特許第6130015号(P6130015)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130015
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/00 20060101AFI20170508BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20170508BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   C08L23/00
   C08L77/00
   C08L23/26
【請求項の数】2
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-82986(P2016-82986)
(22)【出願日】2016年4月18日
(62)【分割の表示】特願2015-220707(P2015-220707)の分割
【原出願日】2012年12月21日
(65)【公開番号】特開2016-166365(P2016-166365A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2016年4月18日
(31)【優先権主張番号】特願2011-282232(P2011-282232)
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 雅征
(72)【発明者】
【氏名】有尾 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】河田 順平
(72)【発明者】
【氏名】毛利 誠
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 修
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−222932(JP,A)
【文献】 特開平04−183733(JP,A)
【文献】 特開平04−096957(JP,A)
【文献】 特開平04−202247(JP,A)
【文献】 特開昭63−089550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/00
C08L 77/00
C08L 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂(但し、粘土鉱物変性ポリアミドを除く)及び相容化剤の溶融混練物と、ポリオレフィン樹脂(但し、変性ポリプロピレンを除く)との溶融混練物を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
前記ポリオレフィン樹脂中に、前記ポリアミド樹脂が分散して含有されており、
前記相容化剤は、エラストマーに前記ポリアミド樹脂と反応し得る反応性基が付与された変性エラストマーであり、
前記エラストマーは、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)であり、
前記ポリオレフィン樹脂、前記ポリアミド樹脂、及び前記相容化剤の合計を100質量%とした場合に、
前記ポリオレフィン樹脂に由来する成分の含有量は、20〜70質量%であり、
前記ポリアミド樹脂に由来する成分の含有量は、10〜50質量%であり、
前記相容化剤に由来する成分の含有量は、10〜50質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリオレフィン樹脂、前記ポリアミド樹脂、及び前記相容化剤の合計を100質量%とした場合に、
前記ポリオレフィン樹脂に由来する成分の含有量は、40〜70質量%であり、
前記ポリアミド樹脂に由来する成分の含有量は、15〜40質量%であり、
前記相容化剤に由来する成分の含有量は、15〜40質量%である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、剛性に優れるとともに、耐衝撃特性にも優れる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、極性の異なる樹脂同士を混合して、樹脂の特性を改質するポリマーブレンド(ポリマーアロイを含む)が盛んに検討されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
その際、樹脂同士の相容性が不十分であると耐衝撃特性等の機械的物性が低下してしまい、ポリマーブレンドによる改質効果を得られないことがあるため、何らかの方法により樹脂同士の相容性を上げる必要がある。例えば、ポリプロピレン樹脂とポリアミド樹脂とのポリマーアロイの場合、相容性を改善するために、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等の相容化剤を使用する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−297441号公報
【特許文献2】特開2009−203410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車の内装部品や外装部品等の分野においては、高い機械的物性が求められており、耐衝撃特性と剛性(曲げ弾性率)の両立が必要不可欠となっている。
しかしながら、上述のポリマーブレンドにおいて、耐衝撃特性と剛性の各特性は互いにトレードオフの関係にあり、特に耐衝撃特性を生かすことにより剛性が不足するという相反する関係にあるため、耐衝撃特性及び剛性の両者の特性を十分に満足するものは、未だ得られていないのが現状である。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、剛性に優れるとともに、耐衝撃特性にも優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ポリアミド樹脂(但し、粘土鉱物変性ポリアミドを除く)及び相容化剤の溶融混練物と、ポリオレフィン樹脂(但し、変性ポリプロピレンを除く)との溶融混練物を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
前記ポリオレフィン樹脂中に、前記ポリアミド樹脂が分散して含有されており、
前記相容化剤は、エラストマーに前記ポリアミド樹脂と反応し得る反応性基が付与された変性エラストマーであり、
前記エラストマーは、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)であり、
前記ポリオレフィン樹脂、前記ポリアミド樹脂、及び前記相容化剤の合計を100質量%とした場合に、
前記ポリオレフィン樹脂に由来する成分の含有量は、20〜70質量%であり、
前記ポリアミド樹脂に由来する成分の含有量は、10〜50質量%であり、
前記相容化剤に由来する成分の含有量は、10〜50質量%であることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載において、前記ポリオレフィン樹脂、前記ポリアミド樹脂、及び前記相容化剤の合計を100質量%とした場合に、
前記ポリオレフィン樹脂に由来する成分の含有量は、40〜70質量%であり、
前記ポリアミド樹脂に由来する成分の含有量は、15〜40質量%であり、
前記相容化剤に由来する成分の含有量は、15〜40質量%であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、ポリアミド樹脂及び特定の相容化剤が溶融混練された混合樹脂と、ポリオレフィン樹脂とが溶融混練されることにより得られているため、剛性に優れるとともに、耐衝撃特性にも優れる。
また、エラストマーが、特定のオレフィン系熱可塑性エラストマーであるため、より優れた耐衝撃特性及び剛性が得られる
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】シャルピー衝撃強度に関するグラフである。
図2】シャルピー衝撃強度に関するグラフである。
図3】SEM観察による樹脂の分散状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
[1]熱可塑性樹脂組成物
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂中に、ポリアミド樹脂が分散して含有された熱可塑性樹脂組成物であって、
