(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130140
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】飲料用簡易コップ
(51)【国際特許分類】
B65D 25/34 20060101AFI20170508BHJP
A47G 23/02 20060101ALI20170508BHJP
B65D 81/38 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
B65D25/34 A
A47G23/02 A
B65D81/38 R
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-285475(P2012-285475)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-125260(P2014-125260A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】510303707
【氏名又は名称】有限会社ユタカ産業
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(74)【代理人】
【識別番号】100154760
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 正男
(72)【発明者】
【氏名】豊村 恵庸
【審査官】
家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭49−048262(JP,U)
【文献】
特開2001−039431(JP,A)
【文献】
特開2004−315066(JP,A)
【文献】
特開2005−263295(JP,A)
【文献】
実開平06−039778(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D23/00−25/56
B65D81/38
B65D 3/22
A47G23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状で且つ下方に向かうにつれて半径が徐々に小さくなる胴部を含むコップ本体と、その外側に嵌合するカバーとが、変形可能な薄肉のプラスチックから形成され、
カバーは、コップ本体の胴部及び底面部を外側から覆う周壁と底壁とを備え、
周壁は、コップ本体に密接する接触部と、コップ本体から離隔する非接触部を備え、
底壁は、接触部と非接触部のうち少なくとも一方を備え、
周壁の接触部は、コップ本体の上端部全周に亘る上端接触部と、上端接触部から下側に離隔した位置において周方向に間隔をあけて設けられる中接触部を備え、
周壁の非接触部は、上端接触部の下側においてコップ本体の上部全周に亘る上非接触部と、上非接触部から下側に連続する中非接触部を備え、中非接触部を周方向に隣り合う中接触部の間に設け、
上非接触部と、その下において周方向に隣り合う一対の中非接触部と、当該一対の中非接触部の間に位置する中接触部によって、溝部が下向きに延長して形成されることを特徴とする飲料用簡易コップ。
【請求項2】
周壁の下端部は、コップ本体よりも下側に延長すると共に、コップ本体の下端部全周に亘る下端非接触部であり、
底壁は、非接触部のみから構成されることを特徴とする請求項1記載の飲料用簡易コップ。
【請求項3】
コップ本体とその外側に嵌合するカバーとが変形可能な薄肉のプラスチックから形成され、
カバーは、コップ本体の胴部及び底面部を外側から覆う周壁と底壁とを備え、
周壁は、コップ本体に密接する接触部と、コップ本体から離隔する非接触部を備え、
底壁は、接触部と非接触部のうち少なくとも一方を備え、
周壁の接触部は、コップ本体の上端部全周に亘る上端接触部と、上端接触部から下側に離隔した位置において周方向に間隔をあけて設けられる中接触部を備え、
周壁の非接触部は、上端接触部の下側においてコップ本体の上部全周に亘る上非接触部と、上非接触部から下側に連続する中非接触部を備え、中非接触部を周方向に隣り合う中接触部の間に設け、
