特許第6129774号(P6129774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6129774
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20170508BHJP
   F16H 1/16 20060101ALI20170508BHJP
   F16C 25/08 20060101ALI20170508BHJP
   F16C 35/077 20060101ALI20170508BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   B62D5/04
   F16H1/16 Z
   F16C25/08 Z
   F16C35/077
   F16C19/06
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-60577(P2014-60577)
(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公開番号】特開2015-182597(P2015-182597A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146010
【氏名又は名称】株式会社ショーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克人
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−270943(JP,A)
【文献】 特開2013−203267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
F16C 19/06
F16C 25/08
F16C 35/077
F16H 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を受けて回転するウォームギヤと、
前記ウォームギヤに接続されてステアリングホイールに操舵補助力を与えるウォームホイールと、
前記ウォームギヤを回転可能に支持する軸受部と、
前記軸受部を一方向に付勢し前記ウォームギヤを前記ウォームホイール側に押しつける付勢部と、
前記軸受部を支持するとともに、当該軸受部の前記一方向に沿う移動を案内する支持部と、
前記軸受部が前記一方向とは反対方向に移動し突き当たる箇所であって、当該軸受部の周方向において、前記付勢部を挟んで対峙する位置にそれぞれ設けられる緩衝機構とを備えることを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記一方向に沿って形成される面であり前記軸受部の当該一方向に沿う移動を案内するガイド面を有し、
前記緩衝機構は、前記ガイド面よりも弾性変形しやすい弾性部材を有することを特徴とする請求項1記載のパワーステアリング装置。
【請求項3】
前記緩衝機構は、前記支持部における前記ガイド面以外の箇所に設けられることを特徴とする請求項2記載のパワーステアリング装置。
【請求項4】
前記軸受部が前記一方向に移動し突き当たる箇所に他の緩衝機構を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のパワーステアリング装置。
【請求項5】
駆動力を受けて回転するウォームギヤと、
前記ウォームギヤに接続されてステアリングホイールに操舵補助力を与えるウォームホイールと、
前記ウォームギヤを回転可能に支持する軸受部と、
前記軸受部を一方向に付勢し前記ウォームギヤを前記ウォームホイール側に押しつける付勢部と、
前記軸受部を支持するとともに、当該軸受部の前記一方向に沿う移動を案内する支持部と、
前記軸受部が前記一方向とは反対方向に移動し突き当たる箇所に設けられる緩衝機構と
前記軸受部が前記一方向に移動し突き当たる箇所に他の緩衝機構
を備えることを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記軸受部の中心を挟んで前記付勢部と反対側の位置において周方向の一部が切り離された円筒状の部材を有し、
