特許第6130159号(P6130159)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130159
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】練り製品原料の成形装置と成形方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/00 20160101AFI20170508BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20170508BHJP
【FI】
   A23L17/00 101G
   A23L13/00 E
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-27589(P2013-27589)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-155454(P2014-155454A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141509
【氏名又は名称】株式会社紀文食品
(74)【代理人】
【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
(72)【発明者】
【氏名】名古屋 和彰
(72)【発明者】
【氏名】増田 浩二
【審査官】 長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−107924(JP,A)
【文献】 特開2006−034159(JP,A)
【文献】 特開2000−014362(JP,A)
【文献】 特開平11−137161(JP,A)
【文献】 米国特許第06254372(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/
A23P
A22C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
練り製品の練り状原料が予め定められた一定量ずつ順次所定間隔で分配されてベルトコンベア上に載置されてなる原料塊に対し、その搬送経路上で球状に成形する成形装置において、
ベルトコンベア上で搬送されて来る前記原料塊をその搬送経路上で受け止めて転動させて球状に成形する成形型を一つ以上有する成形部と、
前記成形部を前記ベルトコンベア上の予め定められた成形位置で昇降させる昇降機構と、前記成形部を前記ベルトコンベアの搬送方向と対向方向に往動および該搬送方向に復動させる往復動機構とを有する駆動部と、
前記原料塊の検出部と、を備え、
前記駆動部は、前記検出部からの信号情報に基づいて前記昇降機構及び前記往復動機構が駆動し、前記原料塊が前記成形位置に到達するタイミングで該原料塊を前記成形型で受け止める位置に前記成形部が下降すると共に該成形部の下降に連動して前記搬送方向に対して逆方向に予め定められた距離だけ往動し、その後前記成形部が上昇すると同時に搬送方向に復動して退避位置に戻るものであり、これら昇降機構と往復動機構による下降開始から退避位置へ戻るまでの一連の動作を反復して前記原料塊の球状成形を連続的に行うことを特徴とする練り製品原料の成形装置。
【請求項2】
前記成形型の原料塊を受け止める領域に前記練り状原料の付着防止のための潤滑液を噴射するノズル機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の練り製品原料の成形装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記昇降機構としての第1シリンダ機構と、前記往復動機構としての第2シリンダ機構とを備え、
前記第1シリンダ機構は、前記成形部を前記ベルトコンベアの搬送面上で昇降駆動させるものであり、
前記第2シリンダ機構は、前記成形部が連結された第1シリンダ機構を前記搬送面上で往復移動させるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の練り製品原料の成形装置。
【請求項4】
前記成形型は、略U字形状を有し、その屈曲部から開放側に向かって間隔幅が拡がっており、少なくとも原料塊を受け止める屈曲部領域に上部から下部に向かって内側に連続的に肉厚が増大してなる傾斜内面が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の練り製品原料の成形装置。
