(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130095
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】能動的に加熱される排気ガスセンサのヒーターの作動のための方法
(51)【国際特許分類】
G01M 15/10 20060101AFI20170508BHJP
G01N 27/26 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
G01M15/10
G01N27/26 391A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-273332(P2011-273332)
(22)【出願日】2011年12月14日
(65)【公開番号】特開2012-127963(P2012-127963A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2014年12月15日
(31)【優先権主張番号】10 2010 063 152.3
(32)【優先日】2010年12月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・フェイ
【審査官】
福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−232220(JP,A)
【文献】
特開2005−055395(JP,A)
【文献】
特開2006−105136(JP,A)
【文献】
特開平11−326266(JP,A)
【文献】
特開昭60−164241(JP,A)
【文献】
特開昭56−165743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 15/10
G01N 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動的に加熱される排気ガスセンサのヒーター(33)の作動のための方法において、
前記ヒーター(33)の作動のために不感帯制御(32)が実施され、前記不感帯制御(32)のためのガイド値が、前記排気ガスセンサの内部抵抗であること、
前記不感帯制御は、測定された内部抵抗値(Ri_ist)と内部抵抗の目標値(Ri_soll)の制御差(Ri_soll−Ri_ist)を処理するPI制御器によって実施されること、
前記内部抵抗値が不感帯の中にあるときに、前記PI制御器のP成分を0にセットし、I成分を凍結する不感帯制御が実施され、さらに前記ヒーターの目標電圧を計算する予備制御が実施されること、
前記内部抵抗値が不感帯の外にあるときに、前記制御差が前記PI制御器に引き渡され、さらに前記予備制御が実施されること、
前記予備制御(31)は、排気ガス温度および排気ガス質量流量が送り込まれる特性マップにより実現することができること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記不感帯制御の不感帯(40)の下側の境界(21;41)が、内部抵抗閾値(42)として、未使用の排気ガスセンサの過熱作動で予め設定された、新しい排気ガスセンサの内部抵抗値と、新しい排気ガスセンサの定格内部抵抗値(43)との間にあることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不感帯制御の不感帯(40)の上側の境界(22;44)が、内部抵抗閾値(45)として、使用された排気ガスセンサの過熱作動で予め設定された、使用された排気ガスセンサの内部抵抗値と、新しい排気ガスセンサが機能可能な内部抵抗値(46)との間にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
測定された前記内部抵抗の値(Ri_ist)と目標の前記内部抵抗の値(Ri_soll)が不感帯制御器で処理され、前記不感帯制御器と、前記不感帯制御の不感帯(40)の下側の境界(21;41)と上側の境界(22;44)が、前記排気ガスセンサの内部抵抗が前記境界によって囲まれている領域を、前記不感帯制御の過渡振動の際に外れないように定められていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