ポリアミド樹脂及び相容化剤が溶融混練された混合樹脂と、ポリオレフィン樹脂とが溶融混練されることにより得られ、
相容化剤は、エラストマーにポリアミド樹脂と反応し得る反応性基が付与された変性エラストマーであることを特徴とする。
【0011】
(1−1)各成分について
上記「ポリアミド樹脂」は、アミド結合(−NH−CO−)を介して複数の単量体が重合されてなる鎖状骨格を有する重合体である。また、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物において、後述するポリオレフィン樹脂に対して、分散相をなす樹脂である。
【0012】
ポリアミド樹脂を構成する単量体としては、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸、アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等のアミノ酸、ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ω−ラウリルラクタム等のラクタム等が挙げられる。これらの単量体は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
更に、ポリアミド樹脂は、ジアミンとジカルボン酸との共重合により得ることもできる。この場合、単量体としてのジアミンとしては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタン等の脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の脂環式ジアミン、キシリレンジアミン(p−フェニレンジアミン及びm−フェニレンジアミン等)等の芳香族ジアミン等が挙げられる。これらの単量体は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
更に、単量体としてのジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸のような脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環式ジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。これらの単量体は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
本発明においては、上記ポリアミド樹脂は、炭素原子数が11であるアミド結合含有単位を主鎖に含むポリアミド樹脂であることが好ましい。即ち、炭素原子数が11である単量体に由来する構成単位を含むポリアミド樹脂であることが好ましく、特に11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムを単量体として用いた重合体(以下、この重合体を「PA11系樹脂」ともいう)であることが好ましい。とりわけ11−アミノウンデカン酸は、ヒマシ油から得られる単量体であるため、環境保護の観点(特にカーボンニュートラルの観点)から望ましい。
これらの炭素原子数が11である単量体に由来する構成単位は、PA11系樹脂内において全構成単位のうちの50%以上であることが好ましい。即ち、炭素原子数が11未満である単量体に由来する構成単位、及び/又は、炭素原子数が12以上である単量体に由来する構成単位、をPA11系樹脂内において全構成単位のうちの50%未満含むことができる。更に、このPA11系樹脂は、その全構成単位が、炭素原子数11である単量体に由来する構成単位であってもよい。即ち、ポリアミド樹脂は、ポリアミド11(PA11)であってもよい。
【0016】
また、本発明において、上記PA11系樹脂以外の好ましいポリアミド(A)としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド614、ポリアミド12、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、ポリアミドM5T、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T/66、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6T/6I/66、ポリアミド6T/2M−5T、ポリアミド9T/2M−8T等が挙げられる。
尚、これらのポリアミド(A)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
また、PA11系樹脂と、他のポリアミドとを併用する際には、ポリアミド樹脂全体を100質量%とした場合に、他のポリアミドの含有割合を40質量%未満とすることができる。
尚、ポリアミド樹脂は、主鎖を構成する炭素原子のうちの半数以上(50%以上)の炭素原子が鎖状骨格を構成することが好ましい。即ち、ポリアミド樹脂は、芳香族骨格を含んでもよいが、芳香族骨格を構成する炭素原子は、主鎖を構成する炭素原子のうちの半数未満(50%未満)であることが好ましい。
【0018】
ポリアミド樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、特に限定されないが、5,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは7,500〜50,000、更に好ましくは10,000〜50,000である。
【0019】
上記「ポリオレフィン樹脂」は、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物において、ポリアミド樹脂に対して、連続相をなす樹脂である。
ポリオレフィン樹脂は特に限定されるものではなく、種々のポリオレフィンを用いることができる。例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、及びプロピレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。
また、上記α−オレフィンは、通常、炭素数3〜20の不飽和炭化水素化合物であり、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
これらのポリオレフィン樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。即ち、ポリオレフィン樹脂は上記重合体の混合物であってもよい。
【0020】
ポリオレフィン樹脂のGPCによる重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、特に限定されないが、10,000〜500,000であることが好ましく、より好ましくは100,000〜450,000、更に好ましくは200,000〜400,000である。
【0021】
尚、このポリオレフィン樹脂は、ポリアミド樹脂に対して親和性を有さないポリオレフィンであり、且つ、ポリアミド樹脂に対して反応し得る反応性基も有さないポリオレフィンである。
【0022】
上記「相容化剤」は、エラストマーに、ポリアミド樹脂と反応し得る反応性基が付与された変性エラストマーである。
上記エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられるが、本発明においては、オレフィン系熱可塑性エラストマーが用いられる
【0023】
レフィン系熱可塑性エラストマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンが共重合してなるもの特に、チレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの重合体、及び、プロピレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの重合体が挙げられる
具体的なオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−1−ブテン共重合体(EBR)、エチレン−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体(EOR)、プロピレン−1−ブテン共重合体(PBR)、プロピレン−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体(POR)等が挙げられるが、本発明においては、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)が用いられる。
