(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のヘアドライヤは、吸入口と吹き出し口を有し、吸入口から吸い込んだ空気を本体ケース内の送風通路に収容したヒータにより加熱して吹き出し口から温風として吹き出すとともに、イオン発生装置を設けることによりイオンを含んだ空気を吹き出すと共に、青色光を吹き出し方向に向かって照射する光源が設けられている。このようなヘアドライヤは、波長465〜470nmの青色光をLEDから照射して、毛髪中の皮膚常在菌を殺菌する。青色光を吹き出し方向に向かって照射する光源を設けている。青色光には細菌の増殖を削減、もしくは後退させる殺菌効果があるので、青色光の照射を受けた髪の毛においてはイオンを含んだ空気により保湿されても皮膚常在菌が繁殖することを抑制する。
【0005】
一方で、頭皮の皮下組織の血流等を活性化して育毛や発毛を促すために、頭皮又は頭髪に所定の種類の光を照射する技術が検討されている。このような技術では皮下組織への影響に優れる赤色光を所定の光量で用いることが効果的であるとの知見を得ている。つまり、このような技術では皮膚表面の殺菌用の光と比較して、大きな光量の光を頭皮等に届けることが求められている。
【0006】
特許文献1に記載のヘアドライヤでは、青色光のLED光源が吹き出し口に隣接した本体ケース端に設けているから、LED光源から照射の対象である頭皮等までの距離が、吹き出し口から頭皮等までの距離より長くなる。LED光源からの距離が長くなると頭皮等に届く光量が減少し、十分な効果を得にくい問題がある。
【0007】
また、LED光源から頭皮等までの距離が長いと、LED光源からの光が拡散する範囲が広くなり、その光が目に入る可能性が高くなる。LED光源から照射された青色の光が目に入ると、いわゆるブルーライトの問題などで目が一定のストレスを受けることがあり、このようなストレスによる長期的な影響は十分に検証されているとはいえない。
【0008】
特許文献1に記載のヘアドライヤにて、頭皮等に届く光量を増やすためにLED光源の発光強度を大きくすると、目に入る光の光量が増えることとなる。つまり、従来のヘアケア装置では頭皮等に届く光量増やすことと、目に入る光の影響を小さくすることとは二律背反の関係にあった。
【0009】
このような課題は、頭皮等に用いるヘアケア装置に限らず、頭皮等以外の体の皮膚や体毛(以下、皮膚等ということがある。)に用いるヘアケア装置についても同様に生じうる。
【0010】
本発明の目的は、このような課題に鑑みてなされたもので、皮膚や体毛に対して光と空気流とを出力するヘアケア装置において、目に入る光の影響を抑えつつ皮膚や体毛に届く光量を増やすことが可能なヘアケア装置の技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のヘアケア装置は、第1方向に流れる空気流を送出する送風部と、送風部の第1方向側に脱着可能に装着され、被照射部である皮膚または体毛を照らすための光束を出力する複数の発光素子を含む発光部と、を備える。送風部は被照射部に向けて空気流を送出するように構成され、複数の発光素子は、送風部の第1方向側において、空気流の中心部を避けて空気流を囲む位置に並べて配置される。
【0012】
この態様によると、発光部を送風部より前に設けたから、より皮膚や体毛に接近して被照射部に届く光量が増え、相対的に目に入る光量の割合を抑える事が可能になる。また、複数の発光素子が空気流の中心部を避けて空気流を囲む位置に例えば環状に並べて配置されるから、空気流の流路抵抗を減らして拡散を抑え、空気流を効率的に被照射部に送ることができる。
【0013】
本発明の別の態様もまた、ヘアケア装置である。この装置は、第1方向に流れる空気流を送出する送風部と、送風部の第1方向側に脱着可能に装着され、被照射部である皮膚または体毛を照らすための光束を出力する複数の発光素子を含む発光部と、を備える。送風部は被照射部に向けて空気流を送出するように構成され、複数の発光素子は、空気流の中心部を避けた位置にて、当該発光素子の光軸が被照射部の空気流の中心部が当たる部分を向くように傾斜して設けられる。
【0014】
この態様によると、被照射部に届く光量が増え、相対的に目に入る光量の割合を抑える事が可能になる。また、光軸が被照射部の空気流の中心部が当たる部分に向いて傾斜するから、被照射部において空気流と光束が重なり、これらの相乗効果が効果的に生じうる。
【0015】
本発明のさらに別の態様もまた、ヘアケア装置である。この装置は、第1方向に流れる空気流を送出する送風部と、送風部の第1方向側に脱着可能に装着され、被照射部である皮膚または体毛を照らすための光束を出力する複数の発光素子を含む発光部と、を備える。送風部は被照射部に向けて空気流を送出するように構成され、発光部は複数の発光素子の第1方向側に設けられ光束が透過するカバー部材を含む。カバー部材は複数の発光素子それぞれの先端部を収容する複数の凹部を有する。
【0016】
この態様によると、被照射部に届く光量が増え、相対的に目に入る光量の割合を抑える事が可能になる。また、凹部に発光素子の先端部を収容するから小型化に有利である。
【0017】
本発明のさらに別の態様もまた、ヘアケア装置である。この装置は、第1方向に流れる空気流を送出する送風部と、送風部の第1方向側に脱着可能に装着され、被照射部である皮膚または体毛を照らすための光束を出力する複数の発光素子を含む発光部と、を備える。送風部は被照射部に向けて空気流を送出するように構成され、発光部は、複数の発光素子の第1方向側に設けられ光束が透過するカバー部材を含む。カバー部材は送風部の第1方向側にて空気流を囲むように形成される。
【0018】
この態様によると、被照射部に届く光量が増え、相対的に目に入る光量の割合を抑える事が可能になる。また、カバー部材が空気流を囲むように形成されるから、カバー部材による流路抵抗を減らすことができる。
【0019】
本発明のさらに別の態様もまた、ヘアケア装置である。この装置は、第1方向に流れる空気流を送出する送風部と、送風部の第1方向側に脱着可能に装着され、被照射部である皮膚または体毛を照らすための光束を出力する複数の発光素子を含む発光部と、を備える。送風部は被照射部に向けて空気流を送出するように構成され、発光部は、光束が透過するカバー部材であって複数の発光素子の第1方向側を一体に覆うカバー部材を含む。カバー部材は第1方向側に突出して被照射部に接触するための複数の突出部を有する。
【0020】
この態様によると、被照射部に届く光量が増え、相対的に目に入る光量の割合を抑える事が可能になる。また、カバー部材が複数の発光素子を一体に覆うから、個々に覆う場合に比べて部品点数が減り組立の手間を減らすことができる。
