特許第6129342号(P6129342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エレクトリシテ・ドゥ・フランスの特許一覧

特許6129342炭素質放射性廃棄物を処理するための方法及び設備
<>
  • 特許6129342-炭素質放射性廃棄物を処理するための方法及び設備 図000004
  • 特許6129342-炭素質放射性廃棄物を処理するための方法及び設備 図000005
  • 特許6129342-炭素質放射性廃棄物を処理するための方法及び設備 図000006
  • 特許6129342-炭素質放射性廃棄物を処理するための方法及び設備 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6129342
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】炭素質放射性廃棄物を処理するための方法及び設備
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/28 20060101AFI20170508BHJP
   G21F 9/30 20060101ALI20170508BHJP
   G21F 9/06 20060101ALI20170508BHJP
   G21F 9/32 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   G21F9/28 A
   G21F9/30 531M
   G21F9/28 521A
   G21F9/06 591
   G21F9/32 Z
   G21F9/32 C
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-552121(P2015-552121)
(86)(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公表番号】特表2016-508228(P2016-508228A)
(43)【公表日】2016年3月17日
(86)【国際出願番号】FR2013053119
(87)【国際公開番号】WO2014108614
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2015年9月1日
(31)【優先権主張番号】1350165
(32)【優先日】2013年1月9日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504462489
【氏名又は名称】エレクトリシテ・ドゥ・フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェラール・ローラン
【審査官】 藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−520452(JP,A)
【文献】 特表2003−511710(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0181835(US,A1)
【文献】 特開平06−094896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/28
G21F 9/30
G21F 9/06
G21F 9/32
B09B 1/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素質放射性廃棄物を処理するための方法であって、廃棄物の複数の放射性同位体分離ステーションへの搬送を含み、前記同位体は、少なくとも炭素14、塩素36、及びトリチウムの間にあり、
各々の前記ステーションへの搬送は湿性形態で起こ
前記廃棄物は、スラリーを形成するために水と混合され、それから機械的に濾過され、且つ乾燥され、この乾燥から生じた前記水は、乾燥に先立って前記廃棄物に初期に存在していた塩素36の全部及または一部を含み、
前記塩素36を分離した後で、前記廃棄物は焙焼により焼成され、それから洗浄され、洗浄から回収された前記水は、焙焼に先立って前記廃棄物に初期に存在していた前記トリチウムの全部または一部を含む、方法。
【請求項2】
特定の分離ステーションが、前記炭素14、塩素36、及びトリチウムの間の各元素、並びに前記ステーションの各々へ湿性形態での搬送に対して提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記廃棄物は、第1の同位体分離の前に、スラリー形態での搬送のために、圧砕され、且つ水と混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記塩素36及び前記トリチウムの分離は、前記炭素14の処理に先立つ、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記塩素36及び前記トリチウムは、溶脱により前記炭素質廃棄物の残余から分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
