(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】
図1(a)は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
図1(b)は、
図1(a)に示す排ガス浄化装置のA−A線断面図である。
【
図2】
図2(a)は、本発明の排ガス浄化装置の排ガス処理体ユニットと、排ガス処理体ユニット同士の間に介在されている保持シール材との一部の一例を模式的に示す模式図である。
図2(b)は、本発明の排ガス浄化装置の排ガス処理体ユニットの全体と、排ガス処理体ユニット同士の間に介在されている保持シール材の全体との一例を模式に示す模式図である。
【
図3】
図3(a)は、本発明の排ガス浄化装置に用いられた、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。
図3(b)は、
図3(a)に示す保持シール材のB−B線断面図である。
【
図4】
図4(a)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する内方排ガス処理体ユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
図4(b)は、
図4(a)に示す内方排ガス処理体ユニットのC−C線断面図である。
【
図5】
図5(a)〜(c)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する外方排ガス処理体ユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6(a)〜(e)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体を形成する工程の一例を順に示す模式図である。
【
図7】
図7は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、本発明の排ガス浄化装置を構成する周囲に保持シール材が配設された排ガス処理体の一例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す、排ガス浄化装置の長手方向に垂直な方向の断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体ユニットと、排ガス処理体ユニット同士の間に介在されている保持シール材との一部の一例を模式的に示す模式図である。
【
図11】
図11は本発明の排ガス浄化装置に用いられた、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図12】
図12(a)〜(e)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体を形成する工程の一例を順に示す模式図である。
【
図13】
図13は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を示す模式図である。
【
図14】
図14は、本発明の排ガス浄化装置を構成する周囲に保持シール材が配設された排ガス処理体の一例を示す斜視図である。
【
図15】
図15(a)及び(b)は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す平面図である。
【
図16】
図16は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図17】
図17は、従来の金属製触媒担体自身を発熱抵抗体とした排気浄化用触媒コンバータの一例を模式的に示す断面図である。
【0045】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0046】
図1(a)は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
図1(b)は、
図1(a)に示す排ガス浄化装置のA−A線断面図である。
図1(a)に示すように、本発明の排ガス浄化装置の一例である排ガス浄化装置100は、排ガス処理体130と、排ガス処理体130の外方を覆うケーシング110と、排ガス処理体130とケーシング110との間に配置された保持シール材120とから構成されており、ケーシング110の排ガスが導入される側の端部には、エンジン等の内燃機関に連結された導入管111が接続されており、ケーシング110の他端部には、外部に連結された排出管112が接続されている。保持シール材120は、第1の主面121と、第1の主面121と反対側の主面である第2の主面122とを備えている。保持シール材120の第1の主面121には、第1のヒータ161aが配設されており、保持シール材120の第2の主面122には、第2のヒータ161bが配設されている。第1のヒータ161a及び第2のヒータ161bの端部には外部端子162が接続され、外部端子162を介して導電線163が外部に導出されているが、ケーシング110には、導電線導出用の貫通孔が形成され、貫通孔に絶縁性セラミックからなる外部導出部材170が配設され、この外部導出部材170を介して導電線163が外部に導出されている。また、導電線163は、断線等を防止するために、ケーシング110の内部では、コイル状となっている。なお、導電線163の形状は、断線等を防止できれば特に限定されず、コイル状の他にはジグザク状、波線状等が挙げられる。
図1(a)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示している。
また、保持シール材120は、本発明の保持シール材の一例である。
【0047】
以下の説明において、排ガス処理体の外周の一部を構成している排ガス処理体ユニットを「外方排ガス処理体ユニット」と、外方排ガス処理体ユニットより内側に位置する排ガス処理体ユニットを「内方排ガス処理体ユニット」とも表記する。なお、外方排ガス処理体ユニットと内方排ガス処理体ユニットとを特に区別する必要がない場合、単に排ガス処理体ユニットと表記する。
【0048】
図1(b)に示す排ガス浄化装置100では、それぞれ形の異なる外方排ガス処理体ユニット140と、外方排ガス処理体ユニット141と、外方排ガス処理体ユニット142と、外方排ガス処理体ユニット140、141及び142の内側に位置する内方排ガス処理体ユニット150とが4つずつ、保持シール材120を介して組み合わされ、断面形状が略円形の排ガス処理体130が形成されている。
なお、詳しくは後述するが、外方排ガス処理体ユニット142は、外方排ガス処理体ユニット141を、外方排ガス処理体ユニット141の長手方向に垂直な軸を中心に180°回転させた形状であり、外方排ガス処理体ユニット141と、外方排ガス処理体ユニット142とは、実質的に同一の形状であるが、便宜上両者を区別して記載する。
【0049】
図1(b)に示す排ガス浄化装置100では、排ガス処理体130の間に介装されているのは、連続する一枚の保持シール材120であり、一枚の保持シール材120を、順次、排ガス処理体130を構成する外方排ガス処理体ユニット140、141、142及び内方排ガス処理体ユニット150のそれぞれ特定の側面に巻き付けることにより、全体として排ガス処理体130を構成する外方排ガス処理体ユニット140、141、142、及び、内方排ガス処理体ユニット150の対向する面の全てに保持シール材120が介装された状態としている。一枚の保持シール材120を用いて、外方排ガス処理体ユニット140、141、142及び内方排ガス処理体ユニット150の対向する面のみに介装することは難しいので、保持シール材120は、排ガス処理体130の周囲の一部にも配設されており、最終的には、排ガス処理体130全体に保持シール材120を巻き付けるため、排ガス処理体130の外周全体にもう一度保持シール材120が巻き付けられている。そのため、排ガス処理体130の外周部分には、保持シール材120が2層となっている部分が存在している。このように周囲に保持シール材120が配設された排ガス処理体130は、ケーシング110に収容されている。
【0050】
従って、排ガス処理体130の内部に介装された保持シール材120は、全ての部分で連続層とはなっておらず、一部不連続層が存在するが、保持シール材120は弾性に富んでいるので、互いに密着し合い、境界部分にもスペースは生じていない。また、当然、保持シール材120と排ガス処理体ユニットの側面との間にもスペースが生じることはない。このため、排ガスが、保持シール材120と、排ガス処理体ユニットとの間を通過することはない。また、排ガス処理体130を構成する外方排ガス処理体ユニット140、141、142、及び、内方排ガス処理体ユニット150の間には、弾性に富む保持シール材120が介装されているため、外方排ガス処理体ユニット140、141、142、及び、内方排ガス処理体ユニット150に破損が生じることはない。
【0051】
さらに、
図1(b)に示すように、本発明の排ガス浄化装置100では、各排ガス処理体ユニット同士が対向する角部を除いて、各排ガス処理体ユニット同士の間にある保持シール材120が1層になるように配設されている。
そのため、各排ガス処理体ユニットが保持シール材120から受ける面圧は均等になりやすくなる。すなわち、各排ガス処理体ユニットにかかる面圧が偏在しにくくなるので、各排ガス処理体ユニットが損傷しにくくなる。また、各排ガス処理体ユニット同士が対向する角部には、保持シール材120が2層存在しているので、各排ガス処理体ユニットの角部が損傷しにくくなる。さらに、保持シール材120が2層存在している部分からは、効率よく面圧を受けることができ、排ガス処理体130を構成する各排ガス処理体ユニットが抜け落ちることを防止しやすくなる。
【0052】
また、各排ガス処理体ユニット同士の間には保持シール材120が存在しているので、各排ガス処理体ユニット同士の間の距離が均等になる。そのため、外部から衝撃を受けた場合でも、各排ガス処理体ユニットに衝撃が均等に伝わりやすくなる。さらに、各排ガス処理体ユニットに伝わる熱も均等に伝わりやすくなる。そのため、外部からの衝撃や熱衝撃を受けた場合でも、各排ガス処理体ユニットにクラック等の損傷が生じにくくなる。
【0053】
図1(b)に示すように、本発明の排ガス浄化装置100では、排ガス処理体130の周囲に配設された保持シール材120が2層になっている部分が複数存在している。
図1(b)に示すように、排ガス処理体130のA−A線の断面形状は略円形である。保持シール材120が2層になっている部分同士は、この略円形の断面形状の中心を軸に、略対向する位置に存在している。そのため、排ガス処理体130が受ける排ガス処理体130の周囲に配設された保持シール材120からの面圧は偏在しにくくなる。従って、排ガス処理体130が損傷しにくくなる。
【0054】
また、各排ガス処理体ユニット同士の間の保持シール材120が1層なので、後述する保持シール材120の長手方向の長さLが最小の長さとなる。そのため、保持シール材120の価格を安くすることができる。
【0055】
本発明の排ガス浄化装置100では、保持シール材120の第1の主面121と排ガス処理体ユニットとの間には、排ガス処理体ユニットを加熱するための第1のヒータ161aが配設されており、保持シール材120の第2の主面122と排ガス処理体ユニットとの間には、第2ヒータ161bが配設されている。
【0056】
このことを、
図2(a)及び(b)を用いて詳しく説明する。
【0057】
図2(a)は、本発明の排ガス浄化装置の排ガス処理体ユニットと、排ガス処理体ユニット同士の間に介在されている保持シール材との一部の一例を模式的に示す模式図である。
図2(b)は、本発明の排ガス浄化装置の排ガス処理体ユニットの全体と、排ガス処理体ユニット同士の間に介在されている保持シール材の全体との一例を模式に示す模式図である。
図2(a)に示すように、内方排ガス処理体ユニット150と、内方排ガス処理体ユニットと隣り合う別の内方排ガス処理体ユニット150(以下、便宜上内方排ガス処理体ユニット1150という)との間の保持シール材120が1層となるように、保持シール材120が配設されている。また、保持シール材120の第1の主面121と、内方排ガス処理体ユニット1150とが接しており、保持シール材120の第2の主面122と、内方排ガス処理体ユニット150とが接している。
保持シール材120の第1の主面121と、内方排ガス処理体ユニット1150との間には、第1のヒータ161aが配設されており、保持シール材120の第2の主面122と、内方排ガス処理体ユニット150との間には、第2のヒータ161bが配設されている。
【0058】
また、
図2(b)についても内方排ガス処理体ユニット150とその周囲とに着目すると、本発明の排ガス浄化装置100では、内方排ガス処理体ユニット150には保持シール材120の第2の主面122が接している。また、内方排ガス処理体ユニット150の周囲の排ガス処理体ユニットには保持シール材120の第1の主面121が接している。このように、本発明の排ガス浄化装置100では、
