【実施例】
【0036】
本発明の一実施例として、略U字形状の成形型が並列状に装着された保持部としての連結バーが2列配置されてなる成形部を備えた練り製品原料の球状成形装置を
図1〜4により以下に示す。
図1は、本成形装置の成形状態を示す概略斜視図である。
図2は本成形装置の概略側面図であり、
図3は本成形装置の概略背面図である。
図4は、本成形装置に装着された成形型の概略形状を示す部分模式図であり、(a)は成形時の上方から見た平面図、(b)は側面図である。
【0037】
本実施例による成形装置1は、タンクから供給される混合調製済みの練り状原料が球天機等の定量分配機3によって一定量ずつ小分けされながらある程度丸みを帯びた原料塊50としてベルトコンベア2上に載置されて油槽等の加熱処理部へ向けて搬送される経路途中に設置されるものである。
【0038】
本成形装置1は、ベルトコンベア2の両側部の基台4にそれぞれ設置された一対の往復動用シリンダ部からなる第2シリンダ機構20と、該第2シリンダ機構20に固定され、上下方向にピストンロッド12が駆動される一対の昇降用シリンダ部からなる第1シリンダ機構10とを備えたものである。
【0039】
第2シリンダ機構20の各往復動シリンダ部は、内部にシリンダが設けられた筐体(第2筐体)21と、シリンダ内を貫通するピストンロッド22とから構成され、このピストンロッド22の両端部を固定することによって第2筐体21がピストンロッド22に沿って前記搬送方向に対して逆方向に往動及び同方向に復動する。本実施例では、
復動側への筐体の移動は往動分を戻るだけであるため、往動側のストロークを確保した状態を初期状態とした。
【0040】
一方、第1シリンダ機構10の各昇降用シリンダ部は、内部にシリンダが設けられた第1筐体11と該シリンダ内を上下方向に摺動するピストンロッド12とから構成され、両側のピストンロッドの上部には、ベルトコンベア2上に架け渡される昇降作動板30の両端部が取り付けられている。従って、一対の昇降用シリンダ部におけるピストンロッド12の同期した上下動によって、昇降作動板30が昇降する。
【0041】
昇降作動板30には、その裏面から垂下された取付金具31を介して逆L字形状の取付アーム32が装着されており、ベルトコンベア2上を搬送される原料塊50の並置数に応じた個数の略U字形状の成形型34を所定間隔でネジ固定した保持部としての連結バー33が搬送方向と直交する水平方向に沿って取付アーム32の下部先端に連結されている。従って、成形型34は、連結バー33と共に第1シリンダ機構10のピストンロッド12の駆動による昇降作動板30の上下動に伴って、ベルトコンベア2による原料塊50の搬送経路上の予め定められた成形位置に下降されると共に原料塊50の搬送に干渉しない高さの退避位置へ上昇される。
【0042】
また、第1シリンダ機構10の第1筐体11は、それぞれ対応する第2筐体21に固定されており、これによって、昇降作動板30は第1シリンダ部と共に第2シリンダ機構20の駆動で搬送方向と対向方向に往動および搬送方向に復動される。なお、本実施例においては、第1と第2のシリンダ機構(10,20)は、コンプレッサーから供給されるエアによって駆動されるものとした。
【0043】
よって、制御部(不図示)からのエア供給の制御によって、第1と第2のシリンダ機構(10,20)を駆動制御することで、昇降作動板30に取付金具31と取付アーム32及び連結バー33を介して装着された複数の成形型34を、原料塊50の搬送速度に応じた適切なタイミングでベルトコンベア2上に下降させると共に予め定められた距離だけ前記搬送方向と逆方向に往動させた後、上昇させると同時に前記搬送方向と同方向に初期位置でもある退避位置へ復動させることができる。
【0044】
