、半導体活性層及び第1透明電極を形成し、個別に第1透明電極を製造するステップが省略され、製造コストが削減される。
【0078】
なお、本発明が提供した表示装置は、液晶パネル、電子ペーパー、OLEDパネル、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、デジタルフォトフレーム、携帯電話、タブレットPC等のいずれかの表示機能がある製品や部品であってもよい。
【0079】
以上は本発明の実施例のみであり、本発明の保護範囲はこれに限定されるものではない。従って、本発明の保護範囲は前記請求書の保護範囲を基準としている。