特許第6129446号(P6129446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6129446
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】半導体部品製造用フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20170508BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20170508BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   H01L21/78 M
   C09J201/00
   C09J7/02 Z
【請求項の数】22
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-570370(P2016-570370)
(86)(22)【出願日】2016年6月14日
(86)【国際出願番号】JP2016067705
【審査請求日】2016年11月30日
(31)【優先権主張番号】特願2015-130403(P2015-130403)
(32)【優先日】2015年6月29日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220099
【氏名又は名称】三井化学東セロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(72)【発明者】
【氏名】林下 英司
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−082480(JP,A)
【文献】 特開2009−057394(JP,A)
【文献】 特開2013−023684(JP,A)
【文献】 特開2003−338535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
C09J 7/02
C09J 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体部品の製造方法に用いられる半導体部品製造用フィルムであって、
基層と、前記基層の一面側に設けられた粘着材層と、を備え、
前記基層の160℃における弾性率E’(160)と、−40℃における弾性率E’(−40)と、の比R(=E’(160)/E’(−40))がR≧0.01であり、且つ、E’(−40)が10MPa以上1000MPa未満であることを特徴とする半導体部品製造用フィルム。
【請求項2】
前記基層は、熱可塑性ポリエステル系エラストマー及び/又は熱可塑性ポリアミド系エラストマーを含む請求項1に記載の半導体部品製造用フィルム。
【請求項3】
前記基層は、厚さが50μm以上200μm以下である請求項1に記載の半導体部品製造用フィルム。
【請求項4】
前記粘着材層は、厚さが1μm以上40μm以下である請求項1に記載の半導体部品製造用フィルム。
【請求項5】
前記粘着材層は、JIS Z0237に準拠して測定される粘着力が0.1〜10N/25mmである請求項1に記載の半導体部品製造用フィルム。
【請求項6】
前記半導体部品の製造方法は、回路が形成された半導体ウエハの裏面に前記粘着材層を貼着した状態で、前記半導体ウエハを個片化して半導体部品を得る個片化工程と、
前記半導体部品を前記粘着材層から離間するピックアップ工程と、を備えるとともに、
前記ピックアップ工程前に、0℃以下又は100℃以上、の温度域で前記半導体ウエハ又は前記半導体部品の評価を行う評価工程を備える請求項1に記載の半導体部品製造用フィルム。
【請求項7】
回路が形成された半導体ウエハの裏面に、半導体部品製造用フィルムの粘着材層を貼着した状態で、前記半導体ウエハを個片化して半導体部品を得る個片化工程と、
前記半導体部品を前記粘着材層から離間するピックアップ工程と、を備えるとともに、
前記ピックアップ工程前に、0℃以下又は100℃以上、の温度域で前記半導体ウエハ又は前記半導体部品の評価を行う評価工程を備え、
前記半導体部品製造用フィルムは、基層と、前記基層の一面側に設けられた前記粘着材層と、を有し、
前記基層の160℃における弾性率E’(160)と、−40℃における弾性率E’(−40)と、の比R(=E’(160)/E’(−40))がR≧0.01であり、且つ、E’(−40)が10MPa以上1000MPa未満であることを特徴とする半導体部品の製造方法。
【請求項8】
前記基層は、熱可塑性ポリエステル系エラストマー及び/又は熱可塑性ポリアミド系エラストマーを含む請求項7に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項9】
前記基層は、厚さが50μm以上200μm以下である請求項7に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項10】
前記粘着材層は、厚さが1μm以上40μm以下である請求項7に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項11】
前記粘着材層は、JIS Z0237に準拠して測定される粘着力が0.1〜10N/25mmである請求項7に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項12】
電子部品の製造方法に用いられる電子部品製造用フィルムであって、
基層と、前記基層の一面側に設けられた粘着材層と、を備え、
前記基層の160℃における弾性率E’(160)と、−40℃における弾性率E’(−40)と、の比R(=E’(160)/E’(−40))がR≧0.01であり、且つ、E’(−40)が10MPa以上1000MPa未満であることを特徴とする電子部品製造用フィルム。
【請求項13】
前記基層は、熱可塑性ポリエステル系エラストマー及び/又は熱可塑性ポリアミド系エラストマーを含む請求項12に記載の電子部品製造用フィルム。
【請求項14】
前記基層は、厚さが50μm以上200μm以下である請求項12に記載の電子部品製造用フィルム。
【請求項15】
前記粘着材層は、厚さが1μm以上40μm以下である請求項12に記載の電子部品製造用フィルム。
【請求項16】
前記粘着材層は、JIS Z0237に準拠して測定される粘着力が0.1〜10N/25mmである請求項12に記載の電子部品製造用フィルム。
【請求項17】
前記電子部品の製造方法は、
半導体部品がアレイ状に封止されたアレイ状電子部品の裏面に前記粘着材層を貼着した状態で、前記アレイ状電子部品を個片化して電子部品を得る個片化工程と、
前記電子部品を前記粘着材層から離間するピックアップ工程と、を備えるとともに、
前記ピックアップ工程前に、0℃以下又は100℃以上、の温度域で前記アレイ状電子部品又は前記電子部品の評価を行う評価工程を備える請求項12に記載の電子部品製造用フィルム。
【請求項18】
半導体部品がアレイ状に封止されたアレイ状電子部品の裏面に、部品製造用フィルムの粘着材層を貼着した状態で、前記アレイ状電子部品を個片化して電子部品を得る個片化工程と、
前記電子部品を前記粘着材層から離間するピックアップ工程と、を備えるとともに、
前記ピックアップ工程前に、0℃以下又は100℃以上、の温度域で前記アレイ状電子部品又は前記電子部品の評価を行う評価工程を備え、
前記電子部品製造用フィルムは、基層と、前記基層の一面側に設けられた前記粘着材層と、を有し、
前記基層の160℃における弾性率E’(160)と、−40℃における弾性率E’(−40)と、の比R(=E’(160)/E’(−40))がR≧0.01であり、且つ、E’(−40)が10MPa以上1000MPa未満であることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項19】
前記基層は、熱可塑性ポリエステル系エラストマー及び/又は熱可塑性ポリアミド系エラストマーを含む請求項18に記載の電子部品の製造方法。
【請求項20】
前記基層は、厚さが50μm以上200μm以下である請求項18に記載の電子部品の製造方法。
【請求項21】
前記粘着材層は、厚さが1μm以上40μm以下である請求項18に記載の電子部品の製造方法。
【請求項22】
前記粘着材層は、JIS Z0237に準拠して測定される粘着力が0.1〜10N/25mmである請求項18に記載の電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体部品製造用フィルム及び半導体部品の製造方法、並びに、電子部品製造用フィルム及び電子部品の製造方法に関する。更に詳しくは、半導体ウエハから半導体部品を製造する際に、半導体ウエハの裏面に貼着して利用される半導体部品製造用フィルム及び半導体部品の製造方法、並びに、アレイ状電子部品から電子部品を製造する際に、アレイ状電子部品の裏面に貼着して利用される電子部品製造用フィルム及び電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回路形成されたウエハを個片化した後、得られた半導体部品を評価(検査)し、評価合格した半導体部品のみをキャリア上に再配置し、その後、封止剤でアレイ状に封止することにより一括して半導体部品を製造し、高い歩留まり率を実現する方法が利用されている。このタイプの製造方法は、下記特許文献1(図3A図3E、[0028]及び[0029]参照)に開示されている。
また、回路形成されたウエハを個片化する際に利用できる粘着フィルムとして下記特許文献2が開示されている。更に、封止の際に利用できる粘着フィルムとして、下記特許文献3が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−287235号公報
【特許文献2】特開2007−005436号公報
【特許文献3】特開2010−278065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、剥離可能な接着テープの接着部上に、互いに十分な隙間を有するように、初期段階の評価済みの優れたダイ(ウエハを個片化した半導体部品)を配置するという概要が記載されている。しかしながら、具体的に、どのような機材を利用して、これを具現化できるかについては言及がない。上述の方法のうち、「剥離可能な接着テープ」としては、上記特許文献3に開示された粘着フィルムを利用できる。
