(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6129991
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】光学結像系及び画像化方法
(51)【国際特許分類】
G02B 17/06 20060101AFI20170508BHJP
G02B 17/08 20060101ALI20170508BHJP
G02B 13/14 20060101ALI20170508BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
G02B17/06
G02B17/08 A
G02B13/14
G02B13/18
【請求項の数】22
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-555150(P2015-555150)
(86)(22)【出願日】2013年11月8日
(65)【公表番号】特表2016-504636(P2016-504636A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】US2013069081
(87)【国際公開番号】WO2014133604
(87)【国際公開日】20140904
【審査請求日】2015年7月28日
(31)【優先権主張番号】13/779,279
(32)【優先日】2013年2月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】シッター,デイビッド・エヌ,ジュニア
【審査官】
堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−092249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックスキャンが行なわれる画像化のために構成された光学結像系であって、
焦点面アレイを含む結像器と、
前記結像器に光学的に結合される無限焦点望遠鏡とを含み、
前記無限焦点望遠鏡は、電磁放射を受けて視準し、前記電磁放射を前記無限焦点望遠鏡の出射瞳を介して前記結像器の前記焦点面アレイに向けるように構成され、前記焦点面アレイは前記電磁放射から像を形成するように構成され、前記無限焦点望遠鏡は、前記出射瞳を通過して前記結像器に至る光軸を有し、前記無限焦点望遠鏡は、一次ミラー、二次ミラー及び三次ミラーを少なくとも含むミラーアナスチグマートとして構成され、
前記光学結像系はさらに、
前記無限焦点望遠鏡および前記結像器に光学的に結合され、前記無限焦点望遠鏡の前記出射瞳近くに位置決めされ、前記電磁放射をバックスキャンして前記焦点面アレイ上における像を安定させるよう構成されたバックスキャンミラーと、
前記無限焦点望遠鏡の中間像平面近くに位置決めされ、前記無限焦点望遠鏡の歪み特性を調整して前記バックスキャン中に軸外像点に対する前記焦点面アレイ上における像彷徨を制御するように構成された光学素子とを含む、光学結像系。
【請求項2】
前記無限焦点望遠鏡は、一次ミラー、二次ミラー、三次ミラーおよび前記光学素子を含む4ミラーアナスチグマートとして構成され、
前記光学素子は、前記二次ミラーと前記三次ミラーとの間に光学的に位置決めされる視野補正ミラーである、請求項1に記載の光学結像系。
【請求項3】
前記視野補正ミラーはほぼ平坦な非球面のミラーである、請求項2に記載の光学結像系。
【請求項4】
前記一次ミラーは正の屈折力を有し、前記二次ミラーは負の屈折力を有し、前記三次ミラーは正の屈折力を有する、請求項3に記載の光学結像系。
【請求項5】
前記視野補正ミラーは変形可能ミラーであり、前記光学結像系は、前記変形可能ミラーに結合され、前記変形可能ミラーの形状を制御して前記バックスキャン中に前記像彷徨を制御するよう構成されたプロセッサをさらに含む、請求項2に記載の光学結像系。
【請求項6】
前記無限焦点望遠鏡は、一次ミラー、二次ミラーおよび三次ミラーを含む3ミラーアナスチグマートとして構成される、請求項1に記載の光学結像系。
【請求項7】
前記光学素子は視野補正レンズ群である、請求項6に記載の光学結像系。
【請求項8】
前記視野補正レンズ群は、前記無限焦点望遠鏡の光軸に関して偏心化された非球面レンズを含む、請求項7に記載の光学結像系。
【請求項9】
前記非球面レンズはセレン化亜鉛を含む、請求項8に記載の光学結像系。
【請求項10】
前記無限焦点望遠鏡はデュアルバンド動作に対して構成され、前記視野補正レンズ群は異なる材料からなる少なくとも第1および第2のレンズ素子を含む、請求項7に記載の光学結像系。
【請求項11】
前記無限焦点望遠鏡はMWIRおよびLWIRのスペクトル帯における動作に対して構成される、請求項10に記載の光学結像系。
【請求項12】
前記第1のレンズ素子はセレン化亜鉛を含む、請求項10に記載の光学結像系。
【請求項13】
