特許第6129495号(P6129495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6129495
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】原稿読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/10 20060101AFI20170508BHJP
   H04N 1/107 20060101ALI20170508BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20170508BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20170508BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   H04N1/10
   H04N1/00 D
   H04N1/028 B
   H04N1/12 Z
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-186055(P2012-186055)
(22)【出願日】2012年8月27日
(65)【公開番号】特開2014-45300(P2014-45300A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(73)【特許権者】
【識別番号】000231589
【氏名又は名称】ニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100131196
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 武信
(72)【発明者】
【氏名】榎本 真之介
(72)【発明者】
【氏名】西沢 聖児
【審査官】 宮島 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−247295(JP,A)
【文献】 特開平2−44856(JP,A)
【文献】 特開平2−268560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 − 1/207
H04N 1/00
H04N 1/024 − 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿読取装置であって、
原稿を載置する給紙トレイと、原稿を収納する排紙トレイと、前記給紙トレイから排紙トレイに至る原稿搬送経路と、を有する原稿搬送ユニットと、該原稿搬送ユニットにて搬送される原稿を読み取る第1の読取キャリッジを有する原稿読取ユニットと、を備え、
前記原稿搬送ユニットが前記原稿読取装置に対して開閉自在に構成されており
前記原稿搬送ユニットに設けられ、原稿の前記第1の読取キャリッジで読み取られる面とは異なる面を読み取る第2の読取キャリッジと、
前記第2の読取キャリッジを支持する支持フレームと、
前記第2の読取キャリッジに設けられ、取付面を有する取付部と、
前記支持フレームに設けられ、前記取付部の前記取付面が当接する支持面を有する支持部と、
前記取付部における前記取付面の背面に重ねて配置された弾性部材と、
前記第2の読取キャリッジの前記取付部と前記弾性部材を前記支持フレームの前記支持部との間で挟んで保持する保持部材と、を有し
前記支持部の前記支持面、又は前記取付部の前記取付面の何れか一方を曲面に形成したことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
前記支持フレームには、前記第2の読取キャリッジを位置決めする位置決めピンが設けられ、該位置決めピンは、前記第2の読取キャリッジの短手方向の端部に形成された挿入孔に挿入して前記第2の読取キャリッジの位置決めを行うことを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記第1の読取キャリッジで原稿を読み取るための第1の読取部と、
該第1の読取部の下流側で、前記第2の読取キャリッジで原稿を読み取るための第2の読取部と、
前記第1の読取部及び第2の読取部の間に配置される第1ローラ対と、
前記第2の読取部の下流側に配置される第2ローラ対と、を備え、
前記第1ローラ対から前記第2の読取部を介して前記第2ローラ対に至る原稿搬送経路を形成する搬送ガイド部材を前記第2の読取キャリッジに設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
