【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行所名:一般社団法人 日本ロボット学会、刊行物名:第33回日本ロボット学会学術講演会予稿集、発行年月日:2015年9月3日 集会名:第33回日本ロボット学会学術講演会、開催日(発表日):2015年9月5日 発行所名:公益社団法人 計測自動制御学会 システム・情報部門、刊行物名:公益社団法人 計測自動制御学会 システム・情報部門学術講演会2015講演論文集、発行年月日:2015年11月18日 集会名:公益社団法人 計測自動制御学会 システム・情報部門学術講演会2015、開催日(発表日):2015年11月19日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のオムニホイール及び前記第2のオムニホイールは、前記第1のバレルと前記第2のバレルとが交互に等間隔で路面に当接するように、前記第1のバレルと前記第2のバレルとの位相が互いにずらされている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオムニホイールアセンブリ。
前記第1のオムニホイール及び前記第2のオムニホイールと同一直線上を走行するように配置され、前記フレームに回転可能に支持された第3のバレルフレームと、前記第3のバレルフレームの外周部に円周方向を向いた回転軸の周りに回転可能に支持された複数の第3のバレルと、を備える第3のオムニホイールと、
前記第2のバレルと前記第3のバレルとの位相が互いにずらされた状態で、前記第2のバレルフレームと前記第3のバレルフレームとを連動させる第2の連動手段と、
をさらに備え、
前記第1のオムニホイール、前記第2のオムニホイール、及び前記第3のオムニホイールは、前記第1のバレル、前記第2のバレル、及び前記第3のバレルが互いに異なる位相で回転するように組み合わされている、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のオムニホイールアセンブリ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のオムニホイールは、複数の支持脚が径方向に延設されたバレルフレームと、隣接する支持脚の間に、円周方向を向く回転軸の周りに回転可能に軸支された複数のバレルと、を備えており、バレルフレームの回転によりバレルフレームの左右に設けられたバレルが交互に路面に当接する構成を備えている。
【0006】
しかしながら、水圧鉄管は、水力発電所ごとに内径が異なるとともに、同じ水圧鉄管においても上流から下流に至るまでに内径が変化することがある。このため、特許文献1のオムニホイールにおいては、例えば
図12に示すように、内径Φ910mmの水圧鉄管の内面にバレルフレームの回転に伴い内側及び外側のバレルが交互に当接するように、オムニホイール100’を点検装置に固定したとしても、水圧鉄管の内径がΦ910mmから545mmに変化すると、オムニホイール100’の内側のバレルが水圧鉄管の内面から常に浮き上がってしまう、という問題があった。
【0007】
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、曲率が途中で変化する湾曲路面を走行する場合であっても、オムニホイールに比べてバレルが路面に当接する割合を増加させたオムニホイールアセンブリ、点検装置、及び点検システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るオムニホイールアセンブリは、
フレームと、
前記フレームに回転可能に支持された第1のバレルフレームと、前記第1のバレルフレームの外周部に円周方向を向いた回転軸の周りに回転可能に支持された複数の第1のバレルと、を備える第1のオムニホイールと、
前記第1のオムニホイールと同一直線上を走行するように配置され、前記フレームに回転可能に支持された第2のバレルフレームと、前記第2のバレルフレームの外周部に円周方向を向いた回転軸の周りに回転可能に支持された複数の第2のバレルと、を備える第2のオムニホイールと、
前記第1のバレルと前記第2のバレルとの位相が互いにずらされた状態で、前記第1のバレルフレームと前記第2のバレルフレームとを連動させる連動手段と、
を備える。
【0009】
前記連動手段は、
前記第1のバレルフレームと一体となって同軸周りに回転する第1のギアと、
前記第2のバレルフレームと一体となって同軸周りに回転する第2のギアと、
前記フレームに回転可能に支持され、前記第1のギア及び前記第2のギアと連動可能に組み合わされた中間ギアと、
を備えてもよい。
【0010】
前記中間ギアは、前記フレームの外側に伸び、外部からの動力を伝達する中間ギア回転軸を備えてもよい。
【0011】
前記第1のオムニホイール及び前記第2のオムニホイールは、前記第1のバレルと前記第2のバレルとが交互に等間隔で路面に当接するように、前記第1のバレルと前記第2のバレルとの位相が互いにずらされていてもよい。
【0012】
前記第1のバレルフレーム及び第2のバレルフレームは、回転軸から径方向に伸びる複数の支持脚を備えており、
前記第1のバレル及び第2のバレルは、隣り合う前記支持脚の間に回転可能に支持されていてもよい。
【0013】
前記支持脚は、先端部を分岐して構成され、隣接する前記支持脚の間で互いに対向するように構成されているブラケットを備えており、
互いに対向する前記ブラケットには、同軸となるようにバレル回転軸孔が設けられており、
前記第1のバレル及び第2のバレルは、長手方向中心部に挿通されたバレル回転軸を備えており、
