【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、以下に詳細に記載されるように本発明により達成される。
【0011】
本発明は、植物における種子収量を増加させる方法であって、植物の細胞における内因性AHP6遺伝子の破壊を含み、前記破壊が、このような破壊を欠く対応する対照植物に比べて、前記内因性AHP6遺伝子の産物の発現および/または活性を阻害する方法に関する。
【0012】
驚くべきことに、植物においてAHP6遺伝子の破壊は、このような破壊を欠く植物の種子収量より高い種子収量を有する植物をもたらすことが見出された。AHP6の単独破壊が種子収量の大幅な増加を既にもたらすのに対し、少なくとも1つのCKX遺伝子と一緒のAHP6の同時破壊は、野生型およびCKX遺伝子の単独破壊に比べて種子収量のさらなる著しい増加をもたらす。種子収量のほとんどの大幅な増加は、AHP6、CKX3およびCKX5の同時破壊に対して観察された。さらにより驚くべきことに、AHP6および少なくとも1つのCKX遺伝子の同時安定破壊は、生産性がさらにより向上した植物をもたらすことが見出された。サイトカイニン状態(cytokinin status)が増加した植物における内因性AHP6遺伝子の破壊は、特に効果があるようである。サイトカイニン状態の増加は、植物が、サイトカイニン量の増加の存在に通常関連する表現型を示す場合に観察される。このような増加したサイトカイニン状態は、植物の少なくとも1つの内因性CKX遺伝子と一緒のAHP6の同時破壊、例えば少なくとも2つの異なる内因性CKX遺伝子と一緒のAHP6の同時破壊の結果であってもよい。しかし、増加したサイトカイニン状態はまた、例えばサイトカイニンの合成に関与する遺伝子における変異(mutation)もしくはサイトカイニン受容体における変異などの他の変更または操作の結果でもあってもよい。別の選択肢は、化学的化合物の投与により植物のサイトカイニン状態に影響を与えることである。増加したサイトカイニン状態をもたらす公知の化合物がある。
【0013】
第1の態様において、本発明は、植物における種子収量を増加させる方法であって、植物の細胞における内因性AHP6遺伝子の破壊を含み、前記破壊が、このような破壊を欠く対応する対照植物に比べて、前記内因性AHP6遺伝子の産物の発現および/または活性を阻害する方法に関する。
【0014】
第2の態様において、本発明は、植物およびこれに由来する子孫における種子収量を増加させるため、ならびに/または種子収量が増加した非自然発生植物の作製のための本発明の方法の使用に言及する。
【0015】
第3の態様において、本発明は、内因性AHP6遺伝子における破壊および少なくとも1つの内因性CKX遺伝子における破壊を含む非自然発生植物を提供する。
【0016】
本発明はまた、本発明の方法の1つにより単離された植物細胞、または本発明の方法の1つにより得ることができるもしくは得られた非自然発生植物にも関する。
【0017】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。本発明の記載および請求において、次の用語は、以下に記載された定義に従って使用される。
【0018】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「ある(a)」、「ある(an)」および「この(the)」は、文脈が特に明確に指示しない限り、単数および複数の指示対象を含む。故に、例えば、「ある細胞(a cell)」への言及は、1つの細胞および2つ以上の細胞の組み合わせ等を含む。
【0019】
本発明の方法では、植物の種子収量が増加している。
【0020】
用語「植物」は、植物全体、植物の部分または器官(例えば葉、茎、根等)、シュート栄養器官/構造(例えば葉、茎および塊茎)、根、花および花器/構造(例えば苞葉、萼片、花弁、雄蕊、心皮、葯および胚珠)、種子(胚、内胚乳、および種皮を含む)、果実(成熟した子房)、植物組織(例えば維管束組織、基本組織等)、組織培養カルス、ならびに植物細胞(例えば孔辺細胞、卵細胞、毛状突起等)、ならびにこれらの子孫のいずれかを総称的に指す。用語「植物」は、光合成することができる全ての生物を一般に意味する。本発明の範囲内に植物として含まれるのは、植物界の高等および下等植物の全ての属および種である。成熟植物は、苗を過ぎたいずれかの発育段階における植物を意味する。苗は、初期発育段階における若い未成熟植物を意味する。本発明の植物は、一年生、多年生、単子葉および/または双子葉植物であってもよい。特に、本発明の植物は、次の植物科、すなわち、アブラナ科の植物、特にアブラナ属およびシロイヌナズナ属の植物であってもよい。
【0021】
植物細胞は、本明細書で使用されるとき、植物もしくはこの部分、すなわち、種子、培養物、懸濁培養物、胚、分裂組織領域、カルス組織、葉、根、シュート、配偶体、胞子体、花粉、および小胞子から得られたまたは見出された細胞をさらに含むが、これらに限定されない。植物細胞は、前述の組織から得られたプロトプラストなどの改変細胞を含むことも理解され得る。
【0022】
本明細書で使用されるとき、植物に関して使用される場合の用語「非自然発生の」は、人により改変されたゲノムを有する植物を意味する。例えば、トランスジェニック植物は非自然発生植物である。トランスジェニック植物は、例えば外因性核酸分子、例えば、転写領域を含むキメラ遺伝子を含有することができる。該転写領域は、転写されたときに、本発明によるAHP6遺伝子などの内因性遺伝子の発現を減少させることができる生物学的に活性なRNA分子を産生し、したがって、人により遺伝子改変されている。さらに、変異誘発物質に曝露した結果、(例えば調節エレメントまたはコード配列において)内因性遺伝子における変異、例えば、内因性AHP6遺伝子における変異を含有する植物もまた、人により遺伝子改変されていることから非天然植物と見なされる。さらに、例えばセイヨウアブラナ(Brassica napus)またはアブラナ科の他のメンバーなどの特定の種の植物(この植物の同じ種または別の種の植物を用いた、マーカー支援(marker-assisted)育種および選抜または遺伝子移入などの例えば定向育種プロセス(directed breeding process)の結果として、内因性遺伝子、例えば、内因性AHP6遺伝子において、この特定の植物種では天然に生じない変異を含有する)も、非自然発生の植物と見なされる。対照的に、自然変異または自然発生変異のみを含有する植物、すなわち人により遺伝子改変されていない植物は、本明細書に定義されたような「非自然発生植物」ではなく、したがって、本発明内に包含されない。当業者は、非自然発生植物は典型的には、自然発生植物と比較すると変更されたヌクレオチド配列を有するが、非自然発生植物はまた、例えばメチル化パターンを改変して、ヌクレオチド配列を変更することなく人により遺伝子改変することもできることを理解している。
【0023】
用語「トランスジェニック」は、植物の作製に関して本来生物学的プロセスではないプロセスにより、非導入植物と対比した植物に導入された、組み込まれた核酸配列(遺伝子、ポリヌクレオチド、DNA、RNA等、および/またはこれへの変更(例えば変異、点変異等)を含むが、これらに限定されない)を有する植物を指す。故に、用語「トランスジェニック植物」は、非内因性核酸を含む植物を包含するだけでなく、植物の作製に関して本来生物学的プロセスではないプロセスにより、非導入植物と対比した前記トランスジェニック植物に導入された内因性遺伝子における変異、例えば点変異を有する植物も明確に指す。
【0024】
