(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2に開示の融着接続作業台では、融着機本体を作業台に固定しているため、作業者が融着接続のポイント近傍まで近寄る必要がある。しかしながら、実際の作業環境では、作業者が融着接続のポイント近傍まで近寄ることが困難である場合があった。
【0008】
そこで、本発明は、融着接続のポイントと作業者との距離が従来に比して大きくても、融着接続が可能な融着接続作業台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の融着接続作業台は、融着機本体を搭載し、光ファイバの融着接続を行うための作業台であって、融着機本体を固定するためのブラケット部と、ブラケット部を搭載する搭載部と作業者によって支持される支持部とを有し、融着接続を行うときに搭載部と支持部とがL字状をなすベース部とを備える。ブラケット部及びベース部の何れか一方は、作業者の首に周回される首ストラップ、又は、作業者の肩に周回される肩ストラップを係合するための係合部を有する。ブラケット部は、ベース部における搭載部に対して相対的に移動可能である。
【0010】
この融着接続作業台によれば、ブラケット部がベース部における搭載部に対して相対的に移動可能であるので、ブラケット部に固定される融着機本体を、ベース部における支持部を支持する作業者に対して離すことができる。しがたって、融着接続のポイントと作業者との距離が従来に比して大きくても、融着接続が可能となる。
【0011】
上記したベース部は、融着接続を行わないときに折りたたみ可能な形態であってもよい。
【0012】
また、上記したベース部における搭載部及びブラケット部の何れか一方は、長尺形状の孔を有し、ベース部における搭載部とブラケット部とは、長尺形状の孔を介する段付きネジによって係合する形態であってもよい。
【0013】
この構成によれば、段付きネジが長尺形状の孔を移動することによって、ブラケット部がベース部における搭載部に対して相対的に移動可能となる。
【0014】
また、上記した融着接続作業台は、肩ストラップを更に有し、肩ストラップは、作業者の左右の肩それぞれに対応する左肩用ストラップと右肩用ストラップとを含み、左肩用ストラップ及び右肩用ストラップは、作業者の背部において交差するように、作業者の左肩、右肩をそれぞれ周回し、左肩用ストラップの一端は、ベース部の左上部に位置する係合部のうちの左上係合部であって、作業者の左肩側に位置する当該左上係合部に係合し、左肩用ストラップの他端は、ベース部の右下部又はブラケット部の右部に位置する係合部のうちの右下係合部であって、作業者の右脇下方に位置する当該右下係合部に係合し、右肩用ストラップの一端は、ベース部の右上部に位置する係合部のうちの右上係合部であって、作業者の右肩側に位置する当該右上係合部に係合し、右肩用ストラップの他端は、ベース部の左下部又はブラケット部の左部に位置する係合部のうちの左下係合部であって、作業者の左脇下方に位置する当該左下係合部に係合する形態であってもよい。
【0015】
この構成によれば、ベース部の左上部とベース部の右下部又はブラケット部の右部とが互いに引き合い、かつ、ベース部の右上部とベース部の左下部又はブラケット部の左部とが互いに引き合うので、融着接続作業台の縦振れ及び横振れ、垂直軸に対する振れ回り、水平軸に対する振れ回りを押さえることができる。
【0016】
また、上記したブラケット部及びベース部の何れか一方は、首ストラップを係合するための係合部を有し、ブラケット部及びベース部の何れか一方は、作業者の胴に周回される胴ストラップを係合するための係合部を有する形態であってもよい。
【0017】
この構成によれば、ベース部における支持部及び首ストラップに加えて胴ストラップによって、融着接続作業台を支持することができるので、融着接続作業の安定性を高めることが可能となる。
【0018】
また、上記したブラケット部及びベース部のうちの少なくとも何れか一方は、磁性体部分を含む形態であってもよい。
【0019】
光ファイバを保持するファイバホルダは、下面に磁石を有していることがある。この場合、融着作業中に、光ファイバを仮置きすることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、融着接続のポイントと作業者との距離が従来に比して大きくても、融着接続が可能な融着接続作業台を提供する
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る融着接続作業台を上から見た平面図であり、
図2は、本発明の実施形態に係る融着接続作業台を横から見た側面図であり、
図3は、本発明の実施形態に係る融着接続作業台を後から見た背面図である。
