(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6129620
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】交通信号制御システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/07 20060101AFI20170508BHJP
G08G 1/08 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
G08G1/07 C
G08G1/08 C
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-74204(P2013-74204)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-199528(P2014-199528A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2015年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】荻島 由彦
(72)【発明者】
【氏名】米田 知樹
(72)【発明者】
【氏名】田山地 剛義
【審査官】
岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】
特許第4485394(JP,B2)
【文献】
特開2003−217086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/07
G08G 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点に設置された車両用信号灯器および歩行者用信号灯器の動作をステップ信号に基づいて複数のステップカウンタにより切り換える信号制御装置を備え、
前記信号制御装置は、前記複数のステップカウンタの一方を他方より進めて、一方向の車両の右折を可能とする際に、前記一方向の対向方向の車両を停止させるとともに当該右折をした方向に交わる方向の歩行者を停止させるように制御することを特徴とする交通信号制御システム。
【請求項2】
前記信号制御装置は、前記一方向の車両の右折を可能とする際に、前記対向方向の前記車両用信号灯器を赤にするとともに前記一方向の右折側の前記歩行者用信号灯器を赤に制御することを特徴とする請求項1に記載の交通信号制御システム。
【請求項3】
前記信号制御装置は、前記複数のステップカウンタの一方を他方より進めて、一方向の車両の右折を可能とする際に、前記一方向の対向方向の車両を停止させるとともに当該右折をした方向には交わらず左折した方向に交わる方向の歩行者を進行可能にするように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の交通信号制御システム。
【請求項4】
前記信号制御装置は、前記一方向の車両の右折を可能とする際に、前記対向方向の前記車両用信号灯器を赤にするとともに前記一方向の左折側の前記歩行者用信号灯器を青に制御することを特徴とする請求項3に記載の交通信号制御システム。
【請求項5】
前記信号制御装置は、前記複数のステップカウンタの一方を他方より進めて、一方向の車両の右折を可能とする際に、さらに前記一方向の車両の直進および左折を可能としていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の交通信号制御システム。
【請求項6】
前記交差点に横断歩道を渡る歩行者を検出する歩行者検出装置を設置し、
前記信号制御装置は、前記歩行者検出装置により検出される歩行者の人数に応じて、前記複数のステップカウンタの一方を他方より進めるように制御することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の交通信号制御システム。
【請求項7】
前記車両用信号灯器は、車両に対して直進、左折および右折方向の進行または停止指示を行うものであり、前記歩行者用信号灯器は、歩行者に対して進行または停止指示を行うものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の交通信号制御システム。
【請求項8】
交差点に設置された車両用信号灯器および歩行者用信号灯器の動作をステップ信号に基づいて複数のステップカウンタにより切り換える信号制御装置を備え、