前記第2のレンズ素子は硫化亜鉛およびゲルマニウムの1つ含む、請求項12に記載の光学結像系。
【請求項14】
前記一次ミラーは正の屈折力を有し、前記二次ミラーは負の屈折力を有し、前記三次ミラーは正の屈折力を有する、請求項7に記載の光学結像系。
【請求項15】
前記無限焦点望遠鏡は、前記出射瞳が前記光軸に対して軸外である状態で構成される、請求項1に記載の光学結像系。
【請求項16】
バックスキャンが行なわれる画像化方法であって、
電磁放射を無限焦点望遠鏡で視準し、結像器に向けて、像を形成することを含み、前記像は、前記無限焦点望遠鏡の出射瞳を通過して前記結像器に至る前記無限焦点望遠鏡の光軸を中心とされ、前記無限焦点望遠鏡は、一次ミラー、二次ミラー及び三次ミラーを少なくとも含むミラーアナスチグマートとして構成され、前記画像化方法はさらに、
前記無限焦点望遠鏡に光学的に結合され前記無限焦点望遠鏡の前記出射瞳近くに位置決めされるバックスキャンミラーで前記電磁放射をバックスキャンして焦点面アレイ上における像を安定させることと、
前記無限焦点望遠鏡の歪み特性を、前記無限焦点望遠鏡の中間像平面の近くに位置決めされた光学素子で調整して、バックスキャン動作中の軸外像点に対する前記結像器の前記焦点面アレイ上の像彷徨を制御することとを含む、方法。
【請求項17】
前記無限焦点望遠鏡は3ミラーアナスチグマートとして構成され、
前記無限焦点望遠鏡の前記歪み特性を調整することは、前記3ミラーアナスチグマートの中間像平面の近くに位置決めされる視野補正レンズ群を含む前記光学素子を与えることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記無限焦点望遠鏡はデュアルバンド動作に対して構成され、前記光学素子を与えることは、異なる材料からなる少なくとも2つのレンズ素子を含む前記視野補正レンズ群を与えることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記無限焦点望遠鏡は前記光学素子を含む4ミラーアナスチグマートとして構成され、
前記無限焦点望遠鏡の前記歪み特性を調整することは視野補正ミラーを含む前記光学素子を与えることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記視野補正ミラーは変形可能ミラーであり、前記無限焦点望遠鏡の前記歪み特性を調整することは、プロセッサで、前記変形可能ミラーの形状を制御することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
バックスキャンが行なわれる画像化のために構成される光学結像系であって、
焦点面アレイを含む結像器と、
前記結像器に光学的に結合される無限焦点望遠鏡とを含み、
前記無限焦点望遠鏡は、電磁放射を受けて視準し、前記電磁放射を前記無限焦点望遠鏡の出射瞳を介して前記結像器の前記焦点面アレイに向けるように構成され、前記焦点面アレイは前記電磁放射から像を形成するように構成され、前記無限焦点望遠鏡は、前記出射瞳を通過して前記結像器に至る光軸を有し、前記無限焦点望遠鏡は、一次ミラー、二次ミラー及び三次ミラーを少なくとも含むミラーアナスチグマートとして構成され、
前記光学結像系はさらに、
前記無限焦点望遠鏡および前記結像器に光学的に結合され、前記無限焦点望遠鏡の前記出射瞳近くに位置決めされ、前記電磁放射をバックスキャンして前記焦点面アレイ上における像を安定させるよう構成されたバックスキャンミラーと、
前記無限焦点望遠鏡の歪み特性を調整して前記バックスキャン中に軸外像点に対する前記焦点面アレイ上における像彷徨を制御するための手段とを含む、光学結像系。
【請求項22】
前記調整して制御するための手段は、前記無限焦点望遠鏡の中間像平面の近くに位置決めされる、視野補正レンズ群および視野補正ミラーの1つを含む、請求項21に記載の光学結像系。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
スキャンされる二次元の(2D)結像センサのための積分時間を増大するために、バックスキャンの技術をしばしば用いてステップ/ステア範囲を与える。
図1A〜
図1Cは、この概念を示す。センサシステムでは、無限焦点望遠鏡110は、入来する電磁放射120を受け、その放射を結像光学素子130を介して結像センサに向けるように構成されるが、それは頻繁には焦点面アレイ(FPA)140である。センサシステムの移動はFPA140によって得られる像のぼけを引起す。ミラー150が無限焦点望遠鏡110の背後にあるバックスキャンは、センサシステムの移動を少なくとも部分的に補償することによって、FPA140のための積分時間を増大する機敏な方法を与える。具体的には、センサシステムが移動すると、バックスキャンミラー150は、像を積分時間中においてFPA140上に安定した状態に保持しようとする。これは