図1〜
図3に示す融着接続作業台1は、ブラケット部10と、ベース部20と、首ストラップ30と、胴ストラップ40と、係合部材50とを備える。なお、
図1〜
図3では、本実施形態の融着接続作業台1とともに融着機本体5も記載されている。
【0024】
ブラケット部10は、融着機本体5をベース部20に固定するためのものである。ブラケット部10における底面部11は、緩衝材60を介在して融着機本体5の底面を支持する。この底面部11における前側縁、左右横側縁、及び、後側縁にはそれぞれ、折返部12、13、14が形成されている。
【0025】
折返部12は、底面部11における前側縁の約3分の1を占める中央部から上方に折り返された部分12aと、部分12aから底面部11の一部と対向するように折り返された部分12bとを有する。すなわち、部分12aは、底面部11における前側縁の約3分の1を占める中央部から、融着機本体5の前面の約3分の1を占める中央部に沿って延在し、部分12bは、部分12aから、融着機本体5の上面の前面側の一部を覆うように延在する。この折返部12は、緩衝材60を介在して融着機本体5の前面及び上面の前面側の一部を支持する。
【0026】
また、折返部13は、底面部11における横側縁の約5分の3を占める中央部から上方に折り返されており、緩衝材60を介在して融着機本体5の側面を支持する。
【0027】
また、折返部14は、底面部11における後側縁の約5分の1を占める中央部から上方に折り返されている。折返部14の上部にはネジ14aが設けられており、ネジ14aの先端は緩衝材60を介して融着機本体5の後面を支持する。
【0028】
これらの折返部12、13、14によって、融着機本体5が固定される。具体的には、融着機本体5の前面を折返部12に引っかけながら、融着機本体5を底面部11に搭載し、折返部14のネジ14aを締めることにより、ブラケット部10に融着機本体5が固定される。なお、ネジ14aとしては、段付きネジ等を用いて、送り量を制限してもよい(締めすぎ防止)。
【0029】
このブラケット部10は、ベース部20に搭載される。ベース部20は、搭載部21と、支持部22と、ヒンジ23とを有する。
【0030】
搭載部21は、ブラケット部10を搭載し、固定するための部分であり、略平板状をなしている。搭載部21は、後述するように、ブラケット部10を着脱可能に、かつ、搭載状態においてブラケット部10を前後方向Xに移動可能に固定する。そのため、搭載部21の前後方向Xの長さは、ブラケット部10の前後方向Xの長さ、すなわち、融着機本体5の前後方向Xの長さよりも長い。
【0031】
また、搭載部21は、横側縁から上方に折り返された折返部21aを有する。この折返部21aは、ブラケット部10を前後方向Xに移動する際のガイドとして機能し、ブラケット部10の横ずれや回転を防止する。
【0032】
支持部22は、作業者によって支持されるための部分であり、略平板状をなしている。支持部22は、上端部の左右脇側に孔(係合部)22aを有し、孔22aには、首ストラップ30及び胴ストラップ40が係合される。
【0033】
首ストラップ30は、作業者の首に周回されることにより、融着接続作業台1を吊り上げて支持するものである。胴ストラップ40は、作業者の胴に周回されることにより、融着接続作業台1を支持するものである。なお、胴ストラップ40は、必ずしも設けられなくてもよい。そのため、例えば、胴ストラップ40は、フック等の着脱可能な係合部材を介して係合される。一方、首ストラップ30は、リング等の着脱不可能な係合部材を介して係合されることが好ましい。これらの首ストラップ30及び胴ストラップ40は、作業者の体格に応じて、その長さが調整可能であってもよい。
【0034】
本実施形態では、首ストラップ30及び胴ストラップ40は、支持部22における同一の孔22aに係合されている。これにより、首ストラップ30の支点と胴ストラップ40の支点とを同一にすることができ、融着作業台の縦振れを抑えることができる。
【0035】
これらの搭載部21と支持部22とは、ヒンジ23によって係合されている。これにより、融着接続作業時には、ベース部20は略L字状に固定され、作業者に支持された状態で作業を行うことが可能となる。一方、未作業時には、ベース部20は融着機本体5及びブラケット部10を搭載した状態で、略V字状に折りたたむことが可能となる。なお、融着機本体5及びブラケット部10を取り外した状態では、ベース部20を略I字状に二つ折りすることができる。
【0036】
ヒンジ23としては、フリーストップヒンジが用いられてもよい。これによれば、ベース部20の角度調節が可能であり、作業の自由度がより増す。
【0037】
次に、
図4〜6を参照して、ブラケット部10をベース部20における搭載部21に固定するための構造について説明する。
