(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィブリルの少なくとも幾つかは、前記繊維の表面から半径方向に外向きに、少なくとも幾つかの繊維の長手方向中央3分の1において延伸している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本開示の種々の非限定的な実施形態を、本明細書に開示する、フィブリルを有する不織布基材を含む吸収性物品の構造、機能、製造、及び使用の原理、並びにその形成方法についての全体的な理解を提供するために記載する。これらの非限定的な実施形態の1つ以上の実施例が添付図面に示される。当業者であれば、本明細書に具体的に記載し添付図面に例示する、フィブリルを有する不織布基材を含む吸収性物品、並びにその形成方法は非限定的な例示の実施形態であり、本開示の様々な非限定的実施形態の範囲は請求項によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの非限定的な実施形態に関連して示されるか又は説明される特徴を、他の非限定的な実施形態の特徴と組み合わせてもよい。このような修正及び変形は、本開示の範囲に含まれることが意図される。
【0010】
用語の定義:
本明細書において、次の用語は、次の意味を有する。
「吸収性物品」という用語は、身体から排出される種々の滲出液(例えば、尿、BM、経血)を吸収し、収容するための、着用者の身体又は身体の生得の開口部に対面する又は近接して配置される、幼児、子供、若しくは成人用おむつ又は尿失禁製品、トレーニングパンツ、生理用ナプキン、タンポン等の使い捨て型装置を指す。特定の吸収性物品は、トップシート即ち液体透過性層、バックシート即ち液体不透過性層、及びトップシートとバックシートとの中間に少なくとも部分的に位置する吸収性コアを含んでいてもよい。物品はまた、捕捉システム(1つ又は複数の層からなっていてもよい)、及び典型的にその他の構成要素を含んでいてもよい。本開示の例示の吸収性物品は、以下の記載並びにテープおむつ及び生理用ナプキンの形態の図面において更に記載される。この説明におけるいかなるものも、図示されて説明される実施例の吸収性物品に基づいて請求項の範囲を限定するように考慮されるものではない。したがって、本開示は、任意の好適な形態の吸収性物品(例えば、トレーニングパンツ、成人用失禁製品、生理用ナプキン等)に適用される。疑義を回避するために、吸収性物品は拭取り用品を含まない。拭取り用品は以下に定義され、これらも本開示の範囲内である。
【0011】
「雰囲気条件」という用語は、典型的なポスト不織布基材及び/又は吸収性物品の製造条件、不織布基材及び/又は吸収性物品保管条件として定義され、具体的には、20℃+/−7℃で50%+/−30%の相対湿度を有する。
【0012】
「商品」という用語は、吸収性物品、拭取り用品(湿性若しくは乾性)、洗浄若しくはダスティング基材、フィルタ、フィルタ媒体、歯ブラシ、又はバッテリーなどのいかなる製品を含む。
【0013】
「坪量」という用語は、以下に記載される坪量試験によって定義される。坪量は、グラム/m
2(gsm)で記載される。
【0014】
「結合領域」という用語は、個々の結合部位の領域を指す。
【0015】
「横断方向」という用語は、機械方向に対してほぼ垂直の方向を指す。
【0016】
繊維を指す場合の「直径」という用語は、繊維直径及び以下に記載されるデニール試験によって定義される。繊維の直径は、マイクロメートル単位で記載される。
【0017】
「弾性ストランド」又は「弾性部材」という用語は、物品の内部又は外部カフギャザー構成要素の一部であってもよい、リボン又はストランド(幅及び高さ又は断面の直径と比較してより大きい方の長さ)を指す。
【0018】
「繊維」という用語は、連続又は不連続に関わらず、紡糸プロセス、メルトブロープロセス、溶融フィブリル化若しくはフィルムフィブリル化プロセス、又は電界紡糸生産プロセス、あるいは任意の他の好適なプロセスを介して生産される、任意の種類の化学繊維、フィラメント、又はフィブリルを指す。
【0019】
「フィルム」という用語は、皮膚様の構造を有するポリマー材料を指し、個別に区別可能な繊維を含まない。したがって、「フィルム」は、不織布材料を含まない。本明細書の目的のために、皮膚様の材料は、穿孔性、有孔性、又は微多孔性であり得、依然として「フィルム」と見なされ得る。
【0020】
「フィブリル」という用語は、繊維の表面から外向きに、又は一般的に外表面から外向きに半径方向に延伸する突起部、細長い突起部、又はバンプを指す。場合によっては、突起部、細長い突起部、又はバンプは、繊維の長手方向軸に対して半径方向に外向きに延伸してもよい。半径方向に外向きにとは、長手方向軸に対して1〜89°の範囲内であることを意味する。更にその他の場合では、突起部、細長い突起部、又はバンプは、少なくとも繊維の長手方向中央3分の1において、繊維の表面から半径方向に外向きに延伸していてもよい。突起部、細長い突起部、又はバンプは、エステル脂質などの溶融添加剤を含む、のみから構成される、又は本質的にそれのみから構成される(例えば、51%〜100%、又は51%〜99%)。突起部、細長い突起部、又はバンプは繊維、周囲条件下にてある一定時間(例えば6〜100時間)経過後にのみ、ポスト不織布基材形成後の繊維(fibers post−nonwoven substrate formation)から成長する。フィブリルは、SEMを用いて、少なくとも1,000倍の倍率で見ることができる。
【0021】
「疎水性」という用語は、The American Chemical Society Publication「Contact Angle,Wettability,and Adhesion」(Robert F.Gould編集、1964年に著作権取得)により、90°以上の接触角を有する材料又は組成物を指す。いくつかの実施形態において、疎水性表面は、120°を超える、140°を超える、又は更に150°を超える接触角を呈し得る。疎水性液体組成物は、一般的に、水に対して不混和性である。「疎水性溶融添加物」という用語は、ホットメルト組成物に添加物として加えられる(即ち、熱可塑性溶融物中に混ぜ込まれた)疎水性組成物を指し、その後、(例えば、スパンボンド法、メルトブロー法、溶融フィブリル化又は押し出しによって)繊維及び/又は基材を形成する。
【0022】
「疎水性表面コーティング」という用語は、表面を疎水性、又はより疎水性にするために、表面に適用された組成物を指す。「疎水性表面コーティング組成物」は、疎水性表面コーティングを提供するために不織布基材などの基材の表面に塗布される組成物を意味する。
【0023】
本明細書で使用される「接合した」、又は「結合した」、又は「付着した」という用語は、要素が他の要素に直接付着することで、その要素をその別の要素に直接固着させる構成、及び、要素を中間部材に付着させ、その中間部材を同様に他の要素に付着させることで、その要素をその別の要素に間接的に固定する構成を包含する。
【0024】
「低表面張力流体」という用語は、32mN/m+/−1.0mN/mの表面張力を有する流体を指す。
【0025】
「低表面張力流体裏抜け時間」という用語は、以下に記載される低表面張力流体裏抜け時間試験によって定義される。低表面張力流体裏抜け時間は、秒単位で記載される。
【0026】
「機械方向」(MD)という用語は、プロセス中に材料が流れる方向を指す。
【0027】
「カレンダー結合」又は「熱的結合」という用語は、結合部中のポリマーの繊維が一緒に溶融又は融合して、連続性フィルム様材料であり得る圧縮された平坦な領域を形成するように、圧力と温度によって不織布の繊維の間に形成される結合を意味する。「カレンダー結合」という用語は、接着剤を用いて形成した結合、又は以下の機械的結合で定義されるような圧力のみを使用して形成した結合を含まない。「熱的結合」又は「カレンダー結合」という用語は、熱的結合を作成するために使用されるプロセスを指す。
【0028】
「機械的結合」という用語は、意図的な熱適用なく、圧力、超音波取り付け、及び/又は他の機械的結合プロセスによって2つの材料の間に形成される結合を指す。「機械的結合」という用語は、接着剤を用いて形成される結合を含まない。
【0029】
「層」という用語は、不織布又はその他の材料の1つのシート又はプライを指す。
【0030】
「基材」という用語は、不織布基材などの、1つ以上の層のシート状構造を指す。
【0031】
「力価」という用語は、繊維の単位長毎の質量で測定される長手方向の密度を示す。
【0032】
「デニール」という用語は、9000mの繊維当たりの重量(グラム)と等しい繊維の繊度の単位を指す。
【0033】
「質量平均直径」という用語は、以下に記載される繊維直径及びデニール試験によって測定される繊維直径から計算される、繊維の質量加重算術平均直径を指す。繊維の質量平均直径は、以下に記載される繊維直径計算によって計算される。繊維の質量平均直径は、マイクロメートル単位で記載される。
【0034】
「数平均直径」、あるいは「平均直径」という用語は、繊維直径及び以下に記載されるデニール試験によって測定される繊維直径から計算される、繊維の算術平均直径を指す。繊維の数平均直径は、以下に記載される繊維直径計算によって計算される。繊維の数平均直径は、マイクロメートル単位で記載される。
【0035】
いくつかのフィルム特性と同一であるか、又はそれに近い整合性のある特性を有する不織布基材が望まれている。不織布材料において有利であろう1つのフィルム特性は、フィルムの流体不透過性又は実質的に流体不透過性であるという性能である。フィルムは、高価な製造方法によってより不織布のようにされない限りは、典型的には不織布材に比べて通気性に乏しく、快適性に乏しく、かつ動作中には一般的にノイズが大きい。このように、フィルム様、又はフィルム様に近い、流体浸透性特性を有する不織布材は、大幅なコスト削減及びそれに関わる使用者により大きな快適性を与えるため、望まれている。実施形態では、本開示は流体バリア特性が増大した不織布基材を提供する。別の実施形態では、本開示は繊維の層を1つ以上有する不織布基材を提供し、不織布基材は、従来の不織布基材の比表面積より高い特定の比表面積を有する。実施形態では、本開示の不織布基材は繊維の層を1つ以上含んでいてもよく、1つ以上の繊維の層において複数のフィブリルは外向きに、又は半径方向に外向きに、少なくともいくつかの繊維の表面から延伸してもよい。フィブリルは、全体として繊維の層及び不織布基材において、流体(即ち、液体又は気体)、特に液体の透過性の低下につながり得る。不織布基材は、全ての層がフィブリルを含む繊維を含んでいてもよく、又は全ての層よりも少ない層がフィブリルを有する繊維を有していてもよい。別の言い方をすると、いくつかの層はフィブリルを含まない繊維を有していてもよい一方で、その他の層はフィブリルを有する繊維を有していてもよい。いくつかの層はフィブリルを有する繊維及びフィブリルを有さない繊維を有していてもよい。不織布基材及びフィブリルを有する繊維の比表面積は、本開示の不織布基材と使用される実施例の吸収性物品についてのより一般的な説明の後に、以下に更に詳しく記載することとする。本明細書中に記載される不織布基材を使用する拭取り用品、パッケージ、及び包装材料もまた、本開示の範囲内である。これらもまた、以下により詳細に記載される。
【0036】
不織布基材は、機械的、熱的、又は化学的結合プロセスを用いて一緒に結合される、繊維、フィラメント、又は繊維とフィラメントを組み合わせた個々の不織布層のシートを含んでいてもよい。不織布基材は、ステープルファイバー(短繊維)を含む個々の繊維から直接、溶融プラスチックから直接、プラスチックフィルム、及び/又は上記のいくつかの組み合わせから製造される、比較的平坦な多孔質のシートとして形成されてもよい。いくつかの不織布基材は、例えば、裏打ちシートによって強化又は補強されていてもよい。不織布基材は、限られた寿命を有する工作された織物、単用布、又は非常に耐久性のある、再利用可能な布であってもよい。種々の実施形態では、不織布基材は、例えば吸収性、撥液性、弾力性、伸縮性、不透明柔軟性、及び/又は強度等の特定な機能を与える。これらの特性は多くの場合において、製品の有用な寿命と費用との間の良好なバランスを達成しながら、特定の用途に適した不織布基材を作成するために、組み合わされる。不織布製造工程の具体的なリストは、例えば、S.J.Russell編、Woodhead Publishing Limited及びCRC Press LLCによって刊行される「The Handbook of Nonwovens」(ISBN:978−0−8493−2596−0)に記載されている。
【0037】
湿式不織布材に対する直接ポリマー
溶融材料及び典型的には熱可塑性プラスチックの連続的及び非連続的繊維紡糸技術は、一般に、メルトスピニング又はスパンメルト技術と称される。スパンメルト技術は、メルトブロー法及びスパンボンドプロセスの両方を含むことがある。スパンボンドプロセスは、溶融ポリマーを供給し、続いて紡糸口金として知られるプレートの多数の開口部を通り、圧力下で金型を介して押し出される工程を含む。得られた連続的な繊維は急冷されて、例えば、スロット延伸システム、繊細化ガン、又は延伸ロール(ゴデット)などの多くの方法のいずれかによって延伸される。スパンレイド又はスパンボンドプロセスにおいて、連続繊維は、弛緩ウェブとして、小孔表面、例えば、金網コンベヤベルト等の移動する小孔表面上に収集される。多層不織布基材を形成するために、2つ以上の紡糸口金が一列で使用される場合、続く不織布層は、前に形成された不織布層の最外表面上に集められる。スパンレイド又はスパンボンド不織布基材は多構成要素(例えば、コア及びシース、あるいはセグメントパイ(segmented pie)又は海島型)、多構成成分(即ち、1構成要素中に複数の化学物質の混合物)であってもよく、また、球状若しくは円形の他に、例えばトリローバル(三葉)、楕円形、若しくは中空等の他の多種多様な断面を有していてもよい。このような幅広い範囲のスパンレイド層又は布を製造する例は、Hartmannらへの米国特許第3,502,763号、Dorschnerらへの同第3,692,618号、Kinneyへの同第3,338,992号、Balkへの同第4,820,142号、Geusらへの同第5,460,500号、Geusらへの同第6,932,590号、Pikeらへの同第5,382,400号、Allenらへの同第7,320,581号、及びAllenへの同第7,476,350号に記載されている。
【0038】