【請求項5】
前記成形部は、前記第1シリンダ機構側の取付部に連結され、該連結状態で前記搬送方向と直交する水平方向に複数個の成形型を並列に保持する保持部と、各成形型の前記保持部に対する保持位置を前記水平方向に変更可能に調整する成形型調整機構と、を備え、
前記取付部に対する保持部の連結位置を搬送方向に沿って前後に変更可能に調整する保持部調整機構をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の練り製品原料の成形装置。
【請求項6】
前記成形部は、前記保持部を前記搬送方向に沿って予め定められた間隔で複数列配置してなることを特徴とする請求項5に記載の練り製品原料の成形装置。
【請求項7】
練り製品の練り状原料が予め定められた一定量ずつ順次所定間隔で分配されてベルトコンベア上に載置されて搬送されてくる原料塊に対し、予め定められた成形位置に搬送された時点で成形型で該原料塊を受け止めると共に搬送方向と逆方向に押し戻しながら転動させて球状に成形することを特徴とする練り製品原料の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば魚肉や畜肉の練り製品の製造工程において、練り状原料の小分け塊を球状に成形するための成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
魚肉や畜肉等を原料素材として球状の練り製品を量産製造する際には、素材を混合調整してなる練り状原料を個別製品に対応した分量の原料塊に小分けし、各原料塊を所定形状に成形した後、加熱処理して製品の最終形態を得るという工程を連続的に行っている。
【0003】
このような連続工程では、ベルトコンベア上に練り状原料を一定量ずつ小分けしてなる原料塊を複数個ずつ所定間隔で並列載置して加熱処理装置まで搬送される経路の途中で、成形装置を介して原料塊を列毎に球状に成形している。
【0004】
球状成形装置としては、ベルトコンベアによって順次連続的に搬送されてくる原料塊をそれぞれ受け止める成形型をベルトコンベア上に一定時間降下させたのち上昇させる機構を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この成形型昇降方式の成形装置においては、それぞれ成形型の当接部分で受け止められた各原料塊が搬送方向への付勢力の作用で一定時間転動させられることによって丸く成形されるものである。
【0005】
このような成形型昇降方式以外にも、例えば、断面半円形状の溝が多数形成されたプーリと、その溝と協働して断面円形の中空管を形成する複数の断面円弧状凹部が形成されたガイド部材とを備え、プーリを回転させながら中空管内に練り状原料を通過させることで球状の原料を連続的に得る方式の成形装置も提案されている(特許文献2参照)。しかし、このようなプーリ回転方式では、装置自体が大がかりで煩雑となると共に、練り状原料が触れるのが多数の溝と凹部いう狭隘部分全域であることから、製造工程における稼働前後の洗浄も困難で時間の掛かるものとなり、製造工程全体としては作業効率の低いものである。
【0006】
これに対して前述の成形型昇降方式は、練り状原料が触れるのは各成形型の当接部位のみであるので、成形型を着脱可能とすれば、成形型のみを取り外して簡便に洗浄できるため作業上の負担が軽いだけでなく、駆動系は成形型を複数個並べた状態で保持するフレーム体を昇降させるだけの機構でよいため、装置全体の大型化は避けられることから、結果として効率的な練り状原料塊の球状成形により適した方式と言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2849993号公報
【特許文献2】特開2008−41号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の如き従来の成形型昇降方式の球状成形装置では、成形型を保持するフレーム体がベルトコンベアに対してスプリングで牽引して押し下げられた状態に付勢されており、搬送されてくる原料塊を成形型で受け止めて所定時間転動させた後、カム円盤の回転でカム突起が部分的に押し下げる押圧板の端部を押し上げることによって、該端部に連続する昇降アームを介してフレーム体がスプリングの牽引に抗して上昇するという構成が採用されている。
【0009】