本発明の方法において、植物における種子収量は、内因性AHP6遺伝子の破壊により増加される。
【0025】
用語「遺伝子」または「遺伝子配列」は、生物学的機能に関連する任意の核酸を指すのに広く使用される。遺伝子は典型的には、コード配列および/またはこのようなコード配列の発現に必要とされる調節配列を含む。用語「遺伝子」は、特定のゲノム配列のほか、このゲノム配列によりコードされたcDNAまたはmRNAに適用される。遺伝子はまた、例えば、他のタンパク質に対する認識配列を形成する発現されない核酸セグメントも含む。発現されない調節配列には、転写因子などの調節タンパク質が結合し、隣接配列または近くの配列の転写をもたらすプロモーターおよびエンハンサーが含まれる。
【0026】
用語「内因性」は、所与の野生型細胞または例えば植物のような生物において既に存在するいずれの遺伝子または核酸配列にも関する。用語「外因性」は、内因性でないいずれの遺伝子または核酸配列にも関する。
【0027】
AHP6遺伝子は、シロイヌナズナにおいて初めて記載されたAHP6タンパク質(シロイヌナズナヒスチジンリン酸基転移タンパク質(Arabidopsis Histidine Phosphotransfer Protein) 6とも呼ばれる)をコードする。AHP6タンパク質は、ヒスチジンリン酸基転移キナーゼ/トランスフェラーゼタンパク質の構造ファミリーのメンバーである。しかし、AHP6タンパク質は、他のAHPに存在するリン酸基転移に必要とされる、およびヒスチジンリン酸基転移キナーゼ/トランスフェラーゼのファミリーにおいて保存されるヒスチジン残基を欠く。前記ヒスチジン残基の代わりに、AHP6は、配列番号1を有するAHP6aのAsn83の位置にアスパラギン残基を示す。本発明の目的のため、用語「AHP6タンパク質」は、例えば、
-ヒスチジンリン酸基転移キナーゼ/トランスフェラーゼタンパク質の構造ファミリーのメンバーである;および/または
-配列番号1の位置Asn83に対応する位置にヒスチジンを欠く;および/または
-配列番号1または12を有するAHP6タンパク質と本質的に同じ機能を示す;および/または
-配列番号1または12のアミノ酸配列全体と比較した場合、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む
タンパク質を指してもよい。
【0028】
AHP6タンパク質が、AHP6タンパク質機能に関する生化学的インビトロ試験において測定された際に、配列番号1または12を有するシロイヌナズナのAHP6タンパク質の活性の少なくとも50%、少なくとも70%または少なくとも90%を示す場合、前記タンパク質は、配列番号1または12を有するAHP6タンパク質と本質的に同じ機能を示す。AHP6タンパク質機能に関する適切な生化学的インビトロ試験は、Mahonenら、「Cytokinin signaling and its inhibitor AHP6 regulate cell fate during vascular development」、Science 2006、311、94〜98頁に記載されている。Mahonenら(2006)により記載されているように、AHP6タンパク質は、リン酸基転移活性を有さないようであり、リン酸リレー機構と相互作用することによりサイトカイニンシグナル伝達の阻害剤として作用する。
【0029】
シロイヌナズナのAHP6タンパク質は、2つの選択的スプライス型、すなわちAHP6aおよびAHP6bで存在するが、2つのスプライス型は第1エクソンの長さが異なる。本明細書で使用されるとき、および特に示されない限り、用語「AHP6タンパク質」は、両方のスプライス型AHP6aおよびAHP6bを指す。シロイヌナズナのAHP6タンパク質は、AHP6aに対する配列番号1またはAHP6bに対する配列番号12のアミノ酸配列を含み、シロイヌナズナのAHP6遺伝子のゲノム配列は、配列番号2の核酸配列を含み、シロイヌナズナのAHP6遺伝子のコード配列は、AHP6aタンパク質に対する配列番号3およびAHP6bに対する配列番号13の核酸配列を含み、ならびにシロイヌナズナのAHP6遺伝子のcDNAは、AHP6aに対する配列番号4およびAHP6bに対する配列番号14を有する核酸配列を含む。
【0030】
内因性AHP6遺伝子は、
(a)配列番号1もしくは12のアミノ酸配列を含むAHP6タンパク質もしくはこのオルソログをコードする核酸、
(b)配列番号1もしくは12のアミノ酸配列全体と比較した場合、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むAHP6タンパク質をコードする核酸、
(c)配列番号2、3、4、13もしくは14の核酸配列を含む核酸、
(d)配列番号2、3、4、13もしくは14の核酸配列全体を通じて、少なくとも90%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸、または
(e)(a)、(b)、(c)および/もしくは(d)下に定義された核酸配列の1つにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸
を含んでもよく、またはからなってもよい。
【0031】
用語「核酸」または「ポリヌクレオチド」は、リボース核酸(RNA)もしくはデオキシリボース核酸(DNA)ポリマー、またはこのアナログ(例えば、ヌクレオチドの改変を含むヌクレオチドポリマー、ペプチド核酸等)を指すために当技術分野で認識されている意味で一般に使用される。特定の適用において、核酸は、複数のモノマー型、例えば、RNAおよびDNAサブユニットの両方を含むポリマーであってもよい。核酸は、例えば、染色体または染色体セグメント、ベクター(例えば、発現ベクター)、発現カセット、裸のDNAまたはRNAポリマー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の産物、オリゴヌクレオチド、プローブ等であってもよい。核酸は、例えば、一本鎖および/または二本鎖であってもよい。特に指示のない限り、本発明の特定の核酸配列は、明確に指示された任意の配列に加えて、相補的配列を場合により含むまたはコードする。
【0032】
用語「ポリヌクレオチド配列」、「核酸配列」、「核酸」または「ヌクレオチド配列」は、単一の核酸におけるヌクレオチドの隣接する配列、またはこれを表すもの、例えば、文字列を指す。すなわち、「ポリヌクレオチド配列」は、ヌクレオチドのポリマー(オリゴヌクレオチド、DNA、核酸等)であり、または文脈に応じてヌクレオチドポリマーを表す文字列である。任意の特定のポリヌクレオチド配列から、所与の核酸または相補的ポリヌクレオチド配列(例えば、相補的核酸)のどちらかが決定され得る。
【0033】
用語「部分配列」または「断片」は、配列全体の任意の部分である。
【0034】
用語「オルソログ」は、本明細書で使用されるとき、(例えばシロイヌナズナと異なる)種由来の遺伝子を指し、該遺伝子は、シロイヌナズナの特定の遺伝子に対し最も高い類似性、すなわち最も高い配列同一性を示し、および/または両方の遺伝子が共通の祖先を起源とするために、シロイヌナズナの特定の遺伝子と本質的に同じ機能を示すタンパク質をコードする。用語「オルソログ」は、本質的に同じ機能を有するタンパク質をコードし、およびそれぞれのオルソログが指す所与の配列と、例えば配列の長さ全体にわたって、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%配列同一性を有する配列(ポリペプチドまたは核酸)を含む内因性遺伝子を意味してもよい。特に用語「オルソログ」は、本質的に同じ機能を有するタンパク質をコードし、およびそれぞれのオルソログが指すシロイヌナズナの所与の配列と、例えば配列の長さ全体にわたって、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%配列同一性を有する配列を含む、シロイヌナズナとは異なる種に由来する内因性遺伝子を意味してもよい。