焙焼によって焼成された前記廃棄物の少なくとも一部を含み、前記焙焼からもたらされる前記廃棄物は、運搬水への溶解のために二酸化炭素の形態に酸化される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
固化され、且つ固体形態で保管されるために、前記炭素14は炭酸化反応による処理のために二酸化炭素の形態に置かれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記炭素質廃棄物は、初期に黒鉛を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
炭素質放射性廃棄物を処理するための設備であって、複数の放射性同位体分離ステーションと、前記廃棄物を前記ステーションに搬送する手段と、を含み、前記同位体は、少なくとも炭素14、塩素36、及びトリチウムの間にあり、
前記搬送する手段は、前記廃棄物を湿性形態で搬送するために水が供給され、
前記廃棄物は、スラリーを形成するために水と混合され、それから機械的に濾過され、且つ乾燥され、この乾燥から生じた前記水は、乾燥に先立って前記廃棄物に初期に存在していた塩素36の全部及または一部を含み、
前記塩素36を分離した後で、前記廃棄物は焙焼により焼成され、それから洗浄され、洗浄から回収された前記水は、焙焼に先立って前記廃棄物に初期に存在していた前記トリチウムの全部または一部を含む、設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所の運転により生じる放射性廃棄物の処理に関連している。
【0002】
それは特に、原子炉の周りのスリーブ内で中性子を吸収する材料として用いられる炭素質廃棄物、とりわけ黒鉛の処理に関連している。
【背景技術】
【0003】
黒鉛は、燃焼によって及び/または水蒸気改質によって処理されることができる。ここでは、全体的な処理からもたらされる二次廃棄物を調節する必要のある処理を提供しながら、原子炉内で照射される黒鉛の抽出から、(黒鉛を燃焼または水蒸気改質することにより)放出されるガスの処理までの処理がより一般的に提案される。
【0004】
黒鉛を黒鉛処理炉へ輸送するための媒体の選択が現段階で重要な点であるが、何故なら、収集される廃液(一般的に、濃縮された塩素36(36Cl)、炭素14(14C)、及びトリチウム(H))の環境への解放をできる限り制限するために、それらの後続の捕獲または無機化の間、キャリア媒体は後の処理に適合しなければならないパラメータを決定するからである。
【0005】
1つの見込まれる実施形態において、廃液の収集と処理を開示している特許文献1(FR−2943167)で開示された方法に従って、黒鉛自体が処理される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、黒鉛を輸送するための最良の媒体は、決定されないままである。
【0007】
本発明は、その状況を改善することに向けている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、廃棄物の一つ以上の放射性同位体分離ステーションへの搬送を含む、炭素質放射性廃棄物を処理するための方法を提案しており、前記同位体は、少なくとも炭素14、塩素36、及びトリチウムの間にある。
【0009】
本発明の一つの特徴において、各ステーションへの搬送は、湿性形態で起こる。
【0010】
詳細な説明で以下に示される実施形態によると、廃棄物処理設備の入口から放射性同位体分離ステーションへ廃棄物を運搬するために、またはそれらの調製(例えば、14C調製)までも、水は好ましい媒介体であることが出願人の研究及び試験において見出された。
【0011】
一つの実施形態において、特定の分離ステーションは、炭素14、塩素36、及びトリチウムの各要素に対して提供され、これらのステーションの各々への湿性形態での搬送を提供する。
【0012】
この実施形態はこのように、一方では塩素36、他方ではトリチウムの回収のために、明確に画定された分離を提案しており、これを湿性形態でのルーティングによりこれを達成している。
【0013】
一つの実用的な実装例において、第1の同位体分離、例えば塩素36の分離の前に、廃棄物は、スラリー形態での搬送のために、圧砕され、水と混合される。
【0014】
より具体的に、廃棄物は、スラリーを形成するために水と混合され、そして機械的に濾過し、乾燥する。乾燥は、塩素36以外の放射性核種を解放することを避けるために(他の放射性核種H、14Cは後のステップで解放される)、温度の穏やかな増加(例えば1000℃未満)によって、好ましくは行われる。この乾燥から発生する水は、乾燥の前に廃棄物内に初期に存在していた塩素36の全部または一部を含む。
【0015】
1つの実施形態において、トリチウムの分離は、塩素36の分離の後に起こる。廃棄物は、焙焼によって焼成され、それから洗浄される。洗浄から回収された水は、焙焼の前に廃棄物内に初期に存在していたトリチウムの全部または一部を含む。
【0016】
1つの実施形態において、塩素36及びトリチウムの分離は炭素14の処理より先に起こり、塩素36及びトリチウムが好ましくは溶脱によって炭素質廃棄物の残余から分離される。
【0017】
