特許第6130130号(P6130130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130130
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】体液収集具
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/15 20060101AFI20170508BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20170508BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   A61B5/14 300Z
   C09J7/02 Z
   G01N1/10 V
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-265250(P2012-265250)
(22)【出願日】2012年12月4日
(65)【公開番号】特開2014-108314(P2014-108314A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 泰生
(72)【発明者】
【氏名】亀井 美奈
(72)【発明者】
【氏名】竹崎 彰人
【審査官】 佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−155822(JP,U)
【文献】 特開2003−190206(JP,A)
【文献】 特開2011−227042(JP,A)
【文献】 特開2003−135514(JP,A)
【文献】 特開平07−052326(JP,A)
【文献】 特開2007−139599(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0159192(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の皮膚上で前記被験者の体液を収集する体液収集具であって、
粘着面を有するシート状の基材と、
前記粘着面上に設けられる、体液を収集する第1収集体と、
前記第1収集体を覆うように前記粘着面に剥離可能に貼付される第1剥離シートと、
前記粘着面に剥離可能に貼付される第2剥離シートと
を備え、
前記第2剥離シートの所定方向の一端部は、前記第1剥離シートの前記所定方向の他端部上に重ね合わされており、且つ、前記第1剥離シートの他端部の一部が前記粘着面から離間して非貼付状態にされており、
前記体液収集具は、前記粘着面上に設けられる、体液を収集する第2収集体をさらに含み、
前記第1収集体および第2収集体は、前記粘着面上において前記所定方向に沿って互いに離間して設けられ、
前記第2剥離シートは、前記第2収集体を覆うように前記粘着面に貼付され、
前記第1収集体は、前記被験者の汗を収集するために、前記被験者の、微細孔が形成されていない皮膚の領域に配設される収集体であり、前記第2取集体は、前記被験者の組織液を収集するために、前記被験者の、微細孔が形成された皮膚の領域に配設される収集体であることを特徴とする体液収集具。
【請求項2】
前記第2剥離シートが基材から剥離された状態において、前記第1剥離シートの他端部の一部と粘着面との間に空間が形成されている、請求項1に記載の体液収集具。
【請求項3】
前記第1剥離シートの前記所定方向の他端と、前記第1収集体の当該所定方向他端との距離が、以下の式(1)で定義される距離Lよりも短い、請求項1又は2に記載の体液収集具。
L=(2.4/0.7)×d・・・(1)
(ただし、dは第1収集体の厚さである。)
【請求項4】
前記第1剥離シートの前記所定方向の他端と、前記第1収集体の当該所定方向他端との距離が1mm以上3mm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の体液収集具。
【請求項5】
前記第1収集体の外形は、略立方体形状または略直方体形状である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の体液収集具。
【請求項6】
前記第1収集体は、ゲル状部材からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の体液収集具。
【請求項7】
前記第2剥離シートは、前記第1収集体を覆う部分を含む第1剥離シートの一部を覆うように、前記粘着面に貼付される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の体液収集具。
【請求項8】
前記第2収集体は、ゲル状部材からなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の体液収集具。
【請求項9】
前記第1収集体の前記所定方向他端と前記第2収集体の前記所定方向一端との距離は、10mm以上20mm以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の体液収集具。
【請求項10】
