特許第6130192号(P6130192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130192
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】トナー組成物
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/087 20060101AFI20170508BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   G03G9/08 381
   G03G9/08 325
   G03G9/08 346
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-80876(P2013-80876)
(22)【出願日】2013年4月9日
(65)【公開番号】特開2013-225128(P2013-225128A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2016年3月29日
(31)【優先権主張番号】13/453,542
(32)【優先日】2012年4月23日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ディー・ベイリー
(72)【発明者】
【氏名】モーラ・エイ・スウィーニー
(72)【発明者】
【氏名】グラジーナ・イー・クミーシク−ローリノウィクズ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ダブリュ・アサレス
【審査官】 野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−078404(JP,A)
【文献】 特開2012−014169(JP,A)
【文献】 特開2012−078809(JP,A)
【文献】 特開2011−065155(JP,A)
【文献】 特開2011−059604(JP,A)
【文献】 特開2007−298869(JP,A)
【文献】 特許第5869982(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00 − 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを製造するためのプロセスであって、
少なくとも1つの樹脂を含むエマルションに、任意要素の着色剤および任意要素のワックスを加え、粒子を作成することと、
前記粒子を凝集させて凝集粒子を作成することと、
前記凝集粒子を融着させてトナー粒子を作成することと、
前記トナー粒子を水に分散させてトナースラリーを作成することと、
前記トナースラリーに、酢酸亜鉛、酪酸亜鉛、塩素酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、クエン酸亜鉛、フッ化亜鉛、サリチル酸亜鉛、フッ化亜鉛四水和物、サリチル酸アルミニウム、3,5−ジ三級ブチルサリチル酸亜鉛、3,5−ジ三級ブチルサリチル酸アルミニウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種類以上の電荷制御剤を含む分散物を加えることと、
前記トナースラリーを混合しつつ、前記トナー粒子のガラス転移温度より高い温度まで加熱することと、
混合しつつ、前記トナースラリーを冷却することと、
前記トナースラリーを洗浄して前記トナー粒子を回収することとを含む、プロセス。
【請求項2】
少なくとも1つの樹脂が、スチレン、アクリレート、メタクリレート、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、任意要素の着色剤が、染料、顔料、染料の組み合わせ、顔料の組み合わせ、染料と顔料の組み合わせを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記トナー粒子が、−2μC/g〜−60μC/gの摩擦電荷を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記トナー粒子が、−10μC/g〜−45μC/gの摩擦電荷を有する、請求項に記載のプロセス。
【請求項5】
1種類以上の電荷制御剤を含む前記分散物を、前記粒子のバッチの合計重量の0.1〜10重量%の量で加える、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
1種類以上の電荷制御剤を含む前記分散物を、前記粒子のバッチの合計重量の0.5〜8重量%の量で加える、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ガラス転移温度が70℃より高い、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記ガラス転移温度が40℃〜65℃である、請求項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記トナースラリーを1,000RPM〜10,000RPMの速度で混合する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記トナースラリーを4,000RPM〜7,000RPMの速度で混合する、請求項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記トナースラリーを1時間まで混合しつつ、前記トナー粒子のガラス転移温度より高い温度まで加熱する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記トナー粒子を水に分散させて前記トナースラリーを作成する前に溶液中の前記トナー粒子を洗浄することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
トナーを製造するためのプロセスであって、
少なくとも1つの樹脂を含むエマルションに、任意要素の着色剤および任意要素のワックスを加え、粒子を作成することと、
前記粒子を凝集させて凝集粒子を作成することと、
前記凝集粒子を融着させてトナー粒子を作成することと、
前記トナー粒子を水に分散させてトナースラリーを作成することと、
前記トナースラリーに、酢酸亜鉛、酪酸亜鉛、塩素酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、クエン酸亜鉛、フッ化亜鉛、サリチル酸亜鉛、フッ化亜鉛四水和物、サリチル酸アルミニウム、3,5−ジ三級ブチルサリチル酸亜鉛、3,5−ジ三級ブチルサリチル酸アルミニウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種類以上の電荷制御剤を含む分散物を加えることと、
