【実施例1】
【0051】
本実施例の針棒5はミシン用の針棒であり、針棒5は、
図1〜
図7に示すように構成され、全体に略円柱状を呈し、針棒本体10と、針棒本体10内に設けられるスリーブ20と、スリーブ20の開口部20a、20bにそれぞれ配置される球22と、上部シャフト34(後述)がスリーブ20内に設けられ、円板状部32と下部シャフト38が針棒本体10内に設けられたカムシャフト30と、カムシャフト30に固定して取り付けられ、針棒本体10の下方に針棒本体10に対して回転可能に設けられ、縫い針60を固定するためのジョイント50と、スリーブ20を固定して取り付けるとともに、針棒5を他の部材に固定するためのホルダ70と、ホルダ70に固定して設けられ、スリーブ20を被覆するためのカバー90とを有している。ジョイント50には、縫い針(単に「針」としてもよい)60が固定して設けられる。
【0052】
ここで、針棒本体10は、上下動スリーブ(針棒本体用スリーブ)12と、上下動スリーブ12の下端に設けられたガイドブッシュ14とを有している。針棒本体10は、外周面が円柱状(略円柱状としてもよい)を呈し、軸線に沿って穴部が形成された筒状を呈している。
【0053】
上下動スリーブ12は、円筒状を呈し、金属製である。針棒5の使用時には、
図13に示すように、この上下動スリーブ12に針棒抱き220が取り付けられる。この上下動スリーブ12の内側には、上下動スリーブ12の軸線に沿って形成された挿通穴12Kが設けられている。この挿通穴12Kは、円柱状の内周面を有している。
【0054】
また、ガイドブッシュ14は、略円筒状を呈し、円筒状に形成された本体部(ガイドブッシュ本体)16と、本体部16の下端の外周面から突出して設けられた円筒状のフランジ18とを有し、ガイドブッシュ14は、金属(具体的には、ステンレス鋼(SUS))により一体に形成されている。フランジ18の外径は、本体部16の外径よりも大きく形成され、本体部16の外径は、上下動スリーブ12の内径と略同一に形成され、本体部16は、上下動スリーブ12内に圧入により固定されている。フランジ18の外径は、上下動スリーブ12の外径と略同一(同一としてもよい)に形成されている。
【0055】
また、ガイドブッシュ14には、その軸線に沿ってカムシャフト30を挿通するための挿通穴14Kが上端から下端まで貫通して形成されている。この挿通穴14Kは、挿通穴12Kと連設され、円柱状の内周面を有している。
【0056】
針棒本体10は、以上のように形成されていて、針棒本体10において、ガイドブッシュ14の下端から上端までの部分が小径部10−1を構成し、ガイドブッシュ14の上端から上下動スリーブ12の上端までの部分が大径部10−2を構成する。大径部10−2の挿通穴の径(つまり、挿通穴12Kの径)は、小径部10−1の挿通穴の径(つまり、ガイドブッシュ14の挿通穴14Kの径)よりも大きく形成されている。なお、上下動スリーブ12の軸線とガイドブッシュ14の軸線は、針棒本体10の軸線と一致している。また、挿通穴12Kは、大径部10−2の穴部に当たり、挿通穴14Kは、小径部10−1の穴部に当たる。上記「小径部」を「穴部小径部」又は「挿通穴小径部」としてもよく、上記「大径部」を「穴部大径部」又は「挿通穴大径部」としてもよい。「小径部」を「第1構成部」とし、「大径部」を「第2構成部」としてもよい。
【0057】
また、スリーブ20は、円筒状を呈し、その下端部分には、球22を配置するための開口部20a、20bが設けられている。スリーブ20は、針棒本体10の上下動スリーブ12内に挿通して設けられ(スリーブ20の少なくとも下側の部分が上下動スリーブ12内に挿入して設けられる)、針棒本体10がスリーブ20に対して摺動可能に形成されている。すなわち、スリーブ20の外径L20は、上下動スリーブ12の内径L12以下の長さ(好適には、上下動スリーブ12の内径より小さい長さ)に形成されている。ただし、球22がスリーブ20と上下動スリーブ12間の隙間に落下しないように、上下動スリーブ12の内径とスリーブ20の外径との差の半分の値が、球22の直径よりも小さく形成されている。また、スリーブ20の外径は、小径部10−1の挿通穴14Kの径よりも大きく形成されている。スリーブ20は、金属製である。なお、「スリーブ20」を「固定スリーブ20」としてもよい。
【0058】
また、開口部20aと開口部20bとは、同大同形状に形成され、ともに円形の開口部であり、スリーブ20の軸線を挟んで互いに対向する位置に設けられている。すなわち、開口部20aの中心と開口部20bの中心を結ぶ直線は、スリーブ20の軸線と交差し、該軸線に対して直角をなす。開口部20a、20bは、スリーブ20の外周面から内周面まで貫通して形成されている。なお、開口部20a、20bの大きさは、球22が開口部20a、20b内で回転可能となるように構成され、開口部20a、20bの径の大きさは、球22の直径以上の大きさに形成されている。
【0059】
このスリーブ20の針棒本体10から上方に突出した部分、具体的には、スリーブ20の上端部分が、ホルダ70に固定して支持されるので、針棒本体10が上死点にある場合でも、針棒本体10から上方に突出して形成されている。なお、スリーブ20は、ホルダ70の上端からも上方に突出しているが、スリーブ20の上端とホルダ70の上端とを一致させてスリーブ20がホルダ70から上方に突出しないようにしてもよい。
【0060】
また、スリーブ20を構成する円筒の厚み(すなわち、スリーブ20の外径と内径の差)L1は、スリーブ20の内周から突出して球22が溝部36a、36bと係合するために、球22の直径よりも小さく形成されている。
【0061】
また、球22は、スリーブ20の開口部20aと開口部20bのそれぞれに設けられ、一対の球22における一方は、溝部36aに係合し、他方は、溝部36bに係合する。球22は、球状を呈し、具体的には、クローム球により形成されているが、カーボン球のように他の鋼球でもよく、ステンレス、セラミック等他の材質により構成してもよい。開口部20aは一方の開口部であり、開口部20bは他方の開口部であり、溝部36aは一方の溝部であり、溝部36bが他方の溝部である。
【0062】
また、カムシャフト30は、円板状部32と、円板状部32の上面から上方に伸びた上部シャフト34と、円板状部32の下面から下方に伸びた下部シャフト
38とを有し、全体に金属(具体的には、ステンレス鋼(SUS))により一体に形成されている。
【0063】
円板状部32は、円板状(円柱状としてもよい)を呈し、その外径(「直径」又は「径」としてもよい)L32は、上下動スリーブ12内を回転可能に上下動スリーブ12の内径以下の長さ(好適には、上下動スリーブ12の内径より小さい長さ)に形成され、ガイドブッシュ14の内径(すなわち、小径部10−1の挿通穴の径)よりも大きい長さに形成されている。円板状部32は、上下動スリーブ12内に配置され、ガイドブッシュ14の上面に載置されている。
【0064】
上部シャフト34は、軸状を呈し、その周面に一対の溝部36a、36bが形成されている。つまり、溝部36aと溝部36bとは、カムシャフト30の軸線を介して互いに対応する位置に設けられ、溝部36aと溝部36bは、カムシャフト30の軸線を挟んで点対称に形成されている。上部シャフト34は、円柱状の軸状部材に一対の溝部36a、36bを形成した構成となっている。
【0065】
また、溝部36a、36bは上側に設けられた直線状部と該直線状部から下方に連設された螺旋状部とを有し、例えば、溝部36aは、直線状部36a−1と螺旋状部36a−2とを有し、溝部36bは、直線状部36b−1と螺旋状部36b−2とを有している。直線状部36a−1、36b−1は、カムシャフト30の軸線と平行な直線状の溝部となっている。また、螺旋状部36a−2、36b−2の上端から下端までの回転角度は約120度(丁度120度でもよい)となっていて、例えば、螺旋状部36a−2の上端における溝部の中心位置36Pは、螺旋状部36a−2の下端位置では、上端位置に対して約120度回転した位置となっている。螺旋状部36a−2と螺旋状部36b−2が螺旋状の溝部となる。つまり、
図7において、αは約120度となっている。
【0066】
なお、螺旋状部36a−2、36b−2の形成方向は、針棒5が下死点から上死点に移行する際に、上方からみてカムシャフト30が左周りとなる方向となっている。つまり、螺旋状部36a−2、36b−2は、上部シャフト34の周面に右回りの方向に形成されている。すなわち、螺旋状部36a−2、36b−2は、右回り方向の螺旋状(右回りの螺旋状としてもよい)に形成されている。これにより、縫い針60は、針棒5が下死点から上死点に移行する際には、上方から見て左回りに回転し、針棒5が上死点から下死点に移行する際には、上方から見て右回りに回転する。
【0067】
また、溝部36aの溝の深さは、球22が開口部20a内に配置された状態で溝部36aに係合する程度に形成され、同様に、溝部36bの溝の深さは、球22が開口部20b内に配置された状態で溝部36bに係合する程度に形成されている。
