(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130179
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】電池ホルダおよび電池ホルダの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20170508BHJP
H01M 10/655 20140101ALN20170508BHJP
【FI】
H01M2/10 G
H01M2/10 S
!H01M10/655
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-57500(P2013-57500)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-182965(P2014-182965A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000142115
【氏名又は名称】株式会社協豊製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113527
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 研一
(72)【発明者】
【氏名】竹田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 仁
(72)【発明者】
【氏名】亀田 宜暁
(72)【発明者】
【氏名】草場 幸助
(72)【発明者】
【氏名】小寺 将徳
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】野呂 和弘
(72)【発明者】
【氏名】藤原 伸得
【審査官】
守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/064956(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0293986(US,A1)
【文献】
特開2011−146151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池(Bt)を保持する保持部材(40)を備えた電池ホルダにおいて、
上記保持部材(40)は、塑性変形可能である材料から形成された板状の部材である保持本体(42)を有し、該保持本体(42)に上記複数の電池をそれぞれ挿入保持するための保持穴(40S)を備え、
上記保持穴(40S)は、該保持穴(40S)の内壁と電池(Bt)の側面との間に保持用間隙(40Sa)を有するように形成され、
上記保持部材(40)は、上記保持本体(42)の一部が外力により上記保持穴(40S)の内壁に向かって塑性変形したとき上記電池(Bt)に向かって突出して上記電池(Bt)を軸方向に押圧する押圧突部(42a)が形成され、
上記保持用間隙(40Sa)の間隙が全て埋められた状態で上記電池(Bt)を保持するように構成された電池ホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載の電池ホルダにおいて、
上記保持本体(42)のうち塑性変形された部位は、塑性変形凹部(42b)になっている電池ホルダ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電池ホルダにおいて、
上記押圧突部(42a)は、上記電池(Bt)の側面に当たる箇所に弾性部材(44)を有する電池ホルダ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電池ホルダにおいて、
上記塑性変形可能である材料は、金属材料である電池ホルダ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電池ホルダにおいて、
隣接する3つの上記保持穴(40S)は、三角形を構成するように配置され、上記保持本体(42)であって上記三角形の中心に上記塑性変形された部位を配置した電池ホルダ。
【請求項6】
複数の電池(Bt)を電池ホルダにより保持する電池ホルダの製造方法において、
複数の電池(Bt)を配置する工程と、
塑性変形可能な材料から形成された保持部材(40)であって、該保持部材(40)が上記配置された複数の電池(Bt)に対応した保持穴(40S)を有し、該保持穴(40S)は上記電池(Bt)が挿入されたときに該保持穴(40S)の壁面と上記電池(Bt)の側面との間に保持用間隙(40Sa)を隔てるように形成されている保持部材(40)を準備する工程と、
上記電池(Bt)を上記保持穴(40S)に挿入する工程と、
外力により上記保持部材(40)の一部を上記保持穴(40S)の壁面に向かって塑性変形させることによって、上記電池(Bt)に向かって突出する押圧突部(42a)を形成して上記電池(Bt)の側面を押圧するとともに上記保持用間隙(40Sa)の間隙を全て埋めることにより、上記電池(Bt)を上記保持部材(40)に保持する工程と、
を備えた電池ホルダの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池ホルダおよび電池ホルダの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電池を保持する電池ホルダとして、電池の間にポッティング樹脂を充填してモジュール化した構成が知られている(特許文献1)。また、他の従来の技術として、枠体に弾性材料からなる弾性変形部を装着し、弾性変形部により電池の端部を保持する構成が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−28244号公報
