(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1つ以上の積層構造における少なくとも1つの積層構造に形成された前記導電層は、前記第1の接続導電部と前記第2の接続導電部との間を繋ぐ帯状をなす複数の帯部を含む、請求項1に記載の熱電モジュール。
前記第1の接続導電部および前記第2の接続導電部は、前記電気抵抗層と、前記第1の絶縁層と、前記第2の絶縁層と、前記第1の半導体層と、前記第2の半導体層との少なくとも1つを構成する成分の少なくとも1つを含有する、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の熱電モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0023】
A.第1実施形態:
A1.熱電装置の構成:
図1は、熱電装置10の構成を模式的に示す説明図である。熱電装置10は、熱電モジュール110を用いて発電する装置である。熱電モジュール110は、ゼーベック効果によって熱エネルギを電力エネルギに変換する。本実施形態では、熱電装置10における熱電モジュール110は、熱源90から熱エネルギを得ることが可能に配置される。
【0024】
熱電装置10は、熱電モジュール110の他、電力調整部130と、電力出力部180とを備える。熱電装置10の電力調整部130は、熱電モジュール110によって得られた電力エネルギを、必要に応じて調整する(例えば、電圧の変換、交流電力への変換など)。熱電装置10の電力出力部180は、電力調整部130によって調整された電力を、充電、放電、パルス供給などの必要に応じた態様で、熱電装置10の外部に出力する。
【0025】
A2.熱電モジュールの構成:
図2は、熱電モジュール110の詳細構成を示す説明図である。
図2には、相互に直交するXYZ軸を図示した。
図2のXYZ軸は、他の図におけるXYZ軸に対応する。
【0026】
熱電モジュール110は、1つ以上の積層構造20を備える。本実施形態では、熱電モジュール110は、複数の積層構造20を備える。他の実施形態では、熱電モジュール110は、1つの積層構造20のみを備えても良い。
【0027】
熱電モジュール110の積層構造20は、複数の層が積層された構造である。本実施形態では、熱電モジュール110における複数の積層構造20は、Y軸に沿って積層されており、複数の積層構造20の各々における複数の層は、Y軸に沿って積層されている。積層構造20の詳細については後述する。
【0028】
熱電モジュール110の外形は、直方体をなす。熱電モジュール110は、直方体を構成する6つの面として、第1面111と、第2面112と、第3面113と、第4面114と、第5面115と、第6面116とを備える。
【0029】
熱電モジュール110における第1面111および第2面112は、Z軸上で相互に背向する面である。本実施形態では、Z軸に沿ったZ軸方向のうち、+Z軸方向は、第2面112から第1面111に向かう方向であり、−Z軸方向は、+Z軸方向の反対方向である。本実施形態では、第1面111は、熱源90に向けて配置される面であり、第2面112は、熱源90から離して配置される面である。Z軸方向は、積層構造20を構成する各層の面に沿った面内方向である。
【0030】
熱電モジュール110における第3面113および第4面114は、Y軸上で相互に背向する面である。本実施形態では、Y軸に沿ったY軸方向のうち、+Y軸方向は、第4面114から第3面113に向かう方向であり、−Y軸方向は、+Y軸方向の反対方向である。本実施形態では、第3面113および第4面114の各々は、Y軸方向における複数の積層構造20における最外面である。Y軸方向は、積層構造20を構成する各層が積層された積層方向である。
【0031】
熱電モジュール110における第5面115および第6面116は、X軸上で相互に背向する面である。本実施形態では、X軸に沿ったX軸方向のうち、+X軸方向は、第6面116から第5面115に向かう方向であり、−X軸方向は、+X軸方向の反対方向である。本実施形態では、第5面115および第6面116の各々は、X軸方向における複数の積層構造20における最外面である。X軸方向は、積層構造20を構成する各層の面に沿った面内方向である。
【0032】
図2に示すように、熱電モジュール110の積層構造20は、複数の層として、第1層21と、第2層22と、第3層23と、第4層24と、第1層21とが、順に積層された構造である。本実施形態では、相互に隣接する積層構造20同士は、1つの第1層21を共有する。
【0033】
積層構造20の第1層21は、半導体層310によって構成される。積層構造20の第2層22は、絶縁層320と、接続導電部330によって構成される。積層構造20の第3層23は、導電層350と、電気抵抗層360によって構成される。積層構造20の第4層24は、絶縁層370と、接続導電部380とによって構成される。
【0034】
第3層23の導電層350は、導電体からなる。導電層350は、Z軸に沿って第1面111と第2面112との間に形成されている。導電層350は、接続導電部330から接続導電部380に至る複数の経路を構成する形状をなす。導電層350の詳細については後述する。
【0035】