図1Cに示され、それは、露光中においてバックスキャンされた動き180の結果として、FPAの視野160が無限焦点望遠鏡110の視野角170内において移動するのを示す。したがって、より小さいバックスキャンミラー150がステップ/ステア機能を実現するよう高速の動きを与える一方で、より大きなセンサシステムは公称速度でスキャンされてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
局面および実施の形態は、バックスキャン結像中に像ボケを緩和する、歪み特性が制御された無限焦点望遠鏡構成に向けられる。ある局面によると、非球面の光学素子を望遠鏡の中間像平面の近くに導入することにより、望遠鏡の歪みを調整して、像ぼけを緩和する。より詳細に以下に論じられるように、一実施の形態は4ミラーアナスチグマートを含み、他の実施の形態は、視野補正器レンズを伴う3ミラーアナスチグマートを含む。
【0003】
一実施の形態によれば、バックスキャンが行なわれる画像化のために構成される光学結像系は、焦点面アレイを含む結像器と、結像器に光学的に結合される無限焦点望遠鏡とを含み、無限焦点望遠鏡は、電磁放射を受けて視準し、電磁放射を無限焦点望遠鏡の出射瞳を介して結像器の焦点面アレイに向けるように構成され、焦点面アレイは電磁放射から像を形成するように構成され、無限焦点望遠鏡は、出射瞳を通過して結像器に至る光軸を有し、光学結像系はさらに、無限焦点望遠鏡および結像器に光学的に結合され、無限焦点望遠鏡の出射瞳近くに位置決めされ、電磁放射をバックスキャンして焦点面アレイ上における像を安定させるよう構成されたバックスキャンミラーと、無限焦点望遠鏡の中間像平面近くに位置決めされ、無限焦点望遠鏡の歪み特性を調整してバックスキャン中に軸外像点に対する焦点面アレイ上における像彷徨を制御するように構成された光学素子とを含む。
【0004】
一例では、無限焦点望遠鏡は、一次ミラー、二次ミラー、三次ミラーおよび光学素子を含む4ミラーアナスチグマートとして構成され、光学素子は、二次ミラーと三次ミラーとの間に光学的に位置決めされる視野補正ミラーである。たとえば、視野補正ミラーはほぼ平坦な非球面のミラーであってもよい。一例では、一次ミラーは正の屈折力を有し、二次ミラーは負の屈折力を有し、三次ミラーは正の屈折力を有する。他の例では、視野補正ミラーは変形可能ミラーであり、光学結像系は、変形可能ミラーに結合され、変形可能ミラーの形状を制御してバックスキャン中に像彷徨を制御するよう構成されたプロセッサをさらに含む。他の例では、無限焦点望遠鏡は、一次ミラー、二次ミラーおよび三次ミラーを含む3ミラーアナスチグマートとして構成される。この例では、光学素子は視野補正レンズ群であってもよい。視野補正レンズ群は、無限焦点望遠鏡の光軸に関して偏心化された非球面レンズを含んでもよい。非球面レンズはセレン化亜鉛を含んでもよい。一例では、無限焦点望遠鏡はデュアルバンド動作に対して構成され、視野補正レンズ群は異なる材料からなる少なくとも第1および第2のレンズ素子を含む。無限焦点望遠鏡はたとえばMWIRおよびLWIRのスペクトル帯における動作に対して構成されてもよい。一例では、第1のレンズ素子はセレン化亜鉛を含み、第2のレンズ素子は硫化亜鉛またはゲルマニウムを含む。無限焦点望遠鏡は、出射瞳が光軸に対して軸外である状態で構成されてもよい。
【0005】
他の実施の形態によれば、バックスキャンが行なわれる画像化方法は、電磁放射を無限焦点望遠鏡で視準し、結像器に向けて、像を形成することを含み、像は、無限焦点望遠鏡の出射瞳を通過して結像器に至る無限焦点望遠鏡の光軸を中心とされ、方法はさらに、無限焦点望遠鏡に光学的に結合され無限焦点望遠鏡の出射瞳近くに位置決めされるバックスキャンミラーで電磁放射をバックスキャンして焦点面アレイ上における像を安定させることと、無限焦点望遠鏡の歪み特性を、無限焦点望遠鏡の中間像平面の近くに位置決めされた光学素子で調整して、バックスキャン動作中の軸外像点に対する結像器の焦点面アレイ上の像彷徨を制御することとを含む。
【0006】
一例では、無限焦点望遠鏡は3ミラーアナスチグマートとして構成され、無限焦点望遠鏡の歪み特性を調整することは、3ミラーアナスチグマートの中間像平面の近くに位置決めされる視野補正レンズ群を含む光学素子を与えることを含む。無限焦点望遠鏡はデュアルバンド動作に対して構成されてもよく、光学素子を与えることは、異なる材料からなる少なくとも2つのレンズ素子を含む視野補正レンズ群を与えることを含んでもよい。無限焦点望遠鏡が光学素子を含む4ミラーアナスチグマートとして構成される他の例では、無限焦点望遠鏡の歪み特性を調整することは視野補正ミラーを含む光学素子を与えることを含む。視野補正ミラーは変形可能ミラーであってもよく、無限焦点望遠鏡の歪み特性を調整することは、プロセッサで、変形可能ミラーの形状を制御することを含んでもよい。
【0007】
