(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.表示システムの概要>
図1は、本実施の形態の表示システム10の外観を示す斜視図である。この表示システム10は、例えば、自動車などの車両に搭載され、車両の車室内で利用される車載装置である。表示システム10は、例えば、目的地までのルートを案内するナビゲーション機能、及び、車室内に音を出力するオーディオ機能などを備えている。
【0020】
表示システム10は、各種の制御機能を有する本体装置1と、本体装置1からの信号に基づいて情報を表示する表示パネル3とを備えている。
【0021】
表示パネル3は、液晶などのディスプレイ35を表示面に備えた薄型の表示装置である。表示パネル3の表示面の形状は、長手方向と短手方向とを有する略長方形となっている。表示パネル3は、例えば、その短手方向が水平方向に沿うように配置される。車両に乗車したユーザ(主にドライバ)は、この表示パネル3のディスプレイ35を視認することで各種の情報を得ることができる。
【0022】
また、ディスプレイ35は、タッチパネルを備えており、ユーザの操作を受け付けることが可能である。ユーザは、ディスプレイ35に表示されたコマンドボタンBなどをタッチする(押圧する)ことで、表示システム10に各種の指示を与えることができる。なお、表示パネル3は、ユーザが指示を行うための物理的な操作ボタンを備えていてもよい。表示システム10に対してユーザが指示を行う場合、ユーザは表示パネル3の表示面を押圧することになる。
【0023】
本体装置1は、表示パネル3に表示すべき情報を示す信号を表示パネル3に出力する。また、本体装置1は、表示パネル3に対してなされたユーザの操作に応じて、各種の処理を実行する。本体装置1は、車両に対して固定され、表示システム10の全体を支持する支持部材としても機能する。
【0024】
また、表示システム10は、本体装置1に対する表示パネル3の向きを変更するチルト装置2を備えている。チルト装置2は、本体装置1と表示パネル3との相互間に配置され、表示パネル3の表示面の向きを上下方向に変更できる。
【0025】
なお、以下の説明においては、図中に示す三次元直交座標系(XYZ)を用いて、適宜、方向や向きを示すこととする。この直交座標系は、本体装置1に対して相対的に固定される。X軸方向は左右方向、Y軸方向は前後方向、Z軸方向は上下方向に相当する。+X側が表示パネル3の表示面の左側、−X側が表示面の右側となる。また、+Y側が表示面の正面側、−Y側が表示面の背面側、+Z側が上側、−Z側が下側となる。
【0026】
図2は、表示システム10が搭載された車両の車室内の様子を車両の右側からみた図である。
図2の右側が、車両の前方側に相当する。図に示すように、表示システム10は、車室内の前方のダッシュボード91に形成された開口部である装着部91aに取り付けられる。ユーザは、車両の座席92に着座した状態で、このように装着部91aに取り付けられた表示システム10を利用する。
【0027】
表示システム10の本体装置1は、装着部91aの内部に収容された状態で、固定対象となるダッシュボード91(すなわち、車両)に締結具などで固定される。本実施の形態では、本体装置1は、その底面の方向が略水平方向に沿うように固定される。したがって、X軸方向及びY軸方向は略水平方向に沿い、Z軸方向は略鉛直方向に沿っている。
【0028】
また、表示パネル3は、その表示面が車両の車室内側(車両の後方側)に向けられた状態で配置される。ダッシュボード91の表面は鉛直方向に対して僅かに傾斜している。このダッシュボード91の表面の傾斜に合わせて、表示パネル3の表示面は鉛直方向に対して傾斜して僅かに上側に向くことができるようにされている。
【0029】
チルト装置2は、このように配置された本体装置1の前面(+Y側)と表示パネル3の背面(−Y側)との間の僅かな隙間に配置されている。チルト装置2は、
図2に示す状態から、表示パネル3の表示面の向きを変更できる。チルト装置2は、本体装置1の内部ではなくこのような隙間に配置されるため、本体装置1の内部にチルト装置2のためのスペースを用意する必要がない。このため、本体装置1のサイズを比較的小さくすることができ、サイズの比較的小さな装着部91aであっても本体装置1を収容できる。
【0030】
図3は、チルト装置2の駆動の概要を示す図である。
図3に示すように、チルト装置2は、本体装置1に対して表示パネル3の表示面の向きを上下方向に変更する。チルト装置2は、左右方向(X軸方向)に沿った回転軸2xを中心に、表示パネル3を上下方向(Z軸方向)に回転する(チルトする)。これにより、チルト装置2は、表示パネル3の表示面の向きを、