前記緩衝機構は、前記支持部における前記切り離された箇所以外に設けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のパワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の電動パワーステアリング装置では、組立時に、ウォームギヤ等の部品の寸法誤差に影響されることなくウォームギヤとウォームホイールの軸間距離を簡易に設定するとともに、組立後に、ウォームギヤとウォームホイールの噛合いが経時変化した場合であっても、それらの軸間距離を簡易に調整し、それらのバックラッシュを除去することが必要とされる。
【0003】
例えば、特許文献1には、ウォームギヤとウォームホイールとの噛合い部に予圧を加えるように、ウォームギヤの先端軸部を支持する軸受を所定の予圧方向へ付勢する予圧手段を有する電動パワーステアリング装置が開示されている。そして、この予圧手段による付勢力により、ウォームギヤとウォームホイールの軸間距離を調整し、それらのバックラッシュを除去することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3646205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ウォームギヤとウォームホイールとの噛合い部に予圧を加える構成においては、ウォームギヤとウォームホイールの噛合い反力により、軸受が、予圧が加えられる向きとは反対向きに力を受けることがある。この反対向きの力を受けた軸受は、移動して他の部材と衝突し、例えば異音を発生させることが想定される。
本発明の目的は、軸受部の一方向に沿った移動を確保しつつ、軸受部が受ける衝撃を緩和することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明は、駆動力を受けて回転するウォームギヤと、前記ウォームギヤに接続されてステアリングホイールに操舵補助力を与えるウォームホイールと、前記ウォームギヤを回転可能に支持する軸受部と、前記軸受部を一方向に付勢し前記ウォームギヤを前記ウォームホイール側に押しつける付勢部と、前記軸受部を支持するとともに、当該軸受部の前記一方向に沿う移動を案内する支持部と、前記軸受部が前記一方向とは反対方向に移動し突き当たる箇所に設けられる緩衝機構とを備えることを特徴とするパワーステアリング装置である。
ここで、前記支持部は、前記一方向に沿って形成される面であり前記軸受部の当該一方向に沿う移動を案内するガイド面を有し、前記緩衝機構は、前記ガイド面よりも弾性率が高い弾性部材を有するとよい。
また、前記緩衝機構は、前記支持部における前記ガイド面以外の箇所に設けられるとよい。
また、前記緩衝機構は、前記軸受部の周方向において、前記付勢部を挟んで対峙する位置にそれぞれ設けられるとよい。
また、前記軸受部が前記一方向に移動し突き当たる箇所に他の緩衝機構を有するとよい。
また、前記支持部は、前記軸受部の中心を挟んで前記付勢部と反対側の位置において周方向の一部が切り離された円筒状の部材を有し、前記緩衝機構は、前記支持部における前記切り離された箇所以外に設けられるとよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、軸受部の一方向に沿った移動を確保しつつ、軸受部が受ける衝撃を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電動パワーステアリング装置の概略上面図である。
図2図1に示す電動パワーステアリング装置のII−II線の断面図である。
図3図2に示す電動パワーステアリング装置のIII−III線の断面図である。
図4】アシスト部の分解斜視図である。
図5】伝達機構の分解斜視図である。
図6図3に示す予圧機構のVI−VI線の断面図である。
図7】(a)は軸受ケースの斜視図であり、(b)は軸受ケースの正面図である。
図8】(a)は軸受ケースおよび緩衝部材の正面図であり、(b)は緩衝部材の斜視図である。
図9】本実施の形態とは異なり緩衝部材を備えない予圧機構の動作を説明する図である。
図10】(a)および(b)は、緩衝部材の変形例を示す図である。
図11】(a)乃至(d)は、緩衝部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔電動パワーステアリング装置1の全体構成〕
図1は、電動パワーステアリング装置1の概略上面図である。
図2は、図1に示す電動パワーステアリング装置1のII−II線の断面図である。
