特許第6129622号(P6129622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6129622
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品
(51)【国際特許分類】
   A21D 13/00 20170101AFI20170508BHJP
   A23L 33/00 20160101ALI20170508BHJP
   A23L 33/17 20160101ALI20170508BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20170508BHJP
   A23L 29/206 20160101ALI20170508BHJP
   A23L 11/00 20160101ALN20170508BHJP
【FI】
   A21D13/00
   A23L33/00
   A23L33/17
   A23L33/10
   A23L29/206
   !A23L11/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-77967(P2013-77967)
(22)【出願日】2013年4月3日
(65)【公開番号】特開2014-200189(P2014-200189A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002251
【氏名又は名称】特許業務法人眞久特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西谷 弘
(72)【発明者】
【氏名】鉢村 恵里佳
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 浩一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 務
【審査官】 長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−246533(JP,A)
【文献】 特開昭59−154940(JP,A)
【文献】 特開2000−032903(JP,A)
【文献】 特開2005−287497(JP,A)
【文献】 特開2006−050926(JP,A)
【文献】 特開2009−027956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/
A23L 11/00−11/10,11/30
A21D
A23G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソロイシン、ロイシン、およびバリンの3種の分岐鎖アミノ酸組成物を配合する焼物菓子形態の総合栄養食品であって、前記分岐鎖アミノ酸が100kcalあたり3.0〜5.0gであり、かつ、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材が9〜16質量%と、はちみつ、液糖、水あめ、または還元水あめの少なくともいずれか1種類が5〜10質量%とを配合し、たんぱく質が100kcalあたり3.0〜6.0g、糖質が100kcalあたり8.0〜12.0g、脂質が100kcalあたり3.0〜6.0g、食物繊維が100kcalあたり1.0〜2.0gであり、焼成後の硬さが5〜25N、水分含量が5〜12質量%であり、
前記食物繊維は、前記全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材由来の大豆食物繊維以外の食物繊維として、グァーガム酵素分解物を含有するものである分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品。
【請求項2】
前記全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材が、前記分岐鎖アミノ酸組成物1質量部に対し、0.5〜1.0質量部である請求項1に記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品。
【請求項3】
たんぱく質原料;水溶性食物繊維、及び/又は不溶性食物繊維;糖類;甘味成分;植物性油脂、動物性油脂、加工油脂、及び/又はこれら油脂を含有する油脂加工品;ビタミン類;ミネラル類;香料、醤油、味噌、化学調味料、風味物質、カラメル、天然着色料、乳化剤、安定剤、及び/又は防腐剤である添加剤;食塩、イースト、酵素、及び/又は膨張剤;から選ばれる少なくとも何れかを含有するものである請求項1または2に記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品。
【請求項4】
前記全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材由来の大豆食物繊維が、前記分岐鎖アミノ酸組成物1質量部に対し、0.1〜0.5質量部である請求項1〜3のいずれかに記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品。