図3の上部に示す第1状態ST1の向きと、
図3の下部に示す第2状態ST2の向きとの間で変更できる。
図3に示すように、第1状態ST1は第2状態ST2と比較して、表示パネル3の表示面の鉛直方向(Z軸方向)に対する傾斜の程度が大きい。
【0031】
また、チルト装置2の回転軸2xは、表示パネル3の上下方向(回転軸2xに直交する方向)における略中央に配置される。
図3に示すように、表示パネル3の上下方向の中央において表示パネル3の表示面に対し垂直方向に延びる線分Lを想定すると、この線分Lはチルト装置2の回転軸2xと交わることになる。
【0032】
このようにチルト装置2の回転軸2xが表示パネル3の上下方向における略中央に配置されることで、表示パネル3の上下いずれかの端部近傍に回転軸2xが配置される場合と比較して、チルト装置2は表示パネル3をバランスよく安定して保持することができる。また、チルト装置2が表示パネル3の表示面の向きを変更した場合において、表示パネル3の上下端部の双方における移動量を少なくすることができる。その結果、表示パネル3が、ダッシュボード91などの車両内の部材と接触することを防止できる。つまり、表示パネル3とダッシュボード91との接触を防ぐために、ダッシュボード91に設ける必要のある空間を小さくできる。
【0033】
<1−2.表示システムの電気的な構成>
次に、表示システム10の電気的な構成について説明する。
図4は、表示システム10の電気的な構成を示すブロック図である。図に示すように、本体装置1は、表示パネル3及びチルト装置2と電気的に接続されている。これにより、本体装置1は、表示パネル3とチルト装置2との双方の動作を制御することが可能となっている。
【0034】
本体装置1は、制御部11と、記憶部12と、ナビゲーション部13と、オーディオ部14とを備えている。
【0035】
記憶部12は、例えばフラッシュメモリなど、各種のデータを記憶可能な不揮発性の記憶装置である。記憶部12には、表示システム10の動作に必要な各種のデータが記憶される。ナビゲーション部13は、記憶部12に記憶された地図を利用して、目的地までのルートを案内するナビゲーション機能を実現する。また、オーディオ部14は、記憶部12に記憶された音声データを利用して、車室内に音を出力するオーディオ機能を実現する。
【0036】
制御部11は、例えば、CPU、RAM及びROMなどを備えるマイクロコンピュータであり、表示システム10の全体を統括的に制御する。制御部11の各種の機能は、記憶部12などに予め記憶されたプログラムをCPUが実行することにより実現される。図中に示す表示制御部11a及び駆動制御部11bは、プログラムを実行することにより実現される機能の一部である。
【0037】
表示制御部11aは、表示パネル3のディスプレイ35の動作を制御する。表示制御部11aは、表示パネル3に表示すべき情報を示す信号を表示パネル3に与えることで、ディスプレイ35に各種の情報を表示させる。表示制御部11aは、ナビゲーション部13で生成されたルートを示す地図画像等をディスプレイ35に表示させる。また、表示制御部11aは、動作上において必要となるコマンドボタンBをディスプレイ35に表示させ、コマンドボタンBに対してなされたユーザの指示を受け付ける。
【0038】
また、駆動制御部11bは、チルト装置2の動作を制御する。チルト装置2は、モータ25と、位置スイッチ27a,27bとを備えている(詳細は後述)。駆動制御部11bは、モータ25を駆動させることでチルト装置2の状態を移行させる。これとともに、駆動制御部11bは、位置スイッチ27a,27bからの信号に基づいて、チルト装置2の状態が第1状態ST1及び第2状態ST2のいずれであるかを把握する。
【0039】
駆動制御部11bは、表示制御部11aが受け付けたユーザの指示に応答してモータ25を駆動させ、チルト装置2の状態を第1状態ST1と第2状態ST2との間で移行させる。
【0040】
<1−3.チルト装置>
次に、チルト装置2の構成について説明する。
図5から
図7は、チルト装置2の構成を主に示す図である。
図5は、チルト装置2の主要部品の分解斜視図である。また、
図6は第1状態ST1のチルト装置2の斜視図であり、
図7は第2状態ST2のチルト装置2の斜視図である。これらの図では、説明の便宜上、一部の部材を透過して示すとともに、表示パネル3の図示を省略している。
【0041】
図5に示すように、チルト装置2は主に、各種機構を支持するベースシャーシ21と、ベースシャーシ21に対して直線的に移動する2つのカムレバー22,23と、表示パネル3を支持するパネルホルダ24とを備えている。
