(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130057
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】高グリップの輪郭形成されたトレッドスキム
(51)【国際特許分類】
B60C 11/00 20060101AFI20170508BHJP
B60C 5/00 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
B60C11/00 C
B60C11/00 D
B60C5/00 H
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-516490(P2016-516490)
(86)(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公表番号】特表2016-520020(P2016-520020A)
(43)【公表日】2016年7月11日
(86)【国際出願番号】US2013043316
(87)【国際公開番号】WO2014193384
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2015年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(73)【特許権者】
【識別番号】508032479
【氏名又は名称】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ウィラード ウォルター リー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】チャーチ ジョン クリストファー
【審査官】
増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭51−100504(JP,A)
【文献】
特開2010−023577(JP,A)
【文献】
特開2003−253045(JP,A)
【文献】
特開平04−252707(JP,A)
【文献】
特開2010−215115(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/141158(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/00
B60C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のリム上への装着に適したタイヤであって、前記タイヤが前記タイヤの軸方向に沿って離間した外側肩部及び内側肩部を画定し、かつ前記内側肩部が前記車両に対して前記外側肩部の軸方向内側に位置するように、前記タイヤが前記車両上に装着するための所定の配向を有し、前記タイヤが、前記タイヤの半径方向に沿って厚さを有するトレッドを含み、前記トレッドが、溝によって前記軸方向に沿って互いに分離された複数の別個のトレッド特徴部を画定し、前記外側側面から前記内側側面まで前記軸方向に沿って未摩耗状態で、前記トレッド特徴部が、
前記タイヤの前記外側肩部に沿って位置決めされ、かつ外側接触面を有する外側トレッド特徴部であって、前記外側接触面の少なくとも一部を形成する第1のゴム組成物を含む第1の層、及び、前記外側トレッド特徴部の前記第1の層を全体的に支持し、かつ第2のゴム組成物を含む第2の層を備える、外側トレッド特徴部と、
前記外側トレッド特徴部の軸方向内側に位置決めされ、かつ第1の内部接触面を有する第1の内部トレッド特徴部であって、前記第1のゴム組成物を含み、かつ前記第1の内部接触面の一部を形成する第1の層、及び、前記第1の内部トレッド特徴部の前記第1の層を全体的に支持し、かつ前記第2のゴム組成物を含む第2の層であって、前記第1の内部トレッド特徴部の前記第2の層が前記第1の内部接触面の一部も形成する、第2の層を備える、第1の内部トレッド特徴部と、
前記タイヤの前記内側肩部に沿って位置決めされ、かつ内側接触面を有する内側トレッド特徴部と、を備え、
前記第1のゴム組成物が、前記第2のゴム組成物の80パーセント以下の弾性率を有し、前記弾性率は、1998年のASTM規格D412(試料「C」)に従ったトラクションで得られた割線弾性率である、前記タイヤ。
【請求項2】
半径方向の断面に沿って、前記第1の内部トレッド特徴部の前記第1の層は、前記外側肩部から前記内側肩部に向かって前記軸方向に沿って厚さが増大する輪郭を有する、請求項1に記載の前記タイヤ。
【請求項3】
前記半径方向の断面に沿って、前記第1の内部トレッド特徴部の前記第1の層の前記輪郭は、前記第1の内部接触面と10度〜30度の範囲の全体角度を形成する底面を有する、請求項2に記載の前記タイヤ。
【請求項4】
前記半径方向の断面に沿って、前記第1の内部トレッド特徴部の前記第1の層の前記輪郭は、2.5mm以下の範囲の最大厚さを有する、請求項3に記載の前記タイヤ。
【請求項5】
前記第1の内部トレッド特徴部の軸方向内側に位置決めされ、かつ第2の内部接触面を有する第2の内部トレッド特徴部であって、