前記第1剥離シートおよび第2剥離シートの被貼着面にシリコーン加工が施されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の体液収集具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体液収集具に関する。さらに詳しくは、各種分析を行うために生体の皮膚から抽出される組織液などの体液を収集する際に当該皮膚に貼付して用いられる体液収集具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者の皮膚に微細孔を形成し、当該微細孔を形成した領域にゲル状の収集体が配設された収集部材を貼り付け、経皮的に組織液を抽出する収集部材が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示されている収集部材において、シート本体の粘着層に貼付された収集体は一枚の剥離ライナーによって被覆されている。この収集部材は、剥離ライナーを剥がした後、収集体が皮膚の所定領域に位置するように皮膚に貼り付けて使用される。
【0003】
また、特許文献2には、粘着シート3の粘着面2に薬剤を含有するパッド4が貼付されており、このパッド3が2枚の被覆用剥離紙5、6で覆われた経皮吸収用絆創膏が開示されている。特許文献2記載の経皮吸収用絆創膏では、2枚の剥離紙5、6がパッド4の略中央で互いに重なり合うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−227042号公報
【特許文献2】実開平6−61226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の収集部材では、1枚の剥離ライナーが使用されているため、2枚の剥離ライナーを採用するものに比べて、使用時に当該剥離ライナーを剥がしにくいという問題がある。
【0006】
また、特許文献2記載の経皮吸収用絆創膏では、剥離紙5、6がパッド4の略中央で重なり合っているため、上側の剥離紙を剥がした後、下側の剥離紙を剥がす際にパッドに指が触れることにより、当該パッドが汚染されてしまう惧れがある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、収集体に触れることなく剥離ライナーを容易に剥がすことができる体液収集具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の体液収集具は、被験者の皮膚上で前記被験者の体液を収集する体液収集具であって、
粘着面を有するシート状の基材と、
前記粘着面上に設けられる、体液を収集する第1収集体と、
前記第1収集体を覆うように前記粘着面に剥離可能に貼付される第1剥離シートと、
前記粘着面に剥離可能に貼付される第2剥離シートと
を備え、
前記第2剥離シートの所定方向の一端部は、前記第1剥離シートの前記所定方向の他端部上に重ね合わされており、且つ、前記第1剥離シートの他端部の一部が前記粘着面から離間して非貼付状態にされており、
前記体液収集具は、前記粘着面上に設けられる、体液を収集する第2収集体をさらに含み、
前記第1収集体および第2収集体は、前記粘着面上において前記所定方向に沿って互いに離間して設けられ、
前記第2剥離シートは、前記第2収集体を覆うように前記粘着面に貼付され、
前記第1収集体は、前記被験者の汗を収集するために、前記被験者の、微細孔が形成されていない皮膚の領域に配設される収集体であり、前記第2取集体は、前記被験者の組織液を収集するために、前記被験者の、微細孔が形成された皮膚の領域に配設される収集体であることを特徴としている。
【0009】
本発明の体液収集具では、剥離シートが2枚の剥離シート(第1剥離シートと第2剥離シート)からなっており、第2剥離シートの一端部が第1剥離シートの他端部上に重ね合わされている。また、第1剥離シートの他端部の一部が基材の粘着面から離間して非貼付状態にされている。したがって、使用に際し、第2剥離シートの方を先に剥がし、露出した粘着面を皮膚に貼付し、ついで第1剥離シートを折り返し、さらに当該第1剥離シートを皮膚面に沿うようにスライドさせることで、収集体に触れることなく容易に体液収集具を被験者の皮膚に貼付することができる。この場合に、本発明では、第1剥離シートの他端部の一部が前記粘着面から離間して非貼付状態にされており、当該第1剥離シートと粘着面との粘着力は小さくされているので、第1剥離シートを折り返した後の当該第1剥離シートの前記スライド操作をスムーズに行うことができる。
【0010】
前記第2剥離シートが基材から剥離された状態において、前記第1剥離シートの他端部の一部と粘着面との間に空間が形成されていることが好ましい。
【0011】
前記第1剥離シートの前記所定方向の他端と、前記第1収集体の当該所定方向他端との距離が、以下の式(1)で定義される距離Lよりも短いことが好ましい。
L=(2.4/0.7)×d
(ただし、dは第1収集体の厚さである。)
【0012】
前記第1剥離シートの前記所定方向の他端と、前記第1収集体の当該所定方向他端との距離を1mm以上3mm以下とすることができる。
前記第1収集体の外形を、略立方体形状または略直方体形状としてもよい。
【0013】
前記第1収集体は、ゲル状部材からなるものとすることができる。
前記第2剥離シートは、前記第1収集体を覆う部分を含む第1剥離シートの一部を覆うように、前記粘着面に貼付されていてもよい。
【0015】
前記第2収集体は、ゲル状部材からなるものとすることができる。
前記第1収集体の前記所定方向他端と、前記第2収集体の前記所定方向一端との距離は、10mm以上20mm以下であってもよい。