【請求項5】
前記分岐鎖アミノ酸組成物がイソロイシン、ロイシンおよびバリンを含有し、それらの配合割合が0.9〜1.1:1.8〜2.2:0.9〜1.1である請求項1〜4のいずれかに記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品。
【請求項6】
ビタミン類およびミネラル類が配合された請求項1〜5のいずれかに記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソロイシン、ロイシン、およびバリンの分岐鎖アミノ酸を有効成分とする焼物菓子形態の総合栄養食品に関する。
更に詳しくは、分岐鎖アミノ酸の配合量が100kcalあたり3.0〜5.0gであり、かつ、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材が9〜16質量%と、はちみつ、液糖、水あめ、または還元水あめの少なくともいずれか1種類が5〜10質量%とを配合し、たんぱく質が100kcalあたり3.0〜6.0g、糖質が100kcalあたり8.0〜12.0g、脂質が100kcalあたり3.0〜6.0g、食物繊維が100kcalあたり1.0〜2.0gである分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
肝硬変患者は、たんぱく質とエネルギーの代謝異常をきたし、たんぱく質とエネルギーの両方が不足するたんぱく質・エネルギー低栄養状態(protein energy malnutrition;PEM)が高頻度に出現する。エネルギー代謝異常は、肝臓の萎縮によるグリコーゲン貯蔵量の減少とインスリン抵抗性による末梢組織での糖の取り込み不良が原因と考えられている。特に、早朝空腹時にはエネルギー基質の燃焼率に異常がみられ、糖質の燃焼率が低下し、脂質の燃焼率が上昇する。肝硬変患者の早朝の飢餓状態は、健常人における2〜3日間の絶食時の代謝状態に相当すると言われている。この飢餓状態を回避する目的で、分割食や夜間就寝前補食(late evening snack;LES)を摂取すると、エネルギー代謝異常が改善することが明らかにされてきた(非特許文献1)。
また、肝硬変患者の低たんぱく栄養状態を改善するために分岐鎖アミノ酸が投与され、効果をあげてきた。分岐鎖アミノ酸も夜間あるいは就寝前に投与するほうが、たんぱく合成に有利であることも報告されている(非特許文献2)。すなわち、分岐鎖アミノ酸およびエネルギーともに、夜間あるいは就寝前に重点的に投与すると、肝硬変患者のたんぱく質とエネルギーの代謝改善に有用なことが証明されている。
【0003】
このため、イソロイシン、ロイシン、およびバリンの3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有し、エネルギーも摂取できる製剤は、肝硬変患者の栄養状態の改善に有効であると考えられる。現在、肝性脳症を伴う慢性肝不全患者の栄養状態の改善を目的として、3種の分岐鎖アミノ酸、糖質および脂質などを配合した製剤が市販されている。これらは、摂取時に顆粒を水に溶かして液状とする(アミノレバン(登録商標)EN、ヘパンED(登録商標))、あるいはあらかじめ液状になっている(ヘパス、ヘパスII)。いずれの製剤も、摂取形態は液状であり水分摂取をともなう。これらの製剤をLESとして使用する場合、腹部膨満感あるいは胃もたれがあり、睡眠が妨げられる、また、寝る前の水分摂取による夜間のトイレタイムに苦痛を伴うという難点があった(非特許文献3)。特に、高齢者には服用性の観点から課題があった。
そこで、有効成分であるイソロイシン、ロイシン、およびバリンの3種の分岐鎖アミノ酸にカゼインナトリウムまたは濃縮大豆たんぱくの少なくとも1種のたんぱく質原料および食物繊維を配合することにより、焼成後も保形性を有し、肝性脳症を伴う慢性肝不全患者などの肝硬変患者のPEMを改善することができ、LESとしても使用でき、分岐鎖アミノ酸を有効成分とし、エネルギーも摂取できる焼物菓子形態の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品が開示されている(特許文献1)。これは、通常の焼物菓子形態であるため、水分摂取を控えることができる点では有効であったが、焼成後に硬くなるという課題があった。特に、高齢者に対しては摂取しにくい硬さであることから、高齢者が抵抗感を有し、継続摂取が困難となり、結果として栄養状態の改善が期待できなくなるものであった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】森脇久隆、栄養評価と治療、23(1)、2006、pp.79−81.
【非特許文献2】福島秀樹、肝胆膵、50(5)、2005、pp.739−747.
【非特許文献3】栄養評価と治療、24(3)、2007、pp.64−73.
