特許第6129612号(P6129612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6129612
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】電子チケットのコンピューティング
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/04 20120101AFI20170508BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20170508BHJP
【FI】
   G06Q20/04 310
   G06F3/048
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-65974(P2013-65974)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-191558(P2014-191558A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】594103286
【氏名又は名称】株式会社フェイス
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】殿村 裕誠
(72)【発明者】
【氏名】竹村 裕久
【審査官】 山本 雅士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−187272(JP,A)
【文献】 特開2007−122143(JP,A)
【文献】 特開2004−78429(JP,A)
【文献】 特開2004−30063(JP,A)
【文献】 特開2013−20599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G06F 3/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チケット購入プログラムおよび電子チケットを含むコンピューターソフトウエアであって、
チケット購入プログラムは、ネットワークを介して利用者の携帯端末にダウンロードされてインストールされ、その携帯端末において実行され、利用者入力に従ってネットワークを介してチケット販売サイトにアクセスして電子チケットを購入ダウンロードする処理を行い、
電子チケットは、使用開始日時と、チケット属性データと、レンダリング記述を含み、レンダリング記述は、静止画像構成記述と、動画像構成記述とを含んでおり、
携帯端末においてチケット購入プログラムは、購入された電子チケットのチケット属性データおよび静止画像構成記述に基づいて、チケット属性情報と購入済であることを示す情報を含んだチケット静止画像を表示する第1表示処理を行い、
携帯端末においてチケット購入プログラムは、現在日時が購入された電子チケットの使用開始日時を過ぎていることを条件として、当該電子チケットのチケット属性データおよび動画像構成記述に基づいて、所定の画像要素が所定の態様で変動するアニメーション表現を含んだチケット動画像を表示する第2表示処理を行う
コンピューターソフトウエア。
【請求項2】
チケット動画像は、チケット静止画像を背景として所定の画像要素が所定の態様で変動するアニメーション表現を含んでいる
請求項1に記載のコンピューターソフトウエア。
【請求項3】
チケット動画像は、チケット静止画像中の所定の画像要素が所定の態様で変動するアニメーション表現を含んでいる
請求項1に記載のコンピューターソフトウエア。
【請求項4】
チケット動画像は、チケット静止画像自体が画面上で動き回るアニメーション表現を含んでいる
請求項1に記載のコンピューターソフトウエア。
【請求項5】
チケット動画像は、チケット静止画像が時間的に変化する態様で変形するアニメーション表現を含んでいる
請求項1に記載のコンピューターソフトウエア。
【請求項6】
チケット動画像は、チケット静止画像の色が時間的に変化するアニメーション表現を含んでいる
請求項1に記載のコンピューターソフトウエア。
【請求項7】
第2表示処理は、携帯端末のマイクロホンに入力される音声の変化に感応して変化するチケット動画像を生成する
請求項1〜6のいずれかに記載のコンピューターソフトウエア。
【請求項8】
携帯端末においてチケット購入プログラムは、現在日時が前記使用開始日時を過ぎている場合に、第1表示処理によるチケット静止画像の表示状態に付加して操作ボタンを表示し、この操作ボタンに対する利用者入力があったときに第2表示処理を行う
