(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
イソロイシン、ロイシン、およびバリンからなる3種類の分岐鎖アミノ酸組成物と共に、糖質および脂質を含有する分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品であって; 分岐鎖アミノ酸の含有量が、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcal当り3.0〜5.0gであり; 全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材を分岐鎖アミノ酸1質量部に対して、0.5〜1.0質量部の割合で含有し; 高甘味度甘味料としてネオテームを分岐鎖アミノ酸1質量部に対して、0.00001〜0.0001質量部の割合で含有し; ココア風味素材である風味素材を更に含有し;且つ、焼菓子の形態をなしており、
風味素材としてココア風味素材が、ココア風味の呈味材および/またはココア風味の香料を含有し、ココア風味の呈味材の含有量が分岐鎖アミノ酸1質量部に対して0.1〜1.5質量部であり、ココア風味の香料の含有量が分岐鎖アミノ酸1質量部に対して0.001〜0.02質量部であることを特徴とする分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンという3種類の分岐鎖アミノ酸組成物を含有している。本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に含有されているイソロイシン、ロイシンおよびバリンは、いずれもL−アミノ酸であり、天然物から得られたものであってもよいし、合成により得られたものであってもよいし、または天然物から得られたものと合成により得られたものを併用してもよい。
【0015】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンからなる3種類の分岐鎖アミノ酸組成物を、当該3種類の分岐鎖アミノ酸の合計で、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcal当り、3.0〜5.0gの割合で含有しており、3.0〜4.5gの割合で含有していることが好ましく、3.5〜4.5gの割合で含有していることがより好ましい。分岐鎖アミノ酸の含有量が前記範囲であることによって、患者に必要な量の分岐鎖アミノ酸を供給することができる。分岐鎖アミノ酸の含有量が前記範囲よりも少ないと、患者に必要な量の分岐鎖アミノ酸を供給できにくくなり、一方分岐鎖アミノ酸の含有量が前記範囲よりも多いと、本発明によっても分岐鎖アミノ酸に起因する苦味をマスキングすることが困難になり、患者が継続して摂取しにくくなる。
ここで、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品のカロリー量は、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中に含まれる成分の種類および量に基づいて、五訂増補日本食品標準成分表に対応したエクセル栄養君Ver.4.5(株式会社建帛社)にしたがって算出したカロリー量をいう。
【0016】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品における、イソロイシンとロイシンとバリンの含有比率は、一般的には、イソロイシン:ロイシン:バリン=1:1.6〜2.4:0.8〜1.2の質量比であることが好ましく、1:1.8〜2.2:0.9〜1.1であることがより好ましい。
イソロイシン:ロイシン:バリンの含有比率を前記範囲にすることによって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中でのそれら3種類の分岐鎖アミノ酸組成物の含有比率が、人体を構成しているたんぱく質におけるイソロイシンとロイシンとバリンの比率に近い値となり、いずれかの分岐鎖アミノ酸が過度に多くなったり、過度に少なくなったりせずに、適切な量で供給することができる。
【0017】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中に含有させる全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材として、従来から知られている全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材を使用することができる。その具体例としては、全脂大豆を原料とする大豆素材として大豆粉などを使用することができ、脱脂大豆を原料とする大豆素材としておからパウダー、濃縮大豆たんぱく、大豆ふすまなどを使用することができる。なお、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンの3種類の分岐鎖アミノ酸を含むことから、これらの分岐鎖アミノ酸も本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcal当り、3.0〜5.0gの割合に含有される。
【0018】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中に含有させる高甘味度甘味料として、ネオテームを用いる。甘味の立ち上がりが遅れず、甘味の後引き感が少なくてキレのある甘味で違和感を与えず、さらにボディー感を付与できることから、本発明に含有される全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材、さらに後述する呈味料および/または香料とともに、本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中に含有される分岐鎖アミノ酸の苦味を効果的にマスキングすることができる。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中に含有させる糖質として、医薬、栄養剤、食品で従来から利用されている糖質のいずれもが使用でき、具体例としては、はちみつ、液糖、水あめ、または還元水あめの少なくともいずれか1種類が好ましい。また、ブドウ糖(グルコース)、乳糖(ラクトース)、果糖(フルクトース)などの単糖類、スクロース、トレハロース、マルトース、イソマルトースなどの二糖類、グリコーゲン、デキストリン、デンプン類(小麦デンプン、トウモロコシ澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉など)などの多糖類、小麦粉、ライ麦粉、米粉、トウモロコシ粉などの穀粉類、転化糖、オリゴ糖(フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、キシロオリゴ糖など)、粉飴、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、パラチニット、キシリトール、ラクチトールなど)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)など、これらの1種または2種以上を併用してもよい。
