【実施例1】
【0009】
銀行等の金融機関の営業店には、オペレータが顧客と接客して取引業務を行う窓口の後方等に処理能力の大きい出納機と称する大型の現金処理装置が設置されている。
この現金処理装置は紙幣入出金機や施封小束支払機等を並べて配置した構造を持ち、オペレータ等の操作により各種の現金処理を行う機能を有している。
図1は第1の実施例における現金処理装置の制御構成を示すブロック図、
図2は第1の実施例における現金処理装置の外観を示す斜視図である。
【0010】
図1および
図2において、現金処理装置11は、施封小束支払機1、紙幣入出金機2、硬貨入出金機3、プリンタ4、表示部5、入力部6、第1の記憶部7、第2の記憶部8、通信部9、および制御部10、並びに棒金支払機や補充回収機等により構成されている。
これらは所定の配置で並べられ、あるいは重ねられている。
ここで紙幣入出金機2はバラの紙幣の入出金を行う機能を有している。
【0011】
施封小束支払機1は、金種毎に結束された小束紙幣を取り扱うものであり、紙幣入出金機2から1枚ずつ搬送されてくる紙幣を一定枚数毎に紙の帯で施封して小束にし、その小束紙幣を払出し口から放出する機能、小束紙幣を小束収納庫に収納して入金する入金機能、オペレータの要求により小束収納庫から小束紙幣を取り出して出金口から放出する出金機能、小束収納庫に収納している小束紙幣の有り高を確定させる自動精査機能を有している。
【0012】
硬貨入出金機3は、バラの硬貨の入出金を行う機能を有している。
プリンタ4は、施封小束支払機1、紙幣入出金機2、及び硬貨入出金機3で入出金処理が行われた場合、その処理内容を認証して所定の帳票等に印字し、オペレータに排出するものである。
表示部5は現金の処理に必要な情報を表示するLCD等のディスプレイであり、入力部6は現金の処理に必要な情報を入力するキーボード等の入力手段である。尚、表示部5上にタッチパネルを設けてキーボードの代わりに入力手段としてもよい。
【0013】
記憶部としての第1の記憶部7は、現金処理装置11を制御するための制御プログラム(ソフトウェア)や制御情報を記憶するものであり、本実施例では、施封小束支払機1内の小束収納庫に小束紙幣が収納された日付を小束紙幣毎に記憶する。また、第2の記憶部8は、CD等の可搬記憶媒体である。
通信部9は、通信回線としてのネットワークに接続され、図示しないホストコンピュータとの間で通信制御を行うものである。
【0014】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)等の制御手段で構成され、メモリ等の記憶部に格納された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて現金処理装置11全体の制御を行うものである。
制御部10は、カレンダー機能および時計機能を有し、現在の日付や時刻を記憶部に記憶することができるようになっている。
【0015】
図3は第1の実施例における施封小束支払機の構成を示す側面図である。
図3において、施封小束支払機1は、上段ユニットAと下段ユニットBから成り、上段ユニットAはツイスト搬送部41、ツイスト搬送部41から紙幣を搬送する搬送路42、複数の施封集積部43、搬送路により搬送されてきた紙幣を各施封集積部43に分配する分配部44、一定枚数(例えば100枚)の紙幣を紙の帯で施封して小束として送り出す施封部45、各施封集積部43に集積された一定枚数の紙幣を一括して取り出して施封部45に搬送する一括搬送部46を備え、また下段ユニットBは施封部45から送り出される小束を受け取って上下方向に搬送するエレベータ部47、このエレベータ部47により搬送される紙幣の小束を出金する出金口48、紙幣の小束を金種毎に収納する複数の小束収納庫49(49a、49b、49c、49d)、これらの小束収納庫49の配列方向に沿って移動してエレベータ部47及び小束収納庫49との間で紙幣の小束の授受を行う小束ハンド・プッシャ50、オーバーフロー収納庫51を備えている。
