(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物躯体への取付状態で上下方向に並ぶ複数枚の外壁パネルを、前記建物躯体への取付け用の下地となり、前記外壁パネルの横幅方向に並んでそれぞれ上下方向に延びる複数本の断面C字状またはパイプ状の胴縁に、前記建物躯体の外壁パネル取付け箇所とは別の場所で組み付けて下地一体型の外壁パネルユニットとする作業に用いる地組架台であって、 自立する地組架台本体と、
この地組架台本体にそれぞれ取付けられ、前記外壁パネルユニットのユニット化前の前記複数本の各胴縁を、ユニット化後の配置関係でかつ立ち姿勢として、その下端および上部で位置決め状態に保持する複数の下端固定治具および上側固定治具とを備え、
前記下端固定治具が前記胴縁内の下端に嵌まり込みかつ前記胴縁を載せる形状であり、前記上側固定治具は、前記胴縁の胴縁並び方向の一側面を拘束する第1の拘束部と、前記胴縁の胴縁並び方向の他側面を拘束する第2の拘束部とを有し、これら第1および第2の拘束部は、前記地組架台本体に取付けられた水平な上側治具取付桟に互いに平行に固定されていて、
前記第1の拘束部には、前記胴縁に前後両方向に係合して前後方向の位置を拘束する部材が固定されており、前記第2の拘束部は、固定板部と、この固定板部の先端に接続されて上下に開閉自在とされた可動板部とを有し、この可動板部が上側に起立して開いた状態で、前記胴縁が前記上側固定治具から前記胴縁の前記胴縁並び方向に離間可能となる、外壁パネルの地組架台。
請求項1に記載の外壁パネルの地組架台において、前記地組架台本体に、互いに下側および上側に位置する水平な下側治具取付桟および上側治具取付桟を取付け、これら下側治具取付桟および上側治具取付桟に前記各下端固定治具および上側固定治具を取付けた外壁パネルの地組架台。
建物躯体への取付状態で上下方向に並ぶ複数枚の外壁パネルを、前記外壁パネルの横幅方向に並びそれぞれ上下方向に延びる複数本の下地である胴縁を介して建物躯体に取付ける外壁パネルの施工方法であって、
前記建物躯体の外壁パネル取付け箇所とは別の場所に設置された請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の地組架台上で前記複数枚の外壁パネルを前記複数本の胴縁に組み付けて立ち姿勢の下地一体型外壁パネルユニットとするユニット化過程と、
前記下地一体型外壁パネルユニットを前記地組架台から揚重装置で吊り上げて前記建物躯体の前記外壁パネル取付け箇所へ運搬し前記胴縁を前記建物躯体に固定する外壁パネルユニット設置過程とでなり、
前記ユニット化過程は、前記複数本の胴縁を立ち姿勢で前記地組架台に保持させる胴縁保持過程と、
保持された前記複数本の胴縁に前記複数枚の外壁パネルを取付ける外壁パネル取付け過程とを含む、
外壁パネルの施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の施工方法では、足場が必要であり、外壁パネルの荷揚げ、胴縁への外壁パネルのビス留め、目地部へのシーリングを建物躯体の外側から行う必要がある。また、外壁パネルの取付け施工の間、足場を解体できないことから、例えば外構工事など足場に影響する工事が滞留するなどの問題がある。
【0006】
この発明の目的は、建物躯体への外壁パネルの取付け施工において、下地となる複数本の胴縁に複数枚の外壁パネルを地上等で組付けて外壁パネルユニットとする作業が容易に行え、高所で個々の外壁パネルを取付ける作業が不要となり、これにより足場の設置が不要となり、足場に起因する工事の遅延などを生じさせない外壁パネルの地組架台、およびこの地組架台を用いた外壁パネルの施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の外壁パネルの地組架台は、建物躯体への取付け状態で上下方向に並ぶ複数枚の外壁パネルを、前記建物躯体への取付け用の下地となり、前記外壁パネルの横幅方向に並んでそれぞれ上下方向に延びる複数本の
