【実施例】
【0017】
図1は本発明の一実施例を示す組合せ印刷機の概略構成側面図、
図2は同じくスクリーン印刷装置及び反転部の拡大側面図、
図3は同じくロータリースクリーン胴及び圧胴の構造説明図である。
【0018】
図1に示すように、本組合せ印刷機100においては、シート101を一枚ずつ送給するシート供給装置110のフィーダーボード111の先端側には、第一オフセット印刷ユニット(オフセット印刷装置)120の渡胴120aが配設されており、当該渡胴120aは、図示しないスイング装置を介して上記フィーダーボード111からのシート101を一枚ずつ受け取ることができるようになっている。
【0019】
前記第一オフセット印刷ユニット120の前記渡胴120aには、当該第一オフセット印刷ユニット120の一方面用の圧胴121aが対接している。この圧胴121aには、一方面用のゴム胴122aが対接している。このゴム胴122aには、一方面用の版胴123aが対接している。この版胴123aには、一方面用のインキ供給手段である一方面用のインキ装置124a及び一方面用の給水手段である一方面用の給水装置125aが設けられている。このような圧胴121a、ゴム胴122a、版胴123a、インキ装置124a、給水装置125a等により、第一印刷ユニット120の一方面用のオフセット印刷部が構成されている。
【0020】
前記圧胴121aの、前記ゴム胴122aとの対接位置よりも回転方向下流側には、第一オフセット印刷ユニット120の他方面用の圧胴121bが対接している。この圧胴121bには、他方面用のゴム胴122bが対接している。このゴム胴122bには、他方面用の版胴123bが対接している。この版胴123bには、他方面用のインキ供給手段である他方面用のインキ装置124b及び他方面用の給水手段である給水装置125bが設けられている。このような圧胴121b、ゴム胴122b、版胴123b、インキ装置124b、給水装置125b等により、第一オフセット印刷ユニット120の他方面用のオフセット印刷部が構成されている。
【0021】
前記第一オフセット印刷ユニット120の他方面用の前記圧胴121bの、前記ゴム胴122bとの対接位置よりも回転方向下流側には、第二オフセット印刷ユニット(オフセット印刷装置)130の一方面用の圧胴131aが対接しており、当該第二印刷ユニット130は、上記第一オフセット印刷ユニット120と同様にして、一方面用のゴム胴132a、版胴133a、インキ装置134a及び給水装置135a等を備えることにより一方面用のオフセット印刷部が構成されると共に、他方面用のゴム胴132b、版胴133b、インキ装置134b及び給水装置135b等を備えることにより他方面用のオフセット印刷部が構成されている。
【0022】
前記第二オフセット印刷ユニット130の他方面用の前記圧胴131bの、前記ゴム胴132bとの対接位置よりも回転方向下流側には、第三オフセット印刷ユニット(オフセット印刷装置)140の一方面用の圧胴141aが対接しており、当該第三オフセット印刷ユニット140は、上記第一,二オフセット印刷ユニット120,130と同様にして、一方面用のゴム胴142a、版胴143a、インキ装置144a及び給水装置145a等を備えることにより一方面用のオフセット印刷部が構成されると共に、他方面用のゴム胴142b、版胴143b、インキ装置144b及び給水装置145bを備えることにより他方面用のオフセット印刷部が構成されている。
【0023】
前記第三オフセット印刷ユニット140の他方面用の前記圧胴141bの、前記ゴム胴142bとの対接位置よりも回転方向下流側には、第四オフセット印刷ユニット(オフセット印刷装置)150の一方面用の圧胴151aが対接しており、当該第四オフセット印刷ユニット150は、上記第一〜三オフセット印刷ユニット120,130,140と同様にして、一方面用のゴム胴152a、版胴153a、インキ装置154a及び給水装置155aを備えることにより一方面用のオフセット印刷部が構成されると共に、他方面用のゴム胴152b、版胴153b、インキ装置154b及び給水装置145bを備えることにより他方面用のオフセット印刷部が構成されている。
【0024】
そして、
図2にも示すように、前記第四オフセット印刷ユニット150の他方面用の前記圧胴151bの、前記ゴム胴152bとの対接位置よりも回転方向下流側には、第一乾燥部170Aの一方面用の搬送胴171Aaが対接している。この搬送胴171Aaの近傍には、前記第一〜四オフセット印刷ユニット120,130,140,150で印刷されたシート101の一方面を乾燥させる一方面用の乾燥手段である一方面用の乾燥器172Aaが配設されている。前記搬送胴171Aaの、前記第四オフセット印刷ユニット150の他方面用の前記圧胴151bとの対接位置よりも回転方向下流側には、他方面用の搬送胴171Abが対接している。この搬送胴171Abの近傍には、前記第一〜四オフセット印刷ユニット120,130,140,150で印刷されたシート101の他方面を乾燥させる他方面用の乾燥手段である他方面用の乾燥器172Abが配設されている。