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−246533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述の状況を鑑みてなされたもので、肝性脳症を伴う慢性肝不全患者などの肝硬変患者のPEMを改善することであり、LESとしても使用でき、分岐鎖アミノ酸を有効成分とし、必要なエネルギーも摂取でき、高齢者でも摂取しやすい硬さを有する焼物菓子形態の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、有効成分であるイソロイ
シン、ロイシン、およびバリンの3種の分岐鎖アミノ酸に、大豆たんぱく、はちみつ、液
糖、水あめ、または還元水あめの少なくともいずれか1種類、および食物繊維が配合され
ていることにより、焼成後も高齢者でも摂取しやすい硬さであって、しっとりとした食感
を有する焼物菓子形態の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得られることを見出し、この
知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(6)に示したものである。
(1)イソロイシン、ロイシン、およびバリンの3種の分岐鎖アミノ酸組成物を配合する焼物菓子形態の総合栄養食品であって、前記分岐鎖アミノ酸が100kcalあたり3.0〜5.0gであり、かつ、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材が9〜16質量%と、はちみつ、液糖、水あめ、または還元水あめの少なくともいずれか1種類が5〜10質量%とを配合し、たんぱく質が100kcalあたり3.0〜6.0g、糖質が100kcalあたり8.0〜12.0g、脂質が100kcalあたり3.0〜6.0g、食物繊維が100kcalあたり1.0〜2.0gであり、焼成後の硬さが5〜25N、水分含量が5〜12質量%であり、
前記食物繊維は、前記全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材由来の大豆食物繊維以外の食物繊維として、グァーガム酵素分解物を含有するものである分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品。
(2)前記全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材が、前記分岐鎖アミノ酸組成物1質量部に対し、0.5〜1.0質量部である前記(1)に記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品。
(3)たんぱく質原料;水溶性食物繊維、及び/又は不溶性食物繊維;糖類;甘味成分;植物性油脂、動物性油脂、加工油脂、及び/又はこれら油脂を含有する油脂加工品;ビタミン類;ミネラル類;香料、醤油、味噌、化学調味料、風味物質、カラメル、天然着色料、乳化剤、安定剤、及び/又は防腐剤である添加剤;食塩、イースト、酵素、及び/又は膨張剤;から選ばれる少なくとも何れかを含有する前記(1)または(2)に記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品。
(4)前記全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材由来の大豆食物繊維が、前記分岐鎖アミノ酸組成物1質量部に対し、0.1〜0.5質量部である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品。
(5)前記分岐鎖アミノ酸組成物がイソロイシン、ロイシン、およびバリンを含有し、それらの配合割合が0.9〜1.1:1.8〜2.2:0.9〜1.1である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品。
(6)ビタミン類およびミネラル類が配合された前記(1)〜(5)のいずれかに記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように、本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、イソロイシン、ロイシン、およびバリンの3種の分岐鎖アミノ酸組成物を配合する焼物菓子形態の総合栄養食品であって、前記分岐鎖アミノ酸が100kcalあたり3.0〜5.0gであり、かつ、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材が9〜16質量%と、はちみつ、液糖、水あめ、および還元水あめの少なくともいずれか1種類が5〜10質量%とを配合することにより、焼成後の硬さが5〜25Nを有するものである。肝性脳症を伴う慢性肝不全患者などの肝硬変患者のPEMを改善することができ、そして、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養を摂取する際に過剰な水分の摂取を伴わないので、LESとしての使用にも好適であり、分岐鎖アミノ酸を有効成分とし、エネルギーも摂取できるしっとりとした食感を有する焼物菓子形態の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を詳細に説明する。
本発明に示される「焼物菓子」とは、生地を賦型後、加熱焼成して成形したものを意味する。生地に使用する原料は、従来より焼物菓子を調製する際に使用されているものはいずれも可能であり、例えば、小麦粉、糖類、食用油脂を主原料とし、必要に応じて食塩、乳製品、卵、膨張剤などを加えたものである。この目的に合致する焼物菓子に属するものの代表例としては、クッキー類、ビスケット類、サブレ類などを挙げることができる。
【0010】