図2(b)に示すように、排ガス処理体130を長手方向に垂直な方向で切断した切断面において、Aで示される保持シール材120の第1の主面121に接する排ガス処理体ユニットと、Bで示される保持シール材120の第2の主面122に接する排ガス処理体ユニットとに分けることができ、これらが市松模様状になるように配設されている。本発明の排ガス浄化装置100の各排ガス処理体ユニットが保持シール材120により介在される部分においては、Aで示される排ガス処理体ユニットは、第1のヒータ161aにより直接加熱される。また、Bで示される排ガス処理体ユニットは、第2のヒータ161bにより直接加熱される。
【0059】
本発明の保持シール材120が用いられた本発明の排ガス浄化装置100では、排ガス処理体130を構成する全ての排ガス処理体ユニットが、第1のヒータ161a及び第2のヒータ161bのいずれか一方と直接接触している。そのため、全ての排ガス処理体ユニットを均等に加熱することができ、排ガス処理体130を斑なく昇温させることができる。
また、本発明の保持シール材120が用いられた本発明の排ガス浄化装置100では、保持シール材120の両方の主面にヒータが配設されているので、極めて短時間で排ガス処理体ユニットを昇温させることができる。
【0060】
図3(a)は、本発明の排ガス浄化装置に用いられた、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。
図3(b)は、
図3(a)に示す保持シール材のB−B線断面図である。
【0061】
図3(a)に示す保持シール材120は、所定の長手方向の長さ(以下、
図3(a)中、矢印Lで示す)、幅(以下、
図3(a)中、矢印Wで示す)及び厚さ(以下、
図3(a)中、矢印Tで示す)を有し、無機繊維を含む平面視形状略矩形のマットである。また、保持シール材120は、第1の主面121と、第1の主面121と反対側の主面である第2の主面122とを備えている。
図3(a)に示す保持シール材120は、第1の端部123と、第1の端部123と反対側の端部である第2の端部124とを備えている。
【0062】
図3(a)に示す保持シール材120では、保持シール材120の長手方向に垂直な仮想直線αを境に内部保持シール材部125と外部保持シール材部126とに分けることができる。第1の端部123が属する部分が内部保持シール材部125であり、第2の端部124が属する部分が外部保持シール材部126である。
内部保持シール材部125は、
図1(b)に示す排ガス浄化装置100において、各排ガス処理体ユニット同士の間に配設されている部分である。
外部保持シール材部126は、
図1(b)に示す排ガス浄化装置100において、排ガス処理体130の周囲に配設されている部分である。
【0063】
外部保持シール材部126の長手方向の長さは、排ガス処理体130の周囲の長さと略同じである。
【0064】
保持シール材120の厚さは特に限定されないが、2.0〜20mmであることが望ましい。
保持シール材の厚さが20mmを超えると、保持シール材の柔軟性が失われるので、保持シール材を排ガス処理体ユニット間に配設する場合に扱いづらくなる。また、保持シール材に巻きジワや割れが生じやすくなる。
保持シール材の厚さが2.0mm未満であると、保持シール材の面圧が排ガス処理体ユニットを保持するのに十分でなくなる。そのため、排ガス処理体130を構成する排ガス処理体ユニットが抜け落ちやすくなる。また、排ガス処理体ユニットに体積変化が生じた場合、保持シール材は排ガス処理体ユニットの体積変化を吸収しにくくなる。そのため、排ガス処理体ユニットにクラック等が発生しやすくなる。
【0065】
図3(a)に示すように、保持シール材120の第1の主面121には、第1のヒータ161aが配設されている。
【0066】
図1(b)に示すように、保持シール材120が各排ガス処理体ユニットに巻き付けられると、保持シール材120の第1の主面121同士が接触する部分が生じる。この部分において第1のヒータ161aが、自身と接触していると、第1のヒータ161aに電流を流す際に短絡が生じる。そのため、詳しくは後述するが、第1のヒータ161aは、保持シール材120の第1の主面121同士が接触する部分において、自身が接触しないように配設されている。また、第1のヒータ161aが自身と接触し短絡が生じるのを防ぐために、第1のヒータ161aの周囲には、絶縁体がコーティングされていることが望ましい。
【0067】
第1のヒータ161aの形状について説明する。
図3(a)及び(b)に示すように、第1のヒータ161aは保持シール材120の第1の主面121に配設されている。
第1のヒータ161aは、1本のヒータであり、保持シール材120の長手方向と略垂直な方向に沿って存在している部分と、上記保持シール材120の長手方向と略垂直な方向に沿って存在している部分を介在する屈曲部からなっている。すなわち、第1のヒータ161aの形状は、1本のヒータが屈曲部にて交互に折り曲げられ、保持シール材120の第1の端部123から、保持シール材120の仮想直線α近傍まで連続して存在している形状である。つまり、内部保持シール材部125に第1のヒータ161aが配設されている。この第1のヒータ161aは、折り曲げる前の部分と折り曲げた後の部分とが屈曲部を介してほぼ平行になるように、一定の短い間隔で繰り返し折り曲げられている。また、所定の間隔で折り曲げる前の部分と折り曲げた後の部分との間の距離が長くなっている場所が存在している。これは、保持シール材120が排ガス処理体ユニットに巻き付けた際に、第1のヒータ161aが自身と接触しない間隔及び距離であり、排ガス処理体ユニットの大きさ、及び、排ガス処理体130の大きさに応じてあらかじめ算出することができる。
第1のヒータ161aの発熱量の調整は、基本的には、各ヒータの抵抗値を調整することにより行うことができるが、単位長さ当たりの平行線の間隔(ヒータの密度)を調整することによっても、発熱量を調整することができる。ただし、各ヒータは、排ガス処理体ユニットを均一な温度になるように加熱することができる形状(パターン)であれば、
図3(a)に示した形状に限定されるものではなく、後述する
図15(a)及び(b)に示したような他の形状であってもよい。
【0068】
また、
図1(b)に示すように、保持シール材120は排ガス処理体ユニットの側面に沿って折り曲げられることになる。このように折り曲げられる保持シール材120の部分と、保持シール材120の長手方向と略垂直な第1のヒータ161aの直線部とが交差していると、第1のヒータ161aが断線する原因となる。
そのため、本発明の保持シール材120では、このように折り曲げられる保持シール材120の部分に、第1のヒータ161aの屈曲部が配設されることが望ましい。また、このように折り曲げられる保持シール材120の部分に配設される第1のヒータ161aの屈曲部は、あらかじめ保持シール材120が折り曲げられる方向に少し折り曲げられていてもよく、この部分の屈曲部が他の部分よりも太く作製されていてもよい。
このような構成であれば、ヒータ161aの断線を防止することができる。
保持シール材120が折り曲げられる部分は、排ガス処理体ユニットの大きさ、及び、排ガス処理体130の大きさに応じてあらかじめ算出することができる。
【0069】
第1のヒータ161aの構成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、カンタル線、ニクロム線等が挙げられ、また、金、銀、白金、パラジウム、鉛、タングステン、モリブデン、クロム、鉄、アルミニウム及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種からなるもの、炭化ケイ素等の導電性セラミック等が挙げられる。各ヒータは、市販のものを使用してもよい。所望の材料、形状(パターン)からなるヒータを用いる場合には、ヒータを製造してもよい。
第1のヒータ161aは、線状であるが、これらヒータの形状は、線状で線の延びる方向に垂直な断面がほぼ円形のものに限定されるものではなく、上記断面の形状が楕円形状や長方形の形状のものであってもよい。また、平板状の抵抗体が所定のパターンにカットされたものであってもよい。
【0070】
なお、
図3(a)では、1本の第1のヒータ161aが、保持シール材120の第1の主面121全体に配設されているが、第1のヒータ161aは1本である必要はなく、2本以上に分割されていてもよい。この場合、各ヒータの端部を保持シール材120の側面から取り出し、各ヒータを電源と並列に接続してもよい。このように第1のヒータ161aを分割することにより効率よくヒータを発熱させることができる。
【0071】
図3(a)に示すように、保持シール材120の第2の主面122には、第2のヒータ161bが配設されている。
第2のヒータ161bの形状、構成材料は、第2のヒータ161bが保持シール材120の第1の端部123から、保持シール材の第2の端部124まで連続している以外は、第1のヒータ161aと同様である。つまり、外部保持シール材部126にも第2のヒータ161bは配設されている。
【0072】
図1(b)に示すように、本発明の排ガス浄化装置100では、外部保持シール材部126の保持シール材120の第2の主面122が、排ガス処理体130と接触するように、保持シール材120が、排ガス処理体130に巻き付けられることになる。従って、外部保持シール材部126に配設されている第2のヒータ161bは、排ガス処理体130を構成する各排ガス処理体ユニットを加熱するのみならず、周囲から排ガス処理体130を加熱することができる。
また、上記のように外部保持シール材部126を排ガス処理体130の周囲に巻き付けると、排ガス処理体130の外周部分には、保持シール材120が2層となる部分が存在することになる。このような部分では、各ヒータの密度を調整することにより発熱量を調整することが望ましい。
【0073】
本発明の保持シール材120では、保持シール材120の第1の主面121及び第2の主面122には有機シート164が貼付され、有機シート164と保持シール材120の第1の主面121及び第2の主面122との間には、それぞれ第1のヒータ161a及び第2のヒータ161bが挟持されている。
【0074】
上記構成の保持シール材120では、有機シート164が各ヒータを保護することになるので、外部からの衝撃等により各ヒータが損傷することを防ぐことができる。
また、後述するように保持シール材120を排ガス処理体ユニットに巻き付ける際に、有機シート120が貼付されていない場合には、各ヒータと、排ガス処理体ユニットとが直接接触するので、各ヒータと、排ガス処理体ユニットとが擦れ各ヒータが破損することがある。しかし、上記構成の保持シール材120では、各ヒータと、排ガス処理体ユニットとが直接接触することはない。従って、各ヒータが破損することを防ぐことができる。
上記構成の保持シール材120では、各ヒータが有機シートを介して保持シール材120の第1の主面121及び第2の主面122に固定されているので、各ヒータを備えた保持シール材120をそのまま排ガス処理体ユニットの周囲に巻き付けることにより、保持シール材120と排ガス処理体ユニットとの間に各ヒータを狭持することができ、容易に各ヒータを備えた排ガス浄化装置100を作製することができる。なお、有機シート164は、エンジンの始動の前に各ヒータに通電することや、排ガスが排ガス浄化装置100に導入されることにより加熱され、分解、消失する。
【0075】
有機シート164の構成材料は、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム等のポリオレフィン樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂等のスチロール樹脂、ポリエチレンフタレート、ポリエーテルエステル等のポリエステル樹脂等が挙げられる。有機シートは、フィルム等の不織布であってもよく、上記材料を繊維状にしたものを用いた織布であってもよい。
これらの樹脂は充分な柔軟性を有するので、有機シート164と保持シール材120との間に配設された各ヒータをしっかりと保持することができ、また、外部からの衝撃を吸収することができるので、各ヒータの断線等を防止することができる。また、加熱することにより有機シート164が熱分解しやすくなる。
【0076】
有機シート164の厚さは、20〜200μmであることが望ましい。有機シートの厚さが20μm未満であると、有機シートの厚さが薄すぎて貼付する際等に破れるおそれがある。一方、有機シートの厚さが200μmを超えると、有機シートの厚さが厚すぎて、無機繊維単位重量当たりの貼付量が多くなりすぎ、ケーシング110への圧入は問題なく行うことができるものの、分解により発生する炭化水素ガス等の量が多くなりすぎ、好ましくない。
【0077】
保持シール材120に含まれる無機繊維としては、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、シリカ繊維、及び、生体溶解性繊維からなる群から選択される少なくとも一種の無機繊維であることが望ましい。
