特許第6129579号(P6129579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6129579
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】露光装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20170508BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   G03F9/00 Z
   G03F7/20 501
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-33469(P2013-33469)
(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公開番号】特開2014-165266(P2014-165266A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】奥山 隆志
【審査官】 松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−137517(JP,A)
【文献】 特開平09−113316(JP,A)
【文献】 特開平10−090008(JP,A)
【文献】 特開2005−043555(JP,A)
【文献】 特開2008−134370(JP,A)
【文献】 特開2012−247221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20−7/24、9/00−9/02
H01L 21/027
G01D 5/26−5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光変調素子をマトリクス状に配列した光変調素子アレイと、
前記光変調素子アレイによる露光エリアを被描画体に対して相対移動させる走査部と、
前記露光エリアが通過するように配置される複数のフォトセンサを有する位置検出部と、
前記複数の光変調素子を制御し、パターン光を前記被描画体に投影する露光動作制御部とを備え、
前記露光動作制御部が、所定間隔で走査方向に並び、各パターン幅が、フォトセンサ幅よりも小さく、フォトセンサ間隔よりも大きい位置検出パターン列の光を投影し、
前記位置検出部が、1つの位置検出パターンの光が隣り合うフォトセンサを通過する間にその隣り合うフォトセンサから出力される輝度信号のレベルが等しくなる露光位置を検出し、位置検出パターン列の光の通過に伴って一連の露光位置を時系列に検出することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記複数のフォトセンサが、3つ以上のフォトセンサで構成され、
前記位置検出パターン列が、2つ以上の位置検出パターンによって構成されることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記位置検出部が、
輝度信号の等しくなるタイミングでパルス信号を発生するパルス信号生成部と、
検出されたパルス信号に応じて露光位置を算出する位置算出部と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の露光装置。
【請求項4】
前記パルス信号生成部が、前記ステージに設けられていることを特徴とする請求項3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記露光動作制御部が、検出される一連のパルス信号を互いに異なるタイミングで発生させるように、位置検出パターン列の光を投影することを特徴とする請求項3乃至4のいずれかに記載の露光装置。
【請求項6】
前記露光動作制御部が、ほぼ一定の時間間隔で一連のパルス信号が発生するように、所定のパターンピッチで位置検出パターン列の光を投影することを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
【請求項7】
前記複数のフォトセンサが、走査方向に沿って一定間隔に配置され、
前記位置検出パターン列が、一定間隔で並んだ位置検出パターンで構成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の露光装置。
【請求項8】
前記複数のフォトセンサが、前記被描画体の搭載されるステージに一体的に設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の露光装置。
【請求項9】