他の実施の形態によれば、バックスキャンが行なわれる画像化のために構成される光学結像系は、焦点面アレイを含む結像器と、結像器に光学的に結合される無限焦点望遠鏡とを含み、無限焦点望遠鏡は、電磁放射を受けて視準し、電磁放射を無限焦点望遠鏡の出射瞳を介して結像器の焦点面アレイに向けるように構成され、焦点面アレイは電磁放射から像を形成するように構成され、無限焦点望遠鏡は、出射瞳を通過して結像器に至る光軸を有し、光学結像系はさらに、無限焦点望遠鏡および結像器に光学的に結合され、無限焦点望遠鏡の出射瞳近くに位置決めされ、電磁放射をバックスキャンして焦点面アレイ上における像を安定させるよう構成されたバックスキャンミラーと、無限焦点望遠鏡の歪み特性を調整してバックスキャン中に軸外像点に対する焦点面アレイ上における像彷徨を制御するための手段とを含む。
【0008】
一例では、調整して制御するための手段は、無限焦点望遠鏡の中間像平面の近くに位置決めされる、視野補正レンズ群および視野補正ミラーの1つを含む。
【0009】
これらの例示的な局面および実施の形態の、さらなる他の局面、実施の形態および利点が、詳細に以下に論じられる。ここに開示される実施の形態は、ここに開示される原理の少なくとも1つと整合する任意の態様で他の実施の形態と組み合わせられてもよく、「実施の形態」、「ある実施の形態」、「代替的な実施の形態」、「さまざまな実施の形態」および「一実施の形態」などへの言及は、必ずしも相互排除的ではなく、記載された特定の特徴、構造または特性が少なくとも一実施の形態において含まれてもよいことを示すことが意図される。そのような用語の出現はここにおいては必ずしもすべてが同じ実施の形態に言及してはいない。
【0010】
図面の簡単な説明
少なくとも一実施の形態のさまざまな局面が、尺度決めされるようには意図されない添付の図を参照して以下に論じられる。図は説明ならびにさまざまな局面および実施の形態のさらなる理解を与えるように含まれ、この明細書に組込まれ、この明細書の一部を構成するが、この発明の限定の定義として意図されるものではない。図では、さまざまな図において示される各同一またはほとんど同一の構成要素は、同様の番号によって表される。明瞭にするため、すべての構成要素がすべての図において符号付けられるとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】無限焦点望遠鏡およびバックスキャンミラーを含むステップ/ステアセンサ構成の一例の概略図である。
【
図1B】
図1Aのシステムに適用されるバックスキャンの技術を示す概略図である。
【
図1C】
図1Aおよび
図1Bのシステムのための無限焦点望遠鏡の視野角内においてFPAの視野のバックスキャンされた動きを示す概略図である。
【
図2】物空間におけるセンサの視野の例を示す図である。
【
図3】物空間におけるIRSTセンサの視野の例を示す図である。
【
図4】複数個の視野点を示す
図3のIRSTセンサの視野の図である。
【
図5】理想的な6X倍率無限焦点望遠鏡に対する
図4の視野点に対する像点彷徨を示すグラフである。
【
図6】理想的な4X倍率無限焦点望遠鏡に対する
図4の視野点に対する像点彷徨を示すグラフである。
【
図7】3ミラーアナスチグマートを含む無限焦点望遠鏡の一例のレイトレースである。
【
図8】
図4の視野点および
図7の無限焦点望遠鏡に対する像点彷徨を示すグラフである。
【
図9】代替的な理想的な4X倍率無限焦点望遠鏡の他の例に対する
図4の視野点に対して画素で測定された像点彷徨を示すグラフである。
【
図10】この発明の局面に従って4ミラーアナスチグマートを含む無限焦点望遠鏡の一例のレイトレースである。
【
図11】この発明の局面に従う
図10の無限焦点望遠鏡の一例のための光学的規定を与える表である。
【
図12】
図10の無限焦点望遠鏡の例に対して
図4の視野点の画素で測定された像点彷徨を示すグラフである。
【
図13】
図10の無限焦点望遠鏡の例の歪み特性を示す図である。
【
図14】この発明の局面に従って3ミラーアナスチグマートおよび視野補正器レンズを含む無限焦点望遠鏡の他の例のレイトレースである。
【
図15】この発明の局面に従う
図14の無限焦点望遠鏡の一例のための光学的規定を与える表である。
【
図16A】
図14の無限焦点望遠鏡の例および4.375μmの波長に対する
図4の視野点の画素で測定された像点彷徨を示すグラフである。
【
図16B】
図14の無限焦点望遠鏡の例および9μmの波長に対する
図4の視野点の画素で測定された像点彷徨を示すグラフである。
【
図17】
図14の無限焦点望遠鏡の例の歪み特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な記載
無限焦点望遠鏡の背後に位置決めされたバックスキャンミラーを含むステップ/ステア走査系の文脈では、像ぼけが露光/積分時間中において軸外視野点に対して生じる場合がある。再び