図4は、ベース部20における搭載部21を一部拡大して下から見た底面図であり、
図5は、
図4におけるV-V線に沿う断面図であって、ブラケット部10及びベース部20における搭載部21を一部拡大して示す図であり、
図5は、
図4におけるVI-VI線に沿う断面図であって、ブラケット部10及びベース部20における搭載部21を一部拡大して示す図である。
【0038】
ブラケット部10とベース部20における搭載部21とは、段付きネジ51と、ナット52と、ワッシャ53とからなる係合部材50によって係合される。
【0039】
具体的には、ブラケット部10の底面部11は、略中央部に孔11aを有する。一方、ベース部20の搭載部21は、前後方向Xに延在する長尺形状の孔21bを有する。この孔21bに段付きネジ51が保持されている。具体的には、ベース部20に対してネジ51のヘッドと反対側にワッシャ53を設けることにより、この孔21bに段付きネジ51が保持される。ブラケット部10とベース部20とは、この段付きネジ51が孔11aに挿入されてナット52によって係合される。なお、ワッシャ53はブラケット部10とベース部20との間に介在することとなる。ワッシャ53はネジ51と搭載部21の間にもあってよい。
【0040】
これにより、孔11aを介してブラケット部10に係合された段付きネジ51は、ベース部20における搭載部21の長尺形状の孔21bを移動することができ、その結果、ブラケット部10は、ベース部20における搭載部21に対して相対的に移動可能となる。また、段付きネジ51及びナット52によって、ブラケット部10はベース部20における搭載部21に対して分離可能となる。
【0041】
なお、ブラケット部10としては軽量な材料が用いられ、ベース部20としては機械強度が強く、より人体にフィットする材料が用いられることが好ましい。これによれば、作業台全体を最適な重量とするとともに、作業台の重心を作業者側へ寄せて慣性モーメントを小さく抑えることができ、融着接続作業の安定性を高めることができる。
【0042】
また、ベース部20として磁性体材料が用いられてもよい。これにより、光ファイバを保持するファイバホルダの下面に磁石が設けられている場合、融着接続作業中に、光ファイバを仮置きすることが可能となる。
【0043】
また、搭載部21とブラケット部10との間には、摺動材70が介在されてもよい。例えば、摺動材70としては、前後方向Xへの移動のし易さを重視する場合には摩擦係数の低い材質を用いてもよいし、安全性確保を重視して不用意に摺動することを防止しようとする場合には摩擦係数の高い材質を用いてもよい。この場合、摺動材70は、ブラケット部10側に取り付けられる。これにより、ブラケット部10の底面のクッション性を高め、ブラケット部10をベース部20に取り付けない形態でも、融着機本体5を使用することができる。
【0044】
本実施形態の融着接続作業台1によれば、ブラケット部10がベース部20における搭載部21に対して相対的に移動可能であるので、ブラケット部10に固定される融着機本体5を、ベース部20における支持部22を支持する作業者に対して離すことができる。しがたって、融着接続のポイント(例えば、クロージャ等)と作業者との距離が従来に比して大きくても、融着接続が可能となる。この効果は、例えば、小型、薄型の融着機においてより発揮される。
【0045】
また、本実施形態の融着接続作業台1によれば、融着機本体5をブラケット部10に固定し、ベース部20に対する係合構造をブラケット部10に設けたので、融着機本体5に取り付け(及び、スライド)の為の機構(例えば、ネジ孔)を設けなくてもよい。その結果、融着機本体5の小型化、軽量化が可能である。例えば、作業台を用いない環境では小型・軽量のメリットを生かして融着機本体5を使用することが可能となる。このように、作業台を用いる場合と用いない場合とのそれぞれにおいて、最適な使用環境で融着機本体5を使用することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態の融着接続作業台1によれば、ブラケット部10とベース部20とが分離可能であるので、融着機本体5と略同じ底面積となるようにブラケット部10を設計することにより、収容時、ブラケット部10を取り付けた状態で融着機本体5を収容ケースに収容することが可能となる。また、ベース部20は、二つ折りして収容ケースに収容することが可能である。一方、使用時には、ベース部20をL字状に開いて装着し、その後、融着機本体5と一体化されたブラケット部10を係合部材50によって容易に取り付けることが可能となる。
【0047】
