(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6129554
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】フィルターロッド製造機
(51)【国際特許分類】
A24D 3/02 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
A24D3/02
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-526158(P2012-526158)
(86)(22)【出願日】2010年8月19日
(65)【公表番号】特表2013-502919(P2013-502919A)
(43)【公表日】2013年1月31日
(86)【国際出願番号】IB2010053746
(87)【国際公開番号】WO2011024105
(87)【国際公開日】20110303
【審査請求日】2013年8月12日
【審判番号】不服2015-22902(P2015-22902/J1)
【審判請求日】2015年12月28日
(31)【優先権主張番号】2009/05994
(32)【優先日】2009年8月28日
(33)【優先権主張国】ZA
(73)【特許権者】
【識別番号】512001371
【氏名又は名称】タバコ リサーチ アンド ディベロップメント インスティテュート (プロプリエタリー) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ハホルド、アーノルド、レスリー
(72)【発明者】
【氏名】ル・ルー、ジェラルド マラン
【合議体】
【審判長】
紀本 孝
【審判官】
中村 則夫
【審判官】
山崎 勝司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−504824(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/154539(WO,A2)
【文献】
特公昭51−47799(JP,B2)
【文献】
特表2008−525010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙品の製造に使用するためのフィルターロッド製造機であって、この製造機は、舌部を含むガーニチャーと、回転自在の対象物移送部材と、カッターとを含み、
前記ガーニチャーは、フィルタープラグ材およびフィルター包装材を受け、包装された長尺のフィルターロッドを形成するように構成されており、
さらに前記ガーニチャーに含まれる前記舌部は、その内部に、前記フィルタープラグ材、前記フィルター包装材、およびガーニチャーテープが、それぞれ、前記フィルタープラグ材が前記フィルター包装材の上に接触して位置し、また、前記フィルター包装材が前記ガーニチャーテープの上に接触して位置するように引き込まれるように構成されており、さらに前記舌部は、前記フィルタープラグ材が該舌部内を通過する際に該フィルタープラグ材を圧縮するように構成されており、
前記回転自在の対象物移送部材は、対象物を該回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送して、その対象物が、前記舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入されるように配されており、
前記カッターは、前記長尺のフィルターロッドを切断し、中に1つ以上の対象物を有するフィルターロッドセグメントを形成するように構成されている、製造機。
【請求項2】
前記回転自在の対象物移送部材が、前記舌部内に入り込んで、各対象物が前記舌部の内側の出口ポイントで移送部材から出るようにすることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記舌部において、該舌部内を通過している前記フィルタープラグ材に轍のような溝を開口するように構成されたプラフをさらに含み、対象物が前記溝に挿入されることを特徴とする請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記プラフが前記溝内に前記回転自在の対象物移送部材からの対象物を案内するように配された案内部を含み、前記案内部が前記舌部内を通過している前記フィルタープラグ材の移動方向に対して実質的に平行な方向に前記溝内に対象物を案内するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の製造機。
