【実施例】
【0024】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0025】
第1実施例・・・
図1は、本発明の第1実施例に係る製造方法の実施に用いる金型11の断面を示している。この金型11は、プレート状のインサート部品(例えば燃料電池用セパレータ)101の厚み方向一方の面(図では上面)に熱硬化性の成形材料(液状ゴム)よりなるガスケット(図示せず)を一体成形した燃料電池用セルシール(片面ガスケット)を製造するものであって、上型(第1型)12、中型(第2型)13および下型(第3型)14の組み合わせよりなり、スプル15、ランナー16、ゲート17およびキャビティ18を備え、更にキャビティ18から通じるエアベント孔19と、エアベント孔19から通じるとともに金型外部へ通じる材料排出路20とを備えている。したがって金型11は、成形材料をゲート17からキャビティ18へ注入するとともに、注入した一部の成形材料をキャビティ18からエアベント孔19へ排出し、更にエアベント孔19から材料排出路20を介して金型外部へ排出する構造を備えている。尚、ガスケットおよびこれを成形するためのキャビティ18は平面長方形のフレーム状であるため、ゲート17からキャビティ18に注入された成形材料は左右両方向へ分岐して流れ、略180度対称の合流位置で合流する。したがってこの合流位置にエアベント孔19が設けられている。
【0026】
中型13は、断熱部21を備え、この断熱部21によって、その上方のコールドランナー部22と下方のホットランナー部23に分けられている。したがってコールドランナー部22と上型12はコールドランナー型とされて、ここにスプル15、ランナー16、ゲート17、エアベント孔19および材料排出路20が配置されるとともに、ホットランナー部23と下型14はホットランナー型とされ、ここにキャビティ18が配置されている。
【0027】
また、ゲート17を機械的に開閉するゲート側バルブ24が上型12および中型13に設けられるとともに、エアベント孔19を機械的に開閉する排出側バルブ25が同じく上型12および中型13に設けられている。
【0028】
上記構成の金型11を用いて燃料電池用セルシールを製造するに際しては、
インサート部品101をセットして型締めした後、図示するようにゲート側バルブ24および排出側バルブ25を共に開いた状態とし、この状態で射出装置(図示せず)から所定の射出圧力をもって金型11へ成形材料を射出する。射出された成形材料は、スプル15およびランナー16を経由してゲート17からキャビティ18へ注入され、また注入された一部の成形材料はキャビティ18からエアベント孔19へ排出される。
【0029】
次いで
図2に示すように、ゲート側バルブ24および排出側バルブ25を共に閉じる。両バルブ24,25を閉じるタイミングは同時で良いが、少々の時間差を設定しても良く、すなわち排出側バルブ25を閉じてからゲート側バルブ24を閉じるようにしても良く、反対にゲート側バルブ24を閉じてから排出側バルブ25を閉じるようにしても良い。いずれにしても両バルブ24,25を閉じることによりキャビティ18内は適正な圧力に保圧される。
【0030】
次いで、両バルブ24,25を閉じた状態で、加熱機構(図示せず)にてキャビティ18を加熱し、キャビティ18内の成形材料を熱硬化させる。熱硬化するのは、ホットランナー型に配置されたキャビティ18内の成形材料であって、コールドランナー型に配置されたスプル15、ランナー16、ゲート17およびエアベント孔19内の成形材料は加熱されないため、熱硬化せず未硬化のままとされる。したがってスプル15、ランナー16およびゲート17内の成形材料は次回の成形に利用され、エアベント孔19内の成形材料は吸引装置等にて回収され後の成形に利用される。
【0031】
第2実施例・・・