【0035】
オルソログは、本明細書で使用されるとき、それぞれ、
-配列番号1または12を有するシロイヌナズナのAHP6タンパク質、
-配列番号5を有するシロイヌナズナのCKX1タンパク質、
-配列番号6を有するシロイヌナズナのCKX2タンパク質、
-配列番号7を有するシロイヌナズナのCKX3タンパク質、
-配列番号8を有するシロイヌナズナのCKX4タンパク質、
-配列番号9を有するシロイヌナズナのCKX5タンパク質、
-配列番号10を有するシロイヌナズナのCKX6タンパク質、および/または
-配列番号11を有するシロイヌナズナのCKX7タンパク質
と本質的に同じ機能を有するタンパク質をコードし、配列の長さ全体にわたって、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、シロイヌナズナとは異なる種に由来する内因性遺伝子を意味してもよい。
【0036】
AHP6タンパク質のオルソログは、配列番号1または12を有するアミノ酸配列を含むシロイヌナズナのAHP6タンパク質と本質的に同じ機能を示す。AHP6タンパク質機能に関する生化学的インビトロ試験は、「Cytokinin signaling and its inhibitor AHP6 regulate cell fate during vascular development」、Science 2006、311、94〜98頁にMahonenらにより開示されている。AHP6タンパク質のオルソログは、上述の生化学的インビトロ試験で測定された場合、配列番号1または12を有するシロイヌナズナのAHP6タンパク質の活性の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましい少なくとも90%を示すことができる。
【0037】
シロイヌナズナの所与のCKXタンパク質のオルソログは、シロイヌナズナのそれぞれのCKXタンパク質と本質的に同じ機能を示す。当業者は、所与のタンパク質がサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ活性を有するか否かを決定するための手段および方法、ならびに絶対値での、および/または別のタンパク質もしくはプローブと比較した、特定のタンパク質もしくはプローブのサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ活性のレベルを決定するための手段および方法をよく知っている。所与のタンパク質がこのような活性に関してどのように試験され得るか、文献に十分な手引きがあり、例えばEC 1.5.99.12を参照のこと。
【0038】
CKX1タンパク質のオルソログは、上述の生化学的インビトロ試験で測定された場合、配列番号5を有するシロイヌナズナのCKX1タンパク質の活性の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも90%を示すことができる。
【0039】
CKX2タンパク質のオルソログは、上述の生化学的インビトロ試験で測定された場合、配列番号6を有するシロイヌナズナのCKX2タンパク質の活性の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも90%を示すことができる。
【0040】
CKX3タンパク質のオルソログは、上述の生化学的インビトロ試験で測定された場合、配列番号7を有するシロイヌナズナのCKX3タンパク質の活性の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも90%を示すことができる。
【0041】
CKX4タンパク質のオルソログは、上述の生化学的インビトロ試験で測定された場合、配列番号8を有するシロイヌナズナのCKX4タンパク質の活性の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも90%を示すことができる。
【0042】
CKX5タンパク質のオルソログは、上述の生化学的インビトロ試験で測定された場合、配列番号9を有するシロイヌナズナのCKX5タンパク質の活性の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも90%を示すことができる。
【0043】
CKX6タンパク質のオルソログは、上述の生化学的インビトロ試験で測定された場合、配列番号10を有するシロイヌナズナのCKX6タンパク質の活性の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも90%を示すことができる。
【0044】
CKX7タンパク質のオルソログは、上述の生化学的インビトロ試験で測定された場合、配列番号11を有するシロイヌナズナのCKX7タンパク質の活性の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも90%を示すことができる。
【0045】
本発明の目的のため、配列「同一性」は、幾つかの方法のいずれかにより客観的に決定される。当業者は、これらの方法をよく知っており、過度の負担なく適切な方法を選ぶことができる。2つ以上の配列間の関係(例えば同一性、類似性および/または相同性)を決定するさまざまな方法が利用可能であり、当技術分野でよく知られている。該方法には、例えば、手動アライメント、コンピューター支援配列アライメントおよびこの組み合わせが含まれる。配列アライメントを行うための幾つかのアルゴリズム(一般にコンピューターに実装されている)は広く利用可能であり、または当業者により作製されてもよい。1つのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列の、別の配列との同一性の程度は、KarlinおよびAltschul (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873〜5877頁、1993)によるアルゴリズムBLASTに従って決定することができる。このアルゴリズムに基づき開発されたBLASTNおよびBLASTXなどのプログラム(Altschulら(1990) J. Mol. Biol. 215: 403〜410頁)が使用されてもよい。BLASTに基づくBLASTNによりヌクレオチド配列を分析するには、パラメータは、例えば、スコア=100、ワード長=12として設定される。一方、BLASTに基づくBLASTXによるアミノ酸配列の分析に使用されるパラメータには、例えば、スコア=50、ワード長=3が含まれる。各プログラムのデフォルトパラメータは、BLASTおよびGapped BLASTプログラムを用いる場合に使用される。このような分析に特異的な技法は、当技術分野で知られている(http://www.ncbi.nim.nih.gov.を参照のこと)。
【0046】
