特許第6130138号(P6130138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130138
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】自動二輪車の燃料タンクカバー
(51)【国際特許分類】
   B62J 35/00 20060101AFI20170508BHJP
   B62H 5/08 20060101ALI20170508BHJP
   B62J 6/16 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   B62J35/00 F
   B62J35/00 D
   B62H5/08
   B62J6/16
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-282409(P2012-282409)
(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-125059(P2014-125059A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】國貞 洋平
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−161016(JP,A)
【文献】 特開2012−076650(JP,A)
【文献】 米国特許第06237710(US,B1)
【文献】 米国特許第05884380(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームに支持された燃料タンクの上部を覆う燃料タンクカバーであって、
前記燃料タンクの前端部から後端部にかけて車幅方向の中央部を覆い、かつ
前部に燃料タンクの前方に配置されたキーシリンダの前記車体フレームへの取付部を覆う遮蔽部を有し、
前記前部が前記燃料タンクに締結部材により取り付けられ、後部が前記燃料タンクにおける前記車体フレームに連結された後端取付座に締結部材で取り付けられている自動二輪車の燃料タンクカバー。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料タンクカバーにおいて、前記前部が、前記キーシリンダの左右両側方および後方から上方に延びて、前記キーシリンダとの間の隙間を覆う立上り壁を有する自動二輪車の燃料タンクカバー。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃料タンクカバーにおいて、前記遮蔽部に、前記燃料タンクの両側部を覆うタンクサイドカバーに設けた前端被係止部に係止する前端係止部が設けられた自動二輪車の燃料タンクカバー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料タンクカバーにおいて、前記燃料タンクカバーの前後方向の中間部に、前記燃料タンクに設けた中間被係止部に係止する中間係止部が設けられた自動二輪車の燃料タンクカバー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料タンクカバーにおいて、前記キーシリンダに設けた前部被係止部に係止する前部係止部が設けられた自動二輪車の燃料タンクカバー。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料タンクカバーにおいて、燃料注入口を開閉するタンクキャップを露出させるキャップ開口が設けられた自動二輪車の燃料タンクカバー。
【請求項7】
請求項6に記載の燃料タンクカバーにおいて、前記キャップ開口の開口縁部と前記燃料タンクとの間にシール部材が介装されている自動二輪車の燃料タンクカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクの上側の一部を覆うことで外観を向上させた自動二輪車の燃料タンクカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動二輪車において、燃料タンクの上側をタンクカバーで覆ったものがある(特許文献1)。また、燃料タンクの給油キャップの周りだけをタンクカバーで覆ったものがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−250664号公報