前記バレル回転軸は、前記バレル回転軸孔に支持されていてもよい。
【0014】
前記第1のオムニホイール及び前記第2のオムニホイールと同一直線上を走行するように配置され、前記フレームに回転可能に支持された第3のバレルフレームと、前記第3のバレルフレームの外周部に円周方向を向いた回転軸の周りに回転可能に支持された複数の第3のバレルと、を備える第3のオムニホイールと、
前記第2のバレルと前記第3のバレルとの位相が互いにずらされた状態で、前記第2のバレルフレームと前記第3のバレルフレームとを連動させる第2の連動手段と、
をさらに備え
、
前記第1のオムニホイール、前記第2のオムニホイール、及び前記第3のオムニホイールは、前記第1のバレル、前記第2のバレル、及び前記第3のバレルが互いに異なる位相で回転するように組み合わされていてもよい。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る点検装置は、
上記のオムニホイールアセンブリと、
前記オムニホイールアセンブリが前端部の左右及び後端部の左右にそれぞれ支持されるボディと、
前記ボディに支持され、前記オムニホイールアセンブリに機械的に接続され、前記オムニホイールアセンブリを駆動する駆動手段と、
前記ボディに支持され、対象物を撮影する撮影手段と、
を備える。
【0016】
前記駆動手段の動力を前記オムニホイールアセンブリに伝達する伝達手段と、
前記伝達手段に設けられ、前記駆動手段からの回転を前記オムニホイールアセンブリに伝達するが、前記オムニホイールアセンブリからの回転を前記駆動手段に伝達しない双方向クラッチと、
をさらに備えてもよい。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係る点検システムは、
上記の点検装置と、
前記点検装置に接続され、前記点検装置を管路の上流側から牽引する牽引ロープと、
前記管路の上流側に設置され、前記牽引ロープの巻き上げ及び巻き下げを行うウィンチと、
を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1のオムニホイールと第2のオムニホイールが同一直線上を走行するように配置され、第1のバレルと第2のバレルとの位相が互いにずらされた状態で、第1のバレルフレームと第2のバレルフレームとが連動するように構成されている。したがって、曲率が途中で変化する湾曲路面を走行する場合であっても、オムニホイールに比べてバレルが路面に当接する割合を増加させたオムニホイールアセンブリ、点検装置、及び点検システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るオムニホイールアセンブリ、点検装置、及び点検システムを、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面においては、同一または同等の部分に同一の符号を付している。
【0021】
(実施の形態1)
図1〜3を参照して、オムニホイールアセンブリ100の構成を説明する。
【0022】
オムニホイールアセンブリ100は、第1のオムニホイール110、第2のオムニホイール120、フレーム130、第1のギア140、第2のギア150、中間ギア160を備える。第1のオムニホイール110は、フレーム130の前方に、第2のオムニホイール120は、フレーム130の後方に、同一直線上を走行するような配置で回転可能に支持される。
【0023】
オムニホイールアセンブリ100の各構成要素について説明する。
【0024】
第1のギア140、第2のギア150、中間ギア160は、第1のオムニホイール110と第2のオムニホイール120とを連動させる連動手段を構成する。第1のギア140は、第1のオムニホイール110に同軸で固定され、第1のオムニホイール110と一体に回転可能である。第2のギア150は、第2のオムニホイール120に同軸で固定され、第2のオムニホイール120と一体に回転可能である。中間ギア160は、第1及び第2のギア140、150の間に位置しており、フレーム130に回転可能に支持される。中間ギア160は、第1及び第2のギア140、150と組み合わされ、第1及び第2のギア140、150を互いに連動させる。中間ギア160の回転が第1及び第2のギア140、150に伝達され、第1及び第2のギア140、150の回転が第1及び第2のオムニホイール110、120に伝達される。また、第1及び第2のオムニホイール110、120は、同じ向き、同じ速度で回転する。
【0025】
図3に示すように、フレーム130は、オムニホイールアセンブリ100の前方又は後方から見て下向きにコの字形の部材である。フレーム130は、上壁部131と、上壁部131の両側端から下方に伸びる2つの側壁部132、133と、を備える。上壁部131の側縁には、雌ネジ孔が設けられており、側壁部132、133の雌ネジ孔に対応する部分にはボルト貫通孔が設けられている。上壁部131の雌ネジ孔に側壁部132、133のボルト貫通孔を合わせて、ボルトを雌ネジ孔に向けて挿通し、螺合すると、上壁部131と側壁部132、133とが互いに固定される。
【0026】
図1に示すように、フレーム130の側壁部132には、第1のオムニホイール110の回転軸113を回転可能に支持する第1の軸受け134、第2のオムニホイール120の回転軸113を回転可能に支持する第2の軸受け135、中間ギア160の中間ギア回転軸161を回転可能に支持する第3の軸受け136が設けられている。フレーム130の側壁部133にも、同様に第1の軸受け134、第2の軸受け135、第3の軸受け136が設けられている。