請求項1〜7のいずれかに記載のコンピューターソフトウエア。
【請求項9】
携帯端末においてチケット購入プログラムは、現在日時が前記使用開始日時を過ぎている場合に、携帯端末のマイクロホンに所定特性の音声が入力されたことに感応して第2表示処理を行う
請求項1〜7のいずれかに記載のコンピューターソフトウエア。
【請求項10】
携帯端末においてチケット購入プログラムは、現在日時が前記使用開始日時を過ぎている場合に、携帯端末の加速度センサにより所定特性の加速度が検出されたことに感応して第2表示処理を行う
請求項1〜7のいずれかに記載のコンピューターソフトウエア。
【請求項11】
携帯端末においてチケット購入プログラムは、チケット画像の表示要求があった際、現在日時が前記使用開始日時に達していない場合は第1表示処理を行い、前記使用開始日時を過ぎている場合は第2表示処理を行う
請求項1〜7のいずれかに記載のコンピューターソフトウエア。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のコンピューターソフトウエアを構成するチケット購入プログラム。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれかに記載のコンピューターソフトウエアを構成する電子チケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子チケットを購入者の携帯端末にネットワークを介してダウンロードするとともに、チケット使用場面において携帯端末のディスプレイに表示されたチケット画像を係員が目視で確認するという利用方法を前提とした、電子チケットのコンピューティングに関するものである。とくに、この発明では、たとえば開催日時が決まっている演奏会のチケットのように、特定の期間において使用される電子チケットを対象としている。
【背景技術】
【0002】
典型例として演奏会の入口で来場者のチケットを確認する場面を想定する。旧来からの紙のチケットだけでなく電子チケットも発行されているとする。電子チケットの記録媒体は、購入者のスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末であり、携帯端末のディスプレイにチケット画像を表示させて入場確認を受けることとする。入口の係員は、紙のチケットの正当性を確認しつつチケットもぎりをする。同じ係員が電子チケットの画像を目視で確認することとする。
【0003】
なお、電子チケットをコンピューティング機器により機械的に読み取って正当性確認をする技術が種々知られているところ、その場合には、検札用コンピューティング機器を入口に設置しなければならないことや、紙のチケットの入場者と電子チケットの入場者を別々に行列させることを強いるといった不便な面がある。そのため、この発明においては、携帯端末のディスプレイに表示されたチケット画像を係員が目視で確認するという利用方法を前提としている。
【0004】
上記の前提において、きわめて重要なことは、電子チケットを購入していない者が携帯端末に不正な手段によりチケット画像を表示させ、目視による入場確認をすり抜けてしまうという不正行為を防止することである。この観点により、電子チケットの偽造防止技術が種々開発されている。その代表的な技術が特開2009−282759号公報に詳しく開示されている。この公報記載の技術を先行技術とする。
【0005】
上記の先行技術では、購入者の携帯端末にとりこまれた電子チケットの情報に基づくチケット画像の構成方法およびチケット画像の更新方法を工夫している。チケット画像には乱数を用いて発生させた複数個の数値が配列されており、それら数値の中の特定位置にある複数個の数値を足し算するとあらかじめ決めてある特定数になる。ここにおける「特定位置」および「特定数」をチケット販売者が決めておく。また、一度チケットを購入した者が同じ携帯端末でチケット販売サイトに何度でもアクセスし、そのつど数値配列の異なるチケット画像をとりこんで更新することができる(チケット画像の再読込機能)。しかし、何度とりこんでもチケット画像中の数値配列における上記「特定位置」「特定数」の規則性は保たれている。
【0006】
演奏会などの入場の際、来場者は自分の携帯端末にチケット画像を表示させ、係員の目視検査によるチェックを受ける。係員は、チケット画像中の数値配列が上記「特定位置」「特定数」に適合しているかを確認する。場合によっては、その時点で上記した「チケット画像の再読込」を行わせて、更新されたチケット画像の正当性を確認する。
【発明の開示】
【0007】
===先行技術の問題点===