上非接触部と、その下において周方向に隣り合う一対の中非接触部と、当該一対の中非接触部の間に位置する中接触部によって、溝部が下向きに延長して形成され、
周壁の接触部は、中接触部よりも下側において設けられる下接触部を備えていることを特徴とする飲料用簡易コップ。
【請求項4】
下接触部は、コップ本体の全周に亘って設けられることを特徴とする請求項3記載の飲料用簡易コップ。
【請求項5】
コップ本体とその外側に嵌合するカバーとが変形可能な薄肉のプラスチックから形成され、
カバーは、コップ本体の胴部及び底面部を外側から覆う周壁と底壁とを備え、
周壁は、コップ本体に密接する接触部と、コップ本体から離隔する非接触部を備え、
底壁は、接触部と非接触部のうち少なくとも一方を備え、
周壁の接触部は、コップ本体の上端部全周に亘る上端接触部と、上端接触部から下側に離隔した位置において周方向に間隔をあけて設けられる中接触部を備え、
周壁の非接触部は、上端接触部の下側においてコップ本体の上部全周に亘る上非接触部と、上非接触部から下側に連続する中非接触部を備え、中非接触部を周方向に隣り合う中接触部の間に設け、
上非接触部と、その下において周方向に隣り合う一対の中非接触部と、当該一対の中非接触部の間に位置する中接触部によって、溝部が下向きに延長して形成され、
コップ本体の下端部とカバーの下端部とに、両下端部を連結するための凹部と凸部からなるスナップ式の連結部が設けられ、
凸部は、コップ本体の底面部と、底面部に向かって末広がりのテーパ状となる胴部下端部とを備えるもので、
凹部は、カバーの底壁と、底壁へ向かって末広がりのテーパ状となる周壁下端部とを備えるものであることを特徴とする飲料用簡易コップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コップ本体の外側をカバーで覆った飲料用簡易コップに関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店や自動販売機、或いはイベント会場や野球場等では、飲料をテーパ状のコップに入れて提供することがある。このような用途に用いられるコップは、俗に言う使い捨てにされることが多いため、安価で少資源の観点から、通常、薄い紙や薄肉のプラスチックで形成されている変形可能なものが多い。以下、この種の薄肉で変形可能な飲料用のコップを簡易コップと言う。因みに、簡易コップは本発明ではコップ本体に相当する。
【0003】
ところで、簡易コップに注がれる飲料は、通常、季節に応じて熱かったり、冷たかったりする。しかしながら、簡易コップは、薄いので、保温性、保冷性がなく、飲料の温度が短時間で大幅に変化する。特に、冷たい飲料等の場合には、手の平の熱が簡易コップから飲料に伝わるので、より短時間でぬるくなってしまう。また、飲料の熱さや冷たさが、薄い簡易コップを通して手の平に伝わると、不快な場合もある。
【0004】
そこで、手の平に伝わる不快感を解消するコップホルダー(カバー)として、波板型或いはエンボス加工した紙を平らな紙に貼り合わせた帯状の紙を用い、テーパ状に形成したもの(紙製品)が公知となっている(特許文献1)。
【0005】
また、保温性、保冷性のある缶飲料等のホルダー(カバー)として、発泡プラスチック又は発泡ゴムからなる弾性を有する断熱板を用いたものが公知となっている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−229677号公報
【特許文献2】実開平2−105827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、何れも十分な断熱効果が得られない。より詳しく言えば、帯状の紙を用いたコップホルダーの場合、平面視すると、簡易コップの外側を内側(波板型)の紙が波打つように取り囲む形態で使用される。そうすると、波板型の紙の頂部(内側部)は簡易コップに接しても、紙の底部(外側部)は簡易コップから離れてしまう。そして、簡易コップとの間に形成される空間が上下方向に貫通していることになり、簡易コップから伝わる熱がそのまま上下方向に逃げていってしまう。