【請求項5】
前記フィルタープラグ材が前記ガーニチャーに入る前に前記フィルタープラグ材を圧縮するように構成された押し込み噴射部をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の製造機。
【請求項6】
前記舌部が第1舌部部分と第2舌部部分を有し、
前記第1舌部部分を有する第1胴体部と、
前記対象物移送部材と前記第2舌部部分とを有する第2胴体部と、
前記第1胴体部と前記第2胴体部の相対位置が、前記第1舌部部分と前記第2舌部部分が離れて前記舌部の内部に清掃およびフィルタープラグ材を通すために触れることができる第1の位置と、前記第1舌部部分および第2舌部部分が位置合わせされ、フィルタープラグ材が交互に通過できるようにする第2の位置との間で調節できるように配されたヒンジとを有する請求項1乃至5いずれか1項記載の製造機。
【請求項7】
前記第2胴体部が上方胴体部であり、前記第1胴体部が下方胴体部であり、前記上方胴体部が前記第2の位置にある前記下方胴体部上に位置することを特徴とする請求項6記載の製造機。
【請求項8】
前記上方胴体部を前記下方胴体部に対して選択的に昇降させるように構成された位置決め機構をさらに含み、これにより前記第1および第2の位置間で前記上方胴体部と前記下方胴体部の相対位置を調節することを特徴とする請求項7記載の製造機。
【請求項9】
喫煙品の製造に使用するためのフィルターロッド製造機であって、この製造機は、舌部を含むガーニチャーと、回転自在の対象物移送部材と、カッターとを含み、
前記ガーニチャーは、フィルタープラグ材およびフィルター包装材を受け、包装された長尺のフィルターロッドを形成するように構成されており、
さらに前記ガーニチャーに含まれる前記舌部は、第1舌部部分および第2舌部部分を有し、
前記回転自在の対象物移送部材は、対象物貯蔵部から対象物を受け、この対象物を前記回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送して、この対象物が、前記舌部内を通過している前記フィルタープラグ材内に挿入されるように配されており、
前記カッターは、前記長尺のフィルターロッドを切断し、中に1つ以上の対象物を有するフィルターロッドセグメントを形成するように構成されており、
さらに前記製造機は、第1胴体部と、第2胴体部と、ヒンジとを含み、
前記第1胴体部は、前記第1舌部部分を有し、
前記第2胴体部は、前記対象物移送部材と前記第2舌部部分とを有し、
前記ヒンジは、前記第1胴体部と前記第2胴体部の相対位置が、前記第1舌部部分と前記第2舌部部分が離れて前記舌部の内部に清掃およびフィルタープラグ材を通すために触れることができる第1の位置と、前記第1舌部部分および第2舌部部分が位置合わせされ、フィルタープラグ材が交互に通過できるようにする第2の位置との間で調節できるように配されている、製造機。
【請求項10】
前記対象物が脆弱な流体含有カプセルであることを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載の製造機。
【請求項11】
喫煙品の製造に使用するためのフィルターロッドの製造方法であって、該方法は、
フィルターロッド製造機のガーニチャーがフィルタープラグ材およびフィルター包装材を受ける工程と、
前記ガーニチャーに含まれる舌部内に、前記フィルタープラグ材、前記フィルター包装材、およびガーニチャーテープを、それぞれ、前記フィルタープラグ材が前記フィルター包装材の上に接触して位置し、また、前記フィルター包装材がガーニチャーテープの上に接触して位置するように引き込む工程と、
前記フィルタープラグ材が前記舌部内を通過する際に該フィルタープラグ材を圧縮する工程と、
対象物を回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送し、前記対象物を、前記舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入する工程と、
前記ガーニチャーにおいて、包装された長尺のフィルターロッドを形成する工程と、
この長尺のフィルターロッドをフィルターロッドセグメントに切断し、各セグメントがその中に1つ以上の対象物を有するようにする工程とを含む方法。
【請求項12】