前記信号制御装置は、前記複数のステップカウンタの一方を他方より進めて、一方向の車両の左折を可能とする際に、前記一方向の対向方向の車両を停止させるとともに当該左折をした方向に交わる方向の歩行者を停止させるように制御することを特徴とする交通信号制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交通信号制御システムに係り、特に、信号灯器を複数のステップ信号に基づいて制御した場合でも、歩行者の安全を確保することを可能とした交通信号制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、現在の日本の道路交通信号機の制御においては、ステップ信号生成部から所定のピッチで出力されるステップ信号に基づいて、1ステップ毎に信号灯器を切り替えるステップ制御方式が採用されている。このステップ制御方式は、ステップ信号の変化がステップ単位にシリアルに行われるため、安全性の点では非常に優れた方式といえる。
【0003】
しかしながら、従来のステップ制御方式においては、各ステップの秒数をカウントするステップカウンタは1種類のみであり、上り下りを別々に制御することはできないという問題を有している。
【0004】
そのため、従来から、例えば、1ステップごとに信号灯器の動作を切り換えるためのステップ信号を発生する制御手段と、この制御手段により発生されたステップ信号に基づいて信号灯器の動作を切り換える信号制御回路と、信号灯器を点灯する灯色データをステップ信号に対応して記憶する現示メモリとを備え、信号制御回路により、制御手段から発生されたステップ信号をステップ計数手段により計数して、この計数されたステップ数に基づいて現示メモリに記憶された灯色データを読み出して信号灯器を点灯するようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4485394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術においては、車両用信号の信号灯器を複数のステップ信号に基づいて制御した場合に、車両用信号の直進方向および左折方向の信号灯器が、上り方向車線に対する信号灯器と、下り方向車線に対する信号灯器との点灯状態がずれる場合がある。そして、従来、車両用信号の信号灯器と、歩行者用信号の信号灯器とを別個に制御するようにしているので、歩行者用信号の信号灯器の点灯状態が、車両用信号の信号灯器の点灯状態とずれてしまうことがあり、歩行者の安全を確保することができなくなるおそれがあるという問題を有している。
【0007】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、信号灯器を複数のステップ信号に基づいて制御した場合でも、歩行者の安全を確保することのできる交通信号制御システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1の発明に係る交通信号制御システムは、交差点に設置された車両用信号灯器および歩行者用信号灯器
の動作を
ステップ信号に基づいて複数のステップカウンタにより
切り換える信号制御装置
を備え、
前記信号制御装置は、
前記複数のステップカウンタの一方を他方より進めて、一方向の車両の右折を可能とする際に、前記一方向の対向方向の車両を停止させるとともに当該右折をした方向に交わる方向の歩行者を停止させるように制御することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記信号制御装置は、前記一方向の車両の右折を可能とする際に、前記対向方向の前記車両用信号灯器を赤にするとともに前記一方向の右折側の前記歩行者用信号灯器を赤に制御することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2において、前記信号制御装置は、前記複数のステップカウンタの一方を他方より進めて、一方向の車両の右折を可能とする際に、前記一方向の対向方向の車両を停止させるとともに当該右折をした方向には交わらず左折した方向に交わる方向の歩行者を進行可能にするように制御することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3において、前記信号制御装置は、前記一方向の車両の右折を可能とする際に、前記対向方向の前記車両用信号灯器を赤にするとともに前記一方向の左折側の前記歩行者用信号灯器を青に制御することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項において、前記信号制御装置は、前記複数のステップカウンタの一方を他方より進めて、一方向の車両の右折を可能とする際に、さらに前記一方向の車両の直進および左折を可能としていることを特徴とする。
【0010】
請求項
6に係る発明は、請求項1