【0024】
チレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体、及びその水添体が挙げられる。
上記スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等のアルキルスチレン、p−メトキシスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
上記共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、メチルペンタジエン、フェニルブタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。
【0025】
具体的なスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)等が挙げられる
【0026】
また、上記ポリアミド樹脂と反応し得る反応性基としては、酸無水物基(−CO−O−OC−)、カルボキシル基(−COOH)、エポキシ基[−CO(2つの炭素原子と1つの酸素原子とからなる三員環構造)]、オキサゾリン基(−CNO)及びイソシアネート基(−NCO)等が挙げられる。尚、これらの反応性基をエラストマーに付与する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0027】
上述の反応性基のなかでも、特に酸無水物基が好ましい。この酸無水物基を導入するための単量体としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ブテニル無水コハク酸等の酸無水物が挙げられる。これらのなかでも、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸が好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。
尚、これらの単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
また、相容化剤として、酸無水物基等の酸基が導入された変性エラストマーを用いる場合、酸基の量は特に限定されない。
【0029】
ここで、本発明の相容化剤として用いられる具体的な変性エラストマーとしては、例えば、無水マレイン酸変性EPR等が挙げられる
尚、本発明における相容化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
相容化剤のGPCによる重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、特に限定されないが、10,000〜500,000であることが好ましく、より好ましくは20,000〜500,000、更に好ましくは30,000〜300,000である。
【0031】
(1−2)熱可塑性樹脂組成物について
本発明における熱可塑性樹脂組成物において、ポリアミド樹脂に由来する成分の含有割合は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂及び相容化剤の合計を100質量%とした場合に、10〜50質量%、更に好ましくは15〜30質量%である。
ポリオレフィン樹脂に由来する成分の含有割合は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂及び相容化剤の合計を100質量%とした場合に、20〜70質量%である。
相容化剤に由来する成分の含有割合は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂及び相容化剤の合計を100質量%とした場合に、10〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%である。
【0032】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂中に、ポリアミド樹脂が分散して含有されている。特に、分散されているポリアミド樹脂の粒径は小さいほど好ましい。即ち、ポリアミド樹脂は、母相であるポリオレフィン樹脂中に、微分散していることが好ましい。
分散されているポリアミド樹脂の平均粒径は、10〜20000nmであることが好ましく、より好ましくは50〜10000nm、更に好ましくは100〜5000nmである。
尚、上記粒径等については、電子顕微鏡を用いて得られる画像等を基に測定することができる。
【0033】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド樹脂及び相容化剤が溶融混練された混合樹脂と、ポリオレフィン樹脂と、が溶融混練されることにより得られたものである。
尚、上記「混合樹脂」については、後述の熱可塑性樹脂組成物の製造方法にて、その詳細を説明する。また、この混合樹脂とポリオレフィン樹脂との溶融混練についても、後述の熱可塑性樹脂組成物の製造方法にて、その詳細を説明する。
【0034】
[2]熱可塑性樹脂組成物の製造方法
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド樹脂及び相容化剤が溶融混練された混合樹脂と、ポリオレフィン樹脂と、を溶融混練する混合工程を備える製造方法によって製造することができる
【0035】
(2−1)各成分について
上記「ポリアミド樹脂」、「ポリオレフィン樹脂」及び「相容化剤」については、それぞれ、前述の説明をそのまま適用することができる。
【0036】
(2−2)混合工程について
上記「混合工程」は、ポリアミド樹脂及び相容化剤が溶融混練された混合樹脂と、ポリオレフィン樹脂とを溶融混練する工程である。
このように、予めポリアミド樹脂及び相容化剤が溶融混練された混合樹脂を用いることにより、相容化剤をより効果的に機能させることができる。即ち、分散相となるポリアミド樹脂に対して、相容化剤を予め混合することにより、ポリオレフィン樹脂内に機能することなく相容化剤が単独で分散されてしまうことを抑制できるものと考えられる。
【0037】
上記「混合樹脂」は、ペレット化等により固形化された形態であってもよいし、溶融物であってもよい。
この混合樹脂は、例えば、ポリアミド樹脂及び相容化剤を、押出機(一軸スクリュー押出機及び二軸混練押出機等)、ニーダ及びミキサ(高速流動式ミキサ、バドルミキサ、リボンミキサ等)等の混練装置を用いて溶融混練することにより得ることができる。これらの装置は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、2種以上を用いる場合には連続的に運転してもよく、回分的に(バッチ式で)運転してもよい。更に、ポリアミド樹脂と相容化剤とは一括して混合してもよいし、いずれか一方を複数回に分けて添加投入(多段配合)して混合してもよい。
また、ポリアミド樹脂及び相容化剤を溶融混練する際の混合温度は特に限定されず、各成分の種類により適宜調整することができる。特に、各化合物が溶融された状態で混合されることが好ましい。具体的には、この混合温度は、190〜350℃とすることができ、好ましくは200〜330℃、更に好ましくは205〜310℃である。
【0038】
上記混合工程において、上記混合樹脂と、ポリオレフィン樹脂との溶融混練は、例えば、押出機(一軸スクリュー押出機及び二軸混練押出機等)、ニーダ及びミキサ(高速流動式ミキサ、バドルミキサ、リボンミキサ等)等の混練装置を用いて行うことができる。これらの装置は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、2種以上を用いる場合には連続的に運転してもよく、回分的に(バッチ式で)運転してもよい。更に、第1混合樹脂とポリオレフィン樹脂とは一括して混合してもよく、いずれか一方を複数回に分けて添加投入(多段配合)して混合してもよい。
【0039】
この混合工程における混合温度は特に限定されず、溶融混練を行うことができる温度であればよく、各成分の種類により適宜調整することができる。特に、いずれもの化合物が溶融された状態で混合されることが好ましい。具体的には、この混合温度は、190〜350℃とすることができ、好ましくは200〜330℃、更に好ましくは205〜310℃である。