断面C字状またはパイプ状の胴縁に、前記建物躯体の外壁パネル取付け箇所とは別の場所で組み付けて下地一体型の外壁パネルユニットとする作業に用いる地組架台であって、
自立する地組架台本体と、
この地組架台本体にそれぞれ取付けられ、前記外壁パネルユニットのユニット化前の前記複数本の各胴縁を、ユニット化後の配置関係でかつ立ち姿勢として、その下端および上部で位置決め状態に保持する複数の下端固定治具および上側固定治具とを備える
ことを
基本構成とする。
なお、下端固定治具、上側固定治具、および地組架台本体などの各地組架台構成体は、下端固定治具および上側固定治具に胴縁が保持された状態で、この胴縁への外壁パネルの取り付けを阻害しない形状とする。
【0008】
この構成の地組架台によると、組付け後の外壁パネルユニットにおける胴縁の間隔で複数本の胴縁を保持できるため、胴縁に複数の外壁パネルを取付けた下地一体型の外壁パネルユニットを容易に地組することができる。また、各胴縁は立ち姿勢で保持するため、立ち姿勢で外壁パネルユニットが組み上がることになる。
建物躯体へはこのように組上がった下地一体型の外壁パネルユニットを吊り上げ、その胴縁を、建物躯体に設けられたファスナ等に取付ける。この取付け作業は、建物の内側から、スラブや梁上等で行え、また個々の外壁パネルを外側から胴縁にビス止めする作業が不要になる。そのため、建物躯体への外壁パネルの取付け施工において、足場の設置が不要で、足場に起因する工事の遅延などを生じさせることがない。外壁パネル間の縦目地等の目地処理の作業は、その目地構造によっては、外壁パネルユニットの施工後に屋外から行うことが必要な場合があるが、目地処理だけであれば、簡単で処理時間も短いため、高所作業車を用いることで、足場が不要となる。
【0009】
前記基本構成において、前記地組架台本体に、互いに下側および上側に位置する水平な下側治具取付桟および上側治具取付桟を取付け、これら下側治具取付桟および上側治具取付桟に前記各下端固定治具および上側固定治具を取付けても良い。
下側治具取付桟および上側治具取付桟を設けて各下端固定治具および上側固定治具を取付けると、これらの治具の設置が簡素な構造で行える。
【0010】
この発明の外壁パネルの地組架台は、前記基本構成の外壁パネルの地組架台において、 前記下端固定治具が前記胴縁内の下端に嵌まり込みかつ前記胴縁を載せる形状であり、前記上側固定治具は、前記胴縁の胴縁並び方向の一側面を拘束する第1の拘束部と、前記胴縁の胴縁並び方向の他側面を拘束する第2の拘束部とを有し、これら第1および第2の拘束部は、前記地組架台本体に取付けられた水平な上側治具取付桟に互いに平行に固定されていて、
前記第1の拘束部には、前記胴縁に前後両方向に係合して前後方向の位置を拘束する部材が固定されており、前記第2の拘束部は、固定板部と、この固定板部の先端に接続されて上下に開閉自在とされた可動板部とを有し、この可動板部が上側に起立して開いた状態で、前記胴縁が前記上側固定治具から前記胴縁の前記胴縁並び方向に離間可能となる。
例えば、前記胴縁がリップ溝形鋼である場合、前記胴縁の前後方向の位置を拘束する前記部材が、両リップ間の開口に嵌まり込む嵌合板部であっても良い。
前記胴縁が角パイプである場合、前記胴縁の前後両方向の位置を拘束する前記部材が、前記胴縁の前面に嵌合可能な嵌合板部と、前記上側治具取付桟の上面に設けられて前記胴縁の背面に係合する基板とであっても良い。
下端固定治具が上記のように胴縁内の下端に嵌まり込みかつ前記胴縁を載せる形状であると、胴縁の下端の位置決め作業が差し込むだけで簡単に行える。組上がった外壁パネルユニットを吊り上げるときに、下端固定治具に対しては外壁パネルユニットを持ち上げると簡単に抜けるが、上側固定治具から胴縁を抜くことは困難である。しかし、上側固定治具が上記のように開閉可能であると、これを開くことで容易に胴縁を吊り上げられる。