【0027】
第1及び第2のオムニホイール110、120について説明する。第2のオムニホイール120は第1のオムニホイール110と同じ構成を備える。このため、以下においては、
図4〜6を参照して第1のオムニホイール110を中心に説明する。
【0028】
第1のオムニホイール110は、1つのバレルフレーム111と、バレルフレーム111の円周部に、円周方向を向く回転軸の周りに回転可能に支持された6つのバレル112と、を備える。
図4、5に示すように、一方の3つのバレル112は、円周方向に120°位相をずらしてバレルフレーム111の進行方向の左側に支持される。他方の3つのバレル112は、円周方向に120°位相をずらしてバレルフレーム111の進行方向の右側に支持される。左側のバレル112と右側のバレル112は、バレルフレーム111の円周方向に60°位相をずらして配置される。したがって、バレルフレーム111が進行方向(前後方向)に進行するように回転すると、バレルフレーム111に回転可能に支持された左右のバレル112は交互に路面に当接する。
【0029】
バレルフレーム111は、中心部を左右方向に伸びる回転軸113を備えている。バレルフレーム111が回転すると、回転軸113も一体となって回転する。バレルフレーム111が回転軸113と一体に回転するように、バレルフレーム111の中心部に設けられた貫通孔は断面が多角形に形成されており、回転軸113の対応する断面も相補的な多角形に形成されている。回転軸113は、第1の軸受け134を介してフレーム130の側壁部132、133に回転可能に支持される。
【0030】
図6を参照して、バレルフレーム111について説明する。バレルフレーム111は、第1のバレルフレーム111aと、第2のバレルフレーム111bと、を備える。第1のバレルフレーム111aと第2のバレルフレーム111bは進行方向の左右に並べられ、一体に構成されている。第1及び第2のバレルフレーム111a、111bは、同一の形状を有しているため、以下においては、第1のバレルフレーム111aを中心に説明する。
【0031】
第1のバレルフレーム111aは、回転軸113から径方向外側に向かって伸びる3つの支持脚114、115、116を備える。3つの支持脚114、115、116は、隣接する支持脚と120°位相をずらすように配置される。支持脚114は、その先端に分岐する一対のブラケット114a、114bを備える。同様にして、支持脚115は、その先端に分岐する一対のブラケット115a、115bを、支持脚116は、その先端に分岐する一対のブラケット116a、116bを備える。
【0032】
支持脚114のブラケット114bと支持脚115のブラケット115aは、互いに対向するように配置される。同様にして、支持脚115のブラケット115bと支持脚116のブラケット116a、支持脚116のブラケット116bと支持脚114のブラケット114aは、それぞれ互いに対向するように配置される。互いに対向するブラケットには、同軸となるようにバレル回転軸孔117が設けられる。
図4に示すように、バレル回転軸孔117には、バレル112を回転可能に支持するバレル回転軸118が固定される。このようにして、支持脚114のブラケット114bと支持脚115のブラケット115a、支持脚115のブラケット115bと支持脚116のブラケット116a、支持脚116のブラケット116bと支持脚114のブラケット114aは、それぞれバレル112を回転可能に軸支する。
【0033】
上記のように構成された第1及び第2のバレルフレーム111a、111bは、それぞれの支持脚114、115、116を互いに60°位相をずらして、進行方向の左右に並べて固定される。このため、バレルフレーム111は、左側のバレル112と右側のバレル112とをバレルフレーム111の円周方向に60°位相がずれるように配置する。
【0034】
バレル112は、中央部が膨らんだ樽型の部材である。
図4に示すように、バレル112の長手方向中央部には、バレル回転軸118を挿通可能なバレル貫通孔119が設けられている。バレル回転軸118がバレル112のバレル貫通孔119に挿通されることにより、バレル112はバレルフレーム111に対して円周方向を向く回転軸の周りに回転可能に構成される。バレル112は、第1のオムニホイール110に加えられる衝撃を吸収するため、ウレタン等の弾性部材から形成される。
【0035】
再び
図1、2を参照すると、第1及び第2のギア140、150は、その中心部に設けられた貫通孔に第1及び第2のオムニホイール110、120の回転軸113がそれぞれ貫通され、固定される。第1及び第2のギア140、150の貫通孔は、回転軸113の多角形断面に相補的な形状に形成される。このため、第1及び第2のギア140、150は、それぞれ回転軸113と一体になって回転できる。
【0036】
第1及び第2のギア140、150は、フレーム130の側壁部132の外面に配置される。回転軸113は、第1及び第2の軸受け134、135を介してフレーム130の側壁部132、133に回転可能に支持される。上記のように構成されているため、第1及び第2のギア140、150は、それぞれ第1及び第2のオムニホイール110、120と一体となって回転する。
【0037】
中間ギア160は、第1及び第2のギア140、150の間に位置するようフレーム130の側壁部132の外面に配置される。中間ギア160の中心部には中間ギア回転軸161が一体に固定されている。中間ギア回転軸161は、多角形の断面を有するように構成され、中間ギア160の中心部の貫通孔は、中間ギア回転軸161の多断面形状に相補的な形状に形成されている。