しかしながら、この昇降機構では、カムが押圧板に作用するまで成形型はベルトコンベアの上面に圧接されたままであり、この相対的に停止している成形型に対してベルトコンベアによる搬送方向への付勢力のみで原料塊が転動して成形されるものであるため、一定の搬送速度においては、所望の球状に成形されるのに充分な回転数を得るために必要な時間、成形型を押し下げておくことになる。従って、順次搬送されてくる原料塊もそれに応じて充分な間隔距離を取る必要がある。
【0010】
しかし、量産化に当たって、製造効率を向上させるには、搬送速度を上げるか、あるいは成形型の押し下げ時間を短縮化して原料塊の間隔距離を小さくして、成形処理効率を上げるしかないが、前者では、搬送駆動系に負担をかけたり、前後の処理工程に影響を及ぼす恐れがあり、後者では、所望の球状まで成形できず、製品の形状品質の低下を招く恐れがあった。
【0011】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、成形型昇降方式の練り製品原料の成形装置において、搬送駆動系への負担や製品の形状品質低下を招くことなく、従来より効率的に練り製品原料の球状成形を行える量産に適した成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る練り製品原料の成形装置は、練り製品の練り状原料が予め定められた一定量ずつ順次所定間隔で分配されてベルトコンベア上に載置されてなる原料塊に対し、その搬送経路上で球状に成形する成形装置において、
ベルトコンベア上で搬送されて来る前記原料塊をその搬送経路上で受け止めて転動させて球状に成形する成形型を一つ以上有する成形部と、
前記成形部を前記ベルトコンベア上の予め定められた成形位置で昇降させる昇降機構と、前記成形部を前記ベルトコンベアの搬送方向と対向方向に往動および該搬送方向に復動させる往復動機構とを有する駆動部と、
前記原料塊の検出部と、を備え、
前記駆動部は、前記検出部からの信号情報に基づいて前記昇降機構及び前記往復動機構が駆動し、前記原料塊が前記成形位置に到達するタイミングで該原料塊を前記成形型で受け止める位置に前記成形部が下降すると共に該成形部の下降に連動して前記搬送方向に対して逆方向に予め定められた距離だけ往動し、その後前記成形部が上昇すると同時に搬送方向に復動して退避位置に戻るものであり、これら昇降機構と往復動機構による下降開始から退避位置へ戻るまでの一連の動作を反復して前記原料塊の球状成形を連続的に行うことを特徴とするものである。
【0013】
請求項2に記載の発明に係る練り製品原料の成形装置は、請求項1に記載の練り製品原料の成形装置において、前記成形型の原料塊を受け止める領域に前記練り状原料の付着防止のための潤滑液を噴射するノズル機構をさらに備えたものである。
【0014】
請求項3に記載の発明に係る練り製品原料の成形装置は、請求項1又は2に記載の練り製品原料の成形装置において、前記駆動部は、前記昇降機構としての第1シリンダ機構と、前記往復動機構としての第2シリンダ機構とを備え、
前記第1シリンダ機構は、前記成形部を前記ベルトコンベアの搬送面上で昇降駆動させるものであり、
前記第2シリンダ機構は、前記成形部が連結された第1シリンダ機構を前記搬送面上で往復移動させるものである。
【0015】
請求項4に記載の発明に係る練り製品原料の成形装置は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の練り製品原料の成形装置において、前記成形型は、略U字形状を有し、その屈曲部から開放側に向かって間隔幅が拡がっており、少なくとも原料塊を受け止める屈曲部領域に上部から下部に向かって内側に連続的に肉厚が増大してなる傾斜内面が形成されているものである。
【0016】
請求項5に記載の発明に係る練り製品原料の成形装置は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の練り製品原料の成形装置において、前記成形部は、前記第1シリンダ機構側の取付部に連結され、該連結状態で前記搬送方向と直交する水平方向に複数個の成形型を並列に保持する保持部と、各成形型の前記保持部に対する保持位置を前記水平方向に変更可能に調整する成形型調整機構と、を備え、
前記取付部に対する保持部の連結位置を搬送方向に沿って前後に変更可能に調整する保持部調整機構をさらに備えているものである。
【0017】
請求項6に記載の発明に係る練り製品原料の成形装置は、請求項5に記載の練り製品原料の成形装置において、前記成形部は、前記保持部を前記搬送方向に沿って予め定められた間隔で複数列配置してなることを特徴とするものである。