本発明のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、6M尿素、0.4%SDS、および0.5×SSC、ならびに該条件に類似したストリンジェンシーを生じるものなどの条件が含まれる。より高い相同性を有する核酸配列は、ハイブリダイゼーションが、より高いストリンジェンシー、例えば、6M尿素、0.4% SDS、および0.1×SSCを用いた条件下で行われる場合に期待される。このような条件下で単離されるような核酸配列は、AHP6タンパク質(配列番号1)と高いアミノ酸レベルの相同性を有するタンパク質をコードすることが期待される。本明細書では、高い相同性は、アミノ酸配列全体を通じて、少なくとも50%以上、70%以上、または90%以上(例えば95%以上)の同一性を意味する。
【0047】
本発明の意味において内因性AHP6遺伝子の破壊の例を示すことが知られている、3つのアレル劣性変異(allelic, recessive mutation)が既にある。Mahonenらは、「Cytokinin signaling and its inhibitor AHP6 regulate cell fate during vascular development」、Science 2006、311、94〜98頁で変異aph6-1、aph6-2およびaph6-3を記載している。aph6-1における変異は、第1エクソンにおける未成熟ストップコドンをもたらしたのに対し、aph6-2における変異は、AHP6bスプライスバリアントの5'境界から5塩基対の第1イントロンに位置し、aph6-3はT-DNA挿入アレルである。aph6-1およびaph6-3が両方とも、ヌルアレルを示すようであるのに対し、aph6-2アレルにおいてのみスプライスバリアントAPH6aが存在する。
【0048】
用語「破壊」または「破壊された」は、本明細書で使用されるとき、破壊された遺伝子が、完全長の十分に機能的な遺伝子産物の効率的な発現を指示することができないように、少なくとも1つの変異または構造的な変更を含むように遺伝子が構造的に破壊され得ることを意味する。内因性遺伝子が、
(a)別のアミノ酸に代わるアミノ酸の置換をもたらす核酸配列における変化である「ミスセンス変異」、
(b)未成熟ストップコドンの導入をもたらし、故に、翻訳の停止をもたらす(切断されたタンパク質をもたらす)核酸配列における変化である「ナンセンス変異」または「ストップコドン変異」(植物遺伝子は、翻訳ストップコドン「TGA」(RNAではUGA)、「TAA」(RNAではUAA)および「TAG」(RNAではUAG)を含有し、故に、(リーディングフレームで)翻訳される成熟mRNAにあるべきこれらのコドンの1つをもたらすいずれのヌクレオチド置換、挿入、欠失も、翻訳を停止させる)、
(c)核酸のコード配列において付加された1つまたは複数のコドンに起因する、1つまたは複数のアミノ酸の「挿入変異」、
(d)核酸のコード配列において欠失された1つまたは複数のコドンに起因する、1つまたは複数のアミノ酸の「欠失変異」、
(e)変異の下流の異なるフレームで翻訳される核酸配列をもたらす「フレームシフト変異」(フレームシフト変異は、1つまたは複数のヌクレオチドの挿入、欠失または重複など、さまざまな原因を有し得る)
などの1つまたは複数の変異を含む場合、内因性遺伝子は本発明の意味において破壊され得る。
【0049】
既に述べられているように、内因性遺伝子における変異は、インビボでの生物学的活性が大幅に低下した、もしくはインビボでの生物学的活性がない、またはタンパク質を産生しない変異体タンパク質を好ましくはもたらすことが望まれる。基本的に、野生型タンパク質と比較して少なくとも1つのアミノ酸挿入、欠失および/または置換を含むタンパク質をもたらすいずれの変異も、大幅に低下した生物学的活性をもたらし得、または生物学的活性を全くもたらし得ない。しかし、切断されたタンパク質をもたらし、これにより機能的ドメインのかなりの部分が欠如する変異などの、タンパク質の特定の部分における変異は、変異体APH6タンパク質の機能の低下をもたらす可能性が高いことが理解されている。
【0050】
用語「破壊」または「破壊された」はまた、遺伝子が発現されないように、または完全長のおよび/もしくは十分に機能的な遺伝子産物を効率的に発現することができないように、破壊された遺伝子またはこの産物の1つが機能的に阻害または不活化され得ることも包含する。機能的な阻害または不活化は、転写または翻訳のどちらかのレベルにおける発現の構造的破壊および/または妨害の結果生じ得る。機能的な阻害または不活化は、以下により詳細に明記されているように、例えば、アンチセンスポリヌクレオチド遺伝子抑制、二本鎖RNA誘導遺伝子サイレンシング、リボザイム技法等などの方法により達成することもできる。発現および/または活性の阻害は、例えばアンチセンス構築物、センス構築物、RNAサイレンシング構築物、RNA干渉、ゲノム破壊(例えばトランスポゾン、TILLING、相同的組換え等)等の結果であってもよい。発現および/または活性の阻害は、転写産物の存在および/もしくは量を決定して(例えばノーザンブロッティングまたはRT-PCR技法により)、ならびに/または前記遺伝子によりコードされた完全長のもしくは切断されたポリペプチドの存在および/もしくは量を決定して(例えばELISAまたはウェスタンブロッティングにより)、ならびに/または破壊された遺伝子の産物のタンパク質活性の存在および/もしくは量を決定して測定することができる。
【0051】
用語「破壊」または「破壊された」は、本明細書で使用されるとき、破壊はまた植物の一部、例えば生殖分裂組織または茎頂のような特定の細胞型または細胞組織でのみ有効である破壊も包含することが理解されるべきである。破壊は、コード領域、非コード領域内および/もしくは例えば特定の遺伝子のプロモーター領域のような調節領域と相互作用することにより、またはこれらの領域内に影響を与えることにより達成することができる。本発明の意味において破壊は、好ましくは、破壊された遺伝子および/またはこの産物の完全なまたは部分的な機能喪失をもたらす。
【0052】
本発明の方法の破壊の少なくとも1つ、または本発明の非自然発生植物の破壊の少なくとも1つは、配列番号2、3、4、13、14もしくはこれらの部分配列またはこの相補体と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、約99.5%以上の配列同一性を有する核酸配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を、少なくとも1つのポリヌクレオチド配列がセンスまたはアンチセンス配向でプロモーターに連結されるように植物細胞のゲノムに導入することによって生じさせることができる。別の実施形態において、破壊は、RNAサイレンシングまたは干渉用に構成される少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を導入して植物細胞のゲノムに導入される。
【0053】
内因性遺伝子の少なくとも1つにおける1つ、1つを超えるまたは全ての破壊は、1つまたは複数のトランスポゾンの挿入を含むことができる。「転移因子」(TE)または「転移遺伝因子」は、細胞において1つの位置から別の位置に移動することができるDNA配列である。転移因子の移動は、エピソームからエピソーム、エピソームから染色体、染色体から染色体、または染色体からエピソームに起こり得る。転移因子は、末端における逆方向反復配列の存在を特徴とする。可動化は、「トランスポザーゼ」により酵素的に媒介される。構造的に、転移因子は、因子の可動化に必要なものに加えて遺伝子配列の存在または非存在に基づき、それぞれ「トランスポゾン」(TN)または「挿入配列因子(insertion sequence element)」(IS因子)と分類される。ミニトランスポゾンまたはミニIS因子は、典型的にはトランスポザーゼをコードする配列を欠く。
【0054】