【0025】
前記第一乾燥部170Aの他方面用の前記搬送胴171Abの、一方面用の前記搬送胴171Aaとの対接位置よりも回転方向下流側には、スクリーン印刷部(スクリーン印刷装置)160が配設されて、その渡胴(上流側シート搬送装置)161が対接している。この渡胴161の、前記他方面用の前記搬送胴171Abとの対接位置よりも回転方向下流側には、圧胴162が対接している。この圧胴162の、前記渡胴161との対接位置よりも回転方向下流側には、ロータリースクリーン胴163が対接している。
【0026】
前記ロータリースクリーン胴163は、
図3に示すように、前記渡胴161を前記圧胴162の上方に位置付けることで、当該圧胴162の側方に位置付けられ、前記渡胴161から前記圧胴162のシートくわえ装置(シート保持装置)164にくわえ替えされて当該圧胴162上を搬送されるシート101の他方面にスクリーン印刷を施すようになっている。
【0027】
そして、絵柄に応じた小孔をエッチングした円筒状の版材であるスクリーン165が卷装されたロータリースクリーン胴163の内部には、径方向へ移動できるように両端側をフレームに支持されてインキやニス等(スクリーン印刷用液体)を供給するスキージシャフト166と、当該スキージシャフト166から供給されたインキやニス等を前記スクリーン165の小孔から押し出して前記圧胴162側に供給するスキージ167とが設けられる。このスキージ167とスキージシャフト166とでスキージ部が構成され、当該スキージ部におけるスキージ167の水平線Hに対する設置角度θがθ≧0度と設定されている。
【0028】
前記圧胴162は、当該圧胴162の切欠き部162aの一方側と他方側の端部との間に配設されて圧胴162の外周面と略同一の曲率を有する案内面168aを有するギャップガード168を切欠き部162aを覆うようにして圧胴162の外周面と連続させている。また、シート保持装置としてのシートくわえ装置164は、圧胴162の切欠き部162a内に爪軸164aを中心に回動自在に支持されており、爪軸164aの回動により爪169が開閉してシートを保持及び解放させる。この爪169の外側面には、切欠き部162aの一方側端部で圧胴162の外周面と連続するように圧胴162の外周面と略同一の曲率を有する案内面169aが形成され、ロータリースクリーン胴163が切欠き部162a内に落ち込んだり、爪169によってへこまされたりすることが防止され、スクリーン165の寿命を長くすることができる。
【0029】
前記スクリーン印刷部160の前記圧胴162の、前記ロータリースクリーン胴163との対接位置よりも回転方向下流側には、渡胴173が対接している。この渡胴173の、前記圧胴162との対接位置よりも回転方向下流側には、第二乾燥部170Bの搬送胴171Bが対接している。この搬送胴171Bの近傍には、前記スクリーン印刷部160でスクリーン印刷を施されたシート101の他方面を乾燥させる乾燥手段である乾燥器172Bが配設されている。
【0030】
前記搬送胴171Bの、前記スクリーン印刷ユニット160の前記搬送胴173との対接位置よりも回転方向下流側には、反転部180の吸着胴181が対接している。この吸着胴181の、前記搬送胴171Bとの対接位置よりも回転方向下流側には、反転胴182が対接している。この反転部180では、前記スクリーン印刷部160でスクリーン印刷が施されて第二乾燥部170Bで乾燥されたシート101の他方面に後処理すべく表裏を反転させずにそのまま搬送するか、スクリーン印刷が施されていないシート101の一方面に後処理すべく表裏を反転させて搬送するかは、印刷仕様に応じて適宜選択し得るようになっている。
【0031】
前記反転胴182の、前記吸着胴181との対接位置よりも回転方向下流側には、渡胴174が対接している。この渡胴174の、前記反転胴182との対接位置よりも回転方向下流側には、渡胴175が対接している。
【0032】
前記渡胴175の、前記渡胴174との対接位置よりも回転方向下流側には、凹版印刷ユニット(凹版印刷装置)190が配設されて、その渡胴191が対接している。この渡胴191の、前記渡胴175との対接位置よりも回転方向下流側には、圧胴192が対接している。
【0033】