本発明の「硬さ」とは、焼成後の「焼物菓子」の形態で室温にてレオメーター(CR−500DX、株式会社サン科学)を用いて、圧縮強度試験を行ったときの最大荷重が「硬さ」の結果を意味する.アダプタは、No.34(歯型)を用いて、モード21、速度60mm/分で試験を行う。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に使用する分岐鎖アミノ酸組成物としては、イソロイシン、ロイシン、およびバリンの3種からなるものが好ましい。
【0011】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に配合する分岐鎖アミノ酸の配合量は、100kcalあたり3.0〜5.0g、好ましくは3.5〜4.5gの範囲である。分岐鎖アミノ酸の配合量が、3.0gより少ないと、目的とする分岐鎖アミノ酸量を摂取できないため、好ましくない。また、5.0gを越えると、焼成後の焼物菓子が十分な食感を有さなくなるため、好ましくない。
【0012】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品には、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材が必要である。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に使用する全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材の具体例としては、全脂大豆を原料とする大豆素材としては大豆粉などを、脱脂大豆を原料とする大豆素材としてはおからパウダー、濃縮大豆たんぱく、大豆ふすまなどを、それぞれ使用することができる。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に配合する全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材の配合量は、乾燥重量として、9〜16質量%、好ましくは10〜15質量%の範囲である。全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材の配合量が、9質量%より少ないと、焼成後の焼物菓子が脆くなり、輸送中に粉々になるため、好ましくない。また、16質量%を越えると、焼成後の焼物菓子が硬くなり、しっとりとした食感を有さないため、好ましくない。
【0013】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品には、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材以外、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、従来から食品に慣用されるたんぱく質原料を配合しても良い。たんぱく質原料としては、植物性たんぱく質原料として、例えば、小麦たんぱく、コーングルテンミールなどが例示できる。また、動物性たんぱく質原料として、例えば、牛乳、脱脂乳などの乳製品の他、カゼイン、乳清、トータル・ミルク・プロテイン(TMP)、ミルク・プロテイン・コンセントレート(MPC)などの乳たんぱく、卵白、コラーゲン、プロタミンなどを例示することができる。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中のたんぱく質は、100kcalあたり3.0〜6.0g、好ましくは3.5〜5.5gの範囲である。たんぱく質が、100kcalあたり3.0gより少ないと、目的とするたんぱく質量を摂取できないため、好ましくない。また、100kcalあたり6.0gを越えると、焼成後の焼物菓子が硬くなり、しっとりとした食感を有さないため、好ましくない。
【0014】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材由来の大豆食物繊維以外、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、従来から食品に慣用される食物繊維を配合しても良い。配合する食物繊維としては、従来から食品で利用されてきている公知の各種の食物繊維が、1種単独でまたは2種以上混合して使用できる。例えば、グァーガム酵素分解物、低分子化アルギン酸ナトリウム、グルコマンナン、イヌリン、リンゴ食物繊維などの水溶性食物繊維やコーンファイバー、レジスタントスターチ、サイリウム種皮、ビートファイバー、アップルファイバー、サトウキビ食物繊維、小麦ふすま、発酵大麦ファイバー、エンドウファイバー、夕顔果実食物繊維、シトラスファイバー、セルロース、小麦ファイバー、オート麦ファイバー、ポテトファイバー、大豆ファイバー、リグニンなどの不溶性食物繊維が挙げられる。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中の食物繊維は、100kcalあたり1.0〜2.0gの範囲である。食物繊維の配合量が、100kcalあたり1.0gより少ないと、焼成後の焼物菓子が脆くなり、輸送中に粉々になるため、好ましくない。また、100kcalあたり2.0gを越えると、焼成後の焼物菓子が硬くなり、しっとりとした食感を有さないため、好ましくない。
【0015】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品には、はちみつ、液糖、水あめ、還元水あめの少なくともいずれか1種類が必要である。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品には、はちみつ、液糖、水あめ、還元水あめとしては、従来から食品で利用されてきている公知のものであれば、いずれも使用できる。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に配合するはちみつ、液糖、水あめ、または還元水あめの少なくともいずれか1種類の配合量は、5〜10質量%、好ましくは6〜9質量%の範囲である。これらは2種類以上配合することができるが、合計量は上記範囲内であることが必要である。はちみつ、液糖、水あめ、または還元水あめの少なくともいずれか1種類の配合量が5質量%より少ないと、焼成後の焼物菓子がしっとりした食感を有さなくなるため、好ましくない。また、10質量%を越えると、柔らかくなりすぎて食感が悪くなるため、好ましくない。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品には、はちみつ、液糖、水あめ、還元水あめ以外、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、従来から食品で利用されてきている公知の各種の糖質を配合しても良い。