メルトブロー処理は、不織布基材の層を形成するスパンレイイング又はスパンボンド法に関連し、ここで、溶融ポリマーは、紡糸口金又は金型内の開口部を通して、典型的には、金型内の小さな開口部の単一の列から押し出される。高温かつ高速度のガスの高流量が、金型から出るときに繊維に衝突して繊維を細くし、約1〜10マイクロメートルの直径及び不定の長さの微細繊維に素早く引き伸ばす。これは、一般に繊維の連続性が維持されるスパンボンド法とは異なる。繊維は次に高速の空気によって、コレクタ、コンベヤ、又はその他のウェブに吹き付けられて堆積される。メルトブローン不織布層は、しばしば、スパンレイド不織布層に添加されて、S及びM不織布構造の属性、例えば強固な不織布基材といくつかのバリア性を組み合わせたスパンボンド・メルトブローン(「SM」)不織布基材又はスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド(「SMS」)不織布基材を形成する。このようなメルトブローン繊維、層、及び不織布基材を製造するための記載は、例えば、Van A.Wenteによる「Superfine Thermoplastic Fibers」、Ind.Eng.Chem.Res.48(8)1956、pp.1342〜46において、又はBuntinらへの米国特許第3,849,241号及びBalkへの同第5,098,636号に記載される。
【0039】
平均直径が1ミクロン即ち1000ナノメートル未満の繊維(「N繊維」)を含む、より微細の繊維を製造するその他の方法は、溶融フィブリル化、先端メルトブロー技術、又は電界紡糸が挙げられる。先端メルトブロー技術は、例えば、Lauへの米国特許第4,818,464号、Nyssenらへの同第5,114,631号、Wattらへの同第5,620,785号、及びBodaghiへの同第7,501,085号に記載されている。溶融フィブリル化の例としての溶融フィルムフィブリル化技術は、繊維を製造する一般的な種類であり、1つ以上のポリマーが溶融され、多くの可能な構成(例えば、フィルムの中空チューブ、フィルムシート、共押出、均質若しくは二成分フィルム若しくはフィラメント)に押し出され、次にフィラメントにフィブリル化又は繊維化されると定義される。このような製法の例は、Torobinへの米国特許第4,536,361号、Perezらへの同第6,110,588号、Johnsonらへの同第7,666,343号、Gerkingへの同第6,800,226号に記載されている。微細繊維を製造するのに有用な電解紡糸プロセスは、Formhalsらへの米国特許第1,975,504号、Jirsakらへの同第7,585,437号、Chuらへの同第6,713,011号、Qiらへの同第8,257,641号、また、「Electrospinning」、A.Greiner及びJ.Wendorffによる、Angew.Chem.Int.Ed.、2007、46(30)、5670〜5703に記載されている。
【0040】
スパンレイド又はスパンボンド繊維は、典型的には、約8ミクロン〜約30ミクロンの範囲の平均直径、又は0.5〜10デニールの範囲の繊維力価を有する。メルトブローン繊維は、典型的には、平均して0.5ミクロン〜10ミクロンの範囲の直径、又は0.001デニールから0.5デニールを有し、及び約0.1〜10ミクロンを超える範囲を有する。微細繊維はその平均又は中位径が0.1ミクロン〜2ミクロンの範囲であり、いくつかの微細繊維は約1ミクロン未満の数平均直径、約1.5ミクロン未満の質量平均直径、及び約2未満の数平均直径に対する質量平均直径の比率を有する。
【0041】
メルトブローン不織布層(「M」)は、しばしば、スパンレイド不織布層(「S」)に添加されて、例えばいくつかの流体バリア性を有する強い不織布基材である、S及びMの不織布構造の属性を組み合わせた、スパンボンド・メルトブローン(「SM」)不織布基材、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド(「SMS」)不織布基材、SSMMS不織布基材、SSMMSS不織布基材、又はその他の不織布基材を形成する。同様のことが微細繊維及び微細繊維の層でも行うことができ、「N」と称されて、SN、MN、SMN、SMNS、SMNMS、SNMN、SSMNS、SSMNNS、又はその他の好適な層の組み合わせが製造される。
【0042】
乾式及び湿式不織布基材
溶融材料の繊維紡糸技術から製造された不織布基材に加えて、不織布基材は、予備形成された繊維(天然繊維を含む)から、例えば乾式又は湿式技術等のその他の手段によって製造されてもよい。乾式技術にはカーディング及びエアレイイングが含まれる。これらの技術は、例えば乾式とメルトスパン等、多層機能性不織布基材を形成するために互いに組み合わせてもよい。
【0043】
カーディングプロセスは、ステープルファイバー(短繊維)と呼ばれる個々の長さに切断された繊維を使用する。繊維のタイプ及び所望の最終製品の特性が、繊維の長さ及びデニールを決定する。典型的なステープルファイバーは、20mm〜200mmの範囲の長さ及び1dpf〜50dpf(繊維当たりのデニール)の範囲の線密度を有するが、この範囲を超えるステープルファイバーもまたカーディングに使用される。カーディング技術はこれらのステープルファイバーを、形成された基材に加工する。ステープルファイバーは典型的に、均一の不織布基材を製造するために開くことが必要とされる、圧縮されたベール(梱)として販売される。この開梱処理(opening)は、ベールオープニング(bale opening)、コースオープニング(coarse opening)、ファインオープニング(fine opening)、又は類似の方法により、これらを組み合わせて行うことができる。ステープルファイバーは、異なる繊維の種類を混ぜるため及び/又は均一性を改良するために、しばしばブレンドされる。繊維は、ブレンディング繊維ホッパー、ベールオープナー、ブレンディングボックス、又は類似の方法によって混合してもよい。所望の坪量の均一性を有する不織布基材を製造するために開梱されてブレンドされた繊維は、実用的に均一な密度で、カードの幅にわたる繊維が堆積するシュートに運ばれる。カードは、ステープルファイバーがその間に処理される特定の幾何学的形状の金属布、強固な鋸状歯のあるワイヤで覆われた一連の並列ローラ及び/又は固定プレートを含む。カーディングは、繊維房が、差分表面速度を有する2つの表面の接点及び金属布上の対向角方向の間に運ばれるときに発生する。カードは、カーディングするための単一の主シリンダ又は複数のシリンダを有していてもよい。カードは、カーディングされた繊維を取り除くために単一のドッファ(doffer)又は複数のドッファを有していてもよく、カードはウェブ中の個々の繊維の高等方的な配向性を減少させるためにランダム化ローラ又はコンデンサローラを含んでいてもよい。カーディングプロセスは、単一のカード又は互いに並べられた複数のカードを含んでいてもよく、ここで、後続のカードの繊維は先行のカードからの繊維の上に堆積されて、これによって、例えば、異なる繊維組成の複数の層を形成することができる。これらのカードの配向は、旋回(turning)又はクロスラッピング(cross-lapping)によって、下流の操作に対して平行か、下流の操作に対して垂直であってもよい。
【0044】
エアレイド(airlaid)プロセスもまた、個別の長さの繊維を使用するが、これらの繊維は、しばしば、カーディングで使用されるステープルファイバーよりも短い。エアレイイングに使用される繊維の長さは、典型的には2mm〜20mmの範囲であるが、この範囲を超える長さも使用することができる。粒子もまた、エアレイイングプロセスの間に繊維状構造に堆積されてもよい。エアレイイングのためのいくつかの繊維は、カーディング、即ち開梱及びブレンドと同様にして調製されてもよい。パルプ等のその他の繊維は、繊維を個別化するために、例えばハンマーミル又はディスクミル等の粉砕機を使用することができる。完成した不織布基材の特性の均一性を改良するために、種々の繊維をブレンドしてもよい。エアレイイング形成装置は、外気と繊維及び/又は粒子を混合して、繊維及び/又は粒子を気流に同伴させる。同伴後、繊維及び/又は粒子は、例えば、ワイヤメッシュコンベヤベルト等の移動する有孔表面上に弛緩ウェブとして収集される。エアレイイングプロセスは、単一のエアレイイング形成装置又は互いに並べられた複数のエアレイイング形成装置を含んでいてもよく、ここで、後続のエアレイイング形成装置の繊維及び/又は粒子は先行するエアレイイング形成装置の繊維及び/又は粒子の上に堆積され、それによって多層不織布基材の製造を可能とする。
【0045】
湿式不織布は、改変された製紙プロセスで製造され、典型的には2mm〜20mmの範囲の繊維を使用するが、この範囲を超える長さのものもまた使用されている。ウェットレイイング(wetlaying)のためのいくつかの繊維は、カーディング、即ち、上述の開梱及びブレンドと同様にして調製されてもよい。パルプ等のその他の繊維は、繊維を個別化するために、例えばハンマーミル又はディスクミル等の粉砕機を使用することができる。繊維は水中に、可能であれば結合剤などのその他の添加剤と一緒に懸濁されて、そして、このスラリーを典型的にはヘッドボックスに加えて、そこから湿式形成装置に流れて材料のシートを形成する。最初の水除去の後、ウェブは結合されて乾燥される。
【0046】
結合
不織布基材は、熱的、機械的、又は化学的方法によって結合(連結)されてもよい。セルロース系材料からなる不織布基材では、不織布基材は水素結合されてもよい。結合は、典型的には成形工程に沿って行われるが、同様にオフラインで行われてもよい。熱的結合は、平坦及び/又は型付きロールによるカレンダー結合、並びに平ベルト及び/又はドラム表面によるスルーエア結合(thru-air bonding)を含む。機械的接合はニードルパンチ(needlepunching)、スティッチボンド(stitchbonding)、及び水流交絡(hydroentangling)(スパンレーシング(spunlacing)でも知られる)を含む。化学的結合は、噴霧、印刷、発泡又は飽和による繊維への接着剤、ラテックス、及び/又は溶剤の塗布を含み、その後に乾燥させて、十分な一体性を有する有用な不織布基材を製造する。印刷又は塗布等のその他の後工程もまた、次いで行ってもよい。その後、不織布基材はロール状に巻かれ、細長く切り/巻戻し、パッケージし、更なる処理のために出荷され、及び/又は最終製品に変換される。
【0047】
繊維及びフィラメントの組成
種々の実施形態において、不織布構造の合成繊維は、例えば、PET、PTT、PBT、及びポリ乳酸(PLA)を含むポリエステル、及びアルキド樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、及びポリブチレン(PB)を含むポリオレフィン、エチレン及びプロピレン由来のオレフィンコポリマー、熱可塑性ポリウレタン(TPU)及びスチレンブロックコポリマー(種々のタイプのKratonによる線状及び放射状ジブロックコポリマー及びトリブロックコポリマー)を含むエラストマーポリマー、ポリスチレン、ポリアミド、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)及び、例えば、PHB(ポリヒドロキシブチレート)、並びに熱可塑性デンプンを含むデンプン系組成物から作製されてもよい。繊維の成分は、例えばPLA又は「バイオPE」などの植物体といった生物源に由来してもよい。上述のポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、ブレンド、及びそれらのアロイとして使用してもよい。種々の実施形態では、不織布構造の天然繊維は、これらに限定されないが、軟材(針葉樹由来)からの消化セルロース繊維、レーヨン及び綿を含む、硬材(落葉樹に由来)又は綿、エスパルト草、バガス、ケンプ、亜麻、黄麻、ケナフ、サイザル、及びその他の木質性(lignaceous)及びセルロース繊維源からの繊維からなっていてもよい。繊維は、色、強度、経時安定性、臭気制御、又はその他の目的のためのその他の成分、例えば光沢を低下させて不透明度を改良する二酸化チタンを含んでいてもよい。
【0048】
多種多様の大量生産される吸収性物品及び商品が、その製造においてSMS基材などの不織布基材を採用する。これらの不織布基材の最大のユーザの1つは、使い捨て型おむつ産業、拭取り用品産業、洗浄基材産業、及び女性用ケア製品産業である。
【0049】
以下の説明は、吸収性物品に用いられ得る好適な吸収性コア、トップシート若しくは液体透過性層、及びバックシート若しくは液体不透過性を全体的に記載する。吸収性コアは液体透過性層と液体不透過性層との中間に少なくとも部分的に、又は完全に中間に配置されてもよい。生理用ナプキン、洗浄基材、及び拭取り用品等のその他の製品もまた、以下に記載されるように本開示の範囲内である。
【0050】
図1は、本開示の不織布基材をその構成要素として有し得る吸収性物品10の平面図である。吸収性物品10は平坦な非収縮状態にて(即ち、例示のためにその弾性的に組み込まれた収縮が取り除かれ)、及び吸収性物品10の構成をより明確に示すために吸収性物品10の一部が切り取られて例示されている。
図1では、着用者に対面しない吸収性物品10の一部(すなわち、衣類に面する表面)は、観察者に向かって配向されている。
図2は、部分的に収縮した状態にある
図1の吸収性物品10の斜視図である。
図1に示されるように、吸収性物品10は、液体透過性トップシート20、トップシート20と接合された液体不透過性バックシート30、及びトップシート20とバックシート30の中間に少なくとも部分的又は全体的に位置付けられる吸収性コア40を含み得る。吸収性コア40は、外面(又は衣類に面する表面)42、内面(又は着用者に面する表面)44、側縁部46、及び腰縁部48を有する。実施形態では、吸収性物品10は、ガスケッティングバリアカフ50及び長手方向バリアカフ51を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、長手方向バリアカフ51は、長手方向中心軸59に対してほぼ平行に延びてもよい。例えば、長手方向バリアカフ51は、2つの末端縁部57の間に実質的に延びてもよい。吸収性物品10は、60として複数回表記される弾性ウエスト機構、及び一般に70として複数回表記される締結システムを含んでよい。
【0051】
実施形態では、吸収性物品10は、外側表面52(衣類に面する表面)、外側表面52と反対側の内側表面54(着用者に面する表面)、第1腰部区域56、第2腰部区域58、並びに長手方向縁部55及び端縁部57によって画定される周辺部53を有し得る。(当業者は、おむつ等の吸収性物品が通常、この適用において、専門用語の簡潔さのために、一対の腰部領域及び腰部領域の間の股領域を有するという観点で説明されることを理解する一方で、吸収性物品10は、股領域の一部として典型的に表される吸収性物品の一部分を備える腰部領域のみを有するとして説明される)。吸収性物品10の内面54は、使用中に着用者の体に隣接して位置付けられる吸収性物品10のその一部を含む(即ち、内面54は、概して、トップシート20及びトップシート20に接合され得る他の構成要素の少なくとも一部によって形成される)。外面52は、着用者の体から離れて位置付けられる吸収性物品10のその一部を備える(すなわち、外面52は、概して、バックシート30及びバックシート30に接合され得る他の構成要素の少なくとも一部分によって形成される)。第1の腰部領域56及び第2の腰部領域58は、それぞれ、周囲53の末端縁部57から吸収性物品10の横方向中心線(断面線3−3)まで延びる。