上記の先行技術では、正規に購入した者の携帯端末においてチケット画像を表示させ、画像キャプチャー技術(スクリーンショット、スクリーンダンプ、スクリーンキャプチャーなど)を使って別の携帯端末に当該チケット画像の複製をとりこむという手法で、上記「特定位置」「特定数」に適合した数値配列をもつ正規のチケット画像を不正者の携帯端末において表示させることが可能である。こうした不正行為の技術的ハードルが高いとはいえない。この不正者の入場に際して係員による上記「チケット画像の再読込」の網に引っ掛からなければ、不正入場を許してしまう。
【0008】
また、上記の先行技術では、チケット画像の真贋を検査するのに、係員はチケット画像中の数値配列を見て上記「特定位置」「特定数」に基づいて計算をする必要があり、検札に時間がかかるという大問題がある。大規模なイベントでは大量の来場者の検札を能率よく行う必要があり、ひとりの入場者のチケット画像の検査をごく短時間で済まさなければならない。したがって上記「チケット画像の再読込」による慎重な検札を数多く実施することは非現実的だといわざるを得ない。
【0009】
===発明の目的===
この発明は以上説明したような状況において創作されたもので、その目的とするところは、チケット使用場面における目視によるチケット画像の真贋検査を直感的にごく短時間で行えるようにすることと、比較的容易な画像キャプチャー程度(スクリーンショット、スクリーンダンプ、スクリーンキャプチャーなど)ではチケット画像の偽造を不可能とし、不正の試みに対する技術的ハードルを高くすることにある。
【0010】
===発明の要点===
この発明の核心とするところは以下のような各要素によって成立している。
(A)電子チケットを利用しようとする人のスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末に、ネットワーク上のアプリストアなどからチケット購入プログラムをダウンロードしてインストールしておく。
(B)利用者は、携帯端末のチケット購入プログラムを起動し、ネットワーク上のチケット販売サイトにアクセスし、そこで販売している電子チケットを購入ダウンロードして当該携帯端末に保存する。
(C)この発明の対象となる電子チケットは、たとえば演奏会チケットのようにチケット使用の期間(日時など)が特定されている。
(D)電子チケットは、使用開始日時と、チケット属性データと、レンダリング記述を含み、レンダリング記述は、静止画像構成記述と、動画像構成記述とを含んでいる。
(E)携帯端末においてチケット購入プログラムは、購入された電子チケットのチケット属性データおよび静止画構成記述に基づいて、チケット属性情報と購入済であることを示す情報を含んだチケット静止画像を表示する第1表示処理を行う。
(F)携帯端末においてチケット購入プログラムは、現在日時が購入された電子チケットの使用開始日時を過ぎていることを条件として、当該電子チケットのチケット属性データおよび動画像構成記述に基づいて、所定の画像要素が所定の態様で変動するアニメーション表現を含んだチケット動画像を表示する第2表示処理を行う。
【0011】
利用者は、電子チケットを購入したならば、上記のチケット静止画像を携帯端末に表示させることで、自分が手続きしたとおりの所望の電子チケットを購入できたことを確認する。チケット使用場面において、検札係員は、来場者が持参した携帯端末に表示されている上記のチケット動画像を目視確認する作業を行う。
【0012】
チケット動画像のアニメーション表現には以下のような態様を採用することができる。
(a)チケット動画像は、チケット静止画像を背景として所定の画像要素が所定の態様で変動するアニメーション表現を含んでいる。
(b)チケット動画像は、チケット静止画像中の所定の画像要素が所定の態様で変動するアニメーション表現を含んでいる。
(c)チケット動画像は、チケット静止画像自体が画面上で動き回るアニメーション表現を含んでいる。
(d)チケット動画像は、チケット静止画像が時間的に変化する態様で変形するアニメーション表現を含んでいる。
(e)チケット動画像は、チケット静止画像の色が時間的に変化するアニメーション表現を含んでいる。
(f)第2表示処理は、携帯端末のマイクロホンに入力される音声の変化に感応して変化するチケット動画像を生成する。
【0013】
また、チケット動画像を表示させる契機に関しては、つぎのようなアルゴリズムを採用することができる。
(g)携帯端末においてチケット購入プログラムは、現在日時が前記使用開始日時を過ぎている場合に、第1表示処理によるチケット静止画像の表示状態に付加して操作ボタンを表示し、この操作ボタンに対する利用者入力があったときに第2表示処理を行う。