廃棄物の少なくとも一部が焙焼によって焼成される1つの実施形態において、焙焼によって生じる廃棄物は、運搬水における溶解のために、二酸化炭素の形態へ酸化される。
【0018】
1つの実施形態において、二酸化炭素の形態へ酸化される炭素14は、固められ、固体形態に保存されるために、炭酸化(carbonatation)反応によって処理されることができる。
【0019】
炭素質廃棄物は、黒鉛をまず初期に含み得る。しかしながら、本発明は例えば樹脂のような他のタイプの炭素質廃棄物に応用する。
【0020】
本発明はまた、炭素質放射性廃棄物を処理するための施設に関連している(実施例が図1で例示されており、これは以下で議論される)。設備は、一つ以上の放射性同位体分離ステーション及び廃棄物を前記ステーションに搬送する手段を備えており、前記同位体は、少なくとも炭素14、塩素36、及びトリチウムの間にある。
【0021】
本発明の1つの特徴において、搬送の手段は、湿性形態で廃棄物を送るために、水が供給される。
【0022】
処理設備は、例えば、追加の水の供給(例えば以下で述べるように、図1におけるW、またはスラリーSLへの転換のための水の供給)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】FR−2943167
【特許文献2】FR 12 60282
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の実施形態の詳細な説明を読み及び添付の図面をみることで明らかになる。
【0025】
図1】本発明を意味する炭素質放射性廃棄物を処理するための設備内のステーションの例を示している。
図2】設備内で実施される廃棄物の処理ステップをまとめている。
図3A】一酸化炭素の水への溶解度を比較している。
図3B】二酸化炭素の水への溶解度を比較している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
初期化試験により、炭素質廃棄物を収集するための媒体に対して、三つの可能性が予測できる。
・水中での移動
・気体媒体中での希薄相における移動
・気体媒体中での濃密相における移動
【0027】
以下の表は、各技術に関するメリット及びデメリットをまとめている。
【0028】
【表1】
【0029】
上記表の最後の行において、「陽圧」は大気圧より大きい圧力を意味していることが理解され、「真空条件」は大気圧より低い圧力を意味していることが理解される。このように、閉じ込めは、特定の条件の下でいくつかの設計寸法(または更なる閉じ込めの障壁)を必要とし得る。実際、濃密な気体相において、水と同様に、黒鉛を送るために黒鉛をポンプ輸送できることが好ましい。
【0030】
この研究から、「水」媒体が、照射を受けた黒鉛のような炭素質廃棄物のすべての移動のためになされる選択であることは明白である。この媒体は、閉じ込めと放射線防護に関して最高の保証を提供する。
【0031】
さらに、それは黒鉛処理炉間のインターフェースの管理をより容易にしている。
【0032】
研究からの別の結果によると、(キャリア媒体としての)水における黒鉛の約30重量%(より一般的に、20から40%の間の可能な範囲)が、最も有利である。
【0033】
本発明を意味している全体的な処理の一般的な図が、図1において示されている。
【0034】
まず図1を参照すると、そこには、水中で黒鉛を圧砕することからもたらされる黒鉛と水の混合物(およそ30%の黒鉛)であるスラリーSLは、例えば、それが遠心分離で濾過することにより分離される、機械的分離ステーション1に運ばれる。ステーション1を出ると、90%の割合の湿性黒鉛WGが乾燥器3に運ばれ、同時に機械的分離ステーション1から出た廃水WWは、例えばイオン交換器である同位体フィルタ2に運ばれる。この方法で濾過された浄水CWは、例えば、図1で示されるような廃棄物処理設備の給水回路にフィードバックされ得る。
【0035】
乾燥器3から出ると、乾燥から生成された水蒸気は、処理される黒鉛に初期に存在していた塩素36(放射性同位元素)のほとんどを含んでいる。この同位体36Clを含む水蒸気Clはまず、塩素36を含む水WClへの液化のためにコンデンサ4に運ばれ、それから塩素36の特定の処理を待つために(ステーション5の)タンクAに保存される。
【0036】
乾燥器3から出た乾燥黒鉛DGは、それが焙焼される加熱処理ステーション6に送られる。焙焼処理は、特許文献2(FR 12 60282)において開示された教示に従ってもよい。この目的のために、水蒸気だけでなく、水素、一酸化炭素、及び二酸化炭素のような気体の制御された注入がある。このようにして、水蒸気の注入による最初の高温加熱処理(1000−1500の℃)を適用することができ、後にCO及び/またはCOの制御された注入によるブードワ反応(Boudouard reaction)を利用するための第2の低温加熱処理(800−1200℃)が続く。そのような加熱処理は、酸化物の形で、最初に14C同位体、それから12C同位体を順に放出する。
【0037】