【0052】
図2は、本開示の非限定的な実施形態による、一対の長手方向バリアカフ51を含む、吸収性物品10(収縮されたゴムひもを有する)の斜視図を示す。
図3は、
図1の線3−3に沿った断面図を示す。
【0053】
実施形態では、吸収性コア40は、吸収性物品10と適合性のある任意の寸法又は形状をとってもよい。実施形態では、吸収性コア40の部分は、本開示の1つ以上の不織布基材から製造されてもよい。実施形態では、吸収性物品10は、第1腰部区域56において側縁部46が狭窄部を有するが、第2腰部区域58においてはほぼ長方形の形状を保つ、非対称的な変形T字型の吸収性コアアセンブリ40を有しうる。吸収性コアはまた、任意のその他の好適な、長方形等の形状を有していてもよい。多種多様な吸収性コアの構成は、一般的に当該技術分野において周知である。吸収性コア40は、コアカバー41(
図3に示され、かつ以下でより詳細に説明される)、及び吸収性コア40とバックシート30との間に配置される不織布ダスティング層41’をも含んでもよい。実施形態では、コアカバー41及び不織布ダスティング層41’は本開示の1つ以上の不織布基材から製造されてもよい。
【0054】
コア40はC型に囲まれたコア又はその他の好適なコア構成であってもよい。C型に囲まれたコアでは、コアカバー41は少なくとも部分的にダスティング層41’の周りを包んでいてもよく、その逆もまた同様であり、これによってコア40を封入し、体液で浸漬された後にその内容物がコア40から抜けることを防止する、又は少なくとも阻止する。実施形態では、コアは超吸収性ポリマーを、重量の割合で少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は100%で、含んでいてもよい。
【0055】
実施形態では、吸収性物品10のトップシート20は、トップシート20を通る流体(例えば、尿、経血、及び/又は液状の糞便)の迅速な移動を促進する親水性材料を含んでいてもよい。トップシート20は、しなやかで柔らかい触感であり、着用者の皮膚に対して非刺激的であり得る。更に、トップシート20は流体透過性であり得、流体(例えば、経血、尿、及び/又は液状の糞便)が容易にその厚さを染み透ることを可能とする。実施形態では、トップシート20は、親水性材料で作製され得るか、あるいは少なくともトップシートの上面は、流体がトップシートを通ってより迅速に移動し、かつ吸収性コア40に浸入するように、親水性であるように処理され得る。これにより、身体排泄物又は流体が、トップシート20を通じて引き込まれて吸収性コア40によって吸収されずに、トップシート20から流れ出るという可能性が低減される。トップシート20は、例えば、それを界面活性剤で処理することによって親水性になり得る。実施形態では、トップシート20は本開示の1つ以上の不織布基材から製造されてもよい。
【0056】
実施形態では、バックシート30は、流体、又は低表面張力流体(例えば、経血、尿及び/又は液状の糞便)に対して不透過性、又は少なくとも部分的に不透過性であってもよい。他の可撓性流体不透過性材料も使用され得るが、バックシート30は、薄いプラスチックフィルムから製造されてもよい。バックシート30は、吸収性コア40中に吸収及び含有された身体浸出液が、例えば、ベッドシート、衣類、パジャマ、及び下着等の吸収性物品10に接触する物品を濡らすことを防ぐか、あるいは少なくとも阻止し得る。バックシート30は、織布又は不織布基材、ポリエチレン若しくはポリプロピレンの熱可塑性フィルム等のポリマーフィルム、及び/又はフィルムコーティングされた不織布材料若しくはフィルムコーティングされた不織布積層体等の複合材料を含んでもよい。実施形態では、バックシート30は、0.012mm(0.5ミル)〜0.051mm(2.0ミル)の厚さを有するポリエチレンフィルムであってもよい。例示的なポリエチレンフィルムは、Clopay Corporation(Cincinnati,Ohio)よりP18−1401の表記で、またTredegar Film Products(Terre Haute,Ind)よりXP−39385の表記で製造される。バックシート30は、より布様の外観をもたらすために、エンボス加工及び/又はつや消し仕上げされてもよい。更に、バックシート30は、吸収性物品40の吸収性コアから蒸気を逃す(即ち、バックシート30は通気性があり、十分な空気透過率を有する)一方で、依然として身体滲出物がバックシート30を通過することを防ぐか、又は少なくとも阻止する。バックシート30の寸法は、吸収性コア40の寸法及び選択される精密な吸収性物品設計によって決定され得る。実施形態では、バックシート30は本開示の1つ以上の不織布基材から製造されてもよい。
【0057】
吸収性物品10の他の任意の要素は、締結システム70、伸縮性側面82、及びウエスト機構60を備えてもよい。締結システム70は、横方向の張力が吸収性物品10の周囲で保持され、吸収性物品10を着用者のところに保持するように、重なり合う構成で、第1腰部区域56の第2腰部区域58への接合を可能にする。例示的な締結システム70は、1989年7月11日にScrippsに発行された米国特許番号第4,846,815号、1990年1月16日にNestegardに発行された同第4,894,060号、1990年8月7日にBattrellに発行された同第4,946,527号、1974年11月19日にBuellに発行された同第3,848,594号、1987年5月5日にHirotsuらに発行された同第4,662,875号、及び1992年9月29日にBuellらに発行された同第5,151,092号に記載される。特定の実施形態において、締結システム70は省略されてもよい。そのような実施形態において、予形成された腰開口部及び脚開口部を有するパンツ型おむつを形成するために、腰部領域56及び58は、吸収性物品の製造業者によって接合され得る(即ち、エンドユーザがおむつの操作をして、腰開口部及び脚開口部を形成する必要はない)。パンツ型おむつは、一般に、「密閉型おむつ」、「事前締結型おむつ」、「プルオンおむつ」、「トレーニングパンツ」、及び「おむつパンツ」とも呼ばれている。好適なパンツ型おむつは、1993年9月21日に発行されたHasseらの米国特許第5,246,433号、1996年10月29日に発行されたBuellらの同第5,569,234号、2000年9月19日に発行されたAshtonの同第6,120,487号、2000年9月19日に発行されたJohnsonらの同第6,120,489号、1990年7月10日に発行されたVan Gompelらの同第4,940,464号、及び1992年3月3日に発行されたNomuraらの同第5,092,861号に記載されている。一般に、腰部区域56及び58は、恒久的な又は再締結可能な結合方法により接合されてよい。
【0058】
実施形態では、吸収性物品10は、流体及び他の身体滲出物の改良された収容性を提供し得る、1つ以上の長手方向バリアカフ51を含み得る。長手方向バリアカフ51は、本開示の不織布基材を1つ以上含んでいてもよい。長手方向バリアカフ51は、レッグカフ、バリアレッグカフ、長手方向レッグカフ、レッグバンド、サイドフラップ、弾性カフ、又は「立ち上がり」伸縮性フラップとも呼ばれ得る。弾性が、1つ以上の弾性部材63によって長手方向バリアカフ51に与えられてもよい。弾性部材63は、弾性を長手方向バリアカフ51に提供し得、長手方向バリアカフ51を「立ち上がり」位置に維持する助けとなり得る。1975年7月14日にBuellに発行された米国特許番号第3,860,003号は、弾性脚部カフを提供するために、サイドフラップ及び1つ以上の弾性部材を有する、収縮可能な脚部開口部を提供する使い捨ておむつを記載する。1989年2月28日及び1990年3月20日にそれぞれAzizらに発行された米国特許番号第4,808,178号及び同第4,909,803号は、吸収性物品10の脚部領域に、収容性を改良する「立ち上がり」伸縮性フラップを含む、吸収性物品について記載している。加えて、いくつかの実施形態では、1つ以上の長手方向バリアカフ51は1つ以上のガスケットカフ50と一体であり得る。長手方向バリアカフ51と同様に、ガスケッティングカフ50は、1つ以上の弾性部材62を含んでもよい。ガスケッティングカフ50は、本開示の不織布基材を1つ以上含んでいてもよい。
【0059】
図3は、線3−3に沿った
図1の吸収性物品10の断面図を示す。
図3は1つのカフ構成を表す。しかしながら、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、カフ構成に修正を加えることができる。
図3にはガスケットカフ50及びバリアカフ51が両方とも示されているが、単一のカフの構成もまた実施することが可能である。
図3は、1つの非限定的な実施形態により、ガスケットカフ50及び長手方向バリアカフ51構成を例示する。カフ50、51の両方は、例えばSMS不織布基材、SNS不織布基材、又はSMNS不織布基材といった共通の不織布基材65を共用しても良い。長手方向バリアカフ51は単一の層構成で示され、長手方向バリアカフ51の横方向幅の実質的な部分にわたり、不織布基材65の単一プライを含む。当業者は、不織布基材の精密な構成が種々の実施形態において変更されてもよいことを理解する。
【0060】
図3に示されるように、吸収性物品10のある特定の実施形態では、コアカバー41は、吸収性コア40に構造的一体性を提供するために、包含され得る。コアカバー41は、セルロース系材料及び吸収性ゲル材料又は超吸収性ポリマー等の吸収性コア40構成要素を包み得、両方ともに物理的バリアがないと、移行するか、移動するか、あるいは浮遊する傾向があり得る。コアカバー41は、
図3に示されるように、コア40を完全に包むか、あるいは吸収性コア40を部分的に被覆してもよい。
【0061】
特定の実施形態では、吸収性物品10は、外側カバー31を含んでもよい。外側カバー31は、吸収性物品10の外面の全て、又は実質的に全てを被覆してもよい。いくつかの実施形態では、外側カバー31は、バックシート30と隣接してもよい。外側カバー31は、バックシート30の一部分に接着され、積層構造体を形成してもよい。
【0062】
図4は本開示の不織布基材112を製造するのに用いられる成形機110の概略図を図示する。不織布基材を作製するため、成形機110は、第1の粗い繊維135(例えば、スパンボンド繊維)を生成するための第1ビーム120、中間繊維127(例えば、メルトブローン繊維)を生成するための任意の第2ビーム121、微細繊維131(例えば、N−繊維)を生成するための第3ビーム122、及び第2の粗い繊維124(例えば、スパンボンド繊維)を生成するための第4ビーム123を有するものとして示される。成形機110は、形成ベルト114が矢印114で示される方向に駆動されるように、ローラ116、118の周りを移動するエンドレス形成ベルト114を備えてもよい。種々の実施形態において、任意の第2のビーム121が利用される場合、それは、例えば、第1のビーム120と第3のビーム122との中間に位置付けられ得る(示されるように)か、あるいは例えば、第3のビーム122と第4のビーム124との中間に位置付けられ得る。不織布基材を形成するために、ロール138及び140でニップを形成して多層に繊維を結合又はカレンダー結合してもよい。要素136はスパンボンド繊維の層であってもよい。要素128は中間繊維、スパンボンド繊維、又は微細繊維の層であってもよい。要素132は中間繊維、スパンボンド繊維、又は微細繊維の層であってもよい。要素125はスパンボンド繊維の層であってもよい。繊維の層のそれぞれは、以下に更に詳細に記載するように、そこから外向きに延伸するフィブリルが雰囲気条件下にて所定期間後に育つように形成されてもよい。
【0063】
図5は、実施形態による、カレンダー結合部位168でのSNS不織布基材又はSMS不織布基材の断面図である。フィブリルは、以下に記載するように、雰囲気条件下で所定期間後にカレンダー結合部位168の外へ育ち得る。スパンボンド、中間、及び微細繊維は単一成分又は二成分又はポリマーブレンドの種類であってもよい。
【0064】
実施形態では、
図5及び
図6を参照すると、不織布基材112は第1の不織布層125、第2の不織布層132、及び第3の不織布層136を含んでいてもよい。結合部位168は結合領域を有していてもよい。第2の不織布層132は第1の不織布層125と第3の不織布層136との中間に配置されてもよい。また、第1不織布層125、第2不織布層132、及び第3不織布層136は、例えば、カレンダリング結合プロセスなどの任意の好適な結合プロセスを使用して互いに断続的に結合され得る。実施形態では、不織布基材112はフィルムを含まない。種々の実施形態において、不織布基材112は、第1の不織布層125に相当し得るスパンボンド層、第2の不織布層132に相当し得るN繊維層又は中間層、及び第3の不織布層136に相当し得る第2のスパンボンド層を含み得る。
【0065】
実施形態では、
図7及び
図8を参照して、不織布基材212は第1不織布層225、第2不織布層232、第3不織布層236、及び第4不織布層228を含んでいてもよい。カレンダー結合部位などの結合部位268が、不織布基材212に図示される。結合部位268は結合領域を有する。第1不織布構成層225、第2不織布構成層232、第3不織布236、及び第4不織布層228は、例えば、カレンダリング接合プロセスなどの任意の好適な結合プロセスを使用して互いに断続的に結合され得る。実施形態では、不織布基材212はフィルムを含まない。種々の実施形態では、不織布基材212は第1不織布層225に相当し得るスパンボンド層と、第4不織布層228に相当し得るメルトブローン層又は微細繊維層と、第2不織布構成要素層232に相当し得る微細若しくはN繊維層又はメルトブローン層と、第3不織布構成要素層236に相当し得る第2のスパンボンド層とを含んでもよい。例えば1つ以上のスパンボンド層、1つ以上のメルトブローン若しくは中間層、及び/又は1つ以上の微細若しくはN繊維層を含む不織布基材層等、不織布基材のその他の構成は認識されており、本開示の範囲内である。
【0066】
実施形態では、本開示の不織布基材は、SMS、SMMS、SSMMS、SMMSS、SMN、SNS、SMNMS、SMMNMS、SSMMNS、SSNNSS、SSSNSSS、SSMMNNSS、SSMMNNMS、及びその他の好適な変形を含むがこれらに限られない、複数のスパンボンド、メルトブローン、及びN繊維層の種々の組み合わせ及び順列から構成される複数の不織布層から形成されてもよい。
【0067】
実施形態において、
図9を参照すると、吸収性物品は生理用ナプキン110であってもよい。着用者に面する表面は、