(h)携帯端末においてチケット購入プログラムは、現在日時が前記使用開始日時を過ぎている場合に、携帯端末のマイクロホンに所定特性の音声が入力されたことに感応して第2表示処理を行う。
(i)携帯端末においてチケット購入プログラムは、現在日時が前記使用開始日時を過ぎている場合に、携帯端末の加速度センサにより所定特性の加速度が検出されたことに感応して第2表示処理を行う。
(j)携帯端末においてチケット購入プログラムは、チケット画像の表示要求があった際、現在日時が前記使用開始日時に達していない場合は第1表示処理を行い、前記使用開始日時を過ぎている場合は第2表示処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電子チケットの論理構造の例
図2A】チケット静止画像の例
図2B】チケット動画像の例1(コマ送り表現)
図2C】チケット動画像の例2(コマ送り表現)
図2D】チケット動画像の例3(コマ送り表現)
図2E】チケット動画像の例4(コマ送り表現)
図3】チケット画像の表示シーケンス例1
図4】チケット画像の表示シーケンス例2
図5】チケット画像の表示シーケンス例3
図6】チケット画像の表示シーケンス例4
【発明を実施するための形態】
【0015】
===発明を実施するコンピューティング環境===
電子チケットを利用しようとする人は、典型的にはスマートフォンやタブレット端末のような、無線ネットワークを介してインターネットに接続可能な携帯型のパーソナルコンピューターを所有している。この種のパソコンを本明細書では携帯端末と称する。この携帯端末が電子チケットの記録媒体となる。
【0016】
電子チケットを購入しようとする利用者の携帯端末には、アプリケーションプログラムの1つとして、チケット購入プログラムをインストールしておく。チケット購入プログラムのことを本明細書ではチケットアプリと略称する。チケットアプリは、AppStore あるいは GooglePlay(いずれも登録商標)のようなインターネット上のアプリストアや、以下に説明するチケット販売サイトからダウンロードして携帯端末にインストールすることができる。場合によっては、チケットアプリがプリインストールされた携帯端末が利用者に販売されることもあり得る。
【0017】
携帯端末においてチケットアプリを起動し、チケット購入処理の実行を選択すると、所定のチケット販売サイトに接続され、当該サイトにて販売されている各種イベントの電子チケット販売情報を閲覧することができる。利用者は、掲載情報の中から希望するイベントの電子チケットを選択して購入処理を実行する。購入した電子チケットは利用者の携帯端末に保存される。
【0018】
いろいろなチケット販売者が販売代理店によるチケット販売サイトを通じてチケットを販売するという一般的な事項や、チケット購入代金の課金に関するコンピューティングなどの付帯的な事項も含めて、ここまで説明したビジネスモデル・コンピューティング環境はすでに周知慣用の自明事項であるので、これ以上説明しない。
【0019】
===チケットアプリと電子チケット===
以上のコンピューティング環境およびプロセスにより、チケットアプリがインストールされている利用者の携帯端末に電子チケットが導入されて保存される。このように携帯端末に導入されたチケットアプリおよび電子チケットが、この発明の核心たるコンピューターソフトウエアである。チケットアプリは、チケット販売サイトに携帯端末を接続して電子チケットを購入ダウンロードする機能モジュールに加えて、購入した電子チケットに基づいて携帯端末のディスプレイにチケット画像を表示する機能モジュールを含んでいる。
【0020】
この発明は、チケットアプリのチケット画像の表示機能モジュールと、その処理対象となる電子チケットとにより実現している、携帯端末のディスプレイにチケット画像を表示する機能において既存技術と相違する特徴を有するものである。以下、その特徴について詳しく説明する。
【0021】
===電子チケットの論理構造===
電子チケットは図1に示す論理構造をもつデータであり、使用開始日時と、チケット属性データと、レンダリング記述を含み、レンダリング記述は、静止画像構成記述と、動画像構成記述とを含んでいる。
【0022】
使用開始日時は、チケット販売者が設定するデータであり、当該電子チケットの対象となるイベント(演奏会など)の入場受付時刻か、それよりすこし前の時刻に対応した日時を規定するデータである。
【0023】