このようにして、ステーション6での焼成からの最初のオフガスOGCは、二次廃棄物として処理されるべき炭素14(放射性同位体)を基本的に含む。一つの実施形態例において、下記で見るように、COよりも水により溶けやすい、好ましくは、COを得るために、ステーション6から出て存在する任意のCOの酸化がステーション7で実施される。冷却器8を出た後で、フィルタ9は、最も小さな固体粒子(「微粉」)を加熱処理ステーション6に再注入するために、それらを収集する。濾過から出た残留物は、トリチウム(水素のH同位体)を収集するため、ステーション10にて追加の水Wで浸され、洗浄される。さらに、トリチウムHの特定の処理を待つために、貯蔵タンクB(ステーション13)にトリチウムが付加された水を集めるためのデミスタ11及びコンデンサ12があり得る。
【0038】
コンデンサ12から生じる残留気体は、主に一酸化炭素または二酸化物COだけを含む。それから、吸収カラム14及び脱気カラム15を有するステーションに送られることができる。結果として生じるオフガスOGTはこのように処理され、この処理からの残留物は、黒鉛から生じる14Cの大部分を含む純粋なCOを基本的に備えている。最後に、例えば(式CaCOへの)炭酸化反応によって固められることにより、ステーション16で処理されることができる。
【0039】
図2は、以下のように、処理の主なステップをまとめている。
【0040】
ステップS1では、水中で黒鉛を圧砕することによる黒鉛スラリーが得られ、焙焼段階のために、加熱処理タンクを備えている設備へ導管により移動される。可搬性とするために、このスラリーは約30%の黒鉛を含み、残りは水である。
【0041】
ステップS2はそれから、スラリーに含まれる水からの黒鉛の最初の分離(濾過及び/または遠心分離)から成る。5から10%(w/w)の水が、このステップS2の終わりで黒鉛に残っている。
【0042】
ステップS3において、抽出された水は濾過される。この目的のために、例えば(UNGGケーソンの解体の間に従来使用される)水濾過手段により、処理のために原子炉建屋に機械的に送られる。別の手段(図1の参照符号2)は、イオン交換樹脂の自律的な設備及びこの濾過を実行するためのフィルタであり得る。
【0043】
ステップS4において、湿性黒鉛はそれから、残余の水を除くために、乾燥器内で高温(400℃から600℃)に乾燥される。黒鉛は好ましくは、黒鉛加熱処理段階の間、酸化条件の完全な制御を達成するために乾燥している。この段階の間、非常に多くの放射性核種を放出することなく黒鉛を乾燥させるために、乾燥の温度は慎重に選択される。しかしながら、400℃と600℃の間では、塩素36のいくらかが、発生した蒸気と共に必然的に放出される。これは、図1のタンク“A”で収集される。この段階の間、放出された36Clの比率は、ここでは90%に達することができ、Hの比率は5%に達することができる。このタンク“A”内に含まれる水の処理は、ステップS5で36Clを捕獲するためにイオン交換樹脂を用いることで達成され得る。原子炉の内部元素を取り除くための場所にすでに存在する同一の水濾過システムを使用すること、または専用の樹脂ベース浄化システムを加えることが可能である。トリチウムは、それが専用のタンクにおける場所で崩壊することを可能にするために保存されるか、金属水素化物上に捕獲されるか、または他の工業的用途のためにリサイクルされることができる。好ましくは、塩素36を含む樹脂は、深く保管することになっている。
【0044】
ステップS6において、乾燥黒鉛は、焼成設備内に装填される。この焼成設備及びその中で使用される気体は、特許文献2(FR 12 60282)で開示されている。例えばこれは、以下の性能を有利的に得る、焙焼による加熱処理を含む。
・乾燥の間に除去されなかった塩素36の除去(残余10%)
・トリチウム(残りの残余物)及び炭素14の95%の解放
・5%だけの関連した質量損失
【0045】
ここでは、酸化を改善し、及び促進するために粉末の形態で黒鉛と結合される(例えば貴金属プラチナ、パラジウムなどの特定の金属に基づく)触媒が加熱処理ステーション(この場合はロースター)において一般的な方法で使用できることに留意する必要がある。
【0046】
ステップS7は、発生したオフガスの処理に関している。最初に、一酸化炭素COを二酸化炭素COに転換するため、それらは触媒酸化装置に入る。次に、オフガスの流れは、冷却され、それから濾過される。オフガスに存在する任意の固体元素は、流れから濾過され、焼成設備に戻される。
【0047】
ステップS8は、廃液の収集に関している。冷却されたオフガスはそれから、湿らされ、洗われる(逆流)。設備に導入された蒸気はそれから凝結する。トリチウム及び塩素36は、ここで除去される(ステップS9)。収集した水は、タンク「B」へ移される。このタンクはそれから、トリチウムの大部分及び塩素36の残余(黒鉛を乾燥させた後で10%残っている)を含む。同様に水中でのCOの吸収に起因する少量の14Cを含む。COは水により溶けやすいので、COの触媒酸化がここでは好ましく使用される。タンク「B」に含まれた36Cl及びHに対する処理は、タンク「A」に含まれた36Cl及びHに対する処理(上のステップS4)に類似している。
【0048】
例えば、9.25×10−3TBQでCOは、430mの水に溶解され得る一方で、COに対して1.85×10−4TBQだけが同じ水の量に溶解され得る(図3A及び3Bにおける溶解度曲線を参照)。