前記搬送ガイド部材は、前記第2の読取キャリッジに設けられたコンタクトガラスと、該コンタクトガラスに対向して配置され、該コンタクトガラスに向かって付勢部材で付勢された揺動ガイド部材と、で構成されることを特徴とする請求項3に記載の原稿読取装置。
【請求項5】
原稿読取装置であって、
原稿搬送ユニットにて搬送される原稿を読み取る読取キャリッジを有する原稿読取りユニットを当該原稿搬送ユニット内に備え、前記原稿搬送ユニットが前記原稿読取装置に対して開閉自在に構成されており
前記読取キャリッジを支持する支持フレームと、
前記読取キャリッジに設けられ、取付面を有する取付部と、
前記支持フレームに設けられ、前記取付部の前記取付面が当接する支持面を有する支持部と、
前記取付部における前記取付面の背面に重ねて配置された弾性部材と、
前記読取キャリッジの前記取付部と前記弾性部材を前記支持フレームの前記支持部との間で挟んで保持する保持部材と、を有し
前記支持部の前記支持面、又は前記取付部の前記取付面の何れか一方を曲面に形成したことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項6】
前記弾性部材は、クッション材からなることを特徴とする請求項5に記載の原稿読取装置。
【請求項7】
前記支持フレームに前記読取キャリッジを位置決めするための突起を形成し、前記読取キャリッジには前記支持フレームの前記突起が係合する係合孔を形成したことを特徴とする請求項5に記載の原稿読取装置。
【請求項8】
前記保持部材は固定具であり、
前記支持部には前記固定具が嵌合する嵌合孔が形成され、
前記取付部と前記弾性部材には、前記固定具が貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の原稿読取装置。
【請求項9】
原稿を載置する給紙トレイと、
前記給紙トレイから原稿を給紙するための給紙経路と、を備え、
前記保持部材は、前記給紙経路を形成するガイド部材であることを特徴とする請求項5に記載の原稿読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原稿の両面を読み取る原稿読取装置に関し、詳しくは一方面を読み取られた原稿の他方面を読み取るための読取部を有する原稿搬送装置を備えた原稿読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、両面に画像が形成された両面原稿を読み取る原稿読取装置としては、原稿の表裏を反転する反転機構を有する原稿搬送装置を備え、読取部に原稿を搬送して一方面を読み取った後に反転機構で原稿の表裏を反転させて、再び読取部に原稿を搬送して他方面を読み取るもののほかに、原稿の一方面を読み取る第1の読取部と原稿の他方面を読み取る第2の読取部の、二つの読取部で原稿の両面を読み取るものが知られている。
【0003】
このような二つの読取部を備えて原稿の両面を読み取る原稿読取装置において、第1の読取部を原稿読取装置本体側に設けると共に、第2の読取部を原稿搬送装置に形成されたU字状の原稿搬送経路の内側に設けたものがこれまでに知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−162775号公報
【特許文献2】特開2011−124785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、上記のような原稿読取装置が備える原稿搬送装置は、ブック用のコンタクトガラスに載置した原稿を読み取るために、原稿読取装置本体の上面に対して開閉自在となっている。具体的には、原稿読取装置本体の上面に載置された原稿搬送装置は、リア側に配置されたヒンジを支点として原稿読取装置本体に対して枢支されており、原稿搬送装置のフロント側を手動で上下方向に回動させて開閉することが可能な構成となっている。
【0006】
このように原稿搬送装置は原稿読取装置本体のリア側に対して回動するために、開状態とする度に斜め姿勢になる。そのため開閉の都度、歪みや捩れが生じるのを免れ得ない。このとき、原稿搬送装置内に組み込まれている第2の読取部(読取キャリッジ)にも同様に歪みや捩れが発生するという問題があった。
【0007】
図10は、従来の原稿読取装置における、第2の読取キャリッジの原稿搬送装置への取付態様を示す模式図である。図10(a)に示すように、原稿搬送装置の支持フレーム(側板)151には、第2の読取キャリッジ103を支持するために突出した支持部152が設けられている。一方、第2の読取キャリッジ103には、支持フレーム151の支持部152と当接して支持固定されるための取付部141が形成されている。これら支持部152と取付部141には、図示を省略するがそれぞれネジ孔が形成されており、第2の読取キャリッジ103は、支持フレーム151の支持部152上に取付部141によって載置され、さらにビス154によって支持フレーム151に固定されている。