前記第1のゴム組成物を含み、かつ前記第2の内部接触面の一部を形成する第1の層と、
前記第2の内部トレッド特徴部の前記第1の層を全体的に支持し、かつ前記第2のゴム組成物を含む第2の層であって、前記第2の内部トレッド特徴部の前記第2の層が前記第2の内部接触面の一部も形成する、第2の層と、を備える第2の内部トレッド特徴部をさらに備える、請求項4に記載の前記タイヤ。
【請求項6】
半径方向の断面に沿って、前記第2の内部トレッド特徴部の前記第1の層は、前記半径方向の断面に沿って前記第1の内部トレッド特徴部の前記第1の層の前記輪郭と実質的に同一の輪郭を有する、請求項5に記載の前記タイヤ。
【請求項7】
前記第1の内部トレッド特徴部の軸方向内側に位置決めされ、かつ第2の内部接触面を有する第2の内部トレッド特徴部であって、
前記第1のゴム組成物を含み、かつ前記第2の内部接触面の一部を形成する第1の層と、
前記第2の内部トレッド特徴部の前記第1の層を全体的に支持し、かつ前記第2のゴム組成物を含む第2の層であって、前記第2の内部トレッド特徴部の前記第2の層が前記第2の内部接触面の一部も形成する、第2の層と、を備える第2の内部トレッド特徴部をさらに備える、請求項2に記載の前記タイヤ。
【請求項8】
半径方向の断面に沿って、前記第2の内部トレッド特徴部の前記第1の層は、前記外側肩部から前記内側肩部に向かって前記軸方向に沿って厚さが増大する輪郭を有する、請求項7に記載の前記タイヤ。
【請求項9】
前記第2の内部トレッド特徴部の軸方向内側に位置決めされ、かつ第3の内部接触面を有する第3の内部トレッド特徴部であって、
前記第1のゴム組成物を含み、かつ前記第3の内部接触面の少なくとも一部を形成する第1の層と、
前記第3の内部トレッド特徴部の前記第1の層を全体的に支持し、かつ前記第2のゴム組成物を含む第2の層と、を備える第3の内部トレッド特徴部をさらに備える、請求項7に記載の前記タイヤ。
【請求項10】
半径方向の断面に沿って、前記第3の内部トレッド特徴部の前記第1の層は、前記軸方向に沿って厚さが実質的に均一な輪郭を有する、請求項9に記載の前記タイヤ。
【請求項11】
前記第3の内部トレッド特徴部の前記第2の層は、前記第3の内部接触面の一部も形成する、請求項9に記載の前記タイヤ。
【請求項12】
半径方向の断面に沿って、前記第3の内部トレッド特徴部の前記第1の層は、前記軸方向内側方向に沿って減少する厚さを有する輪郭を有する、請求項9に記載の前記タイヤ。
【請求項13】
第1のゴム組成物は、23℃で4.5MPa以下のMA10を有し、前記M10は、1998年のASTM規格D412(試料「C」)に従ったトラクションで得られた10%の伸張での割線弾性率である、請求項1に記載の前記タイヤ。
【請求項14】
第2のゴム組成物は、23℃で6MPa以下のMA10を有し、前記M10は、1998年のASTM規格D412(試料「C」)に従ったトラクションで得られた10%の伸張での割線弾性率である、請求項13に記載の前記タイヤ。
【請求項15】
前記第1の内部接触面の表面積は、前記第1のゴム組成物の表面積の60パーセント以上を含む、請求項1に記載の前記タイヤ。
【請求項16】
前記内側トレッド特徴部は、
前記第1のゴム組成物を含み、かつ前記第1の内側接触面の一部を形成する第1の層と、
前記内側トレッド特徴部の前記第1の層を全体的に支持し、かつ前記第2のゴム組成物を含む第2の層と、を備える、請求項1に記載の前記タイヤ。
【請求項17】
前記内側トレッド特徴部の前記第2の層は、前記第1の内部接触面の一部も形成する、請求項1に記載の前記タイヤ。
【請求項18】
車両のリム上への装着に適したタイヤであって、前記タイヤが前記タイヤの軸方向に沿って離間した外側肩部及び内側肩部を画定し、かつ前記内側肩部が前記車両に対して前記外側肩部の軸方向内側に位置するように、前記タイヤが前記車両上に装着されるための所定の配向を有し、前記タイヤが、前記タイヤの半径方向に沿って厚さを有するトレッドを含み、前記トレッドが、溝によって前記軸方向に沿って互いに分離された複数の別個のトレッド特徴部を画定し、前記外側側面から前記内側側面まで前記軸方向に沿って未摩耗状態で、前記トレッド特徴部が、
前記タイヤの前記外側肩部に沿って位置決めされ、かつ外側接触面を有する外側トレッド特徴部であって、前記外側接触面の少なくとも一部を形成する第1のゴム組成物を含む第1の層、及び、前記外側トレッド特徴部の前記第1の層を全体的に支持し、かつ第2のゴム組成物を含む第2の層を備える、外側トレッド特徴部と、
前記外側トレッド特徴部の軸方向内側に位置決めされ、かつ第1の内部接触面を有する第1の内部トレッド特徴部であって、第3のゴム組成物を含み、かつ前記第1の内部接触面の一部を形成する第1の層、及び、前記第1の内部トレッド特徴部の前記第1の層を全体的に支持し、かつ前記第2のゴム組成物を含む第2の層であって、前記第1の内部トレッド特徴部の前記第2の層が前記第1の内部接触面の一部も形成する、第2の層を備える、第1の内部トレッド特徴部と、
前記タイヤの前記内側肩部に沿って位置決めされ、かつ内側接触面を有する内側トレッド特徴部と、を備え、