第3層23の電気抵抗層360は、導電層350よりも高い電気抵抗率を有する。電気抵抗層360は、第3層23において導電層350に隣接する領域に形成されている。本実施形態では、電気抵抗層360の熱伝導率は、導電層350よりも低い。
図2では、電気抵抗層360には模様が施されている。
【0036】
第2層22の絶縁層320は、積層構造20における−Y軸方向側に位置する第1の絶縁層であり、第4層24の絶縁層370は、積層構造20における+Y軸方向側に位置する第2の絶縁層である。絶縁層320および絶縁層370は、絶縁体からなり、第3層23における導電層350および電気抵抗層360を間に挟み込む状態で積層されている。
図2では、絶縁層320および絶縁層370には模様が施されている。
【0037】
第2層22の接続導電部330は、導電体からなり、第2層22における+Z軸方向側に形成されている。接続導電部330は、積層構造20において−Y軸方向側に位置する半導体層310と、導電層350との間を接続する第1の接続導電部である。
【0038】
第4層24の接続導電部380は、導電体からなり、第4層24における−Z軸方向側に形成されている。接続導電部380は、積層構造20において+Y軸方向側に位置する半導体層310と、導電層350との間を接続する第2の接続導電部である。
【0039】
積層構造20は、第1の半導体層として−Y軸方向側に位置する半導体層310と、第2の半導体層として+Y軸方向側に位置する半導体層310とを含む。半導体層310は、他の半導体層310と相互に同一の極性を有する半導体からなる。1つの積層構造20における2つの半導体層310は、絶縁層320および絶縁層370を間に挟み込む状態で積層されている。
【0040】
本実施形態では、第3面113は、第2層22によって構成され、第4面114は、第4層24によって構成される。他の実施形態では、第3面113および第4面114は、第1層21と、第2層22と、第3層23と、第4層24とのいずれの層によって構成されてもよい。
【0041】
熱電モジュール110は、積層構造20の他、電極410,420を備える。熱電モジュール110の電極410,420は、積層構造20における半導体層310に発生する起電力を取り出し可能に構成されている。電極410は、第3面113を構成する層に接続された導体である。電極420は、第4面114を構成する層に接続された導体である。本実施形態では、電極410は、第3面113に配置され、電極410は、第4面114に配置されている。他の実施形態では、電極410,420は、第3面113と、第4面114と、第5面115と、第6面116との少なくとも1つに配置されてもよい。
【0042】
図3は、導電層350の詳細構成を示す説明図である。
図3には、−Y軸方向からみた導電層350および電気抵抗層360が、Y軸方向に沿って投影した接続導電部330,380と共に図示されている。
図3では、電気抵抗層360には模様が施され、接続導電部330,380にはハッチングが施されている。
【0043】
導電層350は、接続導電部330と接続導電部380との間を繋ぐ帯状をなす2つの帯部351,352を含む。本実施形態では、帯部351,352は、第1面111から第2面112にわたってZ軸に沿って延びた状態で配置されている。本実施形態では、帯部351,352の幅は、第1面111から第2面112にわたって同じである。本実施形態では、帯部351は、−X軸方向側に位置し、帯部352は、+X軸方向側に位置する。本実施形態では、電気抵抗層360は、第6面116と帯部351との間と、帯部351と帯部352との間と、帯部352と第5面115との間とに、それぞれ形成されている。
【0044】
図4は、熱電モジュール110の性能指数Zを示すグラフである。
図4のグラフは、縦軸に性能指数Zをとり、横軸に、Z軸方向からみた半導体層310の断面積A1に対する導電層350の断面積A2の比(A2/A1)をとることによって、性能指数Zと比(A2/A1)との関係を示す。
【0045】
図22は、熱電モジュール110の断面を示す説明図である。
図22の断面は、X軸およびY軸に沿った平面に沿ってZ軸方向における中央において切断された熱電モジュール110を+Z軸方向から見た構造を示す。半導体層310の断面積A1は、熱電モジュール110において1つの層を構成する半導体層310の断面積である。導電層350の断面積A2は、熱電モジュール110において1つの層を構成する導電層350の第1面111と第2面112との間の全域における断面積の平均値である。本実施形態では、導電層350は、1つの層において2つの部位に存在し、断面積A2は、これら2つの部位の断面積A2aと断面積A2bとを合計した値である。
【0046】
性能指数Zに関する各パラメータ
S1…半導体層310のゼーベック係数
S2…導電層350のゼーベック係数
κ1…半導体層310の熱伝導率
κ2…導電層350の熱伝導率
ρ1…半導体層310の体積抵抗率
ρ2…導電層350の体積抵抗率
L…熱電モジュール110の高さ(Z軸方向に沿った長さ)
R…熱電モジュール110の全抵抗
K…熱電モジュール110の熱コンダクタンス
Zmax…性能指数Zの最大値
【0052】