【0021】
本発明のさらに別の態様もまた、ヘアケア装置である。この装置は、第1方向に流れる空気流を送出する送風部と、送風部の第1方向側に脱着可能に装着され、被照射部である皮膚または体毛を照らすための光束を出力する複数の発光素子を含む発光部と、を備える。送風部は被照射部に向けて空気流を送出するように構成され、発光部は、第1方向側に張り出す張出部を有し、張出部が被照射部に予め設定された距離以下に接近したタイミングで発光を開始する。
【0022】
この態様によると、被照射部に届く光量が増え、相対的に目に入る光量の割合を抑える事が可能になる。また、張出部が被照射部に予め設定された距離以下に接近したタイミングで発光を開始するから、操作が容易になる。
【0023】
本発明のさらに別の態様もまた、ヘアケア装置である。この装置は、第1方向に流れる空気流を送出する送風部と、送風部の第1方向側に脱着可能に装着され、被照射部である皮膚または体毛を照らすための光束を出力する複数の発光素子を含む発光部と、を備える。送風部は被照射部に向けて空気流を送出するように構成され、発光部は、第1方向側に張り出す張出部を有し、張出部が被照射部に予め設定された距離以下に接近したタイミングから予め設定されたタイマー時間が経過したとき、音、振動および光の少なくとも何れかを用いた合図を出力する。
【0024】
この態様によると、被照射部に届く光量が増え、相対的に目に入る光量の割合を抑える事が可能になる。また、合図が使用者の目安となり、張出部が被照射部に予め設定された距離以下に接近している時間間隔を揃えることができる。
【0025】
本発明のさらに別の態様もまた、ヘアケア装置である。この装置は、第1方向に流れる空気流を送出する送風部と、送風部の第1方向側に脱着可能に装着され、被照射部である皮膚または体毛を照らすための光束を出力する複数の発光素子を含む発光部と、を備える。送風部は被照射部に向けて空気流を送出するように構成され、発光部は複数の発光素子を固定する配線基板を含む。配線基板は送風部の第1方向側にて空気流の周囲を囲む環形状を有する。
【0026】
この態様によると、被照射部に届く光量が増え、相対的に目に入る光量の割合を抑える事が可能になる。また、配線基板が環形状を有するから、空気流がその中を通過して、配線基板による流路抵抗を小さくできる。
【0027】
本発明のさらに別の態様もまた、ヘアケア装置である。この装置は、第1方向に流れる空気流を送出する送風部と、送風部の第1方向側に脱着可能に装着され、被照射部である皮膚または体毛を照らすための光束を出力する複数の発光素子を含む発光部と、を備える。送風部は被照射部に向けて空気流を送出するように構成され、送風部には、発光部が装着されたとき当該発光部に電流を供給するための電気ケーブルが設けられ、電気ケーブルは、送風部の外殻である筐体に設けられる管状の通路部を通じて配線される。
【0028】
この態様によると、被照射部に届く光量が増え、相対的に目に入る光量の割合を抑える事が可能になる。また、電気ケーブルが管状の通路部を通じて配線されるから、筐体内部の温度上昇による配線への影響を緩和できる。
【0029】
本発明のさらに別の態様もまた、ヘアケア装置である。この装置は、第1方向に流れる空気流を送出する送風部と、送風部の第1方向側に脱着可能に装着され、被照射部である皮膚または体毛を照らすための光束を出力する複数の発光素子を含む発光部と、を備える。送風部は被照射部に向けて空気流を送出するように構成され、発光部は送風部から電流の供給を受けるための第2接点部を有する。送風部は発光部が装着されたとき第2接点部に電気的に接続される第1接点部を有する。第1接点部は送風部の外殻である筐体の空気流に近い側に設けられる。
【0030】
この態様によると、被照射部に届く光量が増え、相対的に目に入る光量の割合を抑える事が可能になる。また、第1接点部が筐体の空気流に近い例えば内部側に設けられるから、この接点部が外部に露出しないことで、誤って第1接点部に身体が触れる可能性を小さくできる。
【0031】
本発明のさらに別の態様もまた、ヘアケア装置である。この装置は、第1方向に流れる空気流を送出する送風部と、送風部の第1方向側に脱着可能に装着され、被照射部である皮膚または体毛を照らすための光束を出力する複数の発光素子を含む発光部と、を備える。送風部は被照射部に向けて空気流を送出するように構成され、発光部は、複数の発光素子を固定する環状の配線基板を収容する収容筒部と、送風部の第1方向端に嵌合する嵌合筒部と、収容筒部と嵌合筒部の間に設けられる中間筒部と、を含む。中間筒部は配線基板の外径より小さな内径を有する。
【0032】
この態様によると、被照射部に届く光量が増え、相対的に目に入る光量の割合を抑える事が可能になる。また、中間筒部が空気流の外形を絞って拡散を抑制し、空気流が配線基板に当たる割合を小さくできる。
【0033】
なお、ヘアケア装置は、主に頭髪等をケアする頭髪ケア装置に限られず、頭髪等以外の皮膚等をケアするケア装置を含む。皮膚等をケアすることには皮膚等を健康な状態に維持することを含む。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、皮膚や体毛に対して光と空気流とを出力するヘアケア装置において、目に入る光の影響を抑えつつ皮膚や体毛に届く光量を増やすことが可能なヘアケア装置の技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに
図1から
図13を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0037】
図1は実施形態に係るヘアケア装置100の分解斜視図であり、
図2はヘアケア装置100の正面図であり、
図3はヘアケア装置100の側断面を模式的に示している。以下、XYZ直交座標系をもとに説明する。方向Xは水平な左右方向に対応し、方向Yは水平な前後方向に対応し、方向Zは鉛直な上下方向に対応する。方向Yおよび方向Zはそれぞれ方向Xに直交する。方向Xは左方向あるいは右方向と、方向Yは前方向あるいは後方向と、方向Zは上方向あるいは下方向と表記することがある。
後述する半径方向という。
これらの方向の表記に関わらず、ヘアケア装置100は任意の姿勢で使用されうる。
【0038】
実施形態に係るヘアケア装置100の説明は、被照射部である皮膚または体毛の一例として頭皮または頭髪にヘアドライヤ形状を有するヘアケア装置を使用する例について説明する。ヘアケア装置100は眉毛や髭など頭髪以外の部位における体毛とその根元近傍の皮膚についても使用することができる。