例えば、ブドウ糖(グルコース)、乳糖(ラクトース)、果糖(フルクトース)などの単糖類、蔗糖、グラニュー糖、トレハロース、マルトース、イソマルトースなどの二糖類、グリコーゲン、デキストリン、デンプン(小麦デンプンなど)などの多糖類や、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖など)、粉飴、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、パラチニット、キシリトール、ラクチトールなど)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)などが挙げられる。これらは1種用いても良いし、2種以上を組み合わせても良い。
また、従来から食品で利用されてきている公知の各種のもしくは将来知られうる甘味成分も、はちみつ、液糖、水あめ、または還元水あめの少なくともいずれか1種類に加えて用いることができる。具体的には、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、ステビア末などの甘味成分を用いても良い。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中の糖質は、上記はちみつ、液糖、水あめ、または還元水あめの少なくともいずれか1種類を含めて100kcalあたり8.0〜12.0g、好ましくは8.5〜11.5gの範囲である。糖質が、100kcalあたり8.0gより少ないと、目的とする糖質量を摂取できないため、好ましくない。また、100kcalあたり12.0gを越えると、摂取する糖質量が過剰となるため、好ましくない。
【0016】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に配合する脂質としては、従来、食品で利用されてきている公知の各種の食用油脂類が、1種単独でまたは2種以上混合して使用できる。例えば、アマニ油、エゴマ油、オリーブ油、ゴマ油、米油、米糠油、サフラワー油、シソ油、大豆油、コーン油、ナタネ油、胚芽油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油、綿実油、ヤシ油、ナッツ油、落花生油、カカオ脂などの植物性油脂やラード、牛脂、魚油、乳脂などの動物性油脂、中鎖脂肪酸、高度不飽和脂肪酸、DHA、EPA、ジアシルグリセロールなどの加工油脂、また、これら油脂を含有するバター、マーガリン、ショートニングなどの油脂加工品などが挙げられる。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中の脂質は、100kcalあたり3.0〜6.0g、好ましくは3.5〜5.5gの範囲である。脂質が、100kcalあたり3.0gより少ないと、目的とする脂質量を摂取できないため、好ましくない。また、100kcalあたり6.0gを越えると、摂取する脂質量が過剰となるため、好ましくない。
【0017】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を製造する際には、製品の種類に応じて通常用いられる適当なビタミン類やミネラル類などの成分を配合することが出来る。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に用いるビタミン類としては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどが挙げられ、これら複数をできる限り組み合わせて配合するのが好ましい。ビタミンとして、ビタミン誘導体を使用しても良い。
ビタミンの配合量としては、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcalあたり、下記の範囲が適当である。
ビタミンB1 0.1〜40mg、好ましくは0.3〜25mg
ビタミンB2 0.1〜20mg、好ましくは0.33〜12mg
ビタミンB6 0.1〜60mg、好ましくは0.3〜10mg
ビタミンB12 0.1〜100μg、好ましくは0.60〜60μg
ナイアシン 1〜300mg、好ましくは3.3〜60mg
パントテン酸 0.1〜55mg、好ましくは1.65〜30mg
葉酸 10〜1000μg、好ましくは60〜200μg
ビオチン 1〜1000μg、好ましくは14〜500μg
ビタミンC 10〜2000mg、好ましくは24〜1000mg
ビタミンA 0〜3000μg、好ましくは135〜600μg
ビタミンD 0.1〜50μg、好ましくは1.5〜5.0μg
ビタミンE 1〜800mg、好ましくは2.4〜150mg
ビタミンK 0.5〜1000μg、好ましくは2〜700μg