図4のグラフにおいて比(A2/A1)が小さくなる側での性能指数Zの低下は、熱電モジュール110における電気抵抗が大きくなることに起因する。A1/ρ1≦A2/ρ2を満たす場合、熱電モジュール110の電気抵抗が抑制され、最適な比(A2/A1)で作製した場合の最大値Zmaxの50%を超える性能指数Zを得ることができる。
【0053】
図4のグラフにおいて比(A2/A1)が大きくなる側での性能指数Zの低下は、第1面111と第2面112との間の熱伝導率が大きくなることに起因する。κ1・A1≧κ2・A2を満たす場合、第1面111と第2面112との間の熱伝導率が抑制され、最適な比(A2/A1)で作製した場合の最大値Zmaxの50%を超える性能指数Zを得ることができる。
【0054】
A3.熱電モジュールの製造方法:
図5は、熱電モジュール110の製造方法を示す工程図である。
図6は、熱電モジュール110を製造する様子を示す説明図である。
図7は、熱電モジュール110を製造する様子を示す説明図である。
【0055】
熱電モジュール110を製造する際には、まず、製造者は、半導体シート312を作製する(工程P110)。半導体シート312は、熱電用半導体粉末から生成され、半導体層310の元となる。
【0056】
半導体シート312を作製する際には、製造者は、熱電用半導体粉末と有機溶剤と分散剤とを、混合用の玉石と共にポットミル機によって混合する。これによって、熱電用半導体粉末が有機溶剤に分散した分散混合液が得られる。
【0057】
熱電用半導体粉末は、高温大気中で安定性の高い酸化物熱電材料が好ましい。本実施形態では、熱電用半導体粉末は、Ca3Co4O9であり、CaCO3とCo2O3とをCa3Co4O9となるモル比にて混合し850℃で5時間焼成したものである。有機溶剤は、トルエン、キシレンなどの比較的に揮発性が高い溶剤であればよく、本実施形態では、エチルアルコールである。
【0058】
本実施形態では、製造者は、60質量%の熱電用半導体粉末と、39質量%の有機溶剤と、1質量%の分散剤とを混合することによって、分散混合液を生成する。熱電用半導体粉末の分量は、40〜75質量%であればよい。有機溶剤の分量は、20〜60質量%であればよい。分散剤の分量は、0.5〜5質量%であればよい。分散混合液を生成する際の混合時間は、0.5〜30時間であればよく、本実施形態では、5時間である。
【0059】
分散混合液を得た後、製造者は、分散混合液にワニス(バインダ、可塑剤、有機溶剤を含有)を添加し、この分散混合液をポットミル機によって混合する。これによって、半導体シート312を作製するためのスラリが得られる。
【0060】
ワニスに含まれるバインダは、ブチラール系、セルロース系などでもよく、本実施形態では、ブチラール系(商品名:BM−2)である。ワニスに含まれるバインダの分量は、1〜15質量%であればよく、本実施形態では、3.2質量%である。
【0061】
ワニスに含まれる可塑剤は、フタル酸系(フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジイソオクチル(DIOP)、フタル酸ジブチル(DBP)など)であればよく、本実施形態では、フタル酸ジオクチル(DOP)である。ワニスに含まれる可塑剤の分量は、0.3〜8質量%であればよく、本実施形態では、1.1%である。
【0062】
本実施形態では、製造者は、81質量%の分散混合液と、19質量%のワニスとを混合することによって、スラリを生成する。分散混合液の分量は、70〜90質量%であればよい。ワニスの分量は、10〜30質量%であればよい。スラリを生成する際の混合時間は、0.5〜30時間であればよく、本実施形態では、5時間である。
【0063】
スラリを得た後、製造者は、シート成形法を用いてスラリから半導体シート312を作製する。本実施形態では、半導体シート312を作製するシート成形法は、ドクターブレード法である。他の実施形態では、半導体シート312を作製するシート成形法は、押出成形法であってもよい。半導体シート312は、後工程に適した大きさに成形され、本実施例では、半導体シート312の厚さは、0.5mm(ミリメートル)、すなわち、500μm(マイクロメートル)である。
【0064】
図5の説明に戻り、半導体シート312を作製した後(工程P110)、製造者は、絶縁層320と接続導電部330とを半導体シート312に形成することによって、必要な数に応じた複数の第1の中間品31を作製する(工程P120)。本実施形態では、半導体シート312の一方の面に、絶縁層320と接続導電部330とが形成される。絶縁層320と接続導電部330とを形成する順序については、絶縁層320が先に形成されても、接続導電部330が先に形成されてもよく、絶縁層320と接続導電部330とが同時に形成されてもよい。本実施形態では、製造者は、複数の第1の中間品31が面内方向に連続して形成された中間品を作製する。他の実施形態では、製造者は、第1の中間品31を1つずつ作製してもよい。
【0065】
本実施形態では、絶縁層320が形成された後、接続導電部330が形成される。半導体シート312は、
図6(A)に示す状態から、絶縁層320が形成された
図6(B)の状態となった後、接続導電部330が形成された
図6(C)の状態となる。これによって、第1の中間品31が作製される。本実施形態では、後述するように、第1の中間品31を逆向きに利用することによって、第1の中間品31における絶縁層320は、絶縁層370として機能し、第1の中間品31における接続導電部330は、接続導電部380として機能する。