【0040】
尚、この混合工程においては、(1)ペレット化等により固形化された混合樹脂と、ポリオレフィン樹脂とを溶融混練してもよいし、(2)多段配合式の混練装置等を用いて、上流側でポリアミド樹脂と相容化剤とを溶融混練した後に、同じ装置内の下流側でポリオレフィン樹脂を添加して、ポリアミド樹脂及び相容化剤の溶融混練物(混合樹脂)とポリオレフィン樹脂との混合を行ってもよい。
【0041】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法において、ポリアミド樹脂の配合割合は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂及び相容化剤の合計を100質量%とした場合に、10〜50質量%、更に好ましくは15〜30質量%である。
また、ポリオレフィン樹脂の配合割合は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂及び相容化剤の合計を100質量%とした場合に、20〜70質量%である。
更に、相容化剤の配合割合は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂及び相容化剤の合計を100質量%とした場合に、10〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%である。
【0042】
また、本発明においては、本発明の目的を阻害しない範囲で、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、及び相容化剤以外の他の成分を含有させてもよい。他の成分としては、上記以外の他の熱可塑性樹脂、難燃剤、難燃助剤、充填剤、着色剤、抗菌剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
上記他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸)等が挙げられる。
上記難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤(ハロゲン化芳香族化合物)、リン系難燃剤(窒素含有リン酸塩化合物、リン酸エステル等)、窒素系難燃剤(グアニジン、トリアジン、メラミン、及びこれらの誘導体等)、無機系難燃剤(金属水酸化物等)、ホウ素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、硫黄系難燃剤、赤リン系難燃剤等が挙げられる。
上記難燃助剤としては、例えば、各種アンチモン化合物、亜鉛を含む金属化合物、ビスマスを含む金属化合物、水酸化マグネシウム、粘土質珪酸塩等が挙げられる。
上記充填剤としては、例えば、ガラス成分(ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク等)、シリカ、無機繊維(ガラス繊維、アルミナ繊維、カーボン繊維)、黒鉛、珪酸化合物(珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、アルミナ等)、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等の金属の炭酸塩及び硫酸塩、有機繊維(芳香族ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維、フッ素樹脂繊維、ポリイミド繊維、植物性繊維等)
上記着色剤としては、例えば、顔料及び染料等が挙げられる。
【0044】
[3]成形体について
本発明における熱可塑性樹脂組成物はどのように成形してもよく、その方法は特に限定されない。また、得られる成形体の形状、大きさ及び厚さ等も特に限定されず、その用途も特に限定されない。上記成形体は、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の外装材、内装材及び構造材等として用いられる。このうち自動車用品としては、自動車用外装材、自動車用内装材、自動車用構造材、エンジンルーム内部品等が挙げられる。具体的には、バンパー、スポイラー、カウリング、フロントグリル、ガーニッシュ、ボンネット、トランクリッド、フェンダーパネル、ドアパネル、ルーフパネル、インストルメントパネル、ドアトリム、クオータートリム、ルーフライニング、ピラーガーニッシュ、デッキトリム、トノボード、パッケージトレイ、ダッシュボード、コンソールボックス、キッキングプレート、スイッチベース、シートバックボード、シートフレーム、アームレスト、サンバイザ、インテークマニホールド、エンジンヘッドカバー、エンジンアンダーカバー、オイルフィルターハウジング、車載用電子部品(ECU、TVモニター等)のハウジング、エアフィルターボックス等が挙げられる。更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥等)の表装材、構造材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等が挙げられる。また、家電製品(薄型TV、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、携帯電話、携帯ゲーム機、ノート型パソコン等)の筐体及び構造体としても適用できる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]ポリアミド樹脂としてPA11を使用した熱可塑性樹脂組成物の製造及び試験片の作製(尚、下記実験例1〜18のうち、実験例1は実施例であり、実験例2〜18は参考例である。)
<実例1>
(1)混合樹脂の調製
(A)ポリアミド樹脂としてPA11(ナイロン11樹脂、アルケマ株式会社製、品名「Rilsan BMN O」、重量平均分子量18,000、融点190℃)を用い、相容化剤(C)として、無水マレイン酸変性EPR(三井化学株式会社製、品名「タフマー MP0620」、MFR(230℃)=0.3g/10分)を用い、これらのペレットを表1に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社テクノベル製、スクリュー径15mm、L/D=59)に投入し、混練温度210℃、押出速度2.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更に、ペレタイザーを用いて押し出された混合樹脂を裁断して混合樹脂ペレットを作製した。
【0046】
(2)混合工程
次いで、(B)ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック MA1B」、重量平均分子量312,000、融点165℃)を用い、先に得られた混合樹脂ペレットと、表1に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社テクノベル製、スクリュー径15mm、L/D=59)に投入し、混練温度210℃、押出速度2.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更に、ペレタイザーを用いて押し出された熱可塑性樹脂組成物を裁断して実例1の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
その後、得られた実例1の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度210℃、金型温度60℃の射出条件で物性測定用試験片を射出成形した。
【0047】
<実例2>
(C)相容化剤として、無水マレイン酸変性EBR(三井化学株式会社製、品名「タフマー MH7020」、MFR(230℃)=1.5g/10分)を用い、表1に示す配合となるように各ペレットをドライブレンドしたこと以外は、実例1と同様にして実例2の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。次いで、実例1と同様に射出成形を行い、実例2の物性測定用試験片を得た。
【0048】
<実例3>
(C)相容化剤として、無水マレイン酸変性SEBS(旭化成ケミカルズ株式会社製、品名「タフテック M1913」、MFR(230℃)=5.0g/10分)を用い、表1に示す配合となるように各ペレットをドライブレンドしたこと以外は、実例1と同様にして実例3の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。次いで、実例1と同様に射出成形を行い、実例3の物性測定用試験片を得た。