【特許文献2】特開2010−9798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術にかかる電池ホルダでは、電池間に樹脂を充填する作業が面倒であり、生産性が低いという課題がある。また、特許文献2の技術にかかる電池ホルダでは、電池の寸法のバラツキや、弾性変形部の寸法が電池を介して他の弾性変形部に影響する。このため、一部の電池に大きな力が加わって変形を生じたり、一部の電池を保持する力が十分に得られない場合が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、複数の電池を保持する保持部材を備えた電池ホルダが提供される。 上記保持部材は、塑性変形可能である材料から形成された板状の部材である保持本体を有し、該保持本体に上記複数の電池をそれぞれ挿入保持するための保持穴を備え、上記保持穴は、該保持穴の内壁と電池の側面との間に保持用間隙を有するように形成され、上記保持部材は、上記保持本体の一部が外力により上記電池の軸方向へ押圧されて塑性変形することで形成され、かつ上記保持穴の内壁の一部が上記電池の中心に向けて突出した押圧突部を有し、上記押圧突部は、上記電池の側面を押圧して上記電池を該保持部材に保持するように構成している。
上記形態の電池ホルダにおいて、電池を電池ホルダの保持穴に挿入した後に、保持本体を塑性変形すれば、複数の押圧突部が形成されて電池が押圧される。これにより、複数の電池が電池ホルダにより同時に保持されるから、生産性に優れている。
また、保持本体の保持穴を電池に挿入する際に、保持穴の内壁と電池の側面との間に保持用間隙が確保されているから、保持穴の内壁と電池の側面との摩擦力がなく、保持本体への電池のセット作業が容易である。
さらに、弾性変形する際に、押圧突部の大きさは、保持本体の塑性変形量で調節することができるから、押圧突部による電池の保持力の設定も容易である。
【0007】
(2) 他の形態において、上記保持本体のうち塑性変形された部位は、塑性変形凹部になっている電池ホルダである。
【0008】
(3) 他の形態において、上記押圧突部は、上記電池の側面に当たる箇所に弾性部材を有する、電池ホルダである。
【0009】
(4) 他の形態において、上記塑性変形可能である材料は、金属材料である電池ホルダである。
【0010】
(5) 他の形態において、隣接する3つの上記保持穴は、三角形を構成するように配置され、上記保持本体であって上記三角形の中心に上記塑性変形された部位を配置した電池ホルダである。
【0011】
(6) 他の形態は、複数の電池を電池ホルダにより保持する電池ホルダの製造方法において、複数の電池を配置する工程と、塑性変形可能な材料から形成された保持部材であって、該保持部材が上記配置された複数の電池に対応した保持穴を有し、該保持穴は上記電池が挿入されたときに該保持穴の壁面と上記電池の側面との間に保持用間隙を隔てるように形成されている保持部材を準備する工程と、上記電池を上記保持穴に挿入する工程と、外力により上記保持部材の一部を塑性変形することで、上記保持穴の壁面から電池に向かって押圧突部を突出させて上記電池の側面を押圧することにより、上記電池を上記保持部材に保持する工程と、を備えた電池ホルダの製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施例にかかる電池ホルダにより電池を保持した電池装置を示す斜視図である。
【
図3】
図1の電池ホルダで保持されている1つの電池の箇所を拡大した斜視図である。
【
図4】
図2の電池ホルダで保持されている1つの電池の箇所を拡大した平面図である。
【
図6】電池を電池ホルダに保持する工程を説明する説明図である。
【
図7】電池を電池ホルダにセットした状態を上方から見た図である。
【
図9】電池ホルダの保持工程を説明する説明図である。
【
図10】他の実施例にかかる保持部材の押圧突部の付近を説明する説明図である。
【
図11】さらに他の実施例にかかる電池ホルダを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1) 電池装置の概略構成
図1は本発明の一実施例にかかる電池ホルダ20により電池Btを保持した電池装置10を示す斜視図、
図2は
図1の電池装置10の平面図である。電池装置10は、電池ホルダ20により、複数の電池Btを保持する機構である。電池は、円筒形の汎用の電池であり、例えば、自動車用電源用として使用されているリチウムイオン電池を適用することができる。
【0014】
電池ホルダ20は、保持部材40とを備え、保持部材40により複数の電池Btが保持されている。
図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。ここで、Z軸方向は、電池の軸方向とも呼ぶ。以下、各部の構成について説明する。
【0015】
保持部材40は、板状の部材である保持本体42を備えている。保持本体42は、熱伝導性に優れ、外力により塑性変形可能である金属材料、例えば、アルミニウムなどにより形成されている。保持本体42には、複数の電池を挿入保持するための保持穴40Sが複数形成されている。複数の保持穴40Sは、細密充填となる配置になっている。すなわち、隣接する3つの保持穴40Sを例にとると、それらの保持穴40Sの中心を結ぶ線が正三角形を構成している。
【0016】
図3は
図1の電池ホルダ20で保持されている1つの電池の箇所を拡大した斜視図、
図4は
図2の電池ホルダ20で保持されている1つの電池の箇所を拡大した平面図である。保持穴40Sは、保持本体42の上面と平行な面で断面をとった場合にほぼ円形であり、中心方向に向けて6箇所、周方向の60゜の間隔で押圧突部42aが突出している。また、保持穴40Sの内壁の全周にそって、弾性部材44が装着されている。弾性部材44は、ゴムなどの弾性材料で形成され、押圧突部42aの箇所で、電池Btの側面に当たって電池Btを押圧保持している。
【0017】
図5は
図4の5−5線に沿った断面図である。保持本体42の表面には、複数の塑性変形凹部42bが形成されている。各々の塑性変形凹部42bは、隣接する3つの電池Btで形成される正三角形の中心に配置されている(