【0011】
この発明の外壁パネルの施工方法は、建物躯体への取付け状態で上下方向に並ぶ複数枚の外壁パネルを、前記外壁パネルの横幅方向に並びそれぞれ上下方向に延びる複数本の下地である
断面C字状またはパイプ状の胴縁を介して建物躯体に取付ける外壁パネルの施工方法であって、
前記建物躯体の外壁パネル取付け箇所とは別の場所に設置された
前記この発明の地組架台上で前記複数枚の外壁パネルを前記複数本の胴縁に組み付けて立ち姿勢の下地一体型外壁パネルユニットとするユニット化過程と、
前記下地一体型外壁パネルユニットを前記地組架台から揚重装置で吊り上げて前記建物躯体の前記外壁パネル取付け箇所へ運搬し前記胴縁を前記建物躯体に固定する外壁パネルユニット設置過程とでなり、
前記ユニット化過程は、前記複数本の胴縁を立ち姿勢で前記地組架台に保持させる胴縁保持過程と、
保持された前記複数本の胴縁に前記複数枚の外壁パネルを取付ける外壁パネル取付け過程とを含む。
【0012】
この施工方法によると、下地一体型の外壁パネルユニットを地組みし、この外壁パネルユニットの胴縁を建物躯体に取付けるため、その取付け作業が建物の内側から、スラブや梁上等で行え、また個々の外壁パネルを外側から胴縁にビス止めする作業が不要になる。そのため足場の設置が不要で、足場に起因する工事の遅延などを生じさせることがない。
【発明の効果】
【0013】
この発明の外壁パネルの地組架台は、建物躯体への取付け状態で上下方向に並ぶ複数枚の外壁パネルを、前記建物躯体への取付け用の下地となり、前記外壁パネルの横幅方向に並んでそれぞれ上下方向に延びる複数本の
断面C字状またはパイプ状の胴縁に、前記建物躯体の外壁パネル取付箇所とは別の場所で組み付けて下地一体型の外壁パネルユニットとする作業に用いる地組架台であって、自立する地組架台本体と、この地組架台本体にそれぞれ取付けられ、前記外壁パネルユニットのユニット化前の前記複数本の各胴縁を、ユニット化後の配置関係でかつ立ち姿勢として、その下端および上部で位置決め状態に保持する複数の下端固定治具および上側固定治具とを備
え、前記下端固定治具が前記胴縁内の下端に嵌まり込みかつ前記胴縁を載せる形状であり、前記上側固定治具は、前記胴縁の胴縁並び方向の一側面を拘束する第1の拘束部と、前記胴縁の胴縁並び方向の他側面を拘束する第2の拘束部とを有し、これら第1および第2の拘束部は、前記地組架台本体に取付けられた水平な上側治具取付桟に互いに平行に固定されていて、前記第1の拘束部には、前記胴縁に前後両方向に係合して前後方向の位置を拘束する部材が固定されており、前記第2の拘束部は、固定板部と、この固定板部の先端に接続されて上下に開閉自在とされた可動板部とを有し、この可動板部が上側に起立して開いた状態で、前記胴縁が前記上側固定治具から前記胴縁の前記胴縁並び方向に離間可能となるため、建物躯体への外壁パネルの取付け施工において、下地となる複数本の胴縁に複数枚の外壁パネルを地上等で組付けて外壁パネルユニットとする作業が容易に行え、高所で個々の外壁パネルを取付
ける作業が不要となり、これにより足場の設置が不要となり、足場に起因する工事の遅延などを生じさせない。
【0014】
この発明の外壁パネルの施工方法は、建物躯体への取付け状態で上下方向に並ぶ複数枚の外壁パネルを、前記外壁パネルの横幅方向に並びそれぞれ上下方向に延びる複数本の下地である
断面C字状またはパイプ状の胴縁を介して建物躯体に取付ける外壁パネルの施工方法であって、前記建物躯体の外壁パネル取付け箇所とは別の場所に設置された