さらに別の実施形態において、1つ、1つを超えるまたは全ての破壊は、内因性遺伝子の少なくとも1つにおける1つまたは複数の点変異を含んでもよい。
【0055】
内因性遺伝子の少なくとも1つにおける1つ、1つを超えるまたは全ての破壊は、ホモ接合破壊であってもよい。あるいは、内因性遺伝子の少なくとも1つにおける1つ、1つを超えるまたは全ての破壊は、ヘテロ接合破壊であってもよい。特定の実施形態において、内因性遺伝子の少なくとも1つの破壊には、ホモ接合破壊、ヘテロ接合破壊、またはホモ接合破壊およびヘテロ接合破壊の組み合わせが含まれ得る。
【0056】
破壊は、植物のゲノムへの発現カセットの導入により導入されてもよい。「発現カセット」は、転写産物を産生することができる核酸構築物、例えばベクター(プラスミド、ウイルスベクター等など)、および潜在的には、ポリヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチドである。発現ベクターは、外因性細胞(例えば細菌細胞)、またはインビボもしくはインビトロで植物細胞(例えば培養植物プロトプラスト)において転写産物を産生することができる。産物の発現は、例えば選択されるプロモーターに応じて恒常的(constitutive)または誘導性であってもよい。翻訳されないまたは翻訳することができないアンチセンス、センスまたはRNA干渉もしくはサイレンシング立体配置は、この定義により明示的に含まれる。発現ベクターの関連において、プロモーターは、結合されたポリヌクレオチド配列の発現を調整することができる場合、ポリヌクレオチド配列に「作動可能に連結された」または「機能的に連結された」と言われる。該用語はまた、発現されたまたは取り込まれた、トランス遺伝子などの代替の外因性遺伝子構築物にも適用される。同様に、作動可能にまたは機能的に連結されたという用語は、ポリヌクレオチド配列に結合された、エンハンサーなどの代替または追加の転写調節配列にも等しく適用される。
【0057】
用語「ベクター」は、生物、細胞、または細胞成分間で核酸を伝達および/または転移することができる手段を指す。ベクターには、自己複製する、または宿主細胞の染色体に取り込むことができるプラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、プロウイルス、ファージミド、トランスポゾン、および人工染色体等が含まれる。ベクターはまた、自己複製しない、裸のRNAポリヌクレオチド、裸のDNAポリヌクレオチド、同じ鎖内のDNAおよびRNAの両方からなるポリヌクレオチド、ポリリシンコンジュゲートDNAまたはRNA、ペプチドコンジュゲートDNAまたはRNA、リポソームコンジュゲートDNA等であってもよい。
【0058】
ポリヌクレオチド配列、核酸配列または遺伝子は、ポリヌクレオチド配列が、RNAもしくはポリペプチドまたはこの部分配列に転写され(スプライス型または非スプライス型で)および/または翻訳され得る場合、センスもしくはアンチセンスRNA分子、またはRNAサイレンシングもしくは干渉分子、またはポリペプチドを「コードする」と言われる。当業者は、同じアミノ酸配列またはポリペプチドをコードする幾つかの異なる核酸配列を可能にする遺伝コードの縮重をよく知っており、所与の核酸配列が所与のアミノ酸配列またはポリペプチドをコードするかどうかを決定するのに問題はない。
【0059】
「遺伝子の発現」または「核酸の発現」は、RNAへのDNAの転写(場合によりRNAの改変、例えばスプライシングを含む)、ポリペプチドへのRNAの翻訳(場合によりポリペプチドのこの後の改変、例えば翻訳後改変を含む)、または文脈により指示されるように転写および翻訳の両方を意味する。
【0060】
本発明の方法は、植物ゲノムに内因性AHP6遺伝子の破壊を導入する工程と、このような変更されたゲノムを有する植物を再生する工程とをさらに含むことができる。前記破壊は、非自然発生植物を作製するために植物のゲノムに安定に導入することができる。破壊がコピーされ、細胞分裂の間に分離され、前記植物または植物細胞の子孫に伝えられるならば、前記破壊は、植物のゲノムに安定に導入されると見なされる。
【0061】
本発明の方法は、少なくとも1つの内因性CKX遺伝子、例えば少なくとも2つの異なる内因性CKX遺伝子の破壊を植物ゲノムに導入する工程をさらに含むことができる。
【0062】
本明細書で使用されるとき、用語「CKX遺伝子」または「サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子」は、サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ活性を有するCKXタンパク質をコードする遺伝子を指す。サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼとも呼ばれるCKXタンパク質は、化学反応、すなわち、
N6-ジメチルアリルアデニン+アクセプター+H
2O⇔アデニン+3-メチル-ブタ-2-エナール+還元アクセプター
を触媒する酵素である。
【0063】
この酵素の3つの基質は、N6-ジメチルアリルアデニン、アクセプター、およびH
2Oであるが、この3つの産物は、アデニン、3-メチル-ブタ-2-エナール、および還元アクセプターである。用語「サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ活性」は、基質としてのサイトカイニンの少なくとも1つとの酸化還元酵素反応を触媒する所与のポリペプチドの活性を包含する。当業者は、所与のポリペプチドがサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ活性を有するか否かを決定する、ならびに絶対値での、および/または別のポリペプチドもしくはプローブと比較した特定のポリペプチドもしくはプローブのサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ活性のレベルを決定する手段および方法をよく知っている。所与のポリペプチドがこのような活性に関してどのように試験され得るか、文献に十分な手引きがあり、例えばEC 1.5.99.12を参照のこと。用語「サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ活性」は、AtCKX3 (配列番号7を有するCKX3)の活性の少なくとも30%、またはAtCKX3の活性の少なくとも50%の活性で、基質としてのサイトカイニンの少なくとも1つとの酸化還元酵素反応を触媒する所与のポリペプチドの活性を包含し得る。
【0064】
少なくとも1つのCKX遺伝子は、
-配列番号5と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質またはこのオルソログをコードする内因性CKX1遺伝子、
-配列番号6と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質またはこのオルソログをコードする内因性CKX2遺伝子、
-配列番号7と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質またはこのオルソログをコードする内因性CKX3遺伝子、
-配列番号8と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質またはこのオルソログをコードする内因性CKX4遺伝子、
-配列番号9と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質またはこのオルソログをコードする内因性CKX5遺伝子、