【0068】
また、上部シャフト34の上端には、リング40を係合させるための溝部が外周面に沿って形成され、該溝部にリング40が形成されている。このリング40は、球22が開口部20a、20bから脱落してしまった場合に、球22がカムシャフト30の上端から脱落するのを防止している。
【0069】
なお、溝部36a、36bの上端は、上部シャフト34における上端近くまで形成され、溝部36a、36bの下端は、上部シャフト34における下端近くまで形成されている。
【0070】
上部シャフト34は、スリーブ20の下方からスリーブ20内に挿入して設けられ、球22が開口部20a、20b内に配置されるとともに、溝部36a、36bと係合している。なお、当然、上部シャフト34の外径(「直径」又は「径」としてもよい)L34(すなわち、上部シャフト34における溝部が形成されていない外周面で相対する外周面間の長さ)は、上部シャフト34がスリーブ20に対して回転可能な長さに形成され、具体的には、上部シャフト34の外径はスリーブ20の内径以下の長さ(好適には、スリーブ20の内径よりも小さい長さ)に形成されている。さらに、上部シャフト34の外径L34とスリーブ20の内径は、球22がスリーブ20と上部シャフト34間の隙間に落下しないように形成され、具体的には、スリーブ20の内径と上部シャフト34の外径L34との差の半分の値が、球22の直径よりも小さく形成されている。
【0071】
また、下部シャフト38は、軸状(具体的には、円柱状)を呈し、ガイドブッシュ14内を挿通して、ジョイント50に挿入可能な長さに形成されている。また、下部シャフト38の径(直径)は、ガイドブッシュ14に対して回転可能なように、ガイドブッシュ14の挿通穴14K以下の長さ(好適には、ガイドブッシュ14の挿通穴14Kより小さい長さ)に形成され、ジョイント本体52の挿通穴52Kに挿通可能な大きさに形成されている。
【0072】
なお、円板状部32の軸線と上部シャフト34の軸線と下部シャフト38の軸線とは一致するように形成されている。
【0073】
なお、カムシャフト30は、軸状のシャフト本体と、シャフト本体の上端から下端までの途中位置に設けられた円筒状の円筒状部とを有し、全体に一体に形成され、シャフト本体は、シャフト本体における円筒状部よりも上側の部分である上部シャフトと、シャフト本体における円筒状部よりも下側の部分である下部シャフトと、円筒状部の内側の部分とにより構成されているともいえる。
【0074】
また、ジョイント50は、略円筒状を呈し、下端の角部が面取りされた円筒状を呈するジョイント本体52と、ジョイント本体52のネジ穴52aに螺着されたネジ(第1ネジ)54と、ジョイント本体52のネジ穴52bに螺着されたネジ(第2ネジ)56とを有している。ジョイント50は、金属(具体的には、ステンレス鋼(SUS))により一体に形成されている。
【0075】
すなわち、ジョイント本体52の上端から下端まで貫通した挿通穴52Kがジョイント50の軸線に沿って設けられ、この挿通穴52Kに、カムシャフト30の下部シャフト38と縫い針60が挿入可能となっている。つまり、下部シャフト38は、ジョイント本体52の上側から挿入され、縫い針60は、ジョイント本体52の下側から挿入される。ジョイント本体52の側面には、カムシャフト30を固定するためのネジ54を螺着するためのネジ穴52aと、縫い針60を固定するためのネジ56を螺着するためのネジ穴52bとが、ジョイント本体52の外周面から内周面に貫通して形成されている。つまり、ネジ穴52a、52bは、ジョイント50の外側面と挿通穴52K間に形成されている。ネジ穴52aは、ネジ穴52bよりも上側に形成されている。挿通穴52Kは、下部シャフト38を挿入するとともに縫い針60を挿入する穴部であり、ネジ穴52aは、下部シャフト固定用のネジ穴であり、ネジ穴52bは、縫い針固定用のネジ穴である。
【0076】
また、ネジ54は、ネジ穴52aに螺着され、ネジ56は、ネジ穴52bに螺着される。ネジ54とネジ56は、同一の構成である。下部シャフト38を挿通穴52Kに挿入した状態でネジ穴52aにネジ54を螺着してネジ54の先端で下部シャフト38を押さえることにより下部シャフト38が固定される。つまり、ネジ54が下部シャフト38をジョイント50に固定するための固定手段となっている。また、縫い針60を挿通穴52Kに挿入した状態でネジ穴52bにネジ56を螺着してネジ56の先端で縫い針60を押さえることにより縫い針60が固定される。つまり、ネジ56が縫い針60をジョイント50に固定するための固定手段となっている。ジョイント50は、下部シャフト38と縫い針60とを接続する接続部であるといえる。
【0077】
カムシャフト30をジョイント50に固定した状態では、ジョイント50と円板状部32が、ガイドブッシュ14を挟んだ状態となっていて、ジョイント本体52の上面は、ガイドブッシュ14の下面に接した状態となっていて、ジョイント50が回転する際にも、ジョイント本体52の上面がガイドブッシュ14の下面に接した状態で回転する。
【0078】
ジョイント本体52の外径は、ガイドブッシュ14の外径と略同一(同一としてもよい)に形成され、これにより、上下動スリーブ12とガイドブッシュ14とジョイント50とは、外径が略同一(同一としてもよい)に形成され、針棒本体10とジョイント50からなる構成の外周面は、ジョイント50の下端の面取り部分を除いて、1つの円柱状の周面を構成し、面一に形成されている。
【0079】
また、縫い針60は、ジョイント本体52の挿通穴52Kに挿入しネジ56により固定することにより設けられ、ジョイント本体52の下面よりも下方に突出して設けられる。針棒5のジョイント50に縫い針60を固定することにより、針棒ユニットが構成される。つまり、針棒ユニットは、針棒5と縫い針60とで構成される。
【0080】
以上のように、カムシャフト30がジョイント50に固定されていて、縫い針60がジョイント50に固定されるので、縫い針60をジョイント50に固定した状態では、カムシャフト30とジョイント50と縫い針60とが一体に構成され(カムシャフト30とジョイント50と縫い針60とで回転ユニット65が構成される)、回転ユニット65が、針棒本体10及びスリーブ20に対して回転するようになっている。
【0081】
また、ホルダ70は、他の部材(例えば、ミシンの筐体を構成する部材)に固定するとともに、針棒5を固定するための部材であり、
図3に示すように、ホルダ本体71と、ホルダ本体71に螺着されたボルト80とを有している。ホルダ本体71は、合成樹脂により形成されている。
【0082】
ここで、ホルダ本体71は、プレート部72と、プレート72の上面から上方に突出して形成された筒状部74と、筒状部74の上端から連設された固定部76と、プレート部72の下面から下方に突出して形成された筒状部78とを有している。
【0083】
ここで、プレート部72は、平板状を呈し、スリーブ20を挿通する挿通穴(筒状部74の挿通穴と筒状部78の挿通穴とに連通した挿通穴(
図4参照))と、他の部材に固定する際のネジを挿通するための穴部72aを有している。
【0084】
また、筒状部74は、円筒状を呈し、スリーブ20を挿通可能な内径の挿通穴を有している。すなわち、筒状部74の内径は、スリーブ20の外径と同一又は若干大きい長さに形成されている。
【0085】
また、固定部76は、略円筒状を呈し、スリーブ20を挿通する挿通穴76aと、該挿通穴76aから連設されたスリット76bと、ボルト80の頭部82を配置させる切欠部76cと、ボルト80の軸部84を螺着するためのネジ穴76dを有している。
【0086】
また、筒状部78は、円筒状を呈し、スリーブ20を挿通可能な内径を有している。すなわち、筒状部78の内径は、スリーブ20の外径と同一又は若干大きい長さに形成されている。
【0087】
また、ボルト80は、ネジ溝が周面に形成された軸部84と、軸部84の端部に設けられた頭部82とを有している。
【0088】
以上のように、ホルダ70においては、固定部76の挿通穴76aと筒状部74の挿通穴とプレート部72の挿通穴と筒状部78の挿通穴とは連設され、ホルダ70においては、上端から下端までスリーブ20を挿通するための挿通穴が形成されている。
【0089】
ホルダ70においては、スリーブ20を挿通穴に挿通した状態でボルト80を締めることによりスリーブ20がホルダ70に固定して取り付けられ、また、ネジ(固定手段、固定具)86を穴部72aに挿通してプレート部72を他の部材に取り付けることにより、ホルダ70が該他の部材に取り付けられる。なお、ネジ86の代わりに他の固定手段(例えば、ボルトとナット)であってもよい。
【0090】