演算装置或いは制御装置で実行されると、請求項1ないし4のいずれかに記載の方法のステップを実施するコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記プログラムが演算装置或いは制御装置で実行されるときに、請求項1ないし4のいずれかに記載の方法を実施するための、機械読み取り可能な媒体に記憶されたプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、能動的に加熱される排気ガスセンサ、特にラムダゾンデ、のヒーターの作動のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気ガス中の酸素濃度の測定のために、今日のエンジン制御システムではラムダゾンデが用いられている。ラムダゾンデによって内燃機関の排気ガス中の酸素濃度が定められ、その結果、ラムダ制御回路を通じて内燃機関の空気と燃料の供給を、内燃機関の排気ガス経路中に備えられている触媒による排気ガス後処理のために最適の排気ガス組成を達成することができるように、制御可能である。
【0003】
ラムダゾンデには幾つかの形態が知られている。電圧ジャンプラムダセンサとも呼ばれる二ポイントラムダゾンデの場合、特性曲線は、λ=1の時にジャンプするような降下を示す。その際、電圧ジャンプゾンデは、本質的に、燃料過剰での内燃機関の運転の際の過濃排気ガスと空気過剰での運転の際の希薄排気ガスとの間の区別を可能にする。連続ラムダゾンデ或いはリニアラムダゾンデとも呼ばれる、いわゆるワイドバンドラムダゾンデは、λ=1周辺の広い領域内での排気ガスのラムダ値の測定が可能である。従って、ワイドバンドラムダゾンデは、例えば空気過剰での希薄運転に向けた内燃機関の制御のために用いることができる。
【0004】
ラムダゾンデは、原理的に固体電解質を用いたガルバニック酸素濃度セルをベースとしている。固体電解質は、高い温度では酸素イオンを電解的に輸送することができるという特性を持っており、それによって電圧ジャンプが生じる。この性質によって、異なる二つのガス、即ちとりわけ排気ガス流と酸素基準の酸素分圧の違いを確定することができる。一般的に、固体電解質は、約350℃の活性化温度で酸素イオンに対して伝導性となる。ゾンデの定格温度は一般にそれよりも遥かに高く、通常650℃と850℃の間にある。ゾンデの作動のために必要な温度を達成するために、一般に排気ガスゾンデのためのヒーターが備えられているが、このヒーターは、例えばセンサの中へ組込まれていることもある。
【0005】
ラムダゾンデの出力信号は、センサ要素の温度に大きく依存している。従って、信号精度の改善のためには、センサ要素の温度を排気ガス温度の変化から切離して、できるだけ一定に保持することが望ましい。この温度を、ヒーター電圧を通じて制御することが知られている。そのためには、例えば排気ガス温度と排気ガス質量流量を入力値とした作動ポイント依存の特性マップを用いることができる。
【0006】
より高い温度精度のために、ラムダゾンデの温度制御を用いることができる。その際、制御値としてゾンデの内部抵抗Riを用いることができるが、その場合には、ゾンデ内部抵抗とゾンデ要素の温度との間に一義的な関係が成り立っているということが前提となっている。
【0007】
温度制御と共に作動ポイント依存の予備制御を採用することによって、温度制御の非常に高い精度を、予備制御によるエンジン作動ポイントの変化に対する迅速な反応と組合わせることができる。従って、既に、一定のゾンデ内部抵抗を目指した重畳制御による特性マップ予備制御が知られている。しかしながら、一定のゾンデ内部抵抗を目指した重畳制御による特性マップ予備制御は、ゾンデの使用期間の間に劣化現象のために信号精度の低下が生じることがあるという欠点を持っている。更に、ゾンデの過熱や、場合によっては損傷が引き起こされることがある。これは、とりわけ、一般にゾンデ内部抵抗がゾンデの使用年数に伴って変化するということに関連している。例えば、ラムダゾンデの場合には、ゾンデの使用年数に伴って、同じセンサ要素温度の下でもゾンデ内部抵抗が高くなる。