前記第1のゴム組成物及び前記第3のゴム組成物が各々、前記第2のゴム組成物の約80パーセント以下の弾性率を有し、前記弾性率は、1998年のASTM規格D412(試料「C」)に従ったトラクションで得られた割線弾性率である、前記タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、概して、1つ以上のトレッド特徴部により高いグリップのゴム材料の層を有するタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのトレッドには、例えば、様々な異なる条件でトラクション及び/または転がり抵抗性能を改善する目的のためにもう1つの構造特性が装備され得る。例えば、溝、切り込み、及び他の要素がトレッドに成形され得る。このような特徴部の配向は、ある特定の性能特性を提供するために具体的に決定され得る。
【0003】
しかしながら、トラクション性能は、このような構造的特徴部のみによって決定されない。トレッドを製造するために使用される材料の組成はまた、トラクション性能、転がり抵抗、またはその両方に影響を与え得る。そのようなことは特に、比較的高速かつ高トルク条件の間に使用され得るレース用タイヤなどの超高性能(UHP)タイヤにも当てはまる。
【0004】
例えば、UHP条件下でより高いグリップを提供し得る比較的より柔らかいゴム組成物(すなわち、より低い弾性率及び/またはより低いショア硬度を有する)が開発されている。残念ながら、このようなより柔らかいゴム組成物もまた、すぐに摩耗する。ゴム組成物の柔らかさを低下させることは、摩耗を改善することができるが、一般にこのような低下がより少ないグリップをもたらすことによりトレードオフが生じる。したがって、いくつかの従来の構築物には、トレッドの耐用年数に関してこのトレードオフを妥協することを試みるゴム組成物が提案されているが、グリップ、摩耗、またはその両方のいずれかに対して犠牲が必然的に払われる。
【0005】
構築物はまた、その耐用年数にわたってトレッド内の異なるゴム組成物を利用する非UHPタイヤに提案されている。このようなことは、例えば、トレッドがその耐用年数にわたって摩耗するとき、ウェットトラクションを改善することが提案されており、それにより接地面から水を排出することが別の方法で可能である溝及びチャネルの深さを減少させる。トレッドは、摩耗し、トレッドの深さが減少するとき、タイヤの接触面がウェットトラクションの増加を提供する比較的より柔らかいゴム組成物によって次第に形成されるように設計される。残念ながら、UHP用途では、より深いトレッドの深さでのより柔らかいより高いグリップの組成物のこのような使用は、トレッドの温度が使用中に上昇するとき、性能に悪影響を与えるブリスタリング及び他の問題につながり得る。
【0006】
したがって、UHP用途で特に改善されたグリップ及び摩耗性能を提供し得るタイヤが有用であろう。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、未摩耗状態で、比較的より柔らかいより高いグリップのゴム材料の層を有する1つ以上のトレッド特徴部を含むタイヤトレッドを提供する。この層は、トレッド特徴部の接触面でスキムまたは比較的薄い層として提供される第1のゴム組成物から形成される。このスキムは、接触面が第2のゴム組成物から最終的に形成されるように、タイヤが暖まり始めるが、その後、初期使用期間後に摩滅し得るときに必要とされるグリップを提供する。次いで、この第2のゴム組成物は、タイヤが使用することにより熱くなるときに生じるより高い温度で所望のレベルのグリップ及び許容摩耗を提供する。スキムの層は、必要とされる用途及び性能特性に応じて輪郭形成され得る。本発明のさらなる目的及び利点が以下の説明で部分的に記載されるか、その説明から明らかであり得るか、または本発明を実践することによって習得され得る。
【0008】
例示的な一実施形態では、本発明は、車両のリム上への装着に適したタイヤを提供する。タイヤは、タイヤがタイヤの軸方向に沿って離間した外側肩部及び内側肩部を画定し、かつ内側肩部が車両に対して外側肩部の軸方向内側に位置するように、車両上に装着するための所定の配向を有する。タイヤは、タイヤの半径方向に沿って厚さを有するトレッドを含み、そのトレッドは、溝によって軸方向に沿って互いに分離された複数の別個のトレッド特徴部を画定する。外側側面から内側側面まで軸方向に沿って未摩耗状態で、トレッド特徴部は、タイヤの外側肩部に沿って位置決めされ、かつ外側接触面を有する外側トレッド特徴部を含む。外側トレッド特徴部は、外側接触面の少なくとも一部を形成する第1のゴム組成物から構築された第1の層と、外側トレッド特徴部の第1の層を全体的に支持し、かつ第2のゴム組成物から構築された第2の層とを含む。第1の内部トレッド特徴部は、外側トレッド特徴部の軸方向内側に位置決めされ、第1の内部接触面を有する。第1の内部トレッド特徴部は、第1のゴム組成物から構築され、かつ第1の内部接触面の一部を形成する第1の層と、第1の内部トレッド特徴部の第1の層を全体的に支持し、かつ第2のゴム組成物から構築された第2の層とを含む。第1の内部トレッド特徴部の第2の層は、第1の内部接触面の一部も形成する。内側トレッド特徴部は、タイヤの内側肩部に沿って位置決めされ、内側接触面を有する。第1のゴム組成物は、第2のゴム組成物の約80パーセント以下である弾性率を有する。