から請求項5のいずれか一項において、前記交差点に横断歩道を渡る歩行者を検出する歩行者検出装置を設置し、前記信号制御装置は、前記歩行者検出装置により検出される歩行者の人数に応じて、
前記複数のステップカウンタの一方を他方より進めるように制御することを特徴とする。
【0011】
請求項
7に係る発明は、請求項1から請求項
6のいずれか一項において、前記車両用信号灯器は、車両に対して直進、左折および右折方向の進行または停止指示を行うものであり、前記歩行者用信号灯器は、歩行者に対して進行または停止指示を行うものであることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、交差点に設置された車両用信号灯器および歩行者用信号灯器の動作をステップ信号に基づいて複数のステップカウンタにより切り換える信号制御装置を備え、
前記信号制御装置は、前記複数のステップカウンタの一方を他方より進めて、一方向の車両の左折を可能とする際に、前記一方向の対向方向の車両を停止させるとともに当該左折をした方向に交わる方向の歩行者を停止させるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、信号制御装置により、
複数のステップカウンタの一方を他方より進めて、歩行者用灯器の点灯状態
と、車両用信号灯器の点灯状態
とを制御することで、一方向の車両の右折を可能とする際に、一方向の対向方向の車両を停止させるとともに当該右折をした方向に交わる方向の歩行者を停止させるようにし、その結果、歩行者の安全性を確保することができる。
【0014】
請求項
6に係る発明によれば、交差点に横断歩道を渡る歩行者を検出する歩行者検出装置を設置し、信号制御装置により、歩行者検出装置により検出される歩行者の人数に応じて
複数のステップカウンタの一方を他方より進めるように制御するようにしている
。
【0015】
請求項
7に係る発明によれば、車両用信号灯器により、車両に対して直進、左折および右折方向の進行または停止指示を行うとともに、歩行者用信号灯器により、歩行者に対して進行または停止指示を行うようにしているので、車両用信号灯器および歩行者用信号灯器により、車両および歩行者に対して適正に進行・停止指示を行うことができる。
請求項8に係る発明によれば、信号制御装置により、複数のステップカウンタの一方を他方より進めて、一方向の車両の左折を可能とする際に、一方向の対向方向の車両を停止させるとともに当該左折をした方向に交わる方向の歩行者を停止させるように制御することで、歩行者用灯器の点灯状態と、車両用信号灯器の点灯状態とを調整し、その結果、歩行者の安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る交通信号制御システムの実施形態を示す概略図である。
【
図2】本発明に係る交通信号制御システムの実施形態における制御構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明に係る交通信号制御システムの実施形態における信号制御装置による動作を示す現示階梯図である。
【
図4】本発明に係る交通信号制御システムの実施形態における歩行者の人数に応じて行われる信号制御装置による動作を示す現示階梯図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は本発明に係る交通信号制御システムの実施形態を示す概略図である。なお、説明の便宜上、この交差点では、
図1の下方から上方に向かって走行する方向をN1方向、左方から右方に向かって走行する方向をN2方向、上方から下方に向かって走行する方向をS1方向、右方から左方に向かって走行する方向をS2方向とする。ただし、N1方向の右折信号は、S1方向で制御するとともに、S1方向の右折信号は、N1方向で制御し、N2方向の右折信号は、S2方向で制御するとともに、S2方向の右折信号は、N2方向で制御するように、逆方向で制御するようになっている。
【0019】
図1に示すように、交差点には、N1方向に走行するN1方向車両1に対する車両用信号灯器としてのN1方向車両用信号機2、S1方向に走行するS1方向車両3に対するS1方向車両用信号機4、N2方向に走行するN2方向車両5に対するN2方向車両用信号機6およびS2方向に走行するS2方向車両7に対するS2方向車両用信号機8がそれぞれ設置されている。これら各信号機2,4,6,8には、車両用直進・左折可信号機9,10,11,12および車両用右折可信号機13,14,15,16がそれぞれ設けられている。また、交差点には、N1方向およびS1方向の歩道を横断する歩行者に対する歩行者用信号灯器としてのN1方向歩行者用信号機17およびS1方向歩行者用信号機18、N2方向およびS2方向の横断歩道を横断する歩行者に対する歩行者用信号灯器としてのN2方向歩行者用信号機19およびS2方向歩行者用信号機20がそれぞれ設置されている。さらに、交差点には、各横断歩道を横断する歩行者を検出する歩行者検出装置21が設置されている。