【0042】
パネルホルダ24は、表示パネル3の背面側(−Y側)に固定され、表示パネル3を支持する。パネルホルダ24の主面は、表示パネル3の表示面と略平行に配置される。このパネルホルダ24とベースシャーシ21とには、開口部241,211がそれぞれ形成されている。本体装置1と表示パネル3とを電気的に接続するケーブルは、この開口部241,211を経由するようになっている。
【0043】
ベースシャーシ21は、本体装置1における表示パネル3が配置される側の面である前面fsにネジ19などで固定されている(
図6,
図7参照。)。ベースシャーシ21の主面は、本体装置1の前面fsと略平行とされている。ベースシャーシ21は、パネルホルダ24や2つのカムレバー22,23の移動の基準となる基準部材として機能する。ベースシャーシ21の主面には、比較的大きな2つの固定シャフト21c,21dと、比較的小さな3つの固定シャフト21e,21f,21gとが固定的に設けられる。また、ベースシャーシ21の主面には、上下方向(Z軸方向)に沿って2つのガイド溝21j,21kが設けられている。
【0044】
第1カムレバー22は、背面側(−Y側)に2つのガイドシャフト22j,22kを備えている。この2つのガイドシャフト22j,22kは、ベースシャーシ21の2つのガイド溝21j,21kにそれぞれ嵌合する。このため、第1カムレバー22は、2つのガイド溝21j,21kに沿って上下方向(Z軸方向)に直線的に移動可能となっている。これにより、第1カムレバー22は、ベースシャーシ21の主面に略平行に上下方向(Z軸方向)に移動する。すなわち、第1カムレバー22は、本体装置1の前面fsに略平行に移動することになる。
【0045】
また、ベースシャーシ21の2つの固定シャフト21c,21dも、第1カムレバー22に設けられる溝22c,22dにそれぞれ嵌合している。これにより、ベースシャーシ21の前後方向(Y軸方向)におけるガタつきが抑制される。
【0046】
また、第2カムレバー23は、左右方向(X軸方向)に沿った3つのガイド溝23e,23f,23gを備えている。この3つのガイド溝23e,23f,23gには、ベースシャーシ21の3つの固定シャフト21e,21f,21gがそれぞれ嵌合している。固定シャフト21eは、第1カムレバー22に形成された上下方向(Z軸方向)に沿った貫通溝22eを貫通しつつ、第2カムレバー23のガイド溝23eに嵌合している。このため、第2カムレバー23は、3つのガイド溝23e,23f,23gに沿って左右方向(X軸方向)に直線的に移動可能となっている。これにより、第2カムレバー23は、ベースシャーシ21の主面に略平行に左右方向(X軸方向)に移動する。すなわち、第2カムレバー23は、本体装置1の前面fsに略平行に移動することになる。
【0047】
また、第1カムレバー22の主面には、2つの嵌合シャフト221,222が固定的に設けられている。一方で、第2カムレバー23は、2つのガイド溝231,232を備えている。この2つのガイド溝231,232は、上下方向(Z軸方向)及び左右方向(X軸方向)に対して傾斜しており、左側(+X側)と比較して右側(−X側)の位置が高くなっている。これら2つのガイド溝231,232に対して、第1カムレバー22の2つの嵌合シャフト221,222がそれぞれ嵌合している。
【0048】
これにより、第1カムレバー22と第2カムレバー23とは連動するようになっている。すなわち、第2カムレバー23が左右方向(X軸方向)に移動すると、嵌合シャフト221,222が傾斜したガイド溝231,232に沿って移動する。その結果、第1カムレバー22が、左右方向(X軸方向)に直交する上下方向(Z軸方向)に移動することになる。
【0049】
また、ベースシャーシ21の上部には、表示パネル3を回転する際の回転軸2xとなる2つの支点シャフト21aが設けられている。この2つの支点シャフト21aは、パネルホルダ24の側面243の上部に形成された2つのシャフト穴24aにそれぞれ挿入される。これにより、パネルホルダ24は、ベースシャーシ21に対して回転軸2xにおいて回転可能に接続される。
【0050】
また、第1カムレバー22の側面223には、2つのスライドシャフト22bが固定的に設けられている。一方で、パネルホルダ24の側面243の下部には、パネルホルダ24の主面に対して傾斜して延びる2つのガイド溝24bが設けられている。ガイド溝24bの下部(−Z側)と比較して上部(+Z側)の位置は、パネルホルダ24の主面から離れている。そして、第1カムレバー22の2つのスライドシャフト22bは、パネルホルダ24の2つのガイド溝24bにそれぞれ嵌合している。