【特許文献2】特開昭61−50885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のタンクカバーは、燃料タンク全体を上側から覆うものであるので、給油口を除く燃料タンクの大部分が隠れてしまい、外部からはタンクカバーのみが見える単調なデザインとなり、自動二輪車における燃料タンクの外観の向上という点では満足のいくものではなかった。また、パーツとしてのタンクカバーが大形化し、その取扱いや保管、収納の点で劣るうえ、金型代を含めた材料コストも高い。さらに、燃料タンクの前方に位置するキーシリンダの取付部がタンクカバーで覆われない構造なので、前記取付部が外部から見えるため、見る者に雑然とした印象を与え、燃料タンク周辺の外観を低下させていた。特許文献2の燃料タンクカバーは、燃料タンクの給油キャップの周りだけを覆うにすぎず、残された燃料タンクの多くの部分はタンクカバーで覆われないので、外観の向上という点でやはり満足のいくものではなかった。
【0005】
本発明の目的は、燃料タンクの上側の一部のみを覆うことで自動二輪車における燃料タンクの外観を向上させることができる自動二輪車の燃料タンクカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明にかかる自動二輪車の燃料タンクカバーは、車体フレームに支持された燃料タンクの上部を覆う燃料タンクカバーであって、前記燃料タンクの前端部から後端部にかけて車幅方向の中央部を覆い、かつ前部に、前記燃料タンクの前方に配置されたキーシリンダの車体フレームへの取付部を覆う遮蔽部を有する。ここで、前記中央部とは、平面視で前後方向中心線Cを含み、燃料タンクの最大幅の2/3以下、好ましくは1/2以下の幅を持つ領域をいう。
【0007】
この構成によれば、燃料タンクカバーにより燃料タンクの上側の一部である前端部から後端部にかけての中央部だけが覆われるから、燃料タンクカバーの両側に燃料タンクの上面が露呈し、燃料タンク自体のもつ質感や風合いを残したまま、前記燃料タンクカバーの質感や風合いを強調でき、このような燃料タンクと燃料タンクカバーとによる相乗効果により独特の外観が付与される。燃料タンクと燃料タンクカバーを異なる色に着色することで、さらに外観を向上させることができる。また、燃料タンクカバーの遮蔽部によってキーシリンダの車体フレームへの取付部が覆われて外部から見えないので、燃料タンク周辺の外観も向上する。
【0008】
本発明において、前記前部が前記キーシリンダの左右両側方および後方から上方に延びて、前記キーシリンダとの間の隙間を覆う立上り壁を有するのが好ましい。この構成によれば、キーシリンダの両側方および後方の隙間が覆われるので、キーシリンダ周りの外観が向上する。
【0009】
本発明において、前記前部が前記燃料タンクに締結部材により取り付けられ、後部が前記燃料タンクの後方で前記車体フレームに取り付けられていることが好ましい。この構成によれば、燃料タンクカバーの前部は燃料タンクに取り付けられているので、燃料タンクカバーを前方下方に延ばして車体フレームに取り付ける必要がなくなり、燃料タンクカバーを短くすることができる。また、燃料タンクカバーの後部は剛性の高い車体フレームに取り付けられているので、取付けが強固になる。この後部の取付部分はライダー用シートで隠れるので、外観を損なわない。
【0010】
本発明において、前記遮蔽部に、前記燃料タンクの両側部を覆うタンクサイドカバーに設けた前端被係止部に係止する前端係止部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、遮蔽部がタンクサイドカバーに係止されることで、直射光や外気の影響を受けて遮蔽部が反り返るのを防止できる。また、遮蔽部の前端係止部を例えば突片とし、前端被係止部を例えばスリット状の孔とすることにより、係止部分が外部から見えず隠れた状態となるので、燃料タンクの外観を損なうことがない。
【0011】
本発明において、前記燃料タンクカバーの前後方向の中間部に、前記燃料タンクに設けた中間被係止部に係止する中間係止部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、燃料タンクカバーが前述した前部および後部のみならず、前後方向の中間部でも燃料タンクに係止されることで、燃料タンクカバーの取付状態が強固となる。
【0012】
本発明において、前記燃料タンクカバーに、前記キーシリンダに設けた前部被係止部に係止する前部係止部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、燃料タンクカバーが前述の遮蔽部、後部および中間部に加え、前部係止部でもキーシリンダの前部被係止部で係止されるので、燃料タンクカバーの取付状態がより一層強固となる。
【0013】
本発明において、前記燃料タンクカバーに、前記燃料注入口を開閉するタンクキャップを露出させるキャップ開口が設けられていることが好ましい。この構成によれば、燃料タンクカバーにはタンクキャップを露呈させるための開閉機構を設ける必要がなくなるので、燃料タンクカバーの構造が簡略化される。
【0014】