【0049】
<実例4>
(C)相容化剤として、無水マレイン酸変性EOR(ダウケミカル株式会社製、品名「AMPLIFY GR216」、重量平均分子量150,000、無水マレイン酸変性量=0.8wt%)を用い、表1に示す配合となるように各ペレットをドライブレンドしたこと以外は、実例1と同様にして実例4の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。次いで、実例1と同様に射出成形を行い、実例4の物性測定用試験片を得た。
【0050】
<実例5〜18>
(C)相容化剤として、無水マレイン酸変性EBR(三井化学株式会社製、品名「タフマー MH7020」、MFR(230℃)=1.5g/10分)を用い、表1及び表2に示す配合となるように各ペレットをドライブレンドしたこと以外は、実例1と同様にして実例5〜18の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。次いで、実例1と同様に射出成形を行い、実例5〜18の物性測定用試験片を得た。
【0051】
<比較例1>
(C)相容化剤として、無水マレイン酸変性PP(三洋化成工業株式会社製、「ユーメックス 1001」、重量平均分子量40,000、酸価26)を用い、表2に示す配合となるように各ペレットをドライブレンドしたこと以外は、実例1と同様にして比較例1の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。次いで、実例1と同様に射出成形を行い、比較例1の物性測定用試験片を得た。
【0052】
<比較例2>
(C)相容化剤として、未変性のEPR(三井化学株式会社製、品名「タフマー P−0680」、MFR(230℃)=0.7g/10分)を用い、表2に示す配合となるように各ペレットをドライブレンドしたこと以外は、実例1と同様にして比較例2の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。次いで、実例1と同様に射出成形を行い、比較例2の物性測定用試験片を得た。
【0053】
<比較例3>
(C)相容化剤として、未変性のEBR(三井化学株式会社製、品名「タフマー A−1070S」、MFR(230℃)=2.2g/10分)を用い、表2に示す配合となるように各ペレットをドライブレンドしたこと以外は、実例1と同様にして比較例3の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。次いで、実例1と同様に射出成形を行い、比較例3の物性測定用試験片を得た。
【0054】
<比較例4>
(C)相容化剤として、未変性のSEBS(旭化成ケミカルズ株式会社製、品名「タフテック H1041」、MFR(230℃)=5g/10分)を用い、表2に示す配合となるように各ペレットをドライブレンドしたこと以外は、実例1と同様にして比較例4の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。次いで、実例1と同様に射出成形を行い、比較例4の物性測定用試験片を得た。
【0055】
<比較例5>
ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック MA1B」、重量平均分子量312,000、融点165℃)を、二軸溶融混練押出機(株式会社テクノベル製、スクリュー径15mm、L/D=59)に投入し、混練温度210℃、押出速度2.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更に、ペレタイザーを用いて押し出された熱可塑性樹脂組成物を裁断して比較例5の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した(表2参照)。次いで、実例1と同様に射出成形を行い、比較例5の物性測定用試験片を得た。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
[2]熱可塑性樹脂組成物の性能評価(実例1〜18及び比較例1〜5)
(1)シャルピー衝撃強度の測定
上記[1]で得られた実例1〜18及び比較例1〜5の各物性測定用試験片を用いて、JIS K7111−1に準拠してシャルピー衝撃強度の測定を行った。その結果を表3、図1(実例1〜4及び比較例1〜4)及び図2(実例1〜4及び比較例1〜4)に示す。尚、このシャルピー衝撃強度の測定では、ノッチ(タイプA)を有する試験片を用い、温度23℃において、エッジワイズ試験法による衝撃の測定を行った。
【0059】
(2)曲げ弾性率の測定
上記[1]で得られた実例1〜18及び比較例1〜5の各物性測定用試験片を用いて、JIS K7171に準拠して曲げ弾性率の測定を行った。その結果を表3に示す。尚、この曲げ弾性率は、各試験片を支点間距離(L)64mmとした2つの支点(曲率半径5mm)で支持しつつ、支点間中心に配置した作用点(曲率半径5mm)から速度2mm/分にて荷重の負荷を行い測定した。
【0060】
(3)モルフォルジー観察
上記[2](1)でシャルピー衝撃強度の測定に供した実例2の物性測定用試験片の破断面を、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)により、5000倍に拡大して得られた画像を図3に示した。
【0061】
【表3】
【0062】
[3]実例1〜18の効果
表3によれば、相容化剤として変性ポリプロピレン若しくは未変性エラストマーを用いた比較例1〜4では、曲げ弾性率が1251〜1386MPaであったが、シャルピー衝撃強度が1.4〜4.2kJ/mと低い値であった。また、ポリアミド樹脂及び相容化剤を用いなかった比較例5では、曲げ弾性率が1476MPaであったが、シャルピー衝撃強度が2.48kJ/mと低い値であった。
これに対して、相容化剤として変性エラストマーを用いた実例1〜18では、曲げ弾性率が710〜1241MPaであり、シャルピー衝撃強度が6.4〜86.3kJ/mであり、剛性に優れるとともに耐衝撃特性にも優れることが分かった。
【0063】
特に、図1及び表3から明らかなように、相容化剤としてのエラストマーを変性させることにより、十分な剛性を保持したまま、耐衝撃性を改善できることが確認できた。
具体的には、相容化剤として未変性EPRを用いた比較例2のシャルピー衝撃強度は2.7kJ/mであったのに対して、無水マレイン酸変性EPRを用いた実例1のシャルピー衝撃強度は6.5kJ/mであり、大幅な耐衝撃特性の改善が確認できた。また、未変性EBRを用いた比較例3のシャルピー衝撃強度は4.2kJ/mであったのに対して、無水マレイン酸変性EBRを用いた実例2のシャルピー衝撃強度は10.1kJ/mであり、大幅な耐衝撃特性の改善が確認できた。更に、未変性SEBSを用いた比較例4のシャルピー衝撃強度は2.8kJ/mであったのに対して、無水マレイン酸変性SEBSを用いた実例3のシャルピー衝撃強度は7kJ/mであり、大幅な耐衝撃特性の改善が確認できた。
【0064】
更に、図2及び表3から明らかなように、相容化剤として、変性物質のなかでも変性エラストマーを用いることにより、十分な剛性を保持したまま、耐衝撃性を改善できることが確認できた。
具体的には、相容化剤として変性ポリプロピレンを用いた比較例1のシャルピー衝撃強度は1.4kJ/mであったのに対して、変性エラストマーを用いた実例1〜4のシャルピー衝撃強度は6.5〜10.1kJ/mであり、大幅な耐衝撃特性の改善が確認できた。
【0065】
また、図3の結果から、実例2の試験片が海島構造を呈していることが分かる。そして、海相(即ち、母相であるポリプロピレン樹脂)内に、島相(即ち、分散相であるポリアミド樹脂)の大半が平均粒径が約800nmで均一に微分散されていることが確認できたことから、特定の相容化剤を用いたことにより得られたこの構造により、耐衝撃特性及び剛性の両方の特性が効果的に向上されたものと考えることができる。
【0066】
[4]ポリアミド樹脂としてPA11以外の樹脂を使用した熱可塑性樹脂組成物の製造及び試験片の作製(尚、下記実験例19〜47は全て参考例である。)
<実例19>
(1)混合樹脂の調製