前記舌部内を通過している前記フィルタープラグ材に轍のような溝を開口する工程をさらに含み、前記対象物が前記溝に挿入されることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記溝内に前記回転自在の対象物移送部材からの対象物を案内する工程をさらに含み、前記対象物を案内する工程が、前記舌部内を通過している前記フィルタープラグ材の移動方向に対して実質的に平行な方向に前記溝内に前記対象物を案内することを含むことを特徴とする請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルター付き紙巻きタバコなどの喫煙品の製造に使用するフィルターロッドを製造するための機械に関する。この機械は、フィルターロッドに対象物を挿入するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
一般にフィルター付き紙巻きタバコの製造に使用されるフィルターロッドは、紙のプラグラッパーに包まれたセルロースアセテートトウからなるプラグを含む。従来のフィルターロッド製造機は、製造機内を流れるトウとフィルターペーパーからなるリボンを受け、紙に包まれた長尺のフィルターロッドを形成するガーニチャーを含み、このフィルターロッドは、順次フィルターロッドセグメントに切断される。通常ガーニチャーは、フィルタートウがその中を通過する際にこれを圧縮する舌部を有する。この種のフィルターロッド製造機および特にガーニチャーおよび舌部は、当業者にはよく知られている。
【0003】
下記特許文献1にはフィルター媒体、特に粒状材または前処理されたカプセルをフィルターロッド製造時にフィルター材に供するように構成された機械について記載している。この機械はフィルター媒体を、回転するポケットホイールの円形の面に形成された複数の間隔を置いて位置するポケット内に吸引する吸引ドームを有する。ポケットホイールの回転によってフィルター媒体で満たされたポケットを空気搬送管の入り口に位置合わせする。位置合わせされると、吸引が解除され、穴のあいたポケットの底部を介して空気圧が加えられ、媒体を搬送管内に押し出す。この管は、機械の舌部に入るように構成され、フィルター媒体が管の排出端部を出る際に形成されるフィルターロッドの中央内に入る。その後ロッドが紙に包まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、フィルター製造時にフィルターロッド材に対象物を挿入するための別の方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、喫煙品の製造に使用するためのフィルターロッドを製造するための機械を提供し、この機械は、フィルタープラグ材およびフィルター包装材を受け、包装された長尺のフィルターロッドを形成するように構成され、かつ、フィルタープラグ材が通過する際にこれを圧縮するように構成された舌部を含むガーニチャーを含み、さらに対象物貯蔵部から対象物を受け、この対象物を直接舌部に搬送して、対象物が舌部を介して通過するフィルタープラグ材内に挿入されるように配された回転自在の対象物移送部材と、長尺のフィルターロッドを切断し、中に1つ以上の対象物を有するフィルターロッドセグメントを形成するように構成されたカッターとを含む。
【0006】
このようにして対象物は、中間手段を介さずにガーニチャーの舌部に直接搬送される。従って機械の構造が簡単になる。
【0007】
さらにフィルタープラグ材が舌部内の安定し、制御された経路を通るので、その後完成したロッド内の対象物の配置および間隔開けを舌部を通過するフィルタープラグ材の適当な位置に対象物を配置することによって正確に制御することができる。
【0008】
フィルタープラグ材は、舌部内で圧縮されて、フィルタープラグ材が対象物を押して、対象物を舌部を通過するフィルタープラグ材の所定の位置に固定されるようにするのが好ましい。このようにして対象物ごとの望ましくない位置の変動が最小限に抑えられる。
【0009】
フィルタープラグ材は、セルロースアセテートトウであることが好ましい。
【0010】
包装された長尺のフィルターロッド内の対象物が等間隔に配されるように、対象物が舌部のトウ内に挿入されるようにするのが好ましい。さらに1つ以上の対象物が、完成したフィルターロッド内で軸方向の中心に位置するように対象物が舌部にあるトウ内に挿入されるようにするのが好ましい。
【0011】
対象物は、脆弱な流体含有カプセルであることが好ましいが、これとは別にまたは加えてペレット、ストランド、ビーズまたはペレット、ストランド、ビーズおよびカプセルを組み合わせたものを挿入してもよい。カプセルの直径は、好ましくは2−6mmの範囲内である。
【0012】