【0008】
このような原稿搬送装置に歪みや捩れが生じると、支持フレーム151の支持部152の位置が変化する〔図10(b)〕。このとき第2の読取キャリッジ103では、互いに平面である支持部152の支持面と取付部141の取付面とが面接触した上でビス154で固定されているため、支持フレーム151の支持位置の変化hが微小であっても、図10(b)に示すように歪みや捩れが伝わってしまう。読取キャリッジ103に歪みや捩れが加わると、内部に配置された複数のミラー等の光学部品の位置がずれて光軸に狂いが発生し、読取画像に影響が生じるという問題があった。
【0009】
特に近年は、原稿搬送装置の軽量化や薄型化、簡素化の要望によって、装置の剛性強度が低下する傾向にあり、原稿搬送装置を開閉する際の歪みや捩れがより発生しやすい状況にある。
【0010】
本発明は、上記状況に鑑みて、原稿搬送装置内に形成された読取キャリッジに、原稿搬送装置に生じた歪みや捩れが伝わることを防止することが可能な原稿読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明は、原稿を載置する給紙トレイと、原稿を収納する排紙トレイと、前記給紙トレイから排紙トレイに至る原稿搬送経路と、を有する原稿搬送ユニットと、その原稿搬送ユニットにて搬送される原稿を読み取る第1の読取キャリッジを有する原稿読取ユニットと、を備え、前記原稿搬送ユニットが前記原稿読取ユニットに対して開閉自在である原稿読取装置において、前記原稿搬送ユニットに設けられ、原稿の前記第1の読取キャリッジで読み取られる面とは異なる面を読み取る第2の読取キャリッジと、前記第2の読取キャリッジを支持する支持面を有する支持フレームと、前記第2の読取キャリッジを前記支持フレームとの間で挟んで保持する保持部材と、前記第2の読取キャリッジと前記保持部材の間に設けられ、前記支持フレームに前記第2の読取キャリッジを押圧する弾性部材と、を備え、前記支持フレームの支持面、又はその支持面に支持される前記第2の読取キャリッジの被支持面の何れか一方が曲面で形成されることを特徴とする原稿読取装置を提供する。
【0012】
ここで、前記支持フレームには、前記第2の読取キャリッジを位置決めする位置決めピンが設けられ、その位置決めピンは、前記第2の読取キャリッジの短手方向の端部に形成された挿入孔に挿入して前記第2の読取キャリッジの位置決めを行うことを特徴とする。
【0013】
また、前記原稿読取装置は、前記第1の読取キャリッジで原稿を読み取るための第1の読取部と、その第1の読取部の下流側で、前記第2の読取キャリッジで原稿を読み取るための第2の読取部と、前記第1の読取部及び第2の読取部の間に配置される第1ローラ対と、前記第2の読取部の下流側に配置される第2ローラ対と、を備え、前記第1ローラ対から前記第2の読取部を介して前記第2ローラ対に至る原稿搬送経路を形成する搬送ガイド部材を前記第2の読取キャリッジに設けることを特徴とする。
【0014】
そして、前記搬送ガイド部材は、前記第2の読取キャリッジに設けられたコンタクトガラスと、そのコンタクトガラスに対向して配置され、そのコンタクトガラスに向かって付勢部材で付勢された揺動ガイド部材と、で構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の原稿読取装置によれば、原稿搬送装置に歪みや捩れが生じた場合でも、これを原稿搬送装置の読取キャリッジに伝えずに、読取キャリッジを安定して保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る原稿読取装置の全体構成を示す断面図である。
図2図1に示す原稿読取装置の第2の読取キャリッジを示す拡大断面図である。
図3図1に示す第2の読取キャリッジを下方向から見た斜視図である。
図4】本発明の原稿読取装置における第2の読取キャリッジの原稿搬送装置Aへの取付態様の一例を示す模式図である。
図5図1に示す第2の読取キャリッジの取付部を示す断面模式図である。
図6図1に示す第2の読取キャリッジの取付部を示す斜視図である。
図7図1に示す原稿読取装置の給紙カバーユニットと分離ガイドユニットを取り外した状態の上面模式図である。
図8図1に示す原稿読取装置の給紙カバーユニットを外した状態の上面模式図である。
図9】本発明の原稿読取装置における第2の読取キャリッジの原稿搬送装置Aへの取付態様の他の例を示す模式図である。