【0038】
中間ギア回転軸161は、第3の軸受け136を介してフレーム130の側壁部132、133に回転可能に支持される。中間ギア回転軸161は、側壁部132の外部に伸びており、先端にかさ歯車162が設けられている。かさ歯車162は、外部から伝達された動力を中間ギア回転軸161に伝達する。
【0039】
上記の構成を有する中間ギア160の歯は、第1及び第2のギア140、150の歯と噛み合わされている。このため、中間ギア160は、中間ギア回転軸161から伝達された回転を第1及び第2のギア140、150に伝達することができる。また、中間ギア160は、第1及び第2のギア140、150が、互いに同じ向き、同じ速度で回転するように連動させることができる。
【0040】
オムニホイールアセンブリ100においては、第1のオムニホイール110の左側のバレル112と、第2のオムニホイール120の左側のバレル112は、互いに円周方向に60°位相がずれるように組み合わされている。また、同様にして、第1のオムニホイール110の右側のバレル112と、第2のオムニホイール120の右側のバレル112も、互いに円周方向に60°位相がずれるように組み合わされている。前述のとおり、第1及び第2のオムニホイール110、120は、左側のバレル112と右側のバレル112がバレルフレーム111の円周方向に60°位相がずれるように配置されている。このため、オムニホイールアセンブリ100においては、第1のオムニホイール110の左側のバレル112と、第2のオムニホイール120の右側のバレル112とが同じ位相で回転するとともに、第1のオムニホイール110の右側のバレル112と、第2のオムニホイール120の左側のバレル112とが同じ位相で回転する。
【0041】
次に、オムニホイールアセンブリ100の動作について説明する。
【0042】
電動モータ等からの動力により中間ギア160が回転すると、中間ギア160に組み合わされた第1及び第2のギア140、150が回転する。第1及び第2のギア140、150の回転は、第1及び第2のオムニホイール110、120の回転軸113に伝達され、第1及び第2のオムニホイール110、120のバレルフレーム111が、同じ向き、同じ速度で回転する。
【0043】
また、第1及び第2のオムニホイール110、120が外力により回転させられるときも、両者は、第1及び第2のギア140、150及び中間ギア160により連動するように構成されている。このため、第1及び第2のオムニホイール110、120のバレルフレーム111は、同じ向き、同じ速度で回転する。
【0044】
オムニホイールアセンブリ100が走行しているとき、第1及び第2のオムニホイール110、120は、バレルフレーム111の回転軸113周りの回転により、バレルフレーム111に回転可能に軸支された左右のバレル112が路面に交互に当接する。より具体的には、第1のオムニホイール110の左側のバレル112及び第2のオムニホイール120の右側のバレル112と、第1のオムニホイール110の右側のバレル112及び第2のオムニホイール120の左側のバレル112とは、交互に路面に当接しようと回転する。
【0045】
第1及び第2のオムニホイール110、120は前述のように動作するため、左側又は右側のうち一方の側のバレル112が浮き上がったとしても、他方の側のバレル112が路面に交互に当接し続ける。したがって、曲率が途中で変化する湾曲路面を走行する場合であっても、第1及び第2のオムニホイール110、120は、バレルフレーム111の回転により回転軸113と直交する方向(前後方向)に自在に移動できるとともに、バレル回転軸118を中心とするバレル112の回転により回転軸113の軸方向(左右方向)にも自在に移動できる。
【0046】
以上説明したとおり、オムニホイールアセンブリ100においては、第1及び第2のオムニホイール110、120が同一直線上を走行するように配置されており、第1のオムニホイール110バレル112と第2のオムニホイール120のバレル112が、連動手段により交互に路面に当接するように連動するように構成されている。このため、曲率が途中で変化する湾曲路面を走行したときに、第1及び第2のオムニホイール110、120の内側又は外側のうち一方の側のバレル112が浮き上がったとしても、他方の側のバレル112が路面に当接した状態を維持するため、オムニホイールアセンブリ100は、常時、左右方向にも自在に移動できる。
【0047】
また、オムニホイールアセンブリ100は、平面状の路面を走行する場合においても、第1及び第2のオムニホイール110、120の前後のバレル112が常時、路面に当接しているため、従来のオムニホイールに比べて平面状の路面を安定して走行することができる。
【0048】
(実施の形態2)
図7〜10を参照して、本発明の実施の形態2に係る点検装置1について説明する。実施の形態2においては、実施の形態1に係るオムニホイールアセンブリ100が水圧管路内を走行する点検装置1に適用される例を例示するが、オムニホイールアセンブリ100は他の走行装置にも適用可能である。はじめに点検装置1の全体的な構成について説明する。
【0049】
点検装置1は、水圧鉄管内の塗装のはがれ、鋼板の腐食、亀裂等を点検する装置である。点検装置1は、オムニホイールアセンブリ100、ボディ200、シャフト300、双方向クラッチ400、電動モータ500、アンテナ600、カメラ700、制御部800、バッテリ900を備えている。
【0050】