無機繊維が、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、及び、シリカ繊維の少なくとも1種である場合には、耐熱性に優れているので、通電により排ガス処理体ユニットが発熱し充分な高温になった場合であっても、変質等が発生することはなく、保持シール材としての機能を充分に維持することができる。また、無機繊維が生体溶解性繊維である場合には、保持シール材を用いて排ガス浄化装置を作製する際に、飛散した無機繊維を吸入等しても、生体内で溶解するため、作業員の健康に害を及ぼすことがない。
【0078】
保持シール材120を構成する無機繊維について、アルミナを用いる場合には、アルミナ以外に、例えば、CaO、MgO、又は、ZrO
2等の添加剤が含まれていてもよい。
【0079】
また、シリカを用いる場合には、シリカ以外に、例えば、CaO、MgO、又は、ZrO
2等の添加剤が含まれていてもよい。
【0080】
さらにアルミナ−シリカを用いる場合、その組成比としては、重量比で、Al
2O
3:SiO
2=60:40〜80:20であることが望ましく、Al
2O
3:SiO
2=70:30〜74:26であることがより望ましい。
【0081】
保持シール材120を構成する無機繊維の平均繊維長は、5〜150mmであることが望ましく、10〜80mmであることがより望ましい。
無機繊維の平均繊維長が5mm未満であると、無機繊維の繊維長が短すぎるため、無機繊維同士の交絡が不充分となり、保持シール材のせん断強度が低くなる。また、無機繊維の平均繊維長が150mmを超えると、無機繊維の繊維長が長すぎるため、保持シール材の作製時における無機繊維の取り扱い性が低下する。その結果、排ガス処理体ユニットへの巻き付け性が低下し、保持シール材が割れやすくなる。
【0082】
保持シール材120を構成する無機繊維の平均繊維径は、1〜20μmであることが望ましく、3〜10μmであることがより望ましい。
無機繊維の平均繊維径が1〜20μmであると、無機繊維の強度及び柔軟性が充分に高くなり、保持シール材120のせん断強度を向上させることができる。
無機繊維の平均繊維径が1μm未満であると、無機繊維が細く切れやすいので、無機繊維の引っ張り強度が不充分となる。一方、無機繊維の平均繊維径が20μmを超えると、無機繊維が曲がりにくいため、柔軟性が不充分となる。
【0083】
保持シール材120の目付量(単位面積あたりの重量)は、特に限定されないが、200〜4000g/m
2であることが望ましく、1000〜3000g/m
2であることがより望ましい。保持シール材の目付量が200g/m
2未満であると、保持力が充分ではなく、保持シール材の目付量が4000g/m
2を超えると、保持シール材の嵩が低くなりにくい。そのため、このような保持シール材を用いて排ガス浄化装置を製造する場合、各排ガス処理体ユニットが脱落しやすくなる。
【0084】
また、保持シール材120の嵩密度(巻き付ける前の保持シール材120の嵩密度)についても、特に限定されないが、0.10〜0.30g/cm
3であることが望ましい。保持シール材の嵩密度が0.10g/cm
3未満であると、無機繊維の絡み合いが弱く、無機繊維が剥離しやすいため、保持シール材の形状を所定の形状に保ちにくくなる。
また、保持シール材の嵩密度が0.30g/cm
3を超えると、保持シール材が硬くなり、排ガス処理体ユニットへの巻き付け性が低下し、保持シール材が割れやすくなる。
【0085】
本発明の排ガス浄化装置100に用いられる保持シール材120は、さらに膨張材として、バーミキュライト、ベントナイト、金雲母、パーライト、膨脹性黒鉛、および膨脹性フッ化雲母からなる群から選定された少なくとも一種の材料を含んでいてもよい。これらの膨張材は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0086】
保持シール材120がこのような膨張材を含んでいると、保持シール材120をケーシング110の内部に収容し、排ガス浄化装置100を製造し、車両等に配設した後、エンジンを始動する前に保持シール材120の第1の主面121及び第2の主面122にそれぞれ配設された第1のヒータ161a及び第2のヒータ161bに通電することにより、保持シール材120が加熱され、膨張材が膨らむため、保持シール材120の保持力を向上させることができ、各排ガス処理体ユニットの把持を確実なものにすることができる。
また、エンジンを始動させ、排ガスを排ガス浄化装置100に到達させることにより、膨張材を膨らませようとすると、膨張材が膨らむ前に排ガスの圧力が保持シール材120にかかることになり、各排ガス処理体ユニットの脱落が発生しやすくなる。
上記排ガス浄化装置100を車両等に取り付ける前に、気体等をケーシングの内部に流通させることができる装置を用い、第1のヒータ161a及び第2のヒータ161bに通電して保持シール材120や各排ガス処理体ユニットを加熱する処理を行ってもよい。
膨張材の添加量は、特に限定されないが、保持シール材120の全重量に対して5〜50重量%であることが望ましく、10〜30重量%であることがより望ましい。
【0087】
上記保持シール材120を構成する無機繊維には、有機バインダが添着されていてもよい。有機バインダを添着させることで、無機繊維同士の交絡構造をより強固なものとすることができるとともに、保持シール材120の嵩高さを抑えることができる。
【0088】
上記有機バインダの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ゴム系樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。
上記有機バインダのなかでは、ゴム系樹脂(ラテックス)等が望ましい。有機バインダを含有する有機バインダ含有液としては、例えば、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコール等の水溶性有機重合体を溶解させた溶液、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はスチレン−ブタジエンゴムを水に分散させたラテックス等が挙げられる。
【0089】
また、有機バインダの添着量は、保持シール材120の重量を基準として、0.01〜10.0重量%が望ましい。0.05〜3.0重量%がさらに望ましく、0.1〜1.5重量%の範囲がもっとも望ましい。
【0090】
上記保持シール材120を構成する無機繊維に、有機バインダが添着されている場合、保持シール材120をケーシング110の内部に収容し、排ガス浄化装置100を製造し、車両等に配設した後、エンジンを始動する前に保持シール材120の第1の主面及び第2の主面にそれぞれに配設された第1のヒータ161a及び第2のヒータ161bに通電することにより、有機バインダを分解、消失させることができ、車両に取り付けられたセンサー等の誤動作を防止することができる。各排ガス処理体ユニットが有機成分を含んでいる場合にも、エンジンを始動する前に第1のヒータ161a及び第2のヒータ161bに通電することにより有機成分を分解、消失させることができる。
上記排ガス浄化装置100を車両等に取り付ける前に、気体等をケーシング110の内部に流通させることができる装置を用い、第1のヒータ161a及び第2のヒータ161bに通電して保持シール材120や各排ガス処理体ユニットを加熱する処理を行ってもよい。
【0091】
保持シール材120を構成する無機繊維に無機バインダを添着してもよい。無機バインダとしては、特に限定されるものではないが、アルミナゾル、シリカゾル等が望ましい。無機バインダの添着量は、マット材の重量を基準とし、固形分換算で0.5〜3.0重量%が望ましい。無機バインダを添着することにより、無機繊維の飛散を抑制することができる。
【0092】
保持シール材120には、無機繊維同士の絡み合いを形成するためのニードルパンチング処理が施されていることが望ましい。
【0093】
ニードルパンチング処理とは、ニードル等の繊維交絡手段を無機繊維前駆体のシート状物に抜き差しすることをいう。このような処理が施された保持シール材では、比較的平均繊維長の長い無機繊維がニードルパンチング処理により3次元的に交絡している。
このため、保持シール材120を用いた排ガス浄化装置100では、保持シール材120を構成する無機繊維同士が充分に絡まり合っており、保持シール材120から無機繊維が飛散したり、脱離するのを防止することができる。
【0094】
図4(a)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する内方排ガス処理体ユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
図4(b)は、
図4(a)に示す内方排ガス処理体ユニットのC−C線断面図である。
【0095】
図4(a)に示す内方排ガス処理体ユニット150には、多数のセル155がセル壁156を隔てて長手方向(
図4(a)中、矢印aの方向)に並設されるとともに、その外周に外周壁157が形成されている。セル155の両端面は目封じされておらず、セル155の一方の端面から流入した排ガスは、他方の端面より流出することができる。また、内方排ガス処理体処理ユニット150の断面形状は略正方形である。
【0096】
なお、
図4(a)では、内方排ガス処理体ユニット150として、各々のセルにおけるいずれ端面にも封止材による目封じがなされていない触媒担体を示しているが、各々のセルにおけるいずれか一方の端面が封止材によって目封じされた排ガスフィルタ(ハニカムフィルタ)を用いてもよい。
【0097】
本発明の排ガス浄化装置100では、排ガス処理体ユニットにより排ガスが浄化される。この機構を内方排ガス処理体ユニット150を例に
図4(b)を参照して説明する。
内燃機関から排出された排ガスが、排ガス浄化装置100の内部の排ガス処理体130に到達すると、排ガスが排ガス処理体130を構成する内方排ガス処理体ユニット150の端面に到達することになる。内方排ガス処理体ユニット150の端面に到達した排ガス(
図4(b)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で表す)は、内方排ガス処理体ユニット(触媒担体)150の排ガス流入側の端面に開口したセル155に流入し、セル155に担持された触媒158と接しながら、セル155中を通過し、排ガス流出側の端面から排出される。この際、排ガス中のCOやHC、NOX等の有害なガス成分がセル壁156に担持された触媒158により浄化される。
このように、触媒が担持された排ガス処理体ユニットを含む排ガス処理体130は、触媒担体として好適に使用することができる。
【0098】
図5(a)〜(c)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する外方排ガス処理体ユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
【0099】
図5(a)に示す外方排ガス処理体ユニット140、
図5(b)に示す外方排ガス処理体ユニット141、及び、
図5(c)に示す外方排ガス処理体ユニット142の断面形状は、
図4(a)に示す内方排ガス処理体ユニット150から、その一部を取り除いた形状を有している。
外方排ガス処理体ユニット140、141及び142、並びに、内方排ガス処理体ユニット150をそれぞれ4つずつ組み合わせることにより略円柱状の排ガス処理体130を形成することができる。
【0100】
外方排ガス処理体ユニット140は、曲面状の側面140a、平面状の側面140b及び140c、並びに、端面140e及び140fとで囲まれた形状をなしている。側面140bと側面140cとが接して形成する角は90°である。曲面状の側面140aは、排ガス処理体130の外周面を構成する。
【0101】
外方排ガス処理体ユニット141は、曲面状の側面141a、平面状の側面141b、141c及び141d、並びに、端面141e及び141fとで囲まれた形状をなしている。側面141bと側面141cとが接して形成する角、及び、側面141cと側面141dとが接して形成する角は90°である。曲面状の側面141aは、排ガス処理体130の外周面を構成する。
【0102】
外方排ガス処理体ユニット142は、曲面状の側面142a、平面状の側面142b、142c及び142d、並びに、端面142e及び142fとで囲まれた形状をなしている。
外方排ガス処理体ユニット142は、外方排ガス処理体ユニット141を、外方排ガス処理体ユニット141の側面141cに垂直な軸を中心に180°回転させた形状であり、曲面状の側面142aは、排ガス処理体130の外周面を構成する。
また、外方排ガス処理体ユニット141との対応関係については、曲面状の側面142a、並びに、平面状の側面142b、142c及び142dは、それぞれ、曲面状の側面141a、並びに、平面状の側面141d、141c及び141bと対応する。
【0103】
本発明の排ガス浄化装置100を構成する排ガス処理体ユニットの断面におけるセル密度は、特に限定されないが、望ましい下限は、31.0個/cm