【0039】
実施形態に係るヘアケア装置100は、
図3に示すように、第1方向Pに流れる空気流42を送出するための送風部40と、被照射部70の一例である頭皮または頭髪を照らすための光束28を出力する発光部10と、を備えており、発光部10は送風部40の第1方向P側に設けられている。
【0040】
被照射部70の近傍にヘアケア装置100を置いた状態で、被照射部70に光束28を照射していると被照射部70の温度が上昇することが考えられる。また、使用中にヘアケア装置100自身が発熱することで、被照射部70の温度を上昇させることも考えられる。そこで、ヘアケア装置100では、送風部40は被照射部70に向けて空気流42を送出するように構成されている。被照射部70が空気流42を受けることで温度上昇を緩和することができる。また、被照射部70が非加温の涼風を受けることで、使用者の緊張がほぐれて血流が改善されることで、頭皮に光束28と空気流42とを受けることとの相乗効果も期待できる。
【0041】
(カバー部材)
次に、
図4から6を参照して、カバー部材18について説明する。
図4はカバー部材18の正面図、
図5はその側面図、
図6はその背面図である。複数の発光素子20が被照射部70の一例である頭皮や頭髪に直接接触すると、複数の発光素子20に皮脂などの異物が付着して複数の発光素子20の表面が曇ることがある。複数の発光素子20の表面が曇ると出力される光量が減少することが考えられる。このため、複数の発光素子20は被照射部70に直接接触しないことが望ましい。そこで、ヘアケア装置100では、発光部10には光束28が透過するカバー部材18が交換可能に設けられている。この場合、カバー部材18に異物が付着した場合は外して洗浄することができる。カバー部材18は工具を用いずに手動にて交換可能に取り付けられてもよい。カバー部材18には容易に取り付けと取り外しができる係合部が設けられてもよい。
【0042】
(突出部)
カバー部材の前側の表面が平坦である場合には、カバー部材が頭髪を押さえて密集させるから、光束は、頭髪に当たる割合が増えて、頭皮に届く割合が小さくなることが考えられる。そこで、ヘアケア装置100では、カバー部材18は第1方向側に突出して被照射部70に接触するための複数の突出部19を有する。この場合、突出部19は頭髪の間に分け入り、突出部19の先端が頭皮に接近するから、光束28が効率的に頭皮に届くようになる。突出部19の先端が頭皮に当接するようにしてもよい。突出部19の先端が頭皮に当たることで、頭皮に適度な刺激を加え、血流を促進することが可能になる。
【0043】
大型化を抑制する観点から、発光部は前後方向の寸法が小さいことが望ましい。そこで、ヘアケア装置100では、
図7に示すように、カバー部材18には複数の発光素子20の少なくとも一部を収容する凹部19bが設けられている。凹部19bに、例えば発光素子20の先端部を収容することによって、発光部10の前後方向の寸法の小型化が可能になる。凹部19bは突出部19に対応して設けられてもよい。
【0044】
光束28に含まれる有害な紫外線光はできるだけ少ないことが望ましい。そこで、ヘアケア装置100では、カバー部材18は紫外線光を減衰させる材料から形成されている。この場合、カバー部材18を透過した光束28に含まれる紫外線光が少ないから使用者は安心して使用することができる。
【0045】
頭部は略球状であるなど、被照射部は湾曲している場合が多い。このため、カバー部材の形状は、被照射部の湾曲形状に対応して設定されることが望ましい。そこで、ヘアケア装置100では、
図5に示すように、カバー部材18は、第1方向Pである前後方向で送風部40側に後退している後退領域18aと、後退領域18aより第1方向Pで前方に前進している前進領域18bと、を含んでいる。この場合、カバー部材18の後退領域18aと前進領域18bとを、被照射部70の湾曲形状Cに対応して配置することができる。
【0046】
(フード部材)
次に、
図8、9を参照して、フード部材15について説明する。
図8はフード部材15の正面図、
図9はその側面図である。
光束28の一部が外側に漏れると、その漏れた光が目に入ることが考えられる。そこで、ヘアケア装置100では、発光部10に、第1方向P側で光束28を囲むフード部材15が設けられている。フード部材15を設けたことにより外側に漏れる光量を減らすことができる。なお、フード部材15を被照射部70に接触するように設けることで、外側に漏れる光量をさらに減らすことができる。フード部材15はカバー部材18の突出部19より前方に突出するように設けられてもよい。フード部材15には、カバー部材18の後退領域18aに対応する後退領域15aと、前進領域18bに対応する前進領域15bと、が設けられる。前進領域15bは後退領域15aより第1方向Pで前方に前進している。
【0047】
次に、
図10、11を参照して、複数の発光素子20について説明する。
図10は配線基板13に取り付けられた状態の複数の発光素子20の正面図、
図11はその側面図である。
【0048】
使用者の利便の観点から、ヘアケア装置は広い範囲に光束を照射できることが望ましい。そこで、ヘアケア装置100では、
図10に示すように、発光部10は、複数の発光素子20を含んでいる。複数の発光素子20としては例えばLED(light emitting diode)またはLD(diode laser)を用いることができる。ヘアケア装置100では、複数の発光素子20が空気流42の周囲を囲むように配置される。特に、複数の発光素子20は、送風部40の第1方向P側において、空気流42の中心部を避けて空気流42を囲む位置に例えば環状に並べて配置される。複数の発光素子20は、空気流42を囲む円形状、オーバル形状または多角形状に配置されてもよい。
【0049】
既述したように、頭部は略球状であるから被照射部は湾曲している場合が多い。このため、それぞれの発光素子の位置は、被照射部の湾曲形状に対応して設定されることが望ましい。そこで、ヘアケア装置100では、
図11に示すように、複数の発光素子20は、第1方向Pである前後方向において、第1方向Pで送風部側に後退している発光素子20aと、後退している発光素子20aより第1方向で前進している発光素子20bと、を含んでいる。つまり、ヘアケア装置100では、複数の発光素子20のそれぞれについて、頭部の湾曲形状Cに沿うように、前後方向の位置を変化させて配置されている。ヘアケア装置100では、一例として、方向Z(上下方向)に沿って、その中央近傍の発光素子21はその両側(上側および下側)の発光素子22より、第1方向Pである前後方向で後側に後退して配置されている。複数の発光素子20のそれぞれの頭部表面からの距離の差が小さくなり、光束28を効果的に照射することができる。