【0008】
また、発泡プラスチック等の断熱板の場合、断熱効果は、断熱板の中に形成される気泡の容積に依存するので、十分な断熱効果を得るには、1個あたりの材料を増やして断熱板の肉厚を厚くしなければならない。
【0009】
因みに、簡易コップは、通常、片手で持つものであり、うっかりすると、手が滑って、飲料がこぼれることもあり、できるだけ持ち易いことが望まれる。
【0010】
本発明は、上記実情を考慮したもので、片手で持ち易く、肉厚以上の断熱効果が得られるカバーの付いた飲料用簡易コップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の
うち第1の飲料用簡易コップは、
円筒状で且つ下方に向かうにつれて半径が徐々に小さくなる胴部を含むコップ本体と
、その外側に嵌合するカバーとが
、変形可能な薄肉のプラスチックから形成され、カバーは、コップ本体の胴部及び底面部を外側から覆う周壁と底壁とを備え、周壁は、コップ本体に密接する接触部と、コップ本体から離隔する非接触部を備え、底壁は、接触部と非接触部のうち少なくとも一方を備え、周壁の接触部は、コップ本体の上端部全周に亘る上端接触部と、上端接触部から下側に離隔した位置において周方向に間隔をあけて設けられる中接触部を備え、周壁の非接触部は、上端接触部の下側においてコップ本体の上部全周に亘る上非接触部と、上非接触部から下側に連続する中非接触部を備え、中非接触部を周方向に隣り合う中接触部の間に設け、上非接触部と、その下において周方向に隣り合う一対の中非接触部と、当該一対の中接触部の間に位置する中接触部によって、溝部が下向きに延長して形成されることを特徴とする。
【0012】
カバーの周壁は非接触部の周囲を接触部が取り囲むようになっており、この非接触部とコップ本体との間に断熱空間が外部と隔絶された状態で形成される。
カバーの周壁の下端部がコップ本体と略同じ高さ位置である場合には、底壁は、コップ本体の底面に重なるものとなるが、より断熱効果を高めるには、
本発明のうち第1の飲料用簡易コップを前提としたうえで、次のようにすることが望ましい。
すなわち
本発明のうち第2の飲料用簡易コップは、周壁の下端部は、コップ本体よりも下側に延長すると共に、コップ本体の下端部全周に亘る下端非接触部であり、底壁は、非接触部のみから構成されることである。
【0013】
本発明のうち第3の飲料用簡易コップは、コップ本体とその外側に嵌合するカバーとが変形可能な薄肉のプラスチックから形成され、カバーは、コップ本体の胴部及び底面部を外側から覆う周壁と底壁とを備え、周壁は、コップ本体に密接する接触部と、コップ本体から離隔する非接触部を備え、底壁は、接触部と非接触部のうち少なくとも一方を備え、周壁の接触部は、コップ本体の上端部全周に亘る上端接触部と、上端接触部から下側に離隔した位置において周方向に間隔をあけて設けられる中接触部を備え、周壁の非接触部は、上端接触部の下側においてコップ本体の上部全周に亘る上非接触部と、上非接触部から下側に連続する中非接触部を備え、中非接触部を周方向に隣り合う中接触部の間に設け、上非接触部と、その下において周方向に隣り合う一対の中非接触部と、当該一対の中非接触部の間に位置する中接触部によって、溝部が下向きに延長して形成されるものを前提とする。
そのうえで周壁の接触部は、少なくとも上端接触部と中接触部を備えていれば良いが、カバーとしての剛性を向上させるには、次のように、コップ本体との接触箇所をより増やすことが望ましい。
すなわち、周壁の接触部は、中接触部よりも下側において設けられる下接触部を備えていることである。
【0014】
カバー周壁の下接触部は、コップ本体と密接することにより、カバーとしての剛性を向上させ、コップを持った際にも非接触部がコップ本体から離隔した状態を保ちやすくする。この下接触部は、コップ本体の周方向に連続することなく設けられていても良いが、カバーとしての剛性を向上させるには、
本発明のうち第3の飲料用コップを前提としたうえで、次のようにすることが望ましい。
すなわち