その結果、ガイド値として一定のゾンデ内部抵抗を用いた制御の場合、ゾンデが使用年数に伴って、次第に強く加熱されるということが起こる。それ故、一定の内部抵抗の目標値を目安とした制御は、内部抵抗の変化が無視できる時にのみ有効である。そうでない時には、内部抵抗の目標値の自動調整が必要となるが、これは、実際には不可能であることが多い。従って、一般に、内部抵抗の変化が顕著である場合には、温度制御をあきらめ、ゾンデヒーターだけが制御作動される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、能動的に加熱される排気ガスセンサのヒーターの作動のための改良された方法を提供することを課題としている。その際、排気ガスセンサが一方では過度に熱く作動され、他方では許されない程強く冷却されることが防止される。本発明に基づく方法によれば、排気ガスセンサ或いはゾンデは、できる限りセンサの定格温度の近くで作動されるので、センサの使用期間の間に信号精度の悪化が生じることはない。これによって、内燃機関の排出物が低減され、また堅牢な診断が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、請求項の対象となっている方法によって解決される。この方法の好ましい実施態様は、諸従属請求項の対象となっている。
【0010】
本発明に基づく、能動的に加熱される排気ガスセンサのヒーターの作動のための方法では、不感帯制御がセンサの温度の調節のために用いられ、その際、ゾンデヒーターは、センサの温度依存値が、予め定めておくことのできる目標帯域内にあるように調節されて制御される。この方法によれば、センサの使用期間の間に或る程度の変動或いは変化を受ける値を、センサの温度の調節のために用いることができる。特に、本発明に基づく方法によれば、排気ガスセンサの内部抵抗を不感帯制御のためのガイド値として用いることができる。ゾンデ内部抵抗とセンサ要素の温度との間には、通常、センサの使用期間の間に変化するものの、一義的な関係が成り立っている。一般に、内部抵抗は、使用時間長さと共に高くなり、センサ要素温度の上昇と共に低くなる。しかしながら、本発明に基づく方法は、内部抵抗が、例えば使用時間長さと共に低くなり、センサ要素温度の上昇と共に高くなるセンサに対しても適用可能である。一つの目標帯域が予めガイド値のために与えられるという、本発明に基づいて備えられる不感帯制御によって、センサの使用時間長さの間の変化を考慮することができるので、その時々の目標値の自動調整無しに、ほぼ最適な制御を実施することができる。そのようにして、制御をできる限り最適に達成するために、帯域はできる限り狭く選定される。この帯域の境界は、好ましくはセンサ或いはゾンデが過度に熱くもなければ過度に冷たくもなく作動されるように定められる。本発明に基づいて備えられる不感帯制御では、確かに、一定の目標値を目標とした制御と同様に良好なセンサ要素温度の安定化はできない。しかしながら、この不感帯制御は、純粋な温度制御と比べれば、制御によって、測定されることのできないような外乱が考慮されるという利点をもたらす。これによって、純粋な温度制御と比べて本質的により良い温度安定化が本発明に基づく方法によって可能となる。
【0011】
好ましくは、この不感帯制御に加えて、加熱の制御のための予備制御、好ましくは特性マップ予備制御が実施される。ここで、予備制御とは、特に作動ポイント依存の、従ってエンジン作動ポイント依存の予備制御のことである。この予備制御は、例えば排気ガス温度や排気ガス質量流量が送り込まれる、例えば特性マップによって実現することができる。そのような特性マップを用いれば、作動ポイント依存のヒーター目標電圧を計算することができる。作動ポイント依存の予備制御によって、本発明に基づく方法では、ヒーターの作動の際に非常に迅速にエンジン作動ポイントの変化に反応することができる。これが本発明に基づいて制御の高い精度と組合わされる。従って、不感帯制御と重畳された特性マップ予備制御は、非常に有利な手法でセンサの加熱装置のほぼ最適な作動のために使用でき、その際に、センサの使用期間の間に変化するセンサの特性が考慮される。
【0012】