分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品における糖質の含有量は特に制限されず、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品をなす焼菓子の種類、糖質の種類、焼菓子を製造する際の作業性、工程性、取り扱い性などに応じて決めることができる。一般的には、糖質に基づくカロリー量が分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の全カロリー量の40〜65%、特に45〜60%であるように糖質を用いることが好ましい。
【0019】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中に含有させる脂質としては、食品で従来から使用されている脂質のいずれもが使用でき、具体例としては、アマニ油、エゴマ油、オリーブ油、ゴマ油、米油、米糠油、サフラワー油、シソ油、大豆油、コーン油、ナタネ油、胚芽油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油、綿実油、ヤシ油、ナッツ油、落花生油、カカオ脂、サラダ油などの植物油、ラード、牛脂、魚油、乳脂などの動物性油脂、中鎖脂肪酸、高度不飽和脂肪酸、DHA、EPA、ジアシルグリセロールなどの加工油脂、それらの油脂を含有するココア、マーガリン、ショートニングなどの油脂加工品などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品における脂質の含有量は特に制限されず、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品をなす焼菓子の種類、脂質の種類、焼菓子を製造する際の作業性、工程性、取り扱い性などに応じて決めることができる。一般的には、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の全カロリー量の20〜35%、特に25〜30%が脂質に基づくカロリーであるような量で脂質を用いることが好ましい。
【0020】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、ビタミンおよびミネラルの一方または両方を含有してもよいし、またはビタミンおよびミネラルを含有しなくてもよく、そのうちでもビタミンおよびミネラルの少なくとも一方を含有することが好ましく、ビタミンおよびミネラルの両方を含有することがより好ましい。
【0021】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品がビタミンを含有する場合は、ビタミンとして、医薬、栄養剤、栄養食品などで従来から用いられているビタミンのいずれもが使用でき、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。また、ビタミンとしてビタミン誘導体を用いてもよい。本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中には、複数のビタミンを組み合わせて含有させることが、各種ビタミン類を同時に摂取できることから好ましい。
【0022】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcal当り、各種ビタミン類を以下の割合で含有することが好ましい。
[分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcal当りのビタミン類の好ましい含有量]
ビタミンB1 :0.1〜40mg、特に0.1〜25mg
ビタミンB2 :0.1〜20mg、特に0.1〜12mg
ビタミンB6 :0.1〜60mg、特に0.1〜10mg
ビタミンB12:0.1〜100μg、特に0.20〜60μg
ナイアシン :1〜300mg、特に1.0〜60mg
パントテン酸 :0.1〜55mg、特に0.5〜30mg
葉酸 :10〜1000μg、特に20〜200μg
ビオチン :1〜1000μg、特に3〜500μg
ビタミンC :10〜2000mg、特に8〜1000mg
ビタミンA :0〜3000μg、特に60〜600μg
ビタミンD :0.1〜50μg、特に0.4〜5.0μg
ビタミンE :1〜800mg、特に0.7〜150mg
ビタミンK :0.5〜1000μg、特に2〜700μg
【0023】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品がミネラルを含有する場合は、ミネラルとして、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中には、複数のミネラルを組み合わせて含有させることが、複数のミネラルを同時に摂取できることから好ましい。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中には、ミネラルを、無機電解質物質の形態で含有させてもよいし、有機電解質物質の形態で含有させてもよいし、または無機電解質物質および有機電解質物質の両方の形態で含有させてもよい。
無機電解質物質として、例えば、塩酸、硫酸、炭酸、リン酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩などを挙げることができる。 有機電解質物質としては、例えば、クエン酸、乳酸、アミノ酸、アルギン酸、リンゴ酸、グルコン酸などの有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩などを挙げることができる。
【0024】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中には、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcal当り、ミネラルを以下の割合で含有させることが好ましい。
[分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcal当りのミネラルの好ましい含有量]
ナトリウム :5〜6000mg、特に10〜3500mg
カルシウム :10〜2300mg、特に60〜600mg
カリウム :1〜3500mg、特に15〜1800mg
マグネシウム:1〜740mg、特に25〜1800mg
リン :1〜2300mg、特に10〜1500mg
亜鉛 :0.1〜30mg、特に1〜15mg
【0025】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、分岐鎖アミノ酸に起因する苦味を消す(マスキングする)ために、ネオテームを含有する。
【0026】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、前記した全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材および高感度甘味料であるネオテームと共に、ココア風味素材、紅茶風味素材、およびシトラス風味素材から選ばれる風味素材を更に含有する。
前記大豆素材、および高感度甘味料、および風味素材を含有することで、分岐鎖アミノ酸に起因する苦味を十分にマスキングすることができる。上記大豆素材、高甘度甘味料、および風味素材のいずれか一方のみしか含有しない場合には、分岐鎖アミノ酸に起因する苦味を十分にマスキングすることはできない。
【0027】