2(200個/inch
2)、望ましい上限は、93.0個/cm
2(600個/inch
2)、より望ましい下限は、38.8個/cm
2(250個/inch
2)、より望ましい上限は、77.5個/cm
2(500個/inch
2)である。
【0104】
本発明の排ガス処理装置100を構成する排ガス処理体ユニットの材料は、特に限定されないが、例えば、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素挙げられるほか、他のセラミックとして、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、コージェライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等が挙げられる。ただし、これらの材料は絶縁体であることが望ましい。
【0105】
本発明の排ガス浄化装置100を構成する排ガス処理体ユニットには、排ガスを浄化するための触媒が担持されてもよい。担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましく、このなかでは、白金がより望ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属を用いることもできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの触媒が担持されていると、COやHC、NO
X等の有毒な排ガスを好適に浄化することができる。
【0106】
次に、本発明の排ガス浄化装置100を構成するケーシング110について説明する。
ケーシング110は、主にステンレス、アルミニウム、鉄等の金属からなり、その形状は、
図1(a)に示すように、両端部の内径が中央部の内径よりも小さい略円筒状であってもよいし、また、内径が一定である略円筒状であってもよい。
ケーシング110の内径(排ガス処理体130を収容する部分の内径)は、排ガス処理体130の端面の直径と排ガス処理体130に巻付けられた状態の保持シール材120の厚さとを合わせた長さより若干短くなっていることが望ましい。
【0107】
次に、本発明の保持シール材120の製造方法の一例について説明する。
本発明の保持シール材の製造方法は、上記構成の保持シール材を製造する方法であって、無機繊維を含み、第1の主面と第2の主面とを有する平面視矩形状のマットからなる保持シール材を準備する保持シール材工程と、上記保持シール材の第1の主面及び第2の主面にヒータを配設する工程とを含むことを特徴とする。
【0108】
保持シール材を準備する工程について説明する。
本発明の保持シール材を構成するマットとして、平面視したときに、長手方向に伸びる長辺とそれにほぼ直角な短辺からなる矩形形状の所定の全長のニードルパンチング処理マットを用意する。ニードルパンチング処理マットは、紡糸用混合物のブローイング法による紡糸工程、紡糸工程により得られた無機繊維前駆体の圧縮によるシート状物の作製工程、シート状物のニードルパンチング処理工程、焼成処理工程、ニードルパンチング処理したシート状物へのバインダーの含浸工程、乾燥工程、及び、裁断工程を経て作製される。なお、ニードルパンチング処理とは、ニードル等の繊維交絡手段を無機繊維前駆体のシート状物に抜き差しすることをいう。
【0109】
マットを構成する無機繊維としては、上記のアルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、シリカ繊維、及び、生体溶解性繊維からなる群から選択される少なくとも一種の無機繊維を用いることができる。
【0110】
ニードルパンチング処理は、ニードルパンチング装置を用いて行うことができる。ニードルパンチング装置は、無機繊維前駆体のシート状物を支持する支持板と、この支持板の上方に設けられ、突き刺し方向(素地マットの厚さ方向)に往復移動可能なニードルボードとで構成されている。ニードルボードには、多数のニードルが取り付けられている。このニードルボードを支持板に載せた無機繊維前駆体のシート状物に対して移動させ、多数のニードルを無機繊維前駆体のシート状物に対して抜き差しすることで、無機繊維前駆体を構成する繊維を複雑に交絡させることができる。ニードルパンチング処理の回数やニードル数は、目的とする嵩密度や目付量等に応じて変更すればよい。
【0111】
ニードルパンチング処理したシート状物にはバインダーを付着させることが望ましい。シート状物にバインダーを付着させることで、無機繊維同士の交絡構造をより強固なものとすることができるとともに、マットの嵩高さを抑えることができる。
【0112】
バインダーとしては、アクリル系ラテックス又はゴム系ラテックス等を水に分散させて調製したエマルジョンを用いることができる。このバインダーをスプレー等を用いてマット全体に均一に吹きかけて、バインダーをマットに付着させる。
【0113】
また、上述したように、バインダー中の水分等を除去するために、マットを圧縮乾燥させる。乾燥条件としては、例えば、95〜150℃で1〜30分間乾燥させればよい。
【0114】
バインダーが付着されたシート状物を所定の大きさに裁断することにより、本発明の保持シール材120を準備することができる。
【0115】
次に、保持シール材120の第1の主面121及び第2の主面122に、それぞれ第1のヒータ161a及び第2のヒータ161bを配設する工程を説明する。
【0116】
この工程では、まず、上記工程を経て準備された保持シール材120の第1の主面121に第1のヒータ161aを載置する。第1のヒータ161aの構成材料、形状等は上記の通りである。
【0117】
次に、保持シール材120の第1の主面121に載置された第1のヒータ161aの上から、第1のヒータ161aを覆うように有機シート164を貼付する。
有機シート164を保持シール材120の第1の主面121に貼付する方法としては、熱圧着による貼付、糸等を用いた縫い付け、接着剤による貼付等が挙げられる。
【0118】
有機シートを貼付することにより、有機シートが第1のヒータ161aを保護することになるので、外部からの衝撃等により第1のヒータ161aが損傷することを防ぐことができる。
また、後述するように保持シール材120を排ガス処理体ユニットに巻き付ける際に、有機シートが貼付されていない場合には、第1のヒータ161aと、排ガス処理体ユニットとが直接接触するので、第1のヒータ161aと、排ガス処理体ユニットとが擦れ第1のヒータ161aが破損することがある。しかし、有機シートが貼付されていると、第1のヒータ161aと、排ガス処理体ユニットとが直接接触することはない。従って、第1のヒータ161aが破損することを防ぐことができる。
【0119】
次に、同様の方法で、保持シール材120の第2の主面122に第2のヒータ161bを配設する。
【0120】
これら工程を経て、本発明の保持シール材の一例である第1の主面121及び第2の主面122に第1のヒータ161a及び第2のヒータ161bがそれぞれ配設された保持シール材120を準備することができる。
【0121】
次に、上記工程を経て準備された本発明の保持シール材120を用いて本発明の排ガス浄化装置100を製造する方法の一例を説明する。
本発明の排ガス浄化装置を製造する方法では、複数個の柱状の排ガス処理体ユニット同士の間に、一枚の上記保持シール材を連続して介在させ巻き付け、上記柱状の排ガス処理体ユニットを複数個集合し、排ガス処理体を形成する排ガス処理体作製工程と、上記保持シール材をさらに上記排ガス処理体の周囲に巻き付ける巻き付け工程と、上記保持シール材がその周囲に巻き付けられた上記排ガス処理体をケーシング内部に収容する収容工程を含むことを特徴とする。
【0122】
排ガス処理体作成工程について説明する。
本発明の排ガス浄化装置100を構成する排ガス処理体130は、連続する一枚の保持シール材120が介在するように、各排ガス処理体ユニット同士の間に、保持シール材120を巻き付けることにより形成される。この工程を図面を参照しながら説明する。
【0123】
図6(a)〜(e)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体を形成する工程の一例を順に示す模式図である。
図6(a)〜(e)では、保持シール材120を各排ガス処理体ユニットに巻き付ける工程を、各排ガス処理体ユニットの長手方向に垂直な方向で切断した断面図を用いて示している。
また、
図7は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を示す模式図である。
【0124】
本発明の排ガス浄化装置100の排ガス処理体130を形成する工程では、まず、
図6(a)に示すように、外方排ガス処理体ユニット140の辺140sと、保持シール材120の第1の端部123の辺123sとが合致するように両者を接触させる。その後、外方排ガス処理体ユニット140の側面140bと、保持シール材120の第1の主面121とを接触させる。そして、保持シール材120の第1の主面121を、外方排ガス処理体ユニット140の側面140b及び側面140cに沿うように接触させながら、保持シール材120を外方排ガス処理体ユニット140に巻き付ける。
この際、外方排ガス処理体ユニット140の両端面140e、140fを支持棒(図示せず)等で固定しておく必要がある。また、保持シール材120の第1の端部123が移動しないように、保持シール材120の第1の端部123近傍に接着材を塗布して外方排ガス処理体ユニット140の側面140aに貼り付けるか、板状体を用いて保持シール材120を外方排ガス処理体ユニット140の側面140aに押し付け、固定してもよい。
【0125】
続いて、排ガス処理体130を形成する工程では、
図6(b)に示すように、外方排ガス処理体ユニット141の側面141bと、保持シール材120の第2の主面122とが接触するように、外方排ガス処理体ユニット141を配設する。この際、側面140bと側面141cとが同一平面上に属するように、かつ、側面140cと側面141bとが対面するように外方排ガス処理体ユニット141を配設する。すなわち、上記状態となるように、外方排ガス処理体ユニット141を保持シール材120の表面に押し付ける。そして、保持シール材120の第2の主面122を、外方排ガス処理体ユニット141の側面141b、側面141a及び側面141dに沿うように接触させながら、保持シール材120を外方排ガス処理体ユニット141に巻き付ける。
この状態を保つためには、上記のように外方排ガス処理体ユニット141を配設するとともに、外方排ガス処理体ユニット141の側面の保持シール材120を巻き付けた後、外方排ガス処理体ユニット141の端面141e、141fを支持棒(図示せず)等で固定する必要がある。以下の工程においても、本工程と同様に、各排ガス処理体ユニットに保持シール材120を巻き付けた後、排ガス処理体ユニットの両端面を固定する必要がある。固定化に関する記載内容は、本工程と同様であるので、以下においては、その記載を省略することとする。
【0126】
続いて、
図6(c)に示すように、排ガス処理体130を形成する工程では、外方排ガス処理体ユニット142の側面142bと、保持シール材120の第1の主面121とが接触するように、外方排ガス処理体ユニット142を配設する。この際、側面141cと側面142cとが同一平面上に属するように、かつ、側面141dと側面142bとが対面するように外方排ガス処理体ユニット142を配設する。すなわち、上記状態となるように、外方排ガス処理体ユニット142を保持シール材120の表面に押し付ける。そして、保持シール材120の第1の主面121を、外方排ガス処理体ユニット142の側面142b、側面142c及び側面142dに沿うように接触させながら、保持シール材120を外方排ガス処理体ユニット142に巻き付ける。
【0127】
続いて、
図6(d)に示すように、排ガス処理体130を形成する工程では、別の外方排ガス処理体ユニット140(以下、便宜上外方排ガス処理体ユニット1140という)の側面1140bを保持シール材120の第2の主面122に接触するように、外方排ガス処理体ユニット1140を配設する。すなわち、上記状態となるように、外方排ガス処理体ユニット1140を保持シール材120の表面に押し付ける。この際、側面142cと側面1140cとが同一平面上に属するように、かつ、側面142dと側面1140bとが対面するように外方排ガス処理体ユニット1140を配設する。そして、保持シール材120の第2の主面122を、外方排ガス処理体ユニット1140の側面1140b、側面1142a及び側面1142cに沿うように接触させながら、保持シール材120を外方排ガス処理体ユニット1140に巻き付ける。
【0128】
外方排ガス処理体ユニット1140は、外方排ガス処理体ユニット140を、外方排ガス処理体ユニット140の長手方向に平行な軸を中心に反時計方向に90°回転させた形状である。
【0129】
この工程では、保持シール材120の第1の主面121と、第2の主面122とが、隣り合う排ガス処理体ユニットの側面に交互に接触するように、保持シール材120を、各排ガス処理体ユニットに巻き付けている。