図1Cを参照して、バックスキャンミラーは1つの視野点190を焦点面アレイ(FPA)上において相対的に安定して保持することが可能であるが、すべて他の視野点は、無限焦点望遠鏡の結像歪み特性のため、露光中に彷徨するかもしれない。ステップ/ステアシステムは広く用いられるが、軸外視野点彷徨(ここでは像彷徨と呼ばれる)による像ぼけのこの問題は、十分に認識されていない。以下に説明されるように、像彷徨の影響は、無限焦点倍率、視野角(FOV)、およびFPAの画素数が増大するにつれ、より著しくなる。以下に論じられるある局面および実施の形態によると、ぼけは、無限焦点望遠鏡において中間像の近くに光学素子を導入して望遠鏡の歪み特性を調整することによって緩和されてもよい。一実施の形態では、視野レンズ群を3ミラーアナスチグマート内に導入して補正を与える。他の実施の形態では、無限焦点望遠鏡は、彷徨による像ぼけの問題に対処するよう十分な自由度を有する4ミラーアナスチグマートとして構成される。
【0013】
ここに論じられる方法および装置の実施の形態は、適用において、以下の記載に述べられるかまたは添付の図面に示される構築の詳細および構成要素の配置に限定されないことが理解される。方法および装置は、他の実施の形態における実現、およびさまざまな態様における実施または実行が可能である。具体的な実現例は、例示の目的のみのためにここに与えられ、限定するようには意図されない。さらに、ここに用いられる語法および用語は、記載の目的のためであり、限定するように見なされるべきでない。ここにおける「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、「伴う」およびその変形の使用は、その後列挙される項目およびそれらの等価物ならびにさらなる項目を包含するよう意味される。「または」への言及は包含的なものとして解釈され得、「または」を使用して記載されるいかなる用語も、その記載された用語の1つ、2つ以上、およびすべてのいずれをも示し得る。
【0014】
無限焦点望遠鏡は、一般に、望遠鏡に入る光線(θi)と望遠鏡を出る光線(θo)との間の角度的関係が以下の等式を満たすことに基いてゼロ歪みを有するよう最適化される:
tan(θi)=M tan(θo) (1)
等式(1)において、Mは望遠鏡の倍率である。等式(1)の関係は歪みがない像(たとえば線に対する線像)を保証する。しかしながら、バックスキャンミラーが無限焦点望遠鏡の背後に配置されると、この関係は露光中に軸外視野点に対して像彷徨またはぼけを導入する。ぼけの量および有意性は、無限焦点望遠鏡の倍率、視野角、および視野にわたる(FPAの上の)ピクセル数に依存する。結像歪曲収差もさらなる像ぼけを導入するかもしれない。バックスキャンを実現しないシステムに関しては、無限焦点望遠鏡の結像歪みは、典型的には像質とは別個の問題であることが理解される。たとえば、像は鮮鋭であるかもしれないが、歪んでいるように見えるかもしれない。たとえば、軸上レンズ系は典型的には対称的な糸巻き形歪曲または樽形歪曲を示す。軸外瞳またはオフセット視野を伴って設計される無限焦点望遠鏡は、より複雑な歪み関数を有するかもしれない。
【0015】
図2を参照して、物空間におけるセンサシステムの視野の概略図が示される。無限焦点望遠鏡の視野210は(矢印220によって表されるように)スキャンされ、一方で、バックスキャンが行なわれるミラー150は移動して、FPAの視野230を積分時間(露光時間とも呼ばれる)中に固定された状態で保持する。
図2は視野230の角部における点対象240を示す。点目標240は、バックスキャン動作中に望遠鏡の視野210を有効に掃引する。無限焦点望遠鏡110によって導入される結像歪みの性質によって、点目標240は積分時間中にFPA上を彷徨し、その結果ぼけを引起す。
【0016】
像彷徨の問題をさらに説明するために、以下の例は、赤外線探索および追跡(IRST)センサの場合を考える。
図3は、物空間における例示的なIRSTセンサの視野310の例を示す。
図4は、(頂部左、頂部、頂部右、左、軸上、右、底部左、底部、および底部右と表示される)複数個の視野点の場所を示す視野310の対応する例示である。この例では、焦点面アレイは高解像度型であり(垂直1280画素(315)×水平720画素(325))、公称視野は、水平1.4°(335)×垂直2.5°(330)である。無限焦点望遠鏡は、IRST視野310がバックスキャンされる、より大きな視野340を有する。示された例では、方位バックスキャン350は、±0.55度、または方位視野の±39%であり、280画素(355)に対応する。
【0017】
一般に、バックスキャンミラーは、視野310の中心点を露光中において固定される状態で保持するよう構成される。その結果、歪みは像の角部において最も大きい。
図3および
図4において示される例の上記の所与の値に対しては、IRSTフレーム310の中心(軸上視野点)から角部までの半径は、734画素である。
図3のそれなどの高解像度アレイは結像歪みに対して厳しい制御を必要とする。像の角部360での単一画素シフトは、半径においてわずか0.14%の変更を表す。同様に、像回転による単一画素シフトは、わずか1.4ミリラジアン(ミリラド)の回転によって導入される。