【0050】
被照射部内で受ける光量は、被照射部内のそれぞれの部位での偏りが小さいことが望ましい。そこで、ヘアケア装置100では、複数の発光素子20の少なくとも一部は、第1方向Pである前後方向に対して傾斜して設けられている。つまり、ヘアケア装置100では、複数の発光素子20の少なくとも一部が前後方向に対して光軸が傾くように設けられている。ヘアケア装置100では、一例として、複数の発光素子20は、その光軸が前方で交差するように内向きに傾けられている。特に、複数の発光素子20は、空気流42の中心部を避けた位置にて、当該発光素子20の光軸が被照射部70の空気流42の中心部が当たる部分を向くように傾斜して設けられる。複数の発光素子20は、その光軸が前方で開くように外向きに傾けられてもよい。このような傾斜の方向は発光素子の指向性に対応して設定することができる。このような傾斜は、例えば3度から30度の範囲に設定することができる。ヘアケア装置100では、複数の発光素子20の光軸は前後方向に対して3度内向きに斜傾して設けられている。
【0051】
大きな光量の光束を出力する場合に、発光部の発光素子やその周辺の電子部品の温度上昇が懸念される。これらの部品は使用温度が高くなると発光素子や電子部品の寿命が短くなるため、発光素子やその周辺の電子部品は冷却されながら使用されることが望ましい。そこで、ヘアケア装置100では、
図3に示すように、複数の発光素子20の少なくとも一部は空気流42が通過する領域に配置されている。つまり、送出口114から前方に延長した範囲に複数の発光素子20が配置されている。この場合、複数の発光素子20には送出口114から送出された空気流42によって冷却されて温度上昇が抑えられる。
【0052】
また、ヘアケア装置100では、
図3に示すように、発光部10は、複数の発光素子20のいずれかに電気的に接続される電子部品14の少なくとも一部が空気流42が通過する範囲に配置されている。つまり、電子部品14の少なくとも一部は、空気流42によって放熱が促進されるように配置される。この場合、電子部品14には空気流42が当たるから、電子部品14は冷却されて温度上昇が抑えられる。
【0053】
発光部10が出力する光束28が目に入る可能性を小さくすることが望ましい。そこで、ヘアケア装置100では、
図3に示すように、発光部10が被照射部70から所定の距離以上に離れると、発光部10に供給する電流を遮断または減らすように構成される電流制限部32を備えている。つまり、ヘアケア装置100では、発光部10が被照射部70に接近している状態で、発光部10は通電されて光束28を出力し、被照射部70から遠ざかると実質的に通電を停止するように構成されている。電流制限部32は、例えば、発光部10からの距離を検出して、その検出した距離に応じて発光部10への通電を制御するように構成されてもよい。また、電流制限部32は、発光部10が被照射部70またはその周辺に接触した場合に発光部10に通電するように構成されてもよい。発光部10が頭部から離れると自動的に光束28の出力が小さくなるから光束28が目に入る可能性を小さくできる。なお、理解を容易にするため、
図1、2では電流制限部32の記載を省略している。
【0054】
(合図出力部)
ヘアケア装置は、例えば頭部を複数の被照射部に分けて、それぞれの被照射部毎に所定の時間ずつ使用されることがある。使い勝手の観点から、それぞれの被照射部への使用時間は好ましくは3秒から30秒の範囲、より好ましくは5秒から20秒の範囲にすることができる。それぞれの被照射部への使用時間は、ヘアケア装置の光束が大きい場合は短く、小さい場合は長くなる。このような使用時間について合図が出力されると使用者に便利である。そこで、ヘアケア装置100では、
図3に示すように、所定のタイミングで使用者が知覚できる合図を出力するように構成される合図出力部34を備えている。一例として、合図出力部は、設定された時間(例えば10秒)毎に合図であるビープ音34eを出力するようにしてもよい。使用者は合図のタイミングで使用位置を切り替えて使用することができる。合図としては使用者が知覚できるものであれば特に制限はない。なお、理解を容易にするため、
図1、2では合図出力部34の記載を省略している。
【0055】
それぞれの被照射部への使用時間は揃っていることが望ましい。そこで、ヘアケア装置100では、合図出力部34は、発光部10への電流の供給開始から所定の時間経過したタイミングで、音、振動および光の少なくとも何れかを用いた合図を出力するように構成されている。一例として、合図出力部34は、発光部10への電流の供給開始から設定された時間(例えば5秒)経過したタイミングで合図であるビープ音34eを出力するようにしてもよい。使用者はビープ音34eのタイミングで使用位置を切り替えて使用することができる。この場合、それぞれの被照射部への使用時間が揃いやすくなる。
【0056】
ヘアケア装置は、いくつかのブロックに分離できると収納がコンパクトになり携帯に便利である。一方で、ヘアケア装置は発光部と送風部の一方に給電するだけで、他方にも給電できることが望ましい。そこで、ヘアケア装置100では、発光部10は送風部40の第1方向P側に脱着可能に装着される。特に、発光部10は送風部40に対して工具を用いずに手動にて取り付けおよび取り外し可能に設けられている。発光部10は送風部40から電流の供給を受けるための第2接点部38を有している。送風部40は発光部10が装着されたとき第2接点部38に電気的に接続される第1接点部36を有している。このように構成することにより。ヘアケア装置100は発光部10と送風部40とに分離して収納できる。また、ヘアケア装置100は、発光部10を送風部40に取り付けることで送風部40側に給電するだけで第1接点部36と第2接点部38を介して発光部10にも給電できる。第1接点部36は送風部40の外殻である筐体110の空気流42に近い内部側または空気流42と反対側の外部側に設けることができる。実施の形態のヘアケア装置100では、一例として、後述する筐体110の第1方向端である筒状部82の外周部に第1接点部36が設けられている。
【0057】
次に、ヘアケア装置100の具体的な構造について説明する。
【0058】
(送風部)
送風部40は、
図3に示すように、筐体110と、グリップ部108と、吸入口116と、送出口114と、インペラ43と、モータ41と、ヒータ44と、制御部50と、スイッチ部52と、通路部118と、第1接点部36と、電源部124と、筒状部82と、を含む。