【0016】
この構成において、紙幣入出金機2からの紙幣を入金する場合、オペレータが入力した金種及び枚数(100枚単位)に基づいて、紙幣入出金機2の紙幣収納庫から繰り出された紙幣が1枚ずつ搬送されてくると、その紙幣はツイスト搬送部41で施封小束支払機1の前後方向に搬送できるように90度回転された後、搬送路42により搬送されて分配部44により複数の施封集積部43に金種別に振り分けて集積される。
この金種別の振り分け及び集積枚数の管理は、紙幣入出金機2での金種鑑別結果及び計数結果に基づいて制御部10により制御される。
【0017】
施封集積部43に一定枚数(例えば100枚)の紙幣が集積されると、その紙幣は一括搬送部46により一括して取り出され、施封部45に搬送される。
この施封部45で一定枚数の紙幣は紙の帯で施封され、小束紙幣としてエレベータ部47に移される。
その後、エレベータ部47は小束ハンド・プッシャ50の位置まで下降して、紙幣の小束が小束ハンド・プッシャ50へ渡され、そして小束ハンド・プッシャ50が該当金種の小束収納庫49(49a、49b、49c、49d)まで移動して、その小束収納庫49(49a、49b、49c、49d)に小束紙幣を収納する。
【0018】
該当金種の小束収納庫49(49a、49b、49c、49d)が満杯の場合、エレベータ部47は小束ハンド・プッシャ50に紙幣の小束を渡すことなく更に下降し、オーバーフロー収納庫51に紙幣の小束を放出する。
また、この施封小束支払機1への入金として、紙幣入出金機2における紙幣収納庫の収納量が、予め設定された容量以上(例えばニアフルの状態)になり、その状態が図示しないセンサにより検知された場合、あるいは紙幣収納庫の収納量がユーザの設定値に達してそれが制御部10等で認識された場合、その紙幣収納庫の紙幣を自動的に施封小束支払機1に移すケースがある。
この場合、施封小束支払機1へ移す紙幣の枚数は予め定められており、制御部10の指示により紙幣入出金機2の紙幣収納庫から紙幣が繰り出され、前記と同様の手順で小束紙幣が作成されて小束収納庫49(49a、49b、49c、49d)に収納される。
【0019】
また、施封小束支払機1は、小束収納庫49(49a、49b、49c、49d)に収納された小束紙幣を昇降可能なステージにより上昇させ、小束ハンド・プッシャ50に渡し、小束ハンド・プッシャ50によりエレベータ部47へ搬送して出金口48から放出することができるようになっている。
さらに、施封小束支払機1は、小束収納庫49(49a、49b、49c、49d)に収納された小束紙幣を昇降可能なステージにより上昇させ、小束ハンド・プッシャ50に渡し、他の小束収納庫49(49a、49b、49c、49d)に移動して収納することができるようになっている。
【0020】
図4は第1の実施例における小束収納庫の構成を示す説明図である。
図4において、小束収納庫49(49a、49b、49c、49d)は、金種毎に複数配設され、上部に設けられた開口から小束紙幣を出し入れする先入れ後出しのスタッカ方式の小束紙幣の収納庫である。
なお、本実施例では、小束収納庫49aおよび小束収納庫49bは、万円紙幣を収納するように設定され、小束収納庫49cおよび小束収納庫49dは、千円紙幣を収納するように設定されているものとする。
【0021】
上述した構成の作用について説明する。
まず、現金処理装置および施封小束支払機が有する機能を
図1、
図2および
図3に基づいて説明する。
現金処理装置11は、紙幣入出金機2と施封小束支払機1とを組合せ、小束機械装填および自動施封並びに出金などの機能を有している。