ガイド値のための不感帯或いは目標帯の決定のためには、不感帯の第一の境界、特に下側の境界が、新しい排気ガスセンサが過熱される際の内部抵抗閾値と新しい排気ガスの定格内部抵抗との間で決定される。不感帯の第二の境界、特に上側の境界は、好ましくは、劣化した排気ガスセンサが加熱される内部抵抗閾値と新しい排気ガスセンサがなお作動することのできる内部抵抗閾値との間で決定される。目標帯をこの領域内に定めることによって、特に、ゾンデが老化の進行につれて過度に強く加熱されてしまうことがないようにすることができる。他方では、新しいゾンデが許されない程強く冷却されてしまうことがないようにすることができる。加えて、目標帯或いは不感帯のそのような決定によって、ゾンデが、全使用期間にわたって、できる限り定格温度の近くで作動されるということが保証され、その際に、使用期間の間のゾンデ内部抵抗に関するゾンデの特性の変化が考慮される。
【0013】
好ましくは、不感帯の下側と上側の境界は、排気ガスセンサの内部抵抗が制御器の過渡振動の際に、新しい排気ガスセンサが「なお機能可能であるが過熱されることはない領域」を外れることがないように定められる。ゾンデの信号精度が最適化されるために、ゾンデ内部抵抗は、できる限り不感帯の近くに留まっているべきである。
【0014】
不感帯の中では、不感帯により調節されるガイド値によって、操作される制御器の増幅率が、好ましくは0となっている。このようにすることによって、制御器の制御介入は、内部抵抗が不感帯の中に入るや否や、凍結される。例えば、PI制御器が用いられている際には、P成分は不感帯の中で0となるのに対して、I成分は不感帯の中では、不感帯の外で学習された値に留まっている。この場合、不感帯の中では、仮に用いられていれば予備制御と、学習されたI成分だけが制御値の計算のために取り入れられる。
【0015】
本発明に基づく方法の一つの好ましい実施態様では、加熱の制御の際の予備制御は、排気ガスセンサの内部抵抗に依存していない。この場合、内部抵抗、従ってセンサの使用期間の間に変化して行く値は、全て不感帯制御の中へ送られ、予備制御の中へは送られない。
【0016】
本発明に基づく方法は、特別に有利に、例えば、ゾンデ内部抵抗と温度との間に上述の関係を持ち且つそのゾンデ内部抵抗が一般に使用期間長さと共に高くなって行くラムダゾンデの場合に、適用可能である。原則として、本発明に基づく方法は、特定の温度帯域内で作動される、あらゆる種類の能動的に加熱される排気ガスセンサに対して、適用することができる。
【0017】
本発明に基づく方法によれば、改良された温度安定化により、特に有利な手法によってより高い信号精度を達成することができる。例えばラムダゾンデの場合、暖機状態のエンジンの場合にゾンデ内部抵抗が不感帯の上側の境界をオーバーするや否や、センサ要素温度が許されない程低いということが感知される。この場合には、制御装置がヒーター出力を高めるように作動して、ゾンデの機能が保持されることが保証される。不感帯の下側の境界が割り込まれるや否や、センサ要素温度が許されない程高いということが感知される。この場合には、制御装置がヒーター出力を下げるように作動して、加熱によるゾンデの損傷が防止される。
【0018】
また、本発明に基づく方法は、エンジン或いは内燃機関の暖機段階で有利に使用することができる。内燃機関のこの段階の間に、ゾンデ信号を、制御目的及び/またはは診断目的のために利用したい場合には、ゾンデは、好ましくは活性化温度の上側と熱ショック温度の下側にある狭い温度領域の中で作動される。この場合、熱ショック温度とは、その温度の上方では場合により排気ガス経路中になお水滴が存在していて、これが熱いゾンデ表面に当たり、局所的温度差によってゾンデ要素の材料の中に、ゾンデを破壊する恐れのある熱応力を生じさせる温度をいう。ゾンデのこの過熱と損傷の危険は、とりわけ内燃機関の暖機段階の間に非常に高い。不感帯の境界のしかるべき設定によって、不感帯制御は、内燃機関の作動のこの段階の間に低過ぎるゾンデ内部抵抗を感知し、ヒーター出力を下げてゾンデが過度に高温で作動されないように働く。他方、不感帯制御は、センサ要素温度が活性化温度よりも低い時に感知する。この場合には、ゾンデ内部抵抗が高過ぎるので、不感帯制御は、ヒーター出力が高められてゾンデが十分に温められた状態で作動するように働く。活性化温度が到達されていないか或いは維持されていない時には、ゾンデが混合気の状態(希薄或いは過濃)を正確に指示しないので、制御目的及び/または診断目的のための前提条件が得られない。