検出された前記一連の露光位置と、あらかじめ定められた標準露光位置とに基づいて、露光基準位置を補正する補正部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の露光装置。
【請求項10】
複数の光変調素子をマトリクス状に配列した光変調素子アレイによる露光エリアを、前記露光エリアが通過するように配置された複数のフォトセンサを配置させた被描画体に対し相対移動させ、
所定間隔で走査方向に並び、各パターン幅が、フォトセンサ幅よりも小さく、フォトセンサ間隔よりも大きい位置検出パターン列の光を投影し、
1つの位置検出パターンの光が隣り合うフォトセンサを通過する間にその隣り合うフォトセンサから出力される輝度信号のレベルが等しくなる露光位置を検出し、位置検出パターン列の光の通過に伴って一連の露光位置を時系列に検出することを特徴とする露光位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調素子アレイを用いてパターンを形成するマスクレス露光装置に関し、特に、基板等に投影されるパターンの位置検出に関する。
【背景技術】
【0002】
マスクレス露光装置では、基板が搭載されるステージを走査方向に沿って移動させながら、DMD(Digital Micro-mirror Device)などの光変調素子アレイによってパターン光を基板に投影する。そこでは、ステージに載せられた基板上における投影エリア(露光エリア)の位置を検出し、その位置に応じたパターン光を投影するように、2次元状に配列されたマイクロミラーなど光変調素子を制御する。
【0003】
マイクロメータのオーダーで微細パターンを形成する場合、基板の位置を正確に検出し、パターン光を位置ずれなく投影する必要がある。しかしながら、DMDの温度変化などに起因して、パターン光の投影位置にずれが生じ、パターン形成位置に誤差が生じることがある。
【0004】
これを防ぐため、フォトダイオードなどの光センサをステージ脇に複数配置し、ステージを走査しながら位置検出用のパターンを光センサに投影する。検出される露光位置と、あらかじめ用意された基準となる位置情報とを比較することで、露光位置を補正する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方、ステージなどの可動体の位置を精度よく検出するため、2つの光センサの光量変化から基準位置を検出する方法が知られている(特許文献2参照)。そこでは、エンコーダの原点位置、すなわち基準位置を検出するため、走査方向に沿って対称的に位置をずらした1対のフォトダイオードが配置される。
【0006】
スリットの形成されたスケールを移動させることによって、位置検出用のスリット光がフォトダイオード対の上を通過する。このとき検出される光量変化において、2つのフォトセンサの光量が互いに等しくなる位置を、基準位置として検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−134370号公報
【特許文献2】特開平10−90008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
フォトダイオードのサイズは、パターン分解能に比べて大きい。また、フォトダイオードの感光特性にはそれぞれ個体差がある。したがって、同じ光強度でパターンを投影しても、検出される光量は微妙に相違する。また、照度ムラなどによって投影する光が瞬間的に不安定になることもあり、高精度に露光位置を検出することが難しい。
【0009】
したがって、マスクレス露光装置において、フォトダイオードなどのフォトセンサを用いた正確な位置検出が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の露光装置は、複数の光変調素子をマトリクス状に配列した光変調素子アレイと、光変調素子アレイによる露光エリアを被描画体に対して相対移動させる走査部と、露光エリアが通過するように配置される複数のフォトセンサを有する位置検出部と、複数の光変調素子を制御し、パターン光を被描画体に投影する露光動作制御部とを備える。
【0011】
複数のフォトセンサは、被描画体を保持するステージ(テーブル)の上面あるいは側面、内部などに設けることが可能である。また、ステージと一体的に設けることも可能であり、取り外し可能に装着することもできる。
【0012】