小束機械装填は、紙幣入出金機2の入金口に投入したバラ紙幣を計数して施封小束支払機1に搬送し、100枚ずつ施封して施封小束支払機1の小束収納庫49に収納する機能である。
【0022】
自動施封は、紙幣入出金機2の金種毎の紙幣の枚数が予め設定された一定枚数に達すると自動的に施封小束支払機1に搬送し、100枚ずつ施封して施封小束支払機1の小束収納庫49に収納する機能である。
出金は、施封小束支払機1の小束収納庫49に収納された小束紙幣を昇降可能なステージにより上昇させ、小束ハンド・プッシャ50に渡し、小束ハンド・プッシャ50によりエレベータ部47へ搬送して出金口48から放出する機能である。
また、施封小束支払機1単体では、小束紙幣の手装填や自動精査が可能である。
【0023】
手装填は、オペレータの操作により、施封小束支払機1の小束収納庫49を開けてオペレータが小束紙幣を直接、小束収納庫49に入れる業務である。
自動精査は、施封小束支払機1が小束収納庫49に収納されている小束紙幣の数を図示しないセンサ等により計数する業務である。この自動精査の方式は、一般的に小束紙幣を移動させないでセンサ等で小束紙幣の数を数えるセンサ方式と、小束紙幣を一つずつ他の小束収納庫49に移動させて計数する移動方式とがある。
センサ方式の場合は、小束紙幣の金種判別は行わないが、短時間で精査が可能なので、外扉の開閉の都度、この自動精査を行い、常に小束紙幣の数が確定した状態に保持することが可能である。
【0024】
一方、移動方式の場合は、小束紙幣の金種判別を行うが精査に長い時間を必要とするため、センサ方式のように外扉の開閉の都度の精査は出来ない。また、小束紙幣の最上位の紙幣の金種を鑑別するのみで、小束紙幣の束内の紙幣までは鑑別できない。小束紙幣の束数は確定できるが、例えば小束紙幣の中の紙幣の一部を他の金種の紙幣に入れ替えたり、紙幣と同じ大きさに切り揃えた紙と入れ替えたりしても施封小束支払機1としては識別できない。施封小束支払機1は、一般に後入れ先出しのスタッカ方式のため、最上位を除く下位の小束紙幣を不正な小束紙幣と入れ替えても発覚しにくい。
このようなことから、上記どちらの方式の場合も、不正を防止するため、小束紙幣の手装填を制限している場合が多い。
【0025】
金融機関では、現金処理装置11の施封小束支払機1が管理している小束紙幣の有り高と現物の小束紙幣とが合致しているか否かを確認するため定期的に精査業務を行うように定めている。
この精査業務は、自動精査のみではなく、小束収納庫49を開けてオペレータが現物を確認して小束紙幣の束数を数える「目視確認」や、一旦すべての小束紙幣を回収する「全回収」を併用する場合が多い。目視確認や全回収を行えば確実に現物を確認できるが、手間と時間がかかるため、実施していない金融機関もある。
そこで、本実施例では、施封小束支払機1の小束収納庫49に一定期間以上滞留した小束紙幣があることを役席者に知らせ、自動精査のみの運用でも必要時にチェックを促すようにしている。
【0026】
第1の記憶部7内に、施封小束支払機1の小束収納庫49と同様の構成とし、小束紙幣毎に、小束収納庫49に収納された日付を記憶する収納日付記憶領域を設け、制御部10は小束紙幣が小束収納庫49に収納されたとき、収納された日付を小束紙幣毎に収納日付記憶領域に記憶する。
また、制御部10は小束紙幣が小束収納庫49から出金されたとき、当該小束紙幣に対応する収納日付を第1の記憶部7内の収納日付記憶領域から消去する。
図5は第1の実施例における小束収納庫への収納日付の保存例を示す説明図であり、第1の記憶部7内の収納日付記憶領域を示している。
【0027】
収納日付記憶領域51は、収納日付記憶領域51a、51b、51c、51dにより構成され、収納日付記憶領域51aは小束収納庫49aに収納されている小束紙幣の収納日付を記憶し、収納日付記憶領域51bは小束収納庫49bに収納されている小束紙幣の収納日付を記憶し、収納日付記憶領域51cは小束収納庫49cに収納されている小束紙幣の収納日付を記憶し、収納日付記憶領域51dは小束収納庫49dに収納されている小束紙幣の収納日付を記憶している。なお、収納日付記憶領域51は、小束収納庫49に収納可能な小束紙幣の数に対応する記憶領域を確保しているものとする。