本発明のうち第4の飲料用簡易コップは、下接触部は、コップ本体の全周に亘って設けられることである。
【0015】
なお、コップ本体とカバーとを強固に一体化するには次のようにすることが望ましい。 すなわち本発明のうち第5の飲料用簡易コップは、
コップ本体とその外側に嵌合するカバーとが変形可能な薄肉のプラスチックから形成され、カバーは、コップ本体の胴部及び底面部を外側から覆う周壁と底壁とを備え、周壁は、コップ本体に密接する接触部と、コップ本体から離隔する非接触部を備え、底壁は、接触部と非接触部のうち少なくとも一方を備え、周壁の接触部は、コップ本体の上端部全周に亘る上端接触部と、上端接触部から下側に離隔した位置において周方向に間隔をあけて設けられる中接触部を備え、周壁の非接触部は、上端接触部の下側においてコップ本体の上部全周に亘る上非接触部と、上非接触部から下側に連続する中非接触部を備え、中非接触部を周方向に隣り合う中接触部の間に設け、上非接触部と、その下において周方向に隣り合う一対の中非接触部と、当該一対の中非接触部の間に位置する中接触部によって、溝部が下向きに延長して形成されるものを前提とする。
そのうえでコップ本体の下端部とカバーの下端部とに、両下端部を連結するための凹部と凸部からなるスナップ式の連結部が設けられ、凸部は、コップ本体の底面部と、底面部に向かって末広がりのテーパ状となる胴部下端部とを備えるもので、凹部は、カバーの底壁と、底壁へ向かって末広がりのテーパ状となる周壁下端部とを備えるものとすることである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の飲料用簡易コップによれば、カバー周壁の非接触部とコップ本体との間に断熱空間が形成され、この断熱空間はカバー周壁の接触部により外部と隔絶されることから、薄肉のプラスチック製カバーでありながら肉厚以上の十分な保温効果が得られる。しかも、断熱空間は、カバー周壁の上非接触部の高さ範囲においては、環状であり、コップ本体の外周を取り囲むようになるので、保温性に優れたものである。また、コップ本体に対してカバーの接触部が密接することによりコップ全体としての剛性が高まる。
【0017】
さらに、カバー周壁については、上非接触部を環状に設け、その下端から恰も櫛歯状に複数の中非接触部を下降させ、隣り合う中非接触部の間に中接触部を設けてあるので、溝部が下向きに延長して形成されることになり、溝部によって周方向については中接触部と中非接触部との間に窪みが形成され、高さ方向(上下方向)については上非接触部の下側であって中非接触部の位置に窪みが形成される。これら窪みによって本発明の飲料用簡易コップを持つ際に、指が周方向と高さ方向に引っかかり易くなり、不意に手が滑って飲料用簡易コップが落下することを防ぎ易くなる。
【0018】
また、カバー周壁にコップ本体よりも下側に延長する下端接触部を設け、カバー底壁を非接触部のみにすれば、コップ本体の底に断熱空間が形成されることになり、より保温効果が高くなる。しかも、コップ本体の中に冷たい飲料を入れた場合であっても、底側に断熱空間のある本発明の飲料用簡易コップであれば、その底面には結露水が発生しづらくなる。
【0019】
さらに、周壁の接触部に中接触部よりも下側において設けられる下接触部を備えていれば、コップ本体にカバーが重なる箇所が増え、カバーの剛性が向上し、カバーを持っても変形し難くなる。
【0020】
また、カバーにコップ本体の全周に亘る下接触部を備えた飲料用簡易コップであれば、コップ本体の下側全周に亘ってカバーが重なることになり、カバーの剛性が向上し、カバーを持っても変形し難くなる。
【0021】
さらに、コップ本体の下端部とカバーの下端部とに、両下端部を連結するための凹部と凸部からなるスナップ式の連結部を設けておけば、下方へ向けて末広がりとなる凹部と凸部によって、両下端部もプラスチックの弾性を利用して連結されるので、コップ本体とカバーとは強固に一体化される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明による第1実施形態の飲料用簡易コップを示す斜視図である。
【