点検装置1は、電動モータ500を駆動してシャフト300を回転させ、シャフト300の回転をボディ200の前端部及び後端部の左右に回転可能に支持されたオムニホイールアセンブリ100に伝達することで、水圧鉄管内を自走することができる。制御部800は、アンテナ600が受信した指示に基づいて、電動モータ500及びカメラ700の動作を制御することにより、点検装置1を走行させたり、水圧鉄管内の撮像データを取得したりする。
【0051】
次に、
図7〜9を参照して、点検装置1の各構成要素について説明する。
【0052】
点検装置1においては、4つのオムニホイールアセンブリ100がボディ200の前端部及び後端部の左側及び右側に支持されている。オムニホイールアセンブリ100は、シャフト300に機械的に接続され、シャフト300の回転が伝達される。具体的には、
図8に示すように、オムニホイールアセンブリ100のかさ歯車162と、シャフト300のかさ歯車310とが回転を伝達可能に噛み合わされており、シャフト300の回転がオムニホイールアセンブリ100の第1及び第2のオムニホイール110、120に伝達される。
【0053】
オムニホイールアセンブリ100は、水圧鉄管の内面に対して垂直に当接するように、横方向に傾斜させてボディ200の前後端の左右に固定される。具体的には、
図9に示すように、水圧鉄管の内径が例えばΦ910mmの場合を想定して、バレル112が水圧鉄管内面に垂直に当接するようにキャンバー角を調整して、バレルフレーム111をボディ200に固定する。
【0054】
ボディ200は、進行方向に長尺な板状部材である。
図8に示すように、ボディ200は、前端部及び後端部の左側及び右側が、オムニホイールアセンブリ100を配置するために切り欠かれた構成を備える。ボディ200は、点検装置1の走行時にオムニホイールアセンブリ100から加わる外力に対抗して、過度な変形を防止し得る程度の曲げ剛性を有する。
【0055】
ボディ200は、その後端部に牽引ロープを係止するための牽引ロープ係止部201を備える。ボディ200に接続された牽引ロープは、ウィンチに接続されており、ウィンチより巻き上げ、巻き下げできる。このため、ウィンチの操作により点検装置1を自走させることなく、水圧鉄管内を降下させたり、上昇させたりすることができる。
【0056】
シャフト300は、オムニホイールアセンブリ100と電動モータ500とを機械的に接続し、電動モータ500の回転をオムニホイールアセンブリ100に伝達する伝達手段である。シャフト300は、ボディ200の下面に回転可能に支持されている。
【0057】
図8に示すように、シャフト300は、第1の左シャフト301、第2の左シャフト302、第1の右シャフト303、第2の右シャフト304を備える。左前輪のオムニホイール100の中間軸161は、かさ歯車162、310を介して第1の左シャフト301に接続されている。同様に、左後輪のオムニホイール100の中間軸161は、かさ歯車162、310を介して第2の左シャフト302、右前輪のオムニホイール100の中間軸161は、かさ歯車162、310を介して第1の右シャフト303に、右後輪のオムニホイール100の中間軸161は、かさ歯車162、310を介して第2の右シャフト304にそれぞれ接続されている。
【0058】
双方向クラッチ400は、第1のオムニホイール110、第2のオムニホイール120が電動モータ500の回転と一致する方向に回転する場合、第1のオムニホイール110、第2のオムニホイール120を空転させる。一方、双方向クラッチ400は、第1のオムニホイール110、第2のオムニホイール120が電動モータ500の回転と一致しない方向に回転しようとする場合、第1のオムニホイール110、第2のオムニホイール120に電動モータ500からの回転を伝達する。
図7、8に示すように、双方向クラッチ400は、シャフト300の中間部に設けられている。
【0059】
より詳細には、
図8に示すように、双方向クラッチ400は、第1の左双方向クラッチ401、第2の左双方向クラッチ402、第1の右双方向クラッチ403、第2の右双方向クラッチ404を備える。第1の左双方向クラッチ401は、第1の左シャフト301の中間部に設けられる。同様に、第2の左双方向クラッチ402は、第2の左シャフト302の中間部に、第1の右双方向クラッチ403は、第1の右シャフト303の中間部に、第2の右双方向クラッチ404は、第2の右シャフト304の中間部に、それぞれ設けられる。
【0060】
点検装置1が傾斜した水圧鉄管内を上昇するように電動モータ500を駆動すると、第1のオムニホイール110、第2のオムニホイール120は水圧鉄管内を降下する向きに回転しようとするため、電動モータ500の回転を双方向クラッチ400が伝達してシャフト300が回転し、4つのオムニホイールアセンブリ100がそれぞれ回転する。また、点検装置1が傾斜した水圧鉄管内を下降するように電動モータ500を駆動すると、第1のオムニホイール110、第2のオムニホイール120も水圧鉄管内を降下する向きに回転しようとするため、電動モータ500の回転を双方向クラッチ400が遮断し、4つのオムニホイールアセンブリ100がそれぞれ空転する。
【0061】
電動モータ500は、シャフト300を回転させるための駆動手段である。電動モータ500は、バッテリ900から電力を供給され、制御部800により駆動を制御される。
【0062】
電動モータ500は、ボディ200の上面の進行方向の左側に配置された第1の電動モータ501と、ボディ200の上面の進行方向の右側に配置された第2の電動モータ502と、を備える。第1及び第2の電動モータ501、502は、いずれもボディ200に対して垂直な向きに回転軸を下方に向けて固定される。