【0066】
絶縁層320の材料は、絶縁体であればよく、本実施形態では、シリカ系のガラス(SiO2−CaO−BaO)である。本実施形態では、絶縁層320は、印刷法によって半導体シート312に形成される。本実施形態では、絶縁層320を形成する印刷法は、スクリーン印刷である。本実施形態では、絶縁層320のスクリーン印刷には、ガラス材料を溶剤およびバインダと混練した印刷用ペーストが用いられる。
【0067】
絶縁層320の厚さは、電気絶縁性および印刷性の観点から、0.1〜100μmが好ましく、1〜30μmがより好ましい。本実施形態では、絶縁層320の厚さは、0.04mm(40μm)である。
【0068】
他の実施形態では、絶縁層320を形成する印刷法は、メタルマスク印刷であってもよい。他の実施形態では、絶縁層320は、印刷法を用いて形成するのではなく、シート成形法によって作製した絶縁体シートを半導体シート312に積層することによって形成されてもよい。
【0069】
接続導電部330の材料は、導電体(例えば、Ag,Au,Pt,Cu,Pd,Niなどの金属材料の少なくとも1つ)であればよく、本実施形態では、銀(Ag)である。本実施形態では、接続導電部330は、印刷法によって半導体シート312に形成される。本実施形態では、接続導電部330を形成する印刷法は、スクリーン印刷である。本実施形態では、接続導電部330のスクリーン印刷には、Agをペースト化した印刷用ペーストが用いられる。接続導電部330の厚さは、絶縁層320と同じ厚さであり、本実施形態では、0.04mm(40μm)である。
【0070】
他の実施形態では、接続導電部330を形成する印刷法は、メタルマスク印刷であってもよい。他の実施形態では、接続導電部330は、印刷法を用いて形成するのではなく、シート成形法によって作製した導電体シートを半導体シート312に積層することによって形成されてもよい。
【0071】
図5の説明に戻り、第1の中間品31を作製した後(工程P120)、製造者は、導電層350と電気抵抗層360とを第1の中間品31に形成することによって、必要な数に応じた複数の第2の中間品32を作製する(工程P130)。本実施形態では、第1の中間品31における絶縁層320および接続導電部330の上に、導電層350と電気抵抗層360とが形成される。導電層350と電気抵抗層360とを形成する順序については、導電層350が先に形成されても、電気抵抗層360が先に形成されてもよく、導電層350と電気抵抗層360とが同時に形成されてもよい。本実施形態では、製造者は、複数の第2の中間品32が面内方向に連続して形成された中間品を作製する。他の実施形態では、製造者は、第2の中間品32を1つずつ作製してもよい。
【0072】
本実施形態では、導電層350が形成された後、電気抵抗層360が形成される。第1の中間品31は、
図6(C)に示す状態から、導電層350が形成された
図6(D)の状態となった後、電気抵抗層360が形成された
図6(E)の状態となる。これによって、第2の中間品32が作製される。
【0073】
導電層350の材料は、導電体(例えば、Ag,Au,Pt,Cu,Pd,Niなどの金属材料の少なくとも1つ)であればよく、本実施形態では、銀(Ag)である。本実施形態では、導電層350は、印刷法によって第1の中間品31に形成される。本実施形態では、導電層350を形成する印刷法は、スクリーン印刷である。本実施形態では、導電層350のスクリーン印刷には、Agをペースト化した印刷用ペーストが用いられる。
【0074】
導電層350は、前述したように、接続導電部330から接続導電部380に至る複数の経路を構成するように形成される。導電層350は、前述したように、A1/ρ1≦A2/ρ2、κ1・A1≧κ2・A2を満たすことが好ましい。本実施形態では、導電層350の厚さは、0.02mm(20μm)である。
【0075】
他の実施形態では、導電層350を形成する印刷法は、メタルマスク印刷であってもよい。他の実施形態では、導電層350は、印刷法を用いて形成するのではなく、シート成形法によって作製した導電体シートを第1の中間品31に積層することによって形成されてもよい。
【0076】
電気抵抗層360の材料は、導電層350よりも高い電気抵抗率を有すると共に、絶縁層320,370を構成する成分の少なくとも1つを含有する材料であればよく、本実施形態では、絶縁層320と同じシリカ系のガラス(SiO2−CaO−BaO)である。本実施形態では、電気抵抗層360は、印刷法によって第1の中間品31に形成される。本実施形態では、電気抵抗層360を形成する印刷法は、スクリーン印刷である。本実施形態では、電気抵抗層360のスクリーン印刷には、ガラス材料を溶剤およびバインダと混練した印刷用ペーストが用いられる。電気抵抗層360の厚さは、導電層350と同じ厚さであり、本実施形態では、0.02mm(20μm)である。
【0077】
他の実施形態では、電気抵抗層360を形成する印刷法は、メタルマスク印刷であってもよい。他の実施形態では、電気抵抗層360は、印刷法を用いて形成するのではなく、シート成形法によって作製した絶縁体シートを第1の中間品31に積層することによって形成されてもよい。