図2】(A)は第1実施形態の飲料用簡易コップを示す正面図、(B)は平面図、(C)はA−B−C線切断部断面図、(D)はD−D線切断部端面図、(E)はE−E線切断部端面図である。
【
図3】コップ本体とカバーを分解して示す切断部端面図である。
【
図4】コップ本体とカバーを一体化した状態を示す切断部断面図である。
【
図5】(A)は本発明による第2実施形態の飲料用簡易コップを示す正面図、(B)は
図2(C)と同様の切断線による切断部断面図である。
【
図6】(A)は本発明による第3実施形態の飲料用簡易コップを示す正面図、(B)は
図2(C)と同様の切断線による切断部断面図である。
【
図7】本発明による第4実施形態の飲料用簡易コップを示す、
図2(C)と同様の切断線による切断部断面図であって、一部を拡大してある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1実施形態の飲料用簡易コップ1は、
図1〜
図4に示すように、テーパ状のコップ本体2と、コップ本体2の外側を覆うカバー3を備えている。
【0024】
コップ本体2は、プラスチック製の簡易コップであって、硬直性を有しながらも変形可能なもの、つまり強く持つと凹んで変形し力を解放すると元の形状に復元する程度の薄肉のプラスチック製である。また、コップ本体2は、全体としては円筒状の胴部21と、胴部21の下端を塞ぐ円盤状の底面部22を備えている。
【0025】
胴部21は、円筒状で且つ下方に向かうにつれて主に半径が徐々に小さくなるテーパ状を成し、上端には半径方向外側に張り出すリング状のフランジ部21dを備え、下部には、階段状に小径(半径方向内側に突出する)となる段部21bと、該段部21bの内周縁全周から垂下する裾胴部21cを備えている。因みに、フランジ部21dと段部21bとの間に位置する部分が胴部21の大半を構成する胴部本体21aであり、一定の角度で傾斜するテーパ状となっている。
【0026】
カバー3は、コップ本体2と同様に、薄肉のプラスチック製であって、硬直性を有しながらも変形可能なものである。また、カバー3の厚みは、一例として挙げた変形可能なコップ本体2と同様で、例えば1mm以下であり、望ましくは0.2mm〜0.5mmである。
【0027】
カバー3は、コップ本体胴部21の外側(主に外周面)を覆う周壁4と、コップ本体底面部22を覆う底壁6を備えている。
【0028】
周壁4は、全体的に見れば円筒状であって且つ下に向かうにつれて半径が小さくなるテーパ状を成し、コップ本体2に密接する接触部と、コップ本体2から離隔する非接触部を備えている。
【0029】
周壁4の接触部は、上から下へ向かって順に、上端接触部41と、中接触部42と、下接触部43を備えている。
【0030】
上端接触部41は、上下方向に幅のあるリング状を成し、コップ胴部21の上端部全周に亘って面接触する態様で密接する。
【0031】
中接触部42は、上下方向に延長する短冊状であって、コップ胴部21の中間部においてその周方向に間隔(等間隔)をあけて複数設けられており、しかも、上端接触部41から下側に離れた位置(後述する上非接触部51の下側)において、コップ胴部21の高さ中間部において周方向に間隔をあけて面接触する態様で密接している。
【0032】
下接触部43は、中接触部42よりも下側に設けられ、図示の例では、上下に分離して設けられており、上側の第1下接触部43aと、下側の第2下接触部43bとを備えている。因みに、第1下接触部43aと第2下接触部43bとの間には、追って詳述する下非接触部53が設けられている。
【0033】
第1下接触部43aは、上端接触部41よりも上下方向の幅が狭いリング状であって、コップ本体段部21bから上側においてコップ胴部21の下部全周に亘って面接触する態様で密接している。
第2下接触部43bは、円周状であって、コップ胴部21の下端の全周に亘って線接触する態様で密接している。
【0034】
前記した接触部に対し周壁4の非接触部は、上から下へ向かって順に、上非接触部51と、中非接触部52と、下非接触部53と、下端非接触部54を備えている。
【0035】