【0005】
一方、それ以前の工程としては、例えば、(1)半導体ウエハ(個片化前)を専用トレーに置き、ウエハ形態で評価を行った後、評価済みのウエハ裏面(非回路面)に上記特許文献2に開示された粘着フィルムを貼着し、その後、ウエハを個片化(ダイシング)して半導体部品とし、粘着フィルムから半導体部品をピックアップした後、評価合格した半導体部品のみを特許文献3に開示された粘着フィルム上に再配置するという手順で行うことができる。
【0006】
また、例えば、(2)評価前の半導体ウエハ(個片化前)の裏面(非回路面)に上記特許文献2に開示された粘着フィルムを貼着し、その後、半導体ウエハを個片化(ダイシング)して半導体部品とし、粘着フィルムから半導体部品をピックアップした後、半導体部品を専用トレーに再配置して評価を行った後、評価合格した半導体部品のみを特許文献3に開示された粘着フィルム上に再配置するという手順で行うことができる。
いずれにしても、上述の(1)及び(2)の手順では、複数の粘着フィルム間で半導体部品を張り替える作業を行う必要があるという課題がある。
【0007】
更に、上述の検査では、加温や冷却された環境で半導体ウエハや半導体部品が正常に稼働するかを評価する作動評価や、熱ストレスの負荷を行って加速評価が施されることがある。即ち、半導体部品は、1つの半導体ウエハ上に非常に多くが形成された後に個片化して半導体部品とされる。この半導体部品は、その故障率を測定するといわゆるバスタブカーブと称する曲線になり、実稼働させて早期に発生する「初期故障」の割合が比較的高いことが知られている。そのため、初期故障が危惧される半導体部品を後工程へ持ち込まず、より前段の工程において排除することで、最終製品の歩留まり率を向上させるという手法が利用される。
【0008】
そして、上述のように、評価に際しては加熱や冷却を施す場合がある。即ち、低温に維持した状態で電気的評価を行ったり、高温に維持した状態で電気的評価を行ったり、更には、低温と高温との両方の環境下で評価を行うことがある。従って、後工程へ不良品を持ち込まず、後工程における不良率を低下させるという観点からは、より後の工程で評価を行うことが好ましい一方、評価工程を介在させることによって、却って工数が増えて生産性が低下することも危惧される。
このようなバランスから、粘着フィルムの性能に依存することなく、各製品に適した工程順序を自在に選択できるという自由度を与えることができる粘着フィルムが求められている。即ち、評価工程において大きな温度変化に曝されたとしても、個片化(ダイシング)及びピックアップの際には、これらの作業をこなすことができる粘着フィルムが求められている。即ち、評価、個片化、及び、ピックアップの各工程を同一フィルム上で行うことができる粘着フィルムが求められている。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、温度変化を伴った評価工程と、個片化工程と、ピックアップ工程と、を共通して行うことができる半導体部品製造用フィルム及び半導体部品の製造方法、並びに、温度変化を伴った評価工程と、個片化工程と、ピックアップ工程と、を共通して行うことができる電子部品製造用フィルム及び電子部品の製造方法、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明には以下の事項が含まれる。
[1]半導体部品の製造方法に用いられる半導体部品製造用フィルムであって、
基層と、前記基層の一面側に設けられた粘着材層と、を備え、
前記基層の160℃における弾性率E’(160)と、−40℃における弾性率E’(−40)と、の比R(=E’(160)/E’(−40))がR≧0.01であり、且つ、E’(−40)が10MPa以上1000MPa未満であることを要旨とする半導体部品製造用フィルム。
[2]前記基層は、熱可塑性ポリエステル系エラストマー及び/又は熱可塑性ポリアミド系エラストマーを含むことを要旨とする[1]に記載の半導体部品製造用フィルム。
[3]前記基層は、厚さが50μm以上200μm以下であることを要旨とする[1]又は[2]に記載の半導体部品製造用フィルム。
[4]前記粘着材層は、厚さが1μm以上40μm以下であることを要旨とする[1]乃至[3]のうちのいずれかに記載の半導体部品製造用フィルム。
[5]前記粘着材層は、JIS Z0237に準拠して測定される粘着力が0.1〜10N/25mmであることを要旨とする[1]乃至[4]のうちのいずれかに記載の半導体部品製造用フィルム。
[6]前記半導体部品の製造方法は、回路が形成された半導体ウエハの裏面に前記粘着材層を貼着した状態で、前記半導体ウエハを個片化して半導体部品を得る個片化工程と、
前記半導体部品を前記粘着材層から離間するピックアップ工程と、を備えるとともに、
前記ピックアップ工程前に、0℃以下又は100℃以上、の温度域で前記半導体ウエハ又は前記半導体部品の評価を行う評価工程を備えることを要旨とする[1]乃至[5]のうちのいずれかに記載の半導体部品製造用フィルム。
【0011】
[7]回路が形成された半導体ウエハの裏面に、半導体部品製造用フィルムの粘着材層を貼着した状態で、前記半導体ウエハを個片化して半導体部品を得る個片化工程と、
前記半導体部品を前記粘着材層から離間するピックアップ工程と、を備えるとともに、
前記ピックアップ工程前に、0℃以下又は100℃以上、の温度域で前記半導体ウエハ又は前記半導体部品の評価を行う評価工程を備え、
前記半導体部品製造用フィルムは、基層と、前記基層の一面側に設けられた前記粘着材層と、を有し、
前記基層の160℃における弾性率E’(160)と、−40℃における弾性率E’(−40)と、の比R(=E’(160)/E’(−40))がR≧0.01であり、且つ、E’(−40)が10MPa以上1000MPa未満であることを要旨とする半導体部品の製造方法。
[8]前記基層は、熱可塑性ポリエステル系エラストマー及び/又は熱可塑性ポリアミド系エラストマーを含むことを要旨とする[7]に記載の半導体部品の製造方法。
[9]前記基層は、厚さが50μm以上200μm以下であることを要旨とする[7]又は[8]に記載の半導体部品の製造方法。
[10]前記粘着材層は、厚さが1μm以上40μm以下であることを要旨とする[7]乃至[9]のうちのいずれかに記載の半導体部品の製造方法。
[11]前記粘着材層は、JIS Z0237に準拠して測定される粘着力が0.1〜10N/25mmであることを要旨とする[7]乃至[10]のうちのいずれかに記載の半導体部品の製造方法。
【0012】
[12]電子部品の製造方法に用いられる電子部品製造用フィルムであって、
基層と、前記基層の一面側に設けられた粘着材層と、を備え、
前記基層の160℃における弾性率E’(160)と、−40℃における弾性率E’(−40)と、の比R(=E’(160)/E’(−40))がR≧0.01であり、且つ、E’(−40)が10MPa以上1000MPa未満であることを要旨とする電子部品製造用フィルム。
[13]前記基層は、熱可塑性ポリエステル系エラストマー及び/又は熱可塑性ポリアミド系エラストマーを含むことを要旨とする[12]に記載の電子部品製造用フィルム。
[14]前記基層は、厚さが50μm以上200μm以下であることを要旨とする[12]又は[13]に記載の電子部品製造用フィルム。
[15]前記粘着材層は、厚さが1μm以上40μm以下であることを要旨とする[12]乃至[14]のうちのいずれかに記載の電子部品製造用フィルム。
[16]前記粘着材層は、JIS Z0237に準拠して測定される粘着力が0.1〜10N/25mmであることを要旨とする[12]乃至[15]のうちのいずれかに記載の電子部品製造用フィルム。
[17]前記電子部品の製造方法は、
半導体部品がアレイ状に封止されたアレイ状電子部品の裏面に前記粘着材層を貼着した状態で、前記アレイ状電子部品を個片化して電子部品を得る個片化工程と、
前記電子部品を前記粘着材層から離間するピックアップ工程と、を備えるとともに、
前記ピックアップ工程前に、0℃以下又は100℃以上、の温度域で前記アレイ状電子部品又は前記電子部品の評価を行う評価工程を備えることを要旨とする[12]乃至[16]のうちのいずれかに記載の電子部品製造用フィルム。
【0013】
[18]半導体部品がアレイ状に封止されたアレイ状電子部品の裏面に、部品製造用フィルムの粘着材層を貼着した状態で、前記アレイ状電子部品を個片化して電子部品を得る個片化工程と、
前記電子部品を前記粘着材層から離間するピックアップ工程と、を備えるとともに、
前記ピックアップ工程前に、0℃以下又は100℃以上、の温度域で前記アレイ状電子部品又は前記電子部品の評価を行う評価工程を備え、
前記電子部品製造用フィルムは、基層と、前記基層の一面側に設けられた前記粘着材層と、を有し、
前記基層の160℃における弾性率E’(160)と、−40℃における弾性率E’(−40)と、の比R(=E’(160)/E’(−40))がR≧0.01であり、且つ、E’(−40)が10MPa以上1000MPa未満であることを要旨とする電子部品の製造方法。
[19]前記基層は、熱可塑性ポリエステル系エラストマー及び/又は熱可塑性ポリアミド系エラストマーを含むことを要旨とする[18]に記載の電子部品の製造方法。
[20]前記基層は、厚さが50μm以上200μm以下であることを要旨とする[18]又は[19]に記載の電子部品の製造方法。
[21]前記粘着材層は、厚さが1μm以上40μm以下であることを要旨とする[18]乃至[20]のうちのいずれかに記載の電子部品の製造方法。
[22]前記粘着材層は、JIS Z0237に準拠して測定される粘着力が0.1〜10N/25mmであることを要旨とする[18]乃至[21]のうちのいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の半導体部品製造用フィルムによれば、温度変化を伴った評価工程と、個片化工程と、ピックアップ工程と、を共通して行うことができる。そのため、生産性に優れた半導体部品の製造を行うことができる。