ココア風味素材としては、ココア風味の呈味材およびココア風味の香料のいずれか一方を含有させてよいしまたは両方を含有させてもよく、ココア風味の呈味材とココア風味の香料の両方を含有させることが、分岐鎖アミノ酸に起因する苦味をマスキングする効果が高くなり、しかも分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の風味が良好になる点から好ましい。また、ココアの呈味とココアの風味の両方を兼ね備えるココア風味素材を用いてもよい。
分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中にココア風味素材としてココア風味の呈味材とココア風味の香料の両方を含有させる場合は、分岐鎖アミノ酸1質量部に対して、ココア風味の呈味材を0.1〜1.5質量部、特に0.1〜1.2質量部、およびココア風味の香料を0.001〜0.02質量部、特に0.002〜0.015質量部の割合で含有させることが、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材およびネオテームとの共働作用によって、分岐鎖アミノ酸に起因する苦味のマスキング効果が高くなり、しかも分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に良好なココア風味が付与されることから好ましい。
ここで、ココア風味の呈味材の好ましい例としては、ココアパウダーを挙げることができる。ココアパウダーとしては、例えば、ココアをリパーゼなどの酵素処理により風味を強化し、乳化剤、賦形剤などを加えて粉末化したものを市場から入手することができる。さらに、マスキング効果を高めるために、ココア風味以外の呈味素材、例えばオレンジピールなどを併用してもよい。
また、ココア風味の香料としては、例えば、非特許文献4の第276頁に記載されているココア風味の香料を用いることができ、またチョコレート香料等、市販のココア風味の香料を使用してもよい。さらに、マスキング効果を高めるために、ココア風味以外の香料、例えばバター風味の香料などを併用してもよい。
【0028】
シトラス風味素材としては、シトラス風味の呈味材およびシトラス風味の香料のいずれか一方を含有させてよいしまたは両方を含有させてもよく、シトラス風味の呈味材とシトラス風味の香料の両方を含有させることが、分岐鎖アミノ酸に起因する苦味をマスキングする効果が高くなり、しかも分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の風味が良好になる点から好ましい。
また、シトラスの呈味とシトラスの風味の両方を兼ね備えるシトラス風味素材を用いてもよい。
分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中にシトラス風味素材としてシトラス風味の呈味材とシトラス風味の香料の両方を含有させる場合は、分岐鎖アミノ酸1質量部に対して、シトラス風味の呈味材を0.1〜1.5質量部、特に0.1〜1.2質量部、およびシトラス風味の香料を0.001〜0.02質量部、特に0.002〜0.015質量部の割合で含有させることが、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材、ネオテームとの共働作用によって、分岐鎖アミノ酸に起因する苦味のマスキング効果が高くなり、しかも分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に良好なシトラス風味が付与されることから好ましい。
ここで、シトラス風味の呈味材の好ましい例としては、レモン、オレンジなどのシトラス(柑橘類)のペースト、粉末果汁などを挙げることができ、オレンジペーストが特に好ましく用いられる。レモン、オレンジなどのシトラスのペースト、粉末果汁は、市場で容易に入手することができる。さらに、マスキング効果を高めるために、シトラス風味以外の呈味素材、例えば発酵乳パウダーなどを併用してもよい。
また、シトラス風味の香料としては、例えば、非特許文献4の第88頁に記載されているシトラス風味の香料を用いることができ、また市販のシトラス風味の香料を使用してもよい。
【0029】
紅茶風味素材としては、紅茶風味の呈味材および紅茶風味の香料のいずれか一方を含有させてよいしまたは両方を含有させてもよく、紅茶風味の呈味材と紅茶風味の香料の両方を含有させることが、分岐鎖アミノ酸に起因する苦味のマスキング効果が高くなり、しかも分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の風味が良好になる点から好ましい。
また、紅茶の呈味と紅茶の風味の両方を兼ね備える紅茶風味素材を用いてもよい。
分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中に紅茶風味素材として紅茶風味の呈味材と紅茶風味の香料の両方を含有させる場合は、分岐鎖アミノ酸1質量部に対して、紅茶風味の呈味材を0.1〜1.5質量部、特に0.1〜1.2質量部、および紅茶風味の香料を0.001〜0.02質量部、特に0.002〜0.015質量部の割合で含有させることが、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材、高甘味度甘味料であるネオテームとの共働作用によって、分岐鎖アミノ酸に起因する苦味のマスキング効果が高くなり、しかも分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に良好な紅茶風味が付与されることから好ましい。
ここで、紅茶風味の呈味材の好ましい例としては、紅茶ペースト、紅茶エキスパウダー、紅茶茶葉などを挙げることができ、紅茶ペースト、紅茶エキスパウダー、紅茶茶葉などは市場から容易に入手することができる。
また、紅茶風味の香料としては、例えば、非特許文献4の第400頁に記載されている紅茶風味の香料を用いることができ、また市販の紅茶風味の香料を使用してもよい。
【0030】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、焼菓子の形態をなしている。
本発明でいう「焼菓子」とは、小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、大麦粉、ライ麦粉、そば粉、澱粉類などの穀粉類の1種または2種以上からなる穀粉に、必要に応じて他の成分を添加して生地をつくり、当該生地を切断および/または賦型した後に、加熱焼成して得られる菓子類を意味する。
【0031】
焼菓子形態をなす本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、水分含量が5〜15質量%、特に6〜12質量%であることが好ましい。水分含量が5質量%よりも少ないと、硬くなって食べにくくなる。一方、水分含量が15質量%を超えると、微生物が繁殖しやすくなるため、長期保存に適さなくなる。
焼菓子形態をなす本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の種類は、限定されるものではないが、具体例としては、クッキー、サブレ、ビスケット、ウエハース、パフパイ、ロシアケーキなどを挙げることができる。
【0032】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の形状、サイズ、重さなどは特に制限されるものでなく、喫食し易い形や形状であればいずれでもよく、一般的に分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品1個の重さが約10〜30g、特に10〜25g程度にしておくことが、喫食性、各種栄養成分の摂取量の調整容易性、携帯性などの点から好ましい。