上非接触部51は、上端接触部41よりも上下方向に幅のあるリング状であって、コップ胴部21の上部(コップ本体2の全長の1/2よりも上側)において半径方向外側に膨らむ態様で設けられる。但し、図示の例では、上非接触部51の外径は、最も半径方向外側に位置する部分であっても、コップ本体フランジ部21dの外径以下となっている。
【0036】
また、上非接触部51は、上から下へ向かって順に、第1上非接触部51aと、第2上非接触部51bと、第3上非接触部51cとを連続して備えている。但し、第1、第2上非接触部51a、51bは何れも上下方向に幅のあるリング状であって、コップ胴部21の上部においてその全周に亘って設けられているが、第3上非接触部51cは、第2上非接触部51bに対して周方向に間隔(等間隔)をあけて(断続的に)設けられており、この設けられた位置は、周方向に隣り合う中接触部42、42の間の位置である。
【0037】
第1上非接触部51aは、上端接触部41の下端から下に向かうにつれて半径が徐々に大きくなる末広がり状のテーパ状であって、コップ胴部21に対して下に向かうにつれて徐々に離れていく。第1上非接触部51aの下端が、半径方向外側に最も突出する部分である。
【0038】
第2上非接触部51bは、コップ胴部21に対して略平行に形成されている。
【0039】
第3上非接触部51cは、第2上非接触部51bの下端から下に向かうにつれて徐々にコップ胴部21に対して近づいていく傾斜部分である。この傾斜部分及びその下に連続する中接触部42の部分が上下方向の窪みとなって、指が引っ掛かり易くなる。
【0040】
中非接触部52は、周方向に間隔(等間隔)をあけて隣り合う中接触部42、42の間に上非接触部51(第2上非接触部51b)から下側に延長して設けられる。従って、これら複数の中非接触部52は、リング状である上非接触部51から恰も櫛歯状に垂下している。また、中非接触部52は、全体として上下方向に延びる短冊状であって、中非接触部本体52aと、中非接触部本体52aの周り(周方向両側及び下方)を囲む枠壁52bとを備える。
【0041】
中非接触部本体52aは、第2上非接触部51bから下側に延長し、コップ胴部21に対して略平行を成し、短冊状に設けられている。
【0042】
枠壁52bは、上向きに開口するコの字の枠状であって、中非接触部本体52aの三辺(周方向両辺及び下辺)からコップ本体2へ向かって末広がり状に傾斜する部分である。この枠壁52bの周方向から傾斜する部分及びその隣りの中接触部42の部分が周方向の窪みとなって、指が引っ掛かり易くなる。因みに、この周方向の窪みと前記した上下方向の窪みによって溝部4Xが形成される。つまり、上非接触部51(第3上非接触部51c)とその下において周方向に隣り合う一対の中非接触部52、52(枠壁52b、52b)と当該一対の中接触部の間に位置する中接触部42によって溝部4Xが下向きに延長して形成される。この溝部4Xの周方向の幅は、2cm以下が望ましい。なお、枠壁52bのコの字の両端(上端両側)は、その周方向の隣りに第3上非接触部51cが位置しており、これら枠壁52bと第3上非接触部51cとは連続して設けられている。このように、周方向に交互に連続して設けられる枠壁52bと第3上非接触部51cは、コップ本体2から半径方向外側に離れていく部分を形成している。
【0043】
下非接触部53は、上端接触部41と同等に上下方向に幅のあるリング状であって、半径が下に向かうにつれて小さくなる尻すぼみ状のテーパ状である。そして、下非接触部53は、下接触部43の第1下接触部43aと第2下接触部43bの間に設けられる。
【0044】
下端非接触部54は、上端接触部41よりも上下方向に幅の狭いリング状であって、半径が下に向かうにつれて小さくなる尻すぼみ状のテーパ状である。そして、下端非接触部54は、コップ胴部21の下端(第2下接触部43b)よりも下方に設けられる。
【0045】
底壁6は、円盤状であって、コップ本体2の底面部22と同様にその中央部が上げ底となっている。
【0046】
前記したカバー3をコップ本体2の半径方向外側に嵌め合わせれば、