描画位置補正を行う場合、本発明の露光動作制御部は、所定間隔で走査方向に並び、各パターン幅が、フォトセンサ幅よりも小さく、フォトセンサ間隔よりも大きい位置検出パターン列の光を投影可能である。これにより、ステージが移動すると、1つの位置検出パターンがフォトセンサを通過するとき、輝度信号レベルが増加、一定、減少をたどる。それとともに、1つの位置検出パターンの光が隣り合うフォトセンサを通過する間にその隣り合うフォトセンサから出力される互いの輝度信号レベルのグラフにおいて、交差する部分が生じる。
【0013】
フォトセンサの配置間隔、パターン列のパターン間隔などは、任意に設定可能である。複数のフォトセンサを、走査方向に沿って一定間隔に配置し、位置検出パターン列を、一定間隔で並んだ位置検出パターンで構成することが可能である。パターン列の各パターンの形状も任意であり、フォトセンサが各位置検出パターンの通過を個別に検知可能な形状であればよい。例えば、バー状のパターンを走査方向に並べたパターン列の光を投影可能である。
【0014】
本発明では、位置検出部が、1つの位置検出パターンの光が隣り合うフォトセンサを通過する間にその隣り合うフォトセンサから出力される輝度信号のレベルが等しくなる露光位置を検出し、位置検出パターン列の光の通過に伴って一連の露光位置を時系列に検出する。ここでの露光位置は、所定の位置検出パターンのステージ上での相対位置を表し、例えば、ステージに規定された走査方向に沿う位置座標で表される。
【0015】
検出される露光位置の数は、フォトセンサの数、パターン列のパターン個数に従う。少なくとも、同一の場所で複数回検出される。また、3つ以上のフォトセンサを設置し、位置検出パターン列を、2つ以上の位置検出パターンによって構成することが可能である。この場合、各位置検出パターンが複数の隣接センサ間で検出されるとともに、同じ隣接センサ間で、パターン列通過により複数の露光位置が検出される。
【0016】
複数の露光位置を検出することにより、照度ムラ、フォトセンサの個体差などに影響されない位置補正を行うことが可能である。例えば、露光装置に、検出される一連の露光位置と、あらかじめ定められた標準露光位置とに基づいて、露光基準位置を補正する補正部を備えればよい。ここで、標準露光位置は、例えば描画データ上で定められた位置座標によって表すことが可能である。また、露光基準位置としては、例えば、描画開始位置などが定められる。
【0017】
位置補正については、検出されるそれぞれの露光位置と目標となる標準露光位置との差を求め、加算/加重平均値などの代表的な補正値を算出することが可能である。あるいは、検出される一連の露光位置から代表的な露光位置を算出することも可能である。
【0018】
位置検出部は様々な構成を採用することが可能であり、複数のフォトセンサからの輝度信号を露光装置の制御部で検出してもよく、あるいは、その前段階で位置検出部、位置算出部を設けてもよい。輝度信号レベルが一致するタイミングを正確に検出するため、例えば位置検出部は、輝度信号の等しくなるタイミングでパルス信号を発生するパルス信号生成部と、検出されたパルス信号に応じて露光位置を算出する位置算出部を備える。
【0019】
パルス信号生成部、位置検出部の配置構成は様々な構成が可能である。例えば、複数の露光ヘッドを設け、各露光ヘッドに対し位置補正を行う場合、パルス信号生成部をステージに設けることが可能である。
【0020】
一連の露光位置をパルス信号によって検出する場合、パルス信号が同時に発生することを防ぐのが好ましい。したがって、検出露光動作制御部は、検出される一連のパルス信号を互いに異なるタイミングで発生させるように、位置検出パターン列の光を投影させてもよい。例えば、露光動作制御部が、ほぼ一定の時間間隔で一連のパルス信号が発生するように、所定のパターンピッチで位置検出パターン列の光を投影することができる。
【0021】
本発明の他の局面における露光装置は、単一の位置検出パターン列の光を投影する。露光装置は、複数の光変調素子をマトリクス状に配列した光変調素子アレイと、光変調素子アレイによる露光エリアを被描画体に対して相対移動させる走査部と、露光エリアが通過するように配置される複数のフォトセンサを有する位置検出部と、複数の光変調素子を制御し、パターン光を被描画体に投影する露光動作制御部とを備え、露光動作制御部が、パターン幅が、フォトセンサ幅よりも小さく、フォトセンサ間隔よりも大きい単一の位置検出パターンの光を投影し、位置検出部が、位置検出パターンの光が隣り合うフォトセンサを通過する間にその隣り合うフォトセンサから出力される輝度信号のレベルが等しくなる露光位置を検出し、位置検出パターンの光の通過に伴って一連の露光位置を時系列に検出する。
【0022】