-配列番号10と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質またはこのオルソログをコードする内因性CKX6遺伝子、または
-配列番号11と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質またはこのオルソログをコードする内因性CKX7遺伝子
であってもよい。
【0065】
本発明の方法において、内因性AHP6遺伝子の破壊に加えて、破壊された少なくとも2つの内因性CKX遺伝子であってよい。特に、破壊される2つの内因性CKX遺伝子は、配列番号7と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質をコードする内因性CKX3遺伝子、またはこのオルソログ、および配列番号9と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質をコードする内因性CKX5遺伝子、またはこのオルソログである。
【0066】
AHP6遺伝子破壊とCKX遺伝子の破壊との組み合わせは、種子収量に対するさらにより顕著な効果をもたらすことが示されている。
【0067】
本発明の方法は、植物あたりの長角果数の増加と、これにより、植物およびこれに由来する子孫における種子収量の増加を達成するのに使用することができる。
【0068】
本発明の方法はまた、植物あたりの長角果数が増加し、これにより、植物およびこれに由来する子孫における種子収量が増加した非自然発生植物を作製するのに使用することもできる。
【0069】
本発明はまた、内因性AHP6遺伝子および少なくとも1つの内因性CKX遺伝子における破壊を含む非自然発生植物にも関する。例えば内因性AHP6遺伝子は、
(a)配列番号1、12のアミノ酸配列を含むAHP6タンパク質もしくはこのオルソログをコードする核酸、
(b)配列番号1もしくは12のアミノ酸配列全体と比較した場合、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むAHP6タンパク質をコードする核酸、
(c)配列番号2、3、4、13もしくは14の核酸配列を含む核酸、
(d)配列番号2、3、4、13もしくは14の核酸配列全体を通じて、少なくとも90%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸、または
(e)(a)、(b)、(c)および/もしくは(d)下に定義された核酸配列の1つにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸
を含む、またはからなる。
【0070】
本発明の非自然発生植物において、少なくとも1つの内因性破壊CKX遺伝子は、
-配列番号5と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質またはこのオルソログをコードする内因性CKX1遺伝子、
-配列番号6と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質またはこのオルソログをコードする内因性CKX2遺伝子、
-配列番号7と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質またはこのオルソログをコードする内因性CKX3遺伝子、
-配列番号8と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質またはこのオルソログをコードする内因性CKX4遺伝子、
-配列番号9と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質またはこのオルソログをコードする内因性CKX5遺伝子、
-配列番号10と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質またはこのオルソログをコードする内因性CKX6遺伝子、または
-配列番号11と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質またはこのオルソログをコードする内因性CKX7遺伝子
であってもよい。
【0071】
本発明の非自然発生植物において破壊される内因性CKX遺伝子は、配列番号7と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質をコードする内因性CKX3遺伝子、またはこのオルソログ、および配列番号9と同一であるもしくは少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含むCKXタンパク質をコードする内因性CKX5遺伝子、またはこのオルソログであってもよい。
【0072】
本発明の非自然発生植物は、例えば形質転換のような従来の手段により作製することができる。植物細胞およびプロトプラストの形質転換は、本明細書に記載された方法を含むがこれに限定されない、本質的に植物分子生物学の当業者に公知のさまざまな方法のいずれかにおいて実施することができる。一般的には、Methods in Enzymology、第153巻(Recombinant DNA Part D) WuおよびGrossman (編) 1987、Academic Pressを参照のこと。本明細書で使用されるとき、用語「形質転換」は、核酸配列、例えば「異種」、「外因性」または「外来」核酸配列の導入による宿主植物または植物細胞の遺伝子型の変更を意味する。異種核酸配列は異なる起源に必ずしも由来する必要はないが、ある時点では導入される細胞の外部になっているであろう。
【0073】
本発明の方法および本発明の非自然発生植物において、内因性遺伝子の破壊は、幾つかの異なる公知の技法により促進することができる。
【0074】
内因性遺伝子の少なくとも1つにおける1つ、1つを超えるまたは全ての破壊は、例えばアンチセンスもしくはセンス立体配置、またはRNAサイレンシングもしくは干渉立体配置等において、トランスジェニックポリヌクレオチド配列のゲノムへの導入、および植物細胞または植物でのトランスジェニックポリヌクレオチド配列の発現により促進することができ、トランスジェニックポリヌクレオチド配列は、破壊される内因性遺伝子の1つである、または破壊される内因性遺伝子の1つに相補的である核酸配列を含む。さらに、前記ポリヌクレオチド配列はプロモーターを含んでもよく、これにより、このような破壊を欠く対応する対照植物細胞または植物(例えばこの非トランスジェニック親植物または同じ種の非トランスジェニック植物)に比べて、少なくとも破壊された内因性遺伝子の発現および/または活性を阻害する。トランスジェニックポリヌクレオチド配列は、例えばエレクトロポレーション、微粒子銃、アグロバクテリウム媒介形質転換、または他の利用可能な方法を含むがこれらに限定されない技法により導入することができる。本発明の特定の態様において、ポリヌクレオチドは、センス配向もしくはアンチセンス配向でプロモーターに連結され、またはRNAサイレンシングもしくは干渉用に構成される。
【0075】
内因性遺伝子の1つまたは複数の破壊は、文献に既に十分に記載されている技法、相同性依存的遺伝子サイレンシングの適用により促進することができる。
【0076】