本実施形態の電動パワーステアリング装置1は、乗り物の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置であり、本実施形態においては車両、特に自動車に適用した構成を例示している。また、本実施形態の電動パワーステアリング装置1は、いわゆるピニオンアシストタイプの装置である。
【0010】
図1に示すように、電動パワーステアリング装置1は、ドライバが操作するホイール状のステアリングホイール(不図示)からの操舵力が伝達される入力部10と、例えばタイヤ(不図示)に連結してタイヤの向きを変更するラック軸21と、入力部10からトルクを受けてラック軸21を軸方向に移動させるピニオン軸22(図2参照)とを備える。
また、電動パワーステアリング装置1は、ラック軸21の端部に設けられてナックルアーム(不図示)を介して例えばタイヤに連結するタイロッド23A,23Bと、各種部材を収容するハウジング30と、ピニオン軸22に操舵補助力を与えるアシスト部40とを備えている。
【0011】
また、図2に示すように、電動パワーステアリング装置1は、ラック軸21をピニオン軸22に向けて押し込むラックガイド24と、ステアリングホイールの操舵トルクを検出するトルク検出装置50と、電子制御ユニット(ECU)60とを備える。
【0012】
入力部10は、図2に示すように、ドライバが操作するハンドルからの操舵力が伝達される入力軸11と、入力軸11の内側に取り付けられるトーションバー12とを有している。
【0013】
ラック軸21は、長尺状の円柱形状の部材であって、軸方向に並べられた複数の歯によって構成されるラック21Rを有する。また、ラック軸21は、ラック21Rがピニオン軸22の後述するピニオン22Pに噛み合って取り付けられる。そして、ラック軸21は、ピニオン軸22の回転を受けて軸方向に移動する。
【0014】
ピニオン軸22は、図2に示すように、ピニオン22Pが形成された部材である。そして、上述のとおり、ピニオン軸22は、ピニオン22Pがラック軸21のラック21Rに接続する。そして、ピニオン軸22とラック軸21とによって、ピニオン軸22の回転力をラック軸21の軸方向の移動に変換する。
また、ピニオン軸22は、トーションバー12に接続される。従って、ピニオン軸22は、トーションバー12を介して入力軸11から操舵力を受けて回転する。また、本実施形態では、ピニオン軸22には、アシスト部40の後述するウォームホイール43が接続する。従って、ピニオン軸22は、入力軸11からの操舵力に加えてアシスト部40からの補助操舵力を受けて回転する。
【0015】
図1に示すように、ハウジング30は、主にラック軸21およびを収納するラックハウジング31Rと、主にピニオン軸22(図2参照)を収納するピニオンハウジング31Pとによって構成される。
ラックハウジング31Rは、軸方向に長く伸びる略円筒状の部材であって、ラック軸21の軸方向に沿うように構成される。そして、ラックハウジング31Rは、不図示のブッシュを介してラック軸21を保持し、ラック軸21を軸方向に移動可能に収納する。
【0016】
ピニオンハウジング31Pは、略円筒状の概形を有している。そして、ピニオンハウジング31Pは、ラックハウジング31Rの軸方向に対してして円筒軸方向が交差する方向に設けられる。このピニオンハウジング31Pは、図2に示すように、第1軸受35および第2軸受36を介してピニオン軸22を回転可能に保持する。また、ピニオンハウジング31Pの開口部には、カバー33が取り付けられる。カバー33は、第3軸受37を介して入力軸11を回転可能に保持する。
【0017】
なお、図示の例においては、ピニオン軸22の軸方向における中央部側から端部側に向けてウォームホイール43、第1軸受35および第2軸受36の順で配置されている。また、ピニオンハウジング31Pにおいて、ウォームホイール43を内側に収容する部分を第1外周部31A、第1軸受35を内側に収容する部分を第2外周部31B、第2軸受36を内部に収容する部分を第3外周部31Cとする。
【0018】
アシスト部40は、図2に示すように、電動モータ41と、ウォームギヤ42と、ウォームホイール43とを備えて構成される。
電動モータ41は、電子制御ユニット60により制御されて、ウォームギヤ42を回転駆動する。
ウォームギヤ42は、電動モータ41の出力軸41A(図3参照、後述)に連結される。
ウォームホイール43は、ウォームギヤ42に連結され、電動モータ41からの駆動力が伝達される。従って、電動モータ41の回転力がウォームホイール43により減速されてピニオン軸22に伝達される。