本成形装置1は、ベルトコンベア2上に小分け載置された原料塊50を検出するセンサー等の検出部(不図示)を備え、制御部は、検出部からの検出信号に基づき、検出位置から成形位置までの距離と前記搬送速度に基づいて決定される検出時点からの時間間隔で第1と第2のシリンダ機構(10,20)に一連の駆動を開始するように指令するものである。即ち、第1と第2のシリンダ機構(10,20)は、制御部からの制御指令に従って、原料塊50の検出から所定時間後の成形位置に達する時点で成形型34を下降させ、該下降に連動して搬送方向と逆方向に所定距離だけ往動させることにより、成形型34のU字形状の屈曲部内面で該原料塊50を受け止めると共に押し戻しながら転動させて球状に成形し、その後直ちに成形型34を上昇させると同時に退避位置へ復動させることができる。
【0045】
さらに、本実施例においては、成形型34の下降直前に各成形型34内面に水や食油等の潤滑液を噴射するための潤滑液噴射機構40を備えたものとした。この噴射機構40は、第2シリンダ機構20の設置部位より上流側で、ベルトコンベア2上に架け渡されるように両端が支持されるノズル取付台41に所定間隔で装着された噴射ノズル42を有するものである。各噴射ノズル42は、対応する成形型34に対して、その噴射軸がそれぞれ初期位置(退避位置)にある成形型34の屈曲部内面に交叉する傾斜状態となっている。ノズル取付台41の上方には、水・食油供給配管フレーム43が設置されており、供給源からポンプで送られる水や食油が該フレーム内に配置された供給管を介して各噴射ノズル42に供給される。各噴射ノズル42はエアコンプレッサのエアによって水や食油を噴射する。
【0046】
制御部は、さらに成形型34の下降を開始する際に噴射ノズル42の噴射作動を指令し、水・食油を成形部内面に短時間吹き付けさせる。このように、成形処理開始前に水や食油を吹き付けておくことで、原料塊50の成形型34への付着を防ぎ、転動をより円滑にすることができる。なお、食油としては、常温で液体である植物油、例えば綿実油、コーン油、大豆油、菜種油等が使用できる。
【0047】
以上のような、水・食油の噴射を含む下降・往動・上昇・復動という一連の動作を原料塊の搬送速度に応じたタイミングで繰り返すことによって、順序、所定間隔で搬送されて来る原料塊列に対応して連続的に短時間で球状成形を施し、先の加熱工程へ送り出すことができる。
【0048】
本実施例による成形装置1では、球状成形時に成形型34を搬送方向と逆方向に進行させて原料塊50を押し戻しているため、従来の成形型34を下降位置で停止状態としたままでのベルトコンベアの搬送付勢力のみによる原料塊の転動に比べて、成形型34による押し戻し力が加わって転動付勢力が増加する分、同じ搬送速度における単位時間当たりの原料塊の転動回数が増大する。従って、同じ転動回数であれば各成形時間、即ち成形型34の下降維持時間も短縮されるため、搬送速度を低下させることなくベルトコンベア上に順次載置搬送される原料塊の間隔距離をより小さく設定でき、原料成形の処理効率を大幅に向上できる。
【0049】
また、本実施例において成形装置1に装着される成形型34は、
図4に示すように、より確実に対象原料塊50を受け入れるために、U字形状の屈曲部から開放側に向かって間隔幅が拡がっており、また成形型34の高さ寸法が原料塊50の球形状の最大径以上となっている。さらに、成形型34の屈曲部領域は、上部から下部に向かって内側に連続的に肉厚が増大し、原料塊50が受け止められる屈曲部内面は上方に向かって傾斜している。原料塊50には、この傾斜内面35に当接することによって掬い上げるような上方向への付勢力が作用するため、成形型34の内側での転動が促進され、球状成形の助成に寄与する。
【0050】