【0018】
図5および
図6は、像が等式(1)から与えられる理想的な歪みなしの結像関係で無限焦点望遠鏡の視野を通してバックスキャンされる際の視野点のFPA視野310上におけるそれらの公称位置についてのシミュレーションされた彷徨を示す。像の縁部での視野点に対しての像彷徨の量は、複数の画素である。
図5は、歪みのない「理想的な」6X倍率無限焦点望遠鏡に対してグラフ化された(
図4の視野点に対する)公称位置についての像点彷徨を示す。この例では、バックスキャンは物空間において±0.5°である。線上の各点は0.25°のバックスキャン増分またはステップを表す。FPAは1280×720画素である。
図6は、歪みのない「理想的な」4X倍率無限焦点望遠鏡に対してグラフ化された(
図4の視野点に対する)公称位置についての像点彷徨を示す。この例では、バックスキャンは、物空間において再び±0.5°であり、線上の各点は0.25°のバックスキャンステップを表す。FPAは1280×720画素である。
図5および
図7を比較すると(および縮尺変更に注意すると)、像彷徨の量はより高い無限焦点倍率に対してより大きいこと、および関係は倍率と線形ではないことが示される。
【0019】
図5および
図6は、「理想的な」歪みなしの無限焦点望遠鏡の例に対するシミュレーションされた像点彷徨を示す。しかしながら、上に論じられるように、実用的な無限焦点望遠鏡設計は、像彷徨をより悪くまたはよりよく形成し得る正(糸巻き形)または負(樽形)の歪みを有し得る。
図7は、公称2.4°×1.35°の視野を伴うIRSTシステムに対して設計された軸外瞳を伴う無限焦点望遠鏡の例のレイトレースである。この例では、無限焦点望遠鏡は、一次ミラー710、二次ミラー712および三次ミラー714から構成された3ミラーアナスチグマートを含む。入来する電磁放射120はスキャンミラー720によって3ミラーアナスチグマートに向けられる。無限焦点望遠鏡はさらにクーデ式の光路折り返しミラー730を含む。バックスキャン光学素子が、矢印740によって識別された場所に位置してもよく、それは、無限焦点望遠鏡の出射瞳に、またはその瞳近くにあってもよい。この例では、無限焦点望遠鏡は、約5インチの入射瞳直径および4X倍率を有する。この例示3ミラーアナスチグマートは相対的に小さく、正の(糸巻き系)歪曲を有する。
【0020】
図8は、
図4の視野点および公称IRSTセンサ視野310を用いてシミュレーションされた、
図7の例示無限焦点望遠鏡に対する像点彷徨を示す。
図8は、物空間における±0.5°バックスキャンに対する像彷徨を示す。線に沿った点間のバックスキャン増分は0.1°である。FPAは1280×720画素である。
図8と
図6との比較によって理解され得るように、
図7の無限焦点3ミラーアナスチグマートに対する像彷徨の量は、ゼロの歪みの4Xの理想的な望遠鏡に対するそれより著しく大きい。
図8に示されるように、露光中の像彷徨はいくつかの画素であり、ある例では、
図7の望遠鏡が与えるかもしれない点広がり関数より何倍も大きい。
【0021】
無限焦点望遠鏡に対する代替的な像マッピング関係が以下の等式から与えられる:
θi=Mθo(2)
この構成は、単一の軸に沿った視野点に対する像彷徨を最小限にしてもよい。たとえば、等式(2)の像マッピング関係に従って設計された無限焦点望遠鏡は、スキャン方向に沿った(たとえば
図3における水平軸に沿った)像点に対する像彷徨を導入しない。
図9は、等式(2)の像マッピング関係を利用する4X倍率無限焦点望遠鏡、および
図4の視野点に対する、シミュレーションされた像点彷徨を示す。
図9は、物空間における−0.5°〜+0.5°のシミュレーションされたバックスキャンに対する結果を呈示する。
図9において理解され得るように、X軸(スキャン方向)より上および下の軸外像点は、ほとんど全体的に垂直方向に彷徨する。加えて、像彷徨はいくつかの視野点に対しては複数の画素である。
【0022】
局面および実施の形態によると、バックスキャン中の像彷徨の問題は、無限焦点望遠鏡の結像歪みを最適化して、複数の視野点における、および複数の構成にわたる、像彷徨の影響を最小限にすることによって緩和されてもよい。これは、無限焦点設計において中間像の近くに光学素子を挿入して結像歪みを調整することによって達成されてもよい。この方策は反射型または屈折型の無限焦点望遠鏡を含む任意の無限焦点設計に対して実現されてもよい。
【0023】
一実施の形態によると、3ミラーアナスチグマートは、第4のミラーを中間像位置の近くに挿入し、たとえばすべての4つのミラーのサイズ、位置、屈折力、および/または表面特性を含む光学形式を再最適化することによって、4ミラーアナスチグマートとして再構成される。結果として生じる4ミラーアナスチグマートは、望遠鏡の結像歪み特性を制御して、像彷徨の像を滲ませる作用を十分に低減するように構成されてもよい。
【0024】