また、カバー90は、円筒状を呈し、その内周面がホルダ70の筒状部78の外周面に圧入等により固定して設けられている。カバー90は、金属製である。カバー90の軸線方向の長さは、針棒本体10の上端部分を被覆できる長さに形成され、具体的には、針棒本体10が下死点にある場合に、上下動スリーブ12の上端部分までを被覆する長さに形成されている。つまり、針棒本体10とスリーブ20間の隙間に埃等の混入物が混入しないように、スリーブ20の針棒本体10からの露出部分を被覆しているのである。カバー90の内径は、上下動スリーブ12の外径以上の長さ(好適には、上下動スリーブ12の外径よりも大きい長さ)に形成され、また、ホルダ70の筒状部78の外径と略同一の長さとなっている。
【0091】
上記構成の針棒5においては、ジョイント50に縫い針60を固定し、ホルダ70を他の部材に固定した状態で、針棒本体10を上下動させることにより、回転ユニット65、すなわち、カムシャフト30とジョイント50と縫い針60が回転する。すなわち、スリーブ20の開口部20a、20bに設けられた球22が溝部36a、36bに係合しているので、針棒本体10を上下動させると、球22の溝部36a、36bにおける相対的な位置が変化して、カムシャフト30が回転し、カムシャフト30が回転することによりジョイント50及び縫い針60が回転する。針棒本体10は上下動するが回転はしない。なお、カムシャフト30の円板状部32の外径は、ガイドブッシュ14の内径(挿通穴14Kの内径)よりも大きいので、カムシャフト30が針棒本体10から下方に抜けてしまうことがなく、また、カムシャフト30はジョイント50に固定されているので、カムシャフト30が針棒本体10から上方に抜けてしまうことがない。
【0092】
なお、上記のように、針棒5自体の形状は、全体に略円柱状の外形を呈しており、ホルダ70やカバー90が設けられている点を除けば、通常の針棒と同様の外観を呈している。
【0093】
なお、針棒5においては、針棒本体10とスリーブ20とカムシャフト30とジョイント50とカバー90は、それらの軸線(中心線)が一致して形成されている。
【0094】
上記構成の針棒5の具体的な使用状態について説明する。まず、針棒5を刺繍用ミシンに適用した場合の例を説明すると、
図8に示すようになり、刺繍用ミシン200(以下単に「ミシン200」とする)においては、アーム201に対して針棒ケース210が左右方向(
図8では前後方向(Y1−Y2方向及びZ1−Z2方向と直角の方向))にスライド可能に形成され、針棒ケース210には複数の針棒5が設けられている。すなわち、針棒ケース210には、複数の針棒5が左右方向に間隔を介して配設されている。
【0095】
針棒5は、針棒ケース210の支持部212、214に挿通されるとともに、針棒ケース210における支持部216に支持されている。支持部212、214、216は、針棒ケース210の一部を構成するものであり、支持部212、214、216はいずれも左右方向に伸びて形成され、針棒210の右側面部218と該右側面部218とは反対側の左側面部間に設けられ、また、支持部212、216は、正面部211から連設されている。
【0096】
支持部212には、針棒5(特に、針棒本体10)を挿通するための穴部212aが設けられ、支持部214には、針棒5(特に、ジョイント50や針棒本体10)を挿通するための穴部214aが設けられているので、針棒5はこれらの穴部に挿通されている。また、支持部216には、針棒5(特に、カバー90)を挿通する穴部216aとネジ86を螺着するネジ穴216bが設けられているので、カバー90を該穴部216aに挿通するとともに、ネジ86を該ネジ穴216bに螺着することにより、ホルダ70が支持部216に固定されている。なお、ホルダ70にはスリーブ20が固定されている。つまり、支持部216は、ホルダ70をネジ(固定手段)86により固定して支持する支持部材である。
【0097】
また、針棒本体10(特に、上下動スリーブ12)には、針棒抱き220が固定して設けられている。つまり、針棒本体10が針棒抱き220に挿通した状態で、針棒抱き220が針棒本体10に固定されている。針棒抱き220の下方には、布押え抱き222が設けられている。すなわち、針棒本体10又はジョイント50が布押え抱き222に挿通して設けられている。また、布押え抱き222には、布押え224が取り付けられている。
【0098】
また、針棒本体10における支持部212よりも上方の位置には、針棒保持バネ226を設けるためのリング状の固定部材19が固定して設けられている。つまり、
図8は、針棒5の上死点の位置における図であるが、針棒5の上死点の状態において、針棒本体10におけるカバー90の下端よりも下側の位置に固定部材19が設けられている。
【0099】
固定部材19と支持部212間には、針棒保持バネ226が設けられている。針棒保持バネ226はコイル状のバネであり、針棒保持バネ226に針棒本体10が挿通した状態となっている。針棒保持バネ226の上端は、固定部材19に接して、針棒保持バネ19の上方への伸びを規制し、針棒保持バネ226の下端は、支持部212に接して、針棒保持バネ226の下方への伸びを規制している。
【0100】
また、針棒抱き220と布押え抱き222間には、布押えバネ228が設けられている。布押えバネ228はコイル状のバネであり、布押えバネ228に針棒本体10又はジョイント50が挿通した状態となっている。布押えバネ228の上端は、針棒抱き220に接して、布押えバネ228の上方への伸びを規制し、布押えバネ228の下端は、布押え抱き222に接して布押えバネ228の下方への伸びを規制している。
【0101】
また、アーム201には、鉛直方向に基針棒204が設けられ、この基針棒204には、針棒抱き220と係合する針棒上下部品(針棒上下動部品、針棒用昇降体としてもよい)206と、布押え抱き222と係合する布押え上下部品(布押え上下動部品、布押え用昇降体としてもよい)208が基針棒204に沿って上下動可能に設けられてる。
【0102】
図8の構成において、針棒ケース210がアーム201に対して左右方向にスライドして、針棒上下部品206が複数の針棒5のうち所定の針棒5に設けられた針棒抱き220と係合し、布押え上下部品208が複数の針棒5のうち所定の針棒5に設けられた布押え抱き222に係合する。
【0103】
そして、針棒上下部品206を上下動させるための機構を用いて針棒上下部品206を上下動させることにより、針棒抱き220が上下動し、針棒5が上下動する。針棒上下部品206を上下動させる機構としての上下動機構230は、針棒上下部品206を上下動させるクランクロッド232と、主軸252を回転させる主軸モータ250と、主軸252の回転力をクランクロッド232に伝達する伝達機構254とを有している。伝達機構254としては、例えば、カム機構が挙げられる。また、針棒上下部品206が針棒抱きを上下動させる針棒抱き上下機構部(「針棒抱き上下動機構部」としてもよい。他においても同じ)に当たり、また、クランクロッド232、伝達機構254、主軸モータ250、主軸252も針棒抱き上下機構部に当たる。
【0104】
なお、
図8に示すミシン200の構成(針棒を除く構成)は、
図13の従来の例と比較すると、針棒5を上端で固定するための支持部216が設けられている点以外は同一の構成となっている。つまり、従来のミシン200’においては、針棒5’は、針棒ケース210の支持部212、214と布押え抱き222にそれらに対して上下動可能に挿通され、針棒抱き220に挿通した状態で針棒抱き220に固定されている。針棒5’には、上端に針棒保持バネ226の上端を押さえるためのネジ5aが設けられ、ネジ5aと支持部212間に針棒保持バネ226が設けられている。また、針棒抱き220と布押え抱き222間には、布押えバネ228が設けられている。針棒抱き220には針棒上下部品206が係合し、布押え抱き222には布押え上下部品208が係合するようになっている。また、
図13における針棒5’は、筒状の針棒本体5bの下端に針抱き5cが設けられた構成であり、該針抱き5cに縫い針260が取り付けられ、針棒本体5bの上端には、ネジ5aが設けられている。
【0105】
ミシン200の動作について説明すると、
図8や
図11(b)、
図12(b)に示す針棒5の上死点の状態から針棒上下部品206が下降して針棒抱き220が下降すると、針棒抱き220に固定された針棒本体10が下降する。すると、球22の位置はスリーブ20が固定されているため変化しない(上下方向にも回転方向にも変化しない)ので、球22の溝部36a、36bにおける相対的な位置が変化し、溝部36a、36bは右回りの方向に形成されているので、カムシャフト30が上方から見て右回りに回転する。カムシャフト30が右回りに回転することにより、ジョイント50及び縫い針60も上方から見て右回りに回転する。つまり、縫い針60は、右回りに回転しながら下降する。
【0106】
なお、針棒抱き220が下降すると、針棒抱き220が布押えバネ228を上方から押すので、布押え抱き222も下方に移動し、布押え抱き222の下降に伴い、布押え上下部品208も下降する。布押え抱き222が支持部214に接した後にも、針棒抱き220が下降して針棒本体10は下降することになる。
【0107】
なお、
図11(a)、
図12(a)に示す下死点の状態においても、スリーブ20の下側部分は針棒本体10内に挿入され、