前記この発明の地組架台上で前記複数枚の外壁パネルを前記複数本の胴縁に組み付けて立ち姿勢の下地一体型外壁パネルユニットとするユニット化過程と、前記下地一体型外壁パネルユニットを前記地組架台から揚重装置で吊り上げて前記建物躯体の前記外壁パネル取付け箇所へ運搬し前記胴縁を前記建物躯体に固定する外壁パネルユニット設置過程とでなり、前記ユニット化過程は、前記複数本の胴縁を立ち姿勢で前記地組架台に保持させる胴縁保持過程と、保持された前記複数本の胴縁に前記複数枚の外壁パネルを取付ける外壁パネル取付過程とを含むようにしたため、建物躯体への外壁パネルの取付け施工において、足場の設置が不要で、足場に起因する工事の遅延などを生じさせることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の一実施形態にかかる外壁パネルの地組架台の主要部である地組架台本体の部分破断正面図である。
【
図5】同地組架台に胴縁を保持させた状態を示す部分省略正面図である。
【
図6】同地組架台に外壁パネルユニットを組み付けた状態を示す右側面図である。
【
図7】(A)は同地組架台における下端固定治具の平面図、(B)は同正面図、(C)は同右側面図、(D)は同下端固定治具による胴縁の保持状態を示す概略平面図である。
【
図8】(A)は同地組架台における上側固定治具の平面図、(B)は同正面図、(C)は同右側面図、(D)は同上側固定治具による胴縁の保持状態を示す概略平面図である。
【
図9】地組架台本体への下側治具取付桟および上側治具取付桟の取付構造を示す側面図である。
【
図10】地組架台で組み付けられた下地一体型外壁パネルユニットの斜視図である。
【
図12】上下に隣合う外壁パネルの境界部分の断面図である。
【
図13】外壁パネルユニットを建物躯体に取付ける作業の説明図である。
【
図15】(A)は地組架台における下端固定治具の他の例の平面図、(B)は同正面図、(C)は同右側面図、(D)は同下端固定治具による胴縁の保持状態を示す概略平面図である。
【
図16】(A)は地組架台における上側固定治具の他の例の平面図、(B)は同正面図、(C)は同右側面図、(D)は同上側固定治具による胴縁の保持状態を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
図5は、この実施形態にかかる外壁パネルの地組架台の部分省略正面図を示す。この外壁パネルの地組架台1は、
図13、
図14のように建物躯体26への取付け状態で上下方向に並ぶ複数枚の外壁パネル22を、前記建物躯体26への取付け用の棒状の下地材となり、外壁パネル22の横幅方向に並んでそれぞれ上下方向に延びる複数本の胴縁23に、前記建物躯体26の外壁パネル取付け箇所とは別の場所、例えば地上で組み付けて
図10のような下地一体型の外壁パネルユニット21とする作業に用いるものである。
【0017】
この地組架台1は、
図1〜
図4に示すように自立する地組架台本体2と、
図5に示す複数の下端固定治具3および上側固定治具4とを備える。
図1、
図2、および
図3は、前記地組架台本体2の部分破断正面図、部分破断平面図および部分破断左側面図を示し、
図4は、
図2のIV−IV矢視断面図を示す。
【0018】
図1において、前記地組架台本体2は、地組架台1の主要部となる架構であって、
図2に平面図で示すように地盤5上に所定間隔を隔てて互いに平行に配置された両側2本の長い横桁6および中央の短い横桁7と、これら横桁6,7の上に横桁6,7と直交する方向に延びて横架された前後一対の縦桁8,8と、これら縦桁8上の前記横桁6,7との各交差位置からそれぞれ垂直に立ち上げられた複数本の支柱9とを備える。横桁6,7はアンカーなどの固定具(図示せず)で地盤5に固定される。左右に隣合う支柱9,9間は、
図1のように上下2段の横桟10によって互いに連結され、前後に隣合う支柱9,9間は、
図3,
図4のように上下2段の横桟11によって互いに連結され、これにより地組架台本体2の剛性が確保されている。前記横桁6,7、縦桁8、支柱9、および横桟10,11は、H形鋼などの鋼材からなる。地盤5の表面は、地組架台1で組み付けられる外壁パネルユニット21の組付精度向上のために、地均しをするか、あるいはコンクリートなどで均しておき、水平性を保っておくのが望ましい。横桁6,7は、外壁パネル22に働く風応力などを考慮して長めに設計することで、安全度を向上させるのが望ましい。