また、本実施形態の融着接続作業台1によれば、複数の融着機本体5を使用する場合に、融着機本体5それぞれに対応したブラケット部10を複数準備してそれぞれ取り付けておくことにより、一つのベース部20で複数の融着機本体5を容易に使用することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態の融着接続作業台1によれば、段付きネジ51がベース部20の搭載部21の孔21bに保持されるので、ベース部20の搭載部21に対するブラケット部10の着脱、移動が容易となる。
【0049】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、長尺形状の孔21bがベース部20側に設けられたが、ブラケット部10側に設けられてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、係合部材50がベース部20側に保持されたが、ブラケット部10側に保持されてもよい。この場合、ベース部20における搭載部21には、長尺形状の孔21bに代えて、長尺形状の孔21bの一方が開口された形状の溝が設けられてもよいし(
図7(a))、長尺形状の孔21bの一方が段付きネジ51のヘッド径より大きくなった形状の長尺形状の孔が設けられていてもよい(
図7(b))。
【0051】
また、本実施形態では、首ストラップ30と胴ストラップ40との両方を設ける形態を例示したが、首ストラップ30を設けるだけでも融着接続作業の安定化が得られる場合には、
図8〜10に示すように、胴ストラップ40は必ずしも設けられなくてもよい。
【0052】
また、ベース部20における支持部22に設けられる首ストラップ30及び胴ストラップ40のための孔(係合部)22aは、長尺形状の孔(スリット)であってもよい。この場合、帯状の首ストラップ30又は胴ストラップ40は、フックやリング等の係合部材を介さずに、ベース部20における支持部22の長尺形状の孔22aに直接取り付け可能となる。
【0053】
また、
図8〜10に示すように、ベース部20における支持部22には、孔22aに代えて、首ストラップ30及び胴ストラップ40のためのリング等の係合部材21cが設けられてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、首ストラップ30及び胴ストラップ40がベース部20における支持部22の上端部に取り付けられる形態を例示したが、
図8〜10に示すように、首ストラップ30及び胴ストラップ40は、ベース部20における搭載部21に取り付けられてもよい。また、首ストラップ30及び胴ストラップ40は、ブラケット部10側に取り付けられる形態であってもよい。このように、融着接続作業の安定性が得られればよく、首ストラップ30及び胴ストラップ40の取り付け位置は本実施形態に限定されない。
【0055】
また、本実施形態では、首ストラップ30の支点と胴ストラップ40の支点とを同一とする形態を例示したが、首ストラップ30の支点と胴ストラップ40の支点とを異ならせてもよい。この場合、ベース部20における支持部22には、上端部の左右脇側に更に1つずつ孔(係合部)22aが設けられ、首ストラップ30と胴ストラップ40とが上端部の左右脇側において別々の孔に係合されればよい。あるいは、ベース部20における支持部22には、下端部の左右脇側に更に1つずつ孔(係合部)22aが設けられ、胴ストラップ40は、下端部の左右脇側の孔に係合されればよい。
【0056】
以下では、
図11(a)及び(b)を参照して、これらの構成による利点を比較説明する。
図11(a)に示すように、首ストラップ30の支点と胴ストラップ40の支点とが同一位置である場合(本実施形態)、及び、ベース部20における支持部22の上端部の左右脇側において近接する場合、作業者の胸回り部分が安定し、融着接続作業台の縦振れを押さえることができる反面、ベース部20の下部、すなわち搭載部21の横振れを押さえることが比較的に困難である。また、この場合、前後方向Xに直交するY軸、すなわち、搭載部21の主面に直交し、支持部22の主面に沿って左右略中央において縦方向に延在するY軸(垂直軸)に対する振れ回り(図中矢印表示)を押さえることが比較的に困難である。また、前後方向X及びY軸に直交するZ軸、すなわち、搭載部21と支持部22との結合ラインに沿って延在するZ軸(水平軸)に対する振れ回り(図中矢印表示)を押さえることが比較的に困難である。
【0057】
一方、
図11(b)に示すように、首ストラップ30の支点と胴ストラップ40の支点とが離れている場合、作業者の腰回りが安定し、融着接続作業台の横振れを押さえることができ、Y軸及びZ軸に対する振れ回りを押さえることができる。しかしながら、この場合、融着接続作業台の縦振れを押さえることが比較的に困難である。例えば、首ストラップ30の支点と胴ストラップ40の支点とが離れるので、前傾すると前に倒れ易い。