また、本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品のカロリーとしては、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品1g当りのカロリーが3.2〜4.8kcal、特に3.6〜4.4kcalにしておくことが、カロリー摂取量の調整の容易性の点から好ましい。
【0033】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の製造方法は特に制限されず、焼菓子類の製造に当って従来から採用されている方法に準じて製造することができる。
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の製造に当っては、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品をなす焼菓子の種類などにより、必要に応じて、食塩、イースト、膨張剤、大豆たんぱくやその他の大豆製品、全卵液、全卵粉末、卵白液、卵白粉末などの卵類、牛乳、乳清タンパク、チーズなどの乳製品、食物繊維、レーズン、オレンジピール、干アンズなどの乾果、その他の材料を添加することができる。その際に、前記した膨張剤としては、食品業界で汎用されている、例えば、ベーキングパウダーやその他の炭酸水素ナトリウムに酸性剤を配合した膨張剤、炭酸水素アンモニウムや炭酸アンモニウムを主体とする膨張剤などを挙げることができる。
【0034】
焼菓子の形態をなす分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の製造に当っては、イソロイシン、ロイシン、およびバリンからなる3種類の分岐鎖アミノ酸組成物、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材、ネオテーム、ココア風味素材、紅茶風味素材、およびシトラス風味素材から選ばれる風味素材、小麦粉やその他の穀粉類、および必要に応じて他の材料や水を混合し、混練して生地をつくり、生地を喫食しやすい所定の形状およびサイズに賦型した後、加熱焼成する方法などを採用することができる。生地の賦型方法は特に制限されず、焼菓子の製造に従来から採用されているのと同様の方法で行なうことができ、例えば、麺棒、デポジター、圧延ローラーなどの機械を用いて生地を圧延した後に所定の形状およびサイズに型抜きする方法、生地を丸や花形などの口金を用いて絞り出し、それをワイヤーで所定の厚さに切り出す方法(ワイヤーカット法)、生地を比較的小さな丸型や偏平型の口金を用いて、移動しているベルト上に連続させて長く絞り出し、次いでナイフで所定のサイズにカットする方法(ルートプレス法)、多数の凹部を表面に形成した回転する型に生地を詰め込み、それをコンベアベルトの摩擦力によって剥がし取って成形するロータリーモルダー法、移動するステンシル型の入口側に生地を対流させ型とバンドの接触により生地漏れをシールしながら成型するステンシルモルダー法などを採用して、生地の賦型を行なうことができる。
【0035】
賦型した生地の加熱焼成は、生地の製造に使用した原料の種類、配合組成、賦型した生地のサイズ、形状、厚さ、製造しようとする焼菓子の種類などに応じて、焼菓子の製造において通常採用されているのと同様の条件を採用して行なうことができる。一般的には、約60〜250℃の範囲内の温度で約2〜60分間、好ましくは約130〜220℃の範囲内の温度で約8〜45分間加熱焼成することによって、焼菓子形態をなす本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得ることができる。加熱焼成のための加熱装置の種類は特に限定されず、水分含量が前記した5〜15質量%、好ましくは6〜12質量%の焼菓子を製造することのできる熱源であればいずれも採用でき、例えば、熱水または蒸気循環式の加熱装置、電気ヒーター、ガスオーブン、電子レンジなどのマイクロ波加熱装置、遠赤外線加熱装置、赤外線加熱装置などを使用することができる。
【0036】
前記のようにして得られる、本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、焼菓子の形態をなしていて、しかも当該食品中に配合された分岐鎖アミノ酸の苦味が全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材、ネオテーム、およびココア風味素材、紅茶風味素材、またはシトラス風味素材との共働によって分岐鎖アミノ酸に起因する苦味が十分に消失している(マスキングされている)ため、おやつ感覚で、楽しみながら継続して喫食することができる。
【実施例】
【0037】
以下に実験例、実施例などを挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、焼菓子の形態をなす分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の苦味のマスキング効果(苦味の有無)の評価は、10名の検査員が分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(焼菓子)を食して、「苦味を感じる」または「苦味を感じない」のいずれか一方で回答し、それらの人数に基づいて、下記の表1に示す基準にしたがって行なった。
また、焼菓子の形態をなす分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の食感の評価は、10名の検査員が分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(焼菓子)を食して、「食感が良い」または「食感が悪い」のいずれか一方で回答し、それらの人数に基づいて、下記の表2に示す基準にしたがって行なった。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
《実施例1》
(1) 下記の表3および4に示す原料を表3および4に示す配合量で用いて、以下の(2)に記載する手順で焼菓子形態の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を製造した。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
(2)マーガリン、チョコレート香料(CHOCOLATE 55−3516、ジボダンジャパン株式会社)、バター香料(バター OS CCA−166696)、マルトース(サンマルトS、株式会社林原)、ソルビトール(LTS−P 50M、三菱商事フードテック株式会社)、グァーガム加水分解物、オレンジピール(オレンジカット3ミリA、株式会社うめはら)、はちみつ(ユカタンハネー、朝翠養蜂販売株式会社)を4.8L容ステンレスボウルに入れ、ミキサー(KitchenAid 型式:KSM5、平面ビーター、株式会社エフ・エム・アイ)を用い、速度目盛り2で2分間ミキシングした。次に、凍結全卵(製菓用、キユーピータマゴ株式会社)、水、ネオテーム製剤(ネオテーム含量:2%、ミラスィー(登録商標)200、DSP五協フード&ケミカル株式会社)を加えて、速度目盛り2で2分間ミキシングした。さらに、天然ドロマイト、グルコン酸亜鉛、ビタミンミックス、ビタミンCを加えて、速度目盛り2で3分間ミキシングした後、イソロイシン、ロイシン、バリン(L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリン、いずれも協和発酵バイオ株式会社)、ココアパウダーを加えて、速度目盛り2で2分間ミキシングした.最後に、大豆粉(アルファプラスHS−600、日清オイリオグループ株式会社)、おからパウダー(おからパウダー、キッコーマンソイフーズ株式会社)、小麦粉を加えて、速度目盛り1で30秒間、速度目盛り2で30秒間ミキシングして分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品用生地を調製した。得られた生地を麺棒で8mm厚の均一な板状に伸ばし、幅21mm、長さ100mm、質量14gに成型した。その後、成型した生地をオーブンレンジ(品番:NE−M250、松下電器産業株式会社)で130℃、30分間焼成し、放冷後アルミ蒸着フィルムを用いて密封包装して、本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た。