図3は、本発明の第2実施例に係る製造方法の実施に用いる金型11の断面を示している。この金型11は、プレート状のインサート部品(例えば燃料電池用セパレータ)101の厚み方向両側の面にそれぞれ熱硬化性の成形材料(液状ゴム)よりなるガスケット(図示せず)を一体成形した燃料電池用セルシール(両面ガスケット)を製造するものであって、上型(第1型)12、中型(第2型)13および下型(第3型)14の組み合わせよりなり、スプル15、ランナー16、ゲート17、一方のガスケットを成形する第1キャビティ18A、および他方のガスケットを成形する第2キャビティ18Bを備え、更に第1キャビティ18Aから通じるエアベント孔19と、エアベント孔19から通じるとともに金型外部へ通じる材料排出路20とを備えている。ゲート17は第1キャビティ18Aに通じている。
【0032】
また、インサート部品101の厚み方向一方の面に成形されるガスケットと他方の面に成形されるガスケットは互いに平面上同一形状であって同一位置に設定されているので、第1および第2キャビティ18A,18Bも平面上同一形状であって同一位置に設定され、このため第1および第2キャビティ18A,18Bをゲート17の直下位置または近傍位置で連通するための第1連通孔102がインサート部品101を厚み方向に貫通するように設けられるとともに、第1および第2キャビティ18A,18Bをエアベント孔19の直下位置または近傍位置で連通するための第2連通孔103がインサート部品101を厚み方向に貫通するように設けられている。
【0033】
したがって金型11は、成形材料をゲート17から第1キャビティ18Aへ注入するとともに、注入した一部の成形材料を第1キャビティ18Aからエアベント孔19へ排出し、更にエアベント孔19から材料排出路20を介して金型外部へ排出する構造と、成形材料をゲート19から第1キャビティ18Aおよび第1連通孔102を経由して第2キャビティ18Bへ注入するとともに、注入した一部の成形材料を第2キャビティ18Bから第2連通孔103および第1キャビティ18Aを経由してエアベント孔19へ排出し、更にエアベント孔19から材料排出路20を介して金型外部へ排出する構造とを併せ備えている。
【0034】
尚、ガスケットおよびこれを成形するための第1および第2キャビティ18A,18Bは平面長方形のフレーム状であるため、ゲート17から第1および第2キャビティ18A,18Bに注入された成形材料は左右両方向へ分岐して流れ、略180度対称の合流位置で合流する。したがってこの合流位置にエアベント孔19が設けられている。
【0035】
中型13は、断熱部(図示せず)を備え、この断熱部によって、その上方のコールドランナー部22と下方のホットランナー部23に分けられている。したがってコールドランナー部22と上型12はコールドランナー型とされて、ここにスプル15、ランナー16、ゲート17、エアベント孔19および材料排出路20が配置されるとともに、ホットランナー部23と下型14はホットランナー型とされ、ここに第1および第2キャビティ18A,18Bが配置されている。
【0036】
また、ゲート17を機械的に開閉するゲート側バルブ24が上型12および中型13に設けられるとともに、エアベント孔19を機械的に開閉する排出側バルブ25が同じく上型12および中型13に設けられている。
【0037】
上記構成の金型11を用いて燃料電池用セルシールを製造するに際しては、インサート部品101をセットして型締めした後、図示するようにゲート側バルブ24および排出側バルブ25を共に開いた状態とし、この状態で射出装置(図示せず)から所定の射出圧力をもって金型11へ成形材料を射出する。射出された成形材料は、スプル15およびランナー16を経由してゲート17から第1キャビティ18Aへ注入され、注入された一部の成形材料は第1キャビティ18Aからエアベント孔19へ排出される。また、ゲート17から第1キャビティ18Aおよび第1連通孔102を経由して第2キャビティ18Bへ注入され、注入された一部の成形材料は第2キャビティ18Bから第2連通孔103および第1キャビティ18Aを経由してエアベント孔19へ排出される。
【0038】