【0058】
そこで、
図12(a)に示すように、ベース部20における支持部22の上端部の左右脇側、及び、下端部の左右脇側にそれぞれ係合される2本の胴ストラップ40を有していてもよいし、
図12(b)に示すように、ベース部20における支持部22の上端部の左右脇側から下端部の左右脇側にわたって係合される帯状の胴ストラップ40を有していてもよい。これらの構成によれば、作業者の胴回り及び腰回りが安定し、融着接続作業台の縦振れ及び横振れを押さえることができ、Y軸及びZ軸に対する振れ回りも押さえることができる。
【0059】
また、
図13に示すように、首ストラップ30及び胴ストラップ40に代えて、肩ストラップ80が用いられてもよい。肩ストラップ80は、作業者の左右の肩それぞれに対応する左肩用ストラップ81と右肩用ストラップ82とを含み、左肩用ストラップ81及び右肩用ストラップ82は、作業者の背部において交差するように、作業者の左肩、右肩をそれぞれ周回している。すなわち、左肩用ストラップ81は、作業者の左肩から背中を通って右脇腹まで延びており、右肩用ストラップ82は、作業者の右肩から背中を通って左脇腹まで延在している(たすき掛け)。
【0060】
左肩用ストラップ81の一端は、ベース部20における支持部22の上端部の左脇側に位置する孔22aのうちの左上の孔であって、作業者の左肩側に位置する孔に係合しており、左肩用ストラップ81の他端は、ベース部20における支持部22の下端部の右脇側に位置する孔22aのうちの右下の孔であって、作業者の右脇下方に位置する孔に係合している。
【0061】
一方、右肩用ストラップ82の一端は、ベース部20における支持部22の上端部の右脇側に位置する孔22aのうちの右上の孔であって、作業者の右肩側に位置する孔に係合しており、右肩用ストラップ82の他端は、ベース部20における支持部22の下端部の左脇側に位置する孔22aのうちの左下の孔であって、作業者の左脇下方に位置する孔に係合している。
【0062】
この構成によれば、ベース部の左上部とベース部の右下部とが互いに引き合い、かつ、ベース部の右上部とベース部の左下部とが互いに引き合うので、融着接続作業台の縦振れ及び横振れを押さえることができ、Y軸及びZ軸に対する振れ回りも押さえることができる。
【0063】
なお、左肩用ストラップ81の他端は、ベース部20における支持部22の下端部の右脇側に代えて、ベース部20の下部に位置する搭載部21の右脇側、又は、ブラケット部10の右脇側に係合していてもよく、また、右肩用ストラップ82の他端は、ベース部20における支持部22の下端部の左脇側に代えて、ベース部20の下部に位置する搭載部21の左脇側、又は、ブラケット部10の左脇側に係合していてもよい。また、左肩用ストラップ81及び右肩用ストラップ82は作業者の背部において交差せずに、作業者の左肩、右肩をそれぞれ周回していてもよい。すなわち、左肩用ストラップ81の他端は、ベース部20における支持部22の下端部の左脇側に係合していてもよく、また、右肩用ストラップ82の他端は、ベース部20における支持部22の下端部の右脇側に係合していてもよい。
【0064】
また、左肩用ストラップ81と右肩用ストラップ82とは、交差部83において係合していてもよい。係合方法としては、例えば、係合部材を用いてもよいし、接着や縫着を用いてもよい。これによれば、左肩用ストラップ81と右肩用ストラップ82とにより首を周回するループが形成されるので、融着接続作業台の落下を防止する作用が得られる。
【0065】
また、左肩用ストラップ81及び右肩用ストラップ82それぞれには、2分割のための係合部材84が設けられていてもよい。この係合部材84としては、バックル等が挙げられる。これによれば、融着接続作業台の着脱が容易となる。この場合、左肩用ストラップ81の一端及び他端、及び、右肩用ストラップ82の一端及び他端は、ベース部20又はブラケット部10に対して着脱不可能に係合していてもよい。なお、上記した交差部83の作用を考慮すると、係合部材84は、係合した交差部83よりも下側(例えば、作業者の腰に相当する位置、又は、ベース部20における搭載部21と支持部22との境界近傍)に設けられることが好ましい。
【0066】