なお、このアシスト部40の詳細な構成については後述する。
【0019】
トルク検出装置50は、入力軸11とピニオン軸22との相対角度に基づいて、言い換えればトーションバー12の捩れ量に基づいてステアリングホイールの操舵トルクを検出する。トルク検出装置50によって検出した操舵トルクは、電子制御ユニット60に送られる。
電子制御ユニット60は、各種演算処理を行うCPUと、CPUにて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROMと、CPUの作業用メモリ等として用いられるRAMとを有する。そして、トルク検出装置50から得た操舵トルクに基づいて、アシスト部40の電動モータ41の駆動を制御する。
【0020】
以上のように構成された電動パワーステアリング装置1においては、ステアリングホイールに加えられた操舵トルクが入力軸11とピニオン軸22との相対回転角度として現れることから、トルク検出装置50が入力軸11とピニオン軸22との相対回転角度に基づいて操舵トルクを把握する。そして、トルク検出装置50の出力値に基づいて電子制御ユニット60が操舵トルクを把握し、把握した操舵トルクに基づいて電動モータ41の駆動を制御する。
【0021】
そして、電動モータ41の発生トルクは、ウォームギヤ42およびウォームホイール43を介してピニオン軸22に伝達される。これにより、電動モータ41の発生トルクが、ステアリングホイールに加えるドライバの操舵力をアシストする。つまり、ピニオン軸22は、ステアリングホイールの回転によって発生する操舵トルクと電動モータ41から付与される補助トルクとで回転する。さらに、ピニオン軸22の回転を受けてラック軸21が軸方向に移動することで舵が切られる。
【0022】
〔アシスト部40の詳細構成〕
図3は、図2に示す電動パワーステアリング装置1のIII−III線の断面図である。
図4は、アシスト部40の分解斜視図である。
図5は、伝達機構44の分解斜視図である。
次に、図3乃至図5を参照しながら、電動パワーステアリング装置1(図1参照)におけるアシスト部40の詳細構成について説明をする。
【0023】
上述のように、アシスト部40は、電動モータ41と、電動モータ41の駆動を受けて回転するウォームギヤ42と、ウォームギヤ42に接続して回転するウォームホイール43とを備える。
また、アシスト部40は、電動モータ41の駆動をウォームギヤ42に伝達する伝達機構44と、ウォームギヤ42を支持する支持機構45と、ウォームギヤ42とウォームホイール43との噛み合い部に予圧を与える予圧機構46とを備える。なお、予圧機構46については後述する。
【0024】
電動モータ41は、駆動力を受けて回転する出力軸41Aを備える。この電動モータ41は、例えば3相ブラシレスモータである。
ウォームギヤ42は、歯部42Aと、歯部42Aを挟んで両側に位置する軸部42B,42Cと、軸部42Bに設けられたフランジ部42Dを備える。
ウォームホイール43は、ウォームギヤ42の歯部42Aと接続されるとともに、ピニオン軸22に対して固定して設けられる。
【0025】
図5に示すように、伝達機構44は、第1カップリング44Aと、コイルばね44Bと、弾性継手44Cと、第2カップリング44Dとを備える。
ここで、第1カップリング44Aは、略円盤状の部材である本体44Eと、本体44Eの中心部に設けられる貫通孔44Fと、本体44Eにおける端面の外周側で端面から軸方向に突出して設けられる複数の羽根部44Gとを備える。この第1カップリング44Aは、貫通孔44Fに出力軸41Aを圧入することにより、出力軸41Aに対して固定される。
コイルばね44Bは、第1カップリング44Aと第2カップリング44Dとの間に圧縮状態で装填される。このコイルばね44Bは、ウォームギヤ42の軸方向に生じる振動を弾性変形により吸収する。
【0026】
弾性継手44Cは、中心部に設けられる貫通孔44Iと、貫通孔44Iの外周に放射状をなす複数の突起部44Jとを備える。ここで、第1カップリング44Aの羽根部44Gは、周方向で相隣る各突起部44Jによって形成される複数の対向間隙の一部に嵌め合わされるように配置される。弾性継手44Cは、エチレンプロピレンゴム等の弾性部材からなり、ウォームギヤ42の軸方向に生じる振動を弾性変形により吸収する。