【0018】
請求項7に記載の発明に係る練り製品原料の成形方法は、練り製品の練り状原料が予め定められた一定量ずつ順次所定間隔で分配されてベルトコンベア上に載置されて搬送されてくる原料塊に対し、予め定められた成形位置に搬送された時点で成形型で該原料塊を受け止めると共に搬送方向と逆方向に押し戻しながら転動させて球状に成形することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明による練り製品原料の成形装置は、駆動部の昇降機構及び往復動機構によって、成形型がベルトコンベア上を搬送されてくる練り製品の原料塊を受け止めることができる位置まで成形部を下降させ、該下降に連動して成形部を搬送方向と対向方向に往動させた後、該成形部を上昇させると同時に退避位置に復動させるという一連の動作を反復させるものである。これにより、連続的に前記原料塊を成形型で受け止めると共に押し戻しながら転動させて球状に成形させることができるため、従来の下降位置で停止状態のままの成形型に対する搬送付勢力のみによる原料塊の転動に比べて、成形型による押し戻し力が加わって転動付勢力が増加する分、同じ搬送速度における単位時間当たりの原料塊の転動回数が増大される。従って、同じ転動回数であれば各成形時間、即ち成形型の下降位置時間も短縮されるため、搬送速度を低下させることなくベルトコンベア上に順次載置搬送される原料塊の間隔距離をより小さく設定でき、結果として、原料成形の処理効率が格段に向上し、練り製品の品質を維持しつつ量産できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施例による成形装置の練り製品原料の成形状態を示す概略斜視図である。
図2図1の成形装置の概略側面図である。
図3図1の成形装置の概略背面図である。
図4図1の成形装置に装着された成形型の概略形状を示す部分模式図であり、(a)は成形時の上方から見た平面図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、練り状原料が予め定められた一定量ずつ順次所定間隔で分配されてベルトコンベア上に載置されてなる原料塊に対してその搬送経路上で受け止めて転動させながら球状に成形するための成形型を一つ以上有する成形部を備え、検出部からの原料塊検出の信号情報に基づいて駆動部の昇降機構と往復動機構とが駆動することによって、原料塊が所定の成形位置に到達するタイミングで成形型が該原料塊を受け止める高さ位置に成形部が下降され、該下降に連動して成形部が搬送方向と対向方向に往動された後、該成形部が上昇されると同時に原料塊の搬送に干渉しない退避位置に復動され、これら成形部の下降開始から退避位置への戻り迄の一連の動作が繰り返される構成としたものである。
【0022】
このような構成を備えた本発明の成形装置においては、魚肉すり身や畜肉ペーストを素材とする粘性の高い練り状原料からなる原料塊を球状に成形する際に、成形型を成形位置への下降に連動して搬送方向と逆方向に進行させることができるため、該成形型により、ベルトコンベア上を搬送されてくる原料塊を受け止めると共に押し戻しながら転動させて球状に成形できる。
【0023】
従って、従来の下降位置で停止状態のままの成形型に対する搬送付勢力のみによる原料塊の転動に比べて、成形型による押し戻し力が加わって転動付勢力が増加する分、同じ搬送速度における単位時間当たりの原料塊の転動回数が増大されるため、同じ転動回数を設定するのであれば各成形時間、即ち成形型の下降維持時間も短縮できる。これにより、搬送速度を低下させることなくベルトコンベア上に順次載置搬送される原料塊の間隔距離をより小さく設定でき、このような短時間の成形処理を、成形型の下降・往動・上昇・復動という一連の動作を反復させることにより、順次搬送されて来る原料塊に対して高速でありながらも確実な球状成形を高効率で行うことができる。
【0024】
以上のように、本発明の成形装置によれば、原料成形の処理効率を格段に向上させ、練り製品の品質を維持しながらも製品の生産効率を上げて量産化を容易に実現できる。また、従来よりも原料塊の成形形状をより真球状に近づけるために、1回の成形処理における成形型下降維持時間を増やすことなく転動回数を増やすことができるため、生産効率を維持したまま製品の形状品質を向上させることも可能となる。
【0025】