本発明の半導体部品の製造方法によれば、温度変化を伴った評価工程と、個片化工程と、ピックアップ工程と、に共通した半導体部品製造用フィルムを利用できるため、生産性に優れる。
本発明の電子部品製造用フィルムによれば、温度変化を伴った評価工程と、個片化工程と、ピックアップ工程と、を共通して行うことができる。そのため、生産性に優れた電子部品の製造を行うことができる。
本発明の電子部品の製造方法によれば、温度変化を伴った評価工程と、個片化工程と、ピックアップ工程と、に共通した電子部品製造用フィルムを利用できるため、生産性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本半導体部品製造用フィルムの一例の断面を説明する説明図である。
図2】本半導体部品の製造方法に係る保護部材形成工程を説明する説明図である。
図3】本半導体部品の製造方法に係る貼着工程を説明する説明図である。
図4】本半導体部品の製造方法の係る評価工程を説明する説明図である。
図5】本半導体部品の製造方法の係る個片化工程を説明する説明図である。
図6】本半導体部品の製造方法の係る評価工程を説明する説明図である。
図7】本半導体部品の製造方法の係る部品離間工程を説明する説明図である。
図8】本半導体部品の製造方法の係るピックアップ工程を説明する説明図である。
図9】本電子部品の製造方法の係る評価工程を説明する説明図である。
図10】本電子部品の製造方法の係る個片化工程を説明する説明図である。
図11】本電子部品の製造方法の係る評価工程を説明する説明図である。
図12】本電子部品の製造方法の係る部品離間工程を説明する説明図である。
図13】本電子部品の製造方法の係るピックアップ工程を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を、図を参照しながら説明する。ここで示す事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要で、ある程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0017】
[1]半導体部品製造用フィルム
本発明の半導体部品製造用フィルム1は、半導体部品の製造方法に用いられるフィルムである。この半導体部品製造用フィルム1は、基層11と粘着材層12とを備える(図1参照)。粘着材層12は、基層11の少なくとも一面側に設けられていればよく、必要に応じて基層11の一面側及び他面側の両方に設けられていてもよい。また、基層11と粘着材層12とは、直接接していてもよく、他の層を介していてもよい。
【0018】
(1)基層
基層11は、160℃における弾性率E’(160)と、−40℃における弾性率E’(−40)と、の比R(=E’(160)/E’(−40))がR≧0.01であり、且つ、E’(−40)が10MPa以上1000MPa未満である。
ここで、「E’(160)」は、基層11の160℃における引張弾性率を表わし、「E’(−40)」は、基層11の−40℃における引張弾性率を表わす。更に、比Rは、E’(−40)に対するE’(160)の割合{E’(160)/E’(−40)}を表わす。
従って、比RがR≧0.01であることは、基層11の160℃における引張弾性率が、基層11の−40℃における引張弾性率の1%以上であることを表わす。このRは、R≧0.01であればよいが、0.01≦R≦0.5が好ましく、0.01≦R≦0.3がより好ましく、0.02≦R≦0.2が特に好ましい。
【0019】
本発明の半導体部品製造用フィルム1では、基層11が、R≧0.01であることによって、半導体部品の製造時に、−40℃以上0℃以下の低温、及び/又は、100℃以上160℃以下の高温、の各温度域で半導体ウエハ又は半導体部品の評価を行う評価工程を行ったとしても、その後の、ピックアップ工程において必要な柔軟性を半導体部品製造用フィルム1が維持できる。従って、温度変化を伴った評価工程と個片化工程とピックアップ工程とで共通して本半導体部品製造用フィルム1を利用でき、各工程毎に専用の粘着フィルムに張り替える必要がなく、半導体部品の生産性に優れている。
加えて、本半導体部品製造用フィルム1を貼着したまま、上述の評価工程と個片化工程とのどちらの工程をも行うことができることから、これらの工程のいずれを先に行うこともでき、専用の粘着フィルムやトレーなどを利用する場合に比べて工程の自由度を高めることができる。
【0020】
また、E’(−40)は、100MPa≦E’(−40)≦1000MPaである。本発明の半導体部品製造用フィルム1では、基層11が、100MPa≦E’(−40)≦1000MPaであることによって、低温環境において半導体部品製造用フィルムの柔軟性を維持することができる。
例えば、部品製造用フィルム1は、後述のように、枠体(リングフレーム等)7を伴った保護部材15として扱われることがある。そして、評価工程(図4のR3、図6のR5、図9のR3、図11のR5参照)では、保護部材15に固定された部品製造用フィルム1の粘着材層12に裏面を貼着された状態で、被評価物(半導体ウエハ20、半導体部品21、アレイ状電子部品50、電子部品51)は評価に供される。この評価に際し、プローブカード80等の測定機器側の各部と枠体7との接触を避けるため、真空チャックテーブル(図示せず)やストッパー91等の治具を枠体7の内側に配し、枠体7を下方へ押し下げ(例えば、0.5〜15mm)、枠体7をプローブカード80等の測定機器から遠ざけることができる。このような場合、枠体7を下方へ移動させると、枠体7に貼られた部品製造用フィルム1は開口部71内で伸張されるため、部品製造用フィルム1はこの動きに追従できる柔軟性が必要となる。しかも、後述するように、評価は、低温でも行われるが、基層11の低温下における引張弾性率E’は、高温下における引張弾性率E’よりも必ず大きくなるため、低温の柔軟性が維持されることが重要となる。このように、評価工程を経ることが要求される部品製造用フィルム1では、低温環境における柔軟性を維持できることが必要となる。しかしながら、高温下における耐熱性を得易い材料は、通常、高温引張弾性率が高い材料であり、このような材料の引張弾性率は、低温では更に高くなるため、上述の状況に耐えることが困難となる。この点、基層11の比RがR≧0.01であり、且つ、E’(−40)が、100MPa≦E’(−40)≦1000MPaである部品製造用フィルム1は上述の要求を充足できる。
このE’(−40)は、100MPa≦E’(−40)≦1000MPaが好ましいが、150MPa≦E’(−40)≦900MPaが好ましく、200MPa≦E’(−40)≦800MPaがより好ましく、250MPa≦E’(−40)≦700MPaが特に好ましい。また、E’(−40)の値は、基層11のMD方向及びTD方向の両方において上述の範囲であることが好ましい。
【0021】
E’(160)は、1MPa≦E’(160)≦100MPaである。本発明の半導体部品製造用フィルム1では、基層11が、1MPa≦E’(160)≦100MPaであることによって、高温環境における半導体部品製造用フィルムの溶融を防ぐとともに、フィルムの形状を保持することができる。
このE’(160)は、0.1MPa≦E’(160)≦10MPaであればよいが、2MPa≦E’(160)≦80MPaが好ましく、3MPa≦E’(160)≦60MPaがより好ましく、4MPa≦E’(160)≦40MPaが特に好ましい。また、E’(160)の値は、基層11のMD方向及びTD方向の両方において上述の範囲であることが好ましい。
【0022】
基層11に関する各弾性率E’は、動的粘弾性測定装置(DMA:Dynamic Mechanical Analysis)により測定される。具体的には、サンプルサイズを幅10mm、チャック間の長さ20mmとし、周波数1Hz、昇温速度5℃/分の測定条件で−50℃から200℃まで測定して得られたデータから各温度のデータを読み取ることで得られる。即ち、−40℃における値を引張弾性率E’(−40)とし、160℃における値を引張弾性率E’(160)とする。
【0023】
また、基層11の厚さは、特に限定されないが、50μm以上200μm以下が好ましく、65μm以上175μm以下がより好ましく、80μm以上150μm以下が特に好ましい。
尚、基層11の延伸の有無は問わない。
【0024】
基層11は、粘着材層12を支持でき、上述の比R及びE’(−40)を有すればよく、その材質は特に限定されない。基層11を構成する材料としては、樹脂が好ましい。
また、樹脂のなかでも、上述の比R及びE’(−40)を達するという観点から、エラストマー性を有した樹脂であることが好ましい。エラストマー性を有する樹脂としては、熱可塑性エラストマー及びシリコーン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのうちでは、熱可塑性を有するものが好ましく、熱可塑性エラストマーが好ましい。
熱可塑性エラストマーを含む場合、その割合は、基層11を構成する樹脂全体に対して、例えば、30質量%以上100質量%以下とすることができる。即ち、基層11を構成する樹脂は熱可塑性エラストマーのみからなってもよい。熱可塑性エラストマーの割合は、更に、50質量%以上100質量%以下が好ましく、70質量%以上100質量%以下がより好ましい。
【0025】
熱可塑性エラストマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントを有したブロック共重合体からなってもよく、ハードポリマーとソフトポリマーとのポリマーアロイからなってもよく、これらの両方の特性を有したものであってもよい。基層11の各弾性率E’の値は、基層11を構成するこれらの成分の調整によりコントロールできる。即ち、樹脂種、複数種の樹脂を含む場合にはそれらの割合、樹脂を構成する重合体の分子構造(ハードセグメント及びソフトセグメントの割合)を調整することによってコントロールできる。