本発明の他の態様における露光方法は、複数の光変調素子をマトリクス状に配列した光変調素子アレイによる露光エリアを、露光エリアが通過するように配置された複数のフォトセンサを配置させた被描画体に対し相対移動させ、所定間隔で走査方向に並び、各パターン幅が、フォトセンサ幅よりも小さく、フォトセンサ間隔よりも大きい位置検出パターン列の光を投影し、1つの位置検出パターンの光が隣り合うフォトセンサを通過する間にその隣り合うフォトセンサから出力される輝度信号のレベルが等しくなる露光位置を検出し、位置検出パターン列の光の通過に伴って一連の露光位置を時系列に検出する。
【0023】
本発明の他の態様における露光方法は、複数の光変調素子をマトリクス状に配列した光変調素子アレイによる露光エリアを、露光エリアが通過するように配置される複数のフォトセンサを配置させた被描画体に対し相対移動させ、パターン幅が、フォトセンサ幅よりも小さく、フォトセンサ間隔よりも大きい単一の位置検出パターンの光を投影し、位置検出パターンの光が隣り合うフォトセンサを通過する間にその隣り合うフォトセンサから出力される輝度信号のレベルが等しくなる露光位置を検出し、位置検出パターンの光の通過に伴って一連の露光位置を時系列に検出する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、マスクレス露光装置において、正確にパターン形成位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施形態である露光装置の概略的斜視図である。
図2】露光装置の概略的ブロック図である。
図3】フォトセンサ群と位置検出パターン列を示した図である。
図4】フォトセンサとパターンの幅を示した図である。
図5】フォトセンサに入射する光の光量変化を示した図である。
図6】隣接するフォトセンサの光量変化を示した図である。
図7】パルス信号の出力タイミングを時系列的に示した図である。
図8】第2の実施形態におけるフォトセンサ群と位置検出パターンを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0027】
図1は、第1の実施形態である露光装置の概略的斜視図である。図2は、露光装置の概略的ブロック図である。
【0028】
露光装置(描画装置)10は、フォトレジストなどの感光材料を塗布、あるいは貼り付けた基板Wへ光を照射することによってパターンを形成するマスクレス露光装置であり、描画部13が基台14に搭載されている。
【0029】
基台14には、基板Wを搭載するステージ12が走査方向に沿って移動可能に設置されている。ステージ駆動機構15は、主走査方向X、副走査方向Yに沿ってステージ12を移動させることができる。
【0030】
露光装置10は、パターン光を投影する複数の露光ヘッドを備えており、ここでは1つの露光ヘッド18のみ図示している。露光ヘッド18は、DMD22、照明光学系、結像光学系(いずれも図示せず)を備えており、他の露光ヘッドも同様に構成されている。光源20は、例えば放電ランプ(図示せず)によって構成され、光源駆動部21によって駆動される。
【0031】
ベクタデータなどで構成されるCAD/CAMデータが露光装置10へ入力されると、ベクタデータがラスタ変換回路26に送られ、ベクタデータがラスタデータに変換される。生成されたラスタデータは、バッファメモリ(図示せず)に一時的に格納された後、DMD駆動回路24へ送られる。
【0032】
DMD22は、微小マイクロミラーを2次元配列させた光変調素子アレイ(光変調器)であり、各マイクロミラーは、姿勢を変化させることによって光の反射方向を選択的に切り替える。DMD駆動回路24によって各ミラーが姿勢制御されることにより、パターンに応じた光が、結像光学系を通じて基板Wの表面に投影される。
【0033】
ステージ駆動機構15は、コントローラ30からの制御信号に従い、ステージ12を移動させる。位置検出部28は、ステージ12の端部付近に設置されており、複数のフォトセンサから構成されるフォトセンサ群PD、およびパルス信号発生部29を備えている。位置計算部27は、位置検出部28から送られてくる信号に基づき、露光位置、すなわち基板Wの位置を算出する。
【0034】
露光動作中、描画ステージ12は、走査方向Xに沿って一定速度で移動する。DMD22全体による投影エリア(以下、露光エリアという)は、基板Wの移動に伴って基板W上を相対的に移動する。露光動作は所定の露光ピッチに従って行なわれ、露光ピッチに合わせてマイクロミラーがパターン光を投影するように制御される。
【0035】
DMD22の各マイクロミラーの制御タイミングを露光エリアの相対位置に従って調整することにより、露光エリアの位置に描くべきパターンの光が順次投影される。そして、露光ヘッド18を含めた複数の露光ヘッドにより基板W全体を描画することによって、基板W全体にパターンが形成される。
【0036】