また、成形型の原料塊を受け止める領域に対して、練り状原料の付着を防止するための水や食油等の潤滑液を噴射するノズル機構をさらに備え、成形型の下降直前に潤滑液を噴射させる構成とすることによって、成形型を下降させた後の成形処理の際に、吹き付けられた潤滑液により原料塊を受け止めても領域面に練り状原料が付着するのを防ぎ、原料塊の転動をより円滑にすることができると共に、付着物の堆積も回避できるため、付着物による成形不全や付着物を除去するための連続処理の途中停止も避けられる。この場合、制御部により、駆動部側との動作に連動させて、下降動作直前に予め定められた短時間だけ潤滑液を噴射させるようにノズル機構を制御すれば良い。
【0026】
本発明における駆動部の昇降機構、往復動機構としては、シリンダ機構を採用するのが簡便である。具体的に、シリンダ機構を利用して成形部を昇降、往復動させるのに簡便で好適な構成として挙げられるのは、連結された成形部を昇降駆動させる第1シリンダ機構と、この第1シリンダ機構を搬送方向と対向方向に往動および搬送方向に復動させる第2シリンダ機構とを備えたものである。この構成においては、第2シリンダ機構の駆動によって成形型を第1シリンダ機構と共に搬送方向に沿って前記搬送方向と逆方向に往動および搬送方向と同方向に復動させることができる。
【0027】
また、原料塊検出部からの信号情報に基づいて成形部を必要なタイミングで下降・往動・上昇・復動させて原料塊を受け止めながら押し戻して転動成形するための一連の動作を駆動部における昇降機構と往復動機構とを適宜連動・同期させながら駆動させるためには、前記検出部からの信号を受けて、駆動部へ指令することで昇降機構と往復動機構を駆動制御する制御部を介して行う構成とすればよい。
【0028】
例えば、上記のシリンダ機構の作動流体としては、特に、食材への影響がほとんどないエア作動方式が望ましいが、このようなエアシリンダ機構においては、制御部は、第1と第2のシリンダ機構に対して、ベルトコンベア上を搬送されて来る原料塊の位置情報に基づいてエア供給の開始と停止、流路切換を適時指令するものとすればよい。
【0029】
具体的には、練り製品の製造工程では、タンクから供給される混合調製済みの練り状原料を定量分配機等を介して駆動中のベルトコンベア上に一定量ずつ並列に小分け載置する作業を順次所定間隔で連続的に行って、等間隔の列で原料塊が搬送され、途中で列毎に成形装置による球状成形が施された後、さらにその先の加熱工程へ搬送される。従って、制御部は、この工程において、ベルトコンベア上に各原料塊が小分け載置された際に、検出部のセンサーにより予め定められた位置上で原料塊を検出し、その検出位置から成形装置による成形位置までの距離に基づいて、検出時点から搬送速度に応じて得られる成形位置到達時間に合わせて成形型が該成形位置に下降するように駆動部へ指令を送り、第1と第2のシリンダ機構を連動して駆動させるように制御する。
【0030】
また、本発明の成形装置に備えられる成形型としては、原料塊に当接して転動させることで球状にできる形態のものであれば良く、特に限定する必要はないが、魚肉すり身や畜肉ミンチ等の食材を主成分とする粘性の高い練り状原料の塊を転動させやすく球状に成形しやすい形態として略U字形状を有するものが望ましい。このような略U字形状の成形型の場合、原料塊はU字の開放側から受け入れられ、奥側の屈曲部の内面で受け止められると共に押し戻されながら該屈曲部内面に沿って転動される。従って、略U字形状の成形型は、より確実に対象原料塊を受け入れるために、その屈曲部から開放側に向かって間隔幅が拡がっていることが好ましく、また屈曲部を含む奥側の高さ寸法が所望の成形形状の最大径以上とするのが好ましい。
【0031】
さらに、この略U字形状の成形型において、少なくとも原料塊を受け止める屈曲部領域に、上部から下部に向かって内側に連続的に肉厚が増大してなる傾斜内面が形成されている構成とすることによって原料塊の転動を促進できる。これは、該傾斜内面が当接した原料塊を掬い上げるように上方向への付勢力が作用し、原料塊の回転率が向上するためである。
【0032】
また、原料塊は、略U字形成形型の屈曲部の曲面に応じた球状に成形されることになるため、実際の製品の径に応じた曲面と高さを有するものを適宜選択して成形装置に着脱可能に取り付けられる構成とすることが望ましい。
【0033】
また、成形装置によって搬送経路上の所定成形位置で一度に成形処理される原料塊は1個以上であり、対応する成形型も1個以上が成形部に備えられる。よって、一度に複数個の原料塊を成形処理する場合には、同じ個数の成形型を備える必要がある。このため、成形部の構成としては、第1シリンダ機構の取付部に連結される保持部を備え、この保持部に、前記連結状態でベルトコンベア上の搬送方向と直交する水平方向に複数個の成形型が並列に保持される構成とするのが簡便である。