【0026】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(熱可塑ポリエステルエラストマー)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(熱可塑ポリアミドエラストマー)、スチレン系熱可塑性エラストマー(熱可塑スチレンエラストマー)、オレフイン系熱可塑性エラストマー(熱可塑ポリオレフィンエラストマー)、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー(熱可塑塩化ビニルエラストマー)、ポリイミド系熱可塑性エラストマー{熱可塑ポリイミドエラストマー、ポリイミドエステル系熱可塑性エラストマー(熱可塑ポリイミドエステルエラストマー)、ポリイミドウレタン系熱可塑性エラストマー(熱可塑ポリイミドウレタンエラストマー)等}、ポリウレタン系熱可塑エラストマー(熱可塑ポリウレタンエラストマー)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのうちでは、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリイミド系熱可塑性エラストマーが好ましく、更には、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及び/又はポリアミド系熱可塑性エラストマーが特に好ましい。
【0027】
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ポリエステル成分をハードセグメントとする以外、どのような構成であってもよい。ソフトセグメントとしては、ポリエステル、ポリエーテル及びポリエーテルエステル等を利用できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。即ち、例えば、ハードセグメントを構成するポリエステル成分としては、テレフタル酸ジメチル等のモノマーに由来する構成単位を含むことができる。一方、ソフトセグメントを構成する成分としては、1,4−ブタンジオール及びポリ(オキシテトラメチレン)グリコール等のモノマーに由来する構成単位を含むことができる。
より具体的には、PBT−PE−PBT型ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。尚、上記「PBT−PE−PBT」の記載におけるPBTはポリブチレンテレフタレートを、PEはポリエーテルを、各々意味する。
【0028】
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとして、具体的には、三菱化学株式会社製「プリマロイ(商品名)」、東レ・デュポン社製「ハイトレル(商品名)」、東洋紡績株式会社製「ペルプレン(商品名)」、リケンテクノス株式会社製「ハイパーアロイアクティマー(商品名)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0029】
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ポリアミド成分をハードセグメントとする以外、どのような構成であってもよい。ソフトセグメントとしては、ポリエステル、ポリエーテル及びポリエーテルエステル等を利用できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。即ち、例えば、ハードセグメントを構成するポリアミド成分としては、ポリアミド6、ポリアミド11及びポリアミド12等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのポリアミド成分には、各種のラクタム等をモノマーとして利用できる。一方、ソフトセグメントを構成する成分としては、ジカルボン酸等のモノマーやポリエーテルポリオールに由来する構成単位を含むことができる。このうち、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエーテルジオールが好ましく、例えば、ポリ(テトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
より具体的には、ポリエーテルアミド型ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステルアミド型ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエーテルエステルアミド型ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0030】
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとして、具体的には、アルケマ株式会社製「ペバックス(商品名)」、ダイセル・エボニック株式会社製「ダイアミド(商品名)」、ダイセル・エボニック株式会社製「ベスタミド(商品名)」、宇部興産株式会社製「UBESTA XPA(商品名)」等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0031】
また、基層11が、熱可塑性エラストマー以外の樹脂を含む場合、このような樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、ポリエステル及び/又はポリアミドが好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン12等のポリアミドが挙げられる。また、熱可塑性エラストマー以外の樹脂を含む(例えば、1質量%以上)場合、熱可塑性エラストマーと、それ以外の他の樹脂との合計を100質量%とすると、他の樹脂の割合は、50質量%未満が好ましく、30質量%未満がより好ましい。
【0032】
更に、基層11は、これを構成する樹脂中に、可塑剤及び軟化剤(鉱油等)、充填剤(炭酸塩、硫酸塩、チタン酸塩、珪酸塩、酸化物(酸化チタン、酸化マグネシウム)、シリカ、タルク、マイカ、クレー、繊維フィラー等)、酸化防止剤、光安定化剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤等の各種添加剤を含むことができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0033】
(2)粘着材層
粘着材層12は、粘着材によって形成された層であり、基層11の一面にのみ、又は、基層11の両面に備えることができる。この粘着材層12は、基層11と直接接して設けられていてもよく、他層を介して設けられていてもよい。
【0034】
粘着材層12の粘着力は、特に限定されないが、シリコンウエハの表面に貼着して60分間放置した後、シリコンウエハの表面から剥離するときの、JIS Z0237に準拠して測定されるシリコンウエハに対する粘着力が(温度23℃、相対湿度50%の環境下にて測定)0.1〜10N/25mmであることが好ましい。粘着力が上記範囲である場合には、半導体部品との良好な接着性を確保しつつ、封止後の電子部品を剥離する際の糊残りを抑制できる。この粘着力は、更に、0.2N/25mm以上9N/25mm以下がより好ましく、0.3N/25mm以上8N/25mm以下が更に好ましい。
また、粘着材層12の厚さ(基層11の一面側の厚さ)は特に限定されないが、1μm以上40μm以下が好ましく、2μm以上35μm以下がより好ましく、3μm以上25μm以下が特に好ましい。
【0035】
粘着材は、上述の特性を有すればよく、どのような材料を用いてもよい。通常、少なくとも粘着主剤を含む。粘着主剤としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、アクリル系粘着剤が好ましい。
【0036】
アクリル系粘着剤としては、アクリル酸エステル化合物の単独重合体、アクリル酸エステル化合物とコモノマーとの共重合体等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、アクリル酸エステル化合物としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、コモノマーとしては、酢酸ビニル、アクリルニトリル、アクリルアマイド、スチレン、メチル(メタ)クリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0037】
更に、粘着材は、粘着主剤以外に、架橋剤を含むことができる。架橋剤としては、エポキシ系架橋剤(ペンタエリストールポリグリシジルエーテルなど)、イソシアネート系架橋剤(ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリイソシアネートなど)が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。粘着材に架橋剤が含まれる場合、架橋剤の含有量は、粘着材全体を100質量部として10質量部以下とすることが好ましい。また、粘着材層の粘着力は、架橋剤の含有量によって調整できる。具体的には、特開2004−115591号公報に記載の方法を利用できる。
【0038】
また、粘着剤は、エネルギー線によって硬化されるエネルギー硬化型粘着材であってもよいし、エネルギー線によって硬化されないエネルギー非硬化型粘着材であってもよいし、更には、エネルギー線によって発泡されるエネルギー発泡型粘着材であってもよい。
このうち、エネルギー硬化型粘着材である場合、粘着材に対しエネルギー線照射を行うことで、粘着材を硬化させ、その粘着力を低下させることができる。このため、得られた電子部品と半導体部品製造用フィルムとを離間させる際に、電子部品に対する糊残りをより確実に防止できる。
エネルギー硬化型粘着材は、どのようなエネルギー線によって硬化されるものであってもよい、エネルギー線としては、紫外線、電子線、赤外線等が挙げられる。これらのエネルギー線は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。具体的には、紫外線によって硬化される紫外線硬化型粘着剤が挙げられる。
【0039】