なお、露光方式としては、一定速度で移動する連続移動方式だけでなく、間欠的に移動するステップ&リピートも可能である。また、露光ショット時の投影エリアを部分的に重ねる多重露光(オーバラップ露光)も可能である。
【0037】
露光動作を始める前段階においては、パターンを正確な位置に形成するため、露光開始位置に関する補正処理が行われる。ステージ12を一定速度で移動させながら、位置検出用のパターンの光を投影する。コントローラ30は、位置計算部27から送られてくる位置情報に基づき、露光開始位置を補正する。
【0038】
以下、図3〜7を用いて、露光位置の検出および補正について説明する。
【0039】
図3は、フォトセンサ群と位置検出パターン列を示した図である。図4は、フォトセンサとパターンの幅を示した図である。図5は、フォトセンサに入射する光の光量変化を示した図である。
【0040】
フォトセンサ群PDは、N個のフォトセンサP1、P2、・・・、PNから構成されており、配列ピッチTの等間隔で走査方向に配列されている。一方、位置検出パターン列LPは、走査方向に関して垂直な一連のバー状パターンL1、L2、L3、・・・LMから構成される。M個のパターンL1、L2、L3、・・・LMは、パターンピッチJで等間隔に並ぶ。
【0041】
パターンL1、L2、L3、・・LMそれぞれのパターン幅Kは、フォトセンサ幅Zよりも短い。そのため、1つの先頭位置にあるパターンL1が1つのフォトセンサを走査中通過するとき、フォトセンサP1、P2と通過するとき、フォトセンサP1とフォトセンサP2から出力される輝度信号のレベル、すなわちフォトセンサの受光量は、図5に示すように増加、一定、減少を順次辿る。
【0042】
詳述すると、1つのパターンL1の移動によってパターンL1の一部がフォトセンサP1上に移動するのに伴い、フォトセンサP1の光量は増加していく。パターンL1全体がフォトセンサP1上に位置する間、フォトセンサP1の検出する光量は最大光量で一定となる。そして、パターンL1の移動先端側がフォトセンサP1を超え、フォトセンサP1、P2の間へ移動するのに伴い、フォトセンサP1の光量は低下していく。
【0043】
走査方向に関してフォトセンサP1の隣に位置するフォトセンサP2においても、同じように光量は増加、一定、減少を辿る。この光量変化は、フォトセンサP1に対し、パターンピッチTに応じた期間だけ遅れて生じる。一方、パターンL1の幅Kは、隣り合うフォトセンサ間隔Bよりも大きい。そのため、パターンL1がフォトセンサP1、P2の間を通過する間、フォトセンサP1の光量減少、フォトセンサP2の光量増加が重なる期間Qが生じる(図5参照)。
【0044】
そして、この期間QにおいてフォトセンサP1、P2の光量が一致する位置、地点を、露光位置として検出する。具体的には、パルス信号発生部29において、光量一致のタイミングでパルス信号が発生し、パターンL1の位置、すなわち基板Wの位置が検出される。これによって、フォトセンササイズ幅Z以下であるオーダーを要求される露光位置を検知することができる。
【0045】
パターンL1が通過するときに光量一致点を検出した後、続いて順次通過するパターンL2、L3、・・LMに対しても、光量一致点を検出する。その結果、フォイトセンサP1、Pの2間では、M回の露光位置が検出される。
【0046】
さらに、フォトセンサP1、P2だけでなく、隣接するフォトセンサPj、Pj+1(1≦j≦N−1)の間においても、光量一致点を露光位置として検出する。したがって、N個のフォトセンサP1、P2、・・・、PN上を、M個のパターンL1、L2、・・LMが通過するとき、(N−1)×M回露光位置が検出される。すなわち、(N−1)個あるフォトセンサの隙間において、それぞれM回露光位置が検出される。
【0047】
図6は、隣接するフォトセンサP1、P2の光量変化を示した図である。図7は、パルス信号の出力タイミングを時系列的に示した図である。
【0048】
位置検出パターン列LのパターンピッチJは、以下の式を満たすように定められている。ただし、Tはフォトセンサピッチ、SAは検出される総パルス数、Mはパターン数、Nはフォトセンサ数Nを表す。

J=T/M+T
SA=(N−1)M ・・・(1)
【0049】
このようにパターンピッチJを設定することにより、互いに隣り合うフォトセンサ間で出力される一連のパルス信号の出力タイミングが重ならず、ほぼ一定間隔で時系列的に出力される。図6には、パルスピッチPSで出力されるパルス信号が図示されている。
【0050】
そして、出力される一連のパルス信号に基づき、露光位置の演算、露光開始位置の補正が実行される。カウンタ、ラッチ回路などを含む位置計算部27では、ステージ12の移動速度、エンコーダ信号等に基づき、時系列的に順次出力される一連のパルス信号から、各パターンの露光位置、すなわち基板上におけるX位置座標が算出される。