図8に示すように、第1及び第2の左シャフト301、302は、第1及び第2の左シャフト301、302に接続されたかさ歯車320と、第1の電動モータ501に接続されたかさ歯車510とを介して、第1の電動モータ501に接続される。同様に、第1及び第2の右シャフト303、304は、第1及び第2の右シャフト303、304に接続されたかさ歯車320と、第2の電動モータ502に接続されたかさ歯車510とを介して、第2の電動モータ502に接続される。これにより、第1及び第2の電動モータ501、502は、路面の状態に合わせて、左右のオムニホイールアセンブリ100を独立して駆動することができる。例えば、左側のオムニホイールアセンブリ100が障害物に接触した場合、第1の電動モータ501の駆動力を増加させることにより、左側のオムニホイールアセンブリ100は障害物を乗り越えることができる。
【0063】
アンテナ600は、外部機器(計測制御パソコン)と点検装置1との間で信号の送受信を行う送受信手段である。より詳細には、アンテナ600は、外部機器からの信号を受信して制御部800に送信する。また、アンテナ600は、制御部800から信号を受信して外部機器に送信する。アンテナ600は、ボディ200の上面の後端側に支柱601を介して固定される。アンテナ600は、ボディ200の前端側から後端側に向かう方向に向けられ、水圧鉄管の中心軸に沿うように固定される。
【0064】
アンテナ600は、通信に悪影響を与える余分な電波を吸収して、アンテナ600の通信不具合を軽減させる電波吸収体602をさらに備えている。電波吸収体602は、水圧鉄管を通過できるような大きさの六角形の板状部材であり、アンテナ600と同様に支柱601に固定される。
図9に示すように、電波吸収体602は、点検装置1の収容時に折り畳むことができるように、複数のヒンジを備えている。電波吸収体602は、点検装置1の後方から送信された電波を吸収するように、アンテナ600の前方にアンテナ600に隣接して配置される。
【0065】
カメラ700は、水圧鉄管の内面を経時的に撮影する撮影手段である。
図7に示すように、カメラ700は、ボディ200の前端側に設置されている。カメラ700は、水圧鉄管の内面を様々な角度から撮影できるように、多自由度に回転可能な雲台を備えている。カメラ700により撮影された撮影データは、点検装置1の位置データと対応付けて外部メモリ(図示せず)に保存される。外部メモリへの保存は、アンテナ600から撮像データを外部メモリに向けて送信することで行われる。点検装置1の位置データは、点検装置1の牽引ロープ係止部201に係止された牽引ロープの送り出し長さに基づいて外部機器(計測制御パソコン)が計算する。
【0066】
制御部800は、電動モータ500、アンテナ600、カメラ700の動作を制御する。制御部800は、CPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサから構成され、ボディ200の上面に搭載される。制御部800は、電動モータ500、アンテナ600、カメラ700を制御するためのプログラムが記憶してあるRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリを備えている。
【0067】
次に、
図10を参照して、点検装置1の動作について説明する。
【0068】
水圧鉄管内の点検は、水力発電所の停電工事期間を利用して実施する。停電工事期間においては、水圧鉄管の内部が抜水状態であるため、水圧鉄管内における点検装置1の走行が可能になる。
【0069】
はじめに水圧鉄管の上流側に点検装置1とデータの送受信を行う固定アンテナを設置する。固定アンテナは水圧鉄管の上流側にある第1のマンホールから水圧鉄管内に設置する。固定アンテナには、外部機器(計測制御パソコン)を接続しておき、点検装置1に対して信号を送信し得るように構成する。
【0070】
その後、点検装置1のボディ200に設けられた牽引ロープ係止部201にウィンチで巻き上げ可能な牽引ロープを接続する。次いで、第1のマンホールから水圧鉄管内に点検装置1をセットする。
【0071】
水圧鉄管には、水槽から発電所までの区間において、急勾配の区間、緩やかな勾配の区間が混在する。
図10に示される例では、第1の固定台から第2の固定台までは急勾配な区間であり、第2の固定台から下流側は勾配の緩やかな区間である。実施の形態2においては、第1の固定台から第2の固定台までの区間については点検装置1を自重により降下させ、第2の固定台からの区間については電動モータ500を駆動し、点検装置1を自走させる。
【0072】
より詳細に説明すると、第1の固定台から第2の固定台までの区間については、ウィンチを巻き下げて点検装置を自重により降下させる。このとき、点検装置1には双方向クラッチ400が設けられているため、オムニホイールアセンブリ100が電動モータ500の抵抗を受けずに回転する。
【0073】
一方、第2の固定台からの区間については、水圧鉄管内の水垢、泥、水圧鉄管の継ぎ目にある溶接線等のため、点検装置1を自重のみでは降下させることができない。このため、作業者は、外部機器から制御部800に指示を出し、点検装置1の電動モータ500を駆動させる。すると、オムニホイールアセンブリ100が回転し、点検装置1が第3のマンホールに向けて自走を開始する。点検装置1は、前後左右の4つのオムニホイールアセンブリ100が駆動可能であるため、水圧鉄管内の水垢、泥、溶接線といった障害物を乗り越えることが可能である。このようにして、水圧鉄管を上方にある水槽側から下方にある発電所側までカメラ700で撮影する。
【0074】