【0078】
図5の説明に戻り、第2の中間品32を作製した後(工程P130)、製造者は、熱電モジュール110の仕様に応じた数量の第1の中間品31と第2の中間品32とを熱圧着することによって、複数の積層体33が連続して形成された第3の中間品を作製する(工程P140)。第3の中間品を作製した後(工程P140)、製造者は、第3の中間品から複数の積層体33を切り出すことによって、複数の積層体33を作製する(工程P145)。他の実施形態では、製造者は、1つずつ作製した第1の中間品31と第2の中間品32とを熱圧着することによって、積層体33を1つずつ作製してもよい。
【0079】
本実施形態では、
図7に示すように、第1の中間品31における接続導電部330の位置と、第2の中間品32における接続導電部330の位置とが逆になるように、第1の中間品31と第2の中間品32とは交互に積層される。本実施形態では、第1の中間品31における半導体シート312と、第2の中間品32における半導体シート312とは、相互に重なり合って1つの半導体層310を構成する。
【0080】
図5の説明に戻り、積層体33を作製した後(工程P145)、製造者は、積層体33を焼成することによって複数の積層構造20を同時に生成する(工程P150)。本実施形態では、製造者は、積層体33を脱脂した後、焼成を行う。脱脂の温度は200〜500℃、脱脂の時間は1〜100時間であればよく、本実施形態では、脱脂の温度は250℃であり、脱脂の時間は10時間である。焼成の温度は800〜950℃、焼成の時間は1〜50時間であればよく、本実施形態では、焼成の温度は850℃であり、焼成の時間は5時間である。
【0081】
積層体33を焼成した後(工程P150)、本実施形態では、製造者は、複数の積層構造20に電極410,420を取り付ける。これによって、熱電モジュール110が完成する。電極410,420は、電極410,420を形成する部位に塗布した導体ペーストを焼成することによって形成される。本実施形態では、電極410,420は、導電層350と同様に印刷法によって形成される。他の実施形態では、製造者は、電極410,420を形成する導体ペーストを積層体33に予め塗布した後、積層体33を焼成する際(工程P150)に、電極410,420を積層体33とともに焼成してもよい。
【0082】
A4.熱電モジュールの評価試験:
図8は、導電層350の経路数に関する評価試験の結果を示す表である。
図8の評価試験では、導電層350の経路数が1つの場合と、導電層350の経路数が2つの場合とについて、導電層350の電熱特性の変化を評価した。
【0083】
図9は、導電層350の経路数が1つである熱電モジュール110Aの構成を示す説明図である。熱電モジュール110Aは、導電層350の形状が異なる点を除き、導電層350の経路数が2つである熱電モジュール110(
図2および
図3)と同様である。熱電モジュール110Aの導電層350は、第1面111から第2面112にわたってZ軸に沿って延びた状態でX軸方向の中央に配置されており、第1面111から第2面112に至る経路数は1つである。熱電モジュール110Aでは、導電層350の幅は、第1面111から第2面112にわたって同じである。
【0084】
図8の評価試験における熱電モジュール110,110Aは、X軸方向の長さ10mm、Y軸方向の長さ10mm、Z軸方向の長さ5mmである。
図8の評価試験における熱電モジュール110,110Aでは、第1層21の厚さ500μm、第2層22の厚さ20μm、第3層23の厚さ10μmである。
【0085】
図8の評価試験における熱電モジュール110では、導電層350を構成する帯部351,352の各幅は0.5mmであり、帯部351は、第6面116から3mm離して配置されており、帯部352は、第5面115から3mm離して配置されている。
図8の評価試験における熱電モジュール110Aでは、導電層350の幅は1mmである。
図8の評価試験における熱電モジュール110と熱電モジュール110Aとの間で、導電層350の形成量は同じである。
【0086】
図8の評価試験では、試験者は、熱電モジュール110,110Aの各々について、第1面111を300℃に加熱すると共に、第2面112を水冷した状態で、第2面112における半導体層310の表面温度のうち最高温度Tmaxと最低温度Tminとを計測し、最高温度Tmaxと最低温度Tminとの温度差を算出した。
【0087】
図23は、熱電モジュール110の第2面112を示す説明図である。熱電モジュール110では、最高温度Tmaxは、半導体層310の表面のうち2つの導電層350に挟まれた位置PT1において計測され、最低温度Tminは、半導体層310の表面のうち導電層350よりも第6面116側に寄った位置PT2、または、第5面115側に寄った位置において計測された。熱電モジュール110Aでは、熱電モジュール110と同様に、最高温度Tmaxは、半導体層310の表面のうち2つの導電層350に挟まれた位置において計測され、最低温度Tminは、半導体層310の表面のうち導電層350よりも第6面116側に寄った位置、または、第5面115側に寄った位置において計測された。
【0088】