エネルギー硬化型粘着材である場合、粘着材は、上述の粘着主剤以外に、分子内に炭素−炭素二重結合を有する化合物(以下、単に「硬化性化合物」という)と、エネルギー線に反応して硬化性化合物の重合を開始させることができる光重合開始剤を含むことができる。この硬化性化合物は、分子中に炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合により硬化可能なモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーが好ましい。具体的には、硬化性化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。粘着材に硬化性化合物が含まれる場合、硬化性化合物の含有量は、粘着材100質量部に対して0.1〜20重量部が好ましい。
【0040】
尚、分子内の炭素−炭素二重結合は、上述の粘着主剤が分子内に有することによって含まれてもよい。即ち、例えば、粘着主剤は、側鎖に炭素−炭素二重結合を有するエネルギー硬化型ポリマー等とすることができる。このように、粘着主剤が分子内に硬化性構造を有する場合には、上述の硬化性化合物は配合してもよく、配合しなくてもよい。
【0041】
一方、光重合開始剤としては、エネルギー線の照射によりラジカルを生成できる化合物が好ましい。具体的には、アセトフェノン系光重合開始剤{メトキシアセトフェノンなど}、α−ケトール化合物{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなど}、ケタール系化合物{ベンジルジメチルケタールなど}、ベンゾイン系光重合開始剤{ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル類(ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル)など}、ベンゾフェノン系光重合開始剤{ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸など}、芳香族ケタール類{ベンジルジメチルケタールなど}等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。粘着材に光重合開始剤が含まれる場合、光重合開始剤の含有量は、粘着材100質量部に対して5〜15質量部とすることが好ましい。
【0042】
(3)その他の層
本発明の半導体部品製造用フィルム1は、基層11及び粘着材層12のみからなってもよいが、他層を備えることができる。他層としては、貼り付け面の凹凸形状を吸収してフィルム面を平滑にできる凹凸吸収層、粘着材との界面強度を向上する界面強度向上層、基材から粘着面への低分子量成分の移行を抑制する移行防止層等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0043】
(4)半導体部品製造用フィルムの製造
本発明の半導体部品製造用フィルムは、どのような方法で製造してもよく、その方法は特に限定されない。具体的には、共押出し法、押出ラミネート法、接着ラミネート法、塗布法等の方法により製造できる。このうち、共押出し法は、基層11となる溶融樹脂と粘着材層12となる溶融樹脂とを共押出しによって積層して半導体部品製造用フィルムを製造する方法である。
また、押出ラミネート法は、基層11上に、粘着材層12となる溶融樹脂を押出しによって積層して半導体部品製造用フィルムを製造する方法である。
更に、塗布法は、基層11上に、粘着材層12となる溶融樹脂を塗布又は塗工によって積層して半導体部品製造用フィルムを製造する方法である。粘着材層12を構成する粘着材として、エネルギー硬化型粘着材を用いる場合は、この塗布法を用いることが好ましい。
また、接着ラミネート法は、基層11と粘着材層12とを、熱圧着、接着剤、ホットメルト等を介して積層して半導体部品製造用フィルムを製造する方法である。
これらの方法は、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0044】
[2]半導体部品の製造方法
本発明の半導体部品製造用フィルム1は、半導体部品の製造方法に用いられる。この半導体部品の製造方法は、個片化工程R4(図5参照)及びピックアップ工程R7(図8参照)を含むとともに、評価工程R3(図4参照)及び/又は評価工程R5(図6参照)を、ピックアップ工程R7前に備えるものである。
【0045】
このうち、個片化工程R4(図5参照)の前工程には、通常、貼着工程R2(図3参照)が設けられる。貼着工程R2(図3参照)は、回路が形成された半導体ウエハの裏面に半導体部品製造用フィルム1の粘着材層12を貼着する工程である。通常、半導体部品製造用フィルム1は、開口部71を有する枠体7の、開口部71を覆うように枠体7の一面7aに半導体部品製造用フィルム1の粘着材層12を貼着して(保護部材形成工程R1、図2参照)、保護部材15として利用される。そして、貼着工程R2(図3参照)は、保護部材15の枠体7の開口部71に露出された粘着材層12の表面12aに、半導体ウエハ20を貼着する工程であるが、これらの保護部材形成工程R1(図2参照)と貼着工程R2(図3参照)とは、同時に行われる。尚、当然ながら、保護部材形成工程R1(図2参照)と貼着工程R2(図3参照)とは、必要に応じて、別々に行うこともできる。
【0046】
半導体ウエハ20は、本半導体部品製造用フィルム1に対して、好適に貼着できる半導体ウエハであればよく、その種類は限定されないが、例えば、シリコン基板、サファイア基板、ゲルマニウム基板、ゲルマニウム−ヒ素基板、ガリウム−リン基板、ガリウム−ヒ素−アルミニウム基板等が挙げられる。このうち、サファイア基板を用いた半導体ウエハとは、サファイア基板上に半導体層(GaN等)が積層された半導体ウエハが挙げられる。これらの半導体ウエハの表面には、通常、回路が形成されている。この回路としては、配線、キャパシタ、ダイオード及びトランジスタ等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0047】
個片化工程R4(図5参照)は、裏面に半導体部品製造用フィルム1が貼着された半導体ウエハを個片化(ダイシング)して半導体部品21を得る工程である。この個片化工程R4は、公知の方法を用いて適宜行うことができる。尚、個片化は、1つの半導体部品21内に少なくとも1つの半導体回路領域が含まれるように個片化されてもよく、1つの半導体部品21内に2つ以上の半導体回路領域が含まれるように個片化されてもよい、
【0048】
ピックアップ工程R7(図8参照)は、個片化された半導体部品を、半導体部品製造用フィルム1の粘着材層12から離間する工程である。ピックアップ工程R7は、公知の方法を用いて適宜行うことができるが、例えば、図8に例示されるように、半導体部品製造用フィルム1の基層11の側から突上げ部材92によって、ピックアップ対象である半導体部品21’を突き上げ、この突き上げられた半導体部品21’をピックアップ器具93によって吸着等の方法によりピックアップすることができる。
【0049】
評価工程は、ピックアップ工程前に、0℃以下又は100℃以上、の温度域で半導体ウエハ又は半導体部品の評価を行う工程である。即ち、この評価工程には、個片化工程前且つピックアップ工程前に、0℃以下又は100℃以上、の温度域で半導体ウエハの評価を行う評価工程R3(図4参照)と、個片化工程後且つピックアップ工程前に、0℃以下又は100℃以上、の温度域で半導体部品の評価を行う評価工程R5(図6参照)と、が含まれる。評価工程R3及び評価工程R5は、必要に応じていずれか一方のみを行ってもよく、これらの両方を行ってもよい。
【0050】
また、半導体ウエハ20又は半導体部品21の評価とは、具体的には、下記(1)の半導体ウエハ評価、及び、下記(2)の半導体部品評価が含まれる。このうち、(1)半導体ウエハ評価は、半導体ウエハの状態で、半導体ウエハに形成された複数の回路(各々の半導体部品の回路に対応する)の電気特性が、0℃以下又は100℃以上の温度域において、所望の特性であるか否かを、プローバを利用して行う評価である。一方、(2)半導体部品評価は、半導体ウエハを個片化して複数の半導体部品がアレイ状に配列された状態で、これらの半導体部品の電気特性が、0℃以下又は100℃以上の温度域において、所望の特性であるか否かを、プローバを利用して行う評価である。
これらの各評価には、上述の各温度域における動作確認を目的とするものや、上述の各温度域における加速耐久試験を目的とするもの(例えば、バーンインテスト)が含まれる。
【0051】
上述の評価工程のうち、評価工程R3(図4参照)を行う場合、即ち、評価を、個片化工程前且つピックアップ工程前に行う場合(半導体ウエハ20に対して評価を行う場合)には、例えば、複数のプローブ81が形成されたプローブカード8を、半導体ウエハ20の所定の対応する箇所へ接触させて電気的接続を行い、プローブ81と半導体ウエハ20上に形成された回路との間でやり取りされる信号の正否の判定を行う(プローブテスト)ことでなされる(図4参照)。また、この際には、前述のように、保護部材15の枠体7に半導体部品製造用フィルム1を固定し、その粘着材層12に、半導体ウエハ20の裏面を貼着した状態で、半導体ウエハ20を評価に供する場合、プローブカード80等の測定機器側の各部と枠体7との接触を避けるため、真空チャックテーブル(図示せず)やストッパー91等の治具を枠体7の内側に配し、枠体7を下方へ押し下げ(例えば、0.5〜15mm)、枠体7をプローブカード80等の測定機器から遠ざけることができる。
【0052】
一方、上述の評価工程のうち、評価工程R5(図6参照)を行う場合、即ち、評価を、個片化工程後且つピックアップ工程前に行う場合(半導体部品21に対して評価を行う場合)には、例えば、複数のプローブ81が形成されたプローブカード8を、半導体部品21の各々所定の対応する箇所へ接触させて電気的接続を行い、プローブ81と半導体部品21上に形成された回路との間でやり取りされる信号の正否の判定を行う(プローブテスト)ことでなされる(図6参照)。この場合にも同様に、保護部材15の枠体7に半導体部品製造用フィルム1を固定し、その粘着材層12に、半導体部品21の裏面を貼着した状態で、半導体部品21を評価に供する場合、プローブカード80等の測定機器側の各部と枠体7との接触を避けるため、真空チャックテーブル(図示せず)やストッパー91等の治具を枠体7の内側に配し、枠体7を下方へ押し下げ(例えば、0.5〜15mm)、枠体7をプローブカード80等の測定機器から遠ざけることができる。