図9において、観察者を向いている。生理用ナプキン110は、液体透過性トップシート114、液体不透過性又は実質的に液体不透過性のバックシート116、及びトップシート114とバックシート116との中間に少なくとも部分的に配置される吸収性コア118を含んでいてもよい。生理用ナプキン110は、生理用ナプキン110の長手方向軸線180に対して外向きに延伸する羽根120も含んでもよい。生理用ナプキン110はまた横方向軸190を含んでもよい。羽根120は、トップシート114、バックシート116、及び/又は吸収性コア118に接合されていてもよい。生理用ナプキン110はまた、前縁部122、前縁部122と長手方向に対向する後縁部124、第1側縁部126、及び第1側縁部126と長手方向に対向する第2側縁部128を有してもよい。長手方向軸180は、前縁部122の中点から、後縁部124の中点まで延びてもよい。横方向軸190は、第1側縁部126の中点から、第2側縁部128の中点まで延びてもよい。生理用ナプキン110はまた、当該技術分野において周知の生理用ナプキンに一般的に見受けられる任意の追加特徴、例えば、下着に生理用ナプキンをつけるための、バックシート状の接着剤などを与えられてもよい。本開示の不織布基材は生理用ナプキン110の1つ以上の部分、例えばトップシート114、バックシート116、吸収性コア118、及び/又は羽根120を形成してもよい。
【0068】
実施形態では、不織布基材はスパンボンド繊維「S」、メルトブローン繊維「M」、及び/又は微細繊維「N」の層を1つ以上含んでいてもよい。1つ以上の不織布層は繊維を含んでいてもよく、少なくとも複数の繊維、又は繊維の全て若しくはほとんどが、繊維の表面又は半径外側表面から外向きに、又はほとんど半径方向に外向きに延伸するフィブリルを含む。実施形態では、フィブリルは、不織布基材の1つの層(その繊維の全て又はいくつかにおいて)、不織布基材の全ての層(その繊維の全て又はいくつかにおいて)、又は不織布基材の全てより少ない層(その繊維の全て又はいつかにぴて)に存在していてもよい。一例では、本開示の不織布基材の少なくとも1層は、その繊維の複数、又は全てが、フィブリルを含まない、又はフィブリルを実質的に含まない繊維を有していてもよい。
【0069】
外向きに又は半径方向に外向きにその表面から延伸するフィブリルを含むスパンボンド繊維を有する不織布基材の走査型電子顕微鏡写真を
図10〜
図15に図示する。
図10〜
図12は、不織布基材のスパンボンド繊維が組成物の重量に対して約10%のエステル脂質グリセロールトリステアラートを含む組成物から形成された、22gsmのSMMS不織布基材である。不織布基材のスパンボンド層はそれぞれ10gsmの坪量を有する一方で、メルトブローン層はそれぞれ1gsmの坪量を有する。
図10〜
図12におけるメルトブローン層はフィブリルを含む繊維を有さないが、フィブリルを有するメルトブローン繊維(及び微細繊維)は本開示の範囲内である。
図11及び
図12は
図10の不織布基材を更に拡大した図である。
図13〜
図15は、不織布基材のスパンボンド繊維が組成物の重量に対して約10%のエステル脂質グリセロールトリステアラートを含む組成物から形成される、14gsmのSM不織布基材である。
図14及び
図15は
図13の不織布基材を更に拡大した図である。不織布基材のスパンボンド層は13gsmの坪量を有し、メルトブローン層は1gsmの坪量を有する。
図13〜
図15のメルトブローン層はフィブリルを含む繊維を有さないが、フィブリルを有するメルトブローン繊維(及び微細繊維)は本開示の範囲内である。
【0070】
図16〜1
図8は、スパンボンド繊維の少なくともいくつかがフィブリルを含む、SMNS不織布基材の断面図のSEM写真を図示する。不織布基材は18gsmの合計坪量を有する。フィブリルを含むスパンボンド繊維は、組成物の重量に対して10%のグリセロールトリステアラートを含む組成物から形成される。
図16〜
図18では、メルトブローン層及び微細繊維層はフィブリルを含む繊維を有さないが、フィブリルを有するメルトブローン及び微細繊維は本開示の範囲内である。
【0071】
複数の繊維がフィブリルを含む、又は全ての繊維がフィブリルを含む層を1つ以上有する不織布基材のいくつかの例示的な構成を以下に列挙する。文字の後の「
*」は、その層が繊維を有することを示し、ここで、繊維の少なくともいくらか、又は全てが、フィブリルを有する。いくつかの例示的な構成は以下のとおりである:S
*MS
*、SM
*S、S
*M
*S、SM
*S
*、S
*M
*S
*、S
*M
*NS、S
*M
*NS
*、S
*M
*N
*S
*、SM
*N
*S、S
*MNS
*、SMN
*S、S
*SMNS、S
*S
*MNS、S
*S
*MNS
*、S
*S
*M
*NS
*、S
*S
*M
*N
*S
*、S
*SM
*NS
*、S
*MNMS
*、S
*M
*NMS
*、SSM
*N
*MS、S
*S
*M
*MS、S
*SM
*MS、及び/又はS
*MM
*S。フィブリルを有するか有さない層のいかなるその他の好適な構成もまた、本開示の範囲内である。
【0072】
いくつかの実施形態では、フィブリルを含む繊維を含む1つ以上の層が不織布基材の特定の側に、又は不織布基材内の特定の位置に配置されることが望ましい場合がある。例では、フィブリルを含む繊維を含む層は吸収性物品の着用者に面する側又は衣類に面する側又はその両方に位置していてもよく、一方で不織布基材の中間層はフィブリルを含む繊維を含んでいても含んでいなくてもよい。その他の実施形態では、フィブリルを含む繊維を含む層は、不織布基材の中間層に配置されてもよい。更にその他の実施形態では、フィブリルを含む繊維を含む層は、不織布基材を介して交互になっていてもよい(例えば、フィブリルを含む繊維を含む層、フィブリルを含む繊維を含まない層、フィブリルを含む繊維を有する層など)。その他の実施形態では、フィブリルを含む繊維を有する層は互いに面と面で接触するように配置されてもよい。フィブリルを含む繊維を含む層の配置は、特定の用途に固有であってもよい。拭取り用品については、フィブリルを含む繊維の層又は複数の層は、清浄にし、拭取り、こすり落とし、又はごしごしこすって洗う表面又は人体部分に接触する拭取り用品の側に配置されていてもよく、その他の位置に配置されていてもよい。
【0073】
フィブリルが個々の繊維の表面から外向きに延伸する間、フィブリルもまた、不織布基材の同一層内又は別の層内のその他の繊維、及び/又は不織布基材の同一層内又は別の層内の繊維から延伸するフィブリルに延伸(すなわち、接触)してもよい。この特徴の一例は
図14及び
図15に記載される。フィブリルが繊維及び/又はその他のフィブリルの間を延伸すると、不織布基材は、その他の繊維又はフィブリルに係合するときにフィブリルが不織布基材における空隙又は孔を閉じることによって、液体浸透(例えば、低表面張力液体裏抜け)に対するより大きな抵抗を得ることができる。言い換えると、繊維及び/又はその他のフィブリルの間を延伸するフィブリルは不織布基材の開領域を減少させて、それによって液体バリア特性を増加させる。いくつかの場合では、より長いフィブリルはより短いフィブリルよりもその他のフィブリル及び/又は繊維に接触し得る。
【0074】
種々の実施形態では、フィブリルは、約0.2μm〜約40μm、約0.5μm〜約20μm、約1μm〜約15μm、約1μm〜約10μm、約1μm〜約5μm、約2.5μm〜約5μm、約2μm〜約4μm、約2.5μm〜約3.5μm、又は約3μmの範囲内であり、具体的には上記で指定される範囲内の全ての0.1μm刻み、及び上記で指定される範囲内に又は上記で指定される範囲によって形成される全ての範囲であり、繊維の外側表面、又は半径方向の外側表面からフィブリルの自由端(すなわち、繊維の外側表面から最も遠位のフィブリルの端)までの長さを有していてもよい。1つ以上の不織布層における種々の繊維のフィブリルは、同一の長さ又は同一の長さの範囲内、実質的に同一の長さ又は同一の長さの範囲内、あるいは異なる長さ又は異なる長さの範囲を有していてもよい。実施形態では、スパンボンド層などの不織布基材の層における繊維は、第1の長さ又は長さの範囲を有するフィブリルを有する繊維を有していてもよく、別のスパンボンド層、メルトブローン層、又は微細繊維層などの不織布基材の第2の層における繊維は、第2の長さ又は長さの範囲を有するフィブリルを有する繊維を有していてもよい。フィブリルの第1及び第2の長さ、並びに/又は長さの範囲は、同一、実質的に同一、又は異なっていてもよい。実施形態では、フィブリルの第1及び第2の長さ及び/又は長さの範囲は、スパンボンド層におけるものに比べて、メルトブローン層又は微細繊維層において、より小さいか又はより大きくてもよい。更に、フィブリルの第1及び第2の長さ及び/又は長さの範囲は、メルトブローン層内のものに比べて、微細繊維層においてより小さいか又はより大きくてもよい。フィブリルは均一の太さ又は可変の太さを有し得て、任意の好適な断面形状を有していてもよい。フィブリルの長さ、太さ、及び/又は断面形状を決める1つの重要な要因は、以下により詳細に記載するように、繊維を形成するのに用いられる組成物に添加される、組成物の重量に対する、エステル脂質等の溶融添加物の量であると考えられる。同様に重要なのは、溶融添加物が挿入され、そこからフィブリルが出てくるバルクポリマー組成物の選択であり、より具体的には、繊維におけるバルクポリマーマトリックスの硬度、密度、及び結晶化度が要因である。別の要因は、例えば、多かれ少なかれ容易にバルクポリマーマトリックスを通って拡散することができる特定タイプのエステル脂質及び繊維の表面からフィブリルとして成長し続けられる、溶融添加物の組成物である。フィブリルの長さ、太さ、及び/又は断面形状に影響を与えるその他の要因は環境条件であり、特に雰囲気条件よりも著しく高いか低い条件である。フィブリルの長さは、以下に記載するフィブリル長さ測定試験に従って測定される。
【0075】
種々の実施形態では、フィブリルは円形でない断面形状を有していてもよく、代わりに概して長円形又は長方形に近い形状であってもよい。したがって、フィブリルの断面サイズ(「太さ」又は「幅」)を水力直径に換算して記載することは有用である。水力直径は断面積(フィブリルの長さの中央の3分の1のどこかを採用)を計算し、4を掛けて、断面形状の周囲の長さで割ることで決められる。水力直径D
H=4
*面積/周囲の長さ。円形の断面を有するフィブリルについては、水力直径はフィブリルの直径と等しく、長方形の断面を有するフィブリルについては、水力直径はD
H=4
*L
*W/(2
*L+2
*W)であり、L及びWは断面の長方形の辺であり、300nm(W)及び1500nm(L)の断面寸法を有するフィブリルは500nmの水力直径を有する。その他の断面形状の周囲の長さの近似値は、周知の数学式によって計算することができる。
【0076】
種々の実施形態では、フィブリルの平均水力直径(すなわち、断面の太さ)は、約50nm〜約1100nm、約100nm〜約800nm、約200nm〜約800nm、約300nm〜約800nm、約500nm〜約800nm、約100nm〜約500nm、又は約600nmの範囲内であり、具体的には上記で指定される範囲内の全ての1nm刻み、及び上記で指定される範囲内に又は上記で指定される範囲によって形成される全ての範囲内にあってもよい。個々のフィブリルの水力直径は、フィブリルの長さに対して一定、実質的に一定又は可変であってよい。実施形態では、フィブリルの水力直径はフィブリルの長さ(フィブリルの始端からその最も遠位の端まで)に対して減少してもよい。実施形態では、スパンボンド層などの不織布基材の層における繊維は、第1の平均水力直径又は平均水力直径の範囲を有するフィブリルを有する繊維を有していてもよく、メルトブローン層又は微細繊維層などの不織布基材の第2層における繊維は、第2の平均水力直径又は平均水力直径の範囲を有するフィブリルを有する繊維を有してもよい。フィブリルの第1及び第2の平均水力直径及び/又は平均水力直径の範囲は同一、実質的に同一、又は異なっていてもよい。実施形態では、フィブリルの第1及び第2の平均水力直径及び/又は平均水力直径の範囲は、メルトブローン層又は微細繊維層において、1つ又は複数のスパンボンド層におけるものと比べてより小さい、より大きい、又は同一であってもよい。更に、フィブリルの第1及び第2の平均水力直径及び/又は平均水力直径の範囲は、微細繊維層において、メルトブローン層におけるものと比べてより小さい、より大きい、又は同一であってもよい。
【0077】
実施形態では、不織布基材は、
図5及び
図7を参照して上述の結合部位168、268のような結合部位を有していてもよい。結合部位はそれぞれ結合領域を有していてもよい。
図19は、結合部位が不織布基材内に生成された後に結合領域内の結合部位の一部から成長したフィブリルの、200倍の倍率でのSEM写真を図示する。この写真は、不織布基材内に結合部位(例えば、カレンダー結合)が形成された少なくとも100時間後に撮影された。
図19の不織布基材はSM不織布基材であり、不織布基材のスパンボンド繊維は組成物の重量に対して10%のエステル脂質グリセロールトリステアラートを含む組成物から形成された。
図19におけるメルトブローン層はフィブリルを有する繊維を含まないが、フィブリルを有するメルトブローン繊維(及び微細繊維)は本開示の範囲内である。スパンボンド層は13gsmである一方で、メルトブローン層は1gsmである。フィブリルは結合部位の表面から外向きに延伸していてもよい。このような実施形態では、不織布基材の繊維の層は形成されて、次にカレンダー結合されるかその他の方法(例えば、
図4のロール138及び140を使用して)で結合され、続いてフィブリルは不織布基材の1つ以上の層において、繊維から結合部位の表面から外向きに成長した。本開示のパッケージ、包装材料、及び拭取り用品もまた、結合部位を含む繊維の層を含む不織布基材を含み、結合部位はそれぞれ結合領域を含み、複数のフィブリルは結合領域の表面から外向きに延伸する。
【0078】
図20〜
図22は、18gsmの坪量を有するSMNS不織布基材の結合部位の一部の周りで撮影された断面図のSEM写真である。不織布基材のスパンボンド繊維は、組成物の重量に対して10%のグリセロールトリステアラートを含む組成物から形成される。スパンボンド繊維の少なくともいくらかはフィブリルを含む。
図20〜
図22では、メルトブローン層及び微細繊維層はフィブリルを含む繊維を有さないが、フィブリルを有するメルトブローン及び微細繊維は本開示の範囲内である。
【0079】