【0018】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に用いるミネラル類として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンおよび亜鉛などが挙げられ、これら複数をできる限り組み合わせて配合するのが好ましい。これらは、無機電解質成分として配合されていても良いし、有機電解質成分として配合されていても良い。無機電解質成分としては、例えば、塩化物、硫酸化物、炭酸化物、リン酸化物などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩類が挙げられる。また、有機電解質成分としては、有機酸、例えばクエン酸、乳酸、アミノ酸(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸など)、アルギン酸、リンゴ酸またはグルコン酸と、無機塩基、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属との塩類が挙げられる。例えば、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、水酸化カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアロイル乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、未焼成カルシウム、塩化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、リン酸三マグネシウム、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛などが挙げられる。
ミネラルの配合量としては、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcalあたり、下記の範囲が適当である。
ナトリウム 5〜6000mg、好ましくは10〜3500mg
カリウム 1〜3500mg、好ましくは25〜1800mg
マグネシウム 1〜740mg、好ましくは25〜300mg
カルシウム 10〜2300mg、好ましくは250〜600mg
リン 1〜3500mg、好ましくは25〜1500mg
亜鉛 0.1〜30mg、好ましくは1〜15mg
【0019】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、前記主成分の他に、必要に応じて、栄養価を高めたり、風香味を付与したり、着色したりする目的で用いられる種々の添加物を更に含有することができる。該添加物としては、例えば、風香味付与を目的とする香料(合成香料および天然香料)、醤油、味噌、化学調味料、風味物質(チーズ、チョコレートなど)など、着色を目的とするカラメル、天然着色料など、その他、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチンなど)、安定剤、防腐剤などをそれぞれ挙げることができる。これらの添加剤はそれぞれ1種単独でも2種以上組み合わせても利用することができる。
なお、本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品には、食塩、イースト、酵素、膨張剤などを必要に応じて添加することもできる。酵素としては、例えば、製菓用に一般によく知られている各種のプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼなどを例示することができる。膨張剤としては、食品業界で汎用されている、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウムなどおよびこれらを含むものを例示することができる。その代表例としては市販のベーキングパウダーを例示することができる。これら食塩、イースト、酵素、膨張剤などの添加配合量は、通常これらが配合される量と同様のものであることができ、一般には約1質量%程度までとすることができる。
【0020】
本発明に係る分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の製造方法においては、まず上記各成分を含有する生地を作成する。これは上記各成分の所定量を水と混合し、混合物を混練することにより行ない得る。
上記各成分の混合、混練による生地の調製は、得られる生地が均一になるように適宜通常の装置、条件などを利用して行うことができる。例えばまず粉末状の各原料成分を秤量、混合し、混合粉末に水および水分を多く含む液状動物性たんぱく質素材(牛乳、全卵など)を混合する。この際、水および液状たんぱく質素材は予め約50℃程度に加温して用いることもでき、これによって得られる生地の温度を約30〜35℃程度に上げて生地を柔らかくして、引続く生地の成型を容易にすることができる。
本発明では、次いで上記で得られる生地を任意の形状に賦型する。この賦型は、通常の方法に従い、例えば、麺棒あるいは、デポジター、圧延ローラーなどの機械を用いて生地を伸ばし、型抜きして行う。その際の形状は任意のものとすることができる。製造の容易性、得られる食品の食べやすさなどを考慮すれば、通常、厚さ4〜8mm程度の板状体などとするのが望ましい。これら賦型物の大きさおよび長さは最終製品の食べ易さ、取扱いの容易さなどを考慮して適宜定めれば良い。必要に応じ生地を裁断しても良い。
本発明においては上記生地を加熱焼成することを不可欠とし、これによって高齢者でも摂取しやすい硬さであって、しっとりとした食感を有し、かつ、分岐鎖アミノ酸を高含有する本発明の目的とする焼物菓子形態の総合栄養食品を得ることができる。
【0021】
加熱焼成の条件は、使用した原料素材、生地の水分含量などに応じて適宜選択でき、一般に製菓製造において採用されているそれらの条件と特に異なるものではない。通常、加熱温度範囲は約60〜250℃の範囲から選ばれ、加熱時間は約2〜60分の範囲から選ばれる。殊に好ましい温度および時間は約160〜220℃および8〜15分程度である。
上記加熱焼成のための熱源としては、特に制約はなく熱水、蒸気、電気ヒーター、ガスオーブンなどの燃焼熱を利用するもの、電子レンジなどのマイクロ波、遠赤外線、赤外線などの各種のものを用いることができる。