【0051】
このような構成により、第1カムレバー22はパネルホルダ24の一部と接続され、第1カムレバー22とパネルホルダ24とは連動するようになっている。すなわち、第1カムレバー22が上下方向(X軸方向)に移動すると、スライドシャフト22bがガイド溝24bに沿って移動する。これにより、パネルホルダ24は回転軸2xを中心に回転しつつ、パネルホルダ24の下部が移動する。その結果、ベースシャーシ21に対してパネルホルダ24の向きが変更されることになる。
【0052】
また、
図6及び
図7に示すように、チルト装置2は、駆動力を発生する駆動源となるモータ25と、モータ25の駆動力を伝達する複数のギア26とを備えている。これらモータ25及び複数のギア26は、ベースシャーシ21に対して固定的に配置される。
【0053】
また、第2カムレバー23は、左右方向(X軸方向)に沿ったラックギア23hを備えている。このラックギア23hには、複数のギア26の一つが係合している。したがって、モータ25の駆動力は、複数のギア26を介して第2カムレバー23に伝達される。モータ25が回転すると、第2カムレバー23は左右方向(X軸方向)に移動する。
【0054】
上述のように、第2カムレバー23と第1カムレバー22とは連動し、また、第1カムレバー22とパネルホルダ24とは連動する。したがって、モータ25の駆動によって、第2カムレバー23が左右方向(X軸方向)に移動すると、ベースシャーシ21に対してパネルホルダ24の向きが変更されることになる。
【0055】
例えば、
図6に示す第1状態ST1においてモータ25が駆動して、第2カムレバー23が右側(−X側)へ移動すると、第1カムレバー22の嵌合シャフト221,222が第2カムレバー23のガイド溝231,232に沿って下側(−Z側)に移動する。これにより、第1カムレバー22が下側(−Z側)に移動することになる。
【0056】
そして、第1カムレバー22が下側(−Z側)に移動すると、第1カムレバー22のスライドシャフト22bがパネルホルダ24のガイド溝24bに沿って移動する。これにより、パネルホルダ24は回転軸2xを中心に回転しつつ、パネルホルダ24の下部が背面側(−Y側)に移動する。その結果、チルト装置2は、
図7に示す第2状態ST2となる。
【0057】
逆に、
図7に示す第2状態ST2においてモータ25が駆動して、第2カムレバー23が左側(+X側)へ移動すると、第1カムレバー22の嵌合シャフト221,222が第2カムレバー23のガイド溝231,232に沿って上側(+Z側)に移動する。これにより、第1カムレバー22が上側(+Z側)に移動することになる。
【0058】
そして、第1カムレバー22が上側(+Z側)に移動すると、第1カムレバー22のスライドシャフト22bがパネルホルダ24のガイド溝24bに沿って移動する。これにより、パネルホルダ24は回転軸2xを中心に回転しつつ、パネルホルダ24の下部が正面側(+Y側)に移動する。その結果、チルト装置2は、
図6に示す第1状態ST1となる。
【0059】
また、チルト装置2は、2つの位置スイッチ27a,27bが配置された基板27を備えている。この基板27は、ベースシャーシ21に対して固定的に配置される。制御部11の駆動制御部11bは、これらの位置スイッチ27a,27bからの信号に基づいて、チルト装置2の状態が第1状態ST1及び第2状態ST2のいずれであるかを把握する。
【0060】
一方の位置スイッチ27aは、基板27の左側に配置される。
図6に示すように、位置スイッチ27aは、可動範囲の左側(+X側)に移動した第2カムレバー23の一部の突出片23iと接触してオンとなる。これにより、位置スイッチ27aは、チルト装置2の状態が第1状態ST1であることを検出する。
【0061】
また、他方の位置スイッチ27bは、基板27の右側に配置される。
図7に示すように、位置スイッチ27bは、可動範囲の右側(−X側)に移動した第2カムレバー23の突出片23iと接触してオンとなる。これにより、位置スイッチ27bは、チルト装置2の状態が第2状態ST2であることを検出する。
【0062】
<1−4.チルト装置の移動規制>
また、チルト装置2は、第1状態ST1及び第2状態ST2において、表示パネル3がユーザに押圧された場合においても、表示パネル3(すなわち、パネルホルダ24)の向きが変更されることを防止できるようになっている。
【0063】
図8は、第1状態ST1のチルト装置2を示している。
図8に示す第1状態ST1において、表示パネル3の下部がユーザに押圧された場合を想定する。