前記圧胴192には、凹版胴193が対接している。この凹版胴193には、インキ集合胴194が対接している。このインキ集合胴194には、インキ着け胴195が周方向にわたって複数(図示例では5つ)対接している。これらインキ着け胴195の周面側には、インキを供給する図示しないインキ装置がそれぞれ対応して配設されており、当該インキ装置は、上記インキ着け胴195に対して接近離反移動可能なフレーム190A内にそれぞれ支承されている。前記凹版胴193には、ワイピングローラ196が対接している。このワイピングローラ196の下方には、ワイピングタンク197が配設されている。
【0034】
前記圧胴192の、前記凹版胴193との対接位置よりも回転方向下流側には、シート排出装置112のデリバリー胴113が対接している。このデリバリー胴113には、図示しないスプロケットが同軸をなして設けられている。このスプロケットには、爪竿を複数設けたエンドレスの搬送チェーン114が巻き掛けられている。前記搬送チェーン114の下方には、当該搬送チェーン114の走行方向に沿って複数(図示例では3つ)のシート積載台115A〜115Cが配設されている。
【0035】
そして、前記第一〜四オフセット印刷ユニット120,130,140,150は、各ユニットごとに一方面用のオフセット印刷部と他方面用のオフセット印刷部とを備えた一つのモジュールをなし、互いに連結して複数設置することができるものであり、その数に応じて、印刷に必要な最大限の色数を簡単に設定することができるようになっている。
【0036】
なお、本実施例においては、前記第一乾燥部170Aの一方面用の搬送胴171Aa,他方面用の搬送胴171Ab、前記スクリーン印刷部160の渡胴161、圧胴162,前記搬送胴173、前記第二乾燥部170Bの搬送胴171B,前記反転部180の吸着胴181,反転胴182、前記渡胴174,175、前記凹版印刷ユニット190の渡胴191が、前記第一〜四オフセット印刷ユニット120,130,140,150でオフセット印刷されたシート101を前記凹版印刷ユニット190の圧胴192へ送るシート送り胴をそれぞれなしている。
【0037】
このように構成されるため、シート供給装置110からシート101を一枚ずつ送給すると、当該シート101は、フィーダーボード111を介して第一オフセット印刷ユニット120の渡胴120aを経由して圧胴121aに受け渡されて一方面を表側に向けるようにして保持される。
【0038】
インキ装置124aからの各種インキは、図示しないローラ列を介して版胴123aに送られ、当該版胴123aの絵柄に対応した画線でゴム胴122aに転写される。
【0039】
そして、前記シート101が圧胴121aとゴム胴122aとの間を通過することにより、当該ゴム胴122aの表面に転写されたインキが、当該圧胴121aの周面に保持された当該シート101の一方面に転写される。
【0040】
前記圧胴121a上で一方面に印刷が施された前記シート101は、搬送されて圧胴121bにくわえ替えされることにより、他方面を表側に向けるようにして当該圧胴121bに保持される。
【0041】
また、インキ装置124bからの各種インキは、図示しないローラ列を介して版胴123bに送られ、当該版胴123bの絵柄に対応した画線でゴム胴122bに転写される。
【0042】
そして、前記シート101が圧胴121bと前記ゴム胴122bとの間を通過することにより、当該ゴム胴122bの表面に転写されたインキが、当該圧胴121bの周面に保持された当該シート101の他方面に転写される。
【0043】
前記圧胴121b上で他方面に印刷が施された前記シート101は、搬送されて第二オフセット印刷ユニット130の圧胴131aにくわえ替えされることにより、一方面を表側に向けるようにして当該圧胴131aに保持される。
【0044】
引き続き、上記シート101は、上記第二オフセット印刷ユニット130において、前記第一オフセット印刷ユニット120の場合と同様にして、一方面に印刷が施されてから他方面に印刷が施された後、第三印刷ユニット140に受け渡される。
【0045】
以下、上記シート101は、前記第一オフセット印刷ユニット120の場合と同様にして、第三,四オフセット印刷ユニット140,150において両面印刷が施された後、第一乾燥部170Aの一方面用の搬送胴171Aaにくわえ替えされることにより、一方面を表側に向けるようにして当該搬送胴171Aaに保持されて搬送されながら一方面用の乾燥器172Aaで一方面のインキが乾燥されてから、他方面用の搬送胴171Abにくわえ替えされることにより、他方面を表側に向けるようにして当該搬送胴171Abに保持されて搬送されながら他方面用の乾燥器172Abで他方面のインキが乾燥される。
【0046】
次に、上記シート101は、スクリーン印刷部160の渡胴161にくわえ替えされた後、圧胴162にくわえ替えされることにより、他方面を表側に向けるようにして当該圧胴162に保持されて搬送されながらロータリースクリーン胴163で他方面にスクリーン印刷が施された後、渡胴173を介して第二乾燥部170Bの搬送胴171Bにくわえ替えされることにより、他方面を表側に向けるようにして当該搬送胴171Baに保持されて搬送されながら他方面にスクリーン印刷が施されたインキが乾燥器172Bで乾燥される。