イソロイシン:ロイシン:バリンの含有比率が1:2:1、分岐鎖アミノ酸1質量部に対して全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆粉が0.41質量部、分岐鎖アミノ酸1質量部に対して全脂大豆または脱脂大豆を原料とするおからパウダーが0.34質量部、分岐鎖アミノ酸1質量部に対するネオテームの含有量が0.00004質量部、分岐鎖アミノ酸1質量部に対するココアパウダーの含有量が0.22質量部、分岐鎖アミノ酸1質量部に対するチョコレート香料の含有量が0.006質量部である。
得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果および食感を前記した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表4に示すように「◎」および「◎」であった。
これにより得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品では、焼成後の質量は12g(熱量50kcal)、分岐鎖アミノ酸の含有量が100kcal当り4gであった。
【0044】
《実施例2》
(1) 実施例1において、ネオテーム製剤の配合量を1.4g(ネオテームの配合量:0.028g、分岐鎖アミノ酸1質量部に対するネオテームの配合量:0.00008質量部)、ココアパウダーの配合量を36g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対するココアパウダーの配合量:0.11質量部)、チョコレート香料の配合量を1g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対するチョコレート香料の配合量:0.003質量部)に変えた以外は、実施例1と全く同じに行なって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(クッキー)を製造した。
(2) 前記(1)で得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果および食感を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「○」および「◎」であった。
【0045】
《実施例3》
(1) 実施例1において、ネオテーム製剤の配合量を0.35g(ネオテームの配合量:0.007g、分岐鎖アミノ酸1質量部に対するネオテームの配合量:0.00002質量部)、ココアパウダーの配合量を144g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対するココアパウダーの配合量:0.43質量部)、チョコレート香料の配合量を4g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対するチョコレート香料の配合量:0.012質量部)に変えた以外は、実施例1と全く同じに行なって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(クッキー)を製造した。
(2) 前記(1)で得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果および食感を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「◎」および「◎」であった。
【0046】
《比較例1》
(1) 実施例1において、大豆粉138gの代りに、乳清たんぱく(Lacprodan DI−9224、アーラフーズイングレディエンツジャパン株式会社)69g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対する乳清たんぱくの配合量:0.21質量部)、大豆食物繊維(FIBRIM(登録商標) 2000IP、デュポン株式会社)20g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対する大豆食物繊維の配合量:0.06質量部)を用いた以外は、実施例1と全く同じに行なって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(クッキー)を製造した。
(2) 前記(1)で得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「×」および「×」であった。
【0047】
《比較例2》
(1) 実施例1においてネオテーム製剤0.7gの代りに、スクラロース製剤(スクラロース30%含有、サンスイート(登録商標) SU−200、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)0.047g(スクラロースの配合量:0.014g、分岐鎖アミノ酸1質量部に対するスクラロースの配合量:0.00004質量部)を用いた以外は、実施例1と全く同じに行なって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(クッキー)を製造した。
(2) 前記(1)で得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「×」および「×」であった。
【0048】
《比較例3》
(1) 実施例1においてネオテーム製剤0.7gの代りに、アセスルファムカリウム(サネット(登録商標)、キリン協和フーズ株式会社)0.014g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対するアセスルファムカリウムの配合量:0.0004質量部)を用いた以外は、実施例1と全く同じに行なって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(クッキー)を製造した。
(2) 前記(1)で得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「×」および「×」であった。
【0049】
前記の実施例1〜3および比較例1〜3の配合量および官能評価結果を表にまとめると、下記の表5、6および7に示すとおりである。
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】
【表7】
【0053】