第2カップリング44Dは、略円盤状の部材である本体44Lと、本体44Lの中心部に設けられる貫通孔44Mと、本体44Lにおける端面の外周側で端面から軸方向に突出して設けられる複数の羽根部44Nとを備える。ここで、第2カップリング44Dの羽根部44Nは、弾性継手44Cの周方向で相隣る各突起部44Jの対向間隙のうち、第1カップリング44Aの羽根部44Gが配置されていない対向間隙に嵌め合わされるように配置される。この第2カップリング44Dは、貫通孔44Mにウォームギヤ42の軸部42Bを圧入することにより、ウォームギヤ42に対して固定される。
【0027】
次に、再び図3および図4を参照しながら、支持機構45について説明をする。支持機構45は、第1軸受45Aと、第2軸受(軸受部)45Bと、ベアリングナット45Cとを備える。
ここで、第1軸受45Aは、外輪が第1外周部31Aに固定され、内輪はウォームギヤ42の軸部42Bを圧入することにより、ウォームギヤ42に対して固定される。図示の例においては、第1軸受45Aは、軸部42Bのフランジ部42Dと第2カップリング44Dとにより挟持されるように配置される。
第2軸受45Bは、外輪が軸受ケース46A(後述)によって支持され、内輪は、ウォームギヤ42の軸部42Cを圧入することにより、ウォームギヤ42に対して固定される。
ベアリングナット45Cは、第1外周部31Aに螺着されて固定される。このベアリングナット45Cは、第1軸受45Aの外輪を保持する。すなわち、第1軸受45Aの外輪は、ベアリングナット45Cを介して第1外周部31Aに固定される。
【0028】
〔予圧機構46の詳細構成〕
図6は、図3に示す予圧機構46のVI−VI線の断面図である。
図7(a)は軸受ケース46Aの斜視図であり、(b)は軸受ケース46Aの正面図である。
図8(a)は軸受ケース46Aおよび緩衝部材46Bの正面図であり、(b)は緩衝部材46Bの斜視図である。
次に図4乃至図8を参照しながら、予圧機構46の詳細構成について説明をする。
予圧機構46は、支持部の一例である軸受ケース46Aと、緩衝機構の一例である緩衝部材46Bと、円筒部材46Cと、付勢部の一例であるコイルばね46Dと、キャップ46Eとを備える。
【0029】
図7に示すように、軸受ケース46Aは、含油ポリアセタール樹脂などの合成樹脂からなる無給油ブッシュである。この軸受ケース46Aは、周方向の1ヵ所(第2軸受45Bの中心を挟んでコイルばね46Dと反対側の位置)を切り離した略C字状の略環状体である本体46Fと、本体46Fの外周の周方向の1ヵ所から半径方向外側に突出する略円筒状の筒突部46Gとを備える。
【0030】
また、軸受ケース46Aは、本体46FのC字状に切り離されて周方向で相対する一方の端部であって本体46Fの軸方向の一端面の側に設けられた突片46Hと、他方の端部であって本体46Fの軸方向の一端面の側に設けられた突片46Iとを備える。
また、軸受ケース46Aは、本体46Fの内周面46Kであって本体46Fの中心軸を挟んで対峙する位置に設けられた2つの平面であるガイド面46Lを備える。また、軸受ケース46Aは、本体46Fの内部と筒突部46Gの内部とを、外部と連続させるよう貫通するばね挿通孔46Mを備える。
この軸受ケース46Aは、外力を受けると、C字状に切り離されて周方向で相対する端部どうしの距離を変化させ、径の大きさが変化する。また、軸受ケース46Aは、外力を受けていない状態(自然状態)よりも径が小さい状態(縮径状態)においては、突片46Hと突片46Iは周方向の一定範囲にて相並び得るように設定されている。また、自然状態にある軸受ケース46Aの内径は、第2軸受45Bの外径よりも大きくなる寸法で形成されている。
【0031】
次に、緩衝部材46Bについて説明をする。
緩衝部材46Bは、図8(a)および(b)に示すように、軸受ケース46Aの内周面46Kに沿って設けられる薄板状の部材である。この緩衝部材46Bは、軸受ケース46Aの本体46F、さらに言うと本体46Fのガイド面46Lあるいは内周面46Kよりも弾性率(弾性力)が高い部材(弾性部材)により形成された部材である。
緩衝部材46Bは、図8(b)に示すように、軸受ケース46Aの内周面46Kに沿うよう湾曲した薄板を内周面46Kに貼り付けることにより設けてもよいし、あるいは平面状の薄板を軸受ケース46Aの内周面46Kに湾曲させながら貼り付けながら設けてもよい。
この緩衝部材46Bとしては、ポリウレタンやポリスチレン等の合成樹脂(弾性樹脂)や、天然ゴム等周知の弾性部材が例示される。この緩衝部材46Bが設けられていることにより、予圧方向(後述)に移動する第2軸受45Bが、内周面46Kに突き当たる際の衝撃が低減される。