図10】従来の原稿読取装置における、第2の読取キャリッジの原稿搬送装置への取付態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る原稿読取装置について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る原稿読取装置の全体構成を示す断面図である。
【0018】
図1に示すように原稿読取装置は、原稿読取装置本体(原稿読取ユニット)Hと原稿を搬送する原稿搬送装置(原稿搬送ユニット)Aで構成されており、原稿搬送装置Aは原稿読取装置本体Hに図示しないヒンジを介して取り付けられている。なお、前記ヒンジは原稿読取装置本体Hの上面に対して原稿搬送装置Aを開閉自在に支持する。
【0019】
原稿読取装置本体Hには、原稿搬送装置Aによってコンタクトガラス1a上面を搬送される原稿の片面を読み取る第1の読取部を搭載した第1の読取キャリッジ2が設けられている。また、原稿搬送装置Aには本体Hのコンタクトガラス1a上面を通過した原稿の他面を読み取る第2の読取部を搭載した第2の読取キャリッジ3が設けられている。
【0020】
そして、原稿搬送装置Aは、原稿読取装置本体Hの上面を開放するように本体Hに対して開閉自在に取り付けられており、本体Hのコンタクトガラス1bに載置された原稿を第1の読取キャリッジ2を移動させて読み取るように構成されている。
【0021】
原稿読取装置本体Hに設けられた第1の読取キャリッジ2は、第1の読取部である、光源、複数のミラー、レンズ、光電変換素子(CCD)を含む光電変換手段が一体化されたユニットとなっている。そして、第1のコンタクトガラス1aを介して光源からの光を搬送される原稿に照射し、その反射光をミラーで反射させてレンズを介してCCDを含む光電変換手段により光電変換して原稿画像を読み取る。また、第1の読取キャリッジ2は、副走査方向に移動することによって、原稿搬送装置Aを開閉して第2のコンタクトガラス1b上に載置されたブック物等の厚い原稿画像を読み取る。
【0022】
原稿搬送装置Aには、図1に示すように複数枚の原稿を載置可能な給紙トレイ10と、読み取られた原稿を収納する排紙トレイ11が備えられている。給紙トレイ10は排紙トレイ11の上方に重なるように配置されており、給紙トレイ10の下流側には、給紙トレイ10上に載置された原稿の先端を整合する規制壁72が、給紙トレイ10から後述するU字状の原稿搬送経路12へ繋がるように設けられている。
【0023】
原稿搬送経路12は、給紙トレイ10から排紙トレイ11へ至るU字状の経路であり、図1に示すように給紙トレイ10上の原稿が繰り出される給紙口12aからレジストローラ対16に至る上流側の経路と、レジストローラ対16から第1のコンタクトガラス1aを経て搬送ローラ対(第1ローラ対)18に至る湾曲した中間の経路と、搬送ローラ対18から排紙ローラ対(第2ローラ対)19の位置する排紙口12bに至る下流側の経路から構成されている。原稿搬送経路12は、上下に配置される搬送ガイド部材から形成される。
【0024】
原稿搬送経路12には、給紙トレイ10に載置され規制壁72で先端を整合された原稿に当接してこの原稿を繰り出すための繰出ローラ13と、繰り出された原稿を給送する給紙ローラ14と、給紙ローラ14に圧接して原稿を1枚に分離する分離ローラ15と、この給紙ローラ14及び分離ローラ15により1枚に分離されて給送される原稿の先端を突き当てて整合した後に下流側に送るレジストローラ対16(レジストローラ16A、16B)と、第1のコンタクトガラス1aの上流側に配置された搬送ローラ対17と、第1のコンタクトガラス1aの下流側に配置された搬送ローラ対(第1ローラ対)18と、搬送ローラ対18の下流側に配置されて排紙トレイ11に原稿を排紙する排紙ローラ対(第2ローラ対)19と、が設けられている。
【0025】
なお、繰出ローラ13、給紙ローラ14、レジストローラ16Aは、原稿搬送装置Aの給紙カバー81、及び原稿搬送経路12の上流における外側の搬送ガイド部材の一部と共にユニット化されて給紙カバーユニット80を形成している。また、分離ローラ15と、給紙トレイ10の規制壁72も、原稿搬送経路12の上流における内側の搬送ガイド部材の一部と共にユニット化されて、分離ガイドユニット70を形成している。この給紙カバーユニット80及び分離ガイドユニット70についての詳細は後述する。
【0026】
原稿搬送装置Aには、第1の読取キャリッジ2に搭載される第1の読取部で読み取られる原稿面とは反対側の原稿面を読み取るための第2の読取部が設けられている。第2の読取部は第2の読取キャリッジ3に搭載され、第2の読取キャリッジ3はU字状の原稿搬送経路12の内側の領域に配置されている。そして、第2の読取キャリッジ3には、その排紙方向の端部に第3のコンタクトガラス20が設けられている。第3のコンタクトガラス20は、搬送ローラ対(第1ローラ対)18と排紙ローラ対(第2ローラ対)19との間に配置されて、その一面が原稿搬送経路12の搬送ガイド部材の一部として機能すると共に、第3のコンタクトガラス20面を通過する原稿を第2の読取部で読み取るように構成されている。