【0053】
これらの評価は、0℃以下及び/又は100℃以上、の温度域で行うものであれば、特に限定されず、上述のように、プローブを接触させて行う電気的な評価(プローブテスト)で以外にも、非接触の光学式の評価を含んでもよい。
また、評価温度域は、低温側では、0℃以下であればよく、また、高温側では、100℃以上であればよい。特に、本半導体部品製造用フィルム1は、低温側では−80℃以上0℃以下(更に−60℃以上−10℃以下、特に−40℃以上−10℃以下)で評価工程を行ったとしても、半導体部品製造用フィルム1が評価工程において必要な柔軟性を維持できる。更には、ピックアップ工程R7(図8参照)にも支障をきたさない。即ち、ピックアップ工程R7(図8参照)において突上げ部材92で突き上げた際にも半導体部品製造用フィルム1が柔軟性を維持しており、半導体部品製造用フィルム1を破断させることなく、突き上げることができる。特に、ピックアップ工程R7(図8参照)前に、部品離間工程R6(図7参照)を備える場合には、半導体部品製造用フィルム1が更に破断し易い状況となるが、前述の半導体部品製造用フィルム1を利用することにより、破断を防止して、スムーズにピックアップを行うことができる。
【0054】
更に、高温側では100℃以上170℃以下(更に110℃以上170℃以下、特に120℃以上160℃以下)で評価工程を行ったとしても、半導体部品製造用フィルム1が評価工程において必要な柔軟性を維持できる。更には、ピックアップ工程R7(図8参照)に支障をきたさない。即ち、ピックアップ工程R7(図8参照)において突上げ部材92で突き上げた際にも半導体部品製造用フィルム1が柔軟性を維持しており、半導体部品製造用フィルム1を破断させることなく、突き上げることができる。特に、ピックアップ工程R7(図8参照)前に、部品離間工程R6(図7参照)を備える場合には、半導体部品製造用フィルム1が更に破断し易い状況となるが、前述の半導体部品製造用フィルム1を利用することにより、破断を防止して、スムーズにピックアップを行うことができる。
【0055】
更に、これらの評価は、低温側及び高温側のいずれか一方のみで評価を行ってもよいが、本半導体部品製造用フィルム1では、これらの両方を行ったとしても、ピックアップ工程R7(図8参照)に支障をきたさないものとすることができる。
【0056】
上述の製造方法では、貼着工程R2(図3参照)、評価工程R3(図4参照)、個片化工程R4(図5参照)、評価工程R5(図6参照)、ピックアップ工程R7(図8参照)以外にも他の工程を備えることができる。
他の工程としては、保護部材形成工程R1(図2参照)及び部品離間工程R6(図7)が挙げられる。
【0057】
このうち、保護部材形成工程R1(図2参照)は、開口部71を有する枠体7の、開口部71を覆うように枠体7の一面7aに半導体部品製造用フィルム1の粘着材層12を貼着する工程である。
枠体7としては、例えば、リングフレームを用いることができる。枠体7の概形は限定されず、適宜必要に応じた形状にできる。例えば、円形又は四角形等を採用できる。同様に、開口部71の概形も限定されず、適宜必要に応じた形状にでき、例えば、円形又は四角形等を採用できる。枠体7を構成する材質も限定されず、例えば、樹脂及び/又は金属等を用いることができる。
また、枠体7の開口部71を覆うように、枠体7の一面7aに、半導体部品製造用フィルム1の粘着材層12を貼着する際には、必要に応じて加熱を行うことができる。
また、部品離間工程R6(図7参照)は、半導体部品製造用フィルム1を伸張することによって、個片化された半導体部品21同士を半導体部品製造用フィルム1上において離間させる工程である。半導体部品製造用フィルム1を伸張させる際には、ストッパー91を枠体7の内側に当接させて行うことができる。
【0058】
[3]電子部品製造用フィルム
本発明の電子部品製造用フィルム1は、電子部品の製造方法に用いられるフィルムである。この電子部品製造用フィルム1が、基層11と粘着材層12とを備えることは、半導体部品製造用フィルム1と同様である(図1参照)。また、粘着材層12は、基層11の少なくとも一面側に設けられていればよく、必要に応じて基層11の一面側及び他面側の両方に設けられていてもよく、基層11と粘着材層12とは、直接接していてもよく、他の層を介していてもよいことも、半導体部品製造用フィルム1と同様である。
【0059】
(1)基層
電子部品製造用フィルム1における基層11に関しては、前述の半導体部品製造用フィルム1における基層11の説明をそのまま適用できる。ここで、半導体部品製造用フィルム1の基層11に関する説明では、「半導体部品製造用フィルム」の語を「電子部品製造用フィルム1における基層」に読み換え、「半導体ウエハ」の語を「アレイ状電子部品」に読み換え、「半導体部品」の語を「電子部品」に読み換える。
【0060】
(2)粘着材層
電子部品製造用フィルム1における粘着材層12に関しては、前述の半導体部品製造用フィルム1における粘着材層12の説明をそのまま適用できる。ここで、半導体部品製造用フィルム1の粘着材層12に関する説明では、「半導体部品製造用フィルム」の語を「電子部品製造用フィルム1における基層」に読み換え、「半導体ウエハ」の語を「アレイ状電子部品」に読み換え、「半導体部品」の語を「電子部品」に読み換える。
【0061】
(3)その他の層
電子部品製造用フィルム1におけるその他の層に関しては、前述の半導体部品製造用フィルム1におけるその他の層の説明をそのまま適用できる。ここで、半導体部品製造用フィルム1のその他の層に関する説明では、「半導体部品製造用フィルム」の語を「電子部品製造用フィルム1における基層」に読み換え、「半導体ウエハ」の語を「アレイ状電子部品」に読み換え、「半導体部品」の語を「電子部品」に読み換える。
【0062】
(4)電子部品製造用フィルムの製造
電子部品製造用フィルム1における電子部品製造用フィルムの製造に関しては、前述の半導体部品製造用フィルム1における半導体部品製造用フィルムの製造の説明をそのまま適用できる。ここで、半導体部品製造用フィルム1の製造に関する説明では、「半導体部品製造用フィルム」の語を「電子部品製造用フィルム1における基層」に読み換え、「半導体ウエハ」の語を「アレイ状電子部品」に読み換え、「半導体部品」の語を「電子部品」に読み換える。
【0063】
[4]電子部品の製造方法
本発明の電子部品製造用フィルム1は、電子部品の製造方法に用いられる。この電子部品の製造方法は、個片化工程R4(図10参照)及びピックアップ工程R7(図13参照)を含むとともに、評価工程R3(図9参照)及び/又は評価工程R5(図11参照)を、ピックアップ工程R7前に備えるものである。
【0064】
個片化工程R4(図10参照)は、裏面に電子部品製造用フィルム1が貼着されたアレイ状電子部品50を個片化(ダイシング)して電子部品51を得る工程である。
この個片化工程R4は、公知の方法を用いて適宜行うことができる。尚、個片化は、1つの電子部品51内に少なくとも1つの半導体部品が含まれるように個片化されてもよく、1つの電子部品51内に2つ以上の半導体部品が含まれるように個片化されてもよい。
また、個片化工程R4(図10参照)では、前述の半導体部品製造用フィルム1における場合と同様に、本電子部品製造用フィルム1においても、枠体7を利用して、保護部材15として利用することができる。
【0065】
アレイ状電子部品50は、半導体部品がアレイ状に封止されたものである。具体的には、下記の電子部品(1)−(3)を含む。
アレイ状電子部品(1)は、回路形成された半導体ウエハを個片化して得られた半導体部品(チップ、ダイ)を、リードフレーム上に配列し、ワイヤーボンディングした後、封止剤で封止して得られたアレイ状電子部品である。
アレイ状電子部品(2)は、回路形成された半導体ウエハを個片化して得られた半導体部品(チップ、ダイ)を、離間配列し、封止剤で封止した後、再配線層及びバンプ電極等の外部との導通を得る外部回路を一括して形成したアレイ状電子部品である。即ち、ファンアウト方式(eWLB方式)において得られるアレイ状電子部品である。
アレイ状電子部品(3)は、半導体ウエハをウエハ状態のまま半導体部品として利用し、再配線層及びバンプ電極等の外部との導通を得る外部回路や、封止剤で封止した封止層を一括して形成したアレイ状電子部品である。このアレイ状電子部品(3)における半導体ウエハは、個片化前状態であって、半導体部品(チップ、ダイ)がアレイ状に形成された形態や、半導体ウエハを基体として利用する(非回路シリコン基板上に回路を有するチップを接合して利用する形態)等を含むものである。即ち、アレイ状電子部品(3)は、ウエハレベルチップサイズパッケージ(WLCSP)方式において得られるアレイ状電子部品である。
尚、アレイ状電子部品(2)では、これを形成する際にも本発明の電子部品製造用フィルムを利用できる。具体的には、電子部品製造用フィルム1上に半導体部品を離間配列し、封止剤で封止した後、再配線層及びバンプ電極等の外部との導通を得る外部回路を一括して形成してアレイ状電子部品を得ることができる。
【0066】
ピックアップ工程R7(図13参照)は、個片化された電子部品51を、電子部品製造用フィルム1の粘着材層12から離間する工程である。ピックアップ工程R7は、公知の方法を用いて適宜行うことができるが、例えば、図13に例示されるように、電子部品製造用フィルム1の基層11の側から突上げ部材92によって、ピックアップ対象である電子部品51’を突き上げ、この突き上げられた電子部品51’をピックアップ器具93によって吸着等の方法によりピックアップすることができる。
【0067】
評価工程は、ピックアップ工程前に、0℃以下又は100℃以上、の温度域で、アレイ状電子部品又は電子部品の評価を行う工程である。即ち、この評価工程には、個片化工程前且つピックアップ工程前に、0℃以下又は100℃以上、の温度域でアレイ状電子部品の評価を行う評価工程R3(図9参照)と、個片化工程後且つピックアップ工程前に、0℃以下又は100℃以上、の温度域で電子部品の評価を行う評価工程R5(図11参照)と、が含まれる。評価工程R3及び評価工程R5は、必要に応じていずれか一方のみを行ってもよく、これらの両方を行ってもよい。