ある実施形態では、少なくともいくつかの、又は全ての繊維がそこから外向きに延伸するフィブリルを含む繊維の層を生成するのに用いられる組成物は、ポリオレフィン及びエステル脂質溶融添加剤などの1つ以上の溶融添加剤、又は溶融添加剤との繊維組成物に関する本明細書に記載される任意の材料を含んでいてもよい。ポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリブチレン若しくはポリイソブチレンなどのその他のポリオレフィンを含んでいてもよい。溶融添加剤又はエステル脂質は、組成物の重量に対して、2%〜45%、11%〜35%、11%〜30%、11%〜25%、11%〜20%、11%〜18%、11%〜15%、11%〜15%、3%、5%、10%、11%、12%、15%、20%、25%、30%、35%、又は40%であり、具体的には上記で指定される範囲内の全ての0.5%刻み、及び上記で指定される範囲内に又は上記で指定される範囲によって形成される全ての範囲で、組成物に存在していてもよい。本開示に好適な溶融添加剤は、疎水性溶融添加剤であってもよい。したがって、溶融添加剤は繊維の層における繊維の疎水性を、特にフィブリルが繊維の外に成長するときに増加させ得る。これは、1つ以上の溶融添加剤を含む組成物から形成される少なくとも1つの層を有さない不織布基材と比較したときに、不織布基材内の繊維の層及び/又は不織布基材自体に対して、低表面張力液体裏抜け時間の増加と、より高い疎水性とをもたらす。これはまた、従来の不織布基材と比べたときに、より良いろ過及び/又は特定の捕捉特性をもたらすことができる。
【0080】
本開示の溶融添加剤、即ちエステル脂質は、30℃〜160℃、40℃〜150℃、50℃〜140℃、50℃〜120℃、50℃〜100℃、60℃〜80℃、60℃〜70℃、約60℃、約65℃、又は約70℃の、具体的には上記で指定される範囲内の全ての1℃刻み、及び上記で指定される範囲内に又は上記で指定される範囲によって形成される全ての範囲の融点を有する。種々の実施形態では、本開示の溶融添加剤は、30℃を超える、40℃を超える、又は50℃を超えるが、200℃より低い、又は150℃より低い融解温度を有していてもよい。
【0081】
組成物に用いられる溶融添加剤は脂肪酸エステル等の脂肪酸誘導体、典型的には2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールから形成されるエステル及び1つ以上の少なくとも8個の炭素原子、少なくとも12個の炭素原子、又は少なくとも14個の炭素原子を有する脂肪酸を含んでいてもよく、1つのエステル化合物内で異なる脂肪酸から誘導される基が存在していてもよい(明細書中では脂肪酸エステルと称する)。
【0082】
脂肪酸エステル化合物はアルコール分子毎に2つ以上又は3つ以上の官能ヒドロキシル基を保有するアルコールのエステルであってもよく、全てのヒドロキシル基は脂肪酸とのエステル結合を形成する(脂肪酸又はその混合物のいずれか)。
【0083】
実施形態では、アルコールは官能ヒドロキシル基を3つ有していてもよい。
【0084】
実施形態では、1つ以上の溶融添加剤はモノグリセリドエステル及び/又はジグリセリドエステル、及び/又はトリグリセリドエステル(1、2、又は3つの脂肪酸から誘導される基を有する)を含んでいてもよい。
【0085】
エステル化合物を形成するために使用される脂肪酸は、本開示の目的のために脂肪酸誘導体を含む。モノ脂肪酸エステル、又は例えばアモノグリセリドは、例えば、グリセロールに接続される単一の脂肪酸を含み、ジ脂肪酸エステル、又は例えばジグリセリドは、例えば、グリセロールに接続される2つの脂肪酸を含み、トリ脂肪酸エステル、又は例えばトリグリセリドは、例えば、グリセロールに接続される3つの脂肪酸を含む。実施形態では、溶融添加物は少なくとも脂肪酸のトリグリセリドエステル(すなわち、同一又は異なる脂肪酸)を含んでいてもよい。
【0086】
なお、トリグリセリドエステルはグリセロールバックボーンに非水素置換基を有さないエステル型のグリセロールバックボーンを有していてもよいが、グリセロールバックボーンはまたその他の成分を含んでいてもよい。
【0087】
実施形態では、グリセロールエステルのグリセロールバックボーンは水素しか含んではならない。グリセリドエステルはまた、重合化された飽和グリセリドエステルなどの重合(例えば、トリ)グリセリドエステルを含んでいてもよい。
【0088】
2つ以上のエステル結合を有する脂肪酸エステル、例えばジグリセリド又はトリグリセリドでは、脂肪酸に誘導される基は同一であってもよく、2つ又は3つの異なる脂肪酸誘導基であってもよい。
【0089】
溶融添加剤は分子毎に同一の脂肪酸誘導基、及び/又は異なる脂肪酸誘導基を有する、モノ、ジ、及び/又はトリ脂肪酸エステル(例えば、モノ、ジ、及び/又はトリグリセリド)エステルの混合物を含んでいてもよい。
【0090】
脂肪酸は、植物、動物、及び/又は合成源に由来してもよい。いくつかの脂肪酸はC8脂肪酸〜C30脂肪酸、又はC12脂肪酸〜C22脂肪酸の範囲に及ぶ。好適な植物性脂肪酸は典型的に、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、及びリノレン酸等の不飽和脂肪酸を含む。脂肪酸はアラキジン酸(arachidec)、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、リモレン酸(limoleic)、リノレン酸、及び/又はアラキドン酸であり得る。
【0091】
別の実施形態では、実質的に飽和された脂肪酸を、特に飽和が脂肪酸前駆体の水素化の結果として生じるときに使用してもよい。実施形態では、C18脂肪酸、又はオクタデカン酸、若しくはより一般的に呼ばれるステアリン酸を、本明細書の脂肪酸エステルのエステル結合を形成するために使用してもよい。ステアリン酸は、動物性脂肪及び油に加えて、いくつかの植物性油から誘導してもよい。ステアリン酸はまた、綿実油などの植物性油の水素化によって調製されてもよい。本明細書の脂肪酸エステルは混合硬化植物油の脂肪酸、例えばCAS登録番号68334−28−1を有するものを含んでいてもよい。
【0092】
本明細書の溶融添加剤のために、少なくとも1つのステアリン酸、少なくとも2つ、又は3つのステアリン酸がグリセロールに接続されてグリセロールトリステアラートを形成する。本明細書の溶融添加剤は、グリセロールトリステアラートを少なくとも含み得る。
【0093】
実施形態では、溶融添加剤はトリステアリン又は1,2,3−トリオクタデカノイルグリセロールなどの名前でも知られる、グリセロールトリステアラート(CAS番号555−43−1)を含んでいてもよい。(以下では、グリセロールトリステアラートの名前が用いられ、疑義のある場合はCAS番号が主要の識別子として見なされるべきである)。
【0094】
実施形態では、溶融添加剤の脂肪酸エステルは、500〜2000、650〜1200、又は750〜1000の、具体的には上記で指定される範囲内の全ての整数刻み、及び上記で指定される範囲内に又は上記で指定される範囲によって形成される全ての範囲の数平均分子量を有していてもよい。
【0095】
溶融添加剤はハロゲン原子をほとんど又は全く含まなくてもよい。例えば、溶融添加剤はハロゲン原子を(溶融添加剤の重量に対して)5重量%未満、又は1重量%未満、又は溶融添加剤の0.1重量%未満で含んでいてもよい。溶融添加剤は実質的にハロゲンフリーであり得る。
【0096】
実施形態では、溶融添加剤はエステル脂質又はグリセロールトリステアラートであってもよい、又はそれを含んでもよい。種々の実施形態では、フィブリルは、溶融添加剤を含む、から構成される、又はから本質的に構成される(即ち、51%〜100%、51%〜99%、60%〜99%、70%〜95%、75%〜95%、80%〜95%、具体的に特定の範囲及びその中並びにそれによって形成される範囲全ての中の0.1%増分を全て含む)。
【0097】
本開示の繊維が形成される組成物に加えられるマスタバッチは、Morへの米国特許第8,026,188号に開示されるマスタバッチであってもよい。
【0098】
溶融添加剤とポリオレフィンの組成物が繊維の層を形成するのに用いられると、繊維の層は、
図4の例に開示するように、不織布基材に組み込まれてもよい。フィブリルが延伸する繊維を複数有する繊維の層を1つ以上有する不織布基材は、繊維を形成するために用いられる組成物における溶融添加剤の濃度によって、及び不織布基材の繊維のいくつの層が溶融添加剤を含む繊維を含むかによって、不織布基材の重量に対して溶融添加剤を1%〜35%の範囲で含んでいてもよい。その他の可能な溶融添加剤の、不織布基材の重量に対する範囲は、2%〜35%、5%〜25%、11%〜35%、11%〜25%、11%〜20%、11%〜18%、11%〜15%、11%、12%、13%、15%、又は18%、具体的には本段落に特定される範囲内及びその中又はそれによって形成される全ての範囲内における全ての0.5%増分を含む範囲であってよい。
【0099】
実施形態では、フィブリルはポスト不織布基材形成後(即ち、
図4に図示する工程の後)雰囲気条件下において、繊維の外に成長してもよい。フィブリルは、ポスト不織布基材形成後雰囲気条件下で約6時間後にSEMを用いて認識可能となるかもしれない。フィブリル成長は、ポスト不織布基材形成後雰囲気条件下にて、約50時間、75時間、100時間、200時間、又は300時間後に平坦部に到達してもよい。ポスト不織布基材形成後の顕著なフィブリル成長の時間範囲は、雰囲気条件下にて5時間〜300時間、6時間〜200時間、6時間〜100時間、6時間〜24時間、6時間〜48時間、又は6時間〜72時間であってもよく、具体的には上記で指定される範囲内の全ての1分刻み、及び上記で指定される範囲内に又は上記で指定される範囲によって形成される全ての範囲であってよい。ポスト不織布基材形成後の完全なフィブリル成長を可能とする時間は、雰囲気条件下にて、例えば12時間、24時間、48時間、60時間、72時間、100時間、又は200時間であってもよい。
【0100】
本開示の不織布基材を1つ以上有する吸収性物品を形成する方法もまた、提供される。方法に記載される吸収性物品は、例えば、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁製品、及び/又は衛生ティッシュ製品であってもよい。
【0101】
実施形態では、吸収性物品を形成する方法は、それぞれ繊維の層を1つ以上含む不織布基材を1つ以上提供することを含んでいてもよく、1つ以上の層の中の複数の繊維、又は全ての繊維は、繊維の本体及び/又は表面から外向き、又は半径方向に外向きに延伸する複数のフィブリルを含む。フィブリルは、少なくとも繊維の長手方向中央3分の1から外向きに延伸する。フィブリルは、エステル脂質又はグリセロールトリステアラートなどの溶融添加剤を1つ以上含む、のみから構成される、又は本質的にそれのみから構成される。方法は、吸収性物品に1つ以上の不織布基材を組み込むことを更に含む。ある実施形態では、組み込むことは、吸収性物品のフィルムレスの液体不透過性材料又はバックシートの少なくとも一部を形成することを含む。その他の実施形態では、組み込むことは、吸収性物品のフィルムレスの液体透過性材料又はトップシートの少なくとも一部を形成することを含む。更に別の実施形態では、組み込むことは、吸収性物品のバリアレッグカフ又はガスケットカフの一部、又は例えばコアカバー若しくはダスティング層などの吸収性物品の別の部分を形成することを含む。
【0102】
実施形態では、吸収性物品、パッケージ、又は商品の構成要素又はその一部を形成する方法は、不織布基材の第1の層を生成するために用いられる繊維を形成することを含んでいてもよく、第1の層における繊維は熱可塑性ポリマー及びグリセロールトリステアラートなどのエステル脂質を含む組成物から生成される。方法は、不織布基材の第2の層を生成するために使用される繊維を形成することを含んでいてもよい。第2の層の繊維は、グリセロールトリステアラートなどのエステル脂質を含む組成物から形成されてもされなくてもよいが、少なくとも熱可塑性ポリマーを含んでいてもよい。実施形態では、第1の層はスパンボンド繊維又はメルトブローン繊維を含んでいてもよく、第2の層はスパンボンド繊維、メルトブローン繊維、又は微細繊維を含んでいてもよい。方法は更に、第1及び第2の層を結合して、フィブリルを雰囲気条件下にて所定時間(例えば、6時間〜100時間又は24時間〜300時間)後に少なくともいくつかの繊維から成長させて不織布基材を形成することを含んでいてもよい。フィブリルは、少なくとも繊維の長手方向の長さの中央3分の1よりも外に成長し得る。成長フィブリル工程は、結合工程の前か後かに発生し得る。結合は、カレンダー結合、機械的結合、熱的結合及び/又は当業者に周知のその他の結合タイプであってもよい。方法は、不織布基材の少なくとも第3の層(すなわち、第4の層、第5の層など)を生成するために使用される繊維を形成することを含んでいてもよい。第3の層の繊維はグリセロールトリステアラートなどのエステル脂質を含む組成物から形成されても形成されなくてもよいが、少なくとも熱可塑性ポリマーを含んでいてもよい。結合工程は、第1、第2、及び少なくとも第3の層を結合して不織布基材を形成することを含む。第3、第4、第5などの層は、スパンボンド繊維、メルトブローン繊維、及び/又は微細繊維を含んでいてもよい。
【0103】
別の実施形態では、吸収性物品の構成要素を形成する方法は、それぞれ1つ以上の繊維の層を含む不織布基材を1つ以上提供することと、複数のフィブリルが、ポスト不織布基材形成後雰囲気条件下にて繊維の少なくともいくつか又は全てから外に成長するのを可能にすることと、不織布基材を吸収性物品の1つ以上の構成要素に組み込むことを含んでいてもよい。組み込む工程は、可能にする工程の前か後かに行われ得る。構成要素は、バリアレッグカフ、ガスケットカフ、トップシート若しくは液体透過性材料、バックシート若しくは液体不透過性材料、ウィング、コアカバー、ダスティング層、又はその他の構成要素の1つ以上であってもよい。構成要素はフィルムレスであってよく、又はフィルムと組み合わされてもよい。ポスト不織布基材形成後、又は繊維形成後のフィブリル成長の時間は、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも50時間、少なくとも75時間、少なくとも100時間、又は少なくとも200時間であり得る。
【0104】
他の実施形態では、吸収性物品を形成する方法は、繊維の層を1つ以上含む不織布基材を1つ以上提供することと、雰囲気条件下でのポスト不織布基材形成後に不織布基材の比表面積が少なくとも10%、15%、20%、25%、100%、200%以上、しかし400%、350%、又は300%未満で、10%〜350%、又は20%〜200%であり、具体的には上記で指定される範囲内の全ての1%刻み、及び上記で指定される範囲内に又は上記で指定される範囲によって形成される全ての範囲で、増加するのを可能にすることと、雰囲気条件下でのポスト不織布基材形成後の層の1つ以上からフィブリルを外に成長させることを可能にすることと、不織布基材を吸収性物品の一部に組み込むこととを含んでいてもよい。組み込む工程は、可能にする工程の前又は後のいずれか又は両方に行われ得る。フィブリルを有する繊維は、スパンボンド繊維、メルトブローン繊維、及び/又は微細繊維であってもよい。雰囲気条件下でのポスト不織布基材形成後の比表面積の増加の時間は、少なくとも6時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも60時間、少なくとも100時間、少なくとも200時間であるが、300時間未満であり得、具体的には上記で指定される範囲内の全ての1分刻みであり得る。
【0105】