前記第1剥離シートおよび第2剥離シートの被貼着面にシリコーン加工を施してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の体液収集具によれば、収集体に触れることなく剥離ライナーを容易に剥がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の体液収集具とともに用いられる穿刺具の一例の斜視説明図である。
図2図1に示される穿刺具に装着される微細針チップの斜視図である。
図3】穿刺具によって微細孔が形成された皮膚の断面説明図である。
図4】本発明の体液収集具の一実施の形態の平面説明図である。
図5図4に示される体液収集具の分解斜視図である。
図6図4に示される体液収集具の断面説明図である。
図7】体液収集具の使用方法を説明する図である。
図8】生体成分分析装置の外観を示す斜視説明図である。
図9】第1収集体を用いた発汗測定の原理を説明する図である。
図10】本発明の他の実施の形態に係る汗収集具の平面図である。
図11図10に示される汗収集具の分解斜視図である。
図12図10に示される汗収集具の断面説明図である。
図13】本発明の他の実施の形態に係る組織液収集具の平面図である。
図14図13に示される組織液収集具の分解斜視図である。
図15図13に示される組織液収集具の断面説明図である。
図16】汗収集具を被験者の皮膚Sに貼付する手順の説明図である。
図17】組織液収集具を被験者の皮膚Sに貼付する手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の体液収集具の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の体液収集具は、皮膚に形成された微細孔から組織液を収集する際に用いられるものであるが、まず、このような微細孔を形成する穿刺具について説明する。
【0019】
〔穿刺具〕
図1は、皮膚からの組織液の抽出を促進させるべく当該皮膚に微細孔を形成するために用いられる、微細孔形成装置である穿刺具200の一例の斜視説明図であり、図2は、図1に示される穿刺具200に装着される微細針チップ300の斜視図であり、図3は、穿刺具200によって微細孔が形成された皮膚Sの断面説明図である。
【0020】
図1〜3に示されるように、穿刺具200は、滅菌処理された微細針チップ300を装着して、当該微細針チップ300の微細針301を生体の表皮(被験者の皮膚S)に当接させることによって、被験者の皮膚Sに組織液の抽出孔(微細孔400)を形成する装置である。微細針チップ300の微細針301は、穿刺具200により微細孔400を形成した場合に、当該微細孔400が皮膚Sの表皮内にとどまり真皮までは到達しないような大きさを有する。
【0021】
図1に示されるように、穿刺具200は、円筒形状の筐体201と、この筐体201の上端表面に設けられたリリースボタン202と、筐体201の内部に設けられたアレイチャック203及びバネ部材204とを備えている。筐体201の下端の皮膚当接部205の下端面(皮膚に当接する面)には、前記微細針チップ300が通過可能な開口(図示せず)が形成されている。バネ部材204はアレイチャック203を穿刺方向に付勢する機能を有する。アレイチャック203は下端に微細針チップ300を装着することができる。微細針チップ300の下面には、複数の微細針301が形成されている。微細針チップ300の下面は、円形形状を呈している。また、穿刺具200は、アレイチャック203をバネ部材204の付勢力に逆らって上方(反穿刺方向)に押し上げた状態で固定する固定機構(図示せず)を有しており、使用者(被験者)がリリースボタン202を押下することにより、当該固定機構によるアレイチャック203の固定が解除され、バネ部材204の付勢力によって当該アレイチャック203が穿刺方向に移動し、前記開口から突出した微細針チップ300の微細針301が皮膚を穿刺するように構成されている。
【0022】
〔体液収集具〕
つぎに、前述した穿刺具200を用いて被験者の皮膚Sに形成された微細孔領域に貼付して、当該微細孔から抽出される体液を収集する体液収集具について説明する。
図4は、本発明の一実施の形態に係る体液収集具1の平面図であり、図5は、図4に示される体液収集具1の分解斜視図であり、図6図4に示される体液収集具1の断面説明図である。なお、本実施の形態に係る体液収集具1を構成するシートなどの要素は、非常に薄い部材であるので、図6においては、わかり易くするために、各要素の厚さ方向の寸法を誇張して描いている。
【0023】
体液収集具1は、被験者の皮膚Sに貼付される側(図5〜6において上側)から順に剥離シート2、第1および第2収集体3、4、及び基材5を備えている。
以下、各要素について説明する。
<剥離シート>
剥離シート2は、2枚の剥離シート、すなわち第1剥離シート2aと第2剥離シート2bとからなっている。第1剥離シート2aは、第1収集体3を覆うように前記基材5の粘着面上に剥離可能に貼付されており、第2剥離シート2bは、第2収集体4を覆うように前記基材5の粘着面上に剥離可能に貼付されている。
【0024】
第1剥離シート2aおよび第2剥離シート2bは、いずれも略矩形形状を呈しており、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィンなどの合成樹脂で作製することができる。第1剥離シート2aおよび第2剥離シート2bの厚さは、本発明において特に限定されるものではないが、通常、0.025〜0.100mm程度である。
