【実施例】
【0031】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
表1において「せん断力」の測定は温度23±2℃、湿度50±5%RHに設定された評価試験室内で以下の様にして行った。長さ150mm、幅50mmのSUS板の片面全体に自己粘着性フィルムを圧着させ、この上に長さ150mm、幅20mmの自己粘着性フィルムを更に圧着させ試験片としたが、この際に長さ100mm分のみをSUS板上のフィルムに置いて圧着させ、残り50mm分はSUS板上のフィルムから外れた位置となる様に置いた。圧着に際しては荷重2kgのゴムローラーにて5mm/秒の速度で1往復させた。せん断力の測定は、自己粘着性フィルムの圧着後20分目に試験片のSUS板側を固定した状態で行い、貼り合せていない50mm分の自己粘着性フィルムを垂直方向(せん断方向)に引張り、自己粘着性フィルム同士が剥れる強度をn=3で測定し平均値を求めた。測定結果はフィルム幅10mm当たりの強度として示し、以下の基準で評価した。
「良」:3N/10mm以上。
「不良」:3N/10mm未満。
【0033】
表1において「収縮率」の測定は以下の様に行った。延伸後の自己粘着性フィルムを長さ100mm、幅15mmに切り出し試験片としたが、この際に長さ方向がMDとなる様にした。試験片を100℃の温水に5分浸漬し収縮させてから取り出し、表面の水分を布で軽く拭取り、温度23±2℃、湿度50±5%RHに設定された評価試験室内で30分静置した後に長さを測定し、次の計算式にて収縮率を求めた。
収縮率(%)=(収縮前のフィルム長さ)−(収縮後のフィルム長さ)]/(収縮前のフィルム長さ)×100
試験はn=3で行い、結果を平均値として求め、以下の基準で評価した。
「良」:収縮率50〜90%。
「不良」:収縮率50%未満、及び90%より大きい。
なお、23℃、7日後のMDの収縮率は、上記試験片を温度23±2℃、湿度50±5%RHに設定された評価試験室内に7日放置した前後について上式にて同様に求めたが、全て10%以内であった。
【0034】
表1において、「柔軟性」とは、JIS C 2107:2011に準拠して測定した25%モジュラスの引張り強度である。温度23±2℃、湿度50±5%RHに設定された評価試験室内でn=3にて測定し、結果を平均値として求め、以下の評価基準で評価した。
「良」:3〜50N/10mm。
「不良」:3N/10mm未満、及び50N/10mmより大きい。
【0035】
表1において、「伸び」とは、JIS C 2107:2011に準拠して測定した引張り破断伸度である。温度23±2℃、湿度50±5%RHに設定された評価試験室内でn=3にて測定し、結果を平均値として求め、以下の評価基準で評価した。
「良」:80%以上。
「不良」:80%未満。
【0036】
表1において、「展開性」とは、ロール状フィルムの巻きほぐしやすさを示す指標であり、以下の基準で評価した。
「良」:巻きほぐすことができる(展開できる)。
「不良」:巻きほぐすことができない(展開できない)。
【0037】
表1において、「結束性」は以下の様にして評価した。直径1.5mm、長さ150mmの電線を20本束にして直径10mmの電線群を作成し、自己粘着性フィルム(長さ60mm、幅50mm。但しMDを長さ方向とする。)を電線群の中央に、MDが電線群と垂直となる様に巻きつけ、自己粘着性フィルムの端部同士を5mmづつ重ね合わせて指で30秒圧着し、評価サンプルとした。評価サンプルを100℃雰囲気のオーブンに1分間入れ加熱してから取り出し、温度23±2℃、湿度50±5%RHに設定された評価試験室内で30分静置後、収縮した自己粘着性フィルム部分を手で握り、電線群をもう一方の手で引張り、以下の基準で結束性の良否を評価した。
「良」:横にずれない。
「不良」:ずれる、もしくは電線束から粘着フィルムが抜ける。
【0038】
表1において、「端末剥れ」は以下の様にして評価した。「結束性」の評価と同様に試験サンプルを作成し、同様に加熱、静置後、収縮した自己粘着性フィルムの重ねた部分を目視観察し、以下の基準で評価した。
「良」:剥れていない。
「不良」:オーブンで加熱中、または、30分静置以内に剥れる。
【0039】
(実施例1)
(1)塩化ビニル系重合体(ポリ塩化ビニル:商品名TH−1300、大洋塩ビ株式会社製、重合度1300)100質量部、可塑剤(フタル酸ジイソノニル:株式会社ジェイプラス製)50質量部、粘着付与剤(脂肪族/芳香族共重合系石油樹脂:商品名ペトロタック90HM、東ソー株式会社製、軟化点90℃)7質量部、改質剤(メチレンメタアクリレート−ブタジエン−スチレングラフト共重合体、商品名メタブレンC−223A、三菱レイヨン株式会社製)5質量部からなる配合物をニーダーで均一に分散するように混練したのち、カレンダ成形機により、ロール温度175℃にて厚さ約0.15mmの自己粘着性フィルムを作製した。この際、エンボスロールを通過させることで、フィルム表面に中心線平均粗さ(Ra)1.0μmの凹凸をつけた。
(2)得られたフィルムをロール式延伸機で、MD延伸倍率2倍に延伸し、MD/TD比2の自己粘着性フィルムを得た。
【0040】
(実施例2)
MD延伸倍率4倍、MD/TD比4とした以外は実施例1と同様にして自己粘着性フィルムを得た。
【0041】
(実施例3)
中心線平均粗さ(Ra)を0.2μmとした以外は実施例1と同様にして自己粘着性フィルムを得た。
【0042】
(実施例4)
MD延伸倍率4倍、MD/TD比3、中心線平均粗さ(Ra)を1.8μmとした以外は実施例1と同様にして自己粘着性フィルムを得た。
【0043】
(実施例5)
可塑剤を5質量部とした以外は実施例1と同様にして自己粘着性フィルムを得た。
【0044】
(実施例6)
可塑剤を80質量部とした以外は実施例1と同様にして自己粘着性フィルムを得た。
【0045】
(実施例7)
粘着付与剤を1質量部とした以外は実施例1と同様にして自己粘着性フィルムを得た。
【0046】
(実施例8)
粘着付与剤を20質量部とした以外は実施例1と同様にして自己粘着性フィルムを得た。
【0047】
(実施例9)
改質剤を1質量部とした以外は実施例1と同様にして自己粘着性フィルムを得た。
【0048】
(実施例10)
改質剤を20質量部とした以外は実施例1と同様にして自己粘着性フィルムを得た。
【0049】
(
参考例
1〜
4)
MD延伸倍率、MD/TD比、を表1の通りとした以外は実施例1と同様にして自己粘着性フィルムを得た。
【0050】
(実施例1
1)
中心線平均粗さ(Ra)を表1の通りとした以外は実施例1と同様にして自己粘着性フィルムを得た。
【0051】
(比較例1、2)
可塑剤を表1の通りとした以外は実施例1と同様にして自己粘着性フィルムを得た。
【0052】
(比較例3、4)
粘着付与剤を表1の通りとした以外は実施例1と同様にして自己粘着性フィルムを得た。
【0053】
(比較例5、6)
改質剤を表1の通りとした以外は実施例1と同様にして自己粘着性フィルムを得た。
【0054】
【表1】