次いで、ゲート側バルブ24および排出側バルブ25を共に閉じる。両バルブ24,25を閉じるタイミングは同時で良いが、少々の時間差を設定しても良く、すなわち排出側バルブ25を閉じてからゲート側バルブ24を閉じるようにしても良く、反対にゲート側バルブ24を閉じてから排出側バルブ25を閉じるようにしても良い。いずれにしても両バルブ24,25を閉じることにより第1および第2キャビティ18A,18B内は適正な圧力に保圧される。
【0039】
次いで、両バルブ24,25を閉じた状態で、加熱機構(図示せず)にて第1および第2キャビティ18A,18Bを加熱して第1および第2キャビティ18A,18B内の成形材料を熱硬化させる。熱硬化するのは、ホットランナー型に配置された第1および第2キャビティ18A,18B内の成形材料であって、コールドランナー型に配置されたスプル15、ランナー16、ゲート17およびエアベント孔19内の成形材料は加熱されないため、熱硬化せず未硬化のままとされる。したがってスプル15、ランナー16およびゲート17内の成形材料は次回の成形に利用され、エアベント孔19内の成形材料は吸引装置等にて回収され後の成形に利用される。
【0040】
第3実施例・・・
図4は、本発明の第3実施例に係る製造方法の実施に用いる金型11の断面を示している。この金型11は、プレート状のインサート部品(例えば燃料電池用セパレータ)101の厚み方向両側の面にそれぞれ熱硬化性の成形材料(液状ゴム)よりなるガスケット(図示せず)を一体成形した燃料電池用セルシール(両面ガスケット)を製造するものであって、上型(第1型)12、中型(第2型)13および下型(第3型)14の組み合わせよりなり、スプル15、ランナー16、ゲート17、一方のガスケットを成形する第1キャビティ18A、および他方のガスケットを成形する第2キャビティ18Bを備え、更に第1キャビティ18Aから通じる第1エアベント孔19Aと、第1エアベント孔19Aから通じるとともに金型外部へ通じる材料排出路20と、第2キャビティ18Bから後記する第2連通孔103を経由して通じるとともに材料排出路20へ通じる第2エアベント孔19Bとを備えている。ゲート17は第1キャビティ18Aに通じている。ゲート17ならびに第1および第2エアベント孔19A,19Bはインサート部品101から見て第1キャビティ18A側に並べで設けられ、具体的には中型13に並べて設けられている。
【0041】
また、インサート部品101の厚み方向一方の面に成形されるガスケットと他方の面に成形されるガスケットは互いに平面上異なる形状とされるとともに平面上の位置についても一部のみが同一とされているので、第1および第2キャビティ18A,18Bも平面上異なる形状であって平面上の位置についても一部のみが同一とされ、このため第1および第2キャビティ18A,18Bをゲート17の直下位置または近傍位置で連通するための第1連通孔102がインサート部品101を厚み方向に貫通するように設けられるとともに、第2キャビティ18Bおよび第2エアベント孔19Bを連通するための第2連通孔103がインサート部品101を厚み方向に貫通するように設けられている。
【0042】
したがって金型11は、成形材料をゲート17から第1キャビティ18Aへ注入するとともに、注入した一部の成形材料を第1キャビティ18Aから第1エアベント孔19Aへ排出し、更に第1エアベント孔19Aから材料排出路20を介して金型外部へ排出する構造と、成形材料をゲート19から第1キャビティ18Aおよび第1連通孔102を経由して第2キャビティ18Bへ注入するとともに、注入した一部の成形材料を第2キャビティ18Bから第2連通孔103を経由して第2エアベント孔19Bへ排出し、更に第2エアベント孔19Bから材料排出路20を介して金型外部へ排出する構造とを併せ備えている。
【0043】
尚、ガスケットおよびこれを成形するための第1および第2キャビティ18A,18Bは平面長方形のフレーム状であるため、ゲート17から第1および第2キャビティ18A,18Bに注入された成形材料は左右両方向へ分岐して流れ、略180度対称の合流位置で合流する。したがってこの合流位置に第1および第2エアベント孔19A,19Bが設けられている。