【0009】
別の例示的な実施形態では、本発明は、車両のリム上への装着に適したタイヤを提供する。タイヤは、タイヤがタイヤの軸方向に沿って離間した外側肩部及び内側肩部を画定し、かつ内側肩部が車両に対して外側肩部の軸方向内側に位置するように、車両上に装着するための所定の配向を有する。タイヤは、タイヤの半径方向に沿って厚さを有するトレッドを含み、そのトレッドは、溝によって軸方向に沿って互いに分離された複数の別個のトレッド特徴部を画定する。外側側面から内側側面まで軸方向に沿って未摩耗状態で、トレッド特徴部は、タイヤの外側肩部に沿って位置決めされ、かつ外側接触面を有する外側トレッド特徴部を含む。外側トレッド特徴部は、外側接触面の少なくとも一部を形成する第1のゴム組成物を有する第1の層と、外側トレッド特徴部の第1の層を全体的に支持し、かつ第2のゴム組成物を含む第2の層とを含む。第1の内部トレッド特徴部は、外側トレッド特徴部の軸方向内側に位置決めされ、第1の内部接触面を有する。第1の内部トレッド特徴部は、第3のゴム組成物を有し、かつ第1の内部接触面の一部を形成する第1の層と、第1の内部トレッド特徴部の第1の層を全体的に支持し、かつ第2のゴム組成物を含む第2の層とを含む。第1の内部トレッド特徴部の第2の層は、第1の内部接触面の一部も形成する。内側トレッド特徴部は、タイヤの内側肩部に沿って位置決めされ、内側接触面を有する。第1のゴム組成物及び第3のゴム組成物は各々、第2のゴム組成物の約80パーセント以下の弾性率を有する。
【0010】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を参照してより良く理解されるようになるであろう。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、その説明とともに、本発明の原理を説明することに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のタイヤ及びタイヤトレッドの例示的な実施形態の断面図を例示する。この図ならびに以下の図のすべてにおける視点はまた、半径方向の断面図と称されてもよく、軸方向A及び半径方向Rの両方に平行な平面で取られた断面である。
【
図2】本発明のタイヤトレッドの例示的な実施形態の半径方向の断面図を例示する。
【
図3】本発明のタイヤトレッドの例示的な実施形態の別の半径方向の断面図を提供する。
【
図4】本発明のトレッド特徴部の例示的な実施形態の半径方向の断面図を各々提供する。
【
図5】本発明のトレッド特徴部の例示的な実施形態の半径方向の断面図を各々提供する。
【
図6】本発明のトレッド特徴部の例示的な実施形態の半径方向の断面図を各々提供する。
【
図7】本発明のトレッド特徴部の例示的な実施形態の半径方向の断面図を各々提供する。
【
図8】本発明のトレッド特徴部の例示的な実施形態の半径方向の断面図を各々提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の完全かつ実施可能な程度の開示は、当業者を対象にするその最良の形態を含み、本明細書に記載され、添付の図に言及する。
すべての図は、非摩耗状態での例示的なトレッドを示す。
【0013】
本発明を説明するために、次に本発明の実施形態に詳細に言及され、これらのうちの1つ以上の実施例が図面に例示される。各実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明の説明として提供される。実際には、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、様々な修正及び変形が本発明に行われ得ることが当業者に明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として例示または記載される特徴は、さらなる実施形態を生み出すために別の実施形態とともに使用され得る。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内になるように、係る修正及び変形を網羅することが意図される。
【0015】
ゴム組成物の「弾性率」または「弾性係数」は、1998年のASTM規格D412(試料「C」)に従ったトラクションで得られた
引張り割線弾性率を意味する。「MA10」で示され、MPa(1999年のASTM規格D1349に従った標準温度及び湿度条件)で表される10%の伸張で明らかな
割線弾性率は、第2の伸張(すなわち、順応サイクル後)で測定される。この弾性率は、圧縮で得られた弾性率と区別されてもよく、その中の値は、一般に伸張で得られた係数と関係がない。
【0016】
「接触面」は、タイヤが適切に装着された(かつタイヤが空気圧式である場合に適切に膨張した)ときに、平面的な地面または路面と接触したタイヤトレッドまたは特定のトレッド特徴部の領域を指す。
【0017】
「非摩耗」は、摩耗が生じる前、すなわち、接触面から材料を取り除くであろう何らかの使用が生じる前のタイヤの状態を指す。本出願におけるすべての図は、非摩耗状態におけるトレッドまたはトレッド特徴部を示す。