【0130】
続いて、
図6(e)に示すように、排ガス処理体130を形成する工程では、別の外方排ガス処理体ユニット141(以下、便宜上外方排ガス処理体ユニット1141という)、内方排ガス処理体ユニット150、内方排ガス処理体ユニット1150、及び、別の外方排ガス処理体ユニット142(以下、便宜上外方排ガス処理体ユニット1142という)に保持シール材120を巻き付ける。
【0131】
外方排ガス処理体ユニット1141は、外方排ガス処理体ユニット141を、外方排ガス処理体ユニット141の長手方向に平行な軸を中心に反時計方向に90°回転させた形状である。
外方排ガス処理体ユニット1142は、外方排ガス処理体ユニット142を、外方排ガス処理体ユニット142の長手方向に平行な軸を中心に反時計方向に90°回転させた形状である。
【0132】
この工程で配設する各排ガス処理体ユニットの位置関係は以下の通りである。
外方排ガス処理体ユニット1141の側面1141bと、外方排ガス処理体ユニット1140の側面1140cとは対面し、かつ、外方排ガス処理体ユニット1141の側面1141cと、外方排ガス処理体ユニット1140の側面1140bとが同一平面上に属するように、外方排ガス処理体ユニット1141を配置している。
内方排ガス処理体ユニット150の1つの側面と、外方排ガス処理体ユニット142の側面142cとは対面するように内方排ガス処理体ユニット150を配置している。
内方排ガス処理体ユニット1150の1つの側面と、外方排ガス処理体ユニット141の側面141cとは対面するように内方排ガス処理体ユニット1150を配置している。
外方排ガス処理体ユニット1142の側面1142dと、外方排ガス処理体ユニット1140の側面140bとは対面し、かつ、外方排ガス処理体ユニット1142の側面1142cと、側面140cとが同一平面上に属するように、外方排ガス処理体ユニット1142を配置している。
【0133】
この工程で配設する保持シール材120の配設の位置関係は以下の通りである。
保持シール材120の第1の主面121を、外方排ガス処理体ユニット1141の側面1141b、及び、1141cに沿うように接触させながら、保持シール材120を外方排ガス処理体ユニット1141に巻き付けている。
そして、保持シール材120の第1の主面121と、第2の主面122とが、隣り合う内方排ガス処理体ユニット150及び1150、並びに、外方排ガス処理体ユニット1142の側面に交互に接触するように、保持シール材120を、各排ガス処理体ユニットに巻き付ける。
【0134】
これまでの工程を経た各排ガス処理体ユニットの集合体の断面形状は略半円形となっている。
【0135】
続いて、排ガス処理体130を形成する工程では、
図7に示す排ガス処理体130のように、各排ガス処理体ユニットの集合体の断面形状が略円形となるように、各排ガス処理体ユニットに保持シール材120を巻き付ける。
この際、保持シール材120の第1の主面121と、第2の主面122とが、隣り合う排ガス処理体ユニットの側面に交互に接触するように、保持シール材120を、排ガス処理体ユニットに巻き付ける。
この際の各排ガス処理体ユニットの配設位置及び種類は、上記の断面形状が略半円形の排ガス処理体ユニットの集合体を半円の中心を軸に180°回転させた各排ガス処理体ユニットの配設位置及び種類と一致する。
【0136】
これまでの工程を経た各排ガス処理体ユニットの集合体は、
図7に示すような排ガス処理体130となる。
【0137】
各排ガス処理体ユニットに保持シール材120を巻き付ける際に、排ガス処理体ユニットが相互に分離しないよう、各種対処を行っても良い。例えば、保持シール材120に接着材を塗布しておき、これにより各排ガス処理体ユニット同士を固定しても良い。
【0138】
また、
図7中の仮想直線α´は、
図3(a)中の保持シール材120の仮想直線αと直交する、保持シール材120の厚さ方向に略平行な直線である。また、仮想直線α´を境に、各排ガス処理体ユニットを巻き付けている部分が、内部保持シール材部125であり、排ガス処理体130の外に飛び出している部分が、外部保持シール材部126である。
【0139】
図8は、本発明の排ガス浄化装置を構成する周囲に保持シール材が配設された排ガス処理体の一例を示す斜視図である。
【0140】
次に、巻き付け工程について説明する。
上記工程の後、本発明の排ガス浄化装置100の製造方法では、
図8に示すように排ガス処理体130の周囲の反時計方向に沿って、外部保持シール材部126を排ガス処理体130に巻き付ける。すなわち、保持シール材120の第2の主面122が、排ガス処理体130と接触するように、保持シール材120を排ガス処理体130に巻き付ける。次に、各ヒータの端部を外部端子162により導電線163と接続する。
【0141】
これら工程を経て、周囲に保持シール材120が巻き付けられた排ガス処理体130を作製することができる。
【0142】
次に、収容工程について説明する。
収容工程では、周囲に保持シール材120が配設された排ガス処理体130を、ケーシング110に収容する。
収容後に保持シール材120が圧縮して所定の面圧(すなわち、排ガス処理体を保持する力)を発揮するために、ケーシング110の内径は、周囲に保持シール材120が配設された排ガス処理体130の最外径より少し小さくなっている。
【0143】
収容工程に関し、周囲に保持シール材120が配設された排ガス処理体130をケーシング110に収容する方法としては、例えば、ケーシングの内部の所定の位置まで周囲に保持シール材120が配設された排ガス処理体130を圧入する圧入方式(スタッフィング方式)、周囲に保持シール材120が配設された排ガス処理体130をケーシングの内部に挿入した後、ケーシングの内径を縮めるように外周側から圧縮するサイジング方式(スウェージング方式)、並びに、ケーシングを、第1のケーシング及び第2のケーシングの2つの部品に分離可能な形状としておき、周囲に保持シール材120が配設された排ガス処理体130を第1のケーシング上に載置した後に第2のケーシングを被せて密封するクラムシェル方式等が挙げられる。
【0144】
排ガス処理体130をケーシング110に収容後、エンジンを始動する前に各ヒータに通電することにより、保持シール材120の第1の主面121及び第2の主面122に貼付された有機シート164を加熱し、分解・消失させてもよい。
また、保持シール材120が膨張材を含んでいると、この際に、膨張材が膨らむため、保持シール材120の保持力を向上させることができ、排ガス処理体130の把持を確実なものにすることができる。
また、同様に、保持シール材120や排ガス処理体130が有機バインダ等の有機物を含んでいる場合、エンジンを始動する前に各ヒータに通電することにより、有機バインダ等の有機物を分解、消失させることができ、車両に取り付けられたセンサー等の誤動作を防止することができる。
【0145】
また、エンジンを始動する前に各ヒータに通電しない場合は、排ガス浄化装置100に高温の排ガスが流入することにより、有機シート、有機バインダ等が分解・消失し、膨張材が膨らむことになる。
【0146】
これら工程を経て、本発明の排ガス浄化装置の一例である排ガス浄化装置100が製造される。
【0147】
本発明の保持シール材、保持シール材の製造方法、排ガス浄化装置、及び、排ガス浄化装置の製造方法は以下の一例のようであってもよい。
【0148】
図9は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す、排ガス浄化装置の長手方向に垂直な方向の断面図である。
【0149】
図9に示す本発明の排ガス処理装置の一例である排ガス浄化装置200では、それぞれ形の異なる外方排ガス処理体ユニット240と、外方排ガス処理体ユニット241と、外方排ガス処理体ユニット242と、外方排ガス処理体ユニット240、241及び242の内側に位置する4つの内方排ガス処理体ユニット250とが4つずつ、保持シール材220を介して組み合わされ、断面形状が略円形の排ガス処理体230が形成されている。
また、保持シール材220は、本発明の保持シール材の一例である。
【0150】
外方排ガス処理体ユニット240、241及び242、並びに、内方排ガス処理体ユニット250は、それぞれ、上記外方排ガス処理体ユニット140、141及び142、並びに、内方排ガス処理体ユニット150と同じ形状である。
【0151】
図9に示すように、連続する一枚の保持シール材220は、排ガス処理体230の周囲にも配設されている。周囲に保持シール材220が配設された排ガス処理体230は、ケーシング210に収容されている。
【0152】
図9に示すように、本発明の排ガス浄化装置200では、各排ガス処理体ユニット同士の間にある保持シール材220が2層になるように配設されている。
すなわち、横に並んだ排ガス処理体ユニットの間には、保持シール材220を排ガス処理体ユニットの側面に沿って下降させた後に折り曲げ、2層にしており、上下の排ガス処理体ユニットの間では、上層は、連続した一つの層となっている。
また、一枚の保持シール材220を用いて、外方排ガス処理体ユニット240、241、及び、242、並びに、内方排ガス処理体ユニット250の対向する面にのみ介装することは難しいので、保持シール材220は、排ガス処理体230の周囲の一部にも配設されており、最終的には、排ガス処理体230の外周全体にもう一度保持シール材220を巻き付けるため、排ガス処理体230の外周全体にもう一度保持シール材220が巻き付けられている。そのため、排ガス処理体230の外周部分には、保持シール材220が2層となっている部分が存在している。
【0153】
各排ガス処理体ユニット同士の間にある保持シール材220が、
図9に示すように、2層になるように配設された場合、各排ガス処理体ユニット同士の間に保持シール材が1層になるように配設した場合と異なり、保持シール材220の境界が内部の保持シール材間を横切るように形成されることがないので、排ガス処理体230の内部を排ガスが通過しにくくなり、排ガス漏れの可能性がより低くなる。
また、各排ガス処理体ユニットの間に存在する単位面積当たりの無機繊維の量をより多くすることができ、各排ガス処理体ユニットが破損しにくく、より保温効果に優れた排ガス処理体230を実現することができる。
さらに、各排ガス処理体ユニットが保持シール材220から受ける面圧は均等になりやすくなる。すなわち、各排ガス処理体ユニットにかかる面圧が偏在しにくくなるので、各排ガス処理体ユニットが損傷しにくくなる。
また、各排ガス処理体ユニット同士の間の保持シール材220が介在しているので、各排ガス処理体ユニット同士の間の距離が均等になる。そのため、外部から衝撃を受けた場合でも、各排ガス処理体ユニットに衝撃が均等に伝わりやすくなる。さらに、各排ガス処理体ユニットに伝わる熱も均等に伝わりやすくなる。そのため、外部からの衝撃や熱衝撃を受けた場合でも、各排ガス処理体ユニットにクラック等の損傷が生じにくくなる。
【0154】
図9に示すように、本発明の排ガス浄化装置200では、各排ガス処理体ユニットとケーシング210との間に保持シール材220が連続して2層になっている部分が存在している。本発明の排ガス浄化装置200を用いる際、この保持シール材220が2層になっている部分が、排ガス浄化装置200の底部に位置するように配設することが望ましい。
一般的に、排ガス浄化装置を用いる場合、保持シール材の排ガス浄化装置の底部に配設されている部分は、重力の影響により荷重がかかるので、保持シール材に損傷が生じやすくなり、また、保持シール材の面圧も低下しやすくなる。
保持シール材220が2層になっている部分が、排ガス浄化装置200の底部に位置するように配設されていると、重力の影響により、保持シール材220に荷重がかかったとしても、保持シール材220が2層存在しているので、損傷を防ぎやすくなり、また、保持シール材220の面圧も維持しやすくなる。
【0155】
本発明の排ガス浄化装置200では、保持シール材220の第1の主面221と、排ガス処理体ユニットとの間には、ヒータ261が配設されている。
【0156】
このことを、
図10を用いて詳しく説明する。
図10は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体ユニットと、排ガス処理体ユニット同士の間に介在されている保持シール材との一部の一例を模式的に示す模式図である。
【0157】
図10に示すように、本発明の排ガス浄化装置200では、内方排ガス処理体ユニット250と、内方排ガス処理体ユニットと隣り合う別の内方排ガス処理体ユニット250(以下、便宜上内方排ガス処理体ユニット1250という)との間の保持シール材220が2層となるように、保持シール材220が配設されている。また、保持シール材220の第1の主面221のみが、内方排ガス処理体ユニット250及び内方排ガス処理体ユニット1250と接している。
保持シール材220の第1の主面221と、内方排ガス処理体ユニット250及び内方排ガス処理体ユニット1250との間には、ヒータ261が配設されている。
【0158】