【0059】
筐体110は、送風部40の外殻であり、その内部に送風部40の主要な構成要素を収容して保持する。筐体110は、中空の略円筒状の部材で、樹脂材料からモールド成型工程により形成することができる。グリップ部108は、使用者が手で握るための部分で、筐体110の後部寄りの外周下面から下方に突き出るように取り付けられる。グリップ部108は、筐体110に対して、折り曲げを可能とするヒンジ手段を介して接続されてもよい。
【0060】
吸入口116は、送風するための空気を雰囲気空間から筐体110内に導入するための開口で、例えば筐体110の後方側に設けられる。吸入口116には異物の侵入を抑制する網目部材(不図示)が設けられてもよい。送出口114は、空気流42を送出するための開口で、筐体110の前方側に設けられる。送出口114には異物の侵入を抑制する網目部材(不図示)が設けられてもよい。
【0061】
インペラ43は、回転することにより後方の空気を前方に押し出すための羽根部材で、例えば樹脂材料からモールド成型工程により形成することができる。インペラ43は、筐体110内に吸入口116の前方側に設けられる。モータ41は、インペラ43を回転駆動するための電気モータで、制御部50から電流が供給されることによって回転する。モータ41は筐体110内のインペラ43の前方側に設けられ、モータ41の回転軸(不図示)がインペラ43の中心部に固定される。
【0062】
ヒータ44は、インペラ43によって押し出された空気流を加熱するための電気ヒータで、制御部50から電流が供給されることによって発熱する。ヒータ44は、筐体110のモータ41の前方側に設けられる。制御部50は、電源部124から供給される電力を制御して、スイッチ部52の状態に応じて、モータ41とヒータ44と発光部10のそれぞれに電流を供給するように構成される。制御部50は、例えばグリップ部108内に収容されて固定されている。制御部50は、筐体110内に収容されてもよい。被照射部70への過度な照射を制限する観点で、発光部10の照射光量を制限する手段を設けてもよい。一例として、制御部50は、発光部10への供給電流と供給時間とをパラメータとして所定の演算により取得した値に基づき発光部10への給電を制限するように構成されてもよい。
【0063】
スイッチ部52はヘアケア装置100の動作モードを切り替える部材である。スイッチ部52には、機械接点を有する機械式スイッチや、手指の接触を検出して電子的に切り替える電子式スイッチを含むことができる。スイッチ部52は、グリップ部108の前方側の開口108aに突出部52aが突出するように、グリップ部108に取り付けられる。スイッチ部52は、突出部52aを後方に押し込むことによって複数のモードを切り替えるように構成される。例えば、全体オフ状態から、1回目の押し込みによってモータ41に電流を供給して送風を開始し、2回目の押し込みによって発光部10に電流を供給して発光を開始し、3回目の押し込みによって発光部10の電流をオフにしてヒータ44に電流を供給して加熱を開始し、4回目の押し込みによって全体オフ状態にすることができる。スイッチ部52は、複数の電気スイッチを含むことができる。スイッチ部52は、発光部10への給電を開始または停止するための発光制御スイッチを含んでもよく、この発光制御スイッチはヘアケア装置100の姿勢に応じて給電を開始または停止するように構成されてもよい。この発光制御スイッチは、一例として、ヘアケア装置100が所定の姿勢(例えば、発光部10が頭部に向いた姿勢)において、発光部10に給電を開始するように構成されてもよい。
【0064】
送風部40には、発光部10が装着されたとき当該発光部10に電流を供給するための電気ケーブル126が設けられる。第1接点部36は、第2接点部38と電気的に接続されるための接点を有しており、電気ケーブル126によって制御部50の出力部に電気的につなげられている。通路部118は、制御部50から発光部10に繋げられる電気ケーブル126をヒータ44の熱から保護するための通路である。特に、電気ケーブル126は、送風部40の外殻である筐体110の例えば内側に設けられる管状の通路部118を通じて配線される。通路部118は、電気ケーブル126を収容するために、筐体110の下方に設けられる。
【0065】
電源部124は、電源ケーブル(不図示)から供給された電力を制御部50に送るための電気回路で、グリップ部108に収容されて固定される。電源部124は、整流回路や平滑回路が含まれてもよい。
【0066】
筒状部82は送風部40の第1方向P側端部に設けられる中空筒状の部位である(
図1も参照)。筒状部82の内側には空気流42を送出する送出口114が形成される。筒状部82は後述する発光部10の嵌合筒部84と嵌合する。特に、筒状部82の少なくとも先端部は嵌合筒部84の内側に収容される。
図12は、筒状部82と後述する嵌合筒部84の拡大断面図である。筒状部82には、送風部40に発光部10を取り付けおよび取り外し可能に装着するための着脱機構が設けられる。特に、筒状部82には、筐体110の前方に設けられる嵌合外周面82aと、嵌合外周面82aに設けられた爪部82bとが設けられる。嵌合外周面82aは、例えばその後方側の領域より小径に形成される。爪部82bは嵌合外周面82aに1つまたは複数(例えば2個)設けられてもよい。嵌合外周面82aは嵌合筒部84の嵌合内周面84aに嵌合するように構成される。爪部82bは後述する嵌合筒部84の段部84bに係合するように構成される。
【0067】
(発光部)
発光部10は、
図3に示すように、ハウジング30と、通気口86と、カバー部材18と、フード部材15と、配線基板13と、電子部品14と、複数の発光素子20と、第2接点部38と、嵌合筒部84と、を含む。
【0068】
ハウジング30は、その内部に発光部10の主要な構成要素を収容して保持するための中空の略円筒状の部材である。ハウジング30は、複数の発光素子20を固定する環状の配線基板13を収容する収容筒部31と、送風部40の第1方向P側の端部40aに設けられる筒状部82に嵌合する嵌合筒部84と、収容筒部31と嵌合筒部84の間に設けられる中間筒部17と、を含む。
図3に示すように、中間筒部17は配線基板13の外径より小さな内径を有する。この内径が大きい場合に比べて、空気流42が配線基板13の内側に当たって拡散する割合を小さくできる。中間筒部17は送風部40の筒状部82の前方端の外径より小さな内径を有する。この内径が大きい場合に比べて、中間筒部17は空気流42の拡散を抑えて中心部寄りに集めることができる。空気流42を中心部寄りに集めることで、光束28に照らされる被照射部70に効率的に空気流42を送ることができる。