【0018】
本発明者らは、特にUHP用途における改善されたグリップ及び摩耗性能がタイヤトレッド上の特定の構成で比較的柔らかく(すなわちより低い弾性率及び/またはより低いショア硬度)かつ比較的より硬い(すなわち、より高い弾性率及び/またはより高いショア硬度)ゴム組成物を位置決め及び輪郭形成することによって実現され得ることを特定した。一般に、より硬く、より耐摩耗性のゴム組成物は、タイヤの中心線の外側側面またはそれに沿って、トレッド特徴部の外側縁、特に内部トレッド特徴部に向かって提供されるが、トラクションのためのより良いグリップを有するより柔らかいゴム組成物は、高摩耗率を引き起こし得る過度の応力及び張力にさらすのを避けるために内側側面に向かって提供される。加えて、トレッド特徴部、特に内部トレッド特徴部の位置に応じて、半径方向の断面に沿ったより柔らかいゴム組成物の輪郭は、有効性をさらに高めるように構成され得る。
【0019】
次に、例示的な実施形態は、本発明をさらに説明するためにより具体的に記載される。
【0020】
図1は、未摩耗状態での本発明のタイヤ100の例示的な実施形態の半径方向の断面図を例示するが、
図2は、タイヤ100のトレッド部106を例示する。タイヤ100は、説明のために使用される。しかしながら、本明細書に開示される教示を用いて、本発明は、例えば、他の構築物が同様に使用され得るように
図1に示される輪郭または種類を含む特定のタイヤ構築物に限定されない。
【0021】
タイヤ100は、装着のために所定の方向に従う車両のホイールのリム上への装着に適している。より具体的には、タイヤ100は、車両の本体から離れて装着された外側肩部102と、車両の本体と同一の側のタイヤ100に向かって、またはそれに沿って装着された内側肩部104とを含む。タイヤ100は、移動中にタイヤの回転軸に平行な軸方向Aと、軸方向Aに直角の半径方向Rとを画定する。本明細書で使用されるとき、軸方向内側は、矢印AIで例示された方向を指し、図示されるような軸方向に沿って外側肩部102から内側肩部104に向かって行く方向である。
【0022】
この例示的な実施形態では、タイヤ100は、軸方向Aに沿って分離された一対のビードコア120及び122を含む。カーカスプライ126の端部は、各ビードコア120及び122に巻き付けられる。カーカスプライ126は、ビードコアの間、対向する側壁116、118、及びトレッド部106を通って延在する。クラウンパイル128及び130は、トレッド部106の半径方向内側、かつカーカスプライ126の半径方向外側に提供され得る。さらに、他のタイヤ構築物が同様に本発明とともに使用されてもよい。
【0023】
トレッド106は、半径方向Rに沿って厚さを有し、別個のトレッド特徴部132、134、136、138、及び140を画定する。これらの別個のトレッド特徴部は、複数の溝108、110、112、及び114それぞれによって軸方向に沿って互いに形成及び分離される。タイヤ100は、リブの形態で例示されたトレッド特徴部132、134、136、138、及び140を含むように示されるが、本発明はまた、様々なリブを有するトレッド、ならびにリブの代わりにトレッドブロックから形成されたトレッドとともに使用されてもよい。トレッド特徴部は、外側肩部102に沿って位置決めされた外側トレッド特徴部132と、内側肩部104に沿って位置決めされ内側トレッド特徴部140とを含む。
【0024】
複数142の内部トレッド特徴部は、外側及び内側トレッド特徴部132及び140それぞれの間、またはそれらの内部に提供される。複数142を構成する内部トレッド特徴部は、軸方向内側方向AIに沿って外側トレッド特徴部132に関して、それらの位置に対して参照され得る。したがって、複数142は、外側トレッド特徴部132の軸方向内側の第1の内部トレッド特徴部134と、第1の内部トレッド特徴部134の軸方向内側の第2の内部トレッド特徴部136と、第2の内部トレッド特徴部136の軸方向内側の第3の内部トレッド特徴部138とを含む。第1の内部トレッド特徴部134は、外側トレッド特徴部132に隣接し、これは、別の内部トレッド特徴部がそれらの間に位置決めされないことを意味する。同様に、第2の内部トレッド特徴部136は、第1の内部トレッド特徴部134に隣接し、第3の内部トレッド特徴部138は、第2の内部トレッド特徴部136及び内側トレッド特徴部140に隣接する。内部トレッド特徴部134、136、及び138は、この例示的な実施形態では、第1の内部接触面146、第2の内部接触面148、及び第3の内部接触面150をそれぞれ提供する。
【0025】
3つの内部トレッド特徴部は、タイヤ100のこの例示的な実施形態のために示されるが、本発明は、同様に1つ、2つ、4つ以上の内部トレッド特徴部を有するタイヤを含むことを理解されるべきである。さらに、
図1〜3で同一として示されるが、内部トレッド特徴部134、136、及び138の軸方向Aに沿った幅は、このような特徴部間で異なり得る。
【0026】
図2は、
図1の例示的なトレッド106のより近い半径方向の断面図を提供するが、