図10を参照して、一実施の形態に従って4ミラーアナスチグマートを含む無限焦点望遠鏡の一例のレイトレースが示される。この例では、望遠鏡1000は、一次ミラー1010、二次ミラー1020および三次ミラー1030を含む。ともに、一次、二次および三次ミラーは入射瞳1050を介して電磁放射120を受け、その放射をバックスキャンミラー150(
図1Aおよび1Bを参照)に向けるが、それは、典型的には無限焦点望遠鏡の出射瞳1060に、またはその近くに位置決めされる。示された例では、一次ミラー1010は正の屈折力を有するミラーであり、二次ミラー1020は負の屈折力を有するミラーであり、三次ミラー1030は正の屈折力を有するミラーである。視野補正ミラー1040は、3ミラーアナスチグマートの中間像平面に、またはその近くに位置決めされ、それによって、4ミラーアナスチグマートを形成する。一実施の形態において、視野補正ミラー1040はほぼ平坦な非球面ミラーである。視野補正ミラー1040の厳密な形状は、数値最適化手順を用いて像彷徨を最小限にするように判断されてもよい。一例では、4ミラーアナスチグマートは、バックスキャン中に像ぼけを低減するように具体的に設計された、9インチ鏡径、4.5X倍率および3.5°円形視野を有する。
【0025】
図11は、
図10の無限焦点望遠鏡のこの例に対する光学的規定を与える。この光学的規定は下の等式(3)を用いて生成されてもよく、それは業界標準であり、当業者には公知であろう。
図11において与えられる規定は単に例示的であること、および無限焦点望遠鏡1000のさまざまな実施の形態の規定は光学系によって実行される意図されるタスクによって判断されることが理解される。
図11では、距離、オフセットおよび傾斜は、系の公称の光軸に関してである。
【0027】
図12は、
図10において示され、
図11の規定に対応する例示的な4ミラーアナスチグマートに対する焦点面アレイ上における像彷徨を示す。
図12において示される結果を生じさせるために、物空間における±0.5°バックスキャンが0度の系横揺れ角でシミュレーションされた。線に沿った点間の分離は0.1°である。
図12および
図6を参照して理解され得るように、
図10の4ミラー無限焦点望遠鏡1000は、バックスキャン動作中において像点彷徨における有意な低減を与える。この4.5X望遠鏡に対する像彷徨は、
図6において示されるゼロ歪みの「理想的な」4X望遠鏡に対する像彷徨より小さい。
【0028】
図13は、物空間における(
図10および表1の望遠鏡に対応する)4ミラーアナスチグマートの結像歪みを示す。
図13では、正方形の2.5°視野が示される。像彷徨を補正するために導入される歪みは相対的に小さい。結果として生じる歪みはわずかに負である(樽形歪曲)。
図13は、バックスキャン動作中に像彷徨を抑制するための所望の歪みは、わずかに負であり、「理想的な」歪みなしの結像例から逸脱することを示す。しかしながら、歪みの量は非常に少なく、結像適用例においてでさえ概して異議がないであろうことが十分に理解される。
【0029】
一実施の形態によると、視野補正ミラー1040は調整可能または変形可能ミラーであってもよい。当業者には公知であるように、変形可能ミラーの形状はミラーの特性を変更するために計算機制御下で調整されてもよい。したがって、光学系は、概してここではプロセッサと呼ばれる計算装置を含むかまたはそれに結合されてもよく、それは、変形可能ミラーとインターフェイスしそれを制御することが可能である任意のタイプのプロセッサ、コンピュータまたは他の演算/処理装置であってもよい。プロセッサは、変形可能ミラーの形状を調整して、上に論じられるように、無限焦点望遠鏡の歪み特性を変更しバックスキャン動作中に軸外視野点に対する像彷徨を制御するよう構成されてもよい。視野補正ミラー1040に対する変形可能ミラーの使用は、ミラーの形状がプロセッサによって制御されて、無限焦点望遠鏡の歪み特性を異なる条件下で可変に調整し、および/またはより微細な像彷徨の制御を与えることができる点において、有利であってもよい。
【0030】
いくつかの適用例では、4ミラーアナスチグマートと関連付けられるパッケージングは望ましくないかもしれないし便利ではないかもしれない。他の実施の形態によると、像彷徨は、望遠鏡の歪み特性を調整するために3ミラーアナスチグマートの中間像平面に、またはその近くに挿入される視野レンズ群を用いることによって、緩和されてもよい。この構成は、上に論じられた4ミラー構成に対して、よりコンパクトなパッケージに収容されてもよく、したがって、空間が限定される適用例において好まれてもよい。
【0031】