【0064】
この場合は、図中の矢印AR1に示すように、パネルホルダ24の下部に背面側(−Y側)へ回転する力が生じる。この力(矢印AR1)により、パネルホルダ24のガイド溝24bに沿って、第1カムレバー22のスライドシャフト22bが下側(−Z側)に移動しようとする。このため、矢印AR2に示すように、第1カムレバー22に下側(−Z側)へ移動する力が生じる。その結果、第1カムレバー22に固定された嵌合シャフト221,222においても下側(−Z側)へ移動する力(矢印AR3)が生じる。
【0065】
一方で、
図8に示すように第1状態ST1においては、嵌合シャフト221,222は、第2カムレバー23においてガイド溝231,232の右側(−X側)の端部に連接されるロック溝231R,232Rに嵌合している。このロック溝231R,232Rは、左右方向(X軸方向)に沿っている。
【0066】
したがって、嵌合シャフト221,222を動かす力(矢印AR3)はロック溝231R,232Rの側壁に働き、嵌合シャフト221,222の移動は規制される。すなわち、第2カムレバー23のロック溝231R,232Rが、第1カムレバー22の上下方向(Z軸方向)への移動を規制することになる。その結果、表示パネル3がユーザに押圧された場合に、表示パネル3の向きが変更されることを防止できることになる。
【0067】
また、
図7に示すように、第2状態ST2においては、嵌合シャフト221,222は、第2カムレバー23においてガイド溝231,232の左側(+X側)の端部に連接されるロック溝231L,232Lに嵌合している。このロック溝231L,232Lも、左右方向(X軸方向)に沿っている。したがって、第2カムレバー23のロック溝231L,232Lが、第1カムレバー22の上下方向(Z軸方向)への移動を規制する。その結果、第2状態ST2においても、表示パネル3がユーザに押圧された場合に、表示パネル3の向きが変更されることを防止できることになる。
【0068】
以上のように、本実施の形態の表示システム10のチルト装置2は、本体装置1に固定されるベースシャーシ21と、ベースシャーシ21に設けられる回転軸2xにおいて回転可能にベースシャーシ21に接続されるとともに表示パネル3を支持するパネルホルダ24と、パネルホルダ24の一部と接続されベースシャーシ21に対して上下方向に直線的に移動してパネルホルダ24の向きを変更する第1カムレバー22とを備えている。また、第2カムレバー23のロック溝231R,232R,231L,232Lが、第1カムレバー22の上下方向への移動を規制する。これにより、表示パネル3が押圧された場合に表示パネル3の向きが変更されることを防止できる。
【0069】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の表示システムにおいては、チルト装置の構成のみが第1の実施の形態と異なっている。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0070】
図9は、第2の実施の形態の表示システムのチルト装置2aの構成を示す図である。このチルト装置2aは、第2カムレバー23を備えておらず、第1カムレバー22のみを移動させてパネルホルダ24の向き(表示パネル3の向き)を変更する。
【0071】
第2の実施の形態のチルト装置2aにおいては、パネルホルダ24の主面に対して傾斜したガイド溝245と、ガイド溝245の両端部に連接したロック溝245a,245bとがパネルホルダ24の側面243に形成されている。第1カムレバー22のスライドシャフト22bは、パネルホルダ24のこれらの溝245,245a,245bに嵌合し、これらの溝245,245a,245bに沿って移動可能となっている。
【0072】
第2の実施の形態のチルト装置2aにおいても、第1カムレバー22を上下方向(Z軸方向)に移動させると、スライドシャフト22bがガイド溝245に沿って移動する。これにより、パネルホルダ24は回転軸2xを中心に回転しつつ、パネルホルダ24の下部が移動する。その結果、ベースシャーシ21に対してパネルホルダ24の向きが変更されることになる。
【0073】
また、
図9の上部に示すように、第1状態ST1においては、スライドシャフト22bは上部のロック溝245aに嵌合している。これにより、表示パネル3がユーザに押圧された場合においても、第1カムレバー22の移動が規制され、表示パネル3の向きが変更されることを防止できる。また、