【0028】
図5に示す例では、小束収納庫49aに収納されている小束紙幣の収納日付は、最下位から順に「2012年9月1日」、「2012年9月3日」、「2012年9月5日」、「2012年9月10日」、「2012年9月10日」であることが、収納日付記憶領域51に記憶されていることを表している。
通常、現金処理装置11では電源投入時の業務開始前に役席者の承認を必要とするが、このとき、制御部10は第1の記憶部7内の収納日付記憶領域を確認し、予め設定した所定期間、例えば1ヶ月以上、施封小束支払機1の小束収納庫49内に滞留している小束紙幣の有無のチェックを行う。
【0029】
制御部10は、1ヶ月以上、施封小束支払機1の小束収納庫49内に滞留している小束紙幣が存在することを検知した場合には注意メッセージを表示部5に表示して役席者に確認を促す。
制御部10が表示部5に表示する注意メッセージは、例えば
図6に示すように、「小束金庫滞留 小束金庫に滞留している小束があります。収納庫○を確認してください。」等で構成されたものである。
【0030】
図5に示す例において、2012年10月1日に現金処理装置11が電源投入されたとき、制御部10は第1の記憶部7内の収納日付記憶領域51を確認し、施封小束支払機1の小束収納庫49内に1ヶ月以上滞留している小束紙幣の有無をチェックし、収納日付記憶領域51a、すなわち小束収納庫49a(収納庫A)の最下位(最上位から5束目)に収納されている小束紙幣が1ヶ月以上滞留していることを検知する。
このとき、制御部10は、「小束金庫滞留 小束金庫に滞留している小束があります。収納庫Aを確認してください。」等のメッセージを表示する。
【0031】
このように、現金処理装置11は、小束紙幣を先入れ後出し方式で収納する施封小束支払機1の小束収納庫49、および小束収納庫49に収納した小束紙幣と収納した日付とを対応させた収納日付記憶領域51を記憶する第1の記憶部7を備え、制御部10が第1の記憶部7に記憶された収納日付記憶領域51の日付を検索し、所定期間を超えて小束収納庫49に収納されている小束紙幣の存在を検知したとき、表示部5に警告を表示する。
また、現金処理装置11がネットワークに接続されている出納機の場合は、ネットワーク上の通信により、管理端末または上位システムにアラームを上げるようにしてもよい。この場合は、支店以外の人間がチェックすることが可能となるため、万一役席者が不正をしている場合でも発見が可能となる。
【0032】
以上説明したように、第1の実施例では、制御部が第2の記憶部内の収納日付記憶領域を確認し、予め設定した所定期間を超えて施封小束支払機の小束収納庫内に滞留している小束紙幣の有無の確認を行い、所定期間を超えて小束収納庫内に滞留している小束紙幣が存在することを検知した場合には注意メッセージを表示部に表示するようにしたことにより、不正な小束紙幣を早期に発見することができるという効果が得られる。
また、施封小束支払機の小束収納庫内に滞留している小束紙幣を適切なタイミングで確認を促すことができ、効果的な運用が可能になるという効果が得られる。
【実施例2】
【0033】
第2の実施例の構成は、
図1〜
図6に示す第1の実施例の構成と同様であるのでその説明を省略する。
第2の実施例の構成の作用について説明する。
第2の実施例の現金処理装置の作用は第1の実施例と同様であるが、第2の実施例では、施封小束支払機が小束紙幣を小束収納庫に収納するときの動作の制御および小束紙幣を小束収納庫から出金するときの動作の制御が異なっている。
その第2の実施例の施封小束支払機の動作を