【0027】
原稿の両面読みモードの際には、上記構成により給紙トレイ10上の原稿を繰出ローラ13で繰り出し、給紙ローラ14及び分離ローラ15によって1枚に分離する。そして、1枚に分離された原稿をレジストローラ対16で整合した後に搬送ローラ対17にて第1のコンタクトガラス1aに搬送する。その後、第1のコンタクトガラス1aを通過した原稿を搬送ローラ対18にて第3のコンタクトガラス20に搬送し、排紙ローラ19で排紙トレイ11に排紙する。この原稿の搬送過程において、原稿が第1のコンタクトガラス1aを通過するときに第1の読取部によって原稿の表面が読み取られ、原稿が第3のコンタクトガラス20を通過するときに第2の読取部によって原稿の裏面が読み取られる。
【0028】
次に、第2の読取キャリッジ3と、この第2の読取キャリッジ3内の第2の読取部の構成について説明する。図2は、第2の読取キャリッジ3を示す拡大断面図、図3は、第2の読取キャリッジ3を下方向から見た斜視図である。なお、図3(a)及び図3(b)は、後述する第2の読取キャリッジ3の取付部の部分拡大図である。
【0029】
図2に示すように、第2の読取部は、コンタクトガラス20を搬送される原稿に光を照射するためのLED及び導光体22からなる光源と、原稿からの反射光を所定の方向に導く複数のミラー24、25、26、27と、複数のミラー24、25、26、27により導かれた反射光を集束するレンズ28と、レンズ28により集束された光を光電変換するCCD(光電変換素子)29とを備えている。
【0030】
そして、第3のコンタクトガラス20を介して光源から発せられる光を原稿に照射し、その反射光を複数のミラー24、25、26、27で反射させ、レンズ28を介してCCD29により光電変換して原稿画像を読み取る。
【0031】
第2の読取キャリッジ3は、4つのミラー24、25、26、27及びレンズ28、CCD29が設けられた光学ユニット60と、LED及び導光体22からなる光源が設けられた光源ユニット61、第3のコンタクトガラス20が設けられたガラスユニット62とで構成されている。図2に示すように、光学ユニット60、光源ユニット61、ガラスユニット62はこの順に連結し、第2の読取キャリッジ3を形成している。
【0032】
光学ユニット60は、第2の読取キャリッジ3の外装カバーを兼ねる樹脂形成された断面略L字状の第1フレーム30と、原稿搬送方向に対して直交する原稿幅方向に延設して設けられた4つのミラー24、25、26、27とレンズ28及びCCD29が実装されたCCD基板31から構成されている。
【0033】
光源ユニット61は、各ミラー24、25、26、27が取り付けられた第1フレーム30の内部を覆うように第1フレーム30に取り付けられる第2フレーム32と、この第2フレーム32の一面側に原稿幅方向に延設される2つの導光体22と、この導光体22の原稿幅方向の一端側に配置されて導光体22に入射される光を発光するチップ状のLED(図示なし)と、LEDが実装されるLED基板(図示なし)と、LEDの熱を放散するための放熱器33(図3参照)で構成される。また、第2フレーム32に形成された、原稿面で反射した光をミラー24に入射させるためのスリット32aには、キャリッジ内の光学部品を保護するための保護ガラス21が配置されている。
【0034】
ガラスユニット62は、樹脂で形成された第3フレーム34と、この第3フレーム34に形成される読取開口34aに取り付けられた第3のコンタクトガラス20と、で構成されている。
【0035】
第3のコンタクトガラス20は、その一方面が原稿搬送経路12の搬送ガイド部材の一部を構成している。また、第3のコンタクトガラス20の上流側と下流側にも、それぞれ第3フレーム34からなる上流ガイド部38A、下流ガイド部39Aが設けられている。なお、上流ガイド部38Aには、第3のコンタクトガラス20へと搬送される原稿の搬送負荷を軽減するための遊動コロ35aが配置される。
【0036】
なお、図3では図示を省略したがガラスユニット62の下部、すなわち第2の読取キャリッジ3の下方には、第4フレーム35が配置されている。第4フレーム35は、ガラスユニット62の下部に、原稿が通過する間隔を空けた位置に配置され、図2に示すように第3フレーム34の上流ガイド部材38Aに対向する上流ガイド部材38Bと、下流ガイド部材39Aに対向する下流ガイド部材39Bとを備えている。
【0037】