回転自在の対象物移送部材は、舌部内に入り込んで、この移送部に受け取られた各対象物が舌部の内側の出口ポイントで移送部から出るようにすることが好ましい。
【0013】
回転自在の対象物移送部材は、リムの周囲に配された複数の凹部を有する回転自在なホイールであることが好ましい。
【0014】
本発明のフィルター製造機は、トウがガーニチャーに入る前にトウを圧縮するように構成された押し込み噴射部を有するのが好ましい。押し込み噴射部は、より均一な密度のトウが得られ、異なる密度/圧力降下のフィルターを製造できるようにすると有利である。
【0015】
本発明の機械は、第1舌部を含む第1胴体部と、対象物移送部材および第2舌部を含む第2胴体部と、第1胴体部と第2胴体部の相対位置が、第1および第2舌部が離れて舌部の内部に清掃およびトウに糸を通すために触れることができる第1の位置と第1および第2舌部が位置合わせされ、トウが交互に通過できるようにする第2の位置との間で調節できるように配されたヒンジとを含んでもよい。
【0016】
本発明が完全に理解されるように添付図面を参照した例示によって本発明の実施態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】作動(使用)位置にある製造機の斜視図である。
【
図3】製造機の上方胴体が下方胴体に対して上昇した位置にある製造機の斜視図である。
【
図4】上方胴体の斜視図および入り口舌部セクションの分解図である。
【
図6】入り口舌部セクションに位置するカプセル移送ホイールを示す断面図である。
【
図7】製造機の下方胴体の一部を示す斜視図である。
【
図9】入り口舌部セクションのプラフを示す図である。
【0018】
図1および2は、フィルターロッド製造機1の一部を示している。操作中、セルロースアセテートフィルタートウの形状のフィルタープラグ材がその供給源から引き込まれ、一組のローラー(図示せず)
で伸ばされ、押し込み噴射部3およびガーニチャー5の舌部4を介して圧縮される。図に示すように製造機1は、回転自在のカプセル移送ホイール6を有し、これはその円周に配された凹部6aから脆弱な風味剤含有カプセルを、直接舌部に搬送してカプセルが、舌部を通過するフィルタートウと接触するよう
に配されている。トウは、ガーニチャーで紙に包まれ、長尺のロッドに形成され、その後フィルターロッドセグメントに切断され、それぞれが所望の数のカプセル、例えば1つ、2つ、3つまたは4つのカプセルを含む。
【0019】
このフィルターロッドセグメントは、その後紙巻きタバコの製造に使用して、フィルター内に1つ以上のカプセルを有する紙巻きタバコを製造する。1つの例示的な紙巻きタバコ製造工程において、2つのカプセルを含むフィルターロッドセグメントは、対向端に位置する2つの紙で包まれたタバコロッドと軸方向に位置合わせされる。チッピング紙として知られている紙がタバコロッドとフィルターロッドの周りに巻かれ、これらを接合する。その後包まれたフィルターロッドは、その中央を2つのカプセルの間で切断され、これによりそれぞれがフィルターにカプセルを有するフィルター付き紙巻きタバコが形成される。
【0020】
各脆弱なカプセルは、ゼラチンで形成され、実質的に球形であり、風味剤、例えばメンソール、スペアミント、オレンジエッセンス、ミント、甘草、ユーカリ、1つ以上の異なる果物風味剤または風味剤のあらゆる混合物を含むのが好ましい。フィルターの外側から圧力を掛けると、カプセルが潰れ、風味剤を放出し、紙巻きタバコのフィルターを介して吸引される煙に風味を付与する役割を果たす。
【0021】
次に
図1および2に示す製造機1をより具体的に説明すると、移送ホイール6は、垂直に配され、製造機1の胴体7に軸を介して回転自在に装着されている。ホイール6は、ディスクセクション8とこれにボルトで留められた前方セクション9を有する。ディスクセクション8は、カプセルホッパー10と舌部4との間に配され、その間で連続的にカプセルを移送するように構成されている。
【0022】
ガーニチャー5の舌部4は、その長さに沿ってテーパーし、フィルタートウが舌部4を通過する際にフィルタートウを半径方向に圧縮するようになっている。舌部でのトウの圧縮は、ロッド製造工程のトウの最終圧縮段階である。
【0023】
開口部が舌部4の頂部に形成されており、この開口部は、移送ホイール6のディスクセクション8を受けるのに充分な幅を有し、ディスクセクション8が
図1に示すように開口部を介して舌部4に入り込む。
【0024】
ホイール6が回転すると、