水圧鉄管内の点検がすべて終了すると、ウィンチを用いて牽引ロープを巻き上げることにより点検装置1を水圧鉄管内から回収する。牽引ロープを巻き上げて点検装置1を回収する際に、オムニホイールアセンブリ100は水圧鉄管内を走行することにより回転するが、双方向クラッチ400がオムニホイールアセンブリ100の回転を電動モータ500に伝達しないように、オムニホイールアセンブリ100を空転させるため、点検装置1を容易に引き上げることができる。
【0075】
点検装置1が水圧鉄管内を上下に走行するとき、オムニホイールアセンブリ100は、内径Φ910mmの水圧鉄管の内面に垂直となるように点検装置1のボディ200に固定されているため、第1及び第2のオムニホイール110、120が回転するたびに内側及び外側のバレル112が交互に水圧鉄管の内面に当接する。したがって、点検装置1は水圧鉄管内を周方向に移動可能であるため、走行時において点検装置1が水圧鉄管の側面に乗り上げそうになったとしても、自重により点検装置1が自然と元の位置に戻ることができる。
【0076】
図10の水圧鉄管は同一の内径を有しているが、水圧鉄管によっては途中で内径が変化する箇所が存在する場合がある。例えば、
図10の水圧鉄管に適合した点検装置1がΦ910mmよりも内径が小さい水圧鉄管を走行する場合、水圧鉄管の内面に対して点検装置1の内側のバレル112が常に浮く状態になる。しかし、前後にある第1及び第2のオムニホイール110、120の外側のバレル112が交互に水圧鉄管の内面に当接するため、自重により点検装置1が元の位置に戻ろうとする動作を妨げることがない。
【0077】
一方、点検装置1がΦ910mよりも内径が大きい水圧鉄管を走行する場合、水圧鉄管の内面に対して点検装置1の外側のバレル112が常に浮く状態になる。しかし、前後にある第1及び第2のオムニホイール110、120の内側のバレル112が交互に水圧鉄管の内面に当接するため、自重により点検装置1が元の位置に戻ろうとする動作を妨げることがない。
【0078】
なお、牽引ロープが第1のマンホールから第3のマンホールまでの長さを有する場合、点検装置1を第1のマンホールから第3のマンホールまで走行させることができるが、牽引ロープが短い場合、第1の固定台から第2の固定台までの区間を点検した後に点検装置1を一旦、水圧鉄管の外部に回収し、
図10に示すように、再度、点検装置1を第2のマンホールにセットして、以後の点検を再開する。
【0079】
以上説明したように、点検装置1においては、実施の形態1のオムニホイールアセンブリ100を採用しているため、水圧鉄管の内径が変化したとしても、前後にある第1及び第2のオムニホイール110、120の内側又は外側のバレル112が交互に水圧鉄管の内面に当接可能である。したがって、点検装置1が湾曲した側面に乗り上がろうとしても、自重により自然と元の位置に戻ることができるため、点検装置1の安定した走行が可能になる。
【0080】
また、点検装置1においては、シャフト300の途中に双方向クラッチ400を設けているため、牽引ロープに接続された点検装置1が水圧鉄管の急勾配の区間を降下するとき、及び点検装置1が上昇するときに、点検装置1のオムニホイールアセンブリ100を空転させ、牽引ロープにより点検装置1の走行を制御できる。このため、点検装置1の電力消費量を抑えることができるため、搭載するバッテリ900の容量を小型化することができる。
【0081】
さらに、点検装置1においては、左右のオムニホイールアセンブリ100に対して異なる駆動力を伝達可能に構成されている。このため、左右のオムニホイールアセンブリ100の一方が水圧鉄管内の障害物に乗り上げたとしても、左右のオムニホイールアセンブリ100に伝達される駆動力を適切に配分することで、障害物を乗り越えて水圧鉄管内を前進することが可能である。
【0082】
なお、上記の実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。各実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。
【0083】
上記実施の形態においては、第1及び第2のオムニホイール110、120のいずれも、第1及び第2のバレルフレーム111a、111bを進行方向の左右に並べた構成を備えていたが、本発明はこれに限られない。例えば、第1及び第2のオムニホイール110、120は、第1のバレルフレーム111aのみから構成してもよい。また、第1及び第2のオムニホイール110、120は、3つ以上の第1のバレルフレーム111aを互いに円周方向に位相をずらしつつ回転軸方向に並べて構成してもよい。
【0084】
上記実施の形態においては、オムニホイールアセンブリ100は、中間ギア160を介して連動する2つのオムニホイールを備えていたが、本発明はこれに限られない。連動して回転するオムニホイールは、3つ以上であってもよい。例えば、
図11に示すように、第3のオムニホイール170を第2のオムニホイール120に隣接して増設し、3つのオムニホイールを連動させてもよい。
【0085】
上記のように第3のオムニホイール170を増設する場合、オムニホイールアセンブリ100においては、第3のオムニホイール170が第1及び第2のオムニホイール110、120と同一直線上を走行するように配置されるとともに、第3のオムニホイール170と一体に回転する第3のギア180と、第2のギア150及び第3のギア180と組み合わされ、互いに連動して回転する第2の中間ギア190と、をさらに備える必要がある。第3のギア180は、第1のギア140、第2のギア150と同一の構成を備える。また、第2の中間ギア190は、中間ギア160と同一の構成を備える。第1、第2及び第3のオムニホイール110、120、170は、互いのバレル112が異なる位相で回転するように組み合わされる。このように連動する第3のオムニホイール170を増設することにより、実施の形態1に係るオムニホイールアセンブリ100に比べて、複数のバレル112が同時に路面に当接する機会が増えるため、より安定して全方向への移動が可能になる。