なお、本実施例では、各成形型34は連結バー33にネジ止め固定されるものとし、成形型調整機構として、連結バー33側のネジ孔を長孔33Hにして成形型34の装着固定位置を搬送方向と直交する水平方向に変更可能とした。これにより、各成形型34の原料塊受け止め位置が実際の原料塊搬送位置に対してズレが解消されるように調整できる。さらに、連結バー33も取付アーム32にネジ止め固定されるものとし、保持部調整機構として、取付アーム32側のネジ孔を長孔32Hにすることで、連結バー33の連結位置を搬送方向に沿って変更可能とし、同一連結バー33に装着される成形型34のベルトコンベア上の下降位置を一体的に調整できるものとした。
【0051】
以上の構成を備えた本実施例による成形装置において、粘性率5000〜13000cP(センチポアズ)の練り状原料から成る1個当たり13.0gのある程度丸みを帯びた原料塊について、速度12.8m/minで搬送する条件にて、球状成形に充分な転動回数が得られる成形型34の押し戻し距離として、30mmをほぼ瞬時に往動させる設定で成形処理を行った。この場合、原料塊同士の搬送方向の間隔は130mmにでき、一つの成形型34につき、毎分96個の原料塊の球状成形が可能となった。これは、同じ搬送条件における同等の転動回数で押し戻しのない従来の球状成形で行った場合の約2倍の処理数であった。なお、成形型34が屈曲部領域の上部から下部に向かって肉厚が増大した傾斜面を備えている場合、屈曲部領域にこのような傾斜面のない上部から下部に亘って一定の肉厚である成形型と比べて、原料塊の回転率が約1.3〜1.5倍に向上していた。
【0052】
なお、本実施例の成形装置1では、成形型34を装着した連結バー33を取付アーム32の2箇所、先端下部とL字の立ち上がりとの中間位置下部とに取り付けられる構成とした。これによりそれぞれ成形型34を装着した2本の連結バー33を互いに平行に取り付けることによって、2倍の成形型34を同時に上記下降・往動・上昇・復動の一連の駆動を繰り返させることができるため、一度に2列分の原料塊50に対して成形処理を行うことができ、更なる処理効率の向上が図れる。この場合、噴射機構40の噴射ノズル42も成形型34に対応して2列配置とすればよい。
【0053】
以上のように、な本実施例による成形装置を用いることにより、特に、魚肉すり身や畜肉ペースト等を素材とした粘性の高い練り状原料、例えば粘性率が5000〜13000cP(センチポアズ)のものに対して、従来よりも効率的に球状成形処理が行えるため、結果として、駆動系に負担のかかる搬送速度の増加や招くことなく、簡便に球状製品の量産化が実現できる。
【0054】
また、本成形装置1においては、各成形型34を、連結バー33に対して着脱可能とした。これによって、所定の作業工程終了の後、成形型34のみを外して洗浄することができる。成形装置において原料に直接触れたのは成形型34のみであるため、各種複雑な形状の部材を洗浄するような煩雑な手間は必要ない。
【0055】
なお、従来より、魚肉練り製品の製造工程で定量分配機として用いられている球天機は、練り状原料が供給されてくる配管の下端に回転ブレードが設けられており、配管の下端開口から連続的に押し出されてくる練り状原料に対してブレードが1回転毎に定量ずつ切り離された小塊として移動しているベルトコンベア上に順次配置されていくものである。この球天機のブレードにセンサーが装着されており、ブレードが1回転して原料塊をベルトコンベア上に載置すると共に信号が制御部に送られる。したがって、本実施例においても、このようなブレードを備えた球天気を定量分配機として使用する場合には、制御部における第1と第2のシリンダ機構(10,20)の駆動を指令するための原料塊検出信号として該ブレードセンサーからの信号を利用するのが簡便である。
【0056】
また、成形処理工程の間は、成形領域や水・食油噴射領域を含めて成形装置の主要部分を覆っておくことが望ましい。この場合、設置および取り外しか簡便なフレームカバーを設ければよい。