上部シャフト34の上側部分は、スリーブ20内に挿入されている。
【0108】
次に、
図11(a)、
図12(a)に示す針棒5の下死点の状態から針棒上下部品206が上昇して針棒抱き220が上昇すると、針棒抱き220に固定された針棒本体10が上昇する。すると、球22の溝部36a、36bにおける相対的な位置が変化し、溝部36a、36bは右回りの方向に形成されているので、カムシャフト30が上方から見て左回りに回転する。カムシャフト30が左回りに回転することにより、ジョイント50及び縫い針60も上方から見て左回りに回転する。つまり、縫い針60は、左回りに回転しながら上昇する。
【0109】
また、針棒上下部品206が上昇する場合には、布押え上下部品208も上昇させ、これにより、布押え抱き222及び布押え224が上昇する。布押え上下部品208を上昇させる機構としての上昇機構240は、布押え上下部品208を上昇させるクランクロッド242と、主軸252を回転させる主軸モータ250と、主軸250の回転力をクランクロッド242に伝達する伝達機構256とを有している。伝達機構256としては、例えば、カム機構が挙げられる。
【0110】
ここで、針棒5(厳密には、スリーブ20とカバー90を除く構成)の上下動に伴い、回転ユニット65が回転するので、ヒッチステッチを防止することができる。特に、下死点から上死点に移行する際に、縫い針60が上方から見て左回りに120度回転し、上死点から下死点に移行する際に、縫い針60が上方から見て右回りに120度回転するので、ヒッチステッチを防止することができる。
【0111】
ヒッチステッチの防止の原理について
図25を用いて具体的に説明すると、
図25において、縫い針400(縫い針400は、縫い針60や縫い針160と同じ構成である)の針穴402は一対の開口部402a、402bを有し、上糸Uが開口部402aから入り開口部402bから出るものとして、上糸Uにおける針穴402に入るまでの部分を上側上糸U1とし、針穴402から出る部分を下側上糸U2とする。開口部402aは縫い針400における正面側(Y1側)に設けられ、開口部402bは縫い針400における背面側(
Y2側)に設けられるものとする。また、釜410の回転軸は前後方向(Y1−Y2方向)であるとする。また、各角度ごとに示した縫い針400において、短い矢印を上側上糸U1とし、長い矢印を下側
上糸U2とする。
【0112】
また、
図25においては、1つ前の針落ち位置に対して縫製枠(図示せず)が移動することにより縫い針400の相対的な位置が示されている。例えば、225度の位置は、縫い針400が1つ前の針落ち位置に対して225度の方向に移動する場合を示しており、実際には、縫製枠が45度の方向に移動している。各角度における(a)は、縫い針400が相対的に移動した場合の上側上糸U1と下側上糸U2の方向を示している。
【0113】
上記の前提において、単に縫い針400が従来のように上下動するのみの場合には、縫い針400の相対的な移動方向が225度〜360度(=0度)の場合(角度βの範囲の場合)に、ヒッチステッチが起こりやすいと言われている。つまり、上記角度の場合に、開口部402b(上糸が出る側の開口部)が背面側を向いていることによりヒッチステッチが生じやすい。
【0114】
そして、本実施例では、下死点から上死点に移行する際に、縫い針を上方から見て左回りに120度回転させるので、上死点において、開口部402bが正面側に近い側を向き、また、開口部402bが正面側に近い側を向くとともに、縫い針は上死点では上方に位置するので、上糸と縫い針との係止が緩和されて下側上糸U2は、開口部402bからそのまま縫い針の正面側を通過した状態となりやすいので、その状態から、下死点に移行して右側に回転しながら加工布に挿
針されても、ヒッチステッチを防止することができる。つまり、縫い針は下死点から上死点に移行する際に上方から見て左回りに回転し、上死点から下死点に移行する際に上死点から下死点に移行してもとに戻るわけであるが、上死点において、下側上糸U2を開口部402bからそのまま縫い針の正面側を通過した状態としやすく、その状態から縫い針を右回りに回転させるので、ヒッチステッチが防止される。なお、
図25における(b)は各角度における(a)の状態から上方から見て左回りに120度回転させた状態を示し、(a)、(b)ともに縫い針400を上方から見た状態を示している。
【0115】
なお、上記角度β以外の範囲(0度〜225度)については、もともとヒッチステッチが生じる頻度が極めて少ない範囲であるので、縫い針を上記のように回転させてもヒッチステッチが生じる頻度に変わりはない。
【0116】
なお、背面側を向いていた開口部402bを正面側に近い向きにするには、回転角度を90度よりも大きく180度以下とすることが考えられるが、110度〜135度とするのが好適である。また、回転角度が90度以下の場合であっても、ヒッチステッチが防止される場合があるが(例えば、
図25において角度が225度の場合には、下側下糸U2が45度の方向に引かれるので、縫い針が上死点となった際に、下側下糸U2が縫い針の正面側を通過する頻度が多い)、ヒッチステッチを十分防止するには、回転角度を90度よりも大きく180度以下とし、好適には、110〜135度とするのが好ましい。すなわち、実施例1における螺旋状部36a−2、36b−2の上端から下端までの回転角度や実施例2(後述)における螺旋状部136a−2、136b−2の上端から下端までの回転角度は、90度よりも大きく180度以下とするのが好ましく、110〜135度とするのがより好ましいといえる。
【0117】
また、針棒ケース210が左右方向にスライドして、針棒抱き220と針棒上下部品206との係合が解除された場合でも、針棒保持バネ226が設けられているので、針棒5は上死点の状態に維持される。なお、針棒ケース210のスライドは、針棒5が上死点の状態に行われる。
【0118】
以上のように、針棒上下部品206と布押え上下部品208の動作は、
図13に示す従来におけるミシンと同様である。
【0119】
なお、針棒5を交換する際には、針棒抱き220の針棒本体10への固定を解除し、ホルダ70を固定するネジ86を緩めてホルダ70の支持部216への固定を解除することにより、針棒5を上方に引き抜くことができ、また、新たな針棒5を取り付ける際には、針棒5を各部材(すなわち、支持部214と、布押え抱き222と、布押えバネ228と、針棒抱き220と、支持部212と、針棒保持バネ226と、支持部216)に挿通して、針棒抱き220を針棒本体10に固定するとともに、ホルダ70を支持部216に固定すればよいので、上記特許文献4の場合と比べて、針棒5の交換を容易とすることができる。交換以外に針棒を最初に取り付ける場合も同様である。つまり、針棒5の取付けや交換の際には、ホルダ70の着脱の点を除いては、通常の針棒と同様に扱えばよいので、容易に針棒の取付けや交換を行うことができる。
【0120】
次に、針棒5を通常の縫製用ミシンに適用した場合の例を示すと、
図10に示すようになり、ミシン300においては、ミシンの筐体を構成するケース部310の底面部312に挿通穴312aが設けられ、該挿通穴312aに筒状部320が固定して設けられ、上面部314には、針棒5のカバー90を挿通するための挿通穴314aとネジ86を螺着するためのネジ穴が設けられている。針棒5は筒状部320に挿通されるとともに、挿通穴314aに挿通され、ネジ86によりホルダ70が上面部314に固定される。上面部314に設けられたネジ穴は、
図9に示すネジ穴216bと同様の構成のネジ穴である。上面部314は、ホルダ70をネジ(固定手段)86により固定して支持する支持部材である。針棒抱き330は、針棒抱き本体332に軸部334が固定して構成され、針棒本体10には針棒抱き本体332が固定され、軸部334は、クランクロッド340の一端に固定されている。
【0121】
よって、クランクロッド340を回転させることにより針棒抱き330が上下動し、これに伴い、針棒本体10が上下動することにより、回転ユニット65が回転するようになっている。クランクロッド340は、主軸モータ350により回転する主軸352からの回転力を伝達する伝達機構354により回転される。伝達機構354としては、例えば、カム機構が挙げられる。また、クランクロッド230が針棒抱きを上下動させる針棒抱き上下機構部に当たり、また、伝達機構354、主軸モータ350、主軸352も針棒抱き上下機構部に当たる。
【0122】
なお、
図10に示すミシン300の構成(針棒を除く構成)は、
図14に示す従来例と比較すると、
図10の例では、針棒5のケースを上面部314で固定するのに対して、
図14のミシン300’では、上面部314に針棒5’をガイドするための筒状部350を設ける点以外は同一の構成となっている。すなわち、
図14の例では、底面部312の挿通穴312aに筒状部320を取り付けるとともに、上面部314の挿通穴314aから下方に筒状部350を取り付け、針棒5’を筒状部320と筒状部350に挿通した状態となっていて、針棒5’に針棒抱き330が固定して設けられ、針棒抱き330にクランクロッド340が取り付けられている。また、