【0020】
なお、各信号機2,4,6,8には、黄色と赤色の各信号灯器が設けられており、以下の説明においては、これら各信号灯器を、1Y,1R,2Y,2R,3Y,3R,4Y,4Rで、車両用直進・左折可信号機9,10,11,12の信号灯器を1G,2G,3G,4Gで、車両用右折可信号機13,14,15,16の信号灯器を1A,2A,3A,4Aで、歩行者用信号機の信号灯器を1P,2P,3P,4Pでそれぞれ表すこととする。
【0021】
また、
図2は本発明に係る交通情報システムの制御構成を示したものであり、本実施形態においては、
図2に示すように、信号制御装置22は、N1方向車両用信号機2、S1方向車両用信号機4、N2方向車両用信号機6、S2方向車両用信号機8、車両用直進・左折可信号機9,10,11,12、車両用右折可信号機13,14,15,16、N1方向歩行者用信号機17、S1方向歩行者用信号機18、N2方向歩行者用信号機19およびS2方向歩行者用信号機20の各車両用信号灯器23および歩行者用信号灯器24を制御する信号制御装置22が設けられており、この信号制御装置22には、1ステップごとに、車両用信号灯器23および歩行者用信号灯器24の動作を切り換えるための複数のステップ信号を発生する制御部25を備えている。
【0022】
また、信号制御装置22は、この制御部25により発生された各ステップ信号に基づいて車両用信号灯器23および歩行者用信号灯器24の動作を切り換える信号制御回路26と、車両用信号灯器23および歩行者用信号灯器24を点灯する灯色データをステップ信号に対応して記憶する現示メモリ27と、がそれぞれ設けられている。さらに、信号制御装置22には、歩行者検出装置21による歩行者の検出結果が送られるように構成されており、信号制御装置22は、歩行者検出装置21による歩行者の横断量に応じて車両用信号灯器23および歩行者用信号灯器24の制御を行うことができるように構成されている。
【0023】
図3は本発明の信号制御システムにおける通常の動作を示す現示階梯図である。
図3においては、横軸はステップ数を示し、縦軸は各信号名を示している。また、太い黒線は信号機が青であることを示し、波線は信号機が黄または点滅であることを示し、矢印は矢印方向に進行可であることを示し、二重線は信号機が赤であることを示している。
【0024】
まず、N方向のステップ1では、N1方向車両用信号機2(1Y、1R)は赤、N1方向車両用直進・左折可信号機9(1G)は青、S1方向車両用右折可信号機14(2A)は無灯火、N1方向歩行者用信号機17(1P)は青となっており、N2方向車両用信号機6(3Y、3R)は赤、N2方向車両用直進・左折可信号機11(3G)は無灯火、S2方向車両用右折可信号機16(4A)は無灯火、N2方向歩行者用信号機19(3P)は赤に制御される。したがって、N1方向車両1は、N1方向車両用信号機(1Y、1R)が赤であるが、N1方向車両用直進・左折可信号機9(1G)が青であるため、直進および左折が可能である。また、N2方向車両5は、N2方向車両用信号機6(3Y、3R)により停止となり、歩行者は、N1方向歩行者用信号機17(1P)は青であるため、横断が可能であり、N2方向歩行者用信号機19(3P)は赤であるため横断不可となる。
【0025】
一方、S方向のステップ1では、S1方向車両用信号機4(2Y、2R)は赤、S1方向車両用直進・左折可信号機10(2G)は青、N1方向車両用右折可信号機13(1A)は無灯火、S1方向歩行者用信号機18(2P)は青、S2方向車両用信号機8(4Y、4R)は赤、S2方向車両用直進・左折可信号機12(4G)は無灯火、N2方向車両用右折可信号機15(3A)は無灯火、S2方向歩行者用信号機20(4P)は赤に制御される。したがって、S1方向車両3は、S1方向車両用信号機4(2Y、2R)が赤であるが、S1方向車両用直進・左折可信号機10(2G)が青であるため、直進および左折が可能である。また、S2方向車両7は、S2方向車両用信号機8(4Y、4R)により停止となり、歩行者は、S1方向歩行者用信号機18(2P)により横断が可能であり、S2方向歩行者用信号機20(4P)により横断不可となる。
【0026】