このように、本発明の排ガス浄化装置200の各排ガス処理体ユニットが保持シール材220で介在される部分においては、全ての排ガス処理体ユニットに、保持シール材220の第1の主面221が接している。従って、全ての排ガス処理体ユニットはヒータ261と接しており、ヒータ261により全ての排ガス処理体ユニットを直接加熱することができる。また、
図9に示すように、保持シール材220の第1の主面221は、排ガス処理体230の周囲にも巻き付けられている。従って、保持シール材220の第1の主面221に配設されているヒータ261は、排ガス処理体230を構成する各排ガス処理体ユニットを加熱するのみならず、周囲から排ガス処理体230を加熱することができる。
【0159】
図11は本発明の排ガス浄化装置に用いられた、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。
【0160】
図11に示す保持シール材220は、無機繊維を含む平面視形状略矩形のマットである。また、保持シール材220は、第1の主面221と、第1の主面221と反対側の主面である第2の主面222とを備えている。
図11に示す保持シール材220は、第1の端部223と反対側の端部である第2の端部224とを備えている。
【0161】
図11に示す保持シール材220では、保持シール材220の長手方向に垂直な仮想直線βを境に内部保持シール材部225と外部保持シール材部226に分けることができる。第1の端部223が属する部分が内部保持シール材部225であり、第2の端部224が属する部分が外部保持シール材部226である。
内部保持シール材部225は、
図9に示す排ガス浄化装置200において、各排ガス処理体ユニット同士の間に配設されている部分である。
外部保持シール材部226は、
図9に示す排ガス浄化装置200において、排ガス処理体230の周囲に配設されている部分である。
【0162】
外部保持シール材部226の長手方向の長さは、排ガス処理体230の周囲の長さと略同じである。
【0163】
本発明の保持シール材220は、内部保持シール材部225の長手方向の長さが長いこと、及び、厚さが薄いこと以外は、上記本発明の保持シール材120と同じ形状及び組成である。
【0164】
保持シール材220の厚さは特に限定されないが、2.0〜20mmであることが望ましい。
保持シール材の厚さが20mmを超えると、保持シール材の柔軟性が失われるので、保持シール材を排ガス処理体ユニット間に配設する場合に扱いづらくなる。また、保持シール材に巻きジワや割れが生じやすくなる。
また、排ガス浄化装置200では、各排ガス処理体ユニットの間に2層の保持シール材220を配設するので、上記望ましい厚さの上限を超えると、保持シール材220の間に隙間が出来やすくなる。
保持シール材の厚さが2.0mm未満であると、保持シール材の面圧が排ガス処理体ユニットを保持するのに十分でなくなる。そのため、排ガス処理体230を構成する排ガス処理体ユニットが抜け落ちやすくなる。また、排ガス処理体ユニットに体積変化が生じた場合、保持シール材は排ガス処理体ユニットの体積変化を吸収しにくくなる。そのため、排ガス処理体ユニットにクラック等が発生しやすくなる。
【0165】
ヒータ261の形状について説明する。
図9に示すように、ヒータ261は保持シール材220の第1の主面221に配設されている。ヒータ261は、1本のヒータであり、保持シール材220の長手方向と略垂直な方向に沿って存在している部分と、上記保持シール材220の長手方向と略垂直な方向に沿って存在している部分を介在する屈曲部からなっている。すなわち、ヒータ261の形状は、1本のヒータが屈曲部にて交互に折り曲げられ、保持シール材220の第1の端部223から、保持シール材220の第2の端部224まで連続して存在している形状である。このヒータ261は、折り曲げる前の部分と折り曲げた後の部分とが屈曲部を介してほぼ平行になるように、一定の短い間隔で繰り返し折り曲げられている。また、所定の間隔で折り曲げる前の部分と折り曲げた後の部分との間の距離が長くなっている場所が存在している。これは、保持シール材220が排ガス処理体ユニットに巻き付けた際に、ヒータ261が自身と接触しない間隔及び距離であり、排ガス処理体ユニットの大きさ、及び、排ガス処理体230の大きさに応じてあらかじめ算出することができる。ヒータ261の発熱量の調整は、基本的には、各ヒータの抵抗値を調整することにより行うことができるが、単位長さ当たりの平行線の間隔(ヒータの密度)を調整することによっても、発熱量を調整することができる。
【0166】
排ガス浄化装置200に用いられるヒータ261は、上記本発明の排ガス浄化装置100に用いられた第1のヒータ161a及び第2のヒータ161bと同じ組成である。
【0167】
本発明の排ガス浄化装置200を構成する外方排ガス処理体ユニット240、241及び242、並びに、内方排ガス処理体ユニット250は、それぞれ、本発明の排ガス浄化装置100を構成する外方排ガス処理体ユニット140、141及び142、並びに、内方排ガス処理体ユニット150と同じように、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されるとともに、その外周に外周壁が形成されている。
【0168】
本発明の保持シール材220の製造方法は、ヒータ261が保持シール材220の第1の主面221のみに配設されていること、及び、内部保持シール材部225の長手方向の長さが長い以外は、上記本発明の保持シール材120と同じ製造方法で製造できるので詳細は省略する。
【0169】
次に、本発明の排ガス浄化装置200の製造方法について説明する。本発明の排ガス浄化装置200の製造方法は、排ガス処理体作製工程が異なる以外は、上記本発明の排ガス浄化装置100の製造方法と同じである。
【0170】
本発明の排ガス浄化装置200を構成する排ガス処理体230は、連続する一枚の保持シール材220が介在するように、各排ガス処理体ユニット同士の間に、保持シール材220を巻き付けることにより形成される。この工程を図面を参照しながら説明する。
【0171】
図12(a)〜(e)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体を形成する工程の一例を順に示す模式図である。
図12(a)〜(e)では、保持シール材220を各排ガス処理体ユニットに巻き付ける工程を、各排ガス処理体ユニットの長手方向に垂直な方向で切断した断面図を用いて示している。
また、
図13は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を示す模式図である。
【0172】
排ガス処理体230を形成する工程では、まず、
図12(a)に示すように、外方排ガス処理体ユニット240の辺240sと、保持シール材220の第1の端部223の辺223sとが合致するように両者を接触させる。その後、外方排ガス処理体ユニット240の側面240bと、保持シール材220の第1の主面221とを接触させる。そして、保持シール材220の第1の主面221が、外方排ガス処理体ユニット240の側面240b及び側面240cに沿うように接触させながら、保持シール材220を外方排ガス処理体ユニット240に巻き付ける。この際、外方排ガス処理体ユニット240の両端面を支持棒(図示せず)等で固定しておく必要がある。また、保持シール材220の第1の端部223が移動しないように、保持シール材220の第1の端部223近傍に接着材を塗布して外方排ガス処理体ユニット240の側面240aに貼り付けるか、板状体を用いて保持シール材220を外方排ガス処理体ユニット240の側面240aに押し付け、固定してもよい。
【0173】
次に、外方排ガス処理体ユニット240の側面240cと、保持シール材220の第1の主面221とが接触している終点を支点に保持シール材220を反対に折り曲げる。反対に折り曲げるとは、保持シール材220を180°折り曲げ、保持シール材220の第2の主面222同士を接触させることをいう。
【0174】
続いて、排ガス処理体230を形成する工程では、
図12(b)に示すように、外方排ガス処理体ユニット241の側面241bと、保持シール材220の第1の主面221とが接触するように、外方排ガス処理体ユニット241を配設する。この際、側面240bと側面241cとが同一平面上に属するように、かつ、側面240cと側面241bとが対面するように外方排ガス処理体ユニット241を配設する。すなわち、上記状態となるように、外方排ガス処理体ユニット241を保持シール材220の表面に押し付ける。そして、保持シール材220の第1の主面221が、外方排ガス処理体ユニット241の側面241b、側面241c及び側面241dに沿うように接触させながら、保持シール材220を外方排ガス処理体ユニット241に巻き付ける。
この状態を保つためには、上記のように外方排ガス処理体ユニット241を配設するとともに、外方排ガス処理体ユニット241の側面の保持シール材220を巻き付けた後、外方排ガス処理体ユニット241の端面を支持棒(図示せず)等で固定する必要がある。以下の工程においても、本工程と同様に、各排ガス処理体ユニットに保持シール材220を巻き付けた後、排ガス処理体ユニットの両端面を固定する必要がある。固定化に関する記載内容は、本工程と同様であるので、以下においては、その記載を省略することとする。
【0175】
次に、外方排ガス処理体ユニット241の側面241dと、保持シール材220の第1の主面221とが接触している終点を支点に保持シール材220を反対に折り曲げる。
【0176】
続いて、
図12(c)に示すように、排ガス処理体230を形成する工程では、外方排ガス処理体ユニット242の側面242bが、保持シール材220の第1の主面221に接触するように、外方排ガス処理体ユニット242を配設する。この際、側面241cと側面242cとが同一平面上に属するように、かつ、側面241dと側面242bとが対面するように外方排ガス処理体ユニット242を配設する。すなわち、上記状態となるように、外方排ガス処理体ユニット242を保持シール材220の表面に押し付ける。そして、保持シール材220の第1の主面221が、外方排ガス処理体ユニット242の側面242b、側面242c及び側面242dに沿うように接触させながら、保持シール材220を外方排ガス処理体ユニット242に巻き付ける。次に、外方排ガス処理体ユニット242の側面242dと保持シール材220の第1の主面221とが接触している終点を支点に、保持シール材220を反対に折り曲げる。
【0177】
続いて、
図12(d)に示すように、排ガス処理体230を形成する工程では、別の外方排ガス処理体ユニット240(以下、便宜上外方排ガス処理体ユニット1240という)の側面1240bが保持シール材220の第1の主面221に接触するように、外方排ガス処理体ユニット1240を配設する。この際、側面242cと側面1240cとが同一平面上に属するように、かつ、側面242dと側面1242bとが対面するように外方排ガス処理体ユニット1240を配設する。すなわち、上記状態となるように、外方排ガス処理体ユニット1240を保持シール材220の表面に押し付ける。そして、保持シール材220の第1の主面221が、外方排ガス処理体ユニット1240の側面1240b及び側面1240cに沿うように接触させながら、保持シール材220を外方排ガス処理体ユニット1240に巻き付ける。次に、外方排ガス処理体ユニット1240の側面240cと、保持シール材220の第1の主面221とが接触している終点を支点に保持シール材220を反対に折り曲げる。次に、側面1240c、側面242c、側面241c、及び、側面240bに沿って、保持シール材220の第2の主面222同士が接触するように保持シール材220を折り返す。
【0178】
外方排ガス処理体ユニット1240は、外方排ガス処理体ユニット240を、外方排ガス処理体ユニット240の長手方向に平行な軸を中心に反時計方向に90°回転させた形状である。
【0179】
続いて、
図12(e)に示すように、排ガス処理体230を形成する工程では、別の外方排ガス処理体ユニット241(以下、便宜上外方排ガス処理体ユニット1241という)、内方排ガス処理体ユニット250、別の内方排ガス処理体ユニット250(以下、便宜上内方排ガス処理体ユニット1250という)、及び、別の外方排ガス処理体ユニット242(以下、便宜上外方排ガス処理体ユニット1242という)に保持シール材220を巻き付ける。
【0180】
外方排ガス処理体ユニット1241は、外方排ガス処理体ユニット241を、外方排ガス処理体ユニット241の長手方向に平行な軸を中心に反時計方向に90°回転させた形状である。
外方排ガス処理体ユニット1242は、外方排ガス処理体ユニット242を、外方排ガス処理体ユニット242の長手方向に平行な軸を中心に反時計方向に90°回転させた形状である。
【0181】
この工程で配設する各排ガス処理体ユニットの位置関係は以下の通りである。