本発明において、さらに、前記キャップ開口の開口縁部と前記燃料タンクとの間にシール部材が介装されていることが好ましい。この構成によれば、燃料注入口から燃料タンク内への給油時、燃料タンク内からの燃料の跳ね返りがあっても、燃料タンクと燃料タンクカバーとの間の隙間に燃料が漏れ出すのを、前記シール部材によって効果的に防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、燃料タンクカバーにより燃料タンクの上側の一部である前端部から後端部にかけて車幅方向の中央部だけが覆われるから、燃料タンクカバーの両側に燃料タンクの上面が露呈し、燃料タンク自体のもつ質感や風合いを残したまま、前記燃料タンクカバーの質感や風合いを強調でき、このような燃料タンクと燃料タンクカバーとによる相乗効果により、燃料タンクの外観が向上する。また、燃料タンクカバーの遮蔽部によってキーシリンダの車体フレームへの取付部が覆われて外部から見えないので、燃料タンク周辺の外観も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態にかかる自動二輪車を示す側面図である。
図2】同自動二輪車の要部である燃料タンクとその周辺を示す前方斜視図である。
図3】同自動二輪車の要部である燃料タンクを示す平面図である。
図4】同自動二輪車の要部である燃料タンクとその周辺を示す分解斜視図である。
図5】燃料タンクカバーを裏面側から見た斜視図である。
図6図2におけるVI部分の拡大斜視図である。
図7】燃料タンクカバーの後部とリヤフレームとの取付部位を示す後方斜視図である。
図8】燃料タンクの給油口近傍を示す斜視図である。
図9】燃料タンクの給油口近傍を拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。本明細書において、「左側」および「右側」は、車両に乗車した操縦者から見た左右側をいう。図1は、本発明が適用される自動二輪車の側面図を示す。この自動二輪車は、車体フレームFRの前半部を構成するメインフレーム1と、メインフレーム1の後部に連結されて車体フレームFRの後半部を構成するリヤフレーム2とを有する。このメインフレーム1の前端にヘッドパイプ3が取り付けられ、このヘッドパイプ3に回動自在に挿通されたステアリングシャフト(図示せず)にトップブリッジ4およびボトムブリッジ5が取り付けられ、これらブリッジ4,5にフロントフォーク8が支持されている。このフロントフォーク8の下端部に前輪9が支持されている。フロントフォーク8の上端部のトップブリッジ4にハンドル10が取り付けられている。
【0018】
前記メインフレーム1の後端部には、スイングアームブラケット11が設けられ、このスイングアームブラケット11に、スイングアーム12が、前端部に挿通されたピボット軸13を介して上下揺動自在に支持されている。このスイングアーム12の後端部には後輪14が支持されている。メインフレーム1の中央下部にはエンジンEが支持され、このエンジンEが、車体左側に配置されたチェーンのような動力伝達機構16を介して後輪14を駆動する。
【0019】
前記リヤフレーム2にライダー用シート22が支持され、その後方に同乗者用シート24が設けられている。メインフレーム1の上部、つまり、車体上部で、前記ハンドル10とライダー用シート22との間には、金属製の燃料タンク25が図示しない取付部材により取り付けられ、この燃料タンク25の上部の一部が樹脂製の燃料タンクカバー26で覆われ、燃料タンク25の前部側方が樹脂製のタンクサイドカバー27で覆われている。タンクサイドカバー27は、その下縁部が係止構造によってロワーカウル31の上縁部に係止されている。前記ハンドル10の前方から車体前部の側方にかけての部分は樹脂製の、アッパカウリング30により覆われ、ハンドル10の後方において、車体前部の側方および下方は、樹脂製のロワーカウル31により覆われている。
【0020】
ハンドル10の後方で燃料タンク25の前方には、キーシリンダ35が配置されている。前記ライダーシート22の下方は車体サイドカバー32により両側方から覆われ、同乗者シート24の周囲は樹脂製のリヤシートカバー34により覆われている。
【0021】
図2に示すように、燃料タンクカバー26は燃料タンク25の前端部から後端部にかけて車幅方向の中央部を覆っている。燃料タンク25の中央部とは、図3に示す平面視で燃料タンク25の前後方向中心線Cを含み、その幅、つまり、燃料タンクカバー26の幅W1が、燃料タンク25の最大幅W2の2/3以下であり、好ましくは1/2以下である領域をいう。燃料タンクカバー26は前後方向中心線Cを挟んで左右対称であり、その前部にはキーシリンダ35の車体フレームFRへの取付部50(図4)を覆う左右一対の遮蔽部36が設けられている。
【0022】
図4により、燃料タンク25の前部のキーシリンダ35の取付構造を説明する。キーシリンダ35は、その前部と両側部がキーシリンダカバー82で覆われ、後部に左右方向に長いプレート状の取付片80が固定されている。燃料タンク25に溶接で固定されたステー85に、プレート状の取付片80がねじ体81でねじ止めされることで、キーシリンダ35が燃料タンク25に支持されている。また、プレート状の取付片80には、後述する燃料タンクカバー26の前部係止部56(図5)が係止されるダンパーからなる前部被係止部41が、取付片80を貫通して取り付けられている。