前記の表7の結果から、イソロイシン、ロイシンおよびバリンからなる3種類の分岐鎖アミノ酸組成物と共に、糖質、脂質、ビタミンおよびミネラルを含有する分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品であって、分岐鎖アミノ酸の含有量が、分岐鎖アミノ酸の含有量が、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcal当り3.0〜5.0gであり、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材を分岐鎖アミノ酸1質量部に対して、0.5〜1.0質量部の割合で含有し、高甘味度甘味料としてネオテームを分岐鎖アミノ酸1質量部に対して、0.00001〜0.0001質量部の割合で含有し; ココア風味素材且つ、焼菓子形態の実施例1〜3の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、苦味のマスキング効果に優れていて分岐鎖アミノ酸に起因する苦味がなく、通常の焼菓子を喫食する感覚で、美味しさを味わいながら、継続して摂取することができる。
【0054】
それに対して、比較例1の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は乳清たんぱくを含有しているため、比較例2の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は高甘味度甘味料としてスクラロースを配合しているため、比較例3の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は高甘味度甘味料としてアセスルファムカリウムを配合しているため、苦味のマスキング効果に劣っていて苦味があり、食感も悪いため、継続して摂取しにくい。
【0055】
《実施例4》
(1) 表4および下記の表8に示す原料を表4および8に示す配合量で用いて、以下の(2)に記載する手順で焼菓子形態の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(シトラス風味)を製造した。
【0056】
【表8】
【0057】
(2) マーガリン、オレンジ香料(オレンジオイル V−88692、有限会社ベスタユニオン)、オレンジペースト、マルトース(サンマルトS、株式会社林原)、ソルビトール(LTS−P 50M、三菱商事フードテック株式会社)、グァーガム加水分解物、(オレンジカット3ミリA、株式会社うめはら)、はちみつ(ユカタンハネー、朝翠養蜂販売株式会社)を4.8L容ステンレスボウルに入れ、ミキサー(KitchenAid 型式:KSM5、平面ビーター、株式会社エフ・エム・アイ)を用い、速度目盛り2で2分間ミキシングした。次に、凍結全卵(製菓用、キユーピータマゴ株式会社)、水、ネオテーム製剤(ネオテーム含量:2%、ミラスィー(登録商標)200、DSP五協フード&ケミカル株式会社)を加えて、速度目盛り2で2分間ミキシングした。さらに、天然ドロマイト、グルコン酸亜鉛、ビタミンミックス、ビタミンCを加えて、速度目盛り2で3分間ミキシングした後、イソロイシン、ロイシン、バリン(L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリン、いずれも協和発酵バイオ株式会社)を加えて、速度目盛り2で2分間ミキシングした。最後に、大豆粉(アルファプラスHS−600、日清オイリオグループ株式会社)、おからパウダー(おからパウダー、キッコーマンソイフーズ株式会社)、小麦粉を加えて、速度目盛り1で30秒間、速度目盛り2で30秒間ミキシングして分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品用生地を調製した。得られた生地を麺棒で8mm厚の均一な板状に伸ばし、幅21mm、長さ100mm、質量14gに成型した。その後、成型した生地をオーブンレンジ(品番:NE−M250、松下電器産業株式会社)で130℃、30分間焼成した。
これにより得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品では、焼成後の質量は12g(熱量50kcal)、分岐鎖アミノ酸の含有量が100kcal当り4g、イソロイシン:ロイシン:バリンの含有比率が1:2:1、分岐鎖アミノ酸1質量部に対して全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆粉が0.41質量部、分岐鎖アミノ酸1質量部に対して全脂大豆または脱脂大豆を原料とするおからパウダーが0.34質量部、分岐鎖アミノ酸1質量部に対するネオテームの含有量が0.0004質量部、分岐鎖アミノ酸1質量部に対するオレンジペーストの含有量が0.06質量部、分岐鎖アミノ酸1質量部に対するオレンジピールの含有量が0.55質量部、分岐鎖アミノ酸1質量部に対するオレンジ香料の含有量が0.006質量部である。
得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果および食感を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「◎」および「◎」であった。
【0058】
《実施例5》
(1)実施例4において、ネオテーム製剤の配合量を1.4g(ネオテームの配合量:0.028g、分岐鎖アミノ酸1質量部に対するネオテームの配合量:0.00008質量部)、オレンジペーストの配合量を11g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対するオレンジペーストの配合量:0.03質量部)、オレンジピールの配合量を91g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対するオレンジピールの配合量:0.27質量部)に変え、オレンジ香料の配合量を1g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対するオレンジ香料の配合量:0.003質量部)に変えた以外は、実施例1と全く同じに行なって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(クッキー)を製造した。
(2) 前記(1)で得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果および食感を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「○」および「◎」であった。
【0059】
《実施例6》
(1) 実施例4において、ネオテーム製剤の配合量を0.35g(ネオテームの配合量:0.007g、分岐鎖アミノ酸1質量部に対するネオテームの配合量:0.00002質量部)、オレンジペーストの配合量を42g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対するオレンジペーストの配合量:0.13質量部)、オレンジピールの配合量を273g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対するオレンジピールの配合量:0.82質量部)、オレンジ香料の配合量を4g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対するオレンジ香料:0.012質量部)に変えた以外は、実施例1と全く同じに行なって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(クッキー)を製造した。