外方排ガス処理体ユニット1241の側面1241bと、外方排ガス処理体ユニット1240の側面1240cとは対面し、かつ、外方排ガス処理体ユニット1241の側面1241cと、外方排ガス処理体ユニット1240の側面1240bとが同一平面上に属するように、外方排ガス処理体ユニット1241を配置している。
内方排ガス処理体ユニット250の1つの側面と、外方排ガス処理体ユニット242の側面242cとは対面するように内方排ガス処理体ユニット250を配置している。
内方排ガス処理体ユニット1250の1つの側面と、外方排ガス処理体ユニット241の側面241cとは対面するように内方排ガス処理体ユニット1250を配置している。
外方排ガス処理体ユニット1242の側面1242dと、外方排ガス処理体ユニット1240の側面240bとは対面し、かつ、外方排ガス処理体ユニット1242の側面1242cと、側面240cとが同一平面上に属するように、外方排ガス処理体ユニット1242を配置している。
【0182】
この工程で配設する保持シール材220の配設の位置関係は以下の通りである。
保持シール材220の第1の主面221を、外方排ガス処理体ユニット1242の側面1242a、1242b、及び、1242cに沿うように接触させながら、保持シール材220を外方排ガス処理体ユニット1242に巻き付けている。次に、外方排ガス処理体ユニット1242の側面1242bと保持シール材220の第1の主面221とが接触している終点を支点に、保持シール材220を反対に折り曲げる。
以下同様に、保持シール材220の第1の主面221のみが、内方排ガス処理体ユニット1250、250、及び、1241に接触するように、保持シール材220を排ガス処理体ユニットに巻き付ける。
【0183】
これまでの工程を経た各排ガス処理体ユニットの集合体の断面形状は略半円形となっている。
【0184】
続いて、排ガス処理体230を形成する工程では、
図13に示す排ガス処理体230のように、各排ガス処理体ユニットの集合体の断面形状が略円形となるように、各排ガス処理体ユニットに保持シール材220を巻き付ける。
この際、保持シール材220の第1の主面221のみが排ガス処理体ユニットに接触するように、保持シール材220を、各排ガス処理体ユニットに巻き付ける。
この際の各排ガス処理体ユニットの配設位置及び種類は、上記の断面形状は略半円形の排ガス処理体ユニットの集合体を半円の中心を軸に180°回転させた各排ガス処理体ユニットの配設位置及び種類と一致する。
【0185】
これまでの工程を経た各排ガス処理体ユニットの集合体は、
図13に示すような排ガス処理体230となる。
【0186】
また、
図13中の仮想直線β´は、
図11中の保持シール材220の仮想直線βと直交する、保持シール材220の厚さ方向に略平行な直線である。また、仮想直線β´を境に、各排ガス処理体ユニットを巻き付けている部分が、内部保持シール材部225であり、排ガス処理体230の外に飛び出している部分が、外部保持シール材部226である。
【0187】
図14は、本発明の排ガス浄化装置を構成する周囲に保持シール材が配設された排ガス処理体の一例を示す斜視図である。
【0188】
続いて、本発明の排ガス浄化装置200の製造方法では、
図14に示すように排ガス処理体230の周囲の時計方向に沿って、外部保持シール材部226を排ガス処理体230に巻き付ける。すなわち、すなわち、保持シール材220の第1の主面221が、排ガス処理体230と接触するように、保持シール材220を排ガス処理体230に巻き付ける。
次に、ヒータ261の端部を外部端子262により導電線263と接続する。
【0189】
次に、周囲に保持シール材220が配設された排ガス処理体230を、ケーシング210に収容する収容工程を行う。
収容後に保持シール材220が圧縮して所定の面圧(すなわち、排ガス処理体を保持する力)を発揮するために、ケーシング210の内径は、周囲に保持シール材220が配設された排ガス処理体230の最外径より少し小さくなっている。
以上の方法により、
図9に示す排ガス浄化装置200を製造することができる。
【0190】
収容工程に関し、周囲に保持シール材220が配設された排ガス処理体230をケーシング210に収容する方法としては、例えば、ケーシング210の内部の所定の位置まで周囲に保持シール材220が配設された排ガス処理体230を圧入する圧入方式(スタッフィング方式)、周囲に保持シール材220が配設された排ガス処理体230をケーシング210の内部に挿入した後、ケーシング210の内径を縮めるように外周側から圧縮するサイジング方式(スウェージング方式)、並びに、ケーシング210を、第1のケーシング及び第2のケーシングの2つの部品に分離可能な形状としておき、周囲に保持シール材220が配設された排ガス処理体230を第1のケーシング上に載置した後に第2のケーシングを被せて密封するクラムシェル方式等が挙げられる。
【0191】
これら工程を経て、本発明の排ガス浄化装置の一例である排ガス浄化装置200が作製される。
【0192】
本発明の保持シール材は以下の一例のようであってもよい。
図15(a)及び(b)は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す平面図である。
図15(a)及び(b)に示す保持シール材320及び420は、本発明の保持シール材の一例である。
本発明の保持シール材320又は420では、
図15(a)又は
図15(b)に示す形状(パターン)を有するヒータが用いられている。
本発明の保持シール材320又は420は、ヒータの形状が異なる他は、上記本発明の保持シール材120と同様に構成されているので、ヒータ以外の部分についての説明は省略し、ヒータのみについて説明する。
【0193】
図15(a)に示す保持シール材320では、ヒータ361が屈曲部を介して長手方法に繰り返し進展する形状を有している。
図15(a)に示すような形状のヒータ361であるとヒータがより広い部分をカバーすることができ、効率の良い加熱が可能である。また、マットを排ガス処理体に巻き付ける際の引っ張り力に対しても柔軟に伸展することが可能でありヒータの断線を防止することができる。
【0194】
図15(b)に示す保持シール材420では、ヒータ461が短いインターバルで屈曲を繰り返しながら長手方向に垂直(幅方向)に進展するパターンが長手方向に繰り返される形状を有している。
図15(b)に示すヒータ461は、複数個のヒータから構成されており、電源と複数個のヒータを並列で接続する構成となっている。抵抗パターンの抵抗が大きく、長い抵抗体では充分に加熱を行うことが難しい場合には、
図15(b)に示すように抵抗体を幾つかに分割してもよい。
【0195】
本発明の保持シール材320又は420が用いられた排ガス浄化装置は、上記排ガス浄化装置100と同様に構成されているので、説明を省略することにする。
【0196】
本発明の保持シール材320又は420が用いられた排ガス浄化装置の製造方法に関し、保持シール材のヒータの形状が排ガス浄化装置100の場合と異なるが、ヒータの形状については、既に説明している。その他の部分は、上記排ガス浄化装置100と同様である。従って、ここでは、本発明の保持シール材320又は420が用いられた排ガス浄化装置の製造方法の説明を省略することとする。
【0197】
本発明の保持シール材は、以下の一例のようであってもよい。
図16は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。
図16に示す保持シール材520は、本発明の保持シール材の一例である。
【0198】
図16に示す保持シール材520は、無機繊維を含む平面視形状略矩形のマットである。また、保持シール材520は、第1の主面521と、第1の主面521と反対側の主面である第2の主面522とを備えている。
【0199】
図16に示す保持シール材520は、平坦な端部を有する第1の端部523と、凸部527を有する第2の端部524とを備えている。
【0200】
図16に示す保持シール材520では、保持シール材520の長手方向に垂直な仮想直線γを境に内部保持シール材部525と外部保持シール材部526に分けることができる。端部523が属する部分が内部保持シール材部525であり、端部524が属する部分が外部保持シール材部526である。
内部保持シール材部525は、本発明の排ガス浄化装置において、各排ガス処理体ユニット同士の間に配設される部分である。
外部保持シール材部526は、本発明の排ガス浄化装置において、排ガス処理体の周囲に配設される部分である。
【0201】
保持シール材520では、ヒータ561が保持シール材520の第1の主面521及び/又は第2の主面522に配設されている。ヒータ561の形状は、上記保持シール材120、220、320及び420で説明したヒータの形状と同様の形状であってもよい。また、ヒータ561は、後述する開口部528を避けるように配設されている。
【0202】
また、保持シール材520では、保持シール材520の第1の主面521及び/又は第2の主面522には有機シート564が貼付され、有機シート564と保持シール材520の第1の主面521及び/又は第2の主面522との間には、上記ヒータ561が狭持されている。また、有機シート564は、後述する開口部528を避けるように形成されている。
【0203】
外部保持シール材部526には、第1の主面521から第2の主面522を貫通する開口部528が形成されている。開口部528は、内部保持シール材部525と外部保持シール材部526との境目に位置している。
【0204】
凸部527及び開口部528は、排ガス処理体に外部保持シール材部526を巻き付けた際に、ちょうど互いに嵌合するような形状となっている。
このように保持シール材520を嵌合させると、保持シール材を巻き付けた排ガス処理体を持ち運ぶ際に保持シール材520がずれにくくなり、ハンドリングが向上する。
【0205】
本発明の保持シール材、及び、本発明の排ガス浄化装置は以下の特徴を有していてもよい。
【0206】
上記本発明の排ガス浄化装置100では、各排ガス処理体ユニット同士の間にある保持シール材が1層になるように保持シール材120が配設されており、ヒータ161a及び161bが保持シール材120の両方の主面に配設されていた。しかし、本発明の排ガス浄化装置では、各排ガス処理体ユニット同士の間にある保持シール材が1層になるように保持シール材が配設されている場合であっても、ヒータが、保持シール材の片方の主面にのみ配設されていてもよい。このような排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットを加熱する初期段階では各排ガス処理体ユニットの昇温に差があるものの、一定時間加熱することにより均一な温度となる。また、このような排ガス浄化装置では、ヒータを保持シール材の両方の主面に配設しないため、製造コストを低く抑えることができる。
【0207】
上記本発明の排ガス浄化装置100では、各排ガス処理体ユニット同士の間にある保持シール材が1層になるように保持シール材120が配設されており、一つのヒータは、連続して保持シール材120の片方の主面のみに存在していた。しかし、本発明の排ガス浄化装置では、保持シール材が、上記保持シール材120のように配設されている場合、ヒータが、保持シール材の第1の主面から第2の主面のいずれか一方にかけて貫通して存在していてもよい。この場合、
図2(b)に示す、Aで示される排ガス処理体ユニット、及び、Bで示される排ガス処理体ユニットの少なくとも1面にヒータが直接接触するようにヒータを配置することが望ましい。また、各排ガス処理体ユニットに接触するヒータの面積が等しくなるようにヒータの密度を調製することが望ましい。このようにヒータを配設すると、各排ガス処理体ユニットを均等に加熱することができる。
保持シール材を貫通するようにヒータを配設する方法としては、保持シール材に孔を空け、その孔に1本のヒータを通す方法や、保持シール材の第1の主面及び第2の主面に別々のヒータを配設しておき、接続部材により保持シール材を貫通し各ヒータの端部を接続する方法などが挙げられる。
【0208】
上記本発明の排ガス浄化装置100又は200では、各排ガス処理体ユニット同士の間に配設された保持シール材は、1層又は2層であったが、本発明の排ガス浄化装置では、3層以上であってもよい。
また、上記本発明の排ガス浄化装置100又は200では、各排ガス処理体ユニット同士の間に配設された保持シール材の層の数は同じであったが、本発明の排ガス浄化装置では、各排ガス処理体ユニット同士の間で異なっていてもよい。
【0209】
上記本発明の排ガス浄化装置100又は200では、各排ガス処理体ユニット同士の間には、一枚の連続する保持シール材が介在されており、かつ、排ガス処理体の周囲にも同じ保持シール材が連続して配置されていたが、本発明の排ガス浄化装置では、各排ガス処理体ユニット同士の間に介在している内部保持シール材部と、排ガス処理体の周囲に配設されている外部保持シール材部とは分離していてもよい。
【0210】
本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の周囲に配設された保持シール材は、一枚の連続する保持シール材である必要はなく、分離していてもよい。
【0211】