【0023】
前記キーシリンダカバー82はその側部下端に取付座83を有し、この取付座83に
挿通したねじ体84を、メインフレーム1のクロスメンバー87に取り付けられたブラケット88のねじ孔(溶接ナット)89に螺合することにより、キーシリンダカバー82の下部がメインフレーム1に支持されている。このように、キーシリンダ35は燃料タンク25とメインフレーム1とで強固に支持されている。ここで、キーシリンダ35の周囲の前部被係止部41、プレート状の取付片80およびねじ体81,84を含むキーシリンダ取付部50が36により覆われて外方へ露出しない。前記取付座83の前面には、図2に示すボルト29により、タンクサイドカバー27の前部が取り付けられる。また、前記燃料タンクカバー26の後部は、後端取付部37が燃料タンク25の後部にねじ止めにより取り付けられており、詳しくは後述する。
【0024】
図4に示すように、燃料タンクカバー26は、側面視で上方に湾曲した弓形であり、前部にキーシリンダ35の左右両側方および後方から上方に延びて、キーシリンダ35との間の隙間を覆う立上り壁39を備え、その後方のカバー頂部に、タンクキャップ40を露出させるキャップ開口38が設けられている。また、燃料タンクカバー26の遮蔽部36に前端係止部(突片)54が、立上り壁39とキャップ開口38の間にねじ挿通孔38aが、後端取付部37には左右一対のねじ挿通孔37aが、それぞれ形成されている。
【0025】
また、燃料タンクカバー26の裏面には、図5に示すように、前部に左右一対の前部係止部(突起)56,56が設けられ、キャップ開口38の後方の前後方向中間部に係止突起からなる左右一対の中間係止部(突起)57,57が設けられている。また、前記一対の中間係止部57,57と後部の後端取付部37との間には、複数対のシートファスナー(商品名:マジックテープ(登録商標))55が設けられている。
【0026】
図4の燃料タンク25の前端部から後端部にかけて車幅方向の中央部上面には、燃料タンクカバー26を係止するための係止手段として、前部より順次、ナット42、中間被係止部43、後端取付座44が設けられ、前記中間被係止部43と後端取付座44との間に、複数対のシートファスナー45が貼り付けられている。ナット42は燃料タンク25に固定された取付台47に溶接されている。中間被係止部43は燃料タンク25に設けた凹所43aを跨ぐブリッジ片43bに形成された係止孔からなる。
【0027】
図5の前部係止部56,中間係止部57は、図4の取付片80に取り付けられた前部被係止部41とダンパーからなる中間被係止部43とにそれぞれ係止され、図5シートファスナー55,55は図4のシートファスナー45,45に係止される。ねじ挿通孔38aにはねじ体38b(図2)が挿通され、ナット42に螺合される。
【0028】
図6に示すように、タンクサイドカバー27の前端上縁部には、燃料タンクカバー26の前端部の両側端に設けた一対の突片54,54(図5)を嵌め込んで係止するスリットからなる前端被係止部28が設けられており、前端被係止部28の入口には前記一対の突片54,54を嵌め込みやすくするためのガイド片33が設けられている。
【0029】
図7は、燃料タンクカバー26の後部とリヤフレーム2との取付部位を示す。同図に示すように、リヤフレーム2の一部である一対のシートレール2a,2aの間に支持部材49がねじ止めして架け渡されている。この支持部材49に設けた筒状部51の内側に筒形の防振用ダンパー(図示せず)が挿入され、そのダンパーの両端部に燃料タンク25の後端取付座44がボルトのような締結部材52によって連結され、この後端取付座44に燃料タンクカバー26の後端取付部37が、ねじ体からなる締結部材23で取り付けられている。
【0030】
図8は、燃料タンクカバー26を除いた燃料タンク25の給油口近傍の斜視図であって、燃料注入口65を開閉するタンクキャップ40(図2)を取り外した状態を示す。同図に示すように、燃料タンク25に形成されたタンク開口60の周縁部60aの内側にフィラー62が溶接で固定されており、このフィラー62に、リング状のシール保持部材64が複数の締結部材、例えば5本のボルト66により取り付けられて、タンク開口60の周縁部60aの上面に載置されている。なお、図8では2本のボルト66のみが示されている。
【0031】
図9に示すように、ボルト66はタンクキャップ40、スペーサ68およびカラー70に挿通されて、フィラー62に溶接で固定した袋ナット72に螺合されて、フィラー62に取り付けられている。カラー70は、図8のシール保持部材64の突片64aに溶接で固定されており、ボルト66のフィラー62への取り付けによってフィラー62の上面に載置される。シール保持部材64に被さる形で、対油性(例えばゴム材)のシール部材74が保持されており、このシール部材74がタンクキャップ40の外周面40aに接触して、タンクキャップ40と燃料タンクカバー26のキャップ開口38との間、およびキャップ開口38の開口縁部と燃料タンク25側のフィラー62の周縁部60aとの間をシールする。