【0069】
通気口86は、ハウジング30の内部と外部とを連通する開口で、ハウジング30の中間筒部17の外周部に1または複数(例えば4つ)形成される。通気口86を設けることで、ハウジング30の内部の空気の換気を促し、被照射部70の温度上昇を抑えることが可能になる。ハウジング30は、例えば樹脂材料からモールド成型工程により形成することができる。
【0070】
カバー部材18は、
図5〜7に示すように、前後方向(方向X)に対して垂直に設けられる略円盤状の部材で、内周部18jと外周部18kとを有する。カバー部材18は送風部40の第1方向P側にて空気流42の周囲を囲む形状に形成される。カバー部材18は中空環状に形成されてもよい。カバー部材18が中空に形成されることで空気流42の抵抗を抑制することができる。カバー部材18は、例えば光の透過性が良好な樹脂材料からモールド成型工程により形成することができる。カバー部材18の前方側には前方に向かって突出する複数(例えば24個)の突出部19が設けられている。突出部19は円筒の先端に半球を結合したような砲弾形状を有している。
図6に示すように、カバー部材18は複数の発光素子20それぞれの先端部を収容する複数の凹部19bを有する。凹部19bは、カバー部材18の後方側において前方側に窪むように複数(例えば24個)設けられる。凹部19bは突出部19に対応している。言い換えると、カバー部材18は、複数の凹部19bが設けられる面と反対側の面に第1方向P側に突出する複数の突出部19を有する。
【0071】
フード部材15は、
図8、9に示すように、前後方向(方向X)に延在する中空円筒形状の部材で、内周部15jと外周部15kとを有する。フード部材15は、例えば樹脂材料からモールド成型工程により形成することができる。フード部材15は、カバー部材18より光透過性の低い材料から形成されてもよい。フード部材15の内面には反射面が形成されてもよい。フード部材15はカバー部材18と一体化した状態で発光部10に取り付けおよび取り外し可能に形成されてもよい。
【0072】
発光部10は、複数の発光素子20を固定するプリント配線板である配線基板13を含む。配線基板13は、
図11に示すように、前後方向に対して垂直に設けられる略円板形状を有する。配線基板13は送風部40の第1方向P側にて空気流42の周囲を囲む環形状を有する(
図1、3も参照)。配線基板13は内周部13jと外周部13kとを有する。配線基板13は、外周部13kがハウジング30の段部にネジ締めや接着によって固定される。電子部品14は、複数の発光素子20に流れる電流を制限する抵抗や電圧を平滑するコンデンサなどを含んでもよい。電子部品14は、例えば配線基板13の前面部や後面部に半田付けによって固定されている。
【0073】
複数の発光素子20は、
図10、11に示すように、配線基板13の前面側に、周方向に略等間隔で配置される複数(例えば24個)のLED20mを含んでいる。LED20mとしては、特別の制限はないが、実施の形態のヘアケア装置100では、波長が620〜670nm(赤色)のLEDを選択している。例えば638nmの赤色光を、光量時間積が1平方センチメートル当たり1J(=W・s)から1.5J(=W・s)にて用いることで皮下組織の活性化に効果があるとの知見を得ている。この場合に、照射時間を調整することで、光量は被照射部70が日焼けなどの損傷を受けない程度の範囲に、より好ましくは使用者が痛痒を感じない程度の範囲に抑えることが望ましい。また、1箇所の1回の照射時間が3秒から30秒の範囲、より好ましくは5秒から20秒の範囲で上記の光量時間積が得られるように複数の発光素子20の光量を設定してもよい。
【0074】
第2接点部38は、
図13に示すように、第1接点部36と電気的に接続されるための接点を有しており、電気ケーブル128によって複数の発光素子20に電気的につなげられている。第2接点部38は、例えば嵌合筒部84の内周部に設けられている。送風部40に発光部10を取り付けられた状態で、第2接点部38の2個の接点が第1接点部36の2個の接点のそれぞれに電気的に接続される。
【0075】
嵌合筒部84には、
図12に示すように、送風部40に発光部10を取り付けおよび取り外し可能に装着するための着脱機構が設けられる。嵌合筒部84には、ハウジング30の後方に設けられる嵌合内周面84aと、嵌合内周面84aに形成された段部84bとが形成される。段部84bは嵌合内周面84aに1つまたは複数(例えば2個)設けられてもよい。嵌合内周面84aは、筒状部82の嵌合外周面82aに嵌合するように構成される。段部84bは筒状部82の爪部82bに係合するように構成される。
【0076】
(電流制限部)
電流制限部32は、発光部10が被照射部70から所定の距離以上に離れると、発光部10に供給する電流を遮断または減らすように構成される。電流制限部32は、センサ部32aを含み、センサ部32aの状態に応じて発光部10に供給する電流を遮断または減らすように構成される。センサ部32aには、機械的な接触に対応して出力状態が変化するリミットスイッチや、光や音波を利用した距離センサを採用することができる。実施の形態のヘアケア装置100では、
図3に示すよう、センサ部32aがハウジング30の外周部に取り付けられている。発光部10において、センサ部32aは、第1方向P側に張り出す張出部である先端部32eを有する。センサ部32aは先端部32eが被照射部70に接して押し込まれるとオンになるリミットスイッチ32bを内蔵している。
【0077】
図13に示すよう、リミットスイッチ32bは発光部10に直列に接続されており、非使用時はオフで、先端部32eが被照射部70に接するとオンになり発光部10に通電する。つまり、発光部10は先端部32eが被照射部70に接触したタイミングで発光を開始するように構成される。先端部32eの位置を調整することで、通電と非通電の切り替え距離を所望の距離に設定することができる。また一例として、発光部10は、先端部32eが被照射部70に接触したタイミングから予め設定されたタイマー時間が経過したら発光を停止するように構成してもよい。また別の一例として、発光部10は、張出部である先端部32eが被照射部70に接触したタイミングから予め設定されたタイマー時間が経過したとき、音、振動および光の少なくとも何れかを用いた合図を出力するようにしてもよい。このような合図は後述する合図出力部34を備えることで出力することができる。なお、これらの動作タイミングとしては、先端部32eが被照射部70に接触したタイミングに代えて、先端部32eが被照射部70に予め設定された距離以下に接近したタイミングを用いるようにしてもよい。