このように、第3のコンタクトガラス20の上流側と下流側に第2の読取キャリッジ3と一体化したガイド部38Aと第4フレームに形成したガイド部38Bとを対向して配置することで、従来、装置側の搬送ガイド部材やコンタクトガラス20の案内面に対して生じていた段差部や偏向部を解消し、原稿をスムーズかつ安定して搬送すると共に、組み立てを容易にすることができる。特に、原稿搬送装置Aにおいて歪みや捩れが発生して第2の読取キャリッジ3に後述するように微小な傾きが生じた場合でも、変わらずに原稿をスムーズかつ安定して搬送することができる。
【0038】
また、第4フレーム35には、第3のコンタクトガラス20と対向する位置に揺動ガイド部材37が設けられており、搬送されてきた原稿を案内する原稿搬送経路12の搬送ガイド部材を第3のコンタクトガラス20と共に構成している。
【0039】
揺動ガイド部材37は、バネ部材等の付勢部材36によって第4フレーム35から第3のコンタクトガラス20に向かって付勢されている。そして、揺動ガイド部材37の原稿幅方向の両端部には図示しない突起が形成されており、この突起が付勢部材36によって第3のコンタクトガラス20に当接している。従って、第3のコンタクトガラス20の搬送面と揺動ガイド部材37の搬送面の間には常に一定の間隔が保たれている。これにより、第2の読取部における原稿の読み取りを確実にすることができる。
【0040】
搬送ローラ対18から排紙ローラ対19に至る原稿搬送経路12の搬送ガイド部材は、上記のように、少なくとも第3のコンタクトガラス20と揺動ガイド部材37からなり、さらにこれらの上流と下流に上流側ガイド部材38、下流側ガイド部材39が設けられる。
【0041】
ところで、第3のコンタクトガラス20は、常に搬送される原稿が接触するために傷やゴミ等が付きやすい。そのため定期的なメンテナンスが必要となるが、第3のコンタクトガラス20を取り外すためには、まず第2の読取キャリッジ3からガラスユニット62を取り外す必要がある。しかし、従来の原稿読取装置では、第2の読取キャリッジ3からガラスユニット62を取り外してしまうと、第2フレーム32の開口部(スリット32a)から、ミラーやレンズ等の光学部品が配置された第2の読取キャリッジ3内部にゴミ等が入り込む危険性がある。そこで第2フレーム32のスリット32aに、保護ガラス21を設けている。これにより光路を妨げることなくキャリッジ内部へのゴミ等の侵入を防ぐことができる。
【0042】
次に、給紙カバーユニット80及び分離ガイドユニット70について説明する。図1に示すように、原稿搬送装置Aは、給紙口12a、原稿搬送経路12、及び第2の読取キャリッジ3等を覆う給紙カバー81を備えている。この給紙カバー81は、繰出ローラ13、給紙ローラ14、レジストローラ16A、及び原稿搬送経路12の上流から中間部にかけての外側の搬送ガイド部材と一体に形成されて、給紙カバーユニット80を構成している。この給紙カバーユニット80は、回動ピン82によって原稿搬送装置Aに開閉可能に枢支されており、上側に回動させることにより上流側の原稿搬送経路12を開放することができる。
【0043】
一方、給紙カバーユニット80の内側には、内部に分離ローラ15を備えた分離ガイドユニット70が設けられている(図1太線部)。分離ガイドユニット70は、原稿搬送装置Aの、第2の読取キャリッジ3の上部に着脱自在に配置されて、上方から装置側板にビスで固定されている。
【0044】
図1に示すように、分離ガイドユニット70の給紙口12a側外面は、給紙トレイ10に載置された原稿の先端を整合する規制壁72として機能する。また、分離ガイドユニット70の上面は、原稿搬送経路12の上流における内側の搬送ガイド部材を構成している。そのため、給紙トレイ10からレジストローラ対16に至るまでの搬送ガイド部材を分離ガイドユニット70と共に取り外すことができ、メンテナンス時等に第2の読取キャリッジ3にアクセスするための開口を広く確保することができる。
【0045】
第2の読取キャリッジ3を取り外す際には、まず回動ピン82を中心に給紙カバーユニット80を回動させて原稿搬送経路12を開放する。次いで、開放された原稿搬送経路12から分離ガイドユニット70を取り外す。そして、分離ガイドユニット70が取り外された開口部から第2の読取キャリッジ3を引き出して取り外すことができる。
【0046】
次に、第2の読取キャリッジ3の原稿搬送装置Aへの取付態様について説明する。図4は、本発明に係る第2の読取キャリッジ3の、原稿搬送装置Aへの取付態様の一例を示す模式図である。
【0047】