【0034】
すなわち、原料塊が複数個ずつ並列載置状態で搬送されて来る場合には、各列の原料塊に対してその個数分ずつ一度に成形処理できるように、前記水平方向に対応個数の成形型を並列状態で保持部に装着しておき、駆動部の昇降機構及び往復動機構により第1シリンダ機構である昇降機構の取付部に保持部を連結することで、全成形型を一体的に昇降・往復動させることができる。また、この保持部を複数列、搬送方向に沿って所定間隔で連結配置する構成とすることによって、一度に2列以上の原料塊の成形処理を一度の成形処理で行うことができ、処理工程の更なる効率化を図ることもできる。
【0035】
なお、第1シリンダ機構及び第2シリンダ機構の設置位置によって一義的に成形部の下降位置は決定されるが、第1シリンダ機構の取付部に対する保持部の連結位置を変更可能とした保持部調整機構を設けることによって、搬送方向上での成形型による原料塊受け止め位置を調整することができる。また、保持部に対する各成形型の装着部においても、搬送方向と直交する水平方向に変更可能とした成形型調整機構を設けることによって、各成形型を、それぞれ受け止めるべき原料塊に対して位置ズレ無く調整し、より精度良く成形処理を施すことができる。これらの調整機構としては、例えば部材同士の連結・装着がネジ孔同士のネジ止め方式である場合、一方の部材のネジ孔を調整方向に延びる長孔としたものが簡便で好適である。
【実施例】
【0036】
本発明の一実施例として、略U字形状の成形型が並列状に装着された保持部としての連結バーが2列配置されてなる成形部を備えた練り製品原料の球状成形装置を図1〜4により以下に示す。図1は、本成形装置の成形状態を示す概略斜視図である。図2は本成形装置の概略側面図であり、図3は本成形装置の概略背面図である。図4は、本成形装置に装着された成形型の概略形状を示す部分模式図であり、(a)は成形時の上方から見た平面図、(b)は側面図である。
【0037】
本実施例による成形装置1は、タンクから供給される混合調製済みの練り状原料が球天機等の定量分配機3によって一定量ずつ小分けされながらある程度丸みを帯びた原料塊50としてベルトコンベア2上に載置されて油槽等の加熱処理部へ向けて搬送される経路途中に設置されるものである。
【0038】
本成形装置1は、ベルトコンベア2の両側部の基台4にそれぞれ設置された一対の往復動用シリンダ部からなる第2シリンダ機構20と、該第2シリンダ機構20に固定され、上下方向にピストンロッド12が駆動される一対の昇降用シリンダ部からなる第1シリンダ機構10とを備えたものである。
【0039】
第2シリンダ機構20の各往復動シリンダ部は、内部にシリンダが設けられた筐体(第2筐体)21と、シリンダ内を貫通するピストンロッド22とから構成され、このピストンロッド22の両端部を固定することによって第2筐体21がピストンロッド22に沿って前記搬送方向に対して逆方向に往動及び同方向に復動する。本実施例では、復動側への筐体の移動は往動分を戻るだけであるため、往動側のストロークを確保した状態を初期状態とした。
【0040】
一方、第1シリンダ機構10の各昇降用シリンダ部は、内部にシリンダが設けられた第1筐体11と該シリンダ内を上下方向に摺動するピストンロッド12とから構成され、両側のピストンロッドの上部には、ベルトコンベア2上に架け渡される昇降作動板30の両端部が取り付けられている。従って、一対の昇降用シリンダ部におけるピストンロッド12の同期した上下動によって、昇降作動板30が昇降する。
【0041】
昇降作動板30には、その裏面から垂下された取付金具31を介して逆L字形状の取付アーム32が装着されており、ベルトコンベア2上を搬送される原料塊50の並置数に応じた個数の略U字形状の成形型34を所定間隔でネジ固定した保持部としての連結バー33が搬送方向と直交する水平方向に沿って取付アーム32の下部先端に連結されている。従って、成形型34は、連結バー33と共に第1シリンダ機構10のピストンロッド12の駆動による昇降作動板30の上下動に伴って、ベルトコンベア2による原料塊50の搬送経路上の予め定められた成形位置に下降されると共に原料塊50の搬送に干渉しない高さの退避位置へ上昇される。
【0042】