【0032】
ここで、図8(a)に示すように、緩衝部材46Bは、本体46Fの内周面46Kの周方向の一部に沿って設けられる。具体的には、緩衝部材46Bは、内周面46Kの周方向においてばね挿通孔46M(コイルばね46D)を挟んで対峙する複数の箇所(2箇所)に設けられている。さらに説明をすると、緩衝部材46Bは、内周面46Kにおける予圧方向(後述、矢印B参照)の上流側に設けられる。さらに言い替えると、緩衝部材46Bは、内周面46Kにおける突片46Hおよび突片46Iと対峙する位置に設けられている。付言すると、緩衝部材46Bは、第2軸受45Bが一方向とは反対方向に移動し突き当たる箇所に設けられる。
また、緩衝部材46Bは、ガイド面46Lには設けられず、ガイド面46Lよりも予圧方向の上流側に設けられる。このことにより、緩衝部材46Bは、第2軸受45Bの予圧方向における移動を妨げない。
【0033】
ここで、図6に示すように、緩衝部材46Bの厚さ(径方向の長さ)46Tは、予圧方向(後述、矢印B参照)に付勢され内周面46Kに突き当てられた第2軸受45Bの外周面から、緩衝部材46Bが離間する程度の寸法である。言い替えると、緩衝部材46Bの厚さ46Tは、第2軸受45Bが、予圧方向において、緩衝部材46Bと接触することなく移動することを許容する寸法である。
【0034】
さて、円筒部材(シートラバー)46Cは、コイルばね46Dが挿入可能な寸法の内径を有する。この円筒部材46Cは、内周面を介して、弾性変形するコイルばね46Dの外周面を支持する。
コイルばね46Dは、第2軸受45Bの外周面と、キャップ46Eの端面との間に圧縮状態で装填される。
キャップ46Eは、略円盤状の部材であり、外周面に雄ねじが形成されている。このキャップ46Eは、環状凹部31F(後述)の雌ねじに螺合することにより、第1外周部31Aに対して固定される。
【0035】
さて、上記では説明を省略したが、第1外周部31Aは、軸受ケース46Aを収容する略円柱状の空間であり自然状態の軸受ケース46Aの外径よりも内径が小さい収容空間31Dと、筒突部46Gを内部に挿入するとともに収容空間31Dと第1外周部31Aの外側とを連続させる貫通孔31Eと、貫通孔31Eの開口に設けられる環状凹部31Fを備える。なお、この環状凹部31Fの内周面には雌ねじが形成されている。
【0036】
次に、図6を参照しながら、予圧機構46の組み上げ手順の概略について説明をする。まず、自然状態である軸受ケース46Aの内部に、第2軸受45Bを配置する。そして、筒突部46Gを貫通孔31E内に挿入しながら、第2軸受45Bとともに本体46Fを第1外周部31Aの収容空間31D内に配置する。このとき、軸受ケース46Aは、自然状態から縮径状態となり、本体46Fの内周面46Kによって、第2軸受45Bの外周が保持(収容)される。
【0037】
次に、ばね挿通孔46M(図7参照)に円筒部材46Cが挿入され、さらにこの円筒部材46Cにはコイルばね46Dが挿入される。そして、キャップ46Eが環状凹部31Fに螺合して固定される。キャップ46Eが固定された状態において、円筒部材46C内に挿入されたコイルばね46Dは、一端が第2軸受45Bの外周面とキャップ46Eとの間に圧縮状態で装填される。
【0038】
以上のように組み上げられた予圧機構46においては、第2軸受45Bは、コイルばね46Dにより押圧され、ウォームホイール43(図3参照)側に付勢される(矢印B参照)。このことにより、図3に示すように、ウォームギヤ42がウォームホイール43に押しつけられ、ウォームギヤ42とウォームホイール43との噛み合い部に予圧が与えられる。この予圧により、ウォームギヤ42とウォームホイール43との噛み合い部におけるバックラッシュが抑制される。
また、軸受ケース46Aにおいては、ガイド面46Lが形成されていることにより、第2軸受45Bが予圧方向に沿って移動する。このことにより、ウォームギヤ42とウォームホイール43との噛み合い位置を適正に保つとともに、噛み合い反力の変動によるウォームギヤ42のラジアル方向への移動が円滑となる。
【0039】
なお、収容空間31D内に配置された状態において、軸受ケース46Aのガイド面46Lは、互いに対峙するとともに、予圧方向(矢印B参照)に沿って延びる。さらに説明をすると、ガイド面46Lは互いに略平行となる。なお、ここでの略平行とは、第2軸受45Bが予圧方向に沿って移動することを妨げない程度の角度であることをいう。