まず、図4(a)及び図4(c)に示すように、原稿搬送装置Aによる原稿搬送方向に沿って設けられる一対の支持フレーム(側板)51のそれぞれには、第2の読取キャリッジ3を支持するために突出した支持部52が設けられている。一方、第2の読取キャリッジ3には、支持フレーム51のそれぞれの支持部52と当接して支持固定される取付部41が形成されている。これにより、第2の読取キャリッジ3は、支持部52上に取付部41が載置され、さらに保持部材(ここでは例として、ビス54)で第2の読取キャリッジ3を支持フレーム51の支持部52との間で挟んで保持することによって支持フレーム51に固定されている。
【0048】
図4で示されている支持部52及び取付部41を図5によってさらに詳細に説明すると、支持部52は原稿搬送方向に沿って支持フレーム51の2箇所に設けられており、以下、回動ピン82側の支持部52を支持部52Aで表し、給紙トレイ10側の支持部52を支持部52Bで表す。このとき、支持部52A、52Bは一対の支持フレーム51ごとに設けられる。そして、読取キャリッジ3に設けられる取付部41に関しても、一対の支持フレーム51ごとに設けられる支持部52Aに対応して取付部41Aを備え、支持部52Bに対応して取付部41Bを備えている。
【0049】
図4の説明に戻って、支持部52(支持部52A、52B)の支持面53が平面であるのに対して、第2の読取キャリッジ3の取付部41(取付部41A、41B)に形成される取付面(被支持面)42は、図4(c)のように曲面から構成される。この曲面は、円柱面〔図3(a)参照〕もしくは球面〔図3(b)参照〕から構成する。円柱面に形成した場合、取付面42と支持面53とは線接触し、球面に形成した場合、取付面42と支持面53とは点接触することになる。また、第2の読取キャリッジ3の取付部41と保持部材(ビス54)との間には、クッション材としてスポンジ等の弾性部材55を挟み込む。弾性部材55はその弾性力によって、保持部材(ビス54)と支持部52との間で第2の読取キャリッジ3を押圧している。
【0050】
上記のように構成することで、図4(b)に示すように原稿搬送装置Aに歪みや捩れが生じて支持部52の位置が変化したとしても、この位置変化を取付面42の曲面で第2の読取キャリッジ3を傾けながら支持することによって許容し、第2の読取キャリッジ3に歪みや捩れを伝えることがない。さらに、取付部41と保持部材(ビス54)との間に弾性部材55を配置することで、第2の読取キャリッジ3の傾きによって発生する保持部材(ビス54)との角度ズレを吸収しながら第2の読取キャリッジ3を押圧するため、第2の読取キャリッジ3の安定した固定状態を維持する。そのため、支持部52の位置変化によって第2の読取キャリッジ3が傾いてもガタつき等を発生させず、さらに第2の読取キャリッジ3の歪みや捩れを有効に防止することが可能となる。
【0051】
以下、さらに具体的に第2の読取キャリッジ3の原稿搬送装置Aへの取付態様について説明する。図5は第2の読取キャリッジ3の取付部を示す断面模式図、図6は第2の読取キャリッジ3の取付部を示す斜視図である。
【0052】
図5に示すように、原稿搬送装置Aの一対の支持フレーム51のそれぞれには、第2の読取キャリッジ3の搭載位置に支持部52A、52Bが配置されており、前述したごとく、給紙カバーユニット80を開放した際の回動ピン82側に配置されているのが支持部52Aであり、給紙トレイ10側に配置されているのが支持部52Bである。回動ピン82側の支持部52Aには、第2の読取キャリッジ3の位置決めをする円筒状の位置決めピン56が突設されている。位置決めピン56は、後述する第2の読取キャリッジ3の取付部41Aに形成された挿入孔43に挿通されて、第2の読取キャリッジ3の位置決めを行う。なお、位置決めピン56の中央には、ビス54と螺合するネジ孔56aが形成されている。
【0053】
一方、図3に示すように、第2の読取キャリッジ3には、一対の支持フレーム51のそれぞれの支持部52A、52Bと当接する位置に、取付部41A、41Bが配置されている。第2の読取キャリッジ3の短手方向の一端側に配置される取付部41Aは、支持フレーム51の支持部52Aと当接する。図3(a)に示すように、この取付部41Aの下面には、円柱面からなる取付面42Aが形成されており、支持面53Aと線接触するよう構成されている。また、取付部41Aには、支持部52Aの円筒状の位置決めピン56を挿通するための挿入孔43が形成されている。このように、位置決めピン56と挿入孔43によって、簡単に第2の読取キャリッジ3を支持フレーム51の所定の位置にセットすることができる。
【0054】
また、第2の読取キャリッジ3の短手方向の他端側に配置される取付部41Bは、図5(b)に示すように、支持フレーム51の支持部52Bと当接する。この取付部41Bの下面には、図3(b)に示すように、球面からなる取付面42Bが形成されており、支持面53Bと点接触するよう構成されている。
【0055】