【0078】
(合図出力部)
合図出力部34は、所定のタイミングで、音、振動および光の少なくとも何れかを用いた合図を出力するように構成される。合図出力部34は、発光部10または送風部40に設けられる。ヘアケア装置100では、
図3に示すように、合図出力部34はハウジング30の外周部に設けられている。実施の形態のヘアケア装置100では、合図出力部34は、発光部10への電流の供給開始から所定の時間経過したタイミングで合図を出力するように構成される。合図出力部34は、
図13のブロック配線図に示すように、発光部10への通電開始後に設定したタイマー時間を経過すると出力状態がオフからオンに変化するタイマー手段34aと、タイマー手段34aの出力状態がオンであるときにビープ音34eを発生させるブザー手段34bとを含んでいる。タイマー手段34aは発光部10が通電状態になることでアクティブになり、時間のカウントを開始する。タイマー手段34aは所定の時間カウントが経過するとブザー手段34bに通電してビープ音34eを発生させる。発光部10が非通電状態になるとタイマー手段34aはリセットされ、ブザー手段34bは休止する。さらに、発光部10が通電状態になると、タイマー手段34aはアクティブになり、合図出力部34は上記の動作を繰り返す。
【0079】
次に、このように構成されたヘアケア装置100を使用する方法を説明する。
(1)第1の使用形態
第1の使用形態は、送風部40は非稼働状態として、発光部10の発光機能のみを使用する。このモードを第1モードと表記する。まず、スイッチ部52を操作して、ヘアケア装置100を第1モードに切り替える。この状態では、電流制限部32が働いており、発光部10は非発光状態にある。発光部10を頭部に接近させて先端部32eが被照射部70に接すると、発光部10は通電され発光を開始して被照射部70に光束28を照射する。これと同時にタイマー手段34aが起動し、例えば設定した10秒が経過するとブザー手段34bからビープ音34eを発生させる。使用者は、ビープ音34eに応じて、発光部10を一旦頭部から離す。この状態で発光およびビープ音34eは停止する。使用者が、発光部10を頭部の別位置の被照射部70に接近させて置くことで先端部32eが被照射部70に接すると、上記と同様の動作を繰り返す。これらの動作を繰り返すことで頭部の所望の範囲に光束28を受けることができる。
【0080】
(2)第2の使用形態
第2の使用形態は、送風部40を非加熱の涼風を送風する状態にして、発光部10の発光機能と共に使用する。このモードを第2モードと表記する。まず、スイッチ部52を操作して、ヘアケア装置100を第2モードに切り替える。この状態では、送風部40が送出した非加熱の空気流42が発光部10の中孔部16を通過して出口部16bから吐き出されている。発光部10を頭部に接近させると、頭部には空気流42が当たる。さらに、発光部10を頭部に接近させて先端部32eが被照射部70に接すると、発光部10は通電され発光を開始して被照射部70に光束28を照射する。つまり、この状態では被照射部70には非加熱の空気流42と光束28とが同時に当たる。第1の使用モードと同様に、合図出力部34が稼働することで、所定のタイミングでビープ音34eが発生する。使用者は、ビープ音34eに応じて、使用者が、発光部10を頭部の別位置の被照射部70に置くことで上記と同様の動作を繰り返す。これらの動作を繰り返すことで、使用者は、頭部の所望の範囲に非加熱の空気流42と光束28とを同時に受けることができる。
【0081】
(3)第3の使用形態
第3の使用形態は、送風部40を加温した温風を送風する状態にして、発光部10の発光機能と共に使用する。このモードを第3モードと表記する。まず、スイッチ部52を操作して、ヘアケア装置100を第3モードに切り替える。この状態では、送風部40が送出した加温した空気流42が発光部10の中孔部16を通過して出口部16bから吐き出されている。以下の動作は第2の使用形態と同様であり、この動作を繰り返すことで、頭部の所望の範囲に加温した空気流42と光束28とを同時に受けることができる。
【0082】
(4)第4の使用形態
第4の使用形態は、発光部10は非稼働状態として、送風部40の送風機能のみを使用する。この場合、発光部10は送風部40から取り外した状態で使用してもよいし、取り付けた状態で使用してもよい。以下は、取り付けた状態で使用する例を説明する。このモードを第4モードと表記する。まず、スイッチ部52を操作して、ヘアケア装置100を第4モードに切り替える。この状態では、送風部40が送出した非加熱または加温した空気流42が発光部10の中孔部16を通過して出口部16bから吐き出される。第4の使用形態によると、使用者は、頭部の所望の範囲に非加熱または加温した空気流42を受けることができる。なお、第4の使用形態では合図出力部34は使用してもよいし、使用しなくてもよい。
【0083】
ヘアケア装置100は、発光部10の第1方向P側である前方側の少なくとも一部を頭部に接触した状態で使用してもよい。特に、上記の第1から第3の使用形態において、ヘアケア装置100の一部を頭部に接触した状態で使用することができる。このように使用することによって、外側に漏れる光量を減らすことができる。
【0084】
次に、本発明の実施の形態のヘアケア装置100の特徴を説明する。
ヘアケア装置100では、カバー部材18は、複数の凹部19bが設けられる面と反対側の面に第1方向P側に突出する複数の突出部19を有する。この構成によると、突出部19が頭髪などのなどの体毛の間に分け入り、頭髪などの体毛の密集を緩和することができる。
【0085】
ヘアケア装置100では、中間筒部17は送風部40の第1方向端の外径より小さな内径を有する。この構成によると、空気流42を絞って中心部寄りに集めることで、空気流42を光束28に照らされる被照射部70に効率的に送ることができる。
【0086】
ヘアケア装置100では、中間筒部17には当該中間筒部の内部と外部とを連通する1または複数の開口である通気口86が設けられる。この構成によると、ハウジング30の内部の空気の換気を促し、発光部10の温度上昇を抑えることができる。
【0087】
ヘアケア装置100は、第1方向Pに流れる空気流42を送出するための送風部40と、被照射部70である皮膚または体毛を照らすための光束28を出力する発光部10と、を備えており、発光部10は送風部40の第1方向P側に設けられている。この構成により、ヘアケア装置100では、被照射部70は光束28を受けることができる。