また、左肩用ストラップ81及び右肩用ストラップ82それぞれには、長さを調整する調整部材85が設けられていてもよい。調整部材85としては、ラダーバックル等が挙げられる。これにより、作業者の体格に応じて、その長さが調整可能である。また、調整部材85により、左肩用ストラップ81及び右肩用ストラップ82を長くすることにより、着脱が可能となることから、調整部材85は、上記した係合部材84の代替部材としても使用することが可能である。調整部材85は、係合部材84と同様に、交差部83よりも下側(例えば、作業者の腰に相当する位置、又は、ベース部20における搭載部21と支持部22との境界近傍)に設けられてもよいし、交差部83の上側に設けられてもよい。また、調整部材85は、係合部材84の上側に設けられてもよいし、下側に設けられてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、ブラケット部10として、折返部14に設けられたネジ14aによって融着機本体5を固定する形態を例示したが、融着機本体5の固定方法はこれに限定されない。例えば、ばねの力を利用してもよい。すなわち、
図8〜10に示すように、ブラケット部10の底面部11と折返部14とを分離するとともに、ばねヒンジ15を介して接続する。また、折返部14は、上方に延在する部分14bから略L字形状に折り返された部分14cを有するようにする。これにより、ばねヒンジ15の力を利用して、折返部14の部分14cに押圧力を発生させることができる。
【0068】
また、本実施形態では、ベース部20が磁性体材料からなる形態を例示したが、ブラケット部10が磁性体材料からなる形態であってもよい。また、ベース部20又はブラケット部10の一部が磁性体材料からなってもよい。また、非磁性体材料からなるベース部20又はブラケット部10に、磁性体部材を取り付ける形態であってもよい。
【0069】
また、本実施形態では、ベース部20における搭載部21に、折返部21a、すなわち、ブラケット部10を前後方向Xに移動する際のガイドを設けたが、ベース部20に対して、ブラケット部10、すなわち融着機本体5を回転可能とするために、この折返部21aが設けられなくてもよい。
【0070】
また、本実施形態の融着接続作業台には、工具の収納のためのポケット等を取り付けるための穴が、適宜設けても良い。
【0071】
また、本実施形態では、ブラケット部10とベース部20とを分離し、ブラケット部10を融着機本体5に取り付けた状態で収容すると共に、ベース部20を二つ折りして収納する形態を例示したが、融着機本体5を取り外したブラケット部10は、ベース部20に取り付けた状態で収容可能としてもよい。以下に、その一例を示す。
【0072】
図14は、本実施形態の変形例に係るブラケット部10であって、融着機本体5搭載時のブラケット部10を横から見た側面図であり、
図15は、
図14に示すブラケット部10であって、融着機本体5非搭載時のブラケット部10を示す斜視図である。また、
図16は、本実施形態の変形例に係る融着接続作業台であって、
図14に示すブラケット部10及び融着機本体5搭載時の融着接続作業台を示す斜視図であり、
図17は、
図16に示す融着接続作業台であって、融着機本体5非搭載時のブラケット部10を搭載した状態で収容する時の融着接続作業台を示す斜視図である。
【0073】
図14及び
図15に示すように、変形例のブラケット部10は、本実施形態において、底面部11と折返部12とを分離するとともに、ばねヒンジ16を介して接続する。一方、折返部14は、ネジ14aを用いずに、緩衝材60を介して融着機本体5の後面を支持する。これにより、
図14に示すように、融着機本体5搭載時(使用時)には、融着機本体5の後面を折返部14に引っかけながら融着機本体5を底面部11に搭載し、ばねヒンジ16の力を利用して折返部12に押圧力を発生させることにより、ブラケット部10に融着機本体5が固定される。
【0074】
一方、
図15に示すように、融着機本体5非搭載時(収容時)、融着機本体5を取り外すと、ばねヒンジ16の力により折返部12が底面部11側に折り畳まれる。このような構成により、ブラケット部10を取り付けた状態で、ブラケット部10を搭載部21と支持部22との間に挟み込むように、ベース部20を二つ折りすることが可能となる。その結果、融着接続作業台全体をコンパクトに収容することができる。
【0075】
その際、ブラケット部10は、折返部14がベース部20の支持部22と干渉しない位置に移動されればよい。このように、折り畳む構造を必要最小限とすることにより、部品点数を極力減らしてコストを抑えることができる。
【0076】
また、
図16及び
図17に示すように、本実施形態のベース部20における支持部22は、横側縁に折り返された折返部22bを有し、この折返部22bによって搭載部21の折返部21aを覆うように、ベース部20を二つ折りしてもよい。
【0077】
また、
図16及び
図17に示すように、本実施形態のベース部20における支持部22は、作業者胴体側の面にクッション性の高い緩衝材60が設けられていてもよい。
【0078】
また、
図16及び
図17に示すように、本実施形態のベース部20は、搭載部21と支持部22との係合部における作業者胴体側を覆う保護部材24が設けられていてもよい。