【0044】
中型13は、断熱部(図示せず)を備え、この断熱部によって、その上方のコールドランナー部22と下方のホットランナー部23に分けられている。したがってコールドランナー部22と上型12はコールドランナー型とされて、ここにスプル15、ランナー16、ゲート17、第1および第2エアベント孔19A,19Bならびに材料排出路20が配置されるとともに、ホットランナー部23と下型14はホットランナー型とされ、ここに第1および第2キャビティ18A,18Bが配置されている。
【0045】
また、ゲート17を機械的に開閉するゲート側バルブ24が上型12および中型13に設けられるとともに、第1エアベント孔19Aを機械的に開閉する第1排出側バルブ25Aが同じく上型12および中型13に設けられ、更に第2エアベント孔19Bを機械的に開閉する第2排出側バルブ25Bが同じく上型12および中型13に設けられている。
【0046】
上記構成の金型11を用いて燃料電池用セルシールを製造するに際しては、インサート部品101をセットして型締めした後、図示するようにゲート側バルブ24ならびに第1および第2排出側バルブ25A,25Bをいずれも開いた状態とし、この状態で射出装置(図示せず)から所定の射出圧力をもって金型11へ成形材料を射出する。射出された成形材料は、スプル15およびランナー16を経由してゲート17から第1キャビティ18Aへ注入され、注入された一部の成形材料は第1キャビティ18Aから第1エアベント孔19Aへ排出される。また、ゲート17から第1キャビティ18Aおよび第1連通孔102を経由して第2キャビティ18Bへ注入され、注入された一部の成形材料は第2キャビティ18Bから第2連通孔103を経由して第2エアベント孔19Bへ排出される。
【0047】
次いで、ゲート側バルブ24ならびに第1および第2排出側バルブ25A,25Bをいずれも閉じる。ゲート側バルブ24を閉じるタイミングと第1および第2排出側バルブ25A,25Bを閉じるタイミングは同時で良いが、少々の時間差を設定しても良く、すなわち排出第1および第2排出側バルブ25A,25Bを閉じてからゲート側バルブ24を閉じるようにしても良く、反対にゲート側バルブ24を閉じてから第1および第2排出側バルブ25A,25Bを閉じるようにしても良い。いずれにしても各バルブ24,25A,25Bを閉じることにより第1および第2キャビティ18A,18B内は適正な圧力に保圧される。
【0048】
次いで、各バルブ24,25A,25Bを閉じた状態で、加熱機構(図示せず)にて第1および第2キャビティ18A,18Bを加熱して第1および第2キャビティ18A,18B内の成形材料を熱硬化させる。熱硬化するのは、ホットランナー型に配置された第1および第2キャビティ18A,18B内の成形材料であって、コールドランナー型に配置されたスプル15、ランナー16、ゲート17ならびに第1および第2排出側バルブ25A,25B内の成形材料は加熱されないため、熱硬化せず未硬化のままとされる。したがってスプル15、ランナー16およびゲート17内の成形材料は次回の成形に利用され、第1および第2エアベント孔19A,19B内の成形材料は吸引装置等にて回収され後の成形に利用される。
【0049】
尚、上記第3実施例のようにインサート部品101の厚み方向一方の面に成形されるガスケットと他方の面に成形されるガスケットが互いに平面上異なる形状の場合には、比較例として
図7に示すように、第1および第2エアベント孔19A,19Bをインサート部品101の厚み方向両側に配置することが考えられるが、このような配置にすると、インサート部品101の厚み方向両側にそれぞれコールドランナー部22A,22Bを設定する必要が生じ、金型11の構造が大型化し複雑となる。これに対し上記第3実施例によれば、ゲート17を含めて第1および第2エアベント孔19A,19Bがインサート部品101の第1キャビティ18A側に並べで設けられているため、金型11の構造が大型化し複雑となるのを抑制することができる。