【0049】
これらの液体(主に水だけでなく、以下で説明されるCOの除去を改善するために少量の水酸化ナトリウムNaOHを含む混合)の温度は、約40℃である。
【0050】
大部分の14Cを含むCOの除去は、ステップS8において廃液の収集から生じたオフガス内で、ステップS10において実施される。オフガスはそれから、例えば化学吸収技術に基づく、COを捕獲するために一種のアミンを一般的に用いる、CO除去システムへ移動する。吸収タンクは、結合化合物を形成するための反応によって大部分のCOを吸収する、化学溶媒、一般的には有機アミンと接触して気体を運ぶ手段を提供する。COに富む溶媒はそれから、CO吸収反応を逆にするように、蒸気で熱される別のベッセル(図1の脱気カラム15)へ移される。脱気カラムに放出されたCOは、(例えば固体の炭酸CaCOを形成する)ステップS11における無機化反応の後で、保管のため、または、固体残留物を形成するために、収集され、または圧縮され得る。95%を超えるCOに対する回収レベルは、現在の技術を使用して得られることができる。
【0051】
この割合を改善するために、必要であれば、吸収材のより洗練された解法が用いられ得る。
【0052】
以下の表において、95%の捕獲率が推測され、これは少量(14Cの単位年当たり2.25TBq)が、上で説明したようなオフガス処理においてシステムを抜けることを意味している。
【0053】
わずかに5%を超える、全体的な処理に関連した質量損失が達成される。
【0054】
主要な流れ、及び除去するために固化させるかまたは処理されるべき、各流れにおける放射性核種の保有量が、以下の表で与えられる。
【0055】
【表2】
【0056】
図3Aおよび3Bは、COの水中での溶解度をCOのものと比較しており、特に、二酸化炭素は一酸化炭素よりもはるかに溶けやすいことを示しており、それは炭素質廃棄物及び特に黒鉛をその酸化形態COで処理するための選択のベクトルとして水を提供している。
【0057】
水中でのCO及びCOの溶解度は、処理の最後で最終的に水に吸収されたC14の量の近似値を提供するように使用され得る。
【0058】
圧縮されたCOはそれから、例えば、炭酸塩(一般的にCaCO)または炭化物(例えば炭化ケイ素SiCへ)の従来の技術によって無機化されるか、または工業または健康管理(医用画像における開発者として、例えば病院試験のため)における使用のためにリサイクルされることができる。
【0059】
図1において示された例は、二酸化炭素COの形態で炭素14を処理する選択肢を使用している。第1の実施形態において、この解法は、追加の費用と複雑さを生み出し得るCOを含む潜在的な安全問題のため、好まれてもよい。ロースターを出るとすぐにCOをCOに転換することによって、気体状のCOの安全性、爆発、毒作用または放射能毒性に関する潜在的な危険に関連する主要な問題が避けられる。気体としてのCOの存在は、処理コストを増大させる多数の試験を必要としている。図1で図示された処理を出た気体はこのように、90%を超える純粋なCOを含み、これは過剰な費用無しで、炭酸塩または別の製品を形成するために単純な化学反応によって反応させられることができる。
【0060】
他方では、例えば、SiCがCaCOより少ない保管スペースを占有するとき、SiC(炭化ケイ素)またはカーボンブラックにおける固体条件を実装する選択がなされる場合、一酸化炭素を維持することが有利であり得る。
【0061】
このように、当業者は、汚染除去の最後でCOまたはCOを処理するかどうかの選択が最適化に依存し得ることを理解している。
−COを処理することと比較してCOを処理する安全性
−COから、またはCOから保管にふさわしい安定した複合物を生産することの容易さ
−最終製品(炭化ケイ素または炭酸塩)の体積
【0062】
もちろん、本発明は上述の実施形態例に限られておらず、他の変形に及ぶ。
【0063】
例えば、黒鉛を含有する炭素質廃棄物の処理が説明されてきた。しかしながら、本発明は一般的に、且つ同様な方法で、他の種類の炭素質廃棄物(例えば樹脂)を処理することに適用され得る。
【0064】
同様に、貯蔵容器5、13、16は、それぞれの放射性元素36Cl、H、及び14Cを基本的に含むと説明されてきた。しかしながら、少量のHが、タンクA(図1の参照符号5)にもちろん存在することができ、または、逆に言えば、所定量の36Clが、タンクB(参照符号13)に存在し得る。存在する量は、特に(ステーション3での)乾燥及び焙焼(ステーション6)の熱条件に依存している。1つの実施形態例において、それらは特許文献1(FR−2943167)及び特許文献2(FR 12 60282)の教示に適合している。しかしながら、これらの処理に対する熱条件の変形は、本発明での如何なる重要な影響無しで、想定されることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 ステーション
2 フィルタ
3 乾燥器
4 コンデンサ
5 貯蔵容器
6 ステーション
7 ステーション
8 冷却器
9 フィルタ
10 ステーション
11 デミスタ
12 コンデンサ
13 貯蔵容器
14 吸収カラム
16 貯蔵容器
図1
図2
図3A
図3B