図8に示すように、導電層350の経路数が1つである熱電モジュール110Aよりも、導電層350の経路数が2つである熱電モジュール110の方が、半導体層310における温度差が緩和されることが確認された。したがって、熱膨張差に起因する層間剥離を防止する観点からも、導電層350の経路数を増やすことが効果的であることが分かる。
【0089】
A5.効果:
以上説明した第1実施形態によれば、絶縁層320と絶縁層370との間の第3層23に導電層350が分散した状態で配置されるため、絶縁層320および絶縁層370のほぼ全域にわたって導電層350が一面に形成されている場合と比較して、導電層350が配置された第3層23における絶縁層320および絶縁層370に対する密着性を向上させることができる。また、面内の一部分に導電層350が集中して形成される場合と比較して、導電層350の近傍に生じる熱膨張差を低減することができる。その結果、層間剥離による熱電モジュール110の損傷を抑制することができる。
【0090】
また、導電層350は、接続導電部330と接続導電部380との間を繋ぐ帯状をなす複数の帯部351,352を含むため、複数の経路を構成する形状をなす導電層350の容易な形成を可能にすることができる。
【0091】
また、積層構造20がA1/ρ1≦A2/ρ2を満たす場合には、半導体層310の電気抵抗よりも導電層350の電気抵抗が小さくなることによって、熱電モジュール110の電気抵抗が全体的に大きくなることによる発電効率の低下を抑えることができる。
【0092】
また、積層構造20がκ1・A1≧κ2・A2を満たす場合には、半導体層310の熱伝導量よりも導電層350の熱伝導量が小さくなることによって、熱電モジュール110の熱伝導率が大きくなることによる発電効率の低下を抑えることができる。
【0093】
また、電気抵抗層360の熱伝導率が導電層350よりも低くいため、絶縁層320および絶縁層370のほぼ全域にわたって導電層350が一面に形成されている場合と比較して、第1面111と第2面112との間における熱伝導が抑制されることによって、発電効率を向上させることができる。
【0094】
また、導電層350と、接続導電部330と、接続導電部380との各主成分は、同じ金属元素であるため、接続導電部330および接続導電部380に対する導電層350の密着性を向上させることができる。
【0095】
また、電気抵抗層360を構成する成分は、絶縁層320,370を構成する成分と同じであるため、絶縁層320,370に対する電気抵抗層360の密着性を向上させることができる。
【0096】
また、電極410が第3面113に配置され、電極420が第4面114に配置されているため、第1面111および第2面112に電極410,420が形成されている場合と比較して、熱源90に対する第1面111および第2面112の容易な配置を可能にすることができる。
【0097】
また、第1実施形態における熱電モジュール110の製造方法によれば、積層体33を焼成することによって1つ以上の積層構造20を同時に生成するため、層間剥離による損傷を抑制した熱電モジュール110を容易に製造することができる。
【0098】
A6.第1変形例:
導電層350は、電気抵抗層360と、絶縁層320と、絶縁層370との少なくとも1つを構成する成分の少なくとも1つを含有してもよい。これによって、共通の成分を含有する層に対する導電層350の密着性を向上させることができる。
【0099】
A7.第2変形例:
接続導電部330,380は、電気抵抗層360と、絶縁層320と、絶縁層370と、半導体層310との少なくとも1つを構成する成分の少なくとも1つを含有してもよい。これによって、共通の成分を含有する層に対する接続導電部330,380の各密着性を向上させることができる。例えば、接続導電部330,380は、半導体層310を構成するCa3Co4O9を5質量%含有する部位であってもよい。
【0100】
A8.第3変形例:
電気抵抗層360は、絶縁層320,370を構成する成分の少なくとも1つを含有すればよい。これによって、絶縁層320,370に対する電気抵抗層360の密着性を向上させることができる。例えば、絶縁層320,370がSiO2−CaO−BaOから形成される場合、電気抵抗層360は、SiO2とCaOとBaOとの少なくとも1つを含有すればよい。
【0101】
B.第2実施形態:
図10は、第2実施形態における熱電モジュール110Bの構成を示す説明図である。
図10には、第2実施形態における導電層350が、
図3と同様に図示されている。第2実施形態の熱電モジュール110Bは、導電層350の形状が異なる点を除き、第1実施形態の熱電モジュール110と同様である。
【0102】
第2実施形態における導電層350は、帯部351,352に加え、帯部353を備える点を除き、第1実施形態と同様である。第2実施形態における導電層350の帯部351,352は、第1の帯部および第2の帯部であり、帯部351に繋がる点を除き、第1実施形態と同様である。第2実施形態における導電層350の帯部353は、帯部351と帯部352との間を繋ぐ第3の帯部である。本実施形態では、帯部353は、帯部351の中央から帯部352の中央にわたってX軸に沿って延びた状態で配置されている。本実施形態では、帯部353の幅は、帯部351から帯部352にわたって同じである。