(A)ポリアミド樹脂としてPA6(ナイロン6樹脂、宇部興産株式会社製、品名「1010X1」、融点225℃)を用い、相容化剤(C)として、無水マレイン酸変性EBR(三井化学株式会社製、品名「タフマー MH7020」、MFR(230℃)=1.5g/10分)を用い、これらのペレットを表4に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社テクノベル製、スクリュー径15mm、L/D=59)に投入し、混練温度260℃、押出速度2.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更に、ペレタイザーを用いて押し出された混合樹脂を裁断して混合樹脂ペレットを作製した。
【0067】
(2)混合工程
次いで、(B)ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック MA1B」、重量平均分子量312,000、融点165℃)を用い、先に得られた混合樹脂ペレットと、表4に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社テクノベル製、スクリュー径15mm、L/D=59)に投入し、混練温度260℃、押出速度2.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更にペレタイザーを用いて押し出された熱可塑性樹脂組成物を裁断して実例19の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
その後、得られた実例19の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度260℃、金型温度60℃の射出条件で物性測定用試験片を射出成形した。
【0068】
<実例20〜24>
表4に示すように、下記の各(C)相容化剤を用い、各ペレットを表4に示す配合となるようにドライブレンドしたこと以外は、実例19と同様にして実例20〜24の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。次いで、実例19と同様に射出成形を行い、実例20〜24の物性測定用試験片を得た。
(各実例において用いた相容化剤(C)の詳細)
例20;無水マレイン酸変性EBR(三井化学株式会社製、品名「タフマー MA8510」、MFR(230℃)=5.0g/10分)
例21;無水マレイン酸変性EBR(三井化学株式会社製、品名「タフマー MH7010」、MFR(230℃)=1.8g/10分)
例22;無水マレイン酸変性EBR(三井化学株式会社製、品名「タフマー MH7020」、MFR(230℃)=1.5g/10分)
例23;無水マレイン酸変性EBR(三井化学株式会社製、品名「タフマー MH5040」、MFR(230℃)=1.1g/10分)
例24;無水マレイン酸変性EOR(ダウケミカル株式会社製、品名「AMPLIFY GR216」、重量平均分子量150,000、無水マレイン酸変性量=0.8wt%)
【0069】
<比較例6>
(A)ポリアミド樹脂としてPA6(ナイロン6樹脂、宇部興産株式会社製、品名「1010X1」、融点225℃)と、(B)ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック MA1B」、重量平均分子量312,000、融点165℃)を用いて、表4に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社テクノベル製、スクリュー径15mm、L/D=59)に投入し、混練温度260℃、押出速度2.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更にペレタイザーを用いて押し出された熱可塑性樹脂組成物を裁断して比較例6の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
その後、得られた比較例6の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度260℃、金型温度60℃の射出条件で物性測定用試験片を射出成形した。
【0070】
<実例25>
(1)混合樹脂の調製
(A)ポリアミド樹脂としてPA12(ナイロン12樹脂、アルケマ株式会社製、品名「Rilsan AECN OTL」、融点174〜178℃)を用い、相容化剤(C)として、無水マレイン酸変性EBR(三井化学株式会社製、品名「タフマー MH7020」、MFR(230℃)=1.5g/10分)を用い、これらのペレットを表5に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社テクノベル製、スクリュー径15mm、L/D=59)に投入し、混練温度210℃、押出速度2.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更に、ペレタイザーを用いて押し出された混合樹脂を裁断して混合樹脂ペレットを作製した。
【0071】
(2)混合工程
次いで、(B)ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック MA1B」、重量平均分子量312,000、融点165℃)を用い、先に得られた混合樹脂ペレットと、表5に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社テクノベル製、スクリュー径15mm、L/D=59)に投入し、混練温度210℃、押出速度2.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更にペレタイザーを用いて押し出された熱可塑性樹脂組成物を裁断して実例25の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
その後、得られた実例25の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度210℃、金型温度60℃の射出条件で物性測定用試験片を射出成形した。
【0072】
<実例26>
表5に示す配合となるように各ペレットをドライブレンドしたこと以外は、実例25と同様にして実例26の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。次いで、実例25と同様に射出成形を行い、実例26の物性測定用試験片を得た。
【0073】
<比較例7>
ポリアミド樹脂として、PA12(ナイロン12樹脂、アルケマ株式会社製、品名「Rilsan AECN OTL」、融点174〜178℃)を、二軸溶融混練押出機(株式会社テクノベル製、スクリュー径15mm、L/D=59)に投入し、混練温度210℃、押出速度2.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更に、ペレタイザーを用いて押し出された熱可塑性樹脂組成物を裁断して比較例7の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した(表5参照)。次いで、実例25と同様に射出成形を行い、比較例7の物性測定用試験片を得た。
【0074】
<実例27>
(1)混合樹脂の調製
(A)ポリアミド樹脂としてPA610(ナイロン610樹脂、ダイセル・エボニック式会社製、品名「Vestamid Terra HS16」、融点222℃)を用い、相容化剤(C)として、無水マレイン酸変性EBR(三井化学株式会社製、品名「タフマー MH7020」、MFR(230℃)=1.5g/10分)を用い、これらのペレットを表6に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社パーカーコーポレーション製、スクリュー径25mm、L/D=41)に投入し、混練温度235℃、押出速度3.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更に、ペレタイザーを用いて押し出された混合樹脂を裁断して混合樹脂ペレットを作製した。
【0075】
(2)混合工程
次いで、(B)ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック MA1B」、重量平均分子量312,000、融点165℃)を用い、先に得られた混合樹脂ペレットと、表6に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社パーカーコーポレーション製、スクリュー径25mm、L/D=41)に投入し、混練温度235℃、押出速度3.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更にペレタイザーを用いて押し出された熱可塑性樹脂組成物を裁断して実例27の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