(2) 前記(1)で得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果および食感を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「◎」および「◎」であった。
【0060】
《比較例4》
(1) 実施例1において、ネオテームを配合しなかった以外は、実施例4と全く同じに行なって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(クッキー)を製造した。
(2) 前記(1)で得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果および食感を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「×」および「×」であった。
【0061】
《比較例5》
(1) 実施例1において、オレンジペースト、オレンジピール、およびオレンジ香料を配合しなかった以外は、実施例4と全く同じに行なって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(クッキー)を製造した。
(2) 前記(1)で得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果および食感を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「×」および「×」であった。
【0062】
《比較例6》
(1) 実施例4においてネオテーム製剤0.7gの代りに、スクラロース製剤(スクラロース30%含有、サンスイート(登録商標) SU−200、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)0.047g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対するスクラロースの配合量:0.0004質量部)を用いた以外は、実施例1と全く同じに行なって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(クッキー)を製造した。
(2) 前記(1)で得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果および食感を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「×」および「×」であった。
前記の実施例4〜6および比較例4〜6の配合量および官能評価結果を表にまとめると、下記の表9、10および11に示すとおりである。
【0063】
【表9】
【0064】
【表10】
【0065】
【表11】
【0066】
前記の表11の結果から、イソロイシン、ロイシンおよびバリンからなる3種類の分岐鎖アミノ酸組成物と共に、糖質、脂質、ビタミンおよびミネラルを含有する分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品であって、分岐鎖アミノ酸の含有量が、分岐鎖アミノ酸の含有量が、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcal当り3.0〜5.0gであり、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材を分岐鎖アミノ酸1質量部に対して、0.5〜1.0質量部の割合で含有し、高甘味度甘味料としてネオテームを分岐鎖アミノ酸1質量部に対して、0.00001〜0.0001質量部の割合で含有し; シトラス風味素材且つ、焼菓子形態の実施例1〜3の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、苦味のマスキング効果に優れていて分岐鎖アミノ酸に起因する苦味がなく、通常の焼菓子を喫食する感覚で、美味しさを味わいながら、継続して摂取することができる。
【0067】
それに対して、比較例4の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は高甘味度甘味料としてネオテームを配合していないため、比較例5の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品はシトラス風味素材を配合していないため、比較例6は高甘味度甘味料としてスクラロースを配合しているため、苦味のマスキング効果に劣っていて苦味があり、食感も悪いため、継続して摂取しにくい。
【0068】
《実施例7》
(1) 表4および下記の表12に示す原料を表4および12に示す配合量で用いて、以下の(2)に記載する手順で焼菓子形態の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を製造した。
【0069】
【表12】
【0070】
(2) マーガリン、紅茶ペースト(アールグレイペースト TH、株式会社ミヤコ香商)、マルトース(サンマルトS、株式会社林原)、ソルビトール(LTS−P 50M、三菱商事フードテック株式会社)グァーガム加水分解物、(オレンジカット3ミリA、株式会社うめはら)、はちみつ(ユカタンハネー、朝翠養蜂販売株式会社)を4.8L容ステンレスボウルに入れ、ミキサー(KitchenAid 型式:KSM5、平面ビーター、株式会社エフ・エム・アイ)を用い、速度目盛り2で2分間ミキシングした。次に、紅茶エキス(紅茶エキスダージリン、三井農林株式会社)、凍結全卵(製菓用、キユーピータマゴ株式会社)、ネオテーム製剤(ネオテーム含量:2%、ミラスィー(登録商標)200、DSP五協フード&ケミカル株式会社)を加えて、速度目盛り2で2分間ミキシングした。さらに、天然ドロマイト、グルコン酸亜鉛、ビタミンミックス、ビタミンCを加えて、速度目盛り2で3分間ミキシングした後、イソロイシン、ロイシン、バリン(L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリン、いずれも協和発酵バイオ株式会社)を加えて、速度目盛り2で2分間ミキシングした。最後に、大豆粉(アルファプラスHS−600、日清オイリオグループ株式会社)、おからパウダー(おからパウダー、キッコーマンソイフーズ株式会社)、小麦粉を加えて、速度目盛り1で30秒間、速度目盛り2で30秒間ミキシングして分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品用生地を調製した。得られた生地を麺棒で8mm厚の均一な板状に伸ばし、幅21mm、長さ100mm、質量14gに成型した。その後、成型した生地をオーブンレンジ(品番:NE−M250、松下電器産業株式会社)で130℃、30分間焼成した。
これにより得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品では、焼成後の質量は12g(熱量50kcal)、分岐鎖アミノ酸の含有量が100kcal当り4g、イソロイシン:ロイシン:バリンの含有比率が1:2:1、分岐鎖アミノ酸1質量部に対して全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆粉が0.41質量部、分岐鎖アミノ酸1質量部に対して全脂大豆または脱脂大豆を原料とするおからパウダーが0.34質量部、分岐鎖アミノ酸1質量部に対するネオテームの含有量が0.0004質量部、分岐鎖アミノ酸1質量部に対する紅茶ペーストの含有量が0.18質量部である。