次に、N方向のステップ2では、N1方向車両用信号機2(1Y、1R)は黄、N1方向車両用直進・左折可信号機(1G)は無灯火、S1方向車両用右折可信号機14(2A)は無灯火、N1方向歩行者用信号機17(1P)は点滅、N2方向車両用信号機6(3Y、3R)は赤、N2方向車両用直進・左折可信号機11(3G)は無灯火、S2方向車両用右折可信号機16(4A)は無灯火、N2方向歩行者用信号機19(3P)は赤に制御される。したがって、N1方向車両1は、N1方向車両用信号機2(1Y、1R)が黄であるので停止となる。また、N2方向車両5は、N2方向車両用信号機6(3Y、3R)により停止となり、歩行者は、N1方向歩行者用信号機17(1P)は点滅であるため、横断が不可となり、N2方向歩行者用信号機19(3P)は赤であるため横断不可となる。
【0027】
一方、S方向のステップ2では、S1方向車両用信号機4(2Y、2R)は黄、S1方向車両用直進・左折可信号機10(2G)は無灯火、N1方向車両用右折可信号機(1A)は無灯火、S1方向歩行者用信号機18(2P)は点滅、S2方向車両用信号機8(4Y、4R)は赤、S2方向車両用直進・左折可信号機12(4G)は無灯火、S2方向車両用右折可信号機16(4A)は無灯火、N2方向車両用右折可信号機15(3A)は無灯火、S2方向歩行者用信号機20(4P)は赤に制御される。したがって、S1方向車両3はS1方向車両用信号機4(2Y、2R)が黄であるので停止となる。また、S2方向車両7は、S2方向車両用信号機8(4Y、4R)により停止となり、歩行者は、S1方向歩行者用信号機(2P)は点滅であるため、横断が不可となり、S2方向歩行者用信号機(4P)は赤であるため横断不可となる。
【0028】
次に、N方向のステップ3では、点灯している全ての信号機が赤または無灯火に制御される。したがって、N1方向車両1は、N1方向車両用信号機2(1Y、1R)により停止となり、N2方向車両5は、N2方向車両用信号機6(3Y、3R)により停止となる。歩行者は、N1方向歩行者用信号機(1P)、N2方向歩行者用信号機(3P)は赤であるため横断不可となる。なお、S方向のステップ3においても、同様である。
【0029】
次に、N方向のステップ4では、N1方向車両用信号機2(1Y、1R)は赤、N1方向車両用直進・左折可信号機9(1G)は無灯火、S1方向車両用右折可信号機14(2A)は青、N1方向歩行者用信号機17(1P)は赤、N2方向車両用信号機6(3Y、3R)は赤、N2方向車両用直進・左折可信号機11(3G)は無灯火、S2方向車両用右折可信号機16(4A)は無灯火、N2方向歩行者用信号機19(3P)は赤に制御される。
したがって、S1方向車両3は、S1方向車両用右折可信号機14(2A)が青であるため、右折可能となり、N2方向車両5は、N2方向車両用信号機6(3Y、3R)により停止となり、歩行者は、N1方向歩行者用信号機(1P)、N2方向歩行者用信号機(3P)は赤であるため横断不可となる。
【0030】
一方、S方向のステップ4では、S1方向車両用信号機4(2Y、2R)は赤、S1方向車両用直進・左折可信号機10(2G)は無灯火、N1方向車両用右折可信号機13(1A)は青、S1方向歩行者用信号機18(2P)は赤、S2方向車両用信号機8(4Y、4R)は赤、S2方向車両用直進・左折可信号機12(4G)は無灯火、N2方向車両用右折可信号機15(3A)は無灯火、S2方向歩行者用信号機20(4P)は赤に制御される。したがって、N1方向車両1は、N1方向車両用右折可信号機13(1A)が青であるため、右折可能となり、S2方向車両7はS2方向車両用信号機8(4Y、4R)により停止となり、歩行者は、S1方向歩行者用信号機(2P)、S2方向歩行者用信号機(4P)は赤であるため横断不可となる。
【0031】
次に、N方向のステップ5では、N1方向車両用信号機2(1Y、1R)は黄、N1方向車両用直進・左折可信号機9(1G)は無灯火、S1方向車両用右折可信号機14(2A)は無灯火、N1方向歩行者用信号機17(1P)は赤、N2方向車両用信号機6(3Y、3R)は赤、N2方向車両用直進・左折可信号機11(3G)は無灯火、S2方向車両用右折可信号機16(4A)は無灯火、N2方向歩行者用信号機19(3P)は赤に制御される。したがって、N1方向車両1はN1方向車両用信号機2(1Y、1R)が黄であるので停止となり、N2方向車両5はN2方向車両用信号機6(3Y、3R)により停止となる。歩行者は、N1方向歩行者用信号機(1P)、N2方向歩行者用信号機(3P)は赤であるため横断不可となる。
【0032】
一方、S方向のステップ5では、S1方向車両用信号機4(2Y、2R)は黄、S1方向車両用直進・左折可信号機10(2G)は無灯火、S1方向歩行者用信号機18(2P)は赤、N1方向車両用右折可信号機13(1A)は無灯火、S2方向車両用信号機8(4Y、4R)は赤、S2方向車両用直進・左折可信号機12(4G)は無灯火、N2方向車両用右折可信号機15(3A)は無灯火、S2方向歩行者用信号機20(4P)は赤に制御される。したがって、S1方向車両3はS1方向車両用信号機4(2Y、2R)が黄であるので停止となり、S2方向車両7はS2方向車両用信号機8(4Y、4R)により停止となる。歩行者は、S1方向歩行者用信号機(2P)、S2方向歩行者用信号機(4P)は赤であるため横断不可となる。