【0019】
この地組架台本体2には、
図5のように複数の下端固定治具3および上側固定具4が、互いに共通の垂直面に位置するようにそれぞれ取付けられる。ここでは、
図2における前方(同図の下方)に位置して左右に並ぶ支柱9間の垂直面に、
図5のように下端固定治具3および上側固定具4が取付けられる。これらの下端固定治具3および上側固定具4は、前記外壁パネルユニット21のユニット化前の複数本の胴縁23の下端および上部をそれぞれ位置決め状態で保持する治具であり、これらの胴縁23を外壁パネルユニット21における胴縁23の間隔で、かつ外壁パネル22の胴縁23への取付けを阻害しない状態に保持する。また、前記支柱9の上部には、
図3、
図6のように、外壁パネル22を吊り上げるホイスト等のパネル揚重装置24が設置される。
【0020】
地組架台本体2の下端固定治具3および上側固定具4が配置される前記垂直面には、
図5のように互いに下側および上側に位置する水平な下側治具取付桟12および上側治具取付桟13が取付けられ、これら下側治具取付桟12および上側治具取付桟13に前記各下端固定治具3および上側固定治具4が取付けられる。ここでは、これら下側治具取付桟12および上側治具取付桟13が溝形鋼からなるが、この他に例えばアングル材を用いても良い。
【0021】
前記胴縁23としては、断面C字状のリップ溝形鋼が用いられ、その開口側が胴縁23の並び方向つまり外壁パネル22(
図10)の横幅方向に向くように配置される。
図7は前記下端固定治具3の具体的構成を示している。この下端固定治具3は、胴縁23内の下端に嵌まり込み、かつ胴縁23を載せる形状とされている。具体的には、下端固定治具3は、前記下側治具取付桟12の上面にボルト14で固定される胴縁載置板部3a上に、胴縁23内の下端が嵌まり込む嵌合突部3bを設けて構成される。嵌合突部3bは、中央に配置した厚板部材を左右一対の薄板部材で挟み付け溶接により一体化して構成され、その幅寸法が上方に向けて狭まるように形成されている。これにより、リップ溝形鋼からなる胴縁23内の下端に前記嵌合突部3bが容易に嵌まり込む。嵌まり込んだ胴縁23の下端面は前記胴縁載置板部3a上に当接する。
【0022】
図7(D)は、リップ溝形鋼からなる胴縁23内の下端に前記下端固定治具3の嵌合突部3bが嵌まり込んだ状態を概略平面図で示している。下側治具取付桟12における前記下端固定治具3の取付け位置の前面下部には、前記外壁パネルユニット21の最下端の外壁パネル22の下端面に当接して、その外壁パネル22の高さ位置を規制する外壁パネル受け金具15が設けられている。この外壁パネル受け金具15はアングル材などで構成される。
【0023】
図8は前記上側固定治具4の具体的構成を示している。この上側固定治具4は、胴縁23の複数の方向の外面を拘束する複数(ここでは2つ)の拘束部4a,4bを有する。具体的には、前記上側治具取付桟13の上面に固定されたアングル材などからなる基板4c上に、リップ溝形鋼からなる胴縁23の開口側の外面を拘束する第1の拘束部4aと、前記胴縁23のウェブ部側の外面を拘束する第2の拘束部4bとが、互いに平行に固定されている。第1の拘束部4aには、胴縁23の開口23aに対向する面に、前記開口23aに嵌まり込むフラットバー等の嵌合板部4aaが設けられており、これにより胴縁23の前後方向の位置規制が図られる。第2の拘束部4bは、前記基板4c上に固定される固定板部4baと、この固定板部4baの先端にヒンジ接続されて、上下に開閉自在とされた可動板部4bbとを有し、この可動板部4bbが上側に90°以上起立して開いた状態で、胴縁23が上側固定治具4から胴縁23の並び方向に離間可能となるようにされている。
図8(D)には、この上側固定治具4にリップ溝形鋼からなる胴縁23が保持された状態を概略平面図で示している。