図1に示すようにカプセルが重力によってホッパー10からディスクセクション8のリムの周囲に円周方向に配された複数のカプセル収容凹部6a内に落下する。時計方向に回転するホイール6は、舌部の頂部の開口部を介してカプセルを舌部内部に運び、そこでカプセルがホイール6を出て、形成されるフィルターロッド内に送られる。
図2に示すようにハウジング7aがディスクセクション8のリムの周囲に設けられ、カプセルがホイール6から落ちるのを防いでいる。
【0025】
従ってカプセルは、トウの経路が安定し、制御されたガーニチャーの舌部内に直接搬送され、ロッドが形成されるまでその状態が保たれる。
【0026】
さらにカプセルは、トウが圧縮される間に挿入されるので、トウがカプセルの周囲で圧縮され、それらを所定の位置
に固定する。従って完成したロッド内の対象物の位置および対象物間の間隔は、舌部通過するトウに配置される対象物の位置によってのみ変わる。従って本発明の製造機は、カプセルごとまたはフィルターごとでほとんど変わらずにカプセルの位置を正確に制御することができる。このことは、消費者がカプセルの位置の変化を感じず、例えばカプセルが中心からずれているフィルターは、欠陥があると感じるようになる。好ましくはカプセルは、トウ内で完成したロッドの軸方向に位置合わせされ、中心に位置する。
【0027】
ホイール6を出たカプセルは、ホイール6の凹部6aから重力で、舌部4を介して通過するトウ内に落下する。これとは別に移送ホイール6は、例えばリムセクション8の凹部から舌部4を通過するトウ内にカプセルを連続的に排出するように構成された空気噴射推進機構などのカプセル排出機構を有してもよい。移送ホイールは、これとは別にまたは加えてカプセルを吸引し、これらカプセルを排出する前に凹部の所定の位置に保持するように構成された吸引ポンプを含んでもよい。
【0028】
図2および3に示すように製造機1は、舌部4の一部が製造機1から持ち上げられるようにするヒンジ機構を有する。これによって製造機が始動する前に押し込み噴射部3からのトウを舌部4に通しやすくし、また舌部4の内部の清掃を従来のように行うようにすることができる。
【0029】
ヒンジ機構は、製造機1の上方胴体12と下方胴体13に接続されたヒンジ11と下方胴体の孔15を通過し、上方胴体12の遠位端の底部に取り付けられる昇降シリンダー14とを含む。
【0030】
ヒンジ11は、製造機1の上方胴体12が
図2に示す作動位置から
図3に示す昇降位置またはその逆に下方胴体13に対して上方に枢動することができる。作動位置において、上方胴体12は、下方胴体13上に位置し、
図2に示すように押し込み噴射部3の出口が舌部の入り口4に位置合わせされている。
図3に示す持ち上げられた位置において、舌部の入り口16は、押し込み噴射部から離れて位置し、これにより作業員が清掃およびトウを通すために舌部の内部に触れることができる。製造機は、好ましくは油圧作動する昇降シリンダー14を上下させることによっていずれかの位置に選択的に位置決めすることができる。
【0031】
図4を参照すると、上方胴体12は、ホッパー10と、移送ホイール6と舌部入り口16とを含み、舌部入り口は、分解斜視図にて示している。
図4、5および6に示すように舌部入り口16は、左右の側壁17、18と、プラフ19と、シュー20とを含む。プラフ19とシュー20は、舌部入り口16の対向する端部で側壁17、
18の間に位置し、シュー20とプラフ19の間には隙間がある。側壁17、18およびプラフ19は、上方に延びた取り付け部を有し、これらは互いに位置合わせされたねじ穴を有し、これらの孔を介して一組のボルトが挿入され、舌部入り口16の一端で側壁17、18およびプラフ19を保持する。
図5に示すようにシュー20は、舌部入り口16の対向する端部で側壁17、18の間でこれらにボルト留めされている。図に示すように側壁17、18およびプラフ19は、舌部入り口16に入り口端部で入り口管21を形成し、これを介してトウが舌部4に入り、さらに出口22を形成し、これを介してトウが舌部入り口16から出る。入り口舌部の底部を示す
図5(b)を参照すると、舌部入り口16は、出口22から舌部入り口16の底部に沿って入り口管21へと延びた長尺の開口部23を有する。
【0032】
図5(a)に示すように左右の側壁17、18は、舌部入り口16の頂部に開口部24を形成し、この中にホイール6が
図6に示すように入り込む。図に示すようにプラフ19とシュー20は、ホイール6に面した弓状の面25、26を有し、これらは作動時にホイール6がこれら面25、26の近くで回転するように配置されている。プラフ19の面25は、カプセルが、時計方向に回転するホイールから不慮に落下するのを防ぎ、シューの面26は、ホイール6に付着するトウを掻き落とす役割を果たし、トウが開口部24から外れてホイール6によって運ばれるのを防ぐ。