図14における針棒5’は、筒状の針棒本体5bの下端に針抱き5cを介して縫い針260が取り付けられている。
【0123】
ミシン300の動作について説明すると、
図11(b)に示す針棒5の上死点の状態からクランクロッド340が回転して針棒抱き330が下降すると、針棒抱き330に固定された針棒本体10が下降する。すると、上記と同様に、カムシャフト30が上方から見て右回りに回転し、ジョイント50及び縫い針60も上方から見て右回りに回転する。
【0124】
次に、
図11(a)に示す針棒5の下死点の状態からクランクロッド340が回転して針棒抱き330が上昇すると、針棒抱き330に固定された針棒本体10が上昇する。すると、上記と同様に、カムシャフト30が上方から見て左回りに回転し、ジョイント50及び縫い針60も上方から見て左回りに回転する。
【0125】
ここで、針棒5(厳密には、スリーブ20とカバー90を除く構成)の上下動に伴い、回転ユニット65が回転するので、ヒッチステッチを防止することができる。特に、下死点から上死点に移行する際に、縫い針60が上方から見て左回りに120度回転し、上死点から下死点に移行する際に、縫い針60が上方から見て右回りに120度回転するので、ヒッチステッチを防止することができる。ヒッチステッチの防止の原理については、通常の縫製用ミシンの場合でも、縫い針は1つ前の針落ち位置に対して相対的に360度の方向に移動可能であるので、上記の刺繍用ミシンの場合と同様であり、
図25を用いた説明が適用される。
【0126】
なお、針棒5を交換する際には、針棒抱き330の針棒本体10への固定を解除し、ホルダ70を固定するネジ86を緩めてホルダ70の上面部314への固定を解除することにより、針棒5を上方に引き抜くことができ、また、新たな針棒5を取り付ける際には、針棒5を各部材(すなわち、上面部314と、針棒抱き330と、筒状部320)に挿通して、針棒抱き330を針棒本体10に固定するとともに、ホルダ70を上面部314に固定すればよいので、針棒5の交換を容易とすることができる。交換以外に針棒を最初に取り付ける場合も同様である。つまり、針棒5の取付けや交換の際には、ホルダ70の着脱の点を除いては、通常の針棒と同様に扱えばよいので、容易に針棒の取付けや交換を行うことができる。
【0127】
本実施例の針棒5によれば、針棒本体10を上下動させることにより縫い針60を回転させることができ、モータや歯車のように針棒を回転させるための回転機構が別途必要ない。
【0128】
また、針棒5を交換する際には、上記のように、ホルダ70の着脱の点を除いては、通常の針棒と同様に扱えばよいので、容易に針棒の取付けや交換を行うことができる。
【0129】
なお、カムシャフト30における溝部36a、36bの構成が異なる複数の種類の針棒を用意することにより、加工布の種類や糸(上糸と下糸)の種類や刺繍柄に応じて適切な針棒に交換することができる。溝部36a、36bの構成としては、螺旋状部36a−2、36b−2の長さや螺旋状部36a−2、36b−2の上端から下端までの回転角度を異ならせることが考えられる。
【0130】
また、針棒5においては、スリーブ20の開口部20a、20bに設けられた球22と溝部36a、36bが係合しており、カムシャフト30が回転する際に、球22が開口部20a、20bや溝部36a、36b内を回転するので、球22とスリーブ20間の摩擦や球22とカムシャフト30間の摩擦を小さくでき、回転ユニット65の回転を円滑に行なうことができる。また、スリーブ20に一対の開口部20a、20bが設けられ、カムシャフト30に一対の溝部36a、36bが設けられ、各開口部及び溝部に球22が設けられるので、その点でも、回転ユニット65の回転を円滑に行なうことができる。
【0131】
また、本実施例の針棒5によれば、既存のミシンに容易に適用することができる。すなわち、刺繍用のミシンの場合には、
図8と
図13とを比較すれば分かるように、針棒ケース210にホルダ70を固定するための支持部216を設ければよいので、既存のミシンに容易に適用することができる。また、通常の縫製用ミシンの場合でも、
図10と
図14とを比較すれば分かるように、
図14に示す従来例の構成から筒状部350を外して針棒5のホルダ70を上面部314に固定すればよいので、既存のミシンに容易に適用することができる。すなわち、特許文献4の針棒回転機構と比べた場合でも、特許文献4の針棒回転機構の場合には、針棒サポータや受金物が必要になってしまい、既存のミシンへの適用は困難であるが、本実施例の場合には、ホルダ70を固定する構成とする以外は、既存のミシンに容易に適用することができる。また、針棒5自体の形状も、全体に略円柱状を呈しており、ホルダ70やカバー90が設けられている点以外は通常の針棒と同様の外観を呈するので、その点でも、既存のミシンへの適用が容易であるといえる。
【実施例2】
【0132】
次に、実施例2の針棒について説明する。実施例2の針棒105はミシン用の針棒であり、実施例1の針棒5と略同一の構成であるが、縫い針を回転させる機構が異なり、実施例1では球を配置するスリーブ20を固定し、カムシャフト30を回転させるのに対して、実施例2では、球を配置するスリーブ122を回転させ、カムシャフト130を固定する構成となっている。
【0133】
すなわち、針棒105は、
図15〜
図21に示すように構成され、全体に略円柱状を呈し、針棒本体110と、針棒本体110内に設けられるとともに一部が針棒本体110から突出する回転部120と、回転部120のスリーブ122の開口部120a、120bにそれぞれ配置される球22と、スリーブ122の内側に設けられたカムシャフト130と、回転部120のガイドピン124に固定して取り付けられ、針棒本体110の下方に針棒本体110に対して回転可能に設けられ、縫い針160を固定するためのジョイント150と、カムシャフト130を固定して取り付けるとともに、針棒105を他の部材に固定するためのホルダ170と、ホルダ170に固定して設けられ、スリーブ122とカムシャフト130を被覆するためのカバー190とを有している。ジョイント150には、縫い針(単に「針」としてもよい)160が固定して設けられる。
【0134】
ここで、針棒本体110は、実施例1の針棒本体10と同様の構成であり、上下動スリーブ(針棒本体用スリーブ)112と、上下動スリーブ112の下端に設けられたガイドブッシュ114とを有している。上下動スリーブ112は、上下動スリーブ12と同様の構成であり、ガイドブッシュ114は、ガイドブッシュ14と同様の構成であるので、詳しい説明を省略する。なお、ガイドブッシュ114は、円筒状に形成された本体部(ガイドブッシュ本体)16と、本体部16の下端の外周面から突出して設けられた円筒状のフランジ18とを有している。また、針棒本体110において、ガイドブッシュ114の下端から上端までの部分が小径部10−1を構成し、ガイドブッシュ114の上端から上下動スリーブ12の上端までの部分が大径部10−2を構成する。
【0135】
また、回転部120は、スリーブ122と、スリーブ122の下端に固定して設けられたガイドピン124とを有している。
【0136】
スリーブ122は、円筒状を呈し、その上端部分には、球22を配置するための開口部120a、120bが設けられている。スリーブ122は、針棒本体10の上下動スリーブ121内に挿通して設けられている。スリーブ122は、針棒本体110に対して回転するが、実施例1とは異なり、針棒本体110がスリーブ122に対して摺動する構成とはなっていない。
【0137】
すなわち、スリーブ122の外径は、上下動スリーブ112内で回転可能となるように、上下動スリーブ112の内径以下の長さ(好適には、上下動スリーブ112の内径より小さい長さ)に形成されている。ただし、球22がスリーブ122と上下動スリーブ112間の隙間に落下しないように、上下動スリーブ112の内径とスリーブ122の外径との差の半分の値が、球22の直径よりも小さく形成されている。また、スリーブ122の外径L122は、小径部10−1の挿通穴14Kの径よりも大きく形成されている。スリーブ122は、金属製である。
【0138】
また、開口部120aと開口部120bとは、同大同形状に形成され、ともに円形の開口部であり、スリーブ122の軸線を挟んで互いに対向する位置に設けられている。すなわち、開口部120aの中心と開口部120bの中心を結ぶ直線は、スリーブ122の軸線と交差し、該軸線に対して直角をなす。開口部120a、120bは、スリーブ20の外周面から内周面まで貫通して形成されている。なお、開口部120a、120bの大きさは、球22が開口部120a、120b内で回転可能となるように構成され、開口部120a、120bの径の大きさは、球22の直径以上の大きさに形成されている。
【0139】
また、スリーブ122を構成する円筒の厚み(すなわち、スリーブ122の外径と内径の差)L2は、スリーブ122の内周から突出して球22が溝部136a、136bと係合するために、球22の直径よりも小さく形成されている。