【0024】
下端固定治具3および上側固定具4が取付けられる下側治具取付桟12および上側治具取付桟13は、
図9に示すように、アングル材16を介して前記地組架台本体2の支柱9に取付けられる。具体的には、アングル材16の一方のフランジ部16aがボルト19で前記支柱9に固定され、アングル材16の他方のフランジ部16bの上に下側治具取付桟12および上側治具取付桟13がボルト18で固定される。支柱9に固定されるフランジ部16aには上下方向に延びる長穴状のボルト挿通孔(図示せず)が設けられ、これにより下側治具取付桟12および上側治具取付桟13の高さ調整が可能とされている。また、前記他方のフランジ部16bに接する下側治具取付桟12および上側治具取付桟13の下面部には、地組架台1の前後方向に延びる長穴状のボルト挿通孔(図示せず)が設けられ、これにより下側治具取付桟12および上側治具取付桟13の前後方向の位置調整が可能とされている。
【0025】
次に、前記地組架台1を用いた外壁パネルの施工方法について説明する。
この施工方法は、
図13、
図14のように建物躯体26への取付け状態で上下方向に並ぶ複数枚の外壁パネル22を、外壁パネル22の横幅方向に並びそれぞれ上下方向に延びる複数本の下地である胴縁23を介して建物躯体26に取付ける施工方法であって、以下のユニット化過程と、外壁パネルユニット設置過程とでなる。
【0026】
前記ユニット化過程は、建物躯体26の外壁パネル取付け箇所とは別の場所、例えば地上に
図5,
図6のように設置された前記地組架台1上で前記複数枚の外壁パネル22(
図6)を前記複数本の胴縁23に組み付けて垂直姿勢の下地一体型外壁パネルユニット21とする過程である。この過程は、複数本の胴縁23を立ち姿勢で前記地組架台1に保持させる前段の胴縁保持過程と、保持された前記複数本の胴縁23に複数枚の外壁パネル22を取付ける後段の外壁パネル取付け過程とを有する。前記胴縁保持過程では、
図5のように地組架台本体2に互いに共通の垂直面に位置するようにそれぞれ取付けられた複数の下端固定治具3および上側固定治具4に、複数本の胴縁23の下端および上部をそれぞれ位置決め状態で保持させる。これにより、複数本の胴縁23は、外壁パネルユニット21における胴縁23の配置関係で、かつ立ち姿勢で保持される。
【0027】
この後の前記外壁パネル取付け過程では、高所作業車と前記地組架台1に取付けられたパネル揚重装置24を用いて、地組架台1に保持された前記複数本の胴縁23に、複数枚の外壁パネル22を上下方向に並べてビス留めすることで、
図10に示す下地一体型の外壁パネルユニット21とする。胴縁23への外壁パネル22の組付には、例えばドリル付きタッピングビスが用いられる。外壁パネル22として、ここでは
図11に示すように、ロックウール等の不燃断熱材27を鋼板28,29で挟み込んだ金属サンドイッチパネルが用いられる。
図12には、上下に隣合う外壁パネル22,22の境界部分を断面図で示している。
【0028】
前記外壁パネル設置過程では、前記下地一体型の外壁パネルユニット21をクレーン等の揚重装置25を用いて作業者40が補助しながら地組架台1から吊り上げて、
図13のように建物躯体26の外壁パネル取付け箇所へ運搬し、外壁パネルユニット21の胴縁23を建物躯体26に固定する。この固定は、例えば
図14に示すように、建物躯体26のスラブ31の端部や耐風梁32に設けられたファスナ33に、建物内側からボルト等で胴縁23を取付けることで行う。なお、胴縁23には、外壁パネルユニット21の組み立て前の素材の状態で、例えばナット(図示せず)を溶接しておく。上下に並ぶ外壁パネルユニット21同士は、連結板34等で胴縁23を連結する。これらの作業は、スラブ31上等から行える。
【0029】
地組架台1から外壁パネルユニット21を吊り上げるとき、胴縁23の下端は、下端固定治具3の嵌合突部3b(