本発明において製造に際しては上記に説明した組成範囲に基づいて、更に、後述の実施例や焼物菓子の製造法として従来から知られている方法、もしくは今後新しく提供される方法を利用して、本発明で目的とする分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を製造することができる。
【0022】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の硬さは、5〜25Nの範囲である。分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の硬さが、5Nより小さいと、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品が脆くなり、輸送中に粉々になるため、好ましくない。また、25Nを越えると、焼成後の焼物菓子が非常に硬くなり、しっとりした食感を有さなくなるため、好ましくない。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の水分量は、5〜12質量%、好ましくは7〜10質量%の範囲である。分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の水分量が、5質量%より少ないと、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品が硬くなり、食べにくくなるため、好ましくない。また、12質量%を越えると、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を長期間保存することに適さなくなる。
【0023】
このようにして得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、有効成分であるイソロイシン、ロイシン、およびバリンの3種の分岐鎖アミノ酸組成物に、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材と、はちみつ、液糖、水あめ、または還元水あめの少なくともいずれか1種類、および食物繊維を配合することにより、焼成後5〜25Nの硬さを有し、肝性脳症を伴う慢性肝不全患者などの肝硬変患者のPEMを改善することができ、LESとしても使用でき、食感も良く、分岐鎖アミノ酸とエネルギーも摂取することができる。
【実施例】
【0024】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
表1および2に示す配合に基づき、調製法1の方法により分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た。なお、表1中のビタミンミックスの組成は表2に示したとおりである。得られた試料の硬さは7.6N、水分量は8.7%、官能検査は「◎」であった。結果を表6に示す。





【0025】
【表1】






















【0026】
【表2】
【0027】
(調製法1)
マーガリン、チョコレート香料、バター香料、マルトース、ソルビトール、グァーガム加水分解物、オレンジピール、はちみつを4.8L容ステンレスボウルに入れ、ミキサー(KitchenAid 型式:KSM5、平面ビーター、株式会社エフ・エム・アイ)を用い、速度目盛り2で2分間ミキシングした。次に、凍結全卵(製菓用、キユーピータマゴ株式会社)、水、ネオテーム製剤を加えて、速度目盛り2で2分間ミキシングした。さらに、天然ドロマイト、グルコン酸亜鉛、ビタミンミックス、ビタミンCを加えて、速度目盛り2で3分間ミキシングした後、イソロイシン、ロイシン、バリン(L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリン、いずれも協和発酵バイオ株式会社)、ココアパウダーを加えて、速度目盛り2で2分間ミキシングした。最後に、大豆粉(アルファプラスHS−600、日清オイリオグループ株式会社)、おからパウダー(おからパウダー、キッコーマンソイフーズ株式会社)、小麦粉を加えて、速度目盛り1で30秒間、速度目盛り2で30秒間ミキシングして分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品用生地を調製した。得られた生地を麺棒で8mm厚の均一な板状に伸ばし、幅21mm、長さ100mm、重量14gに成型した。その後、成型した生地をオーブンレンジ(品番:NE−M250、松下電器産業株式会社)で130℃、30分間焼成し、放冷後アルミ蒸着フィルムを用いて密封包装して、本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た。焼成後の重量は、12gであった。このとき、大豆粉の配合量は6.9質量%、おからパウダーの配合量は5.6質量%、はちみつの配合量は7.5質量%であった。
【0028】
(評価法1) 実施例および比較例の「硬さ」は、焼成後の「焼物菓子」の形態で室温にてレオメーター(CR−500DX、株式会社サン科学)を用いて、圧縮強度試験を行ったときの最大荷重を「硬さ」とした。アダプタは、No.34(歯型)を用いて、モード21、速度60mm/分で試験を行った。
(評価法2)
実施例および比較例の試料の水分量は、赤外線水分計(型番:AD−4715、株式会社エー・アンド・デイ)を用いて、110℃で測定した。
(評価3)
焼物菓子形態の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の食感の評価として、10名の検査員が食して、「食感が良い」または「食感が悪い」のいずれか一方で回答し、それらの人数に基づいて、下記の表3に示す基準にしたがった官能検査を行なった。
【0029】
【表3】
【0030】
(実施例2)
実施例1において、大豆粉を濃縮大豆たんぱく(ARCON S、日本新薬株式会社、配合量:4.2質量%)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して試料を得た。得られた試料の硬さは7.8N、水分量は8.5%、官能検査は「◎」であった。結果を表6に示す。