更に別の実施形態では、吸収性物品を形成する方法は、それぞれ繊維の層を1つ以上含む不織布基材を1つ以上提供する工程と、1つ以上の不織布基材の比表面積が1つ以上の繊維の層の雰囲気条件下でのポスト繊維形成後に少なくとも10%、15%、20%、25%、100%、200%又は300%増加することを可能にする工程と、不織布基材を吸収性物品に組み込む工程と、を含んでいてもよい。組み込む工程は、可能にする工程の前か後かに発生し得る。
【0106】
実施形態では、本開示の不織布基材はフィブリルを含む繊維の層を1つ以上含んでいてもよい。雰囲気条件下でのポストフィブリル成長の不織布基材は、0.3m
2/g〜7m
2/g、0.5m
2/g〜5m
2/g、0.6m
2/g〜3.5m
2/g、0.7m
2/g〜3m
2/g、0.7m
2/g〜1.5m
2/g、0.84m
2/g〜3.5m
2/g、又は1.15m
2/gより高い範囲の比表面積を、具体的には上記で指定される範囲内の全ての0.1m
2/g刻み、及び上記で指定される範囲内に又は上記で指定される範囲によって形成される全ての範囲を含む比表面積を、有していてもよい。
【0107】
図23は、本開示によるエステル脂質溶融添加剤を有する同一の不織布基材の比表面積と比較した、従来の不織布基材(本開示のエステル脂質溶融添加剤無しでの種々のSM及びSMNのサンプル)の比表面積のグラフを示す。図面におけるX軸はフィブリル無しの比表面積を表し、図面におけるY軸はフィブリルを有する比表面積を表す。
図23の本開示の不織布基材は、サンプルのスパンボンド層における組成物の重量に対して10%(図面における三角形)又は15%(図面における円形)のグリセロールトリステアラートを含む組成物から形成され、従来の不織布基材(図面におけるひし形)はその繊維組成物にてグリセロールトリステアラートを含まない。点線は従来の不織布基材の比表面積を表す。グリセロールトリステアラート無しの従来の不織布基材の計算された比表面積は、図面において中空の長方形として図示される。見られるように、スパンレイド繊維の組成物の重量に対して10%又は15の%グリセロールトリステアラートを有する組成物から形成される繊維を含む本開示の不織布基材の比表面積は、その繊維の組成にグリセロールトリステアラートを有さない従来の不織布基材の比表面積よりもずっと高い。図面におけるアステリスクは、それぞれ1gsmのM及び1gsmのNと、スパンボンド繊維を形成するために用いられる組成物の重量に対してグリセロールトリステアラートを10%〜15%有する、13gsm(チャートにおいてより低い値、約0.67)又は19gsm(チャートにおいてより高い値)のスパンボンド層と、を有する、SMN不織布基材のサンプルを表す。これらのサンプルは、本発明の開示の溶融添加剤無しで製造されたものではなく、溶融添加剤を含まないサンプルよりも、20%〜100%高い、想定され、予測された比表面積の範囲にあることが示されている。
【0108】
実施形態では、本開示の不織布基材は、低表面張力液体裏抜け時間(以下の低表面張力液体裏抜け時間試験による)の坪量(以下の坪量試験による)に対する比が、0.35s/gsm〜5.0s/gsm、0.37s/gsm〜5.0s/gsm、0.4s/gsm〜4s/gsm、0.35s/gsm〜15s/gsm、0.5s/gsm〜15s/gsm、1s/gsm〜10s/gsm、2s/gsm〜4s/gsm、0.37s/gsmより多い、0.38s/gsmより多い、又は0.4s/gsmより多く、具体的には上記で指定される範囲内の全ての0.1s/gsm刻み、及び上記で指定される範囲内に又は上記で指定される範囲によって形成される全ての範囲であってもよい。この比率は、不織布基材内により多くのエステル脂質溶融添加剤が存在する場合に高く、不織布基材内により少ないエステル脂質溶融添加剤が存在する場合により低くなり得る。
【0109】
図24は、不織布基材内のグリセロールトリステアラートの坪量(gsm)と比較した、低表面張力液体裏抜け時間(秒)の坪量(gsm)に対する比(秒/gsm)のグラフを図示する。ひし形は、SM又はSMSの不織布基材を表し、長方形はSMNS及びSMNの不織布基材を表す。ひし形によって示されるサンプルは、SM及びSMSの不織布基材サンプルの両方について同一の坪量を有する。長方形によって示されるサンプルは、SMNS及びSMSの不織布基材サンプルの両方について同一の坪量を有する。図面におけるX軸は、試験される不織布基材におけるグリセロールトリステアラートの坪量を表す。図面におけるY軸は、試験される不織布基材の低表面張力液体裏抜け時間(秒)の坪量(gsm)に対する比(秒/gsm)を表す。不織布基材内のグリセロールトリステアラートの約0.5gsm毎について、裏抜けの坪量に対する比に、少なくとも30%の変化がある。場合によっては、不織布基材内のグリセロールトリステアラートの1gsm毎に裏抜けの坪量に対する比に約100%の変化がある。
【0110】
実施形態では、吸収性物品は、1つ以上の繊維層を含む不織布基材を含んでいてもよい。繊維は、繊維の表面から外向きに延伸するフィブリルを含んでいても含んでいなくてもよい。不織布基材は、雰囲気条件下でのポスト不織布基材形成後の所定時間期間にわたって、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、又は、10%〜300%、10%〜250%、又は20%〜200%の範囲であり、具体的には上記で指定される範囲内の全ての0.5%刻み、及び上記で指定される範囲内に又は上記で指定される範囲によって形成される全ての範囲にて、比表面積が増加してもよい。所定時間期間は6時間を超えて200時間未満、又は12時間を超えて120時間未満であってもよい。ポスト不織布基材形成後の所定時間期間もまた、本明細書中に記載するのと同様であってもよい。
【0111】
いかなる特定の理論に縛られることを意図しないが、
図25は、スパンボンド繊維を製造するのに用いられる組成物の重量に対して15%のグリセロールトリステアラートを有する本開示の不織布基材の比表面積(m
2/g)の、時間経過の増加に対する例示的なグラフを図示する。この例では、メルトブローン又は微細繊維においてグリセロールトリステアラートは存在しない。
図25に図示される不織布基材は、13gsmのSMN不織布基材である。比表面積は、ポスト繊維形成及び/又は雰囲気条件下でのポスト不織布基材形成で増大する。
【0112】
図26を参照すると、本開示の種々の不織布基材について、低表面張力流体液体裏抜け時間(秒)がグラフ化されている。本開示の不織布基材は全て、13gsmのSMN不織布基材である。アステリスクは、層においてGTSを有する層を示す。S層の後に続くアステリスクは、フィブリルを有するスパンボンド繊維が組成物の重量に対して約10%のGTSを含む組成物から形成されることを示す一方で、N層の後に続くアステリスクは、ナノ繊維が組成物の重量に対して約1%のGTSを含む組成物から形成されることを示す。
図26から見ることができるように、グリセロールトリステアラート、及びそれによりフィブリルを含む層が多ければ多いほど、低表面張力裏抜け時間は長くなる。比較のために、従来の13gsmのSMN不織布基材の裏抜け時間もまた、
図26に図示される。
【0113】
図27を参照すると、繊維を形成するために使用される組成物の重量に対するグリセロールトリステアラートの割合が増加すると、本開示の不織布基材における秒単位での低表面張力液体裏抜け時間(Y軸)が増加する。
図27のサンプルは、約20マイクロメーターの繊維を有する50gsmのスパンボンド基材である。
【0114】
図28を参照すると、繊維を形成するために使用される組成物の重量に対するグリセロールトリステアラートの割合(X軸)、及び不織布基材の坪量が増加すると、本開示の不織布基材における秒単位での低表面張力液体裏抜け時間(Y軸)が増加する。
図28のサンプルは、13gsmの坪量を有するスパンボンド不織布基材(図面における底の線)、16gsmの坪量を有するスパンボンド不織布基材(図面における中間線)、及び19gsmの坪量を有するスパンボンド不織布基材(図面における上の線)を図示する。
図28のグラフで見えるように、繊維を形成するのに使用される組成物の重量に対するグリセロールトリステアラートの割合が増加し、不織布基材の坪量が増加すると、裏抜け時間が著しく増加する。
【0115】
図29を参照すると、繊維直径が増加すると、本開示の不織布基材の秒単位での低表面張力液体裏抜け時間(Y軸)は低下する。全てのサンプルは、繊維を形成するために使用される組成物の重量に対して15%のグリセロールトリステアラートを有する。
図29のサンプルは50gsmのスパンボンド基材である。
【0116】
図30を参照すると、不織布基材により多くの微細繊維が添加される、及び/又は不織布基材内のグリセロールトリステアラートの坪量が増加する(X軸)と、本開示の不織布基材の秒単位での低表面張力液体裏抜け時間(Y軸)は増加する。グラフ内の上線は、組成物の重量に対して10%のグリセロールトリステアラートを有する組成物から形成されるスパンボンド/メルトブローン繊維、及びグリセロールトリステアラートを有さない1gsmの微細繊維を有する不織布基材(SMN)による線である。グラフ内の底線は、組成物の重量に対して10%のグリセロールトリステアラートを有する組成物から形成されるスパンボンド/メルトブローン繊維を有し、微細繊維を有さない(SM)不織布基材からである。上線は、微細繊維を1gsm追加したことにより、底線に比べて坪量を1gsm多く有する。
【0117】
実施形態では、本開示の不織布基材はそれぞれ複数の繊維を含む層を1つ以上含み、少なくともいくつかの繊維又は全ての繊維は、その表面から外向きに又は半径方向に外向きに延伸するフィブリルを含む。不織布基材は、吸収性物品締結システムにおける受容部品にて用いられてもよい。受容部品は締結システム70の締結タブ又は別の締結タブ若しくは部材を受けるように構成されてもよい。実施形態では、不織布基材は、1つ以上の締結タブ又は部材について、不織布ランディング区域の全て又は一部を形成してもよい。締結タブ又は部材は不織布基材に係合するフック(例えば、フック・ループ式締結具の一方)を有していてもよい。従来の不織布基材に比べてポスト不織布基材形成後の不織布基材における比表面積の増加によって、及びフィブリルに起因して、本開示の不織布基材は不織布基材により良いフックの付着を提供してもよい。例示的な好適な不織布ランディング区域結合パターン及びその他の本開示の不織布基材についての検討は、Hornらへの米国特許番号第7,895,718号、Hornらへの同第7,789,870号、並びにAshrafらへの米国特許出願第13/538,140号、Ashrafらへの同第13/538,177号、及びRaneらへの同第13/538,178号で見つけることができる。
【0118】
液性透過性層(例えば、トップシート)として使用されるときは、本開示の不織布基材は従来の不織布基材よりもより少なく液体、液状BM、又は経血を保持する傾向を有していてもよく、したがってその下にある吸収性コアに完全に排出され、より綺麗に見えて綺麗に感じるトップシートを残す。液体透過性層として使用可能な例示的な不織布基材は、例えば比較的高い厚さ及び空隙率を有するスパンレイド構造などの孔無しの低密度構造、又は有孔不織布基材であってもよい。
【0119】
フィブリルを含む繊維を含む層を少なくとも1つ有する本開示の不織布基材は、従来の不織布基材よりも柔らかい又は硬い、又は同じ柔らかさを有するように、並びに/あるいは、従来の不織布基材と比較してより粗い、より滑らか、又は同一の触覚特性を有するように構成されていてもよい。不織布基材の柔らかさ、硬さ、及び/又は触覚特性は、例えば、繊維を形成するために使用される組成物に存在するエステル脂質のタイプ及び量、並びにフィブリルの長さによって変動してもよい。柔らかさ、硬さ、及び/又は質感はまた、不織布基材内のどこにフィブリルを有する繊維の1つ以上の層が配置されるかによっても変動し得る。
【0120】
ある実施形態では、本開示の不織布基材の1つ以上が、種々の流体(すなわち、液体(例えば、水)又は気体(例えば、空気))について、ろ過媒体、フィルタ、又はその一部として用いられてもよい。フィブリル、及びそれによる繊維の増加した表面積は、流体により多くの微粒子又は望ましくない材料をろ過して取り出すことで、より良い及び/又はより効率的な流体のろ過を可能とし得る。このことは、フィルタ及び/又はろ過媒体の有効寿命を増加させ得る。繊維を生成するために使用される、組成物の重量に対するエステル脂質の濃度は、より効率的なろ過及び/又はフィルタ並びに/若しくはろ過媒体の寿命を更に促進するために増加されてもよい。
【0121】
実施形態では、フィブリルは成長元の繊維とは異なる色を有していてもよい。別の方法で述べると、フィブリルは第1の色を有していてもよく、成長元の繊維は繊維の非フィブリル領域にて第2の色を有していてもよい。第1の色は第2の色と異なっていてもよい(例えば、非フィブリル領域における繊維は白色でフィブリルは青色であってもよく、又は非フィブリル領域における繊維は水色でフィブリルは濃い青であってもよい)。この色のバリエーションは、顔料又は染料などの着色料を、繊維を形成するために用いられる組成物に混合される前にエステル脂質に加えることで実現され得る。エステル脂質が繊維から成長するとき、それらは成長元の繊維とは異なる色を有し、よってフィブリルと成長元の繊維との間で色対比を生成する。実施形態では、フィブリルを含む繊維を含む不織布基材の層は、時間(すなわち、フィブリルが成長する時間期間又はその一部)の経過に伴って、成長元の繊維に対するフィブリルの対照的な色に起因して色が変化するように見受けられる場合がある。繊維の異なる層は、同一の不織布基材内に、異なって色づけられたフィブリル及び/又は繊維を有していてもよい。実施形態では、エステル脂質に添加される着色料は、尿、経血、液状BM、その他の体液、又はその他の流体(例えば、水)に溶解可能であってもよい。種々の実施形態では、フィブリルにおける溶解される着色料は、例えば、吸収性物品における湿り度インジケータとして用いられてもよい。そのフィブリルと異なる色を有する繊維は、拭取り用品、又は吸収性物品などの商品のいかなる部分にて使用されてもよい。
【0122】
本開示の不織布基材は、任意の好適な商品の少なくとも一部、又は全てを形成するために使用されてもよい。例示的な商品の例としては、湿性拭取り用品、乳児用湿性拭取り用品、乾性拭取り用品、顔用拭取り用品、メーク落とし/適用拭取り用品、医療用拭取り用品、絆創膏、及び包帯、スクラビング拭取り用品、ショップタオル、タオル、洗浄用拭取り用品、衛生拭取り用品、Swiffer(登録商標)などの洗浄基材、及び任意のその他の拭取り用品並びに基材(本明細書では合わせて「拭取り用品」と参照する)が挙げられる。例示的な拭取り用品200を
図31に図示する。拭取り用品は、例えばフィブリルの結果として、よりよい吸収性、スクラビング能力、微粒子捕捉、微粒子保持、汚れの引き付け、汚れの保持、及び/又は塗布能力などによって不織布基材の繊維の少なくとも1層内にて、フィブリルから利益を得ることができる。フィブリルは、汚れ粒子又はその他の物質をひきつける助けとなり得るワックス様感触又は質感を有していてもよいエステル脂質又はその他の溶融添加剤から形成されてもよい。