図9の下部に示すように、第2状態ST2においては、スライドシャフト22bは下部のロック溝245bに嵌合している。これにより、表示パネル3がユーザに押圧された場合においても、第1カムレバー22の移動が規制され、表示パネル3の向きが変更されることを防止できる。
【0074】
このように第2の実施の形態のチルト装置2aにおいては、傾斜したガイド溝245の範囲を超えて、第1カムレバー22をロック溝245a,245bの位置まで移動させる必要がある。このため、第2の実施の形態のチルト装置2aでは、第1の実施の形態のチルト装置2と比較して、第1カムレバー22を大きく移動させる必要がある。
【0075】
例えば、
図9の下部に示すように第2状態ST2では、本体装置1の前面fsの範囲を超える位置(本体装置1の底面よりも下の位置)まで第1カムレバー22を移動させる必要がある。このため、本体装置1の取付状態によっては、第1カムレバー22がダッシュボード91などの車両内の部材と接触する可能性がある。また、
図9の上部に示す第1状態ST1においては、第1カムレバー22がベースシャーシ21の比較的上部まで移動するため、開口部211(
図5〜
図7参照。)を塞いでしまう可能性がある。
【0076】
上述のように第1の実施の形態のチルト装置2では、左右方向(X軸方向)に移動する第2カムレバー23を備えている。そして、第2カムレバー23のロック溝231L,232L,231R,232Rが、第1カムレバー22の移動を規制する。このため、比較的スペースの余裕のある左右方向(X軸方向)に第2カムレバー23を大きく移動させることで、比較的スペースの余裕のない上下方向(Z軸方向)に移動する第1カムレバー22の移動量を少なくすることができる。このため、第1の実施の形態のチルト装置2では、本体装置1の前面fsの範囲内で第1カムレバー22を移動させることが可能となっている。その結果、第1の実施の形態のチルト装置2では、第1カムレバー22が車両内の部材と接触したり、ベースシャーシ21の開口部211を塞ぐなどの不具合を防止できることになる。
【0077】
<3.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態の表示システムにおいては、主にチルト装置の構成が第1の実施の形態と異なっている。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0078】
<3−1.チルト装置の構成>
図10及び
図11は、第3の実施の形態の表示システムのチルト装置4の構成を主に示す図である。これらの図では、説明の便宜上、一部の部材を透過して示している。
図10は第1状態ST11のチルト装置4の斜視図であり、
図11は第2状態ST12のチルト装置4の斜視図である。
【0079】
これらの図に示すように、チルト装置4は主に、各種機構を支持するベースシャーシ41と、表示パネル3を支持するパネルホルダ44とを備えている。なお、
図10,
図11では、表示パネル3の図示を省略している。
【0080】
チルト装置4は、左右方向(X軸方向)に沿った回転軸4xを中心に、パネルホルダ44に支持された表示パネル3を上下方向(Z軸方向)に回転する(チルトする)。これにより、チルト装置4は、表示パネル3の表示面の向きを、
図10に示す第1状態ST11の向きと、
図11に示す第2状態ST12の向きとの間で変更できる。第1状態ST11は第2状態ST12と比較して、表示パネル3の表示面の鉛直方向(Z軸方向)に対する傾斜の程度が大きい。
【0081】
ベースシャーシ41は、本体装置1の前面fsに固定され、基準部材として機能する。ベースシャーシ41の主面は、本体装置1の前面fsと略平行とされている。また、パネルホルダ44は、表示パネル3の背面側(−Y側)に固定され、表示パネル3を支持する。パネルホルダ44の主面は表示パネル3の表示面と略平行に配置される。パネルホルダ44は、回転軸4xとなる2つの支点シャフト41aにおいてベースシャーシ21に対して回転可能に接続される。
【0082】
また、チルト装置4は、スライドレバー42と、2つのリンクレバー43とを備えている。スライドレバー42は、上下方向(Z軸方向)に沿ったガイド溝42eを備えている。このガイド溝42eには、ベースシャーシ41に固定される2つの固定シャフト41eが嵌合している。このため、スライドレバー42は、ガイド溝42eに沿って上下方向(Z軸方向)に直線的に移動可能となっている。これにより、スライドレバー42は、ベースシャーシ21の主面に略平行に上下方向(Z軸方向)に移動する。
【0083】