【0025】
第1剥離シート2aおよび第2剥離シート2bの被貼着面(基材5の粘着面に貼付される側の面)には、当該剥離シートを粘着面から剥離可能にするためにシリコーンコーティング(シリコーン加工)が施されている。
【0026】
<収集体>
第1収集体3および第2収集体4は、4隅が面取りされた長方形状の基材5の粘着面上において当該基材5の所定方向である長手方向(図4および図6のA方向)に沿って互いに離間して配設されている。
【0027】
第1収集体3は、4隅が面取りされた長方形状を呈しており、微細孔が形成されていない被験者の皮膚S上に配設される。一方、第2収集体4は、円形形状を呈しており、被験者の皮膚Sの微細孔が形成された領域上に配設される。本実施の形態では、第1収集体3のサイズは7.1mm×12.2mmであり、厚さは0.7mmである。また、第2収集体4の直径は10mmであり、厚さは0.7mmである。第1収集体3の形状は長方形に限定されるものではなく、円形、正方形など他の形状とすることもできる。また、第2収集体4の形状やサイズは、皮膚Sに形成される微細孔領域の形状やサイズに合わせて選定することができ、本発明において特に限定されるものではない。さらに、第1収集体3および第2収集体4の厚さも本発明において特に限定されるものではないが、剥離シートにより覆う必要があることなどから、通常、0.05〜1.5mm程度の範囲で選定される。
【0028】
第1収集体3は、微細孔が形成されていない皮膚Sの領域からの汗を収集するために用いられる。一方、第2収集体4は、微細孔が形成された皮膚Sの領域からの組織液を収集するために用いられる。第1収集体3は、第2収集体4により収集された組織液を用いた測定ないし分析の結果の信頼性の判断や補正を行うために、微細孔を形成していない領域からの汗を収集する部材である。
【0029】
第1収集体3および第2収集体4は、被験者の皮膚から抽出した組織液を保持可能な保水性を有するゲルからなっており、抽出媒体としての純水を含有している。このゲルは、組織液や汗を収集することが可能であれば、本発明において特に限定されないが、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンからなる群より選ばれる少なくとも一種の親水性ポリマーから形成されたゲルが好ましい。ゲルを形成する親水性ポリマーは、ポリビニルアルコール単独またはポリビニルピロリドン単独であってもよく、両者の混合物であってもよく、ポリビニルアルコール単独またはポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの混合物であることがより好ましい。
【0030】
ゲルは、親水性ポリマーを水溶液中で架橋する方法により形成することができる。ゲルは、親水性ポリマーの水溶液を基材上に塗工して塗膜を形成し、該塗膜中に含まれる親水性ポリマーを架橋する方法により形成することができる。親水性ポリマーの架橋法としては、化学架橋法や放射線架橋法などがあるが、ゲル中に各種化学物質が不純物として混入し難い点で、放射線架橋法を採用することが望ましい。
【0031】
第1収集体3の前記所定方向(A方向)の他端と、第2収集体4の前記所定方向(A方向)の一端との間の距離x(図4参照)は、本発明において特に限定されるものではないが、測定値の補正などのために第1収集体3を用いるという観点より、第2収集体4から離れすぎると被験者の皮膚Sの状態が変化することもあるため、通常、3〜20mm程度であり、体液収集具1の取り扱い易さを考慮すると、10〜20mmであることが好ましい。
【0032】
<基材>
第1収集体3および第2収集体4が配設される基材5は、4隅が面取りされた長方形状を呈しており、その片面(第1収集体3および第2収集体4が配設される側の面)は、アクリル系粘着剤などの粘着剤が塗布された粘着面5aとされている。
【0033】
基材5は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、および、ポリウレタンなどの合成樹脂で作製することができる。その厚さは、本発明において特に限定されるものではないが、通常、0.005〜0.200mm程度である。
【0034】
本実施の形態では、図4および図6に示されるように、第2収集体4を覆う第2剥離シート2bの前記所定方向(A方向)の一端部2b1が、第1収集体3を覆う第1剥離シート2aの他端部2a1上に重ね合わされている。また、第1剥離シート2aの他端部2a1の一部が基材5の粘着面5aから離間して非貼付状態にされている。より詳細には、第1剥離シート2aの他端部2a1は、基材5の幅方向(図4のB方向)全体に亘って当該基材5の粘着面5aに貼付されておらず、幅方向の中央部分C(図4参照)では、基材5の粘着面5aから離間して非貼付状態にされている。換言すれば、第1剥離シート2aの他端部2a1の幅方向中央部分は、基材5の粘着面5aから離間することで当該粘着面5aとの間に空間を形成している。これにより、第1剥離シート2aの他端部の粘着面5aに対する粘着力を調整または抑制することができる。その結果、体液収集具1を被験者の皮膚Sに貼付するに際し、後述するように、当該第1剥離シート2aを容易に基材5から剥がすことができる。