また、第1シリンダ機構10の第1筐体11は、それぞれ対応する第2筐体21に固定されており、これによって、昇降作動板30は第1シリンダ部と共に第2シリンダ機構20の駆動で搬送方向と対向方向に往動および搬送方向に復動される。なお、本実施例においては、第1と第2のシリンダ機構(10,20)は、コンプレッサーから供給されるエアによって駆動されるものとした。
【0043】
よって、制御部(不図示)からのエア供給の制御によって、第1と第2のシリンダ機構(10,20)を駆動制御することで、昇降作動板30に取付金具31と取付アーム32及び連結バー33を介して装着された複数の成形型34を、原料塊50の搬送速度に応じた適切なタイミングでベルトコンベア2上に下降させると共に予め定められた距離だけ前記搬送方向と逆方向に往動させた後、上昇させると同時に前記搬送方向と同方向に初期位置でもある退避位置へ復動させることができる。
【0044】
本成形装置1は、ベルトコンベア2上に小分け載置された原料塊50を検出するセンサー等の検出部(不図示)を備え、制御部は、検出部からの検出信号に基づき、検出位置から成形位置までの距離と前記搬送速度に基づいて決定される検出時点からの時間間隔で第1と第2のシリンダ機構(10,20)に一連の駆動を開始するように指令するものである。即ち、第1と第2のシリンダ機構(10,20)は、制御部からの制御指令に従って、原料塊50の検出から所定時間後の成形位置に達する時点で成形型34を下降させ、該下降に連動して搬送方向と逆方向に所定距離だけ往動させることにより、成形型34のU字形状の屈曲部内面で該原料塊50を受け止めると共に押し戻しながら転動させて球状に成形し、その後直ちに成形型34を上昇させると同時に退避位置へ復動させることができる。
【0045】
さらに、本実施例においては、成形型34の下降直前に各成形型34内面に水や食油等の潤滑液を噴射するための潤滑液噴射機構40を備えたものとした。この噴射機構40は、第2シリンダ機構20の設置部位より上流側で、ベルトコンベア2上に架け渡されるように両端が支持されるノズル取付台41に所定間隔で装着された噴射ノズル42を有するものである。各噴射ノズル42は、対応する成形型34に対して、その噴射軸がそれぞれ初期位置(退避位置)にある成形型34の屈曲部内面に交叉する傾斜状態となっている。ノズル取付台41の上方には、水・食油供給配管フレーム43が設置されており、供給源からポンプで送られる水や食油が該フレーム内に配置された供給管を介して各噴射ノズル42に供給される。各噴射ノズル42はエアコンプレッサのエアによって水や食油を噴射する。
【0046】
制御部は、さらに成形型34の下降を開始する際に噴射ノズル42の噴射作動を指令し、水・食油を成形部内面に短時間吹き付けさせる。このように、成形処理開始前に水や食油を吹き付けておくことで、原料塊50の成形型34への付着を防ぎ、転動をより円滑にすることができる。なお、食油としては、常温で液体である植物油、例えば綿実油、コーン油、大豆油、菜種油等が使用できる。
【0047】
以上のような、水・食油の噴射を含む下降・往動・上昇・復動という一連の動作を原料塊の搬送速度に応じたタイミングで繰り返すことによって、順序、所定間隔で搬送されて来る原料塊列に対応して連続的に短時間で球状成形を施し、先の加熱工程へ送り出すことができる。
【0048】
本実施例による成形装置1では、球状成形時に成形型34を搬送方向と逆方向に進行させて原料塊50を押し戻しているため、従来の成形型34を下降位置で停止状態としたままでのベルトコンベアの搬送付勢力のみによる原料塊の転動に比べて、成形型34による押し戻し力が加わって転動付勢力が増加する分、同じ搬送速度における単位時間当たりの原料塊の転動回数が増大する。従って、同じ転動回数であれば各成形時間、即ち成形型34の下降維持時間も短縮されるため、搬送速度を低下させることなくベルトコンベア上に順次載置搬送される原料塊の間隔距離をより小さく設定でき、原料成形の処理効率を大幅に向上できる。
【0049】
また、本実施例において成形装置1に装着される成形型34は、図4に示すように、より確実に対象原料塊50を受け入れるために、U字形状の屈曲部から開放側に向かって間隔幅が拡がっており、また成形型34の高さ寸法が原料塊50の球形状の最大径以上となっている。さらに、成形型34の屈曲部領域は、上部から下部に向かって内側に連続的に肉厚が増大し、原料塊50が受け止められる屈曲部内面は上方に向かって傾斜している。原料塊50には、この傾斜内面35に当接することによって掬い上げるような上方向への付勢力が作用するため、成形型34の内側での転動が促進され、球状成形の助成に寄与する。
【0050】