【0140】
球22は、スリーブ122の開口部120aと開口部120bのそれぞれに設けられ、一対の球22における一方は、溝部136aに係合し、他方は、溝部136bに係合する。球22は、球状を呈し、具体的には、クローム球により形成されているが、実施例1の球22と同様に他の材質により構成してもよい。開口部120aは一方の開口部であり、開口部120bは他方の開口部であり、溝部136aは一方の溝部であり、溝部136bが他方の溝部である。
【0141】
また、ガイドピン124は、円板状部126と、円板状部126の下面から下方に伸びた下部シャフト128とを有している。ガイドピン124は、金属(具体的には、ステンレス鋼(SUS))により一体に形成されている。
【0142】
円板状部126は、円板状(円柱状としてもよい)を呈し、その外径(「直径」又は「径」としてもよい)L126は、上下動スリーブ112内を回転可能に上下動スリーブ112の内径以下の長さ(好適には、上下動スリーブ112の内径より小さい長さ)に形成され、ガイドブッシュ114の内径よりも大きい長さに形成されている。円板状部126は、上下動スリーブ112内に配置され、ガイドブッシュ114の上面に載置されている。なお、円板状部126の上面は、スリーブ122の下面と接着剤による接着により固定されている。
【0143】
また、下部シャフト128は、円柱状を呈し、ガイドブッシュ114内を挿通して、ジョイント150に挿入可能な長さに形成されている。また、下部シャフト128の径(直径)は、ガイドブッシュ114に対して回転可能なように、ガイドブッシュ114の挿通穴以下の長さ(好適には、ガイドブッシュ114の挿通穴より小さい長さ)に形成され、ジョイント150の挿通穴に挿通可能な大きさに形成されている。
【0144】
なお、スリーブ122の軸線と円板状部126の軸線と下部シャフト128の軸線とは一致するように形成されている。
【0145】
カムシャフト130は、軸状を呈し、その周面に一対の溝部136a、136bが形成されている。つまり、溝部136aと溝部136bとは、カムシャフト130の軸線を介して互いに対応する位置に設けられ、溝部136aと溝部136bは、カムシャフト130の軸線を挟んで点対称に形成されている。カムシャフト130は、ステンレス鋼(SUS)により一体に形成されている。カムシャフト130は、円柱状の軸状部材に一対の溝部136a、136bを形成した構成となっている。
【0146】
また、溝部136a、136bは上側に設けられた直線状部と該直線状部から下方に連設された螺旋状部と螺旋状部から下方に連設された直線状部とを有し、例えば、溝部
136aは、直線状部136a−1と螺旋状部136a−2と直線状部136a−3とを有し、溝部136bは、直線状部136b−1と螺旋状部136b−2と直線状部136b−3とを有している。直線状部136a−1、
136a−3、136b−1、136b−3は、カムシャフト130の軸線と平行な直線状の溝部となっている。また、螺旋状部136a−2、136b−2の上端から下端までの回転角度は約120度(丁度120度でもよい)となっていて、例えば、螺旋状部136a−2の上端における溝部の中心位置136Pは、螺旋状部136a−2の下端位置では、上端位置に対して約120度回転した位置となっている。螺旋状部136a−2と螺旋状部136b−2が、螺旋状の溝部となる。
【0147】
なお、螺旋状部136a−2、136b−2の形成方向は、針棒105が下死点から上死点に移行する際に、上方からみてカムシャフト130が左周りとなる方向となっている。つまり、螺旋状部136a−2、136b−2は、カムシャフト130の周面に右回りの方向に形成されている。すなわち、螺旋状部136a−2、136b−2は、右回り方向の螺旋状(右回りの螺旋状としてもよい)に形成されている。これにより、縫い針160は、針棒105が下死点から上死点に移行する際には、上方から見て左回りに回転し、針棒105が上死点から下死点に移行する際には、上方から見て右回りに回転する。
【0148】
また、溝部136aの溝の深さは、球22が開口部120a内に配置された状態で溝部136aに係合する程度に形成され、同様に、溝部136bの溝の深さは、球22が開口部120b内に配置された状態で溝部136bに係合する程度に形成されている。
【0149】
なお、カムシャフト130における溝部136a、136bの上端よりも上側部分には溝部は形成されておらず、カムシャフト130における溝部136a、136bの下端よりも下側部分には溝部は形成されていない。すなわち、カムシャフト130は、溝部が形成されておらず円柱状を呈する上側部分131と、溝部136a、136bが形成された中間部分132と、溝部136a、136bが形成されておらず円柱状を呈する下側部分133とを有し、中間部分132は、上側部分131の下端から連設され、下側部分133は、中間部分132の下端から連設されている。なお、当然、カムシャフト130の外径(「直径」又は「径」としてもよい)(特に、中間部分132の外径)L130(すなわち、中間部分132における溝部が形成されていない外周面で相対する外周面間の長さ)は、スリーブ122がカムシャフト130に対して回転可能な長さに形成され、具体的には、カムシャフト130の外径はスリーブ122の内径以下の長さ(好適には、スリーブ122の内径よりも小さい長さ)に形成されている。さらに、カムシャフト130の外径(特に、中間部分132の外径)L130とスリーブ122の内径は、球22がスリーブ122とカムシャフト130間の隙間に落下しないように形成され、具体的には、スリーブ122の内径とカムシャフト130の外径L130との差の半分の値が、球22の直径よりも小さく形成されている。
【0150】
カムシャフト130の上側部分131は、ホルダ170に固定して支持されるので、針棒本体110が上死点にある場合でも、針棒本体110から上方に突出して形成されている。なお、カムシャフト130は、ホルダ170の上端からも上方に突出しているが、カムシャフト130の上端とホルダ170の上端とを一致させてカムシャフト130がホルダ170から上方に突出しないようにしてもよい。
【0151】
また、ジョイント150は、実施例1のジョイント50と同一の構成であり、下端の角部が面取りされた円筒状を呈するジョイント本体152と、ジョイント本体152のネジ穴152aに螺着されたネジ(第1ネジ)154と、ジョイント本体152のネジ穴152bに螺着されたネジ(第2ネジ)156とを有している。
【0152】
すなわち、ジョイント本体152の上端から下端まで貫通した挿通穴152Kが設けられ、この挿通穴152Kに、ガイドピン124の下部シャフト128と縫い針160が挿入可能となっている。つまり、下部シャフト128は、ジョイント本体152の上側から挿入され、縫い針160は、ジョイント本体152の下側から挿入される。ジョイント本体152の側面には、下部シャフト128を固定するためのネジ154を螺着するためのネジ穴152aと、縫い針160を固定するためのネジ156を螺着するためのネジ穴152bとが、ジョイント本体152の外周面から内周面に貫通して形成されている。ネジ穴154は、ネジ穴156よりも上側に形成されている。挿通穴152Kは、下部シャフト128を挿入するとともに縫い針160を挿入する穴部であり、ネジ穴152aは、下部シャフト固定用のネジ穴であり、ネジ穴152bは、縫い針固定用のネジ穴である。
【0153】
また、ネジ154は、ネジ穴152aに螺着され、ネジ156は、ネジ穴152bに螺着される。ネジ154とネジ156は、同一の構成である。ジョイント150は、下部シャフト128と縫い針160とを接続する接続部であるといえる。
【0154】
下部シャフト128をジョイント150に固定した状態では、ジョイント150と円板状部126が、ガイドブッシュ114を挟んだ状態となっていて、ジョイント本体152の上面は、ガイドブッシュ114の下面に接した状態となっていて、ジョイント150が回転する際にも、ジョイント本体152の上面がガイドブッシュ114の下面に接した状態で回転する。
【0155】
ジョイント本体152の外径は、ガイドブッシュ114の外径と略同一(同一としてもよい)に形成され、これにより、上下動スリーブ112とガイドブッシュ114とジョイント150とは、外径が略同一(同一としてもよい)に形成され、針棒本体110とジョイント150からなる構成の外周面は、ジョイント150の下端の面取り部分を除いて、1つの円柱状の周面を構成し、面一に形成されている。
【0156】
また、縫い針160は、ジョイント本体152の挿通穴152Kに挿入しネジ156により固定することにより設けられ、ジョイント本体152の下面よりも下方に突出して設けられる。針棒105のジョイント150に縫い針160を固定することにより、針棒ユニットが構成される。つまり、針棒ユニットは、針棒105と縫い針160とで構成される。
【0157】