【0035】
第1剥離シート2aの前記所定方向の他端2a2と、第1収集体3の当該所定方向の他端3aとの距離tは、前述した「非貼付状態」が確保される距離に設定される。かかる距離tは、第1剥離シート2aの材質や厚さ、さらには第1収集体3の厚さなどにより異なるが、第1剥離シート2aとして厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(被貼付面にシリコーンコーティング済み)を用い、基材5の粘着面5aの粘着力を4.0N/20mmとした場合、かかる距離tは次の式(1)で定義される距離Lよりも短いことが好ましいことが実験により確認されている。ただし、dは第1収集体3の厚さである。
L=2.4/0.7×d ・・・・・・(1)
【0036】
距離tの具体的な範囲は、例えば第1剥離シート2aとして厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(被貼付面にシリコーンコーティング済み)を用い、基材5の粘着面5aの粘着力を4.0N/20mmとした場合、通常、1〜3mmである。
【0037】
また、本実施の形態では、基材5の粘着面5aの第1収集体3側短辺に沿うように帯状のつまみ部7が設けられている。このつまみ部7は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、および、ポリウレタンなどの合成樹脂で作製された厚さ0.005〜1mm程度の部材である。第1剥離シート2aは、かかるつまみ部7も覆う形状であるが、このつまみ部7を覆う部分は基材5の粘着面5aと当接していないので非貼付状態にある。
【0038】
つまみ部7は、一方の面(図6において下側の面)が基材5の粘着面5aに貼付されており、他方の面は第1剥離シート2aと当接しているだけである。したがって、後述する手順に従い剥離シート2を基材5から剥がして、基材5を被験者の皮膚Sに貼付したとき、皮膚Sに当接する側の面となった前記つまみ部7の他方の面は、当該皮膚Sには貼着されない。その結果、かかるつまみ部7を利用することで体液収集後の基材5の皮膚Sからの引き剥がしを簡単に行うことができる。
【0039】
〔組織液収集方法〕
つぎに前述した体液収集具1を用いた組織液および汗の収集方法について説明する。
まず、被験者の皮膚Sをアルコールなどを用いて洗浄し、測定結果の攪乱要因となる物質(汗、塵など)を除去した後に、微細針チップ300を装着した穿刺具200により皮膚に微細孔を形成する。
【0040】
ついで、体液収集具1を被験者の皮膚Sに貼付する。図7は、体液収集具1を被験者の皮膚Sに貼付する手順の説明図である。まず第2剥離シート2bを基材5から引き剥がす(手順(a))。ついで、第2収集体4が被験者の皮膚Sの微細孔を形成した領域に位置するように、前記第2剥離シート2bを剥がすことで露出した基材5の粘着面5aを被験者の皮膚Sに貼付する(手順(b))。その後、第1剥離シート2aを第2収集体4側に折り返し(手順(c))、この折り返した状態から、第1剥離シート2aを被験者の皮膚Sに押し付けるようにしてスライドさせ、徐々に当該第1剥離シート2aで覆われていた粘着面5aを被験者の皮膚Sに貼付する(手順(d))。以上の手順により、体液収集具1を被験者の皮膚Sに貼付することができる。
【0041】
本実施の形態の体液収集具1では、剥離シートが2枚の剥離シート(第1剥離シート2aと第2剥離シート2b)からなっており、第2剥離シート2bの一端部2b1が第1剥離シート2aの他端部2a1上に重ね合わされている。また、第1剥離シート2aの他端部2a1の一部が基材5の粘着面5aから離間して非貼付状態にされている。したがって、前述したように、第2剥離シート2bの方を先に剥がし、露出した粘着面5aを皮膚に貼付し、ついで第1剥離シート2aを折り返し、さらに当該第1剥離シート2aを皮膚面に沿うようにスライドさせることで、第1及び第2収集体3、4に触れることなく容易に体液収集具1を被験者の皮膚Sに貼付することができる。
【0042】
体液収集具1を被験者の皮膚Sに貼付してから所定時間(例えば、180分間)が経過した後に、当該体液収集具1を被験者の皮膚Sから引き剥がす。
【0043】
第1収集体3に収集された組織液は、例えば図8に示される分析装置を用いて成分の分析が行われる。
図8は、生体成分分析装置の外観を示す斜視説明図である。この生体成分分析装置20は第2収集体4に収集された組織液に含まれるグルコース濃度およびナトリウムイオン濃度を取得するためのものである。生体成分分析装置20は、次のようにして使用される。まず、図8において、一点鎖線で示されるように、被験者の皮膚から取り外された体液収集具1のうち第2収集体4が配設された部分が切り離されて、分析用カートリッジ40に貼り付けられ、この分析用カートリッジ40が生体成分分析装置20のカートリッジ配置部22に配置される。生体成分分析装置20は、カートリッジ配置部22に配置された分析用カートリッジ40及びこれに貼付された部分(第2収集体4を含む)に対する所定の分析処理を実行し、第2収集体4に収集された組織液中のグルコース濃度およびナトリウムイオン濃度を取得する。
【0044】