なお、本実施例では、各成形型34は連結バー33にネジ止め固定されるものとし、成形型調整機構として、連結バー33側のネジ孔を長孔33Hにして成形型34の装着固定位置を搬送方向と直交する水平方向に変更可能とした。これにより、各成形型34の原料塊受け止め位置が実際の原料塊搬送位置に対してズレが解消されるように調整できる。さらに、連結バー33も取付アーム32にネジ止め固定されるものとし、保持部調整機構として、取付アーム32側のネジ孔を長孔32Hにすることで、連結バー33の連結位置を搬送方向に沿って変更可能とし、同一連結バー33に装着される成形型34のベルトコンベア上の下降位置を一体的に調整できるものとした。
【0051】
以上の構成を備えた本実施例による成形装置において、粘性率5000〜13000cP(センチポアズ)の練り状原料から成る1個当たり13.0gのある程度丸みを帯びた原料塊について、速度12.8m/minで搬送する条件にて、球状成形に充分な転動回数が得られる成形型34の押し戻し距離として、30mmをほぼ瞬時に往動させる設定で成形処理を行った。この場合、原料塊同士の搬送方向の間隔は130mmにでき、一つの成形型34につき、毎分96個の原料塊の球状成形が可能となった。これは、同じ搬送条件における同等の転動回数で押し戻しのない従来の球状成形で行った場合の約2倍の処理数であった。なお、成形型34が屈曲部領域の上部から下部に向かって肉厚が増大した傾斜面を備えている場合、屈曲部領域にこのような傾斜面のない上部から下部に亘って一定の肉厚である成形型と比べて、原料塊の回転率が約1.3〜1.5倍に向上していた。
【0052】
なお、本実施例の成形装置1では、成形型34を装着した連結バー33を取付アーム32の2箇所、先端下部とL字の立ち上がりとの中間位置下部とに取り付けられる構成とした。これによりそれぞれ成形型34を装着した2本の連結バー33を互いに平行に取り付けることによって、2倍の成形型34を同時に上記下降・往動・上昇・復動の一連の駆動を繰り返させることができるため、一度に2列分の原料塊50に対して成形処理を行うことができ、更なる処理効率の向上が図れる。この場合、噴射機構40の噴射ノズル42も成形型34に対応して2列配置とすればよい。
【0053】
以上のように、な本実施例による成形装置を用いることにより、特に、魚肉すり身や畜肉ペースト等を素材とした粘性の高い練り状原料、例えば粘性率が5000〜13000cP(センチポアズ)のものに対して、従来よりも効率的に球状成形処理が行えるため、結果として、駆動系に負担のかかる搬送速度の増加や招くことなく、簡便に球状製品の量産化が実現できる。
【0054】
また、本成形装置1においては、各成形型34を、連結バー33に対して着脱可能とした。これによって、所定の作業工程終了の後、成形型34のみを外して洗浄することができる。成形装置において原料に直接触れたのは成形型34のみであるため、各種複雑な形状の部材を洗浄するような煩雑な手間は必要ない。
【0055】
なお、従来より、魚肉練り製品の製造工程で定量分配機として用いられている球天機は、練り状原料が供給されてくる配管の下端に回転ブレードが設けられており、配管の下端開口から連続的に押し出されてくる練り状原料に対してブレードが1回転毎に定量ずつ切り離された小塊として移動しているベルトコンベア上に順次配置されていくものである。この球天機のブレードにセンサーが装着されており、ブレードが1回転して原料塊をベルトコンベア上に載置すると共に信号が制御部に送られる。したがって、本実施例においても、このようなブレードを備えた球天気を定量分配機として使用する場合には、制御部における第1と第2のシリンダ機構(10,20)の駆動を指令するための原料塊検出信号として該ブレードセンサーからの信号を利用するのが簡便である。
【0056】
また、成形処理工程の間は、成形領域や水・食油噴射領域を含めて成形装置の主要部分を覆っておくことが望ましい。この場合、設置および取り外しか簡便なフレームカバーを設ければよい。
【符号の説明】
【0057】
1:成形装置
2:ベルトコンベア
3:定量分配機
4:基台
10:第1シリンダ機構
11:第1筐体
12:ピストンロッド
20:第2シリンダ機構
21:第2筐体
22:ピストンロッド
30:昇降作動板
31:取付金具
32:取付アーム
32H:長孔
33:連結バー
33H:長孔
34:成形型
35:成形型傾斜内面
40:潤滑液噴射機構
41:ノズル取付台
42:噴射ノズル
43:水・食油供給配管フレーム
50:原料塊
図1
図2
図3
図4