【0088】
ヘアケア装置100では、送風部40は被照射部70に向けて空気流42を送出するように構成されているから、被照射部70は光束28と共に空気流42を受けることができる。
【0089】
ヘアケア装置100では、発光部10には光束28が透過するカバー部材18が交換可能に設けられているから、複数の発光素子20が被照射部70に直接接触する可能性を小さくできる。
【0090】
ヘアケア装置100では、カバー部材18は第1方向P側に突出する複数の突出部19を有しているから、突出部19は頭髪の間に分け入り、頭髪の密集を緩和することができる。また、ヘアケア装置100では、カバー部材18には複数の発光素子20の少なくとも一部を収容する凹部19bが設けられているから、発光素子20の先端部を凹部19bに収容できる。また、ヘアケア装置100では、カバー部材18は紫外線光を減衰させる材料から形成されているから、カバー部材18は光束28の紫外線光を減衰させることができる。
【0091】
ヘアケア装置100では、カバー部材18は、第1方向Pである前後方向で送風部40側に後退している後退領域18aと、後退領域18aより第1方向Pで前方に前進している前進領域18bと、を含んでいるから、カバー部材18は被照射部70の湾曲形状に対応することができる。
【0092】
ヘアケア装置100では、発光部10に、第1方向P側で光束28を囲むフード部材15が設けられているから、フード部材15は光束28を蔽うことができる。
【0093】
ヘアケア装置100では、発光部10は、複数の発光素子20を含んでいるから、発光部10は複数の発光素子20によって発光することができる。
【0094】
ヘアケア装置100では、複数の発光素子20は、第1方向Pである前後方向において、第1方向Pで送風部側に後退している発光素子20aと、後退している発光素子20aより第1方向で前進している発光素子20bと、を含んでいるから、複数の発光素子20は被照射部70の湾曲形状に対応することができる。
【0095】
ヘアケア装置100では、複数の発光素子20の少なくとも一部は、第1方向Pである前後方向に対して傾斜して設けられているから、複数の発光素子20は第1方向Pから傾斜する発光素子を含むことができる。
【0096】
ヘアケア装置100では、複数の発光素子20の少なくとも一部は空気流42が通過する領域に配置されているから、複数の発光素子20は空気流42が通過する領域に配置される発光素子を含むことができる。
【0097】
ヘアケア装置100では、発光部10は、複数の発光素子20のいずれかに電気的に接続される電子部品14の少なくとも一部が空気流42が通過する範囲に配置されているから、発光部10は空気流42が通過する領域に配置される電子部品を含むことができる。
【0098】
ヘアケア装置100では、発光部10が被照射部70から所定の距離以上に離れると、発光部10に供給する電流を遮断または減らすように構成される電流制限部32を備えているから、被照射部70から離れた場合に発光部10の電流を変化させることができる。
【0099】
ヘアケア装置100では、所定のタイミングで使用者が知覚できる合図を出力するように構成される合図出力部34を備えているから、使用者は合図によって所定のタイミングの到来を知覚することができる。
【0100】
ヘアケア装置100では、合図出力部34は、発光部10への電流の供給開始から所定の時間経過したタイミングで、音、振動および光の少なくとも何れかを用いた合図を出力するように構成されているから、使用者は、音、振動および光の少なくとも何れかにより所定の時間が経過したタイミングの到来を知覚することができる。
【0101】
ヘアケア装置100では、発光部10は、送風部40に対して取り付けおよび取り外し可能に設けられており、送風部40は、発光部10に電流を供給するための第1接点部36を有し、発光部10は、送風部40に取り付けられた状態にて第1接点部36に電気的に接続される第2接点部38を有しているから、ヘアケア装置100は発光部10を取り外すことができる。
【0102】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0103】
(変形例1)
ヘアケア装置100では、赤色光を出力するLEDを使用する例について説明したが、これに限られない。例えば、緑色や青色の光を出力するLEDを使用してもよく、異なった色の光を出力するLEDを組み合わせて使用してもよい。
【0104】
(変形例2)
ヘアケア装置100では、発光素子としてLEDまたはLDを使用する例について説明したが、これに限られない。例えば、有機EL素子など他の種類の発光素子を使用してもよい。
【0105】
(変形例3)
ヘアケア装置100では、送風部40が主に手持ち式のヘアドライヤの形態を有する例について説明したが、これに限られない。ヘアケア装置の送風部はスタンドに支持されてもよい。また、ヘアケア装置は、頭部の少なくとも一部を収容する椀型の収容部を有し、送風部と発光部とが当該収容部内に設けられてもよい。
【0106】
(変形例4)
ヘアケア装置100の発光部10では、複数の発光素子20が実質的に回転対称な位置において一重の円環状に配置される例について説明したがこれに限られない。複数の発光素子は多重の環状に配置されてもよい。複数の発光素子は点対称または線対称な位置に配置されてもよい。複数の発光素子は点対称でなく線対称でもない非対称な位置に配置されてもよい。複数の発光素子はアレイ状またはマトリックス状に配置される部分を含んでもよい。
【0107】
(変形例5)
本発明のヘアケア装置には、マイナスイオンを含む空気を送出する手段や、水や美容液などの液体を微粒化したミストを送出する手段などを備えてもよい。
【0108】
説明に使用した図面では、部材の関係を明瞭にするために一部の部材の断面にハッチングを施しているが、当該ハッチングはこれらの部材の素材や材質を制限するものではない。
【課題】皮膚や体毛に対して光と空気流とを出力するヘアケア装置において、目に入る光の影響を抑えつつ皮膚や体毛に届く光量を増やすことが可能なヘアケア装置の技術を提供する。
【解決手段】ヘアケア装置100は、第1方向に流れる空気流42を送出する送風部40と、送風部40の第1方向側に脱着可能に装着され、被照射部70である皮膚または体毛を照らすための光束を出力する複数の発光素子20を含む発光部10と、を備える。送風部40は被照射部70に向けて空気流42を送出するように構成され、複数の発光素子20は、送風部40の第1方向P側において、空気流42の中心部を避けて空気流42を囲む位置に並べて配置される。