【0019】
一方では暖機状態のエンジンの場合の、また他方ではエンジンの暖機運転の場合の、これ等の利点を達成するために、本発明によれば、内燃機関のそれぞれの運転段階の後に、不感帯のしかるべく適応された境界が設定される。始動段階の間にオーバーされてはならない熱ショック温度は、エンジンが暖機状態にある時には、一般にゾンデの定格温度の十分下側にある。これに対応して、始動段階でのゾンデの内部抵抗は、暖機状態にあるエンジンの場合よりも十分に高い領域、例えば1Kオームと2Kオームの間、に保持されることが有利である。暖機状態にあるエンジンの場合には、例えば200オームと240オームの間の領域が内部抵抗として適している。
【0020】
本発明に基づく方法は、全体として、一定の内部抵抗の目標値或いは内部抵抗の目標値の自動調整を目指した制御ができない排気ガスセンサ、例えばラムダゾンデ、を温度制御して作動させることを可能にし、その際、本発明によれば、センサ要素温度は目標帯或いは不感帯の中で安定化される。これによって、ゾンデが一方の面では過熱作動され、またもう一方の面では許されない程強く冷却されることが防止される。本発明に基づく方法は、ゾンデがゾンデ内部抵抗の劣化を考慮しながらできる限り定格温度の近くで作動されることを保証する。ゾンデの信号精度は、その作動温度が排気ガス温度に係わり無く一定に調節されればされる程高くなるから、本発明に基づく方法は改良された信号精度をもたらし、それによって、ラムダ制御のための改良された出力状況の中で排出が低減され、また診断も改善された堅牢性をもって実施することができる。
【0021】
本発明は更に、演算装置或いは制御装置の上で実行されると、本発明に基づく方法の全てのステップを実行するコンピュータプログラムも含んでいる。最後に、本発明は上記のプログラムが演算装置或いは制御装置の上で実行された時に、本発明に基づく方法を実施するための、機械読み取り可能な媒体の上に記憶された、プログラムコードを含むコンピュータプログラム製品を含んでいる。ここで、制御装置とは、特に自動車或いは内燃機関の中央制御装置或いは排気ガスセンサの制御ユニットと考えることができる。コンピュータプログラムとして或いはコンピュータプログラム製品としての本発明の実施態様は、この発明に基づく方法の採用のために、自動車に他の如何なるコンポーネントも取付ける必要がないという特別の利点を持っている。排気ガスセンサのヒーターの作動のための本発明に基づく方法は、センサの通常の配線を利用することができる。必要となるのは、例えば、対応するコンピュータプログラムをインストールすることだけであり、従って、本発明に基づく方法は、既存の自動車の場合にも特別に有利に採用することができる。
【0022】
本発明のその他のメルクマールや利点は、図面と関連させた以下の実施例についての説明から明らかとなる。その際、個々のメルクマールは、それぞれ単独で或いは互いに組合わせて実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、ゾンデ内部抵抗Riとゾンデ要素温度との間の関係の概略図を示す。
【
図2】
図2は、ゾンデヒーターの制御のための本発明に基づく方法の好ましい実施態様の概略図を示す。
【
図3】
図3は、本発明に基づく不感帯制御の好ましい実施態様の概略図を示す。
【
図4】
図4は、本発明に基づく不感帯制御のための、関連する好ましい閾値の概略図を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、センサセラミックの温度とセンサ或いはゾンデの内部抵抗Riとの間の関係を示しており、ここでは、新しい(new)センサのゾンデ内部抵抗が劣化した(aged)センサのゾンデ内部抵抗と対比されている。実線は、新しいセンサの内部抵抗を示している。破線は、劣化したセンサの内部抵抗を示している。この例では、ゾンデの定格温度が780℃の場合、内部抵抗は新しいセンサの場合220オームである。従って、この値では定格内部抵抗となる。しかしながら、劣化したゾンデの場合には、定格内部抵抗が220オームの時に、温度は820℃となり、ずっと高くなる。従って、ゾンデ内部抵抗がゾンデヒーターの温度制御の際に一定の目標値として用いられていると、劣化したゾンデは、過熱作動されてしまうことになる。