以上のように、ガイドピン124の下部シャフト128がジョイント150に固定されていて、縫い針160がジョイント150に固定されるので、縫い針160をジョイント150に固定した状態では、回転部120とジョイント150と縫い針160とが一体に構成され(回転部120とジョイント150と縫い針160とで回転ユニット165が構成される)、回転ユニット165が、針棒本体110及びカムシャフト130に対して回転するようになっている。
【0158】
また、ホルダ170は、ホルダ70と同様の構成である。すなわち、ホルダ170は、他の部材(例えば、ミシンの筐体を構成する部材)に固定するとともに、針棒105を固定するための部材であり、
図16に示すように、ホルダ本体171と、ホルダ本体171に螺着されたボルト180とを有している。ホルダ本体171は、合成樹脂により形成されている。
【0159】
ここで、ホルダ本体171は、ホルダ70のホルダ本体71と同様の構成であり、プレート部172と、プレート172の上面から上方に突出して形成された筒状部174と、筒状部174の上端から連設された固定部176と、プレート部172の下面から下方に突出して形成された筒状部178とを有している。
【0160】
プレート部172は、プレート部72と同様の構成であり、筒状部174は、筒状部74と同様の構成であり、固定部176は、固定部76と同様の構成であり、筒状部178は、筒状部78と同様の構成であるので、詳しい説明を省略する。また、ボルト180は、ボルト80と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0161】
以上のように、ホルダ170においては、カムシャフト130の上側部分131を挿通するための挿通穴が形成されている。ホルダ170においては、カムシャフト130を挿通穴に挿通した状態でボルト180をネジ穴176dに螺着させて締めることによりカムシャフト130がホルダ170に固定して取り付けられ、また、プレート部172をネジ(固定手段)186を穴部172aに挿通して他の部材に取り付けることにより、ホルダ170が該他の部材に取り付けられる。
【0162】
なお、ホルダ170には、カムシャフト130の上側部分131が挿通されるが、カムシャフト130の上側部分131の径は、実施例1のスリーブ20の外径よりも小さいので、ホルダ170におけるカムシャフト130の上側部分131を挿通する挿通穴の径は、実施例1のホルダ70の挿通穴の径よりも小さく形成されている。よって、ホルダ170をホルダ70よりも小さく形成することができる。特に、ホルダ70と比べて、少なくとも筒状部174と固定部176は挿通穴の径が小さいので小さく形成でき、例えば、多針の刺繍用ミシンの場合に、複数の針棒について、プレート部172を共通の構成とし(すなわち、複数の針棒分の横長の構成とする)、筒状部174と固定部176を各針棒ごとに設ける構成とした場合には、実施例1の場合と比べて、筒状部174と固定部176を小さく形成できるので、隣接する針棒間の間隔を小さくすることができ、隣接する針棒間の間隔が小さくても、多針の刺繍用ミシンに適用が容易となる。
【0163】
また、カバー190は、円筒状を呈し、その内周面がホルダ170の筒状部178の外周面に圧入等により固定して設けられている。カバー190の軸線方向の長さは、針棒本体110の上端部分を被覆できる長さに形成され、具体的には、針棒本体110が下死点にある場合に、上下動スリーブ112の上端部分までを被覆する長さに形成されている。つまり、スリーブ112とカムシャフト130間の隙間に埃等の混入物が混入しないように、カムシャフト130の針棒本体110からの露出部分を被覆しているのである。カバー190の内径は、上下動スリーブ112の外径以上の長さ(好適には、上下動スリーブ112の外径よりも大きい長さ)に形成され、また、ホルダ170の筒状部178の外径と略同一の長さとなっている。
【0164】
上記構成の針棒105においては、ジョイント150に縫い針160を固定し、ホルダ170を他の部材に固定した状態で、針棒本体110を上下動させることにより、回転ユニット165、すなわち、回転部120とジョイント150と縫い針160が回転する。すなわち、スリーブ122の開口部120a、120bに設けられた球22が溝部136a、136bに係合しているので、針棒本体110を上下動させると、球22の溝部136a、136bにおける相対的な位置が変化して、回転部120が回転し、回転部120が回転することによりジョイント150及び縫い針160が回転する。針棒本体110は上下動するが回転はしない。なお、円板状部126の外径は、ガイドブッシュ114の内径よりも大きいので、回転部120が針棒本体110から下方に抜けてしまうことがなく、また、ガイドピン124はジョイント150に固定されているので、回転部120が針棒本体110から上方に抜けてしまうことがない。
【0165】
なお、上記のように、針棒105自体の形状は、全体に略円柱状の外形を呈しており、ホルダ170やカバー190が設けられている点を除けば、通常の針棒と同様の外観を呈している。
【0166】
なお、針棒105においては、針棒本体110と回転部120とカムシャフト130とジョイント150とカバー190は、それらの軸線(中心線)が一致して形成されている。
【0167】
上記構成の針棒105の具体的な使用状態について説明する。まず、針棒105を刺繍用ミシンに適用した場合の例を説明すると、
図22に示すようになり、刺繍用ミシン201(以下単に「ミシン201」とする)は、針棒5の代わりに針棒105が取り付けられている以外は
図8のミシン200と同様の構成となっている。
【0168】
針棒105は、針棒ケース210の支持部212、214に挿通されるとともに、針棒ケース210における支持部216に支持されている。支持部216には、針棒105(特に、カバー190)を挿通する穴部216aとネジ186を螺着するネジ穴(
図9に示すネジ穴216bと同様の構成のネジ穴)が設けられているので、カバー190を該穴部に挿通するとともに、ネジ186を該ネジ穴に螺着することにより、ホルダ170が支持部216に固定されている。なお、ホルダ170にはカムシャフト130が固定されている。つまり、支持部216は、ホルダ170をネジ(固定手段)186により固定して支持する支持部材である。実施例1と同様に、針棒上下部品206が、針棒抱き上下機構部に当たり、さらに、クランクロッド232、伝達機構254、主軸モータ250、主軸252も、針棒抱き上下機構部に当たる。
【0169】
なお、
図22に示すミシン201の構成(針棒を除く構成)は、
図13に示す従来の例と比較すると、針棒105を上端で固定するための支持部216が設けられている点以外は同一の構成となっている。
【0170】
ミシン201の動作について説明すると、
図22や
図24(b)に示す針棒105の上死点の状態から針棒上下部品206が下降して針棒抱き220が下降すると、針棒抱き220に固定された針棒本体110が下降する。すると、カムシャフト130の位置はカムシャフト130が固定されているため変化しない(上下方向にも回転方向にも変化しない)ので、球22の溝部136a、136bにおける相対的な位置が変化し、溝部136a、136bは右回りの方向に形成されているので、回転部120が上方から見て右回りに回転する。回転部120が右回りに回転することにより、ジョイント150及び縫い針160も上方から見て右回りに回転する。つまり、縫い針160は、右回りに回転しながら下降する。
【0171】
なお、針棒抱き220が下降すると、針棒抱き220が布押えバネ228を上方から押すので、布押え抱き222も下方に移動し、布押え抱き222の下降に伴い、布押え上下部品208も下降する。布押え抱き222が支持部214に接した後にも、針棒抱き220が下降して針棒本体110は下降することになる。
【0172】
次に、
図24(a)に示す針棒105の下死点の状態から針棒上下部品206が上昇して針棒抱き220が上昇すると、針棒抱き220に固定された針棒本体110が上昇する。すると、球22の溝部136a、136bにおける相対的な位置が変化し、溝部136a、136bは右回りの方向に形成されているので、回転部120が上方から見て左回りに回転する。回転部120が左回りに回転することにより、ジョイント150及び縫い針160も上方から見て左回りに回転する。つまり、縫い針160は、左回りに回転しながら上昇する。
【0173】
また、針棒上下部品206が上昇する場合には、布押え上下部品208も上昇させ、これにより、布押え抱き222及び布押え224が上昇する。
【0174】
ここで、針棒105(厳密には、カムシャフト130とカバー190を除く構成)の上下動に伴い、回転ユニット165が回転するので、ヒッチステッチを防止することができる。特に、下死点から上死点に移行する際に、縫い針160が上方から見て左回りに120度回転し、上死点から下死点に移行する際に、縫い針160が上方から見て右回りに120度回転するので、ヒッチステッチを防止することができる。ヒッチステッチ防止の原理は実施例1と同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0175】