スライドレバー42の下部には、左右方向(X軸方向)に沿って延びる円筒状の部材であるリンクシャフト421が嵌合している。したがって、リンクシャフト421は、スライドレバー42と一体的に、ベースシャーシ21の主面に略平行に上下方向(Z軸方向)に移動する。なお、リンクシャフト421は、スライドレバー42に固定されていてもよい。
【0084】
また、リンクシャフト421の左右方向(X軸方向)の両端部は、ベースシャーシ41の両側面413に形成された上下方向(Z軸方向)に沿った2つのガイド溝41bにそれぞれ嵌合している。したがって、リンクシャフト421の可動範囲(すなわち、スライドレバー42の可動範囲)はガイド溝41bによって規定される。
【0085】
リンクレバー43は、パネルホルダ44の両側面に配置される棒状の部材である。リンクレバー43の一端は、ガイド溝41bを貫通したリンクシャフト421の端部と回転可能に接続される。また、リンクレバー43の他端は、回転シャフト43cによって、パネルホルダ44の下部の側面に回転可能に接続される。
【0086】
このような構成により、スライドレバー42は、パネルホルダ44の一部と間接的に接続され、スライドレバー42とパネルホルダ44とは連動するようになっている。すなわち、スライドレバー42が上下方向(X軸方向)に移動すると、リンクシャフト421がガイド溝41bに沿って移動する。このリンクシャフト421の移動によりリンクレバー43が移動し、さらに、リンクレバー43の動きに従ってパネルホルダ44は回転軸4xを中心に回転しつつパネルホルダ44の下部が移動する。その結果、ベースシャーシ41に対してパネルホルダ44の向きが変更されることになる。
【0087】
また、チルト装置4は、駆動力を発生する駆動源となるモータ45と、モータ45の駆動力を伝達する複数のギア46とを備えている。これらモータ45及び複数のギア46は、ベースシャーシ41に対して固定的に配置される。
【0088】
また、スライドレバー42は、上下方向(Z軸方向)に沿ったラックギア42hを備えている。このラックギア42hには、複数のギア46の一つが係合している。したがって、モータ45の駆動力は、複数のギア46を介してスライドレバー42に伝達される。モータ45が回転すると、スライドレバー42は上下方向(Z軸方向)に移動する。したがって、モータ45の駆動によって、スライドレバー42が上下方向(Z軸方向)に移動すると、ベースシャーシ41に対してパネルホルダ44の向きが変更されることになる。
【0089】
例えば、
図10に示す第1状態ST11においてモータ45が駆動して、スライドレバー42が上側(+Z側)へ移動すると、リンクシャフト421がガイド溝41bに沿って上側(+Z側)に移動する。このリンクシャフト421の移動によりリンクレバー43が移動し、さらに、リンクレバー43の動きに従ってパネルホルダ44は回転軸4xを中心に回転しつつパネルホルダ44の下部が背面側(−Y側)に移動する。その結果、チルト装置4は、
図11に示す第2状態ST12となる。
【0090】
逆に、
図11に示す第2状態ST12においてモータ45が駆動して、スライドレバー42が下側(−Z側)へ移動すると、リンクシャフト421がガイド溝41bに沿って下側(−Z側)に移動する。このリンクシャフト421の移動によりリンクレバー43が移動し、さらに、リンクレバー43の動きに従ってパネルホルダ44は回転軸4xを中心に回転しつつパネルホルダ44の下部が正面側(+Y側)に移動する。その結果、チルト装置4は、
図10に示す第1状態ST11となる。
【0091】
また、チルト装置4は、表示パネル3(パネルホルダ44)の向きを検出するための位置センサ47を備えている。位置センサ47は、例えば、可変抵抗器であり、上下方向(Z軸方向)に沿って延びるように、ベースシャーシ41に配置される。位置センサ47には、スライドレバー42の突出片42iが係合しており、この突出片42iが可変抵抗器の可動端子として機能する。これにより、位置センサ47は、突出片42iの位置に応じて変動する抵抗値に基づいて、スライドレバー42の位置を検出することができる。このスライドレバー42の位置は、表示パネル3の向きに相当する。
【0092】
本実施の形態の表示システム10の駆動制御部11bは、このような位置センサ47を利用することで、チルト装置4のスライドレバー42を、その可動範囲のうちの任意の位置に移動させることができる。すなわち、駆動制御部11bは、第1状態ST11の向きと第2状態ST12の向きとの間の任意の向きに、表示パネル3の向きを変更できるようになっている。
【0093】
<3−2.チルト装置の移動規制>
本実施の形態のチルト装置4も、表示パネル3がユーザに押圧された場合において、表示パネル3(すなわち、パネルホルダ44)の向きが変更されることを防止する。