【0051】
コントローラ30では、各パルス信号から算出される露光位置に対し、あらかじめ設定された標準露光位置との差を順次算出する。標準露光位置としては、(N−1)個ある隣接フォトセンサ間の中間地点の位置座標が、あらかじめ記憶、設定されている。
【0052】
検出されるすべての露光位置座標に対して補正値を算出した後、その平均値が求められる。この平均値によって、露光開始位置が補正される。実際の描画処理を行うとき、露光開始タイミングを補正値だけシフトさせて描画を開始する。ここでは、複数の露光ヘッドそれぞれに対し、露光開始位置が基板Wの基準位置として補正される。
【0053】
このように本実施形態によれば、複数のフォトセンサP1〜PNを走査方向Xに沿って等間隔に配列させた位置検出部28がステージ12に設置されており、走査方向Xに沿って等間隔で配列したバー状/スリット状パターンL1〜LMから成る位置検出パターン列Lが、走査時に投影される。そして、パターン列通過の間、互いに隣接するフォトセンサの受光量が等しくなる位置が露光位置として時系列に検出され、検出される(N−1)×M個の露光位置に基づき、基準位置が補正される。
【0054】
走査方向に並ぶ複数のフォトセンサにパターン列を投影することによって、多数の場所で露光位置を検出するとともに、同一地点においても多数の露光位置を検出する。これにより、パターン光の照度ムラ、外乱による光量変動の影響、あるいは、フォトセンサの個体差(フォトセンサの出力特性の相違)、経時変化などといった影響を受けることなく、正確な露光位置の検出を、一度の走査で行うことができる。また、フォトセンササイズ、フォトセンサ間隔の極小化などデバイス構造上困難であってコストのかかる構成を用いなくても、精度ある露光位置を検出することができる。
【0055】
パルス信号発生によって露光位置を検出するため、ステージ上において検出部の構成を簡素化できる。特に、複数の露光ヘッドを配置させた場合、各露光ヘッドにおいてパルス信号を発生させ、位置計算部を単一回路として設けることが可能であり、位置検出部の構成を簡素化できる。さらに、時系列的に出力されるパルス信号が同時、もしくは重なって出力しないようにパターンピッチ等を設定しているため、数多くの露光位置を検出することが可能となる。
【0056】
パターン列のパターン数、パターン形状、フォトセンサ数は任意である。異なるフォトセンサ間で複数回露光位置を検出することを考慮すれば、2つ以上のパターンから成るパターン列を構成し、3つ以上のフォトセンサでフォトセンサ群を構成すればよい。また、フォトセンサについては、取り外し可能に配置する構成にしてもよい。
【0057】
位置検出パターンの形状、パターンピッチ、フォトセンサピッチ、フォトセンサ幅、パターン幅においても、各パターン通過時において、隣り合うフォトセンサの間で光量変化が生じ、光量一致点が抽出できるように設定すればよい。すなわち、パターン幅がフォトセンサ幅よりも小さく、隣接フォトセンサ間の距離よりも大きくなるようにすればよい。
【0058】
露光位置の算出については、検出される一連の露光位置から平均値などの代表的露光位置を先に算出し、平均値と標準値との差に基づいて露光開始位置を補正するように構成してもよい。パルス信号発生以外の構成によって光量が等しくなる露光位置を検出するように構成することも可能である。
【0059】
次に、図8を用いて、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、1つのバー状パターンが位置検出パターンとして用いられる。
【0060】
図8は、第2の実施形態におけるフォトセンサ群と位置検出パターンを示した図である。
【0061】
図8に示すように、N個のフォトセンサP1〜PNから成るフォトセンサ群PDに対し、パターン幅Kの位置検出パターンLを投影する。ただし、N≧3とする。これにより、隣接するフォトセンサ間において光量が等しくなる露光位置が(N−1)だけ検出される。そして、検出された露光位置とあらかじめ設定された標準となるN−1個の露光位置との差に基づき、描画開始位置が補正される。このような構成によっても、異なる場所での複数回の露光位置検出によって正確に露光位置を補正することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 露光装置
22 DMD(光変調素子アレイ)
28 位置検出部
30 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8