図3に基づいて説明する。
【0034】
施封小束支払機1の小束収納庫49は、小束収納庫49aおよび小束収納庫49bに万円紙幣、小束収納庫49cおよび小束収納庫49dに千円紙幣を割り当てる場合や、小束収納庫49aおよび小束収納庫49bに万円紙幣、小束収納庫49cに五千円紙幣、小束収納庫49dに千円紙幣を割り当てる場合等、支払の多い万円紙幣の小束紙幣に2つ以上の小束収納庫49を割り当てている場合が多い。
【0035】
この場合、制御部10は、施封小束支払機1により小束紙幣を小束収納庫49に収納するとき、収納対象の小束紙幣の金種を収納すべき小束収納庫49に対応する第1の記憶部7の収納日付記憶領域を検索し、最下位に収納された小束紙幣の収納日付が最も新しい日付を記憶している小束収納庫49を抽出し、抽出した小束収納庫49に小束紙幣を収納する。
一方、制御部10は、施封小束支払機1により小束紙幣を小束収納庫49から出金するとき、出金対象の小束紙幣の金種を収納している小束収納庫49に対応する第1の記憶部7の収納日付記憶領域を検索し、最下位に収納された小束紙幣の収納日付が最も古い日付を記憶している小束収納庫49を抽出し、抽出した小束収納庫49から小束紙幣を出金する。
【0036】
例えば、小束収納庫49aおよび小束収納庫49bに万円紙幣を収納するように設定され、小束収納庫49cおよび小束収納庫49dに千円紙幣を収納するように設定され、さらに
図5に示すように、収納日付記憶領域51に収納日付が記憶されている場合において、制御部10は、施封小束支払機1により万円紙幣の小束紙幣を小束収納庫49に収納するとき、第1の記憶部7の収納日付記憶領域51(51a、51b)を検索し、最下位に収納された小束紙幣の収納日付が最も新しい日付を記憶している小束収納庫49bを抽出し、抽出した小束収納庫49bに小束紙幣を収納する。なお、空の小束収納庫49がある場合には、最優先で空の小束収納庫49に小束紙幣を収納するようにしても良い。
【0037】
一方、制御部10は、施封小束支払機1により万円紙幣の小束紙幣を小束収納庫49から出金するとき、第1の記憶部7の収納日付記憶領域51(51a、51b)を検索し、最下位に収納された小束紙幣の収納日付が最も古い日付を記憶している小束収納庫49aを抽出し、抽出した小束収納庫49aから小束紙幣を出金する。
【0038】
このように、本実施例では、同一金種の小束紙幣を収納する複数の小束収納庫49と、その小束収納庫49毎に、収納した日付を記憶する収納日付記憶領域51を有する第2の記憶部とを設け、制御部10は、収納日付記憶領域51に記憶された日付を検索し、最下位に収納されている小束紙幣の収納日付が最も新しい日付を記憶している小束収納庫49を抽出し、その小束収納庫49に小束紙幣を収納する。
また、制御部10は、収納日付記憶領域51に記憶された日付を検索し、最下位に収納されている小束紙幣の収納日付が最も古い日付を記憶している小束収納庫49を抽出し、その小束収納庫49から小束紙幣を出金する。
【0039】
このようにすることにより、各小束収納庫49では後入れ先出しであるが、小束収納庫49間で見ると先に収納した小束紙幣を先に出金することにつながり、小束紙幣の滞留期間を短くすることができる。
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、施封小束支払機の小束収納庫に収納されている小束紙幣の滞留期間を短くすることができ、不正な小束紙幣を早期に発見することができるという効果が得られる。
【実施例3】
【0040】
第3の実施例の構成は、
図1〜
図6に示す第1の実施例の構成と同様であるのでその説明を省略する。
第3の実施例の構成の作用について説明する。
第3の実施例の現金処理装置の作用は第1の実施例と同様であるが、第3の実施例では、施封小束支払機が行う移動方式の自動精査の動作の制御が異なっている。