図4に示すように、プラスチックの弾性によって両者が嵌合し、第1実施形態の飲料用簡易コップ1が完成する。この飲料用簡易コップ1は、カバー3の非接触部とコップ本体2との間に空間を形成し、この空間は、コップ本体2とカバー3の接触部との密接によって外部と隔絶されることから、断熱空間となる。
【0047】
断熱空間は、カバー3の上非接触部51の内側に形成される上断熱空間S1と、各中非接触部52の内側に形成される中断熱空間S2と、下非接触部53の内側に形成される下断熱空間S3と、底壁6の上側に形成される底断熱空間S4とから構成される。このようにコップ本体2の外周面及び底面に断熱空間S1〜S4が形成されることから、非常に断熱効果の高いものとなる。また、カバー3の内面又は外面に銀色の薄膜を形成すれば、断熱効果をより向上させることもできる。
【0048】
その上、カバー3の上非接触部51は、コップ本体2よりも半径方向外側に膨らむ状態で設けられているので、コップ全体としての半径方向の寸法が大きくなり、外観が重厚となる。しかも、カバー3の最も外側に膨らむ部分(第1上非接触部51a)の外径が、コップ本体2のそれ(フランジ部21)以下であるので、寸法をコンパクトに保ちながらも、重厚な外観を与えられる。因みに、図示のように、カバー3の上端接触部41の上端がコップ本体2のフランジ部21dに接して位置決めするものであれば、カバー3が抜け外れるおそれは無い。
【0049】
また、コップ本体2がプラスチック製の簡易コップであるにも関わらず、薄肉同士の簡易コップとカバー3の接触部とが重なり合うことにより、全体としての剛性が向上し、しっかりと持っても変形し難くなる。なお、コップ本体2及びカバー3が透明である場合には、その中の液体を外部から透視することができる。
【0050】
本発明の第2実施形態の飲料用簡易コップ1は、
図5に示すように、カバー3の上部において、第1実施形態のものと相違する。より詳しく言えば、カバー3の上部、つまり周壁4の上部であって上端接触部41及びその下に位置する上非接触部51は、口径を一定に保持した円筒状に元々形成されている。因みに、カバー3は、上非接触部51よりも下側においては、第1実施形態と同じである。
【0051】
そして、カバー3をコップ本体2の外側に嵌め合わせると、上端接触部41は、コップ本体2のテーパ状に沿って押し広げられるように変形し、下に向かうにつれて尻すぼまりのリング状となってコップ本体2に密接する。また、上非接触部51は、元々の形状(口径を一定に保持したリング状)を保持しながら、コップ本体2との間に上断熱空間S1を、第1実施形態のそれよりも小さく形成する。従って、上非接触部51は、第1実施形態での第1上非接触部51a(下に向かうにつれて末広がり状に大きくなるテーパ状の部分)が無く、第2上非接触部51bが口径を一定に保持したリング状となり、第3上非接触部51cが第1実施形態と同様に下に向かうにつれて徐々にコップ胴部21に対して近づいていく傾斜部分となる。なお、上断熱空間S1が小さくなっても、コップ本体2に液体が注がれた場合に、液体の上部の部分については通常早めに飲まれてなくなるので、保温効果に影響をあまり与えない。
【0052】
本発明の第3実施形態の飲料用簡易コップ1は、
図6に示すように、カバー3の周壁4全体において、第1実施形態のものと相違する。より詳しく言えば、周壁4の上部であって上端接触部41、上非接触部51及びその下に位置する中非接触部52は、一定の角度で傾斜するテーパ状に元々形成されている。但し、この傾斜角度は、コップ本体2(コップ胴部21)のそれよりも緩やかに(口径の変化率が小さいものと)なっている。しかも中非接触部52は、コップ胴部21の下端よりも下側にまで達するようになっている。また、周壁4の接触部は、第1実施形態での下接触部43が無く、中接触部42及びその周方向に隣り合う中非接触部52の下端に下端非接触部54が連続する形態となっている。
【0053】