【0025】
ゾンデが長い使用期間の後に過熱作動されてしまうのを防ぐために、本発明に基づく方法は、能動的に加熱されるセンサのヒーターの作動のために不感帯制御を用いている。ラムダゾンデの場合を例に取ると、特にゾンデの内部抵抗がガイド値として用いられ、その際ゾンデヒーターは、ゾンデ内部抵抗が一定のRi=目標値 に向けて制御されるのではなく、定められた目標帯(不感帯)の中にあるように調節されるように、制御される。これによって、制御の基礎とされている値についての劣化現象、特に温度制御のために適しているゾンデ内部抵抗についての劣化現象、を考慮することができる。制御値として適当な目標帯を予め設定することによって、ゾンデは、ゾンデの全使用期間全体で見てゾンデが過熱作動されたり或いはゾンデが許されない程強く冷却されたりすること無しに、できる限り定格温度の近くで作動することができる。
【0026】
ヒーターの作動の場合におけるこの不感帯制御は、エンジン作動ポイントに依存した予備制御と組み合わせられることが好ましい。そのために,好ましくは予備制御マップは、例えば新しい中間層ゾンデを使用した時の定常運転で、特性マップ全体にわたって、ゾンデの定格温度に対応する一定の定格内部抵抗が得られるように、適用される。内燃機関の運転の間には、様々な理由から、この定格内部抵抗からのずれが生じ得る。例えば、予備制御特性マップは定常運転の中で適用されたものなので、動的な走行運転では定格内部抵抗のオーバーや割り込みが生じる。例えば、プラグやワイヤハーネスに起因するゾンデのヒーター回路の中での高い過渡抵抗は、ゾンデの過熱不足をもたらし、またこれによってより高い内部抵抗を生じさせることがある。予備制御の中では考慮されないその他の影響も、ゾンデの冷却や加熱を、またそれによってより高い或いはより低い内部抵抗をもたらすことがある。それ等の様々なケースでは、固定の内部抵抗の目標値を用いて、定格内部抵抗を目指した別の制御を行うことができる。しかしながら、ゾンデの老化現象の結果、ゾンデ内部抵抗がゾンデの使用期間の間に変化し、そのために、センサ要素温度が定格温度に等しくなると、内部抵抗が定格内部抵抗をオーバーしてしまうということが生じる。この場合には、一定の内部抵抗の目標値を用いた制御は、好ましい結果をもたらさないであろう。更に、そのような一定の内部抵抗の目標値を用いた制御は、ゾンデの過熱作動を引き起こすこともあろう。従って、本発明によれば、特性マップ予備制御は、不感帯ヒーター制御と組合わされている。この場合には、ガイド値としてゾンデ内部抵抗Riが用いられ、その際、定格内部抵抗の周辺に定められている不感帯の中では制御装置の増幅率が0に設定されている。この措置によって、内部抵抗が不感帯の中に入るや否や、制御器の制御介入が凍結される。このことが、例えば
図2に示されている。図の下側の部分に、時間に対する制御器の変化が示されている。図の上側の部分には時間に対するゾンデ内部抵抗Riの、不感帯40の境界の中と外における変化が示されている。内部抵抗が不感帯40によって定められている閾値21又は22を越えるや否や、制御器が起動される。ゾンデ内部抵抗Riが不感帯40の中、従って境界21と22の中にあれば、制御器は作動しない、即ち制御器の制御介入は凍結されている。
【0027】
図3は、特性マップ予備制御手段31と、重畳された不感帯制御手段32とを備えた本発明に基づく、ゾンデヒーターの制御の一例を示している。特性マップ予備制御手段31には、例えば排気ガス温度35と排気ガス質量流量36とが送り込まれる。不感帯制御手段32を機能させる不感帯制御器は、例えばPI制御器として作られている。内部抵抗が不感帯の中にある時には、P成分は0となる一方、不感帯の中のI成分は、不感帯の外で学習された値に留まっている。即ち、内部抵抗値が不感帯の中にある時には予備制御と学習されたI成分だけが制御値の計算の中に取り入れられる。計算された制御値は、ゾンデヒーター33の制御装置の中へ送り込まれる。内部抵抗測定器34で測定された内部抵抗値Ri_istは、目標値Ri_sollと共に不感帯制御手段32で処理される。例えば、このために制御差Ri_soll−Ri_istが、通常のPI制御器へ入力されることもある。それによって、PI制御器は、Ri_istが不感帯の中にある時に、制御差を0にセットする不感帯制御器となる。これによって、自動的に制御器のP成分は0となる。I成分は凍結される。Ri_istが不感帯の外にある時には、制御差はそのまま変化無しにPI制御器に引渡される。