その第3の実施例の施封小束支払機の動作を
図3、および
図7〜
図10に基づいて説明する。
【0041】
施封小束支払機1の小束収納庫49は、小束収納庫49aおよび小束収納庫49bに万円紙幣、小束収納庫49cおよび小束収納庫49dに千円紙幣を割り当てる場合や、小束収納庫49aおよび小束収納庫49bに万円紙幣、小束収納庫49cに五千円紙幣、小束収納庫49dに千円紙幣を割り当てる場合等、支払の多い万円紙幣の小束紙幣に2つ以上の小束収納庫49を割り当てている場合が多い。
【0042】
この場合、移動方式の自動精査の際、同一金種の紙幣が割り当てられている複数の小束収納庫49のうち、一方の小束収納庫49に収納されている小束紙幣をすべて他方の小束収納庫49へ移動して一方の小束収納庫49を空にして精査庫として使用する。
一方の小束収納庫49に収納されている小束紙幣をすべて他方の小束収納庫49へ移動した後は、小束紙幣を他方の小束収納庫49へ移動したままとし、他方の小束収納庫49に収納された最上位の小束紙幣が最も古い日付の小束紙幣、最下位の小束紙幣が最も新しい日付の小束紙幣となるようにして古い小束紙幣が小束収納庫49内に滞留することを防止する。
【0043】
例えば、
図7に示すように小束収納庫49aに収納されている万円紙幣の小束紙幣を、
図9に示すようにすべて小束収納庫49bへ移動する。このとき、小束紙幣の移動前は、
図8に示すように、第1の記憶部7の収納日付記憶領域51aは最上位の小束紙幣が最も新しい日付(2012年9月10日)の小束紙幣、最下位の小束紙幣(
図7に示す小束紙幣71)が最も古い日付(2012年9月1日)の小束紙幣として記憶され、小束紙幣の移動後は、
図10に示すように、第1の記憶部7の収納日付記憶領域51bには最上位の小束紙幣が最も古い日付(2012年9月1日)の小束紙幣(
図9に示す小束紙幣71)、最下位の小束紙幣が最も新しい日付(2012年9月10日)の小束紙幣として記憶される。
【0044】
本実施例において、自動精査を行うとき、一方の小束収納庫49に収納されている小束紙幣をすべて他方の小束収納庫49へ移動した後、小束紙幣を他方の小束収納庫49へ移動したまま(例えば、小束収納庫49aから小束収納庫49bへ移動したまま)とするのは、小束収納庫49(例えば、小束収納庫49a)の最下位の小束紙幣の収納日付、すなわち第1の記憶部7の収納日付記憶領域51に記憶された日付が所定の期間を経過しているときとする。
【0045】
一方、小束収納庫49(例えば、小束収納庫49a)の最下位の小束紙幣の収納日付、すなわち第1の記憶部7の収納日付記憶領域51に記憶された日付が所定の期間を経過していないときは、一方の小束収納庫49に収納されている小束紙幣をすべて他方の小束収納庫49へ移動した後、すべての小束紙幣を他方の小束収納庫49から元の小束収納庫49へ戻す(例えば、小束収納庫49aから小束収納庫49bへ移動し、その後小束収納庫49bから小束収納庫49aへ戻す)通常の自動精査を行う。
なお、小束紙幣の上位と下位とを入れ替える動作は自動精査時ではなく、施封小束支払機1を使用していないときに定期的に行うようにしても良い。
【0046】
このように、本実施例では、同一金種の小束紙幣を収納する複数の小束収納庫49と、その小束収納庫49毎に、収納した日付を記憶する収納日付記憶領域51を有する第2の記憶部とを設け、制御部10は、自動精査を行うとき、小束収納庫49のうち一の小束収納庫49を空にし、収納日付記憶領域51に記憶された日付を検索し、最下位に収納されている小束紙幣の収納日付が所定期間を超えた日付を記憶している小束収納庫49を抽出し、その小束収納庫49からすべての小束紙幣を空の小束収納庫49へ移動したままとする。
【0047】