図4は、外側トレッド特徴部102のより接近した半径方向の断面図を提供する。
図2及び4に示されるように、外側トレッド特徴部132は、外側接触面144を有する。外側トレッド特徴部132は、第1のゴム組成物を含む第1の層132a、及び第2のゴム組成物を含む第2の層132bから構築される。第1の層132aは、第2の層132bによって全体的に支持される。本明細書で使用されるとき、中心線C/Lで約6.5mm以上の深さを有するトレッドの場合、「全体的に支持される」は、タイヤ100が未摩耗状態であるとき、第1の層が外側接触面の少なくとも一部を形成し、第1の層の半径方向Rに沿った最大厚さTが第2の層の半径方向Rに沿った厚さの約20パーセント以下であることを意味する。中心線C/Lで約6.5mm未満の深さを有するトレッドの場合、「全体的に支持される」は、タイヤ100が未摩耗状態であるとき、第1の層が外側接触面の少なくとも一部を形成し、第1の層の半径方向Rに沿った最大厚さTが第2の層の半径方向Rに沿った厚さの約50パーセント以下であることを意味する。したがって、第1の層132aは、スキム、すなわち、外側トレッド特徴部132のための外側接触面144の少なくとも一部分144aを形成する第1のゴム組成物の薄層132aとして形成される。
【0027】
この例示的な実施形態では、第1の層132aは、外側トレッド特徴部132の外側接触面144の大部分またはすべてを形成する。他の例示的な実施形態では、接触面144を形成する第1の層132aの量は、より少なくてもよい。加えて、この例示的な実施形態では、半径方向Rに沿った第1の層132aの厚さTは、比較的均一である。しかしながら、他の実施形態では、厚さTは、第1の層132aが軸方向Aに沿って先細になる半径方向の断面に沿った輪郭を有するように変化することができる。
【0028】
図5、6、及び7は、第1の内部トレッド特徴部134、第2の内部トレッド特徴部136、またはその両方のいずれかに使用され得るトレッド特徴部の例示的な実施形態を例示する半径方向の断面図を提供する。次いで、各々は、例として第1の内部トレッド特徴部134の参照番号を用いて同様に記載され、
図5、6、及び7の実施形態は、内部トレッド特徴部134及び136のいずれかまたはその両方に使用され得ることが理解される。より具体的には、
図5、6、及び7の例示的な実施形態は、タイヤ100の中心線C/Lの外側側面またはそれまでのいずれかである内部トレッド特徴部に使用され得る。
【0029】
図5から始めると、内部トレッド特徴部134は、部分146a及び146bを含む内部接触面146を提供する。内部トレッド特徴部134は、第1のゴム組成物を含む第1の層134a、及び第2のゴム組成物を含む第2の層134bから構築される。第1の層134aは、第2の層134bによって全体的に支持され、第2の層134b上のスキムとして形成される。
【0030】
図5の半径方向の断面図に示されるように、第1の層134aは、軸方向内側方向AIに沿って厚さTが増大する輪郭を有する。第1の層134aは、わずかに凹形(図示されるように)または線形であり得る底面156を有する。いずれの場合でも、底面156は、矢印Pで示されるような内部接触面146と全体角度αを形成する。角度αは、例えば、約10度〜約30度の範囲であり得る。
【0031】
この例示的な実施形態の場合、第1の層134aは、内部接触面146のほぼすべてである接触面146aを形成する。他の実施形態では、内部接触面146を形成する第1の層134aの量は、異なってもよい。前述のように、
図5の例示的なトレッド特徴部は、第1の内部トレッド特徴部134、第2の内部トレッド特徴部136、またはその両方のいずれかに使用されてもよい。すべて柔らかい高グリップの材料(134a)、またはすべて硬くより耐摩耗性であるがより低いグリップ材料(134b)のいずれかの唯一の接触面146を有するタイヤと比較すると、いくつかの利点がある。最初に、トレッド特徴部(146、148、150)が柔らかいより高いグリップの化合物のみからなる場合、より剛性の下層支持体の欠如により、トレッド特徴部の重度の変形につながる可能性があり、これは、隆起したトレッド路面せん断をもたらし、より持続的かつ支持的下層トレッドゴムと組み合わせられた高グリップのトレッドスキムを有する実施形態より2〜3倍速い著しく高い摩耗率をもたらす。接触面のすべてを含むより硬く、より耐摩耗性のゴムのみを有する逆の状況(接触面146の100%のみ超える134b)では、低グリップレベルによる滑りの増加の可能性があり、これは、ハンドリング性の劣化及びより遅いラップタイムを最終的にもたらし得るトレッド特徴部の重大な温度上昇及びさらなる機械的劣化(柔軟化)をもたらし得る。本発明者らは、タイヤ100が比較的高いコーナリング力を経験する変わり目に、タイヤ100がポジティブキャンバに転がり込むことを可能にする非理想的キャンバ曲線に対して特に感受性が低いより改善されたトレッド特徴部構成を提供することができることを特定した。この例示的な実施形態のトレッド特徴部は、激しいコーナリングによって生じる摩耗を最小限にしながら、最高レベルのグリップを提供及び維持するためにより最適化される。
【0032】
次に