【0123】
拭取り用品、又は拭取り用品のフィブリルを有する1つ以上の不織布基材は、組成物を含んでいてもよい。組成物は不織布基材の繊維に塗布されてもよく、及び/又は少なくともフィブリルに少なくとも部分的に含まれるかそれに塗布される。組成物は、水、芳香剤、石鹸、化粧品、スキンケア組成物、ローション、磨き剤、洗浄組成物、その他の好適な組成物、及び/又はその組み合わせを含んでいてもよい。組成物はフィブリル上にて及び/又はフィブリルに塗布されるときに、液状、半液状、ペースト状、又は固形状であってもよい。組成物が水などの水分を含む場合、拭取り用品は、拭取り用品の乾燥重量に相対的な、又は拭取り用品内の不織布基材の乾燥重量に相対的な水分の重量が100%〜600%、150%〜550%、又は200%〜500%で、具体的には上記で指定される範囲内の全ての1%刻み、及び上記で指定される範囲内に又は上記で指定される範囲によって形成される全ての範囲で有していてもよい。不織布基材の拭取り用品は、拭取り用品の全重量に相対的な、又は不織布基材の全重量に相対的な、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、75%、100%、150%、200%、300%以上の組成物の重量を有していてもよい。いかなる理論に縛られる意図なく、フィブリルを含む繊維の層を1つ以上有する不織布基材は、組成物に対してより良い親和性及び/又は不織布基材に対してより組成物を保持する能力を有するように考えられる。したがって、フィブリル及びフィブリルを含む不織布層は、フィブリルを有さない従来の不織布基材と比較して組成物のより多い量を吸収して安定的に保持するように考えられる。更に、フィブリルは保管中及び使用前における複数の拭取り用品の堆積体における層別化を、フィブリルを有さない従来の不織布基材よりも良く阻止し得る(即ち、堆積体の一番上の拭取り用品の乾燥、及び堆積体の底の拭取り用品の湿潤化を防止する)。
【0124】
実施形態では、組成物を含む少なくともいくつかのフィブリルは、洗浄される表面又は体表面などの表面に対して拭取り用品がこすられると、繊維から取り外し可能又は分離可能であってもよい。フィブリルは繊維から分離してもよく、それによって組成物を表面に塗布することができる。このような分離は、拭取り用品に与えられた摩擦力に起因して、表面上を移動されたときに発生し得る。例示的な実施形態では、組成物を含むフィブリルは化粧水を塗布するための拭取り用品に形成されてもよい。使用者が拭取り用品を体表面の上で動かすと、フィブリルは繊維から分離して体表面に化粧水を塗布してもよい。その他の例も本開示内に含まれる。
【0125】
実施形態では、フィブリルを含む繊維を含む1つ以上の層を含む本開示の不織布基材は、従来の不織布基材と比べて、不織布基材の音響緩和特性を改善させ得る。なぜなら、音波が不織布基材を通り抜けるときに、フィブリルがその散乱を増加させるからである。更に、本開示の不織布基材は、従来の不織布基材よりも、より良いマスキング又は不透明度特性を有していてもよい。なぜなら、光波が不織布基材を通り抜けるときにフィブリルが光波の散乱を引き起こすからである。
【0126】
本開示の不織布基材は包装材料として使用されてもよく、又はパッケージの少なくとも一部、又は全てを形成するために使用されてもよい。パッケージは任意の好適な構成、例えばパッケージ内に1つ以上の商品を入れた構成又はその他の構成をとってもよい。本明細書に用いられる包装材料とは、生理用ナプキン又は吸収性物品上の接着剤をカバーする剥離ライナー、又は、販売若しくは使用前に消費者製品上に載置される、取り付けられる、若しくはそれと一緒に形成される、任意のその他の構成要素も、その構成要素がパッケージの外側部分を形成しない場合でも、含む。実施形態では、不織布基材は少なくとも外側部分、内側部分、又はパッケージのその他の部分を形成するのに使用されてもよい。
図32を参照すると、パッケージ300は1つ以上の商品302を含み、本開示の不織布基材304によって少なくとも部分的に形成されてもよい。商品302はまた、本開示の不織布基材から形成される包装材料を有していてもよい。パッケージ300内の例示的な商品302を図示するために、パッケージ300の一部は
図32では切り落とされている。本開示の不織布基材の疎水性の性質及び低表面張力流体裏抜け時間の高さは、パッケージ内への水分潤滑に対する良好な耐性を提供し、したがって、商品を乾燥した、又は実質的に乾燥した状態で保ちながら、パッケージの通気性を提供する。不織布基材はまた、フィルムなどのその他の材料と組み合わせて、パッケージ又は包装材料を形成してもよい。1つの典型的な商品用の包装材料はフィルムである。本開示の不織布基材はフィルムを使用しないか、あまりフィルムを使用しないでもよいため、したがってコストが削減される。不織布基材はまた、フィルムよりもより柔らかい包装材料を提供してもよい。
【0127】
実施形態では、本開示の不織布基材のフィブリルを有する繊維におけるエステル脂質はエステル脂質の液滴を含まないでもよい。「エステル脂質の液滴を含まない」とは、エステル脂質(例えば、GTS)が、実質的に均質に、又は均質に、繊維を形成するために用いられる組成物全体に、したがって、組成物から形成される繊維全体に、非常に微細な微粒子(即ち、300nm未満、200nm未満、又は100nm未満)で分布され、繊維においてエステル脂質のポケットを形成しないことを意味する。本開示のエステル脂質を含む繊維の断面図では、SEMを用いて8000倍の倍率で液滴は見られなかった(例えば、8,000倍の倍率の
図34を参照)。本明細書で用いられる液滴とは、少なくとも300nmの最小寸法を有し、存在すれば、8,000倍の倍率で繊維のSEMS断面図にて見える。更に、エステル脂質が以下に記載の重量減少試験を使用して溶解されるとき、繊維はその中に空隙容量を残さない。空隙容量とは、本明細書で用いられるように、最小寸法が300nmであり、SEMを使用して繊維の8,000倍の倍率で見ることができる。本開示の繊維はこのような液滴を有さず、したがって、重量減少試験の後の繊維に空隙容量は形成されない。
【0128】
図33及び
図34は、繊維の重量減少試験実施後(例えば、繊維において、GTSなどのエステル脂質が溶融された後)の断面図を示す。
図33及び
図34における繊維は、S層を形成するために使用される組成物の重量に対して約10%のグリセロールトリステアラートを有する18gsmのSMNS材料であり、M層にN層を足すと、GTSが溶解された後に2gsmの坪量を有する。図示されるように、繊維内にてエステル脂質が実質的に均一、又は均一に分配されていることに起因して、繊維に空隙容量は存在しない。空隙容量は、繊維の中にエステル脂質の液滴が存在していれば、繊維内に形成されていたであろう。本開示の繊維が液滴フリーであるため、重量減少試験実施後の繊維に空隙容量は存在しない。
【0129】
本明細書中に記載の吸収性物品、パッケージ、商品の構成要素は、2007年9月20日に発行されたHirdらへの米国特許出願第2007/0219521A1号、2011年6月16日に発行されたHirdらへの米国特許出願第2011/0139658A1号、2011年6月16日に発行されたHirdらへの米国特許出願第2011/0139657A1号、2011年6月23日に発行されたHirdらへの米国特許出願第2011/0152812A1号、2011年6月16日に発行されたHirdらへの米国特許出願第2011/0139662A1号、及び2011年6月16日に発行されたHirdらへの米国特許出願第2011/0139659A1号に記載されるような、生物由来の成分を少なくとも部分的に含んでいてもよい。これらの構成要素としては、トップシート不織布、バックシートフィルム、バックシート不織布、サイドパネル不織布、バリアレッグカフ不織布、高吸収性物質、不織布捕捉層、コアラップ不織布、接着剤、締結具フック、並びに締結具ランディングゾーン不織布、及びフィルムベースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
実施形態では、使い捨て吸収性物品構成要素、商品構成要素、又はパッケージ用構成要素は、ASTM D6866−10、方法Bを使用して、約10%〜約100%の生物系含有量値を、別の実施形態では、ASTM D6866−10、方法Bを使用して、約25%〜約75%、そして更に別の実施形態では、約50%〜約60%を含む。
【0131】
任意の吸収性物品構成要素、パッケージ構成要素、又は商品構成要素の生物由来成分を定量するためのASTM D6866−10の方法論を適用するには、吸収性物品構成要素、パッケージ構成要素、商品構成要素の代表的なサンプルを試験用に必ず取得しなければならない。実施形態では、吸収性物品構成要素、パッケージ構成要素、又は商品構成要素は、周知の粉砕方法(例えば、Wiley(登録商標)粉砕機)を用いて約20メッシュ未満の微粒子に細かく砕き、ランダムに混合した粒子から得た好適な質量の代表的なサンプルとする。
【0132】
図35は、質量平均繊維直径(X軸)対比表面積(Y軸)の例示的なグラフである。三角形は、繊維内にGTSが存在しない、種々のS、SM、SMS、SMNS、及びM不織布基材サンプルの計算された理論上の比表面積を表す。「X」は三角での不織布基材サンプルの計算された理論上の比表面積に、比表面積における計算された20%増分を加えたものを表す。この比表面積における20%の増分は、スパンボンド繊維が組成物の重量に対して約10%〜約15%のGTSを含む組成物から形成されることを表す。繊維が5未満の質量平均繊維直径を有する場合は、これらのサンプルはスパンボンド層を有さないために約10%〜約15%のGTSがメルトブローン層に加えられる。ひし形は、いくつかの繊維はGTSを含む組成物から形成される、繊維を有する種々のSMN不織布基材のサンプルを表す。S層は、組成物の重量に対して約10%〜約15%のGTSを含む組成物から形成され、M又はN層の1つは組成物の重量に対して1%のGTSを含む組成物から形成される。四角は、いかなる繊維において、いかなるGTSを含まないSMN不織布基材の種々のサンプルを表す。質量平均繊維直径はμmで記載され、比表面積はm
2/gで記載される。8umを超える質量平均繊維直径については、比表面積は約1.6m
2/g以上である。10umを超える質量平均繊維直径については、比表面積は約1.2m
2/g以上である。12umを超える質量平均繊維直径については、比表面積は約0.8m
2/g以上である。種々の実施形態では、本開示の繊維の比表面積は約0.5m
2/g〜約10.0m
2/g、約0.7m
2/g〜約8.0m
2/g、又は更に約0.8m
2/g〜約6.0m
2/gの範囲内、具体的には上記で指定される範囲内の全ての0.1m
2/g刻み、及び上記で指定される範囲内に又は上記で指定される範囲によって形成される全ての範囲内であってもよい。
【0133】
実施形態では、吸収性物品、包装材料、及び/又は拭取り用品は、それぞれ複数の繊維を含む不織布基材を1つ以上含み、少なくともいくつかの繊維は8μmを超える質量平均繊維直径及び少なくとも1.6m
2/gの比表面積を有していてもよい。実施形態では、吸収性物品、包装材料、及び/又は拭取り用品は、それぞれ複数の繊維を含む不織布基材を1つ以上含み、少なくともいくつかの繊維は10μmを超える質量平均繊維直径及び少なくとも1.2m
2/gの比表面積を有していてもよい。実施形態では、吸収性物品、包装材料、及び/又は拭取り用品は、それぞれ複数の繊維を含む不織布基材を1つ以上含み、少なくともいくつかの繊維は12μmを超える質量平均繊維直径及び少なくとも0.8m
2/gの比表面積を有していてもよい。吸収性物品は、液体透過性材料、液体不透過性材料、及び液体透過性材料と液体不透過性材料との中間に少なくとも部分的に配置される吸収性コアを含んでいてもよい。
【0134】
実施形態では、吸収性物品は、液体透過性材料、液体不透過性材料、及び液体透過性材料と液体不透過性材料との中間に少なくとも部分的に配置される吸収性コアを含んでいてもよい。吸収性物品は更に、繊維の層を1つ以上含む不織布基材を含んでいてもよい。複数の繊維はそれぞれ、繊維の表面から外向きに延伸する複数のフィブリルを含んでいてもよい。複数のフィブリルはエステル脂質を含んでいてもよい。液体不透過性材料の一部又は全てが不織布基材を含んでいてもよく、液体不透過性材料はフィルムを含んでいなくてもよい。液体透過性材料の一部又は全てが不織布基材を含んでいてもよく、フィルムを含んでいなくてもよい。吸収性物品は、1つ以上のバリアレッグカフを含んでいてもよい。1つ以上のバリアレグカフの一部又は全ては、不織布基材を含んでいてもよく、バリアレグカフ又はその一部は、フィルムを含んでいなくてもよい。複数のフィブリルはグリセロールトリステアラートを含んでいてもよい。グリセロールトリステアラートは35℃を超えるか、40℃〜150℃の範囲の融解温度を有していてもよい。複数の繊維は、ポリオレフィン及びエステル脂質を含む組成物から形成されてもよい。組成物は、組成物の重量に対して、エステル脂質を少なくとも11%含んでいてもよい。繊維の表面からフィブリルの自由端までのフィブリルの平均長は、0.5μm〜20μmの範囲であってもよい。フィブリルの平均水力直径は100nm〜800nmの範囲内であってもよい。繊維の層はスパンボンド繊維、メルトブローン繊維、及び/又は微細繊維を含んでいてもよい。少なくともいくつかのフィブリルは、少なくともいくつかの繊維の長手方向中央3分の1において、繊維の表面から半径方向に外向きに延伸していてもよい。複数のフィブリルを含む繊維はエステル脂質の液滴を含んでいなくてもよい。繊維の層は複数の結合を含んでいてもよく、それぞれの結合は結合領域を含む。複数のフィブリルの少なくともいくつかは、結合領域の少なくとも1つの表面から外向きに延伸していてもよい。不織布基材は第2の繊維の層を含んでいてもよい。第2の繊維の層の繊維は、フィブリルを実質的に含まない、又は含まないでよい、あるいは複数のフィブリルを含んでいてもよい。実施例では、繊維の層はスパンボンド繊維及び/又はメルトブローン繊維を含んでいてもよく、第2の繊維の層はメルトブローン繊維及び/又は微細繊維を含んでいてもよい。フィブリルは第1の色(例えば、青、黄色)を有していてもよく、複数の繊維は繊維の非フィブリル領域において第2の色(例えば、水色、緑、赤、緑青)を有していてもよい。第1色及び第2色は、同一であっても異なっていてもよい。
【0135】
試験
液体の表面張力
液体の表面張力は、空気−液体界面で白金ウィルヘルミープレートに及ぼされる力を測定することによって決定される。Kruss張力計K11又は同等物を使用する(Kruss USA(www.kruss.de)から入手可能)。試験は、23±2℃、及び50±5%の相対湿度の実験室環境において実施される。試験液体を製造業者所定の容器内に設置し、表面張力を器具及びそのソフトウェアで記録する。