また、第2軸受45Bは、予圧方向と交差(直交)する方向においては、ガイド面46Lによって挟まれた状態となる。
【0040】
〔緩衝部材46Bの作用〕
図9は、本実施の形態とは異なり緩衝部材46Bを備えない予圧機構460の動作を説明する図である。なお、図9の予圧機構460と、本実施の形態の予圧機構46(図6参照)との相違点は、緩衝部材46Bの有無であり、図9においては予圧機構460を構成する機能部材は、図6の予圧機構46と対応する。また、図9においては、予圧機構460の機能部材のうち、要部のみを示し、一部の記載を省略している。
【0041】
次に、図6および図9を参照しながら、緩衝部材46Bの作用について説明をする。
まず、図9(a)および(b)に示すように、本実施の形態とは異なり緩衝部材46Bを備えない予圧機構460の動作を説明する。図9(a)に示すように、通常の状態においては、コイルばね46Dの弾性力により第2軸受45Bがウォームホイール43側(一方向、図中矢印B参照)に付勢される。このとき、第2軸受45Bは、コイルばね46Dとは反対側の内周面46Kに突き当てられた状態である。
【0042】
ここで、電動パワーステアリング装置1が備えられる車両が路面の凹凸を通過したり、ドライバが操作するステアリングホイール(不図示)が急激に操作されたりすることにより、予圧機構460が衝撃(外力、大入力)を受けることがある。そして、この大入力の向きによっては、図9(b)に示すように、第2軸受45Bが、ガイド面46Lに沿ってウォームホイール43から離間する向き(一方向とは反対方向、図中矢印C参照)に移動し、コイルばね46D側の内周面46Kに衝突する。そして、この衝突にともない、異音が発生することや、ドライバに振動が伝わることがある。付言すると、軸受ケース46Aのガイド面46Lによって移動方向が規制されている第2軸受45Bは、コイルばね46D側の内周面46Kに衝突する際の衝撃が大きくなり得る。
【0043】
一方で、本実施の形態においては、上述のように緩衝部材46Bが設けられる。このことにより、第2軸受45Bが、軸受ケース46Aの内周面46Kに衝突する際の衝撃荷重を和らげる。また、上述のような異音の発生やドライバへ伝わる振動が低減される。
【0044】
〔緩衝部材46Bの変形例〕
図10(a)および(b)は、緩衝部材46Bの変形例を示す図である。具体的には、図10(b−1)は緩衝部材461Bの正面図であり、(b−2)は図10(b−1)に示す緩衝部材461BのXb‐Xb線の断面図である。
図11(a)乃至(d)は、緩衝部材46Bの変形例を示す図である。
なお、図10(a)および(b)、図11(a)乃至(d)において、図8に示す実施の形態と同一の構成部材については同一の符号を付け、詳細な説明は省略する。
【0045】
さて、図10(a)および(b)、図11の(a)乃至(d)を参照しながら、緩衝部材46Bの変形例について説明をする。
上述の実施の形態においては、緩衝部材46Bを、軸受ケース46Aの内周面46Kにおけるばね挿通孔46Mを挟んだ2箇所に設けることを説明したが、ばね挿通孔46Mの周囲に緩衝部材46Bが設けられる構成であれば、これに限定されるものではない。
【0046】
例えば、図10(a)に示すように、緩衝部材460Bを、軸受ケース46Aの内周面46Kにおいてばね挿通孔46Mを挟んだ2箇所、および軸受ケース46Aの内周面46Kにおいてばね挿通孔46Mとは反対側の2箇所の計4箇所に設けられる構成であってもよい。ここで、緩衝部材460Bは、それぞれ、軸受ケース46Aの周方向における、ばね挿通孔46Mとガイド面46Lとの間、ガイド面46Lと突片46H,46Iとの間に設けられている。
【0047】
ここで、図10(a)に示すように、軸受ケース46Aの内周面46Kにおいて、ばね挿通孔46Mとは反対側に緩衝部材460Bを設けることにより、上記のように大入力を受けて一旦コイルばね46D側(予圧方向の上流側)の内周面46Kに衝突した第2軸受45B(図6参照)が、コイルばね46Dの弾性力などにより元の位置に戻り、コイルばね46Dとは反対側(予圧方向の下流側)の内周面46Kに突き当てられる際の衝撃が抑制される。なお、図10(a)の構成は、第2軸受45Bが一方向に移動し突き当たる箇所に他の緩衝機構を有している構成として捉えることができる。
【0048】