【0094】
図12〜
図14は、表示システム10の右側(−X側)からみたチルト装置4を示している。
図12は第1状態ST11のチルト装置4を示し、
図13は第2状態ST12のチルト装置4を示している。また、
図14は、第1状態ST11と第2状態ST12との間の状態(以下、「途中状態」という。)ST13のチルト装置4を示している。
【0095】
これらの図に示すように、表示パネル3がユーザに押圧された場合は、リンクレバー43が延びる方向に沿った力(図中のベクトルP)が、リンクシャフト421の位置に生じる。この力Pは、前後方向(Y軸方向)に沿った分力Pyと、上下方向(Z軸方向)に沿った分力Pzとに分解できる。このうち、ガイド溝41bに沿った上向き(+Z向き)の分力Pzは、リンクシャフト421を上側(+Z側)に移動させる力となる可能性がある。
【0096】
図12に示すように、第1状態ST11においては、ガイド溝41bに沿った上向き(+Z向き)の分力Pzは非常に小さい。このため、リンクシャフト421は移動しない。したがって、表示パネル3の向きが変更されることが防止される。
【0097】
また、
図13に示すように、第2状態ST12においては、ガイド溝41bに沿った上向き(+Z向き)の分力Pzは比較的大きくなる。しかしながら、第2状態ST12においては、リンクシャフト421はガイド溝41bの上側(+Z側)の端部に移動しているため、それ以上移動することはできない。すなわち、リンクシャフト421の移動は、ガイド溝41bによって規制されることになる。換言すれば、ガイド溝41bが、スライドレバー42の上下方向(Z軸方向)への移動を規制していることになる。したがって、表示パネル3の向きが変更されることが防止される。
【0098】
このように、第1状態ST11及び第2状態ST12においては、表示パネル3がユーザに押圧された場合に、表示パネル3の向きが変更されることが防止できるようになっている。
【0099】
一方、
図14に示すように、第1状態ST11と第2状態ST12との間の途中状態ST13においては、ガイド溝41bに沿った上向き(+Z向き)の分力Pzは比較的大きい。そして、リンクシャフト421はガイド溝41bの端部にないため、リンクシャフト421の移動はガイド溝41bによって規制されない。このため、他の規制がない場合は表示パネル3がユーザに押圧されたときに、リンクシャフト421がガイド溝41bに沿って上側(+Z側)に移動する可能性がある。
【0100】
このようなリンクシャフト421の移動を規制するため、チルト装置4は2つの板バネ48を備えている。2つの板バネ48は、リンクシャフト421と接するように、2つのガイド溝41bの近傍にそれぞれ設けられる(
図10,
図11参照。)。板バネ48は、その下側(−Z側)の端部がベースシャーシ41に固定されており、リンクシャフト421を下側(−Z側)へ付勢する。これにより、リンクシャフト421の移動は、板バネ48によって規制されることになる。換言すれば、板バネ48が、スライドレバー42の上下方向(Z軸方向)への移動を規制していることになる。したがって、途中状態ST13においても、表示パネル3の向きが変更されることを防止できる。
【0101】
<4.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0102】
また、上記実施の形態では、支持部材である本体装置1の底面の方向が水平方向に沿っていると説明したが、水平方向に対して傾いていてもよい。
【0103】
また、上記実施の形態では、表示システム10は、ダッシュボード91に形成された開口部である装着部91aに取り付けられるとしていたが、他の位置に取り付けられてもよい。例えば、表示システム10は、ダッシュボード91の上や、車室内の天井などに取り付けられてもよい。
【0104】
また、表示システムは、表示パネル3に対してチルト装置及び支持部材を後付で結合させたものであってもよい。この場合は、一般的なスマートフォンやタブレット端末などを表示パネル3として利用できる。
【0105】
また、上記実施の形態では、表示システム10は、自動車などの車両を固定対象とするものとして説明したが、家庭、店舗、オフィス、工場などの他の場所を固定対象としてもよい。
【0106】
また、上記実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に制御機能が実現されると説明したが、このような制御機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。