そして、カバー3をコップ本体2の外側に嵌め合わせると、上端接触部41は、コップ本体2の急な勾配の付いたテーパ状に沿って押し広げられるように変形し、元々の傾斜角度よりも急角度のテーパ状となってコップ本体2に密接する。また、上非接触部51は、元々のテーパ状を保持しながらコップ本体2との間に上断熱空間S1を、第2実施形態のそれよりもさらに小さく形成する。また、中非接触部52は、コップ本体2との間に中断熱空間S2を第1実施形態のそれよりも大きく形成する。さらに、中接触部42の下部が、コップ胴部21の段部21bを含む高さ範囲(より詳しくは、コップ胴部21よりも下側の範囲)に設けられており、段部21bの直ぐ下側及びコップ胴部21よりも下側の部分においては接触しないことになる。このように中断熱空間S2をコップ本体2の下に達するまで設けることにより、コップ本体2の下側に残る液体に対しての保温効果を強化することができる。
【0054】
本発明の第4実施形態の飲料用簡易コップ1は、
図7に示すように、コップ本体2とカバー3を連結するスナップ式の連結部7が設けられていることにおいて、第3実施形態のものと相違する。より詳しく言えば以下の通りである。
【0055】
カバー3の周壁4は、その上端には半径方向外側に突出するフランジ部4dを備えている。因みに、フランジ部4dよりも下側の部分は、周壁本体部であり、全体的には下方へ向かうにつれて尻窄まり状となるテーパ状である。
【0056】
周壁本体部は、全体として下方へ向かうにつれて尻窄まり状となるテーパ状の上周壁部4aと、上周壁部4aの下端から半径方向内側に向かって突出する段部4bと、この段部4bの半径方向内側から下方へ向かうにつれて末広がり状となる逆テーパ状の裾周壁部4cとから構成される。裾周壁部4c(胴部21下端部)と底壁6が凹部7aとなる。また、底壁6と裾周壁部4cと段部4bとによって、段付き状の凹部7aとなる。
【0057】
一方、コップ本体2の段部21bの半径方向内側から下方に連続する裾胴部21cが、下方へ向かうにつれて末広がり状となる逆テーパ状に形成される。裾胴部21c(コップ本体2下端部)と底面部22とによって凸部7bとなる。また、底面部22と裾胴部21cと段部21bとによって、段付き状の凸部7bとなる。
【0058】
これら凹部7aと凸部7bとによって連結部7が形成され、凹部7aの内側に凸部7bがプラスチックの弾性を利用してスナップ式に嵌合することによって、コップ本体2とカバー3とが強固に一体化される。このとき、コップ段部21bの下にカバー段部4bが接触する状態となることにより、これ以上、コップ本体2に対してカバー3が深く嵌り込めなくなるストッパーの役割を果たしており、コップ底面部22とカバー底壁6との間に底断熱空間S4を確保してある。因みに、カバー周壁4(上周壁部4a)の上端部が、コップ胴部21(上胴部21a)の上端部に線接触する状態で密接していると共に、カバーフランジ部4dが、コップフランジ部21dの真下に面接触する状態で密接している。この密接部分を構成するカバー周壁4の上端部が、上端接触部41となると共に、この密接部分も、前記したストッパーの役割を果たしている。
【0059】
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、カバー3は、下端非接触部54の無い形態であってもよく、この場合には、底壁6をコップ本体2の底面部22に密接させる形状とすることもできる。また、コップ本体2は、段部21bのない形状、つまり上下方向全体に亘って一定の角度で傾斜するテーパ状であっても良い。
【0060】
なお、凹部7aと凸部7bとは、段部4b、21bの無い形状であっても良い。また、凹部7aの段部4bと、凸部7bの段部21bは、各々半径方向外側に突出する(上周壁部4aと、胴部本体21aから半径方向外側に突出する)ものであっても良い。
【符号の説明】
【0061】
1飲料用簡易コップ
2コップ本体
21胴部
21a胴部本体、21b段部、21c裾胴部、21dフランジ部
22底面部
3カバー
4周壁
4a上周壁部、4b段部、4c裾周壁部、4dフランジ部
4X溝部
41上端接触部
42中接触部
43下接触部、43a第1下接触部、43b第2下接触部
51上非接触部、51a第1上非接触部、51b第2上非接触部、51c第3上非接触部
52中非接触部、52a中非接触部本体、52b枠壁
53下非接触部
54下端非接触部
6底壁
7連結部
7a凹部
7b凸部
S1上断熱空間
S2中断熱空間
S3下断熱空間
S4底断熱空間