【0103】
以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、層間剥離による熱電モジュール110の損傷を抑制することができる。また、帯部351,352の一方が断線した場合であっても、帯部353によって導電層350全体の電気抵抗の増大が抑制されることによって、発電効率の低下を抑制することができる。第2実施形態は、他の実施形態やその変形例に適用可能である。
【0104】
C.第3実施形態:
図11は、第3実施形態における熱電モジュール110Cの構成を示す説明図である。
図11には、第3実施形態における導電層350が、
図3と同様に図示されている。第3実施形態の熱電モジュール110Cは、導電層350の形状が異なる点を除き、第1実施形態の熱電モジュール110と同様である。第3実施形態における導電層350は、Z軸に沿った複数の帯部とX軸に沿った複数の帯部とによって網目状をなす点を除き、第1実施形態と同様である。
【0105】
以上説明した第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、層間剥離による熱電モジュール110の損傷を抑制することができる。また、導電層350の一部が断線した場合であっても、導電層350全体の電気抵抗の増大が抑制されることによって、発電効率の低下を抑制することができる。第3実施形態は、他の実施形態やその変形例に適用可能である。
【0106】
D.第4実施形態:
図12は、第4実施形態における熱電モジュール110Dの構成を示す説明図である。
図12には、第4実施形態における導電層350が、
図3と同様に図示されている。第4実施形態の熱電モジュール110Dは、導電層350の形状が異なる点を除き、第1実施形態の熱電モジュール110と同様である。第4実施形態における導電層350は、第1面111から第2面112にわたって−X軸方向側から+X軸方向側に向けて斜行した複数の帯部と、第1面111から第2面112にわたって+X軸方向側から−X軸方向側に向けて斜行した複数の帯部とによって網目状をなす点を除き、第1実施形態と同様である。
【0107】
以上説明した第4実施形態によれば、第1実施形態と同様に、層間剥離による熱電モジュール110の損傷を抑制することができる。また、導電層350の一部が断線した場合であっても、導電層350全体の電気抵抗の増大が抑制されることによって、発電効率の低下を抑制することができる。また、Z軸方向に沿った方向に延びた状態で配置された帯部と比較して、導電層350が長くなるため、第1面111と第2面112との間における導電層350を介した熱伝導が抑制されることによって、発電効率を向上させることができる。第4実施形態は、他の実施形態やその変形例に適用可能である。
【0108】
E.第5実施形態:
図13は、第5実施形態における熱電モジュール110Eの構成を示す説明図である。
図13には、第5実施形態における導電層350が、
図3と同様に図示されている。第5実施形態の熱電モジュール110Eは、導電層350の形状が異なる点を除き、第1実施形態の熱電モジュール110と同様である。第5実施形態における導電層350は、第1面111から第2面112にわたってZ軸に沿って延びた6つの帯部からなる点を除き、第1実施形態と同様である。第5実施形態における導電層350を構成する帯部の数は、6つに限るものではなく、2つ以上であればよい。以上説明した第5実施形態によれば、第1実施形態と同様に、層間剥離による熱電モジュール110の損傷を抑制することができる。第5実施形態は、他の実施形態やその変形例に適用可能である。
【0109】
F.第6実施形態:
図14は、第6実施形態における熱電モジュール110Fの構成を示す説明図である。
図14には、第6実施形態における導電層350が、
図3と同様に図示されている。第6実施形態の熱電モジュール110Fは、導電層350の形状が異なる点を除き、第1実施形態の熱電モジュール110と同様である。第6実施形態における導電層350は、第1面111から第2面112にわたって−X軸方向と+X軸方向との間を蛇行する5つの帯部からなる点を除き、第1実施形態と同様である。第6実施形態における導電層350を構成する帯部の数は、5つに限るものではなく、2つ以上であればよい。以上説明した第6実施形態によれば、第1実施形態と同様に、層間剥離による熱電モジュール110の損傷を抑制することができる。第6実施形態は、他の実施形態やその変形例に適用可能である。
【0110】
G.第7実施形態:
図15は、第7実施形態における熱電モジュール110Gの構成を示す説明図である。
図15には、第7実施形態における導電層350が、接続導電部330,380と共に、
図3と同様に図示されている。第7実施形態の熱電モジュール110Gは、接続導電部330,380の形状が異なる点を除き、第1実施形態の熱電モジュール110と同様である。第7実施形態における接続導電部330,380は、導電層350に接続する位置に点在し、それぞれ矩形状をなす点を除き、第1実施形態と同様である。以上説明した第7実施形態によれば、第1実施形態と同様に、層間剥離による熱電モジュール110の損傷を抑制することができる。第7実施形態は、他の実施形態やその変形例に適用可能である。
【0111】
H.第8実施形態:
図16は、第8実施形態における熱電モジュール110Hの構成を示す説明図である。
図16には、第8実施形態における導電層350が、接続導電部330,380と共に、
図3と同様に図示されている。第8実施形態の熱電モジュール110Hは、接続導電部330,380の形状が異なる点を除き、第1実施形態の熱電モジュール110と同様である。第8実施形態における接続導電部330,380は、導電層350に接続する位置に点在し、それぞれ円形状をなす点を除き、第1実施形態と同様である。以上説明した第8実施形態によれば、第1実施形態と同様に、層間剥離による熱電モジュール110の損傷を抑制することができる。第8実施形態は、他の実施形態やその変形例に適用可能である。
【0112】
I.第9実施形態:
図17は、第9実施形態における熱電モジュール110Jの構成を示す説明図である。
図17には、第9実施形態における導電層350が、接続導電部330,380と共に、
図3と同様に図示されている。第9実施形態の熱電モジュール110Jは、導電層350および接続導電部330,380の形状が異なる点を除き、第1実施形態の熱電モジュール110と同様である。第9実施形態における導電層350は、2つの帯部がX軸方向の両端に位置する点を除き、第1実施形態と同様である。第9実施形態における接続導電部330,380は、導電層350に接続する位置に点在し、それぞれ矩形状をなす点を除き、第1実施形態と同様である。以上説明した第9実施形態によれば、第1実施形態と同様に、層間剥離による熱電モジュール110の損傷を抑制することができる。第9実施形態は、他の実施形態やその変形例に適用可能である。
【0113】
J.第10実施形態:
図18は、第10実施形態における熱電モジュール110Kの構成を示す説明図である。
図18には、第10実施形態における導電層350が、
図3と同様に図示されている。第10実施形態の熱電モジュール110Kは、導電層350の形状が異なる点を除き、第1実施形態の熱電モジュール110と同様である。第10実施形態における導電層350は、Z軸方向に沿った2つの帯部に加え、Y軸に沿って接続導電部330,380を投影した位置にも形成されている点を除き、第1実施形態と同様である。以上説明した第10実施形態によれば、第1実施形態と同様に、層間剥離による熱電モジュール110の損傷を抑制することができる。第10実施形態は、他の実施形態やその変形例に適用可能である。
【0114】
K.第11実施形態:
図19は、第11実施形態における熱電モジュール110Lの構成を示す説明図である。
図19には、第11実施形態における導電層350が、
図3と同様に図示されている。第11実施形態の熱電モジュール110Lは、導電層350の形状が異なる点を除き、第1実施形態の熱電モジュール110と同様である。第11実施形態における導電層350は、Z軸方向に沿った2つの帯部に加え、Y軸に沿って接続導電部330を投影した位置にも形成されている点を除き、第1実施形態と同様である。他の実施形態では、導電層350は、Z軸方向に沿った2つの帯部に加え、Y軸に沿って接続導電部380を投影した位置にも形成されてもよい。以上説明した第11実施形態によれば、第1実施形態と同様に、層間剥離による熱電モジュール110の損傷を抑制することができる。第11実施形態は、他の実施形態やその変形例に適用可能である。
【0115】
L.第12実施形態:
図20は、第12実施形態における熱電モジュール110Mの構成を示す説明図である。
図20には、第12実施形態における導電層350が、
図3と同様に図示されている。第12実施形態の熱電モジュール110Mは、導電層350の形状が異なる点を除き、第1実施形態の熱電モジュール110と同様である。第12実施形態における導電層350は、Y軸に沿って接続導電部330,380を投影した部位に重なる帯部の幅を他の部位よりも大きくした形状をなす点を除き、第1実施形態と同様である。以上説明した第12実施形態によれば、第1実施形態と同様に、層間剥離による熱電モジュール110の損傷を抑制することができる。第12実施形態は、他の実施形態やその変形例に適用可能である。
【0116】
M.第13実施形態:
図21は、第13実施形態における熱電モジュール110Nの構成を示す説明図である。
図21には、第13実施形態における第2層22と、第3層23と、第4層24とが、
図2と同様に図示されている。第13実施形態の熱電モジュール110Nは、第2層22と、第3層23と、第4層24との各層における第1面111側に、熱絶縁部392,393,394をそれぞれ設けた点を除き、第1実施形態の熱電モジュール110と同様である。熱絶縁部392,393,394は、熱伝導率が導電層350よりも低い絶縁体からなる。以上説明した第13実施形態によれば、第1実施形態と同様に、層間剥離による熱電モジュール110の損傷を抑制することができる。また、熱絶縁部392,393,394によって、第1面111と第2面112との間における導電層350を介した熱伝導が抑制されるため、発電効率を向上させることができる。第13実施形態は、他の実施形態やその変形例に適用可能である。
【0117】
N.他の実施形態:
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。