なお、針棒105を交換する際には、実施例1の場合と同様に、針棒抱き220の針棒本体110への固定を解除し、ホルダ170を固定するネジ186を緩めてホルダ170の支持部216への固定を解除することにより、針棒105を上方に引き抜くことができ、また、新たな針棒105を取り付ける際には、針棒105を各部材(すなわち、支持部214と、布押え抱き222と、布押えバネ228と、針棒抱き220と、支持部212と、針棒保持バネ226と、支持部216)に挿通して、針棒抱き220を針棒本体110に固定するとともに、ホルダ170を支持部216に固定すればよいので、上記特許文献4の場合と比べて、針棒105の交換を容易とすることができる。交換以外に針棒を最初に取り付ける場合も同様である。つまり、針棒105を交換する際には、ホルダ
170との着脱を除いては、通常の針棒と同様に扱えばよいので、容易に針棒の取付けや交換を行うことができる。
【0176】
次に、針棒105を通常の縫製用ミシンに適用した場合の例を示すと、
図23に示すようになり、ミシン301は、針棒5の代わりに針棒105が取り付けられている以外は
図10のミシン300と同様の構成となっている。
【0177】
すなわち、針棒105は筒状部320に挿通されるとともに、挿通穴314aに挿通され、ネジ186によりホルダ170が上面部314に固定される。つまり、上面部314は、ホルダ170をネジ(固定手段)186により固定して支持する支持部材である。針棒本体110には針棒抱き本体332が固定され、軸部334は、クランクロッド340の一端に固定されていて、クランクロッド340を回転させることにより針棒抱き330が上下動し、これに伴い、針棒本体110が上下動することにより、回転ユニット165が回転するようになっている。つまり、球22の溝部136a、136bにおける相対的な位置が変化することにより、回転ユニット165が回転する。クランクロッド340は、主軸モータ350により回転する主軸352からの回転力を伝達する伝達機構354により回転される。伝達機構354としては、例えば、カム機構が挙げられる。また、実施例1と同様に、クランクロッド230が針棒抱きを上下動させる針棒抱き上下機構部に当たり、また、伝達機構354、主軸モータ350、主軸352も針棒抱き上下機構部に当たる。
【0178】
ミシン301の動作について説明すると、
図24(b)に示す針棒105の上死点の状態からクランクロッド340が回転して針棒抱き330が下降すると、針棒抱き330に固定された針棒本体110が下降する。すると、上記と同様に、回転部120が上方から見て右回りに回転し、ジョイント150及び縫い針160も上方から見て右回りに回転する。
【0179】
なお、
図24(a)に示す下死点の状態においても、カムシャフト130の下側部分はスリーブ122内に挿入されている。
【0180】
次に、
図24(a)に示す針棒105の下死点の状態からクランクロッド340が回転して針棒抱き330が上昇すると、針棒抱き330に固定された針棒本体110が上昇する。すると、上記と同様に、回転部120が上方から見て左回りに回転し、ジョイント150及び縫い針160も上方から見て左回りに回転する。
【0181】
ここで、針棒105(厳密には、カムシャフト130とカバー190を除く構成)の上下動に伴い、回転ユニット165が回転するので、ヒッチステッチを防止することができる。特に、下死点から上死点に移行する際に、縫い針160が上方から見て左回りに120度回転し、上死点から下死点に移行する際に、縫い針160が上方から見て右回りに120度回転するので、ヒッチステッチを防止することができる。ヒッチステッチ防止の原理は実施例1と同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0182】
なお、針棒105を交換する際には、針棒抱き330の針棒本体110への固定を解除し、ホルダ170を固定するネジ186を緩めてホルダ170の上面部314への固定を解除することにより、針棒105を上方に引き抜くことができ、また、新たな針棒105を取り付ける際には、針棒105を各部材(すなわち、上面部314と、針棒抱き330と、筒状部320)に挿通して、針棒抱き330を針棒本体110に固定するとともに、ホルダ170を上面部314に固定すればよいので、針棒105の交換を容易とすることができる。交換以外に針棒を最初に取り付ける場合も同様である。つまり、針棒105を交換する際には、ホルダ170との着脱を除いては、通常の針棒と同様に扱えばよいので、容易に針棒の取付けや交換を行うことができる。
【0183】
本実施例の針棒105によれば、針棒本体110を上下動させることにより縫い針160を回転させることができ、モータや歯車のように針棒を回転させるための回転機構が別途必要ない。
【0184】
また、針棒
105を交換する際には、上記のように、ホルダ170の着脱の点を除いては、通常の針棒と同様に扱えばよいので、容易に針棒の取付けや交換を行うことができる。
【0185】
なお、カムシャフト130における溝部136a、136bの構成が異なる複数の種類の針棒を用意することにより、加工布の種類や糸(上糸と下糸)の種類や刺繍柄に応じて適切な針棒に交換することができる。溝部136a、136bの構成としては、螺旋状部136a−2、136b−2の長さや螺旋状部136a−2、136b−2の上端から下端までの回転角度を異ならせることが考えられる。
【0186】
また、針棒105においては、スリーブ122の開口部120a、120bに設けられた球22と溝部136a、136bが係合しており、スリーブ122が回転する際に、球22が開口部120a、120bや溝部136a、136b内を回転するので、球22とスリーブ122間の摩擦や球22とカムシャフト130間の摩擦を小さくでき、回転ユニット165の回転を円滑に行なうことができる。また、スリーブ122に一対の開口部120a、120bが設けられ、カムシャフト130に一対の溝部136a、136bが設けられ、各開口部及び溝部に
球22が設けられるので、その点でも、回転ユニット165の回転を円滑に行なうことができる。
【0187】
また、本実施例の針棒105によれば、既存のミシンに容易に適用することができる。すなわち、刺繍用のミシンの場合には、
図22と
図13とを比較すれば分かるように、針棒ケース210にホルダ170を固定するための支持部216を設ければよいので、既存のミシンに容易に適用することができる。また、通常の縫製用ミシンの場合でも、
図23と
図14とを比較すれば分かるように、
図14に示す従来例の構成から筒状部350を外して針棒105のホルダ170を上面部314に固定すればよいので、既存のミシンに容易に適用することができる。すなわち、特許文献4の針棒回転機構と比べた場合でも、特許文献4の針棒回転機構の場合には、針棒サポータや受金物のスペースが必要になってしまうが、本実施例の場合には、ホルダ170を固定する構成とすればよいので、既存のミシンへの適用が容易である。
【0188】
なお、上記実施例1において、ジョイント50には、下部シャフト38を挿入するとともに縫い針60を挿入する挿通穴52Kが設けられ、実施例2において、ジョイント150には、下部シャフト128を挿入するとともに縫い針160を挿入する挿通穴152Kが設けられているとしたが、実施例1において、下部シャフト38を挿入する穴部(第1穴部)と縫い針60を挿入する穴部(第2穴部)を別々に設けて、下部シャフト38を挿入する穴部をジョイント50の上端から形成し、縫い針60を挿入する穴部をジョイント50の下端から形成して、2つの穴部を同一軸線上に形成するようにし、実施例2において、下部シャフト128を挿入する穴部(第1穴部)と縫い針160を挿入する穴部(第2穴部)を別々に設けて、下部シャフト128を挿入する穴部をジョイント150の上端から形成し、縫い針160を挿入する穴部をジョイント50の下端から形成して、2つの穴部を同一軸線上に形成するようにしてもよい。つまり、
図26に示すように、ジョイント50には、下部シャフト38を挿入する穴部52K−1と、縫い針60を挿入する穴部52K−2とが別々に設けられ、穴部52K−1と穴部52K−2とが同一軸線上に形成されている。また、
図26に示すように、ジョイント150には、下部シャフト128を挿入する穴部152K−1と、縫い針160を挿入する穴部152K−2とが別々に設けられ、穴部152K−1と穴部152K−2とが同一軸線上に形成されている。
【0189】
なお、上記で説明した針棒5、105やミシン200、201、300、301を構成する各部の材質については、上記で説明した材質以外の材質により構成してもよい。なお、図において、Y1−Y2方向は、X1−X2方向に直角な方向であり、Z1−Z2方向は、X1−X2方向及びY1−Y2方向に直角な方向である。