【0028】
図4は、センサ要素の温度が同じ場合に、内部抵抗値が使用年数に伴って高くなって行くラムダゾンデの場合の、不感帯40の境界或いは閾値の可能な設定を示している。不感帯の下側の境界についての可能な領域41は、新しいゾンデが過熱されるRi閾値42と新しいゾンデの定格内部抵抗43との間に設定される。不感帯40の上側の境界についての可能な領域44は、劣化したゾンデが過熱されるRi閾値45と新しいゾンデがなお機能可能なRi閾値46との間に設定される。ここで、「機能可能」という表現は、暖機状態のエンジンの場合と暖機運転中のエンジンの場合とでは異なる意味を持つことがある。暖機状態のエンジンの場合、機能可能性は、例えば信号精度とゾンデのダイナミクスに関する要求が満たされるということを意味しているのに対して、暖機運転中のエンジンの場合には、機能可能性は単に、混合気の状態を示すゾンデの能力を意味していることがある。
【0029】
老化したゾンデの定格値47は、一般に不感帯40の上側の境界に関する可能な領域44の中にある。老化したゾンデの機能可能性に関するRi閾値48は、一般に不感帯40の上側の境界に関する可能な領域44の上側にある。不感帯の下側或いは上側の境界に関する可能な領域41及び44の中の矢印は、不感帯制御器の作用方向を示している。不感帯の中では制御器の増幅率は0にセットされる。下の表は、例として新しいゾンデと古いゾンデの場合の様々な温度と内部抵抗値に関する数値を示している。
【0030】
【表1】
【0031】
新しいゾンデを用いた時の特性マップ予備制御の定格内部抵抗は、例えばRi_nom=100オームである。この場合の不感帯の下側の境界のための可能な領域は、80オーム<Ri_min<100オームである。不感帯の上側の境界のための可能な領域は、240オーム<Ri_max<400オームである。
【0032】
それ故、不感帯の下側の境界は、新しいゾンデの過熱を防止するために用いられている。それ故、この境界は、Ri劣化の無い新しいゾンデを用いて定められる。内部抵抗値が不感帯の下側の境界を割り込むと、加熱出力が、またそれと共にゾンデ温度が低下する。不感帯の上側の境界は、新しいゾンデの許されない程強い冷却を、また同時に劣化したゾンデの過熱を防止するために用いられている。それ故、この境界は、新しいゾンデがなお機能可能であるように、また最大Ri劣化ゾンデが過熱されないように、定められる。この場合重要なことは、劣化したゾンデの過熱のためのRi閾値が、新しいゾンデの機能可能性のための閾値よりも小さいということである。何故なら、そうでなければ、新しいゾンデも古いゾンデも確実に且つ機能可能に作動することのできる重複領域ができなくなってしまうからである。内部抵抗値が不感帯の上側の境界をオーバーすると、加熱出力が、またそれに伴ってゾンデ温度が高められる。
【0033】
不感帯制御器と不感帯の下側或いは上側の境界設定は、ゾンデの信号精度を最適化するために、実際にはその時々の可能な領域の中で、ゾンデ内部抵抗がこの領域を制御器の過渡振動時に外れることがなく且つできる限りぴったりと不感帯の上に留まっているように、定められることが好ましい。
【符号の説明】
【0034】
21 不感帯の下側の境界(閾値)
22 不感帯の上側の境界(閾値)
31 特性マップ予備制御手段
32 不感帯制御手段
33 ゾンデヒーター
34 内部抵抗測定器
35 排気ガス温度
36 排気ガス質量流量
40 不感帯
41 不感帯の下側の境界の可能な領域
42 新しいゾンデが過熱されるRi閾値
43 新しいゾンデの内部抵抗
44 不感帯の上側の境界の可能な領域
45 劣化したゾンデが過熱されるRi閾値
46 新しいゾンデがなお機能することの出来るRi閾値
47 老化(劣化)したゾンデの定格値
48 老化(劣化)したゾンデの機能可能性に関するRi閾値