生体成分分析装置20は、厚みのある直方体形状の筐体を備えており、筐体上面の天板には凹部21が形成されている。凹部21には、当該凹部21よりもさらに深く形成された凹部からなるカートリッジ配置部22が設けられている。さらに凹部21には、当該凹部21の側壁の高さとほぼ同じ厚みを有する可動天板23が連結されている。可動天板23は、支軸23aを中心に折り畳むことによって、図8に示される状態から凹部21内に収納し、又は凹部21に収納された状態から図8に示されるように起立させることができる。カートリッジ配置部22は、後述する分析用カートリッジ40を収納することができる大きさを有している。
【0045】
可動天板23は、凹部21に収納される方向に付勢されるように、支軸に支持されている。したがって、カートリッジ配置部22に配置された分析用カートリッジ40は、可動天板23によって上方から押さえつけられる。
【0046】
生体成分分析装置20は、その内部に送液部24及び廃液部25を備えている。送液部24は、カートリッジ配置部22に配置された分析用カートリッジ40に液体を送液するための機構であり、ニップル24aを介して、カートリッジ配置部22に配置された分析用カートリッジ40に液体を注入する。廃液部25は、送液部24によって分析用カートリッジ40に送液された液体が排出される機構であり、ニップル25aを介して、分析用カートリッジ40に注入された液体を排出する。
【0047】
さらに生体成分分析装置20は、グルコース検出部31と、ナトリウムイオン検出部32と、表示部33と、操作部34と、制御部35とを備えている。
【0048】
グルコース検出部31は、可動天板23の裏面、すなわち可動天板23が凹部21に収納されたときにカートリッジ配置部22と対向する側の面に設けられている。グルコース検出部31は、光を照射するための光源31aと、この光源31aによって照射された光の反射光を受光するための受光部31bとを備えている。これにより、グルコース検出部31は、カートリッジ配置部22に配置された分析用カートリッジ40に対して光を照射するとともに、照射された分析用カートリッジ40からの反射光を受光できるように構成されている。分析用カートリッジ40は、生体から収集された組織液中のグルコースと化学反応して変色し得るグルコース反応体41を含んでいる。グルコース検出部31は、このようなグルコースによる吸光度の変化を反射光に基づいて検出し、得られた反射光からグルコースを定量することが可能である。
【0049】
ナトリウムイオン検出部32は、カートリッジ配置部22の底面に設けられている。ナトリウムイオン検出部32は、カートリッジ配置部22の底面に設けられた長方形状を有する板状の部材を備え、この板状部材の略中央には一対のナトリウムイオン濃度測定用電極が設けられている。ナトリウムイオン濃度測定用電極は、ナトリウムイオン選択膜を備えた銀/塩化銀からなるナトリウムイオン選択性電極と、対電極である銀/塩化銀電極を含んでいる。
【0050】
制御部35は、生体成分分析装置20の内部に設けられており、CPU、ROM、RAMなどを含んでいる。CPUは、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の動作を制御する。RAMは、ROMに記憶されたプログラムが実行される際のプログラムの展開領域として利用される。
【0051】
つぎに、かかる構成を備えた生体成分分析装置20の動作について詳細に説明する。
組織液の収集が終了した体液収集具1の一部(第2収集体4を含む部分)が、分析用カートリッジ40の収容部に収容される。ついで、分析用カートリッジ40が、カートリッジ配置部22に配置される。
【0052】
測定の実行が指示されると、送液部24がニップル24aを介して分析用カートリッジ40の収容部に液体を注入し、収容部に液体が満たされる。この状態で所定時間放置されることにより、第2収集体4から液体へ、組織液中の成分が拡散する。
【0053】
所定時間が経過したら、送液部24は収容部に向けて空気を送り込む。空気が送り込まれると、収容部を満たしていた液体が、分析用カートリッジ40の下面に設けられた流路に送られ、さらに流路を介してグルコース反応体41に送られる。流路に送られた液体はナトリウムイオン検出部32と接触する。グルコース反応体41に送られた液体は、当該グルコース反応体41と反応し、グルコース反応体を変色させる。
【0054】
制御部35は、ナトリウムイオン濃度測定用電極に一定電圧を印加して電流値を取得し、得られた電流値と予め制御部35に記憶されている検量線とに基づいてナトリウムイオン濃度を取得する。
制御部35は、発色色素の発色前における受光部31bの受光量と、発色色素の発色後における受光部31bの受光量との変化量に基づいてグルコース濃度を取得する。
【0055】
一方、第1収集体3に収集された汗は、例えば図9に示される発汗測定装置を用いて測定することができる。
図9は、本実施形態の生体成分分析方法に用いられる発汗測定装置の概略説明図である。発汗測定装置60は、第1収集体3が載せられる基台60a、基台60aの上面に設けられた対向電極61a及び61b、交流電源62a、対向電極61a及び61b間の電圧を計測する電圧計62b、解析部60b及び表示部60cを備えている。基台60a上に第1収集体3が載置されると、対向電極61a及び61bが当該第1収集体3に差し込まれ、対向電極61aと61bとが第1収集体3を通じて短絡する。この状態で交流電源62aによって電圧が印加されると、対向電極61a及び61b間の電圧が電圧計62bによって計測される。解析部60bは、計測された電圧値と検量線とに基づいて、第1収集体3に収集されたナトリウムイオンの濃度を解析し、表示部に60cにナトリウムイオン濃度を表示させる。