図2参照)。塑性変形凹部42bは、保持本体42の一部が外力により電池Btの軸方向へ押圧されて塑性変形することで形成されている。塑性変形した保持本体42の材料の流れは、保持穴40Sの内壁に向かい、電池Btの中心に向けて突出した押圧突部42aを形成している。
【0018】
(2) 電池ホルダ20の組付作業
電池Btを電池ホルダ20に組み付けて一体化する工程について説明する。
図6は電池Btを電池ホルダ20に保持する工程を説明する説明図である。本工程は、プレス装置50を用いてプレス成形により行なう。プレス装置50は、治具51と、軸方向(図示の上下方向)へ昇降可能なプレス部52とを備え、プレス部52の下面にプレス用突起53を備えている。まず、治具51の凹所51aに電池Btをセットする。ついで、治具51の上に、予め準備した保持本体42をセットする工程を行なう。
図7は電池ホルダ20をセットした状態を上方から見た図である。保持本体42は、成型前の円形の保持穴40Sを有しており、その内周部に弾性部材44が装着されている。保持本体42は、電池Btに保持穴40Sを挿入して治具51の上にセットされる。保持穴40Sの内径Dhは、電池の外径Dbより大きく、保持穴40Sと電池Btの側面との間には、保持用間隙40Saが確保されている。
【0019】
次に、
図8に示すように、プレス部52を保持本体42に対して下降して、プレス用突起53で保持本体42の表面を外力PFで押圧して保持本体42の上面部に塑性変形を加えることにより、塑性変形凹部42bを形成する。
図9に示すように、プレス成形による保持本体42の材料の流れは、保持用間隙40Sa(
図6,
図7)を狭めて押圧突部42aを突出させる。これにより、押圧突部42aが弾性部材44を介して電池Btの側面を押圧することで、電池Btを電池ホルダ20に保持する。このとき、弾性部材44は、保持用間隙40Sa(
図6)の間隙を全て埋めるように弾性変形する。
【0020】
(3) 電池ホルダ20の作用、効果
(3)−1
図6ないし
図9に示すように、プレス装置50の治具51に電池Btをセットした後に、プレスによって保持本体42を塑性変形すれば、複数の押圧突部42aが形成される。押圧突部42aが電池Btの側面を押圧することで、複数の電池Btが電池ホルダ20により同時に保持されるから、生産性に優れている。
【0021】
(3)−2
図6および
図7に示すように、保持本体42の保持穴40Sを電池Btに挿入する際に、保持穴40Sの内壁と電池Btの側面との間に保持用間隙40Saが確保されているから、保持穴40Sの壁と電池Btの側面との摩擦力がなく、保持本体42のセット作業が容易である。
【0022】
(3)−3 プレス成形の際に、押圧突部42aの大きさは、塑性変形凹部42bの大きさ、つまり、保持本体42の塑性変形量で調節することができるから、押圧突部42aによる電池Btの保持力の設定も容易である。
【0023】
(3)−4 保持本体42の材料は、アルミニウムで形成されており、鉄などで形成した場合と比べて、プレス成形の際に、容易に塑性変形するから、プレス成形工程も簡単である。また、アルミニウムで形成した保持本体42は、熱伝導率も高く、電池Btから発生する熱を速やかに排出することもできる。
【0024】
(3)−5
図4に示すように、弾性部材44は、押圧突部42aが電池Btの側面に対して押圧したときに、弾性変形するから、電池Btの側面の損傷を防止することができる。
【0025】
(3)−6
図2および
図9に示すように、隣接する3つの電池の中心を結ぶ正三角形の中心に、保持本体42の塑性変形凹部42bを形成することにより、押圧突部42aを電池の中心に向けて同時に3箇所形成することができるから、生産性に優れている。
【0026】
(4) 他の実施例
この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0027】
(4)−1
図10は他の実施例にかかる保持部材40Bの押圧突部42Baの付近を説明する説明図である。本実施例は、保持本体42Bを塑性変形する箇所に特徴を有する。保持本体42Bは、塑性変形前の表面に、塑性変形用突部43Bを備えている。塑性変形用突部43Bは、中心から120度の間隔で突出している。電池Btを電池ホルダ20Bに保持するには、塑性変形用突部43Bを軸方向にプレス成形で潰すことにより、押圧突部42Baを形成する。このように、押圧突部42Baを突出させることができる保持本体42Bの一部を塑性変形する手法であれば、
図1の実施例のような塑性変形凹部だけでなく、各種の手法をとることができる。また、塑性変形用突部43Bは、平面形状として押圧突部42Baを形成しやすいように、押圧突部42Baを形成したい方向へ突出させる形状であってもよい。
【0028】
(4)−2
図11はさらに他の実施例にかかる電池ホルダ20Cを説明する説明図である。本実施例において、電池Btを保持するための構成は、周方向の2箇所に設けられプレスによる外力で塑性変形により形成された押圧突部42Caと、弾性部材44Cに予め形成された支持突部44Caとである。このように押圧突起は、電池の保持の力を得ることができる構成であれば、適宜、その個数、形状を設定することができる。
【0029】
(4)−3 上記実施例では、複数の電池を正三角形に配置した構成について説明したが、これに限らず、複数の電池は、格子状に配置したり、省スペース化のために電池の間隙を最小にするように配置するなど、各種の配置をとることができる。
【0030】
(4)−4 上記実施例では、電池は、円柱状タイプについて説明したが、これに限らず、角形やボタン電池など、その作用効果を損なわない限り適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
10…電池装置
20…電池ホルダ
20B…電池ホルダ
20C…電池ホルダ
40…保持部材
40B…保持部材
40S…保持穴
40Sa…保持用間隙
42…保持本体
42B…保持本体
42Ba…押圧突部
42Ca…押圧突部
42a…押圧突部
42b…塑性変形凹部
43B…塑性変形用突部
44…弾性部材
44C…弾性部材
44Ca…支持突部
50…プレス装置
51…治具
51a…凹所
52…プレス部
53…プレス用突起
Bt…電池