その後、得られた実例27の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度235℃、金型温度60℃の射出条件で物性測定用試験片を射出成形した。
【0076】
<実例28〜32>
表6に示す配合となるように各ペレットをドライブレンドしたこと以外は、実例27と同様にして実例28〜32の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。次いで、実例27と同様に射出成形を行い、実例28〜32の物性測定用試験片を得た。
【0077】
<比較例8>
(A)ポリアミド樹脂としてPA610(ナイロン610樹脂、ダイセル・エボニック式会社製、品名「Vestamid Terra HS16」、融点222℃)と、(B)ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック MA1B」、重量平均分子量312,000、融点165℃)を用いて、表6に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社パーカーコーポレーション製、スクリュー径25mm、L/D=41)に投入し、混練温度235℃、押出速度3.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更にペレタイザーを用いて押し出された熱可塑性樹脂組成物を裁断して比較例8の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
その後、得られた比較例8の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度235℃、金型温度60℃の射出条件で物性測定用試験片を射出成形した。
【0078】
<実例33>
(1)混合樹脂の調製
(A)ポリアミド樹脂としてPA1010(ナイロン1010樹脂、ダイセル・エボニック式会社製、品名「Vestamid Terra DS16」、融点206℃)を用い、相容化剤(C)として、無水マレイン酸変性EBR(三井化学株式会社製、品名「タフマー MH7020」、MFR(230℃)=1.5g/10分)を用い、これらのペレットを表7に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社パーカーコーポレーション製、スクリュー径25mm、L/D=41)に投入し、混練温度250℃、押出速度3.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更に、ペレタイザーを用いて押し出された混合樹脂を裁断して混合樹脂ペレットを作製した。
【0079】
(2)混合工程
次いで、(B)ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック MA1B」、重量平均分子量312,000、融点165℃)を用い、先に得られた混合樹脂ペレットと、表7に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社パーカーコーポレーション製、スクリュー径25mm、L/D=41)に投入し、混練温度250℃、押出速度3.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更にペレタイザーを用いて押し出された熱可塑性樹脂組成物を裁断して実例33の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
その後、得られた実例33の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度250℃、金型温度60℃の射出条件で物性測定用試験片を射出成形した。
【0080】
<実例34〜38>
表7に示す配合となるように各ペレットをドライブレンドしたこと以外は、実例33と同様にして実例34〜38の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。次いで、実例33と同様に射出成形を行い、実例34〜38の物性測定用試験片を得た。
【0081】
<比較例9>
(A)ポリアミド樹脂としてPA1010(ナイロン1010樹脂、ダイセル・エボニック式会社製、品名「Vestamid Terra DS16」、融点206℃)と、(B)ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック MA1B」、重量平均分子量312,000、融点165℃)を用いて、表7に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社パーカーコーポレーション製、スクリュー径25mm、L/D=41)に投入し、混練温度250℃、押出速度3.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更にペレタイザーを用いて押し出された熱可塑性樹脂組成物を裁断して比較例9の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
その後、得られた比較例9の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度250℃、金型温度60℃の射出条件で物性測定用試験片を射出成形した。
【0082】
<実例39>
(1)混合樹脂の調製
(A)ポリアミド樹脂としてPAMXD6(ナイロンMXD6樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、品名「レニー 6002」、融点243℃)を用い、相容化剤(C)として、無水マレイン酸変性EBR(三井化学株式会社製、品名「タフマー MH7020」、MFR(230℃)=1.5g/10分)を用い、これらのペレットを表8に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社パーカーコーポレーション製、スクリュー径25mm、L/D=41)に投入し、混練温度265℃、押出速度3.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更に、ペレタイザーを用いて押し出された混合樹脂を裁断して混合樹脂ペレットを作製した。
【0083】
(2)混合工程
次いで、(B)ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック MA1B」、重量平均分子量312,000、融点165℃)を用い、先に得られた混合樹脂ペレットと、表8に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社パーカーコーポレーション製、スクリュー径25mm、L/D=41)に投入し、混練温度265℃、押出速度3.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更にペレタイザーを用いて押し出された熱可塑性樹脂組成物を裁断して実例39の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
その後、得られた実例39の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度265℃、金型温度90℃の射出条件で物性測定用試験片を射出成形した。
【0084】
<実例40〜44>
表8に示す配合となるように各ペレットをドライブレンドしたこと以外は、実例39と同様にして実例40〜44の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。次いで、実例39と同様に射出成形を行い、実例40〜44の物性測定用試験片を得た。
【0085】
<比較例10>