得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果および食感を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「◎」および「◎」であった。
【0071】
《実施例8》
(1) 実施例7において、ネオテーム製剤の配合量を1.4g(ネオテームの配合量:0.028g、分岐鎖アミノ酸1質量部に対するネオテームの配合量:0.00008質量部)、紅茶ペーストの配合量を30g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対して0.09質量部)、紅茶エキスの配合量を45g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対して0.14質量部)に変えた以外は、実施例7と全く同じに行なって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(クッキー)を製造した。
(2) 前記(1)で得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果および食感を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「○」および「◎」であった。
【0072】
《実施例9》
(1) 実施例7において、ネオテーム製剤の配合量を0.35g(ネオテームの配合量:0.007g、分岐鎖アミノ酸1質量部に対するネオテームの配合量:0.00002質量部)、紅茶ペーストの配合量を120g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対して0.36質量部)、紅茶エキスの配合量を180g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対して0.54質量部)に変え、紅茶香料(小川香料株式会社「EL29719」)を2g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対して0.006質量部)を追加した以外は、実施例7と全く同じに行なって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(クッキー)を製造した。
(2) 前記(1)で得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果および食感を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「◎」および「◎」であった。
【0073】
《比較例7》
(1) 実施例1において、大豆粉138gの代りに、カゼイン(カゼインカルシウムS、日本新薬株式会社)66g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対するカゼインの配合量:して0.21質量部)、大豆食物繊維(FIBRIM(登録商標) 2000IP、デュポン株式会社)20g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対する大豆食物繊維の配合量:して0.06質量部)を用い、紅茶香料(小川香料株式会社「EL29719」)を2g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対する紅茶香料の配合量:0.006質量部)を追加した以外は、実施例1と全く同じに行なって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(クッキー)を製造した。
(2) 前記(1)で得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果および食感を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「×」および「×」であった。
【0074】
《比較例8》
(1) 実施例7において、ネオテームを配合しなかった以外は、実施例1と全く同じに行なって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(クッキー)を製造した。
(2) 前記(1)で得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果および食感を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「×」および「×」であった。
【0075】
《比較例9》
(1) 実施例7においてネオテーム製剤0.7gの代りに、アセスルファムカリウム(サネット(登録商標)、キリン協和フーズ株式会社)0.014g(分岐鎖アミノ酸1質量部に対するアセスルファムカリウムの配合量:0.00004質量部)を用いた以外は、実施例1と全く同じに行なって、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品(クッキー)を製造した。
(2) 前記(1)で得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を10名の検査員が食して、苦味のマスキング効果および食感を前記した評価基準にしたがって評価したところ、「×」および「×」であった。
【0076】
前記の実施例7〜9および比較例7〜9を表にまとめると、下記の表13,14および15に示すとおりである。
【0077】
【表13】
【0078】
【表14】
【0079】
【表15】
【0080】
前記の表15の結果から、イソロイシン、ロイシン、およびバリンからなる3種類の分岐鎖アミノ酸組成物と共に、糖質、脂質、ビタミン、およびミネラルを含有する分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品であって、分岐鎖アミノ酸の含有量が、分岐鎖アミノ酸の含有量が、分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcal当り3.0〜5.0gであり、全脂大豆または脱脂大豆を原料とする大豆素材を分岐鎖アミノ酸1質量部に対して、0.5〜1.0質量部の割合で含有し、高甘味度甘味料としてネオテームを分岐鎖アミノ酸1質量部に対して、0.00001〜0.0001質量部の割合で含有し、紅茶風味素材且つ、焼菓子形態の実施例7〜9の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は、苦味のマスキング効果に優れていて分岐鎖アミノ酸に起因する苦味がなく、通常の焼菓子を喫食する感覚で、美味しさを味わいながら、継続して摂取することができる。
【0081】
それに対して、比較例7の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は乳清たんぱくを含有しているため、比較例8の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品はネオテームを配合していないため、比較例9の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は高甘味度甘味料としてアセスルファムカリウムを配合しているため、苦味のマスキング効果に劣っていて、苦味があり、継続して摂取しにくい。