そこで、図5(a)に示すように、取付部41Aでは、位置決めピン56を挿入孔43に挿通させて、取付部41A上に弾性部材55A、さらにその上に押さえ部材57を載置した後、保持部材であるビス54で全体を固定する。
【0056】
また、図5(b)に示すように、取付部41Bでは、支持部52B上に取付部41Bを載せ、その上に弾性部材55Bを配置した後、前述した分離ガイドユニット70を載置する。分離ガイドユニット70の端部には、取付部41Bを上から押圧して第2の読取キャリッジ3を保持する保持部71が形成されている。即ち分離ガイドユニット70を取り付けることで、保持部71が取付部41Bを支持部52Bとの間で挟んで保持する。
【0057】
図7は給紙カバーユニット80と分離ガイドユニット70を取り外した状態を上から見た図、図8は給紙カバーユニット80を外した状態(図7に分離ガイドユニット70を取り付けた状態)を上から見た図である。図7に示すように、分離ガイドユニット70を取り付けるためのネジ孔73が、第2の読取キャリッジ3の取付部41とは異なる位置に配置されており、図8に示すように分離ガイドユニット70は装置フレームにビス74によって固定されている。このように、第2の読取キャリッジ3とは別にビス止めされる分離ガイドユニット70の保持部71で第2の読取キャリッジ3を挟んで保持することによって、第2の読取キャリッジ3を確実に固定し、第2の読取キャリッジ3の取り付け及び取り外しの手間を簡略化することができる。
【0058】
このように、第2の読取キャリッジ3の短手方向の一方端が線接触、他方端が点接触で支持フレーム51の支持部52に当接することにより、原稿搬送装置Aに歪みや捩れが生じても、これが第2の読取キャリッジ3に伝わることを防止することができる。
【0059】
なお上記では、支持フレーム51の支持面53を平面に形成するのに対して、第2の読取キャリッジ3の取付面42を曲面に形成する例を示したが、逆に、支持フレーム51の支持面を曲面に、第2の読取キャリッジ3の取付面を平面に形成するようにしても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0060】
図9は、支持フレーム51の支持面を曲面に形成した場合の、本発明に係る第2の読取キャリッジ3の原稿搬送装置Aへの取付態様の一例を示す模式図である。なお、図4に示す実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0061】
図9に示すように、原稿搬送装置Aの支持フレーム51には、第2の読取キャリッジ3を支持するために突出した支持部52Cが、第2の読取キャリッジ3には、支持フレーム51の支持部52Cと当接して支持固定されるための取付部41Cが、それぞれ形成されている。そして、第2の読取キャリッジ3は、支持部52C上に取付部41Cが載置され、さらに第2の読取キャリッジ3を支持フレーム51の支持部52Cとの間で挟んで保持する保持部材(ここでは例として、ビス54)によって支持フレーム51に固定されている。
【0062】
ここで、第2の読取キャリッジ3の取付面(被支持面)42Cが平面であるのに対して、支持部52Cの支持面53Cは曲面から構成される。この曲面は、円柱面から形成して取付面42Cと線接触しても良いし、球面から形成して取付面42Cと点接触しても良い。また、第2の読取キャリッジ3の取付部41Cと保持部材(ビス54)との間にはクッション材としてスポンジ等の弾性部材55を挟み込む。
【0063】
以上、詳細に説明したように、本発明の原稿読取装置によれば、原稿搬送装置に歪みや捩れが生じた場合でも、これを原稿搬送装置の読取キャリッジに伝えずに、読取キャリッジを安定して保持することが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
A 原稿搬送装置(原稿搬送ユニット)
H 原稿読取装置本体(原稿読取ユニット)
2 第1の読取キャリッジ
3 第2の読取キャリッジ
10 給紙トレイ
11 排紙トレイ
12 U字状の原稿搬送経路
18 搬送ローラ対(第1ローラ対)
19 排紙ローラ対(第2ローラ対)
20 第3のコンタクトガラス
36 付勢部材
37 揺動ガイド部材
41、41A、41B、41C 取付部
42、42A、42B、42C 取付面(被支持面)
43 挿入孔
51 支持フレーム(側板)
52、52A、52B、52C 支持部
53、53A、53B、53C 支持面
54 ビス(保持部材)
55 弾性部材
56 位置決めピン
56a ネジ孔
70 分離ガイドユニット
71 保持部(保持部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10