図6を参照すると、内部トレッド特徴部134は、第1の内部トレッド特徴部134、第2の内部トレッド特徴部136、またはその両方のいずれかに使用され得るトレッド特徴部134の別の例示的な実施形態を提供する。この例示的な実施形態は、図示されるように、第1の層134aによって形成された内部接触面146の量146aが
図5に示される実施形態に対するよりこの実施形態に対してより少ないことを除いて
図5と同様である。
図5の146aのようなより広い内部接触面を有するタイヤと比較すると、このタイヤは、さらにより不十分なキャンバ制御を有する車両に対してより有利であろう。換言すれば、この実施形態は、難しいコーナリングで外部タイヤ上の保護のためにトレッド特徴部の外縁に沿ってより耐摩耗性のゴムを提供することができる。難しいコーナリングは、トレッド特徴部の外側の縁(特にタイヤの中心線の外側)をコーナリング応力及び摩耗のはるかにより激しい状況下に置く。本発明者らは、タイヤ100が比較的高いコーナリング力を経験する変わり目に、この実施形態が非理想的キャンバ制御に対して感受性が低い改善されたトレッド特徴部を提供することができることを特定した。トレッド特徴部は、内部接触面の146上の134aの部分(より短くより柔らかい高グリップの化合物)に対して134bの部分(より硬い耐摩耗性の化合物)を増加することによって、この状況で激しいコーナリングによって生じる摩耗を最小限にしながら、最高レベルのグリップを提供及び維持するためにより最適化される。
【0033】
トレッド特徴部134及び136のいずれかまたは両方に使用され得る内部トレッド特徴部の第3の例示的な実施形態が、
図7に示される。ここで、内部トレッド特徴部134は、第1のゴム組成物を含む第1の層134a、及び第2のゴム組成物を含む第2の層134bから構築される。第1の層134aは、第2の層134bによって全体的に支持され、第2の層134b上にスキムとして形成される。この例示的な実施形態は、
図7の実施形態では、第1の層134が図示される未摩耗状態の内部接触面146のすべてを形成することを除いて、
図5及び6の前の実施形態と同様である。内部接触面146を形成する134a及び134bの両方を有するタイヤと比較すると、
図7の実施形態によるタイヤは、好ましい状況で高グリップのトレッド材料のより大きい領域を提供することができる。例となる用途としては、1)操作の大部分に対して路面と平行またはほぼ平行にトレッド特徴部を保つ優れたレベルのキャンバ制御(トレッドバンドにわたって均一またはほぼ均一な応力分布)を有する車両、2)さもなければ、トレッド特徴部が最も激しいコーナリング応力及び摩耗(外部)から離れたタイヤの中心線の内部である場合、3)さもなければ、その特徴部が低いトレッドの深さのものであり、低いトレッドの深さ特徴部の改善された剛性により、高せん断及び重大なトレッド摩耗にさらされるときではない(中空トレッドの深さを有するUHP/DOTの合法的レースタイヤがこの群に入ることが多い)場合が挙げられる。
図7の実施形態は、摩耗がそれほど問題ではないすべてのこれらの状況で有用であり、より柔らかいより高いグリップのトレッドゴムは、より長い持続時間に有意なグリップを提供するためにより低い摩耗率で元の状態のままであり得る。同様に、
図7の実施形態はまた、134bのより大量かつより高い係数の支援なしで、道路とトレッド特徴部との界面でトレッド特徴部の全体的な変形及び結果として生じるせん断により、より柔らかい134a層が依然として、著しい増加率(
図7の実施形態の2〜3倍)で摩耗する傾向があるため、より柔らかい高グリップのゴムのみからなるトレッド特徴部の実施形態より好ましい。
【0034】
図2に戻って参照すると、既に示されたように、トレッド102は、第3の内部接触面150を有する第3の内部トレッド特徴部106を含む。
図2に示される例示的な実施形態では、第3の内部トレッド特徴部106は、第1のゴム組成物から形成され、かつ軸方向Aに沿って比較的均一な厚さTを有する第1の層138aを含む。加えて、第1の層138aは、タイヤ100が未摩耗状態であるとき、第3の内部接触面150のすべてを形成する。前の実施形態と同様に、第1の層138aは、第2のゴム組成物から構築される第1の層138bによって全体的に支持される。
【0035】
図8は、第3の内部トレッド特徴部138の別の例示的な実施形態を提供する。この例示的な実施形態は、
図8では、第1の層138aが第3の内部接触面150の一部分150aのみを形成することを除いて、
図2に示される例示的な実施形態と同様である。この例示的な実施形態では、第2の層138bはまた、第3の内部接触面150の一部分150bを形成する。加えて、
図8の半径方向の断面図に示されるように、第1の層138aの輪郭は、第3の内部接触面150に対して角度αを形成する底面160を有する。前のトレッド特徴部の実施形態と同様に、角度αは、例えば、約10度〜約30度の範囲であり得る。しかしながら、前の実施形態とは異なり、第1の層138aは、軸方向内側方向AIに沿って、すなわち、タイヤ100の内側側面104に向かって外側側面102から移動する方向に減少する厚さTを有する。底面160が線形として示されるが、その輪郭はまた、同様に正確であり得る。