チケット属性データは、イベントの名称、開催日時、演目、出演者、座席番号、料金など、当該イベントに関する種々の属性データを含むほか、チケット画像の元となるいくつかの画像部品の定義情報(jpg等の各種形式の画像データであってもよい)を含んでいる。画像部品としては、たとえば、チケット画像の背景に使用される写真データや、背景と組み合わせて配列される装飾文字および図案などが含まれる。なお、チケット属性データ中のイベント名称や開催日時のテキストデータが画像部品ともなり得る。
【0024】
レンダリング記述は、上記チケット属性データとを使ってどのようなチケット画像を生成するのかを規定したスクリプトであり、チケット静止画像を創り出すための静止画像構成記述と、チケット動画像を創り出すための動画構成技術を含んでいる。ここで重要なことは、レンダリング記述は上記チケットアプリにおけるチケット画像表示機能モジュールによって解釈されることでチケット静止画像およびチケット動画像を創り出すことである。
【0025】
チケット発行者は、どのような種類の技法を使ってチケット静止画像およびチケット動画像を構成することが可能なのかをあらかじめ知っており(チケット購入プログラムの画像生成能力をあらかじめ知っている)、そのような多数種類の技法の中から自分の好みの技法を使って自分好みの画像を生成するように、それに必要なチケット属性データおよび静止画像構成記述・動画像構成記述を作成し、これらによって販売する電子チケットをデータ構成し、チケット販売サイトにおいて販売する。
【0026】
なお、なんらかの事情により、販売している電子チケットのデータ内容を変更する必要が生じることがある。新たなデータ内容の新たな電子チケットをチケット販売サイトにおけるそれまでの電子チケットと置換すれば、その後に販売される電子チケットのデータ内容は新しいものとなるので問題はない。一方、すでに販売してしまった電子チケットのデータ内容をも置換・更新する必要がある場合には、チケット販売サイトのサーバーは、チケット購入者名簿に基づいて購入者の携帯端末とプッシュ通知の仕組みなどを利用して通信し、電子チケットの置換・更新処理を行うことになる。
【0027】
===チケット画像の具体例1===
使用開始日時によるコントロールについての説明は後まわしにして、チケット静止画像とチケット動画像の具体例をさきに説明する。
【0028】
図2Aのチケット静止画像は、写真とともに、イベント名「FESTA」、開催日時「2013.3.20(木)」、会場名「ライブ会場」、開場時間「OPEN 18:30」、開始時間「Start19:00」などが装飾文字でデザインされている。これに対応する図2Bのチケット動画像(3コマのコマ送りで表現している)は、図2Aのチケット静止画像にオーバーラップして「入場OK」という装飾文字が表示され、「入場OK」という装飾文字部品が画面上をスクリーンセイバーのように動き回り、画面の端にぶつかっては跳ね返るアニメーション表現となっている。
【0029】
===チケット画像の具体例2===
図2Cのチケット動画像(3コマのコマ送りで表現している)も、図2Aのチケット静止画像に対応した別の例であり、この例では、チケット静止画像中のイベント名を表している「FESTA」という装飾文字部品が透明色になり、画面一杯に拡大したり元のサイズに縮小するアニメーション表現を繰り返す。
【0030】
===チケット画像の具体例3===
図2Dのチケット動画像(3コマのコマ送りで表現している)も、図2Aのチケット静止画像に対応した別の例であり、この例では、チケット静止画像自体が画面内で傾いたり回転したり動き回ったりするアニメーション表現となっている。
【0031】
===チケット画像の具体例4===
図2Eのチケット動画像(3コマのコマ送りで表現している)も、図2Aのチケット静止画像に対応した別の例であり、この例では、チケット静止画像自体が画面内で歪んだりねじれたりして時間的に変形するアニメーション表現となっている。
【0032】
===その他の例===
チケット静止画像の色を時間的に変化させるアニメーション表現や、チケット静止画像に光のフラッシュあるいは波紋などをオーバーラップさせるアニメーション表現を採り入れてもよい。この方式は上記の具体例に組み合わせて適用するとよい。
また、検札場所における周辺の音に感応させてアニメーション表現を変化させる方法を上記の具体例に組み合わせて適用するのもよい。スマートフォンやタブレット端末にはマイクロホンが装備されている。これを利用し、携帯端末のマイクロホンに入力される音声の変化に感応して変化するチケット動画像を生成することとする。このときの音声入力として、会場に音楽を流しておいて、その音楽に同期したアニメーション表現を創り出す方法がある。また、可聴域を超えた音声を特別に変調して流しておき、その変調信号に同期したアニメーション表現を創り出す方法を採用してもよい。