図5(d)に示すように隙間27が面25の底端部と面26の底端部の間に形成され、面25の底端部は面26の底端部より低くなっている。
【0033】
図2および3に示すように押し込み噴射部3(「移送噴射部」とも言う)が、下方胴体13に取り付けられ、舌部4の入り口管21内に直接トウを搬送するように構成されている。押し込み噴射部3によって完成したフィルターロッド内に、より均一な密度のトウが得られるようにし、かつ、選択された密度/圧力降下を有するフィルターを製造できるようにすると有利である。押し込み噴射部3を
図13により詳しく示す。押し込み噴射部の胴体の長さLは、好ましくは100mmと120mmの範囲にあり、より好ましくは107.5mmである。
【0034】
図3、7および8に示すように下方胴体13は、上流端部から下流端部へとテーパーしたガーニチャー入り口チャネル28を有する。作動の際にはガーニチャーテープがチャネル28の床に沿って走行し、このガーニチャーテープと摩擦接触するプラグラップ紙のリボンがチャネル28を介してテープの上に引きずられ、これによりボビン(図示せず)から一連のローラーに沿ってガーニチャー内に引き込まれる。フィルターロッドを形成するためにフィルタートウの周囲にプラグラッパー紙を除々に巻くガーニチャーのガーニチャーテープの特徴は、当業界ではよく知られているので、ここでは詳しく説明しない。
【0035】
図2および3に示すように舌部入り口16は、
図2に示す作動位置においてチャネル28に嵌められ、これを覆う。作動時において、トウは入り口管21を介して通過し、かつ、舌部入り口16の底部の長尺の開口部23を介してチャネル28の移動する紙リボン上に移動する。
【0036】
図3を参照すると、舌部4はさらに舌部入り口16のちょうど下流に位置する固定された舌部セクション29を含む。使用の際にはチャネル28のトウが舌部入り口16の出口22からそしてこれを介して直接その固定された舌部セクション29内を通過する。図に示すように舌部入り口16および固定された舌部29は、両方ともテーパーし、連続したテーパーが舌部4の長さに沿って得られ、トウが通過する際にトウを圧縮する。
【0037】
固定された舌部セクション29を
図7および8により詳しく示す。図に示すように固定された舌部セクション29は、テーパーした半円の管として形成され、下方胴体13に形成されたテーパーしたチャネル30に取り付けられている。作動位置において、チャネル28はチャネル30と一体であり、舌部入り口16は、固定された舌部セクション29の入り口に位置合わせされている。
【0038】
図7および8に示すように固定された舌部セクション29は、第1、第2および第3取り付けブラケット32、33、34を含む取り付け装置31によってチャネル30の所定の位置に保持される。図に示すように取り付け
ブラケット32は、舌部セクション29の上部に一体に形成され、取り付け
ブラケット34にボルト留めされる。取り付けブラケット33は、取り付けブラケット34および製造機1の下方胴体13にボルト留めされ、固定された舌部セクション29を所定の位置に固定する。
【0039】
舌部4のプラフ19を
図9により詳しく示す。図に示すようにプラフ19は、弓状面25に対向して配された取り付け部35およびトウ分割縁部36を有する。作動時において、舌部4を通過するトウは、トウをプラフ19の両側で2つのトウの流れに分けるトウ分割縁部36と接触する。このようにして轍のような溝がトウに形成され、その中にホイール6からのカプセルが受けられる。この溝はプラフ19の長さを越えて、トウの流れが溝を閉じる地点まで延びる。カプセルの搬送の際、カプセルはホイール6の凹部6a内で開口部24を介して出口ポイントまで搬送され、そこでホイールから出て、プラフとシューの間の隙間27を通過し、トウの溝の中に入る。溝は、順次ガーニチャーの残りの部分を通ってトウによって搬送されるカプセルの周囲で閉じる。その後紙がガーニチャーの作用によってトウの周囲で完全に巻かれ、紙に包まれた長尺のロッドを形成し、その後これは個別のフィルターロッドセグメントに切断される。
【0040】