以上説明したように、第3の実施例では、第1の実施例の効果に加え、自動精査において、一方の小束収納庫に収納されている小束紙幣をすべて他方の小束収納庫へ移動した後は、小束紙幣を他方の小束収納庫へ移動したままとすることにより、収納日付の古い小束紙幣が小束収納庫内に滞留することを防止することができるという効果が得られる。
【実施例4】
【0048】
第4の実施例の構成は、
図1〜
図6に示す第1の実施例の構成と同様であるのでその説明を省略する。
第4の実施例の構成の作用について説明する。
第4の実施例の現金処理装置の作用は第1の実施例と同様であるが、第4の実施例では、施封小束支払機が行う移動方式の自動精査の動作の制御が異なっている。
その第4の実施例の施封小束支払機の動作を
図3、および
図11〜
図14に基づいて説明する。
【0049】
施封小束支払機1の小束収納庫49は、小束収納庫49aおよび小束収納庫49bに万円紙幣、小束収納庫49cおよび小束収納庫49dに千円紙幣を割り当てる場合や、小束収納庫49aおよび小束収納庫49bに万円紙幣、小束収納庫49cに五千円紙幣、小束収納庫49dに千円紙幣を割り当てる場合等、支払の多い万円紙幣の小束紙幣に2つ以上の小束収納庫49を割り当てている場合が多い。
【0050】
この場合、移動方式の自動精査の際、同一金種の紙幣が割り当てられている複数の小束収納庫49のうち、一つの小束収納庫49に収納されている小束紙幣をすべて他の小束収納庫49へ移動して一つの小束収納庫49を空にして精査庫として使用する。
自動精査を行った後は、小束紙幣を精査庫として使用した小束収納庫49へ移動したままとし、小束収納庫49に収納された最上位の小束紙幣が最も古い日付の小束紙幣になるようにして、古い小束紙幣が小束収納庫49内に滞留することを防止する。
【0051】
例えば、
図11に示すように、小束収納庫49aおよび小束収納庫49bに万円紙幣を収納するように設定され、小束収納庫49cおよび小束収納庫49dに千円紙幣を収納するように設定され、さらに
図12に示すように、収納日付記憶領域51に収納日付が記憶されている場合において、制御部10は、施封小束支払機1により自動精査を行うとき、第1の記憶部7の収納日付記憶領域51(51a、51b)を検索し、収納日付記憶領域51aの最下位の小束紙幣の収納日付(2012年9月1日)と収納日付記憶領域51bの最下位の小束紙幣の収納日付(2012年9月5日)を比較し、収納日付が新しい小束紙幣を収納している小束収納庫49(例えば、小束収納庫49b)を精査庫として使用する。
【0052】
制御部10は、収納日付が新しい小束紙幣を収納している小束収納庫49bを精査庫として使用するため、一旦小束収納庫49bに収納されている小束紙幣をすべて小束収納庫49aに移動させる。
制御部10は、空いた小束収納庫49bを使用して、小束収納庫49cおよび小束収納庫49dの自動精査を行う。制御部10は、最後に小束収納庫49aの小束紙幣を小束収納庫49bに移動させて自動精査を行うが、小束収納庫49bに移動させた小束紙幣は小束収納庫49aに戻さず、
図13に示すように、小束収納庫49bに移動させたままとする。
【0053】
このとき、自動精査による小束紙幣の移動前は、
図12に示すように、第1の記憶部7の収納日付記憶領域51aは最下位の小束紙幣(
図11に示す小束紙幣71)が最も古い日付(2012年9月1日)の小束紙幣として記憶され、自動精査による小束紙幣の移動後は、
図14に示すように、第1の記憶部7の収納日付記憶領域51bには最上位の小束紙幣が最も古い日付(2012年9月1日)の小束紙幣(
図13に示す小束紙幣71)として記憶される。
【0054】