あるいは、遺伝子サイレンシングに対する別のアプローチは、アンチセンス技術を使用してもよい。アンチセンス核酸の使用は、当技術分野でよく知られている。アンチセンス核酸は、標的核酸、例えば特定のゲノム遺伝子配列、mRNA、またはcDNAに対して相補的な領域を有する。アンチセンス核酸は、RNA、DNAまたは任意の他の適切な分子であってもよい。二本鎖は、アンチセンス配列とこの相補的センス配列の間で形成し得、遺伝子の不活化をもたらす。アンチセンス核酸は、遺伝子から転写されたRNAとの二本鎖の形成、二本鎖DNAとの三本鎖の形成等により、遺伝子発現を阻害し得る。アンチセンス核酸は、幾つかの十分に確立された技法により作製および試験することができる。
【0077】
触媒RNA分子またはリボザイムも、特定の選択遺伝子の発現を阻害するのに使用することができる。実質的に任意の所望の標的RNAと特異的に対になり、特定の位置でホスホジエステル骨格を切断し、これにより標的RNAを機能的に不活化するリボザイムを設計することが可能である。この切断の実施において、リボザイムはこれ自体変更されず、故に他の分子を再利用および切断することができる。アンチセンスRNA内へのリボザイム配列の封入は、アンチセンスRNAにRNA切断活性を与え、これにより構築物の活性を増加させる。リボザイムの幾つかのクラスが同定されている。例えば、リボザイムの1つのクラスは、植物において自己切断および複製することができる幾つかの小さな環状RNAに由来する。RNAは、単独で(ウイロイドRNA)またはヘルパーウイルス(サテライトRNA)と共に複製することができる。RNAの例には、アボカドサンドロッチウイロイド由来のRNA、ならびにタバコ輪斑ウイルス、ルセルントランシエントストリークウイルス(lucerne transient streak virus)、ベルベットタバコ斑点ウイルス、ソラヌムノディフロルム(solanum nodiflorum)斑点ウイルスおよびサブタレニアンクローバー(subterranean clover)斑点ウイルス由来のサテライトRNAが含まれる。標的RNA特異的リボザイムの設計および使用が記載されている。例えば、Haseloffら(1988) Nature、334: 585〜591頁を参照のこと。
【0078】
発現を阻害して特定の選択遺伝子を不活化する別の方法は、センス抑制による。プロモーターに関して核酸がセンス配向で構成される発現カセットの導入は、所望の標的遺伝子の転写を遮断するための効果的な手段であることが示されている。例えば、米国特許第5,034,323号、5,231,020号および5,283,184号を参照のこと。
【0079】
本発明の破壊は、転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)または共抑制とも呼ばれ得る、RNAサイレンシングまたは干渉(RNAi)を用いて作製することもできる。本発明の文脈において、「RNAサイレンシング」(RNAiまたはRNA媒介干渉とも呼ばれる)は、細胞における一本鎖または、典型的には、二本鎖RNAの存在が、該RNAの配列と同一またはほぼ同一の配列を含む標的遺伝子の発現の阻害をもたらすいずれかの機構を指し、RNA干渉、mRNAの安定性を変更しない、標的遺伝子から転写された標的mRNAの翻訳の抑制、および転写サイレンシング(例えば、標的mRNAの転写の阻害をもたらすヒストンアセチル化およびヘテロクロマチン形成)を含むが、これらに限定されない。「RNA干渉」において、細胞における一本鎖または二本鎖RNAの存在は、ヌクレオチド鎖切断(endonucleolytic cleavage)と次いで標的mRNAの変性をもたらす。
【0080】
1つの実施形態において、トランス遺伝子(例えば、目的とする遺伝子またはコード配列の配列および/または部分配列)が植物細胞に導入されて、RNAサイレンシングまたは干渉(RNAi)により1つまたは複数の遺伝子を破壊する。例えば、配列または部分配列(トランス遺伝子)には、小さな部分配列、例えば約21〜25塩基長、より大きな部分配列、例えば約25〜100または約100〜2000(または約200〜1500、約250〜1000等)塩基長、および/または破壊される内因性遺伝子から選択された、または破壊される内因性遺伝子に相補的であるコード配列もしくは遺伝子全体が含まれる。このようなトランス遺伝子は、配列番号2、3、4、13または14を有する核酸配列の1つの部分配列と少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも99%同一性を有する約21〜25塩基長である領域を、配列または部分配列に含むことができる。
【0081】
例えばヘアピン(ステムループ)RNAまたは干渉RNAの二本鎖の発現により幾つかの細胞型(例えば植物細胞を含む)および生物において遺伝子発現を阻害するためのRNAiの使用は、例えば、所望の遺伝子を標的とする適切な干渉RNAを決定する方法、およびこのような干渉RNAを生成する方法のように、文献に十分に記載されている。例えば、RNA干渉は、例えば米国特許出願公開第20020173478号、20020162126号、および20020182223号に記載されている。
【0082】
RNAiを誘導するために発現されるポリヌクレオチド配列または部分配列は、例えば、恒常的プロモーター、誘発性プロモーター、または組織特異的プロモーターの制御下で発現することができる。組織特異的プロモーターからの発現は、特定の実施形態において有利であり得る。「プロモーター」は、本明細書で使用されるとき、転写の開始から上流のDNAの領域であり、RNAポリメラーゼおよび転写を開始する他のタンパク質の認識および結合に関与する領域への言及を含む。「植物プロモーター」は、植物細胞において転写を開始することができるプロモーターである。例示的な植物プロモーターには、植物、植物ウイルス、およびアグロバクテリウムまたは根粒菌など植物細胞で発現される遺伝子を含む細菌から得られるものが含まれるが、これらに限定されない。発育制御下のプロモーターの例には、葉、根、もしくは種子などの特定の組織で、または胚乳、胚、もしくは分裂組織領域などの空間的領域で優先的に転写を開始するプロモーターが含まれる。このようなプロモーターは、「組織優先(tissue-preferred)」または「組織特異的」と呼ばれる。時間的に調節されるプロモーターは、授粉後0〜25日の間などの特定の時間で発現を駆動する。「細胞型優先(cell-type preferred)」プロモーターは主に、例えば、根または葉の維管束細胞の1つまたは複数の器官における特定の細胞型で発現を駆動する。「誘発性」プロモーターは、環境制御下にあり、および誘発性または非抑制性であり得るプロモーターである。誘発性プロモーターによる転写に影響を与え得る環境条件の例には、嫌気条件または光の存在が含まれる。組織特異的、細胞型特異的、および誘発性プロモーターは、「非恒常的」プロモーターのクラスを構成する。「恒常的」プロモーターは、全てまたはほぼ全ての発生段階において、ほとんどの環境条件下および全てまたはほぼ全ての組織で活性であるプロモーターである。
【0083】
上述の内因性遺伝子の少なくとも1つにおける1つ、1つを超えるまたは全ての破壊は、例えばトランスポゾンベースの遺伝子不活化により導入することができる。該遺伝子配列における1つまたは複数の変異は、1つまたは複数のトランスポゾン挿入を含んでもよく、破壊は、このような破壊を欠く対応する対照植物細胞または植物に比べて、少なくとも破壊された内因性遺伝子の発現および/または活性を阻害する。例えば、1つもしくは複数の変異は、上述の1つもしくは複数の遺伝子におけるホモ接合破壊を含み、あるいは1つもしくは複数の変異は、上述の1つもしくは複数の遺伝子におけるヘテロ接合破壊、またはホモ接合破壊およびヘテロ接合破壊の両方の組み合わせを含む。
【0084】