【0068】
また、アレイ状電子部品50又は電子部品51の評価とは、具体的には、下記(1)のアレイ状電子部品評価、及び、下記(2)の電子部品評価が含まれる。このうち、(1)アレイ状電子部品評価は、アレイ状電子部品をアレイ状のままで、アレイ状電子部品に含まれる各内部回路、及び、これら内部回路に対応して形成された外部回路(各々の内部回路を外部へ導出するための回路)の電気特性が、0℃以下又は100℃以上の温度域において、所望の特性であるか否かを、プローバを利用して評価するものである。一方、(2)電子部品評価は、アレイ状電子部品を個片化して複数の電子部品がアレイ状に配列された状態で、これらの個々の電子部品の電気特性が、0℃以下又は100℃以上の温度域において、所望の特性であるか否かを、プローバを利用して評価するものである。
これらの各評価には、上述の各温度域における動作確認を目的とするものや、上述の各温度域における加速耐久試験を目的とするもの(例えば、バーンインテスト)が含まれる。
【0069】
上述の評価工程のうち、評価工程R3(図9参照)を行う場合、即ち、評価を、個片化工程前且つピックアップ工程前に行う場合(アレイ状電子部品50に対して評価を行う場合)には、例えば、複数のプローブ81が形成されたプローブカード8を、アレイ状電子部品50上に形成された外部回路(バンプ電極等)へ接触させて電気的接続を行い、プローブ81とアレイ状電子部品50に形成された外部回路との間でやり取りされる信号の正否の判定を行う(プローブテスト)ことでなされる(図9参照)。また、この際には、前述のように、保護部材15の枠体7に電子部品製造用フィルム1を固定し、その粘着材層12に、アレイ状電子部品50の裏面を貼着した状態で、アレイ状電子部品50を評価に供する場合、プローブカード80等の測定機器側の各部と枠体7との接触を避けるため、真空チャックテーブル(図示せず)やストッパー91等の治具を枠体7の内側に配し、枠体7を下方へ押し下げ(例えば、0.5〜15mm)、枠体7をプローブカード80等の測定機器から遠ざけることができる。
【0070】
一方、上述の評価工程のうち、評価工程R5(図11参照)を行う場合、即ち、評価を、個片化工程後且つピックアップ工程前に行う場合(電子部品51に対して評価を行う場合)には、例えば、複数のプローブ81が形成されたプローブカード8を、電子部品51の各々所定の対応する箇所(例えば、バンプ電極等の外部回路)へ接触させて電気的接続を行い、プローブ81と電子部品51に形成された外部回路との間でやり取りされる信号の正否の判定を行う(プローブテスト)ことでなされる(図11参照)。この場合にも同様に、保護部材15の枠体7に電子部品製造用フィルム1を固定し、その粘着材層12に、電子部品51の裏面を貼着した状態で、電子部品51を評価に供する場合、プローブカード80等の測定機器側の各部と枠体7との接触を避けるため、真空チャックテーブル(図示せず)やストッパー91等の治具を枠体7の内側に配し、枠体7を下方へ押し下げ(例えば、0.5〜15mm)、枠体7をプローブカード80等の測定機器から遠ざけることができる。
【0071】
これらの評価は、0℃以下及び/又は100℃以上、の温度域で行うものであれば、特に限定されず、上述のように、プローブを接触させて行う電気的な評価(プローブテスト)で以外にも、非接触の光学式の評価を含んでもよい。
また、評価温度域は、低温側では、0℃以下であればよく、また、高温側では、100℃以上であればよい。特に、本電子部品製造用フィルム1は、低温側では−80℃以上0℃以下(更に−60℃以上−10℃以下、特に−40℃以上−10℃以下)で評価工程を行ったとしても、電子部品製造用フィルム1が評価工程において必要な柔軟性を維持できる。更には、ピックアップ工程R7(図13参照)に支障をきたさない。即ち、ピックアップ工程R7(図13参照)において突上げ部材92で突き上げた際にも電子部品製造用フィルム1が柔軟性を維持しており、電子部品製造用フィルム1を破断させることなく、突き上げることができる。特に、ピックアップ工程R7(図13参照)前に、部品離間工程R6(図12参照)を備える場合には、電子部品製造用フィルム1が更に破断し易い状況となるが、前述の電子部品製造用フィルム1を利用することにより、破断を防止して、スムーズにピックアップを行うことができる。
【0072】
更に、高温側では100℃以上170℃以下(更に110℃以上170℃以下、特に120℃以上160℃以下)で評価工程を行ったとしても、電子部品製造用フィルム1が評価工程において必要な柔軟性を維持できる。更には、ピックアップ工程R7(図13参照)に支障をきたさない。即ち、ピックアップ工程R7(図13参照)において突上げ部材92で突き上げた際にも電子部品製造用フィルム1が柔軟性を維持しており、電子部品製造用フィルム1を破断させることなく、突き上げることができる。特に、ピックアップ工程R7(図13参照)前に、部品離間工程R6(図12参照)を備える場合には、電子部品製造用フィルム1が更に破断し易い状況となるが、前述の電子部品製造用フィルム1を利用することにより、破断を防止して、スムーズにピックアップを行うことができる。
【0073】
更に、これらの評価は、低温側及び高温側のいずれか一方のみで評価を行ってもよいが、本電子部品製造用フィルム1では、これらの両方を行ったとしても、ピックアップ工程R7(図13参照)に支障をきたさないものとすることができる。
【0074】
上述の製造方法では、評価工程R3(図9参照)、個片化工程R4(図10参照)、評価工程R5(図11参照)、ピックアップ工程R7(図13参照)以外にも他の工程を備えることができる。
他の工程としては、部品離間工程R6(図12)が挙げられる。部品離間工程R6(図12参照)は、電子部品製造用フィルム1を伸張することによって、個片化された電子部品51同士を電子部品製造用フィルム1上において離間させる工程である。電子部品製造用フィルム1を伸張させる際には、ストッパー91を枠体7の内側に当接させて行うことができる。
【0075】
[5]評価方法
本発明の半導体部品製造用フィルム1を利用することで半導体部品を製造する間に、半導体部品製造用フィルム1を張り替えることなく半導体ウエハの評価を行うことができる。即ち、160℃における弾性率E’(160)と、−40℃における弾性率E’(−40)と、の比R(=E’(160)/E’(−40))がR≧0.01であり、且つ、E’(−40)が10MPa以上1000MPa未満である基層11と、基層11の一面側に設けられた粘着材層12と、を備えた半導体部品製造用フィルム1の粘着材層12を、回路が形成された半導体ウエハ20の裏面に貼着した状態で、0℃以下又は100℃以上、の温度域で半導体ウエハ20の評価を行うことができる(図4参照)。
【0076】
更に、本発明の半導体部品製造用フィルム1を利用することで半導体部品を製造する間に、半導体部品製造用フィルム1を張り替えることなく半導体部品の評価を行うことができる。即ち、160℃における弾性率E’(160)と、−40℃における弾性率E’(−40)と、の比R(=E’(160)/E’(−40))がR≧0.01であり、且つ、E’(−40)が10MPa以上1000MPa未満である基層11と、基層11の一面側に設けられた粘着材層12と、を備えた半導体部品製造用フィルム1の粘着材層12を、回路が形成された半導体ウエハ20が個片化された半導体部品21の裏面に貼着した状態で、0℃以下又は100℃以上、の温度域で半導体部品21の評価を行うことができる(図6参照)。
【0077】
これらの評価方法は、いずれか一方のみを行ってもよく、これら両方を併用してもよい。即ち、半導体ウエハ20に対して所定の評価を行ったうえで、更に、半導体部品21に対して所定の評価を行うことができる。評価の内容については前述の通りである。
【0078】
また、本発明の電子部品製造用フィルム1を利用することで電子部品を製造する間に、電子部品製造用フィルム1を張り替えることなくアレイ状電子部品の評価を行うことができる。即ち、160℃における弾性率E’(160)と、−40℃における弾性率E’(−40)と、の比R(=E’(160)/E’(−40))がR≧0.01であり、且つ、E’(−40)が10MPa以上1000MPa未満である基層11と、基層11の一面側に設けられた粘着材層12と、を備えた電子部品製造用フィルム1の粘着材層12を、アレイ状電子部品50の裏面に貼着した状態で、−40℃以上0℃以下、又は、100℃以上160℃以下、の温度域でアレイ状電子部品50の評価を行うことができる(図9参照)。
【0079】
更に、本発明の電子部品製造用フィルム1を利用することで電子部品を製造する間に、電子部品製造用フィルム1を張り替えることなく電子部品の評価を行うことができる。即ち、160℃における弾性率E’(160)と、−40℃における弾性率E’(−40)と、の比R(=E’(160)/E’(−40))がR≧0.01であり、且つ、E’(−40)が10MPa以上1000MPa未満である基層11と、基層11の一面側に設けられた粘着材層12と、を備えた電子部品製造用フィルム1の粘着材層12を、電子部品51の裏面に貼着した状態で、−40℃以上0℃以下、又は、100℃以上160℃以下、の温度域で電子部品51の評価を行うことができる(図11参照)。
【0080】
これらの評価方法は、いずれか一方のみを行ってもよく、これら両方を併用してもよい。即ち、アレイ状電子部品50に対して所定の評価を行ったうえで、更に、電子部品51に対して所定の評価を行うことができる。評価の内容については前述の通りである。
【実施例】
【0081】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。尚、以下では、半導体部品製造用フィルムと、電子部品製造用フィルムと、を総称して部品製造用フィルムと記載する。
[1]部品製造用フィルムの製造
〈実施例1〉
(1)基層