(A)ポリアミド樹脂としてPAMXD6(ナイロンMXD6樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、品名「レニー 6002」、融点243℃)と、(B)ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック MA1B」、重量平均分子量312,000、融点165℃)を用いて、表8に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社パーカーコーポレーション製、スクリュー径25mm、L/D=41)に投入し、混練温度265℃、押出速度3.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更にペレタイザーを用いて押し出された熱可塑性樹脂組成物を裁断して比較例10の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
その後、得られた比較例10の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度265℃、金型温度90℃の射出条件で物性測定用試験片を射出成形した。
【0086】
<実例45>
(1)混合樹脂の調製
(A)ポリアミド樹脂としてPA10T(ナイロン10T樹脂、ダイセル・エボニック式会社製、品名「Vestamid HT Plus M3000」、融点285℃)を用い、相容化剤(C)として、無水マレイン酸変性EBR(三井化学株式会社製、品名「タフマー MH7020」、MFR(230℃)=1.5g/10分)を用い、これらのペレットを表9に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社パーカーコーポレーション製、スクリュー径25mm、L/D=41)に投入し、混練温度310℃、押出速度3.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更に、ペレタイザーを用いて押し出された混合樹脂を裁断して混合樹脂ペレットを作製した。
【0087】
(2)混合工程
次いで、(B)ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック MA1B」、重量平均分子量312,000、融点165℃)を用い、先に得られた混合樹脂ペレットと、表9に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社パーカーコーポレーション製、スクリュー径25mm、L/D=41)に投入し、混練温度310℃、押出速度3.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更にペレタイザーを用いて押し出された熱可塑性樹脂組成物を裁断して実例45の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
その後、得られた実例45の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度310℃、金型温度90℃の射出条件で物性測定用試験片を射出成形した。
【0088】
<実例46〜47>
表9に示す配合となるように各ペレットをドライブレンドしたこと以外は、実例45と同様にして実例46〜47の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。次いで、実例45と同様に射出成形を行い、実例46〜47の物性測定用試験片を得た。
【0089】
<比較例11>
(A)ポリアミド樹脂としてPA10T(ナイロン10T樹脂、ダイセル・エボニック式会社製、品名「Vestamid HT Plus M3000」、融点285℃)と、(B)ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック MA1B」、重量平均分子量312,000、融点165℃)を用いて、表9に示す配合となるようにドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機(株式会社パーカーコーポレーション製、スクリュー径25mm、L/D=41)に投入し、混練温度310℃、押出速度3.0kg/時間、スクリュー回転数200回転/分の条件で混合を行い、更にペレタイザーを用いて押し出された熱可塑性樹脂組成物を裁断して比較例11の熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
その後、得られた比較例11の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、40トン射出成形機)のホッパーに投入し、設定温度310℃、金型温度90℃の射出条件で物性測定用試験片を射出成形した。
【0090】
【表4】
【0091】
【表5】
【0092】
【表6】
【0093】
【表7】
【0094】
【表8】
【0095】
【表9】
【0096】
[5]熱可塑性樹脂組成物の性能評価(実例19〜47及び比較例6〜11)
上記[4]で得られた実例19〜47及び比較例6〜11の各物性測定用試験片を用いて、上記[2]と同様の方法により、シャルピー衝撃強度の測定、及び曲げ弾性率の測定を行った。その結果を表4〜表9に併記する。
【0097】
[6]実例19〜47の効果
表4によれば、ポリアミドとしてPA6を用い、相容化剤を使用しなかった比較例6では、曲げ弾性率が2022MPaであったが、シャルピー衝撃強度が2.3kJ/mと低い値であった。
これに対して、ポリアミドとしてPA6を用い、相容化剤として変性エラストマーを用いた実例19〜24では、曲げ弾性率が1325〜1467MPaであり、シャルピー衝撃強度が3.9〜16.6kJ/mであり、剛性に優れるとともに耐衝撃特性にも優れることが分かった。
【0098】
表5によれば、ポリアミドとしてPA12のみを用い、ポリオレフィン及び相容化剤を使用しなかった比較例7では、曲げ弾性率が1340MPaであったが、シャルピー衝撃強度が2.8kJ/mと低い値であった。
これに対して、ポリアミドとしてPA12を用い、相容化剤として変性エラストマーを用いた実例25〜26では、曲げ弾性率が1253〜1434MPaであり、シャルピー衝撃強度が7.7〜12.8kJ/mであり、剛性に優れるとともに耐衝撃特性にも優れることが分かった。
【0099】
表6によれば、ポリアミドとしてPA610を用い、相容化剤を使用しなかった比較例8では、曲げ弾性率が1730MPaであったが、シャルピー衝撃強度が2.1kJ/mと低い値であった。
これに対して、ポリアミドとしてPA610を用い、相容化剤として変性エラストマーを用いた実例27〜32では、曲げ弾性率が660〜1390MPaであり、シャルピー衝撃強度が5.4〜40.0kJ/mであり、剛性に優れるとともに耐衝撃特性にも優れることが分かった。
【0100】
表7によれば、ポリアミドとしてPA1010を用い、相容化剤を使用しなかった比較例9では、曲げ弾性率が1650MPaであったが、シャルピー衝撃強度が1.1kJ/mと低い値であった。
これに対して、ポリアミドとしてPA1010を用い、相容化剤として変性エラストマーを用いた実例33〜38では、曲げ弾性率が550〜1350MPaであり、シャルピー衝撃強度が2.1〜40.0kJ/mであり、剛性に優れるとともに耐衝撃特性にも優れることが分かった。
【0101】
表8によれば、ポリアミドとしてPAMXD6を用い、相容化剤を使用しなかった比較例10では、曲げ弾性率が2270MPaであったが、シャルピー衝撃強度が1.1kJ/mと低い値であった。
これに対して、ポリアミドとしてPAMXD6を用い、相容化剤として変性エラストマーを用いた実例39〜44では、曲げ弾性率が820〜2640MPaであり、シャルピー衝撃強度が2.2〜56.0kJ/mであり、剛性に優れるとともに耐衝撃特性にも優れることが分かった。
【0102】
表9によれば、ポリアミドとしてPA10Tを用い、相容化剤を使用しなかった比較例11では、曲げ弾性率が1860MPaであったが、シャルピー衝撃強度が1.1kJ/mと低い値であった。
これに対して、ポリアミドとしてPA10Tを用い、相容化剤として変性エラストマーを用いた実例45〜47では、曲げ弾性率が910〜1620MPaであり、シャルピー衝撃強度が2.1〜5.0kJ/mであり、剛性に優れるとともに耐衝撃特性にも優れることが分かった。
【0103】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここに掲げる開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
図1
図2
図3