図11に示すように、上記本発明の排ガス浄化装置200では、保持シール材220を各排ガス処理体ユニット同士の間に介装させた際、排ガス処理体230の周囲に保持シール材220が存在していない部分は連続している。そのため、排ガス処理体230の周囲に保持シール材220が存在していない部分にのみ保持シール材220を配設してもよい。
【0212】
本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の周囲に配設された保持シール材は、1層であってもよく、多層であってもよい。また、排ガス処理体の周囲に配設された保持シール材の層の数は、全ての周囲において同一の数でもよく、一部の周囲において異なる数でもよい。
【0213】
上記本発明の排ガス浄化装置100又は200では、排ガス処理体は、16個の排ガス処理体ユニットを組み合わせて形成されていたが、本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットの数は特に限定されず、16個より多くてもよく、少なくてもよい。
【0214】
本発明の排ガス浄化装置を構成するガス処理体の形状は、円柱形状に限定されるものでなく、例えば、楕円柱形状、角柱形状等の任意の形状であっても良い。
【0215】
本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体は、複数の形状の異なる柱状の排ガス処理体ユニットを組み合わせることにより、所定の排ガス処理体の形状が形成されている。
そのため、単にこれら複数種類の排ガス処理体ユニットを保持シール材を介して組み合わせるのみで、簡単に排ガス処理体を構成することができる。また、予め、所定の排ガス処理体の形状が形成される組み合わせとなる種々の形状の排ガス処理体ユニットを製造しておくことにより、要求される種々の形状の排ガス処理体を容易に作製することができ、排ガス処理体の形状に関する多様な要求に比較的容易に答えることができる。
【0216】
また、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体ユニットの形状は、特に限定されるものではないが、排ガス処理体ユニット同士を結束させて排ガス処理体を作製する際に結束しやすい形状であることが望ましく、その断面形状としては、正方形、長方形、六角形、扇状等が挙げられる。
【0217】
これまで、排ガス処理体ユニットとしては、各々のセルの両端面が封止材による目封じをされていない触媒担体について説明を行ったが、排ガス処理体ユニットは、セルのいずれか一方の端部が封止された多孔質体であってもよい。このような排ガス処理体ユニットは、PMを捕集するフィルタとして好適に使用することが可能となる。
【0218】
以下に、本発明の保持シール材、保持シール材の製造方法、排ガス浄化装置、及び、排ガス浄化装置の製造方法の作用効果について列挙する。
【0219】
(1)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットをヒータにより直接加熱するので、排ガス処理体を構成する排ガス処理体ユニットの配置位置に関わらず排ガス処理体ユニットを加熱することができる。従って、排ガス処理体全体を斑なく昇温させることができる。
【0220】
(2)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットを加熱する手段として、排ガス処理体ユニットの周囲に配設されたヒータを用いており、このヒータと電源とは、接続部材等を用いて容易に接続させることができるので、接続不良が発生するおそれが殆どなく、確実に排ガス処理体ユニットを加熱することができる。また、排ガス処理体ユニットと保持シール材との間に配設されたヒータは、保持シール材からの面圧を受けるので、ヒータは、排ガス処理体ユニットに押し付けられる。そのため、ヒータが排ガス処理体ユニットから離間するおそれが殆どない。
【0221】
(3)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、ケーシングや保持シール材に大きな孔を形成し、外部から電極部材を排ガス処理体に当接させる必要がないので、保持シール材が巻き付けられた排ガス処理体をケーシング内部に収容する方法として、圧入等の種々の方法をとることができる。
【0222】
(4)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、保持シール材に孔を形成して保温面積を減少させる必要がないので、保持シール材の反発力の総和が低下することがなく、上記保持シール材により充分に排ガス処理体を保温することが可能な排ガス浄化装置を提供することができる。また、排ガス処理体ユニット同士の間に保持シール材が存在するので、保持シール材の保温効果により、排ガス処理体ユニットの温度を排ガスを処理するのに好適な温度に維持しやすくなる。
【0223】
(5)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットに排ガスが流通することによる加熱や、排ガス処理体ユニットがヒータにより加熱されることにより、排ガス処理体ユニットが高温になり、排ガス処理体ユニットに体積の変化が生じた場合であっても、排ガス処理体ユニット同士の間には、上記保持シール材が介在しており、保持シール材は、無機繊維を含むマットからなるので、排ガス処理体ユニットの体積変化を吸収することができる。そのため、排ガス処理体ユニットに体積の変化が生じることに起因するクラック等の損傷の発生をする防止することができる。
【0224】
(6)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体を構成する排ガス処理体ユニット同士の間には、連続する一枚の保持シール材が介在しているので、排ガスが漏れるのを防ぐことができるとともに、排ガス処理体ユニット同士が直接接触することはなく、排ガス処理体ユニット同士が直接接触することによるクラック等の損傷の発生を防止することができる。
【0225】
(7)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットは、排ガス処理体の周囲に配設された保持シール材からの面圧のみならず、排ガス処理体ユニット同士の間に介在している保持シール材からの面圧を受けることになる。その結果、排ガス処理体を構成する排ガス処理体ユニットが抜け落ちることを防止できる。
【0226】
(8)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、エンジン等の内燃機関を始動した直後の排ガス処理体(触媒担体)の昇温のみでなく、ハイブリッド車両等のモータ及びエンジンを搭載した車両がモータを稼働させ、エンジンが稼働していない時にも、所定の温度以上の温度を保つように排ガス処理体ユニットを加熱することができる。そのため、エンジンが稼働し始めた際、直ぐに排ガス処理体を排ガス浄化装置として機能させることができる。
【0227】
(9)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、全ての排ガス処理体ユニット同士の間には、保持シール材が介在しているので、ヒータにより全ての排ガス処理体ユニットを加熱することができる。
【0228】
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0229】
(実施例1)
(1)保持シール材を準備する工程
以下の手順により、マットの表面に有機シートが貼付されるとともに、有機シートとマットとの間にヒータが狭持された保持シール材を作製した。
(a−1)紡糸工程
Al含有量が70g/lであり、Al:Cl=1:1.8(原子比)となるように調製した塩基性塩化アルミニウム水溶液に対して、焼成後の無機繊維における組成比が、Al
2O
3:SiO
2=72:28(重量比)となるようにシリカゾルを配合し、さらに、有機重合体(ポリビニルアルコール)を適量添加してアルミナ繊維前駆体用の溶液を調製した。
得られた混合液を濃縮して紡糸液とし、この紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して平均繊維径が5.1μmであるアルミナ繊維前駆体を作製した。
【0230】
(a−2)圧縮工程
上記工程(a−1)で得られたアルミナ繊維前駆体を積層、圧縮して、積層シートを作製した。
【0231】
(a−3)ニードルパンチング工程
上記工程(a−2)で得られたシート状物に対して、以下に示す条件を用いて連続的にニードルパンチング処理を行ってニードルパンチング処理体を作製した。
まず、ニードルが21個/cm
2の密度で取り付けられたニードルボードを準備した。次に、このニードルボードをシート状物の一方の表面の上方に配設し、ニードルボードをシート状物の厚さ方向に沿って一回上下させることによりニードルパンチング処理を行い、ニードルパンチング処理体を作製した。この際、ニードルの先端部分に形成されたバーブがシート状物の反対側の表面に完全に貫出するまでニードルを貫通させた。
【0232】
(a−4)焼成工程
上記工程(a−3)で得られたニードルパンチング処理体を最高温度1250℃で連続して焼成し、アルミナとシリカとを72重量部:28重量部で含む無機繊維からなる焼成シート状物を製造した。無機繊維の平均繊維径は、5.1μmであり、無機繊維径の最小値は、3.2μmであった。このようにして得られたアルミナ繊維は、嵩密度が0.15g/cm
3であり、目付量が1400g/m
2であった。
【0233】
(a−5)切断、裁断工程
得られた焼成シート状物を切断し、切断シート状物を作製した後、さらに平面視寸法が全長1500mm×幅100mmの保持シール材120の作製を完了した。
【0234】
(b)ヒータを配設する工程
次に、上記工程を経て作製された保持シール材120を用いて、
図3(a)及び(b)示すように、カンタル線からなる第1のヒータ161aが保持シール材120の第1の主面121に第1のヒータ161aを載置した。その後、有機シート164に接着剤を塗布し、第1のヒータ161aを覆うように有機シート164を貼付した。
同様に、保持シール材120の第2の主面122にも第2のヒータ161bを配置し、有機シート164を貼付した。
【0235】
(2)排ガス処理体ユニットの準備工程
コージェライト製の
図4(a)及び
図5(a)〜(c)に示す排ガス処理体ユニットの形状と略同一の形状の排ガス処理体ユニットの成形体を4つずつ準備した。
上記排ガス処理体ユニットを、硝酸白金溶液に浸漬した後、600℃で1時間保持することにより、排ガス処理体ユニットのセル壁に白金触媒を担持させた。
【0236】
(3)排ガス処理体作製工程
上記排ガス処理体130を形成する方法により、保持シール材120を上記各排ガス処理体ユニットに巻き付け、排ガス処理体130を形成した。排ガス処理体130は全長105mmの略円柱状であり、外径は145mmであった。
(4)巻き付け工程
次に、この排ガス処理体130の外周面全体に外部保持シール材部126を巻き付けた。
この際、排ガス処理体130に巻き付けられていない、外部保持シール材部126の余剰部分を切断した。
【0237】
(5)収容工程
圧入方式(スタッフィング方式)により、排ガス処理体130をケーシング110に圧入した。保持シール材120の隙間嵩密度(GBH)は0.4g/cm
3とした。
ケーシング110に配設された外部導出部材170から導電線163を導出した。
【0238】
(6)有機シート分解工程
上記導電線163に電圧を加印して有機シート164を加熱し、有機シート164を分解・消失させた。
【0239】
(触媒担体として性能の確認)
このようにして得られた排ガス浄化装置100に関し、実験用の内燃機関の排気通路に設置し、第1のヒータ161a及び第2のヒータ161bに電圧を印加し、排気ガスを流しながら、排ガス浄化装置100を構成する触媒担体(排ガス処理体130)の温度を測定したところ、いずれも15秒以内で、触媒として機能する400℃に到達し、触媒担体が短時間に迅速に昇温することが確認された。
【0240】
本発明の保持シール材は、柱状の排ガス処理体ユニットが複数個集合して形成される排ガス処理体と、上記排ガス処理体の周囲に配設された保持シール材と、上記排ガス処理体を収容するケーシングとを備える排ガス浄化装置に用いられる保持シール材であって、上記保持シール材は、無機繊維を含み、第1の主面と第2の主面とを有する平面視矩形状のマットからなり、上記保持シール材の第1の主面及び/又は第2の主面にはヒータが配設されており、上記保持シール材は、上記排ガス処理体を構成する各排ガス処理体ユニット同士の間を1枚で連続して介在するように構成されていることを必須の構成要件としている。
係る必須の構成要件に、発明の詳細な説明で詳述した種々の構成(例えば、有機シートの貼付、有機シートの構成材料、ヒータの構成材料、ヒータの形状、保持シール材の構成材料、保持シール材の排ガス浄化装置への使用方法、保持シール材の製造方法等)を適宜組み合わせることにより所望の効果を得ることができる。