(実施例3)
実施例1において、おからパウダーを濃縮大豆たんぱく(ARCON S、日本新薬株式会社、配合量:2.0質量%)および大豆食物繊維(FIBRIM(登録商標) 2000 IP、デュポン株式会社、配合量:2.7質量%)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して試料を得た。得られた試料の硬さは8.1Nであり、水分量は8.9%、官能検査は「◎」であった。結果を表6に示す。
(実施例4)
実施例1において、はちみつを異性化液糖(ニューフラクト55、昭和産業株式会社)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して試料を得た。得られた試料の硬さは7.7N、水分量は8.3%、官能検査は「◎」であった。結果を表6に示す。
(実施例5)
実施例1において、はちみつを水あめ(バクガシラップP 85C、日本コーンスターチ株式会社)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して試料を得た。得られた試料の硬さは8.7N、水分量は8.9%、官能検査は「◎」であった。結果を表6に示す。
(実施例6)
実施例1において、はちみつを還元水あめ(エスイー600、物産フードサイエンス株式会社)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して試料を得た。得られた試料の硬さは8.2N、水分量は8.6%、官能検査は「◎」であった。結果を表6に示す。
【0031】
(比較例1)
実施例1において、大豆粉をカゼインカルシウム(カゼインカルシウムS、日本新薬株式会社、配合量:3.3質量%)および大豆食物繊維(FIBRIM(登録商標) 2000 IP、デュポン株式会社、配合量:1.0質量%)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して試料を得た。得られた試料の硬さは31.5Nであり、水分量は8.8%、官能検査は「×」であった。結果を表6に示す。
(比較例2)
実施例1において、大豆粉を乳清たんぱく(Lacprodan DI−9224、アーラフーズイングレディエンツジャパン株式会社、配合量:3.5質量%)および大豆食物繊維(FIBRIM(登録商標) 2000 IP、デュポン株式会社配合量:1.0質量%)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して試料を得た。得られた試料の硬さは32.4Nであり、水分量は8.7%、官能検査は「×」であった。結果を表6に示す。
(比較例3)
実施例1において、はちみつをグラニュー糖(S、和田精糖株式会社)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して試料を得た。得られた試料の硬さは25.6N、水分量は9.5%、官能検査は「×」であった。結果を表6に示す。
(比較例4)
実施例1において、はちみつをデキストリン(サンデック#150、三和澱粉工業株式会社)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して試料を得た。得られた試料の硬さは27.9N、水分量は8.3%、官能検査は「×」であった。結果を表6に示す。
(比較例5)
実施例1において、おからパウダーを濃縮大豆たんぱく(ARCON S、日本新薬株式会社、配合量:2.4質量%)および水溶性食物繊維(ポリデキストロース、スターライトIII、株式会社光洋商会、配合量:2.5質量%)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して試料を得た。得られた試料の硬さは28.6N、水分量は9.9%、官能検査は「×」であった。結果を表6に示す。
(比較例6)
実施例1において、おからパウダーを濃縮大豆たんぱく(ARCON S、日本新薬株式会社、配合量:2.4質量%)および水溶性食物繊維(アラビアガム、アラビアガムA、伊那食品工業株式会社、配合量:2.7質量%)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して試料を得た。得られた試料の硬さは30.1N、水分量は8.6%、官能検査は「×」であった。結果を表6に示す。
(比較例7)
実施例1において、おからパウダーを濃縮大豆たんぱく(ARCON S、日本新薬株式会社、配合量:2.4質量%)および水溶性・不溶性混合食物繊維(寒天、伊那寒天S−7、伊那食品工業株式会社、配合量:2.7質量%)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して試料を得た。得られた試料の硬さは35.4N、水分量は8.3%、官能検査は「×」であった。結果を表6に示す。




















【0032】
【表4】























【0033】
【表5】















【0034】
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、有効成分であるイソロイシン、ロイシン、およびバリンの3種の分岐鎖アミノ酸に全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材、はちみつ、液糖、水あめ、還元水あめの少なくともいずれか1種類の糖質、および食物繊維を配合することにより、焼成後も適度な硬さを有し、肝性脳症を伴う慢性肝不全患者などの肝硬変患者のPEMを改善することができ、LESとしても使用でき、分岐鎖アミノ酸を有効成分とし、エネルギーも摂取できる焼物菓子形態の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に関するものであって、産業上十分に利用できるものである。