図7)から引き抜かれることで、下端固定治具3による保持が解かれる。また、上側固定治具4では、その第2の拘束部4b(
図8)の可動板部4bbが地組架台本体2側へ開いた状態とされ、胴縁23がその並び方向にスライド可能とされる。これにより、外壁パネルユニット21の吊り上げ時に、胴縁23の上部を上側固定治具4の嵌合板部4aaから離間させることができ、上側固定治具4による胴縁23の保持が解かれる。
【0030】
このように、上記構成の地組架台1を用いた外壁パネルの取付け施工によると、地組過程において、組付け後の外壁パネルユニット21における胴縁23の間隔で複数本の胴縁23を保持できるため、胴縁23に複数の外壁パネル22を取付けた下地一体型の外壁パネルユニット21を容易に地組することができる。また、各胴縁23は立ち姿勢で保持するため、立ち姿勢で外壁パネルユニット21が組み上がることになる。
【0031】
建物躯体26へはこのように組上がった下地一体型の外壁パネルユニット21を吊り上げ、その胴縁23を、建物躯体26に設けられたファスナ33等に取付けることになる。この取付け作業は、建物の内側から、スラブ31や梁上等で行え、また個々の外壁パネル22を外側から胴縁にビス止めする作業が不要になる。そのため、建物躯体26への外壁パネル22の取付け施工において、足場の設置が不要となる。このため、躯体工事終了後は足場の早期解体が見込め、足場費用の削減が期待できる。また、早期の足場撤去により、これまで外部足場の撤去時期に影響していた工事(例えば外構工事など)の早期着手ができることで、全体工期の短縮が期待できる。また、従来、高所で作業を行っていた外壁パネルのビス留めなども、地組架台1で作業できることから、作業効率の向上が見込め、人員コストの削減も可能となる。
【0032】
なお、外壁パネル22間の縦目地等の目地処理の作業は、目地の構造によっては、外壁パネルユニット21の施工後に屋外から行うことが必要な場合があるが、目地処理だけであれば、簡単で処理時間も短いため、高所作業車またはゴンドラ(いずれも図示せず)を用いることで、足場が不要となる。
【0033】
図15および
図16は、前記下端固定治具3および上側固定治具4の他の構成例を示す。この構成例は、前記胴縁23が角形パイプからなる場合に対応するものである。この場合の下端固定治具3では、
図15(A)〜(C)に平面図、正面図および側面図で示すように、その嵌合突部3bが、前後方向に延びる垂直の縦板部と、この縦板部に直交して左右に延びる前後2段の横板部とを溶接して一体化されており、その縦板部および横板部の各端部が胴縁23の下端内の4面に当接することで、角形パイプからなる胴縁23の下端内に前記嵌合突部3bが嵌合できるようにされている。
図15(D)は、その嵌合状態を概略平面図で示している。その他の構成は、
図7に示した構成例の場合と同様である。
【0034】
また、この場合の上側固定治具4では、
図16(A)〜(C)に平面図、正面図および側面図で示すように、第1の拘束部4aが角形パイプからなる胴縁23の1つの側面に対向し、その対向面の一部に前記胴縁23の前面に係合可能な嵌合板部4aaが設けられている。これにより、胴縁23は前後方向への移動が拘束される。第2の拘束部4bは
図8の構成例の場合と同様であり、この第2の拘束部4bと前記第1の拘束部4aとで胴縁23の並び方向への移動が拘束される。
図16(D)は、その保持状態を概略平面図で示している。その他の構成は、
図8に示した構成例の場合と同様である。
【0035】
なお、上記実施形態の地組架台1では、地組架台本体2の片面に下端固定治具3および上側固定治具4を取付けて、地組架台1の片面側で外壁パネルユニット21を組み付ける構成例を示したが、これに限らず地組架台本体2の前後両面にそれぞれ複数の下端固定治具3および上側固定治具4を取付けて、その両面で同時に2つの外壁パネルユニット21を組付けできるようにしても良い。