図10は製造機1によって作成される異なるロッド37、38、39を示している。図に示すように各ロッドは、セルロースアセテートトウ41のプラグによって囲まれた1つ以上の等間隔に位置するゼラチンカプセル40を含み、トウは紙のラッパー42で包まれている。第1、第2および第3のロッド37、38、39は、それぞれ1つ、2つおよび4つのカプセルを含んでいる。第2のロッド38は、第1のロッド37の2倍の長さであり、第3のロッド39は、第2のロッド38の2倍の長さである。当業者には当然のことながら異なる長さおよび異なる数のカプセルを有する多くの異なるロッド構造を製造機1によって製造することができる。
【0041】
図11(
A)は、プラフ19と別のプラフ43
(a)を示し、これはホイール6からカプセルを受け、カプセルをトウの溝に案内するために配されたカプセル案内部44
(a)を有する。カプセル案内部44
(a)は、ロッドが完全に形成された際にカプセルが軸方向の中心にかつ互いに軸方向に位置合わせされるようにカプセルを配置する役割を果たす。図に示すようにカプセル案内部44
(a)は、案内部を出たカプセルをトウが移動する方向に実質的に平行な方向に案内するような形に形成されている。このようにし
てカプセルへの衝撃を最小限に抑え、カプセルの損傷を防ぐ。さらにカプセルは、実質的な垂直方向の速度成分を有さないので、トウとの弾性相互作用による垂直方向のたわみが最小限に抑えられる。
図11(
B)は、別のカプセル案内部44(b)を有するさらに別のプラフ43(b)を示している。
【0042】
多くの他の変形例および変更例が当業者には自明である。例えば製造機1は、脆弱な流体含有カプセルをフィルターロッドに導入するものとして説明してきたが、これとは別にまたは加えてペレット、ストランド、ビーズまたはペレット、ストランド、ビーズおよびカプセルを組み合わせたものなどの他の対象物を挿入してもよい。
【0043】
さらにフィルターロッドは、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコおよび加熱するが燃焼しない製品をベースにした紙巻きタバコ、シガーおよびシガリロを含むあらゆる喫煙品に好適に使用することができる。
【0044】
図12は別の移送ホイール45を示す。図に示すように移送ホイール45は、前方セクション46、搬送ドラム47およびクランププレート48を有する。図に示すように合わせピン49が前方セクション46を搬送腕部47に接続する。クランププレート48は、前方セクション46にボルト留めされたクランプスクリュー50によって搬送ドラム47に対して付勢される。移送ホイール45は、クランプスクリュー50を取り外すことによって分解可能であり、これにより部品を簡単に清掃できるので便利である。さらに合わせピン49は、シャフトに対するホイール45の角度位置を特定するためのマーカーとして使用してもよい。従って清掃のためにホイール45を取り除く前に作業員は回転における位置を記録することができ、これにより清掃の後にホイールをシャフトに対して同じ回転位置に戻すことができる。
【0045】
ホッパー10は、ある程度のカプセルの重さを支持するために配置されたそらせ板またはローラー含んでもよく、これによりカプセルがホッパーの中でつぶされるのを防ぐ。さらにホッパー10は、カプセルをホイール6内に移送しやすくするためにカプセルを撹拌する振動プレートを含んでもよい。空気噴射ユニットをホッパー10に取り付けてカプセルを移動しやすくしてもよい。ホイール6は、隆起したノッチを含んでもよく、これによりカプセルをホッパー内で撹拌する。
【0046】
さらにカプセ
ル受け取り凹部は、ホイール6、45の円周に均等に配置して、長尺のフィルターロッド内のカプセル間に均等に間隔をおいて配置するのが好ましいが、これとは別にカプセル受け取り凹部を長尺のフィルターロッド内の異なるカプセル対間に異なる間隔を設けるために異なるパターンで配置してもよい。
【0047】
例えばカプセル受け取り凹部6aを最初の対のカプセル間の間隔を24mmにして、それに隣接する対のカプセル間の間隔が12mmになるように配置してもよい。このように配置されたカプセル受け取り凹部を有する製造機1によって作成されたフィルターロッド51を
図10(d)に示す。カプセル対52のカプセル間の間隔は、24mmであり、これに隣接するカプセル対53のカプセル間の間隔は、12mmである。フィルターロッド51の長さは、108mmである。ロッド51の縁部と第1カプセル間の間隔は、6mmである。
【0048】
添付の特許請求の範囲内で多くの他の変更および変形が可能であることは当業者には自明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】
【特許文献1】ヨーロッパ特許第1833316号