【0033】
===使用開始日時によるコントロール例===
説明が前後するが、電子チケットを購入した後でチケットアプリを起動すると、携帯端末の画面には「購入したチケットを表示する」という選択肢が表示され、これを選択する利用者入力の操作をすると、チケットアプリは、たとえば図3図6に示したような手順のチケット表示処理を実行する。
【0034】
図3に示すのはもっとも単純な例であり、チケットアプは、チケット画像の表示要求があった際、現在日時が前記使用開始日時に達していない場合はチケット静止画像を表示し、前記使用開始日時を過ぎている場合はチケット動画像を表示する。なお、現在日時のデータは携帯端末のカレンダー時計から取得するのが普通であるが、GPSと通信して現在日時のデータを取得する方式を採用すれば、携帯端末自体のカレンダー時計を改ざんすることによる不正を防止することができる。
【0035】
図4の例では、チケットアプリは、チケット画像の表示要求があった際、現在日時が電子チケットの使用開始日時に達していない場合はチケット静止画像の表示処理を行う。また、現在日時が電子チケットの使用開始日時を過ぎている場合には、チケットアプリは、チケット静止画像の表示状態に付加して検札ボタンを表示し、この検札ボタンに対する利用者入力があったときにチケット動画像を表示する。
なお、画面上の異なる位置に複数の検札ボタンを表示し、どのボタンにタッチ入力したかによってチケット動画像のアニメーション表現を異ならせることもできる。さらに、検札ボタンを非表示とし、たとえば「画面の右上隅に見えない検札ボタンがある」という約束事で検札を行う方式も実現できる。「見えない検札ボタン」を画面上に複数レイアウトしておき、どのボタンにタッチ入力したかによってチケット動画像のアニメーション表現を異ならせることもできる。
【0036】
図5の例では、チケットアプリは、チケット画像の表示要求があった際、現在日時が電子チケットの使用開始日時に達していない場合はチケット静止画像の表示処理を行う。また、現在日時が電子チケットの使用開始日時を過ぎている場合には、チケットアプリは、携帯端末のマイクロホンに所定特性の音声が入力されているか否かを調べ、所定の音声入力が検出されないときはチケット静止画像を表示し、所定の音声入力が検出された場合にはチケット動画像を表示する。この方法では、所定の音声を検札場所にて流しておく。この音声は可聴域を超えた周波数としてもよい。
【0037】
図6の例では、チケットアプリは、チケット画像の表示要求があった際、現在日時が電子チケットの使用開始日時に達していない場合はチケット静止画像の表示処理を行う。また、現在日時が電子チケットの使用開始日時を過ぎている場合には、チケットアプリは、携帯端末の加速度センサにより所定特性の加速度が検出されたか否かを調べ、所定の加速度が検出されないときはチケット静止画像を表示し、所定の加速度が検出された場合にはチケット動画像を表示する。周知のように多くのスマートフォンやタブレット端末は加速度センサを備えているので、これを利用し、検札場所で携帯端末を振ってもらい、チケット動画像を表示させるようにする。
【0038】
ところで、好ましくは、電子チケットの使用可能期間が過ぎた場合、購入者の携帯端末において電子チケット画像(静止画像および動画像)が表示されないようにするか、チケット静止画像にオーバーラップして「終了しました」などと表示するようにする。購入者の携帯端末においてそのような処理を実現するためには、電子チケットに使用終了日時のデータ(使用開始日時からの経過時間でもよい)を含めておき、チケットアプリ(チケット購入プログラム)が当該使用終了日時に基づいて上記のような処理を行うように構成する。
【0039】
===発明の効果===
以上の説明から、チケット使用場面における目視によるチケット画像の真贋検査を直感的にごく短時間で行えるようになることは明白であろう。また、電子チケットの使用開始日時以前には簡単な画像キャプチャー技術によってはチケット画像の偽造が不可能であることも明白であろう。電子チケットの使用開始日時を過ぎるとチケット動画像をキャプチャーすることは不可能ではないが、検札現場で短時間でそのような不正行為を行うのは簡単ではなく、不正の試みに対する技術的ハードルは十分に高いといえる。さらに、検札現場固有の要素をアニメーション表現の変動要素に採り入れた方法になれば、不正行為の動機をくじくことができるであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6