また、図10(b−1)および(b−2)に示すように、緩衝部材461Bを、内周面46Kにおけるばね挿通孔46Mの外周を囲うように設ける構成であってもよい。図示の例においては、緩衝部材461Bは略円環状の部材である。
なお、詳細な説明は省略するが、緩衝部材46Bを、周方向の1箇所に設ける構成であってもよい。
【0049】
また、緩衝部材46Bの形状は、上述の図8(b)に示すような形状に限定されない。例えば、図11(a)に示す緩衝部材462Bのように、第2軸受45B(図6参照)の周方向にわたって複数設けられ、それぞれの長手方向が第2軸受45Bの軸方向に沿って延びる幅狭の板状部材を備える構成であってもよい。
あるいは、図11(b)に示す緩衝部材463Bのように、第2軸受45Bの軸方向にわたって複数設けられ、長手方向が第2軸受45Bの周方向に沿って延びる幅狭の板状部材を備える構成であってもよい。
【0050】
また、緩衝部材46Bの断面形状も、特に限定されない。例えば、図8(b)に示す薄板状の部材のように、断面略長方形の形状であってもよい。
あるいは、図11(c)に示す緩衝部材464Bのように、図11(a)のXIC-XIC線の断面形状が、軸受ケース46Aの中心側(図中下側)に向けて突出する突部464Cを有する形状であってもよい。
あるいは、図11(d)に示す緩衝部材465Bのように、断面形状が、軸受ケース46A(図10参照)の中心側(図中下側)に向けて突出する突部465Cを連続して複数有する形状であってもよい。
【0051】
ここで、例えば緩衝部材464Bのように、軸受ケース46Aの中心側に向けた突部を形成することにより、緩衝部材464Bは、第2軸受45Bが衝突する際には突部464Cの先端部分で荷重を受け、第2軸受45Bの移動が進むに従い大きな面で荷重を受ける状態となる。このことにより、第2軸受45Bと衝突(接触)を開始する際の衝撃を抑制しつつ、第2軸受45Bの移動を抑制するのに十分な押圧力が確保される。
さて、上記の緩衝部材46B,460B乃至465Bは、軸受ケース46Aの内周面46Kに設けられていればよい。したがって、緩衝部材46B,460B乃至465Bは、接着材により軸受ケース46Aの内周面46Kに固定されてもよいし、あるいは、塗布や蒸着により、軸受ケース46Aの内周面46Kに形成されてもよい。
【0052】
また、上記の緩衝部材46B,460B乃至465Bは、略板状の弾性力が高い部材であることを説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、板ばねやコイルばねなどのばね部材を用いた構成であってもよい。
さらに、軸受ケース46Aにおいて、予圧方向に沿って移動する第2軸受45Bが突き当たる箇所に別部材を設ける構成に限定されるものではなく、当該箇所自体を他の部分よりも弾性力が高い部材によって形成してもよい。あるいは、第2軸受45Bおよび突き当たる箇所に磁石を設けるとともに、対峙する磁極を同一とすることで、第2軸受45Bおよび突き当たる箇所が磁力により反発するよう構成してもよい。
【0053】
さて、上記の説明においては、軸受ケース46Aの本体46Fが、周方向の1ヵ所を切り離した略C字状の略環状体であることを説明したが、周方向において切り離された箇所を有さず、連続した略環状体として構成されてももちろんよい。
【0054】
また、上記の説明においては、軸受ケース46Aの内周面46K上に緩衝部材46Bを設けることを説明した。この構成においては、軸受ケース46Aの内周面46Kにおける他の部分よりも、緩衝部材46Bが径方向内側に突出している構成である。
しかしながら、この構成に限定されるものではなく、例えば内周面46Kにおける緩衝部材46Bを設ける箇所に、緩衝部材46Bの厚みと対応する深さの凹部を形成し、この凹部内に緩衝部材46Bを配置する構成であってもよい。すなわち、軸受ケース46Aの内周面46Kにおける他の部分と、緩衝部材46Bの内周面とが一致している構成である。
【0055】
上記では種々の変形例を説明したが、これらの変形例どうしを組み合わせて構成してももちろんよい。
また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…電動パワーステアリング装置、21…ラック軸、42…ウォームギヤ、43…ウォームホイール、46…予圧機構、46A…軸受ケース、46B…緩衝部材、46D…コイルばね、46L…ガイド面、46M…ばね挿通孔
図1
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