図1に示されるトレッド特徴部138の実施形態と比較すると、本発明者は、タイヤの内側が最も激しい応力及び荷重を受ける状況に対して、
図8に示されるトレッド特徴部138が改善されたコーナリンググリップ及び耐摩耗性を提供することができることを特定した。この状況は典型的に、理想キャンバ制御未満の車両上の内側コーナリング位置で内側タイヤのみに生じる。
図1、2、3、及び8に示される第3の内部トレッド特徴部の実施形態は、タイヤ100の中心線C/Lの内側に位置決めされる内部トレッド特徴部に適切であることに留意されるべきである。
【0036】
上述のように、例示的な各トレッド特徴部では、第1の層は、第1のゴム組成物から構築されるが、第2の層は、第2のゴム組成物からの構築物である。本発明の例示的な一態様では、第1のゴム組成物は、23℃で約3.5〜約5のMA10を有するが、第2のゴム組成物は、23℃で約6MPa以上のMA10を有する。本発明のさらに別の例示的な態様では、第1のゴム組成物は、約50〜約65のショアA硬度を有するが、第2のゴム組成物は、約70以上のショアA硬度を有する。本明細書で使用されるとき、ショアA硬度は、ASTM D2240(1997)に従って測定される。
【0037】
同一の第1のゴム組成物は、上記に記載されるようなトレッド特徴部132、134、136、138、及び/または140の第1の層の各々で使用され得ることが理解されるべきである。あるいは、そのような各トレッド特徴部の第1の層の組成物は、上記に記載されるような第2の層に対する弾性率及び/またはショア硬度を有するゴム組成物が利用されるならば、トレッド特徴部間で異なってもよい。例えば、第1のゴム組成物は、1つのトレッド特徴部の第1の層に使用されてもよいが、第3のゴム組成物は、別のトレッド特徴部の第1の層に使用され、そのような各トレッド特徴部の第1の層は、第2のゴム組成物から構築された第2の層によって支持されてもよい。
【0038】
前述のように、第1の層の厚さは、異なってもよい。例示的な一実施形態では、第1の層の半径方向Rに沿った厚さTは、約2.5mm以下である。厚さが上記に記載されるような角度αによって異なる場合、約2.5mm以下の半径方向Rに沿った最大厚さTは、ある特定の例示的な実施形態で使用され得る。さらに他の実施形態では、第1の層の最大厚さTは、約0.5mm〜約2.5mmの範囲である。さらに他の実施形態では、トレッドが約6.5mm未満である中心線C/Lで厚さを有する場合、最大厚さTは、約2.5mm〜約4mmの範囲であり得る。
【0039】
図2に戻ると、内側トレッド特徴部140は、この例示的な実施形態においてトレッドゴムの第1の層なしで示される。しかしながら、本発明の他の例示的な実施形態では、内側トレッド特徴部は、例えば、第3の内部トレッド特徴部138に使用されるものと類似の様式でトレッドゴムの輪郭形成された第1の層によって構築され得る。したがって、内側トレッド特徴部140は、接触面のすべてまたは一部を形成し、かつ半径方向に沿って一定の厚さを有し、または軸方向内側方向AIに沿って先細になる厚さを有する第1の層によって構築され得る。他の構成が同様に使用されてもよい。
【0040】
図3は、本発明のトレッド部106の別の例示的な実施形態を提供する。この実施形態は、ある特定の例外を除いて
図1の例示的な実施形態と同様である。例えば、第2の内部トレッド特徴部136は、
図6に示される構築物と類似の様式で第3の内部接触面148を形成する第1の層のより小さい部分を有する。加えて、第3の内部トレッド特徴部138は、接触面の一部分のみが
図8に示される構築物と類似の様式で第1の層によって形成されるように、軸方向内側方向に沿って先細になる輪郭形成された第1の層を有する。
図2の例示的な実施形態と比較すると、
図3の例示的なトレッド部106は、内側肩部(104)が最も高いコーナリング応力及び摩耗にさらされるようになるコーナリング車両の内側上でタイヤの改善されたグリップ及び耐摩耗性を示した。この状況(コーナーでの内側ホイール)では、内側肩部(104)及びトレッド(152、150、148)の内側半分は、最も高いか、またはすべて標準及びコーナリング力荷重を担持している。タイヤの外部側面(102)は、重量転移、及び路面と接触して内側コーナリングタイヤの全トレッドバンドまたは内部部分のさらに一部を保つのに不十分なキャンバ制御により、路面とさらに接触してもよい。この状況では、
図8(またはすべてのトレッド部では
図3)の配向でのトレッド部106のトレッドスキムは、コーナリング車両の内部位置でのタイヤに最高のグリップ及び耐トラック摩耗性を提供する。
【0041】
本主題は、特定の例示的な実施形態及びその方法に関して詳細に記載されたが、当業者であれば、前述の理解に達すると、係る実施形態の変更、その変形、及びその均等物を容易に生み出し得ることが理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、限定としてではなく例とするものであり、主題の開示は、本明細書に開示される教示を用いて当業者に容易に明白であるような本主題の係る修正、変形、及び追加の包含を除外しない。