【0033】
次に、N方向のステップ6では、点灯している全ての信号機が赤または無灯火に制御される。したがって、N1方向車両1は、N1方向車両用信号機2(1Y、1R)により停止する。また、N2方向車両5は、N2方向車両用信号機6(3Y、3R)により停止となる。歩行者は、N1方向歩行者用信号機(1P)、N2方向歩行者用信号機(3P)は赤であるため横断不可となる。なお、S方向のステップ3においても、同様である。
【0034】
そして、ステップ6が終了した時点で、信号制御回路26によりステップの同期をとる。
【0035】
なお、ステップ7以降はN方向、S方向共に、車両用信号機2,4,6,8、車両用直進・左折可信号機9,10,11,12、車両用右折可信号機13,14,15,16、歩行者用信号機17,18,19,20がステップ1からステップ6までと同様の動作を繰り返すものであるため、その説明を省略する。
【0036】
次に、歩行者検出装置21により、例えば、S1方向歩行者用信号機18における歩行者の横断量が多いことが検出された場合の制御について説明する。
図4はこの場合における動作を示す現示階梯図である。
【0037】
図4に示すように、本実施形態においては、N方向のステップ1およびS方向のステップ1を制御を行っている場合において、S方向のステップ1で制御している状態で、N方向の制御をステップ1からステップ2、ステップ3、ステップ4に移行するように構成されている。このようにN方向のステップ1からステップ4に移行することにより、N1方向車両1およびN2方向車両5は停止となり、歩行者は横断不可となる。
【0038】
そして、この状態で、S方向のステップ1により継続して制御されるとともに、N方向のステップ4により制御されているので、S1方向車両3は、直進、左折および右折が可能である。このとき、N1方向歩行者用信号機17(1P)は赤となっているので、歩行者は横断不可であるが、S1方向歩行者用信号機18(2P)は青となっているので、歩行者は横断可能である。
【0039】
このように、本実施形態においては、歩行者検出装置21により、例えば、S1方向歩行者用信号機18における歩行者の横断量が多いことが検出された場合に、S1方向歩行者用信号機18(2P)を青に保持するとともに、S1方向車両用直進・左折可信号機10(2G)およびS1方向車両用右折可信号機14(2A)を青に制御する際に、N1方向歩行者用信号機17(1P)を赤に制御するようにしているので、S1方向車両の右折と、N1方向歩行者用信号機17(1P)により横断する歩行者とが交錯することがない。
【0040】
以上述べたように、本実施形態においては、車両を直進または左折可能に制御する場合には、歩行者用信号灯器24を青に制御するとともに、車両信号灯器23により車両を右折可能に制御する場合には、車両の右折側に設置されている歩行者用信号灯器24を必ず赤に制御するようにしているので、車両用信号灯器23および歩行者用信号灯器24を複数のステップ信号に基づいて制御した場合でも、歩行者用信号灯器24の点灯状態が、車両用信号灯器23の点灯状態とずれてしまうことを確実に防止することができ、その結果、歩行者の安全性を確保することができる。
【0041】
なお、前記実施形態においては、車両の直進および左折と、車両の右折側に設置されている歩行者の横断とが交錯しないようにした場合の例について説明したが、車両の直進および右折と、車両の左折側に設置されている歩行者の横断とが交錯しないようにした場合に適用するようにしてもよい。
【0042】
また、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 N1方向車両
2 N1方向車両用信号機
3 S1方向車両
4 S1方向車両用信号機
5 N2方向車両
6 N2方向車両用信号機
7 S2方向車両
8 S2方向車両用信号機
9 N1方向車両用直進・左折可信号機
10 S1方向車両用直進・左折可信号機
11 N2方向車両用直進・左折可信号機
12 S2方向車両用直進・左折可信号機
13 N1方向車両用右折可信号機
14 S1方向車両用右折可信号機
15 N2方向車両用右折可信号機
16 S2方向車両用右折可信号機
17 N1方向歩行者用信号機
18 S1方向歩行者用信号機
19 N2方向歩行者用信号機
20 S2方向歩行者用信号機
21 歩行者検出装置
22 信号制御装置
23 車両用信号灯器
24 歩行者用信号灯器
25 制御部
26 信号制御回路
27 現示メモリ