【0056】
第1収集体3を用いて測定されたナトリウムイオン濃度は、第2収集体4を用いた組織液の測定の精度を高めるために利用することができる。例えば、測定されたナトリウムイオン濃度を所定の閾値と比較し、ナトリウムイオン濃度が当該閾値を超えたときは、第2収集体4を用いた組織液の測定を回避させ、ナトリウムイオン濃度が当該閾値よりも小さい場合に第2収集体4を用いた組織液の測定を行うことで、測定精度を高めることができる。または、ナトリウムイオン濃度が当該閾値を超えたときは、組織液の測定は行うが、その信頼性が低いことを測定結果とともに表示させるという利用方法も可能である。
【0057】
〔他の実施の形態〕
上記実施の形態においては、体液収集具には、第1収集体3および第2収集体4が設けられたが、本発明の体液収集具は、上記実施の形態に限定されない。例えば、第1収集体3および第2収集体4が、異なる体液収集具にそれぞれ設けられていてもよい。以下に、本発明の他の実施の形態に係る体液収集具について説明する。
【0058】
〔汗収集具71〕
図10は、本発明の他の実施の形態に係る汗収集具71の平面図であり、図11は、図10に示される汗収集具71の分解斜視図である。図12は、図10に示される汗収集具71の断面説明図である。なお、本実施の形態に係る汗収集具71を構成するシートなどの要素は、非常に薄い部材であるので、図12においては、わかり易くするために、各要素の厚さ方向の寸法を誇張して描いている。
【0059】
汗収集具71は、被験者の皮膚Sに貼付される側(図11図12において上側)から順に剥離シート72、汗収集体74、及び基材75を備えている。以下、各要素について説明する。
<剥離シート>
剥離シート72は、2枚の剥離シート、すなわち第1剥離シート72aと第2剥離シート72bとからなっている。第1剥離シート72aは、汗収集体74を覆うように基材75の粘着面上に剥離可能に貼付されている。第2剥離シート72bは、汗収集体74及び第1剥離シート72aの一部(すなわち、汗収集体74を覆う部分を含む第1剥離シート72aの一部)を覆うように基材75の粘着面上に剥離可能に貼付されている。第1剥離シート72aおよび第2剥離シート72bの形状、構成材料、及び、厚さは、上記した第1剥離シート2a及び第2剥離シート2bと略同様である。第1剥離シート72aおよび第2剥離シート72bの被貼着面(基材75の粘着面に貼付される側の面)には、当該剥離シートを粘着面から剥離可能にするためにシリコーンコーティング(シリコーン加工)が施されている。
【0060】
<収集体>
汗収集体74は、4隅が面取りされた長方形状の基材75の粘着面上において、略中央に配設されている。汗収集体74は、微細孔が形成されていない皮膚Sの領域からの汗を収集するために用いられ、上記した第1収集体3と同様のものを使用できる。
【0061】
<基材>
基材75は、上記した基材5と同様のものを使用できる。
【0062】
本実施の形態では、図10および図12に示されるように、第2剥離シート72bの前記所定方向(A方向)の一端部72b1が、汗収集体74を覆う第1剥離シート72aの他端部72a1上に重ね合わされている。また、第1剥離シート72aの他端部72a1の一部が基材75の粘着面75aから離間して非貼付状態にされている。より詳細には、第1剥離シート72aの他端部72a1は、基材5の幅方向(図10のB方向)全体に亘って当該基材75の粘着面75aに貼付されておらず、幅方向の中央部分D(図10参照)では、基材75の粘着面75aから離間して非貼付状態にされている。換言すれば、第1剥離シート72aの他端部72a1の幅方向中央部分は、基材75の粘着面75aから離間することで当該粘着面75aとの間に空間を形成している。これにより、第1剥離シート72aの他端部の粘着面75aに対する粘着力を調整または抑制することができる。その結果、体液収集具71を被験者の皮膚Sに貼付するに際し、後述するように、当該第1剥離シート72aを容易に基材5から剥がすことができる。
【0063】
第1剥離シート72aの前記所定方向の他端72a2と、汗収集体74の当該所定方向の他端74aとの距離t2は、上記した距離tと同様にして、前述した「非貼付状態」が確保される距離に設定される。
つまみ部77は、上記したつまみ部7と同様の構成である。
【0064】
〔組織液収集具81〕
図13は、本発明の他の実施の形態に係る組織液収集具81の平面図であり、図14は、図13に示される組織液収集具81の分解斜視図である。図15は、図13に示される組織液収集具81の断面説明図である。なお、本実施の形態に係る組織液収集具81を構成するシートなどの要素は、非常に薄い部材であるので、図15においては、わかり易くするために、各要素の厚さ方向の寸法を誇張して描いている。
【0065】
組織液収集具81は、被験者の皮膚Sに貼付される側(図14図15において上側)から順に剥離シート82、組織液収集体83、及び基材85を備えている。以下、各要素について説明する。
【0066】
<剥離シート>