【0047】
続いて、上記シート101は、反転部180の吸着胴181にくわえ替えされることにより、一方面を表側に向けるようにして当該吸着胴181に、その後端側(尻側)が吸着され先端側がシートくわえ装置にくわえられた状態で保持されて搬送される。
【0048】
そして、この反転部180では、前述したようにスクリーン印刷が施されたシート101の他方面に凹版印刷を施すべくそのまま(反転せずに)搬送するか、スクリーン印刷が施されていないシート101の一方面に凹版印刷を施すべく反転させて搬送するかが適宜選択されるようになっている。即ち、シート101を反転しない場合は、吸着胴181上を搬送されるシート101の紙先端側を反転胴182のシートくわえ装置でくわえ替えする一方、シート101を反転する場合は、吸着胴181上を搬送されるシート101の尻側を反転胴182のシートくわえ装置でくわえ替えすれば良いのである。
【0049】
以後、上記シート101を反転する場合、即ち、スクリーン印刷が施されていないシート101の一方面に凹版印刷を施す場合について説明する。
【0050】
一方面を表側に向けて吸着胴181上を搬送されるシート101の先端側が反転胴182とのシートの受け渡し位置を通過して当該吸着胴181上を搬送された後、シート101の尻側が反転胴182のシートくわえ装置でくわえ替えされることにより、一方面を表側に向けるようにして当該反転胴18に保持されて搬送される。
【0051】
その後、上記シート101は、渡胴174にくわえ替えされて他方面を表側に向けるようにして当該渡胴174に保持されて搬送された後、渡胴175にくわえ替えされて一方面を表側に向けるようにして当該渡胴175に保持されて搬送される。
【0052】
次に、上記シート101は、凹版印刷部190の渡胴191を介して圧胴192にくわえ替えされることにより、一方面を表側に向けるようにして当該圧胴192の周面に保持される。
【0053】
ここで、図示しないインキ装置内の各種インキは、インキ着け胴195を介してインキ集合胴194に転写されて凹版胴193にそれぞれ供給され、余剰分が前記ワイピングローラ196で取り除かれてワイピングタンク197内で洗浄除去される。
【0054】
そして、前記シート101が圧胴192と凹版胴193との間を通過することにより、当該凹版胴193の凹版に供給されたインキが、当該圧胴192の周面に保持された当該シート101の一方面に転写された後、シート排出装置112のデリバリー胴113を介して搬送チェーン114の爪竿に保持されて搬送され、シート積載台115A〜115B上に排出される。
【0055】
尚、上記シート101を反転しない場合、即ち、スクリーン印刷が施されているシート101の他方面に凹版印刷を施す場合については、自明であるので説明は省略する。
【0056】
このようにして、本実施例では、スクリーン印刷部160において、圧胴162にシート101を受け渡す渡胴161を当該圧胴162の上方に位置付け、これにより出来たスペースを利用してロータリースクリーン胴163を、当該ロータリースクリーン胴163のスキージ部にインキやニス等が溜まるように、圧胴162の側方に位置付けた。具体的には、スキージ部におけるスキージ167の水平線Hに対する設置角度θをθ≧0度と設定した。
【0057】
これにより、印刷時のインキやニス等のスクリーン印刷用液体のシートへの供給機能を損なうことなく、ロータリースクリーン胴163のスクリーン165が破損してもロータリースクリーン胴163の下部には圧胴162が無いので、破損時におけるスクリーン印刷用液体による被害が圧胴162等に及ぶのを最小限に抑えることができ、装置の信頼性が高まる。
【0058】
また、スクリーン印刷部160に加えて第一〜四オフセット印刷ユニット120,130,140,150と凹版印刷ユニット190が組み合わされているので、1パスで3種の印刷が可能となり、前述したスクリーン印刷部160の信頼性に加えて印刷機の汎用性が高まる。
【0059】
加えて、反転部180では、スクリーン印刷部160でスクリーン印刷が施されて第二乾燥部170Bで乾燥されたシート101の他方面に凹版印刷を施すべく表裏を反転せずにそのまま搬送するか、スクリーン印刷が施されていないシート101の一方面に凹版印刷を施すべく表裏を反転させて搬送するかは、印刷仕様に応じて適宜選択し得るようになっているので、各種印刷において、シートの印刷面における組み合わせ(表裏バリエーション)が一台の印刷機で容易に選択・変更できるので、より一層汎用性が高まる。