基層11として、厚さ80μmのポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)フィルム(東レ・デュポン株式会社製、品名「ハイトレル 4777」、融点200℃)を用いた。
この基層11を用い、引張弾性率E’を、動的粘弾性測定装置(DMA:Dynamic Mechanical Analysis)(製品名:RSA−3、TAインスツルメント社製)により測定した。具体的には、サンプルサイズを幅10mm、チャック間の長さ20mmとし、周波数1Hz、昇温速度5℃/分の測定条件で−50℃から200℃まで測定して得られたデータから各温度のデータを読み取った。即ち、−40℃における値を引張弾性率E’(−40)とし、160℃における値を引張弾性率E’(160)とした。その結果、E’(−40)は440MPaであり、E’(160)は12MPaであった。その結果、比R(=E’(160)/E’(−40))は0.03であった。
【0082】
(2)粘着材層
粘着材層12として、厚さ10μmの非硬化型のアクリル系粘着剤を用いた。
【0083】
(3)基層と粘着材層との積層
上記(1)で得られた基層11の一面に、上記(2)の粘着材層12をラミネートして、実施例1の部品製造用フィルム1を得た。
得られた実施例1の部品製造用フィルム1を用い、JIS Z0237に準拠して、以下の方法で粘着力を測定した。即ち、得られた部品製造用フィルムを、幅25mmの試験片とし、その粘着材層12を、4インチのシリコンエウハに約2kgゴムロールで圧力を加えながら貼り付けた。次いで、温度23℃、相対湿度50%の環境下に60分間放置した。その後、試験片を180°方向に、剥離速度300mm/分でシリコンウエハから引き剥がす際の粘着力を測定した。粘着力の測定は2回行い、平均値を「粘着力」(N/25mm)とした。その結果、実施例1の部品製造用フィルムによる粘着力は1.2N/25mmであった。
【0084】
〈実施例2〉
基層11として、厚さが150μmである以外の点では、実施例1と同じポリエステル系熱可塑性エラストマーフィルム(東レ・デュポン株式会社製、品名「ハイトレル 4777」、融点200℃)を用いた。
粘着材層12として、実施例1と同じ、厚さ10μmの非硬化型のアクリル系粘着剤を用いた。
実施例1の場合と同様に、基層11と粘着材層12とを積層して、実施例2の部品製造用フィルム1を得た。得られた実施例2の部品製造用フィルムを用い、実施例1と同様に測定した粘着力は1.2N/25mmであった。
【0085】
〈実施例3〉
基層11として、厚さが150μmである以外の点では、実施例1と同じポリエステル系熱可塑性エラストマーフィルム(東レ・デュポン株式会社製、品名「ハイトレル 4777」、融点200℃)を用いた。
粘着材層12として、自社製の紫外線硬化型のアクリル系粘着剤を厚さ10μmに成形し、粘着材層12とした。
実施例1の場合と同様に、基層11と粘着材層12とを積層して、実施例3の部品製造用フィルム1を得た。得られた実施例3の部品製造用フィルムを用い、実施例1と同様に測定した粘着力は4.5N/25mmであった。
【0086】
〈比較例1〉
基層11として、厚さ80μmの直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(PE)フィルム(株式会社プライムポリマー製、品名「エボリュー SP2040」、融点116℃)を用いた。
この基層11を用い、実施例1と同様に測定して得られた−40℃における値を引張弾性率E’(−40)は520MPaであった。一方、温度160℃では破断により、E’(160)の計測ができなかった。その結果、比R(=E’(160)/E’(−40))は0.01未満となった。
粘着材層12として、実施例1と同じ、厚さ10μmの非硬化型のアクリル系粘着剤を用いた。
実施例1の場合と同様に、基層11と粘着材層12とを積層して、比較例1の部品製造用フィルム1を得た。得られた比較例1の部品製造用フィルムを用い、実施例1と同様に測定した粘着力は1.2N/25mmであった。
【0087】
〈比較例2〉
基層11として、厚さ80μmのランダムポリプロピレン(PP)フィルム(株式会社プライムポリマー製、品名「F327」、融点138℃)を用いた。
この基層11を用い、実施例1と同様に測定して得られた−40℃における値を引張弾性率E’(−40)は1500MPaであった。一方、温度160℃では破断により、E’(160)の計測ができなかった。その結果、比R(=E’(160)/E’(−40))は0.01未満となった。
粘着材層12として、実施例1と同じ、厚さ10μmの非硬化型のアクリル系粘着剤を用いた。
実施例1の場合と同様に、基層11と粘着材層12とを積層して、比較例2の部品製造用フィルム1を得た。得られた比較例2の部品製造用フィルムを用い、実施例1と同様に測定した粘着力は1.2N/25mmであった。
【0088】
〈比較例3〉
基層11として、厚さ80μmのポリ塩化ビニル(PVC)フィルム(アキレス株式会社製、品名「セイデンフィルム」、融点95℃)を用いた。
この基層11を用い、実施例1と同様に測定して得られた−40℃における値を引張弾性率E’(−40)は2000MPaであり、E’(160)は0.5MPaであった。その結果、比R(=E’(160)/E’(−40))は2.5×10−4であり、0.01未満となった。
粘着材層12として、実施例1と同じ、厚さ10μmの非硬化型のアクリル系粘着剤を用いた。
実施例1の場合と同様に、基層11と粘着材層12とを積層して、比較例3の部品製造用フィルム1を得た。得られた比較例3の部品製造用フィルムを用い、実施例1と同様に測定した粘着力は1.2N/25mmであった。
【0089】
【表1】
【0090】
[2]部品製造用フィルムを用いた試験
実施例1−4及び比較例1−3を用いて、以下の2種の試験を行った。
(1)試験1(耐熱性の評価)
温度160℃に設定した真空吸着式のウエハテーブル(チャックテーブル)に、上記[1]で得られた実施例1−4及び比較例1−3の各部品製造用フィルムの基層11の側を吸着固定し、10分経過後に、真空破壊し、各部品製造用フィルムを、ウエハテーブルから取り外した。この際に、ウエハテーブルからの取り外し易さを以下の基準で評価し、その結果を表1に示した。
「○」・・・問題なく取り外しできた。
「×」・・・ウエハテーブルへの溶着が認められ、取り外しが容易でなかった。
【0091】
(2)試験2(糊残りの評価)
4インチサイズのシリコンウエハの鏡面に、上記[1]で得られた実施例1−4及び比較例1−3の各部品製造用フィルムの粘着材層12の側を貼着して、160度のホットプレート上にウエハ面を設置して10分間維持した後、ホットプレートを冷却した。次いで、高圧水銀灯を用いて積算光量が1080mJ/cmとなるように波長365nmの光を照射した後、各部品製造用フィルムをシリコンウエハから剥離した。この際に、目視によるシリコンウエハへの糊残りを以下の基準で評価し、その結果を表1に示した。
「○」・・・目視によるシリコンウエハへの糊残りが認められなかった。
「×」・・・目視によるシリコンウエハへの糊残りが認められた。
【0092】
[3]実施例の効果
部品製造用フィルム1の基層11における比RがR>0.01であることによって、160℃に加熱したウエハテーブルを利用して半導体部品及び電子部品を製造できることが分かる。即ち、本部品製造用フィルム1を利用することで、温度変化を伴った評価工程と個片化工程とピックアップ工程とで部品製造用フィルムを共通して利用することができ、張替のための工数を軽減して、半導体部品及び電子部品の生産性を向上させることができる。また、実施例1と実施例2との比較から、厚さに関わらず扱い易さ(常温時のフィルムの硬さ、貼付け易さ等)に差は認められず、いずれの実施例においても扱い易い部品製造用フィルムとなった。
【0093】
尚、本発明においては、上記の具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の半導体部品製造用フィルム及び半導体部品の製造方法、並びに、電子部品製造用フィルム及び電子部品の製造方法は、半導体部品製造、電子部品製造の用途において広く用いられる。特に、温度変化を伴った評価工程、個片化工程及びピックアップ工程を備えた半導体部品の製造方法を利用する場合、温度変化を伴った評価工程、個片化工程及びピックアップ工程を備えた電子部品の製造方法を利用する場合に、これらの工程で共通して利用できるため、生産性に優れた部品の製造を行う際に好適に利用される。
【符号の説明】
【0095】
1;半導体部品製造用フィルム、電子部品製造用フィルム、15;保護部材、
11;基層、
12;粘着材層、
12a;粘着材層の表面(開口部71に露出された粘着材層12の表面)、
20;半導体ウエハ、21;半導体部品、
30;封止材、
50;アレイ状電子部品、51;電子部品、
7;枠体、
7a;枠体の一面、
71;枠体の開口部、
8;プローブカード、81;プローブ、
91;ストッパー、92;突上げ部材、93;ピックアップ器具、
R1;保護部材形成工程、
R2;貼着工程、
R3;評価工程(半導体ウエハ評価工程、アレイ状電子部品評価工程)、
R4;個片化工程、
R5;評価工程(半導体部品評価工程、電子部品評価工程)、
R6;部品離間工程、
R7;ピックアップ工程。
【要約】
本発明は、温度変化を伴った評価工程、個片化工程、ピックアップ工程を共通して行うことができる半導体部品製造用フィルム、半導体部品の製造方法、半導体部品及び評価方法を提供するものである。即ち、半導体部品製造用フィルム1は、基層11とその一面側に設けられた粘着材層12と、を備え、基層11の160℃における弾性率E’(160)と−40℃における弾性率E’(−40)との比R(=E’(160)/E’(−40))がR≧0.01であり且つE’(−40)が10MPa以上1000MPa未満である。本方法は、回路が形成された半導体ウエハの裏面に粘着材層12を貼着する工程と、半導体ウエハを個片化して半導体部品を得る工程と、半導体部品を粘着材層12から離間するピックアップ工程と、を備え、ピックアップ工程前に、半導体ウエハ又は半導体部品の評価を行う工程を備える。
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