また、本実施例において、同一金種の小束紙幣を収納する2つの小束収納庫のうち、一つの小束収納庫が自動精査開始時から空の場合には、制御部10は、収納されている小束紙幣の最下位の収納日付と最上位の収納日付を比較し、最下位の収納日付の方が古い場合には、小束紙幣を空の小束収納庫へ移動した後、移動した小束紙幣を元の小束収納庫に戻さないようにする。また、最上位の収納日付の方が古い場合には、小束紙幣を空の小束収納庫へ移動した後、移動した小束紙幣を元の小束収納庫に戻すようにする。
【0055】
例えば、
図13および
図14に示す状態で再度自動精査を起動した場合には、小束収納庫49bに収納されている小束紙幣のうち、最上位の小束紙幣の収納日付(収納日付記憶領域51bの最上位に記憶された2012年9月1日)が最下位の小束の収納日付(収納日付記憶領域51bの最下位に記憶された2012年9月5日)より古いので、小束収納庫49aを精査庫として自動精査を行った後、移動した小束紙幣を小束収納庫49bに戻して終了する。
【0056】
また、本実施例において、
図15および
図16に示すように、同一金種の小束紙幣を収納する小束収納庫が3つ存在する場合には、収納されている小束紙幣の最下位の収納日付が2番目に古い小束収納庫49bを精査庫として使用する。この場合、収納されている小束紙幣の最下位の収納日付が最も新しい小束収納庫49cは、自動精査後に元の小束収納庫49cに小束紙幣を戻し、最後に、収納されている小束紙幣の最下位の収納日付が最も古い小束収納庫49aの自動精査を行い、小束紙幣を精査庫としての小束収納庫49bに移動したままとする。
なお、小束紙幣の上位と下位とを入れ替える動作は自動精査時ではなく、施封小束支払機1を使用していないときに定期的に行うようにしても良い。
【0057】
このように、本実施例では、同一金種の小束紙幣を収納する複数の小束収納庫49と、その小束収納庫49毎に、収納した日付を記憶する収納日付記憶領域51を有する第2の記憶部とを設け、制御部10は、自動精査を行うとき、収納日付記憶領域51に記憶された日付を検索し、最下位に収納されている小束紙幣の収納日付が、最も古い日付を記憶している第1の小束収納庫49およびを最も新しい日付を記憶している第2の小束収納庫49を抽出し、最も古い日付を記憶している第1の小束収納庫49に収納されているすべての小束紙幣を最も新しい日付を記憶している第2の小束収納庫49へ移動したままとする。
【0058】
また、制御部10は、自動精査を行うとき、小束収納庫49のうち空の小束収納庫49が存在する場合、収納日付記憶領域51に記憶された日付を検索し、最下位に収納されている小束紙幣の収納日付と最上位に収納されている小束紙幣の収納日付とを比較し、最上位の収納日付が最下位の収納日付より古い小束収納庫49の場合は、該小束収納庫49からすべての小束紙幣を空の小束収納庫49へ移動した後、その小束紙幣を元の小束収納庫49へ戻し、最下位の収納日付が最上位の収納日付より古い小束収納庫49の場合は、その小束収納庫49からすべての小束紙幣を空の小束収納庫49へ移動したままとする。
【0059】
以上説明したように、第4の実施例では、第1の実施例の効果に加え、自動精査において、最下位に収納されている小束紙幣の収納日付が最も古い日付を記憶している小束収納庫に収納されたすべての小束紙幣を、最下位に収納されている小束紙幣の収納日付が最も新しい日付を記憶している小束収納庫へ移動したままとすることにより、収納日付の古い小束紙幣が小束収納庫内に滞留することを防止することができるという効果が得られる。
【0060】
なお、第1の実施例、第2の実施例、第3の実施例および第4の実施例では、
図1に示す現金処理装置11内の制御部10が第1の記憶部7の収納日付記憶領域を管理するものとして説明したが、それに限られることなく、制御部10および第1の記憶部7を施封小束支払機1に備え、その制御部10により第1の記憶部7の収納日付記憶領域を管理するようにしても良い。
また、第1の実施例、第2の実施例、第3の実施例および第4の実施例を組み合わせて兼ね備えるようにしても良い。