【0032】
フィラー62には、環状のキャップ受け76が形成されており、前記ボルト66の取り付けによって、タンクキャップ40が環状のシール材78を介してキャップ受け76に押し付けられることで、フィラー62との間、つまり、燃料タンク25との間がシールされている。フィラー62には、給油時の燃料の跳ね返りを防止するバッフル90が取り付けられており、バッフル90に給油ガンの挿入孔92が形成されている。
【0033】
上記構成において、図2に示すように、燃料タンクカバー26により燃料タンク25の上側の一部である前端部から後端部にかけての中央部だけが覆われるから、燃料タンクカバー26の両側に燃料タンク25の上面が露呈し、燃料タンク25自体のもつ質感や風合いを残したまま、前記燃料タンクカバー26の質感や風合いを強調でき、このような燃料タンク25と燃料タンクカバー26とによる相乗効果により独特の外観が付与される。燃料タンク25と燃料タンクカバー26を異なる色に着色することで、さらに外観を向上させることができる。また、燃料タンクカバー26の遮蔽部36によってキーシリンダ35の車体フレームFRへの取付部が覆われて外部から見えないので、燃料タンク25周辺の外観も向上する。
【0034】
また、燃料タンクカバー26の前部がキーシリンダ35の左右両側方および後方から上方に延びて、前記キーシリンダ35との間の隙間を覆う立上り壁39を有するので、キーシリンダ35周りの外観が向上する。
【0035】
また、燃料タンクカバー26の前部が燃料タンク25に締結部材38bにより取り付けられているので、燃料タンクカバー26を前方下方に延ばして車体フレームFRに取り付ける必要がなくなり、燃料タンクカバー26を短くすることができる。燃料タンクカバー26の後部は、燃料タンク25の後方で締結部材23によって、燃料タンク25の後端取付座44(図4)を介して剛性の高い車体フレームFRに取り付けられているので、取付けが強固になる。この後部の取付部分はライダー用シート24(図1)で隠れるので、外観を損なわない。
【0036】
図5に示す燃料タンクカバー26の遮蔽部36に設けた前端係止部54を図6の前端被係止部28に係止することにより、図5の遮蔽部36がタンクサイドカバー27に連結されることで、直射光や外気の影響を受けて遮蔽部36が反り返るのを防止できる。また、遮蔽部36の前端係止部54を例えば突片とし、図6の前端被係止部28を例えばスリット状の孔とすることにより、係止部分が外部から見えず隠れた状態となるので、図2の燃料タンク25の外観を損なうことがない。
【0037】
また、図5の燃料タンクカバー26の前後方向の中間部に設けた中間係止部57が図4の燃料タンク25に設けた中間被係止部(ダンパー)43に係止するので、燃料タンクカバー26が前述した前部および後部のみならず、前後方向の中間部でも係止されることで、燃料タンクカバー26の取付状態が強固となる。
【0038】
さらに、図5の燃料タンクカバー26の前部係止部56が、図4のキーシリンダ35に設けた前部被係止部41に係止するので、燃料タンクカバー26が前端の遮蔽部36、後部および中間部に加え、図6の前部係止部56でも図4のキーシリンダ35の前部被係止部41に係止されるので、燃料タンクカバー26の取付状態がより一層強固となる。
【0039】
また、燃料タンクカバー26に、タンクキャップ40を露出させるキャップ開口38が設けられているので、燃料タンクカバー26にはタンクキャップ40を露呈させるための開閉機構を設ける必要がなくなるので、燃料タンクカバー26の構造が簡略化される。
【0040】
さらに、図9のキャップ開口38の開口縁部と燃料タンク25側のタンク開口60の周縁部60aとの間が、シール保持部材64に保持されたシール部材74によってシールされているので、燃料注入口65から燃料タンク25内への給油時に、燃料タンク25内からの燃料の跳ね返りがあっても、燃料タンク25と燃料タンクカバー26との間の隙間に燃料が漏れ出すのを効果的に防止できる。
【0041】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1…メインフレーム
2…リヤフレーム
25…燃料タンク
26…燃料タンクカバー
26a…前端係止部
28…前端被係止部
35…キーシリンダ
36…遮蔽部
37…後端取付部
38…キャップ開
9…立上り壁
40…タンクキャップ
41…前部被係止部
42…ナット
43…中間被取付部
44…後端取付座
50…キーシリンダ取付部
54…前端係止部
56…前部係止部
57…中間係止部
74…シール部材
FR…車体フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9