図14を参照して、3ミラーアナスチグマートおよび視野補正レンズ群を含む無限焦点望遠鏡1400の一例のレイトレースが示される。3ミラーアナスチグマートは、一次ミラー1410、二次ミラー1420および三次ミラー1430から構成される。一例では、一次ミラー1410は正の屈折力を有するミラーであり、二次ミラー1420は負の屈折力を有するミラーであり、三次ミラー1430は正の屈折力を有するミラーである。3ミラーアナスチグマートは、入射電磁放射120を入射瞳1450を介して受け、中間像を形成し、電磁放射/中間像を再結像および視準し、それを、無限焦点望遠鏡1400の出射瞳1460に、またはその近くに位置決めされてもよいバックスキャンミラー150に向けるように構成される。
図14において示されるように、視野補正レンズ群1440は中間像平面の近くに位置決めされる。一例において、視野補正レンズ群1440は、3ミラーアナスチグマートの光軸に関して軸外に位置決めされた(偏心化された)非球面レンズを含む。視野補正レンズ群1440は、低分散材料から形成された1つ以上のレンズを含んでもよい。一例において、視野補正レンズ群1140は、セレン化亜鉛(ZnSe)から形成された少なくとも1つのレンズを含む。
【0032】
いくつかの実施の形態によると、無限焦点望遠鏡1400はデュアルバンド動作に対して構成されてもよい。たとえば、無限焦点望遠鏡1400は、中波赤外線(MWIR)スペクトル帯(約3μmから5μmの範囲における波長)、および長波長赤外線(LWIR)帯(約8μmから12μmの範囲における波長)に対して構成されてもよい。したがって、視野補正レンズ群1440は、MWIRおよびLWIRの両方のスペクトル帯において低い分散を有する、たとえばZnSeなどの材料から形成された1つ以上のレンズを含んでもよい。デュアルバンド構成の他の例では、視野補正レンズ群1440は、ZnSe(セレン化亜鉛)およびZnS(硫化亜鉛)またはZnSeおよびGe(ゲルマニウム)などの異なる材料からなる2つ以上のレンズ素子を含んでもよい。いくつかの例では、視野補正レンズ群1440に対して、多くのレーザシステムの波長である約1μmの波長において動作可能な材料を選択することが好ましくてもよい。
【0033】
図15は、
図13の無限焦点望遠鏡の一例に対する光学的規定を与える。光学的規定は等式(3)を用いて生成されてもよい。しかしながら、
図15において与えられる規定は単に例示的であること、および無限焦点望遠鏡1400のさまざまな実施の形態の規定は光学系によって実行されるタスクによって判断されることが理解される。この例では、無限焦点望遠鏡は、9インチ鏡径、4.5X倍率および公称3.5°視野を有する。光学設計は、物空間において±0.5°のバックスキャンに対する像彷徨を最小限にするように最適化される。
【0034】
図16Aおよび
図16Bは、
図14において示され
図15の光学的規定に対応する視野レンズ補正器を伴う3ミラーアナスチグマートに対する焦点面アレイ上における像彷徨を示す。結果は、
図4の視野点およびFPA視野に対して呈示される。
図16Aは、MWIR帯(4.375μmの中心波長)に対するFPA上の点光源像彷徨を示し、
図16Bは、LWIR帯(9μmの中心波長)に対するFPA上の点光源像彷徨を示す。
図16Aおよび
図16Bの両方に対して、物空間における±0.5°バックスキャンがシミュレーションされた。線に沿った点間の分離は0.1°である。
図16Aおよび
図16Bのグラフは、0°のセンサ横揺れ条件に対するものであり、結果は、たとえば30°などの、系の有意な横揺れ角に対しては、わずかにより悪くなり得る。
図16A、
図16Bおよび
図6を参照して理解され得るように、像彷徨の量は著しく低減される。加えて、
図16Aおよび
図16Bを参照して、2つの帯域に対する結果はほとんど同一であり、それは非常に弱い視野レンズ1340がMWIR帯およびLWIR帯において色収差をほとんど導入しないことを示す。
【0035】
図17は、
図15において与えられる光学的規定での
図14の無限焦点望遠鏡の歪み特性を示す。上に論じられた4ミラー望遠鏡の実施の形態でのように、歪みは低く、負(樽形歪曲)である。
図17では、正方形2.5°視野が示される。
【0036】
したがって、局面および実施の形態は、バックスキャンが行なわれる系に対する無限焦点望遠鏡設計は焦点面アレイ上における像彷徨を最小限にするように最適化されてもよいことを示す。理想的な歪みなしの望遠鏡が著しい像彷徨を示す場合があるので、歪みを単に最小限にすることは十分ではない。ある実施の形態では、上に呈示されるように、所望の歪みはわずかに負である。ある実施の形態は、像の滲みを各々が緩和する2つの異なる無限焦点設計形式、特に、最適化された4ミラーアナスチグマート形式、および視野補正レンズ群を組込む3ミラーアナスチグマート形式に向けられる。
【0037】
少なくとも一実施の形態のいくつかの局面を上に記載したが、さまざまな変更、修正および改良が当業者には容易に想起されることが理解される。そのような変更、修正および改良は、この開示の一部であるように意図され、この発明の範囲内にあるように意図される。したがって、前述の記載および図面は例示のみによるものであり、この発明の範囲は特許請求の範囲の適切な構築およびそれらの等価物から判断されるべきである。