【0136】
坪量試験
9.00cm
2、即ち、1.0センチの幅に9.0センチの長さの大きな不織布基材のピースを使用する。サンプルは、拭取り用品又は吸収性物品などの消費者製品、あるいはその包装材料から切り取られてもよい。サンプルは乾燥していなければならず、糊又は埃などのその他の材料を含まない状態でなければならない。サンプルを、23℃(±2℃)、約50%(±5%)の相対湿度で、2時間、平衡状態に達するまで調整する。切断された不織布基材の断片の質量が、0.0001gまでの精度の秤で測定される。結果として得られた質量を試料面積で割って、g/m
2(gsm)単位の結果を得る。少なくとも、20個の同一の消費者製品又はその包装材料から得られる20個の試料について、同様の手順を繰り返す。消費者製品又はその包装材料が十分に大きければ、それぞれから2つ以上の試料を取得してもよい。サンプルの一例は、吸収性物品のトップシートの一部である。局部坪量変動試験が行われる場合、平均坪量を計算及び記録するために、これらの同じサンプル及びデータが使用される。
【0137】
繊維直径及びデニール試験
走査型電子顕微鏡(SEM)及び画像分析ソフトウェアを使用して、不織布基材のサンプルにおける繊維の直径が判定される。繊維が測定のために適切に拡大されるように、500〜10,000倍の倍率を選択する。電子ビームにおける繊維の帯電及び振動を避けるために、サンプルを金又はパラジウム化合物でスパッタする。手作業で繊維直径を測定する。マウス及びカーソルツールを用いて、無作為に選択された繊維の縁部を探し、その後、その幅(すなわち、その点において繊維方向に対して垂直に)にわたって繊維の他方の縁部まで測定する。非円形繊維については、断面積を画像解析ソフトウェアを使用して測定する。次に、有効直径を、測定面積が円のものであったかのように直径を計算することで計算する。目盛り付きの較正された画像分析ツールは、マイクロメートル(μm)単位の実際の読取値を得るためにスケーリングを提供する。したがって、いくつかの繊維は、SEMを使用して不織布基材のサンプル全体にわたって無作為に選択される。不織布基材から少なくとも2つの試料が、このように切断及び試験される。統計学的分析のために、そのような測定を少なくとも100回行い、次いで全てのデータを記録する。記録したデータを使用して繊維直径の平均(平均値)、繊維直径の標準偏差、及び繊維直径の中央値を計算する。別の有用な統計値は、ある特定の上限未満の繊維の集団の量の算出である。この統計値を決定するために、繊維直径のいくつの結果が上限未満であるかを計数するようにソフトウェアをプログラミングし、かつその計数値(データの総数で割り、100%を乗じた値)を、例えば、直径1マイクロメートル未満の百分率又は%サブマイクロメートル等の上限未満の百分率として、百分率で報告する。
【0138】
結果をデニール単位で報告する場合、以下の計算を行う。
デニール単位の繊維直径=断面積(m
2単位)×密度(kg/m
3単位)×9000m×1000g/kg。
【0139】
断面積は、π
*直径
2/4である。ポリプロピレンの密度は、例えば、910kg/m
3でとられてもよい。
【0140】
デニール単位の繊維直径が与えられれば、メートル(又はマイクロメートル)単位の物理的円形繊維直径がこれらの関係から計算される。逆もまた同様である。個別の円形繊維の測定される直径(マイクロメートル)をd
iで表す。
【0141】
繊維が非円形の断面を有する場合、繊維の直径の測定は、上述のように、水力直径として判定され、またそれと等しく設定される。
【0142】
低表面張力流体裏抜け時間試験
低表面張力流体裏抜け時間試験を用いて、規定の速度で排出される低表面張力流体の所定量が、参照吸収性パッド上に設置される不織布基材のサンプルに完全に浸透する時間を決定する。既定値として、これは、試験流体の表面張力の理由から、32mN/m低表面張力流体裏抜け試験とも呼ばれており、それぞれの試験を、単に相互の上に置かれた不織布基材サンプルの2つの層上で行う。
【0143】
この試験において、参照吸収性パッドは、5層のAhlstromグレード989濾紙(10cm×10cm)であり、試験流体は、32mN/m低表面張力流体である。
【0144】
範囲
この試験は、例えば、尿と便通の組み合わせ又は軟便等の、低表面張力流体に対してバリアを設ける意図を有して、不織布基材の低表面張力流体裏抜け時間性能(秒単位)を特徴付けるように設計される。
【0145】
機器
Lister裏抜け試験機:この試験機は、EDANA ERT 153.0−02の6章に記載されるものと同様であり、以下の例外を有する:裏抜けプレートは、10.0mmの長さ及び1.2mmのスロット幅を有する細いスロットを備え、60°の角度の付いた3つのスロットの星型開口部を有する。開口2000は
図36に図示される。この装置は、Lenzing Instruments(Austria)及びW.Fritz Metzger Corp(USA)から入手可能である。ユニットは、100秒後にタイムアウトしないように設定される必要がある。
【0146】
基準吸収性パッド:10cm×10cm面積において、Ahlstrom等級989ろ過紙が使用される。平均裏抜け時間は、32mN/m試験流体を用いて、ウェブサンプル無しで、5層の濾紙において3.3+0.5秒である。濾紙を、Empirical Manufacturing Company,Inc.(EMC)(7616 Reinhold Drive Cincinnati,OH 45237)から購入することができる。
【0147】
試験流体:32mN/m表面張力流体は、蒸留水及び0.42+/−0.001g/L Triton−X 100で調製される。全ての流体を雰囲気条件で保つ。
【0148】
電極−すすぎ液:0.9%塩化ナトリウム(CAS 7647−14−5)水溶液(9g NaCl/1L蒸留水)が使用される。
【0149】
試験手順
−表面張力が本明細書に記載の液体試験の表面張力に従って32mN/m+/−1mN/mであることを確認する。さもなければ、試験流体を再作製する。
−0.9%のNaCl水性電極すすぎ液体を調製する。
−以下のように5層を32mN/m試験流体で試験することによって、参照吸収性パッドの裏抜け目標(3.3+/−0.5秒)が満たされていることを確認する。
−裏抜け試験装置のベースプレート上に5プライの基準吸収性パッドを綺麗に積み重ねる。
−裏抜けプレートを5プライの上に設置し、プレートの中心が紙の中心上にあることを確認する。分配漏斗の下でこのアセンブリを中央に置く。
−裏抜け試験装置の上部のアセンブリが予め設定された停止点まで下げられていることを確認する。
−電極がタイマーに接続されていることを確認する。
−裏抜け試験装置を「オン」にし、タイマーをゼロにする。
−5mLの固定容積ピペット及び先端部を用いて、5mLの32mN/m試験流体を漏斗に分配する。
−(例えば、ユニットのボタンを押すことによって)漏斗のマグネチックバルブを開放して、5mLの試験流体を排出する。流体の最初の流れは、電気回路を完成させ、タイマーを起動する。流体が参照吸収性パッドに浸透し、かつ裏抜けプレートの電極のレベル未満に減少したときに、タイマーは停止する。
−電子タイマーに示される時間を記録する。
−試験アセンブリを除去し、使用した参照吸収性パッドを廃棄する。電極を0.9%のNaCl水溶液ですすいで、それらを次の試験のために「準備」する。電極の上の凹所及び裏抜けプレートの裏を乾燥させ、かつ分配器の出口オリフィス及び濾紙が置かれる下部プレート又はテーブル表面を拭き取る。
−参照吸収性パッドの裏抜け目標が満たされていることを確認するために、この試験手順を最低3回繰り返す。目標が満たされていない場合、基準吸収性パッドのスペックから外れている可能性があり、使用しない。
−参照吸収性パッド性能が検証された後に、不織布基材サンプルを試験し得る。
−必要数の不織布基材試料を切り取る。ロールからサンプル採取される不織布基材について、サンプルを10cm×10cmのサイズの正方形試料に切断する。消費者製品からサンプル採取される不織布基材について、サンプルを15×15mmの正方形試料に切断する。流体は、裏抜けプレートから不織布基材試料上に流動する。不織布基材試料の縁部のみに触れる。
−裏抜け試験装置のベースプレート上に5プライの基準吸収性パッドを綺麗に積み重ねる。
−不織布基材試料を5層の濾紙の上に設置する。この試験方法では、2層の不織布基材試料を使用する。不織布基材サンプルに側面がつけられる(即ち、どの側面が特定の方向に向くかに基づいて異なる層構成を有する)場合、(吸収性製品に対して)着用者に向かう側面が、本試験において上方を向く。
−裏抜けプレートを不織布基材試料上に配置し、裏抜けプレートの中央が、不織布基材試料の中央の上に配置されていることを確認する。分配漏斗の下でこのアセンブリを中央に置く。
−裏抜け試験装置の上部のアセンブリが予め設定された停止点まで下げられていることを確認する。
−電極がタイマーに接続されていることを確認する。裏抜け試験装置を「オン」にし、タイマーをゼロにする。
−上述のように起動する。
−必要数の不織布基材試料に対してこの手順を繰り返す。最低5個のそれぞれ異なる不織布基材サンプルの試料が必要とされる。平均値は、秒単位の32mN/m低表面張力裏抜け時間である。
【0150】
比表面積
本開示の不織布基材の比表面積は、Micromeritic社のASAP 2420又は同等の機器を使用してクリプトンガス吸着によって、連続的飽和蒸気圧(Po)法(ASTM D−6556−10に従って)を用いてBrunauer、Emmett、及びTellerの原則及び計算に従って、自動脱気及び熱性修正を含むKr−BET気体吸収法で決定する。なお、方法が推奨するように試料は300℃で脱気するべきではなく、代わりに室温で脱気するべきである。比表面積はm
2/gで報告するべきである。
【0151】
不織布基材のサンプルを取得する
各表面積測定は、本開示の不織布基材の合計1gの試料から取られる。材料を1g得るには、吸収性物品、パッケージ、又は拭取り用品が試験されているかによって、1つ以上の吸収性物品、1つ以上のパッケージ、又は1つ以上の拭取り用品から複数の試料を取ってもよい。湿式拭取り用品試料は、40℃にて2時間にわたって、又は軽い圧力下にて試料から流体が漏れなくなるまで乾燥される。試料は、(吸収性物品、パッケージ、又は拭取り用品が試験されているかによって)吸収性物品、パッケージ、又は拭取り用品から、接着剤を有さないか、実質的に接着剤を有さない領域から、ハサミを用いて切断される。次いで、接着剤が紫外線の下で光るため、紫外線蛍光分析キャビネットを試料に用いて接着剤の存在を検出する。接着剤の存在を検出するその他の方法もまた用いてもよい。試料が接着剤を有さないようにするために、接着剤の存在を示す試料の領域は試料から切除される。これによって、試料は上記の比表面積法を用いて試験可能となる。
【0152】
不織布バリアカフのサンプルを取得する
それぞれの表面積測定は吸収性物品から得られる不織布バリアカフ(例えば、50、51)の試料から生成されて、1gの合計サンプル質量に到達する。試料は、吸収性物品に直接的に結合しない領域内(例えば、
図3の領域11)のバリアカフから、ハサミを用いて切断される。次に、接着剤が紫外線の下で光るため、紫外線蛍光分析キャビネットを用いて、接着剤の存在を検出する。接着剤の存在を検出するその他の方法もまた用いてもよい。試料が接着剤を含まないように、接着剤の存在を示す試料の領域は試料から切除される。これによって、試料は上記の比表面積法を用いて試験可能となる。
【0153】
フィブリル長さ測定試験
1)Image Jソフトウェアなどのソフトウェアプログラムを用いて、不織布基材のSEM画像のレジェンド(legend)の長さ内のピクセルの数を、直線(即ち、長さを有して太さを有さない線)を用いて測定する。線の長さと、レジェンドに対応するミクロンの数を記録する。
2)フィブリルを選び、その自由端から繊維から延び始める端(視覚できる限り)までの長さを測定する。線の長さを記録する。
3)この長さをピクセル単位でのレジェンドの長さで割って、次にレジェンドのミクロン単位での長さで掛けることで、フィブリルの長さをミクロン単位で取得する。
【0154】
フィブリルが長くて曲線状であれば、このようなフィブリルの長さは折れ線近似で求める。
【0155】
質量平均直径
繊維の質量平均直径は以下のように計算される。
【0156】
【数1】
式中、
サンプル中の繊維は、円形/円筒形であると仮定され、
d
i=サンプル中のi番目の繊維の測定された直径、
∂x=その直径が測定される繊維の極微長手方向区間、サンプル中の全ての繊維において同一、
m
i=試料中のi番目の繊維の質量、
n=その直径が測定されるサンプル中の繊維の数、
ρ=サンプル中の繊維の密度、サンプル中の全ての繊維において同一、
V
i=試料中のi番目の繊維の体積。
【0157】
質量平均繊維直径はμmで報告されるべきである。
【0158】
重量減少試験
重量減少試験は、本開示の不織布基材におけるエステル脂質(例えば、GTS)の量を測定するために使用される。最も幅の狭いサンプル寸法が1mm以下である不織布基材の1つ以上のサンプルを、還流フラスコシステムを使用して、アセトン100gに対して不織布基材サンプル1gの比率で、アセトンに入れる。まず、サンプルを還流フラスコに入れる前に量り、次にサンプルとアセトンの混合物を20時間にわたって60℃に加熱する。次にサンプルを除去して60分間空気乾燥し、サンプルの最終重量を測定する。サンプルにおけるエステル脂質の重量割合を計算する式は以下のとおりである:
重量%エステル脂質=([サンプルの初期質量−サンプルの最終質量]/[サンプルの初期質量])×100%。
【0159】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0160】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願書類を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示されているか若しくは「特許請求の範囲」に記載されているいずれかの発明に関する先行技術であることを認めるものではなく、あるいはそれが単独で又は他のいかなる参考文献(単数若しくは複数)とのいかなる組み合わせにおいても、かかる発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本文書内の用語のいずれかの意味又は定義が、参照によって援用される文書内の同じ用語のいずれかの意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に付与される意味又は定義が優先するものとする。
【0161】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることを当業者は理解するであろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。