トランスポゾンは、1940年代後半にBarbara McClintockによりトウモロコシで初めて同定された。転移因子、例えばRobertsonのミューテーター(Mu)転移因子のミューテーターファミリーは、高いコピー数(10〜100)で存在し、遺伝子内および遺伝子周辺に優先的に挿入されるため、典型的には植物遺伝子変異誘発において使用される。
【0085】
転移因子は、転移の様式に基づき2つの大きなクラスに分類することができる。これらは、クラスIおよびクラスIIに指定され、両方とも変異原および送達ベクターとしての適用を有する。クラスI転移因子はRNA中間体により転移し、逆転写酵素を使用する、すなわちレトロエレメントである。少なくとも3つのタイプのクラスI転移因子、例えばレトロトランスポゾン、レトロポゾン、SINE様因子がある。レトロトランスポゾンは、典型的にはLTR、ならびにウイルスコートタンパク質(gag)をコードする遺伝子、および逆転写酵素、RnaseH、インテグラーゼ、ポリメラーゼ(pol)遺伝子を含有する。多くのレトロトランスポゾンが植物種で記載されている。このようなレトロトランスポゾンは、トランスポゾンによりコードされた逆転写酵素およびRNase Hにより触媒される反応においてRNA中間体を介して可動化し移動する。例は、Tyl-copiaおよびTy3-gypsyグループ、ならびにSINE様およびLINE様分類に分類される。より詳細な考察は、KumarおよびBennetzen (1999) Plant Retrotransposons in Annual Review of Genetics 33: 479頁に見出すことができる。
【0086】
さらに、Ac、TamlおよびEn/SpmなどのDNA転移因子も多種多様の植物種で見出され、本発明において利用することができる。
【0087】
トランスポゾン(およびIS因子)は、植物細胞に変異を導入するための一般的なツールである。これらの可動遺伝因子は、例えば性的交配を通じて細胞に伝えられ、転移が選択され、得られた挿入変異体が例えば目的とする表現型についてスクリーニングされる。破壊された遺伝子は、次いで、単離された非自然発生またはトランスジェニック植物を非破壊植物と、例えば性的交配により交配して他の植物に導入することができる。幾つかの標準的な育種法のいずれかが、交配される種に応じて使用され得る。単離された非自然発生またはトランスジェニック植物のゲノム内のTNの位置は、公知の方法、例えばフランキング領域の配列決定により決定することができる。例えば、植物からのPCR反応は、配列を増幅するのに使用することができ、配列は次いで、起源を確認するために診断的に配列決定することができる。場合により、挿入変異体は、対照植物と比較した目的とする遺伝子の発現または活性の阻害などの所望の表現型についてスクリーニングされる。
【0088】
TILLINGも、本発明の破壊を導入および同定するのに使用することができる。TILLINGは、
Targeting
Induced
Local
Lesions
In
Genomes(ゲノム中の誘発局所病変を標的とする)である。例えば、McCallumら、(2000)、「Targeting Induced Local Lesions In Genomes (TILLING) for Plant Fanctional Genomics」Plant Physiologv 123: 439〜442頁; McCallumら、(2000)、「Targeted Screening for induced mutations」Nature Biotechnologv 18: 455〜457頁;および、Colbertら、(2001)、「High-Throughput Screening for Induced Point Mutations」Plant Physiology 126: 480〜484頁を参照のこと。
【0089】
TILLINGは、高密度点変異を変異の迅速高感度検出と組み合わせる。典型的には、エチルメタンスルホン酸(EMS)が植物種に変異を誘発するのに使用される。EMSはグアニンをアルキル化し、これが典型的には誤対合をもたらす。例えば、種子は、EMSの約10〜20mM溶液に約10〜20時間浸漬される。種子は洗浄され、次いで播種される。この世代の植物は、M1として知られている。M1植物は、次いで自家受精される。生殖組織を形成する細胞に存在する変異は、次世代(M2)に継承される。典型的には、M2植物は、所望の遺伝子における変異および/または特定の表現型についてスクリーニングされる。例えば、M2植物由来のDNAがプールされ、目的とする遺伝子における変異が、ヘテロ二本鎖形成の検出により検出される。典型的には、DNAは各M2植物から調製され、プールされる。所望の遺伝子はPCRにより増幅される。プール試料は、次いで変性およびアニールされてヘテロ二本鎖の形成を可能にする。変異が植物の1つにあるならば、PCR産物は2つのタイプ、すなわち野生型および変異体となるであろう。ヘテロ二本鎖を含むプールは、例えば変性高速液体クロマトグラフィー(DPHPLC)によりPCR反応を分離して同定される。DPHPLCは、ヘテロアレルDNAの溶解およびアニーリングにより作られたヘテロ二本鎖におけるミスマッチを検出する。クロマトグラフィーはDNAを加熱しながら行われる。ヘテロ二本鎖は、より低い熱安定性を有し、溶解泡を形成し、クロマトグラフィーカラムでのより速い移動をもたらす。予期されたホモ二本鎖に加えてヘテロ二本鎖が存在する場合、二重のピークが見られる。結果として、目的とする遺伝子に変異を持つプールが同定される。選択されたプール集団を構成する植物由来の個々のDNAが、次いで同定および配列決定され得る。場合により、目的とする遺伝子に所望の変異を有する植物が、バックグラウンド変異を取り除くために他の植物と交配されてもよい。
【0090】
他の変異誘発方法も本発明の破壊を導入するのに使用することができる。遺伝子変異を植物遺伝子に導入し、所望の特質を有する植物を選択する方法はよく知られている。例えば、種子または他の植物材料は、標準的技法により変異誘発化学物質で処理することができる。このような化学物質には、次のもの、すなわち、ジエチル硫酸、エチレンイミン、およびN-ニトロソ-N-エチル尿素が含まれるが、これらに限定されない。あるいは、X線またはガンマ線などの線源からの電離放射線が使用されてもよい。
【0091】
本発明の所望の破壊を含有する植物は、別の植物に破壊を導入するために他の植物と交配することができる。これは、標準的育種技法を用いて行うことができる。
【0092】
相同的組換えも本発明の破壊を導入するのに使用することができる。相同的組換えは植物において実証されている。相同的組換えは、インビボで目的とする遺伝子を特異的に標的とすることにより、標的遺伝子改変を誘導するのに使用することができる。選択された遺伝子配列の選択された部分(5'上流、3'下流、および遺伝子内領域を含む)における変異は、標準的技法を用いてインビトロで作製され、所望の植物に導入される。変異遺伝子は、野生型遺伝子の相同的組換えおよび標的置換がトランスジェニック植物で生じるように標的野生型遺伝子と相互作用するであろう。
【0093】
ヒトおよび動物により消費され得る本発明の非自然発生植物は、例えば直接、またはそれ自体が公知の調製後に、食料または飼料として使用することもできる。
【0094】
本発明は、さらに、食料または飼料、医薬品またはファインケミカルを生産するための、本発明の上記の非自然発生植物、ならびに細胞、細胞培養物、部分(例えば、根、葉などの)、およびこれらに由来する種子、塊茎、ビートの根/肥大した直根または果実などの非自然発生繁殖材料の使用に関する。
【0095】
以下において、本発明は、例としてさらに記載される。