【0086】
上記実施の形態においては、第1及び第2のギア140、150と中間ギア160とを噛み合わせて、第1のオムニホイール110と第2のオムニホイール120を連動させる連動手段を構成していたが、本発明はこれに限られない。例えば、プーリ及びベルト、ローラチェーン及びスプロケットといった他の連動手段を用いて、第1及び第2のオムニホイール110、120を連動させてもよい。
【0087】
上記実施の形態においては、バレルフレーム111は、3つのバレル112を回転可能に支持できるように3つの支持脚114、115、116を備えていたが、本発明はこれに限られない。バレルフレーム111に設けられる支持脚は、4つ以上のバレル112を回転可能に支持できるように4本以上であってもよい。
【0088】
上記実施の形態においては、バレル回転軸118の周りをバレル112が回転しているが、本発明はこれに限られない。例えば、バレル回転軸118をバレル112の長手方向に向くようにバレル112に固定し、バレル回転軸118をブラケット114a、114b、115a、115b、116a、116bに設けたバレル回転軸孔117に回転可能に軸支し、バレル112及びバレル回転軸118がブラケット114a、114b、115a、115b、116a、116bに対して一体に回転するように構成してもよい。
【0089】
上記実施の形態においては、バレル112をポリウレタン、ポリエチレン等の弾性材料から構成しているが、本発明はこれに限られない。例えば、バレル112に加えられる衝撃を吸収する手段が設けられていれば、バレル112を金属等から構成してもよい。
【0090】
上記実施の形態においては、カメラ700が撮像した撮像データは、アンテナ600を用いて外部機器に送信し、外部メモリに保存していたが、これに限られない。例えば、点検装置1に内部メモリを搭載しておき、カメラ700が撮像した撮像データを内部メモリに保存し、点検装置1を水圧鉄管内から回収した後に撮像データを外部機器に取り込むようにしてもよい。
【0091】
上記実施の形態においては、電波吸収体602は、六角形の板状部材に形成されていたが、本発明はこれに限られない。電波吸収体602は、水圧鉄管内に収まり、点検装置1の走行中に水圧鉄管の壁面に接触しないように形成されていればよく、円形、三角形、四角形、お椀型等のいかなる形状であってもよい。
【0092】
上記実施の形態においては、点検装置1に接続された牽引ロープをウィンチにより巻き上げ、巻き下げしていたが、本発明はこれに限られない。例えば、牽引ロープを作業者が手動で牽引してもよい。また、牽引ロープをボディ200の牽引ロープ係止部201に係止することなく、点検装置1を水圧鉄管内の全区間で自走させてもよい。
【0093】
上記実施の形態においては、作業員が水圧鉄管の傾斜を見極めて、点検装置1を自走させるか否かを判断していたが、本発明はこれに限られない。例えば、点検装置1にオムニホイールアセンブリ100のバレルフレーム111の回転数を検知するセンサを取り付けておき、水圧鉄管内を降下点検中にバレルフレーム111の回転数が閾値以下になった場合に、電動モータ500が駆動を開始するようにしてもよい。
【0094】
上記実施の形態においては、シャフト300の途中に双方向クラッチ400を設けていたが、本発明はこれに限られない。例えば、シャフト300の途中に双方向クラッチ400を設けることなく、オムニホイールアセンブリ100と電動モータ500とをシャフト300で直結してもよい。この場合、点検装置1は、水圧鉄管内の全区間において自走しながら点検を行うことが望ましい。
【0095】
上記実施の形態においては、駆動手段として電動モータ500を採用していたが、本発明はこれに限られない。例えば、駆動手段として、リニアモータ、フライホイール、エンジン等の異なる手段を採用してもよい。
【0096】
上記実施の形態においては、撮影手段としてカメラ700を採用していたが、本発明はこれに限られない。例えば、撮影手段として、赤外線カメラ、サーモグラフィ等の異なる手段を採用してもよい。また、撮影手段のみならず、水圧鉄管の塗装の状態を測定する膜厚測定装置といった測定手段をボディ200に搭載してもよい。
【0097】
上記実施の形態においては、オムニホイールアセンブリ100を点検装置1に適用する例を示したが、これに限られない。例えば、オムニホイールアセンブリ100を災害救助用ロボット、探査機、鉱山用運搬車等、凹凸面を走行する走行装置に適用してもよいし、平滑な路面を走行する走行装置に適用してもよい。
【課題】曲率が途中で変化する湾曲路面を走行する場合であっても、オムニホイールに比べてバレルが路面に当接する割合を増加させたオムニホイールアセンブリ、点検装置、及び点検システムを提供する。
【解決手段】オムニホイールアセンブリ100は、第1のバレルフレームと複数の第1のバレルとを備える第1のオムニホイール110と、第1のオムニホイールと同一直線上を走行するように配置され、第2のバレルフレームと複数の第2のバレルとを備える第2のオムニホイール120と、第1のバレルと第2のバレルとの位相が互いにずらされた状態で、第1のバレルフレームと第2のバレルフレームとを連動させる第1のギア140、第2のギア150、及び中間ギア160と、を備える。