剥離シート82は、2枚の剥離シート、すなわち第1剥離シート82aと第2剥離シート82bとからなっている。第1剥離シート82aは、組織液収集体83を覆うように基材85の粘着面上に剥離可能に貼付されている。第2剥離シート82bは、組織液収集体83及び第1剥離シート82aの一部(すなわち、組織液収集体83を覆う部分を含む第1剥離シート82aの一部)を覆うように基材85の粘着面上に剥離可能に貼付されている。第1剥離シート82a及び第2剥離シート82bの形状、構成材料、及び、厚さは、第1剥離シート82aの組織液収集体83を覆う側の端部の形状が円形状になっていることを除き、上記した第2剥離シート2b及び第1剥離シート2aと略同様である。第1剥離シート82aおよび第2剥離シート82bの被貼着面(基材85の粘着面に貼付される側の面)には、当該剥離シートを粘着面から剥離可能にするためにシリコーンコーティング(シリコーン加工)が施されている。
【0067】
<収集体>
組織液収集体83は、4隅が面取りされた長方形状の基材85の粘着面上において、略中央に配設されている。組織液収集体83は、微細孔が形成された皮膚Sの領域からの組織液を収集するために用いられ、上記した第2収集体4と同様のものを使用できる。
【0068】
<基材>
基材85は、上記した基材5と同様のものを使用できる。
【0069】
本実施の形態では、図13および図15に示されるように、第2剥離シート82bの前記所定方向(A方向)の他端部82b1が、組織液収集体83を覆う第1剥離シート82aの一端部82a1上に重ね合わされている。また、第1剥離シート82aの一端部82a1の一部が基材85の粘着面85aから離間して非貼付状態にされている。より詳細には、第1剥離シート82aの一端部82a1は、基材5の幅方向(図13のB方向)全体に亘って当該基材85の粘着面85aに貼付されておらず、幅方向の中央部分E(図13参照)では、基材85の粘着面85aから離間して非貼付状態にされている。換言すれば、第1剥離シート82aの一端部82a1の幅方向中央部分は、基材85の粘着面85aから離間することで当該粘着面85aとの間に空間を形成している。これにより、第1剥離シート82aの一端部の粘着面85aに対する粘着力を調整または抑制することができる。その結果、組織収集具81を被験者の皮膚Sに貼付するに際し、後述するように、当該第1剥離シート82aを容易に基材85から剥がすことができる。
【0070】
第1剥離シート82aの前記所定方向の一端82a2と、組織液収集体83の当該所定方向の一端83aとの距離t3は、上記した距離tと同様にして、前述した「非貼付状態」が確保される距離に設定される。
つまみ部87は、上記したつまみ部7と同様の構成である。
【0071】
〔汗収集具71の貼付方法〕
図16は、汗収集具71を被験者の皮膚Sに貼付する手順の説明図である。まず第2剥離シート72bを基材75から引き剥がす(手順(a))。ついで、第2剥離シート72bを剥がすことで露出した基材75の粘着面75aを被験者の皮膚Sに貼付する(手順(b))。このとき、汗収集体74が被験者の皮膚Sの微細孔を形成した領域近傍に位置するように、粘着面75aの貼付位置を調整する。その後、第1剥離シート72aを、上記貼付位置側に折り返し(手順(c))、この折り返した状態から、第1剥離シート72aを被験者の皮膚Sに押し付けるようにしてスライドさせ、徐々に当該第1剥離シート72aで覆われていた粘着面75aを被験者の皮膚Sに貼付する(手順(d))。以上の手順により、汗収集具71を被験者の皮膚Sに貼付することができる。
【0072】
〔組織液収集具81の貼付方法〕
図17は、組織液収集具81を被験者の皮膚Sに貼付する手順の説明図である。まず第2剥離シート82bを基材85から引き剥がす(手順(a))。ついで、第2剥離シート82bを剥がすことで露出した基材85の粘着面85aを被験者の皮膚Sに貼付する(手順(b))。このとき、組織液収集具81全体を貼付したときに、組織液収集体83が被験者の皮膚Sの微細孔を形成した領域に位置するように、粘着面85aの貼付位置を調整する。その後、第1剥離シート82aを、上記貼付位置側に折り返し(手順(c))、この折り返した状態から、第1剥離シート82aを被験者の皮膚Sに押し付けるようにしてスライドさせ、徐々に当該第1剥離シート82aで覆われていた粘着面85aを被験者の皮膚Sに貼付する(手順(d))。以上の手順により、組織液収集具81を被験者の皮膚Sに貼付することができる。
【0073】
〔その他の変形例〕
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、前述した実施の形態では、基材の長手方向端部につまみ部を設けているが、このつまみ部は省略することもできる。
また、上記した実施の形態において、第1収集体3は、微細孔が形成されていない皮膚Sの領域からの汗を収集し、第2収集体4は、微細孔が形成された皮膚Sの領域からの組織液を収集したが、その逆であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 体液収集具
2,72,82 剥離シート
2a,72a,82a 第1剥離シート
2b,72b,82b 第2剥離シート
3 第1収集体
4 第2収集体
5,75,85 基材
5a,75a,85b 粘着面
7,77,87 つまみ部
20 生体成分分析装置
71 汗収集具
81 組織液収集具
74 汗収集体
83 組織液収集体
200 穿刺具
205 皮膚当接部
300 微細針チップ
301 微細針
400 微細孔
S 皮膚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17