前記トナースラリーを混合しつつ、前記トナー粒子のガラス転移温度より高い温度まで加熱することと、
混合しつつ、前記トナースラリーを冷却することと、
前記トナースラリーを洗浄して前記トナー粒子を回収することと、
前記1種類以上の電荷制御剤が表面に付着したままである、回収された前記トナー粒子を乾燥することと、
を含む、プロセス。
【請求項14】
回収された前記トナー粒子の表面において、前記1種類以上の電荷制御剤が、走査型電子顕微鏡によって可視である、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
回収された前記トナー粒子の表面において、前記1種類以上の電荷制御剤が、走査型電子顕微鏡によって倍率1000倍〜30000倍において可視である、請求項13に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、デジタル、多重画像型および同様の装置のような装置を含む電子写真式装置に適したトナー、およびトナーを提供するのに有用なプロセスに関する。具体的には、本実施形態は、トナー粒子の負電荷を高めるトナーを作るプロセス、およびこのプロセスから作られるトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
トナーを調製するために、当該技術分野の技術常識の範囲内に多くのプロセスが存在する。乳化凝集(EA)は、このような方法のひとつである。これらのトナーは、当該技術分野の技術常識の範囲内にあり、トナーは、乳化重合によって作られるラテックスポリマーを用いて着色剤を凝集させることによって、作られてもよい。例えば、米国特許第5,853,943号は、その開示内容が、参照することで全体的に本明細書に組み込まれるが、第1に種ポリマーを作成することによってラテックスを調製する半連続的な乳化重合プロセスに関する。トナーを調製するための乳化/凝集/融着プロセスの他の例は、米国特許第5,403,693号、同第5,418,108号、同第5,364,729号および同第5,346,797号に示されており、これらの開示内容は、参照することで全体的に本明細書に組み込まれる。他のプロセスは、米国特許第5,527,658号、同第5,585,215号、同第5,650,255号、同第5,650,256号および同第5,501,935号に開示されており、これらの開示内容は、参照することで全体的に本明細書に組み込まれる。
【0003】
トナー系は、通常は、現像材料が、トナー粒子が摩擦電気的に付着する磁気担体顆粒を含む2成分系と、トナーのみを使用してもよい単成分系(SDC)の2種類に分類される。電場によって画像を移動させ、現像するために粒子の上に電荷を配置することは、摩擦電気によって最も多く達成される。2成分現像系でトナーともっと大きな担体ビーズとを混合することによって、または1成分系でブレードとドナーロールとの間でトナーをこすり合わせることによって摩擦帯電を行ってもよい。
【0004】
摩擦帯電を向上させるために、電荷制御剤(CCA)を利用してもよい。電荷制御剤は、有機塩または大きな有機分子の錯体を含んでいてもよい。このような薬剤をブレンドプロセスによってトナー粒子表面に塗布してもよい。トナー上の電荷の極性およびトナー上の電荷の分布を制御するために、トナーの約0.01重量%〜約5重量%程度の少量の電荷制御剤を使用してもよい。電荷制御剤の量は、トナーの他の成分と比べて少量でよいが、電荷制御剤は、トナーの摩擦帯電性にとって重要な場合がある。これらの摩擦帯電性は、ひいては画像化の速度および品質に影響を及ぼすことがあり、寿命性能を伸ばすことができる。電荷制御剤の例としては、欧州特許出願第1426830号、米国特許第6,652,634号、欧州特許出願第1383011号、米国特許公開第2004/0002014号、米国特許公開第2003/0191263号、米国特許第6,221,550号、米国特許第6,165,668号中に見いだされるものが挙げられ、これらの開示内容は、参照することで全体的に本明細書に組み込まれる。
【0005】
電荷制御剤によって生じ得る問題のひとつは、乳化凝集トナーに組み込むことが困難だということである。一般的に、組み込んでいる間に、帯電特性が失われてしまう。つまり、添加剤パッケージを粒子に加えるとき、帯電特性はもはや明らかではなく、電荷が顕著に低下するため、最終的に、トナーの寿命性能に影響を及ぼす。
【0006】
トナー粒子の帯電の優れた制御を可能にするトナーを製造するための改良法が依然として望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に示される態様によれば、少なくとも1つの樹脂を含むエマルションに、任意要素の着色剤および任意要素のワックスを加え、粒子を作成することと、この粒子を凝集させて凝集粒子を作成することと、凝集粒子を融着させてトナー粒子を作成することと、トナー粒子を水に分散させてトナースラリーを作成することと、このトナースラリーに、1種類以上の電荷制御剤を含む分散物を加えることと、このトナースラリーを混合しつつ、トナー粒子のガラス転移温度より高い温度まで加熱することと、混合しつつ、トナースラリーを冷却することと、トナースラリーを洗浄してトナー粒子を回収することと、を含むトナーを製造するためのプロセスを含む、トナーを製造するためのプロセスが提供される。
【0008】
別の実施形態では、少なくとも1つの樹脂を含むエマルションに、任意要素の着色剤および任意要素のワックスを加え、粒子を作成することと、この粒子を凝集させて凝集粒子を作成することと、凝集粒子を融着させてトナー粒子を作成することと、トナー粒子を水に分散させてトナースラリーを作成することと、このトナースラリーに、1種類以上の電荷制御剤を含む分散物を加えることと、このトナースラリーを混合しつつ、トナー粒子のガラス転移温度より高い温度まで加熱することと、混合しつつ、トナースラリーを冷却することと、トナースラリーを洗浄してトナー粒子を回収することと、回収したトナー粒子を乾燥させることとを含み、1種類以上の電荷制御剤が、回収したトナー粒子の表面に付着したままであるトナーを製造するためのプロセスを含む、トナーを製造するためのプロセスが提供される。
【0009】
なおさらなる実施形態では、上のプロセスから作られるトナーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態による未処理のコントロール粒子と比較した場合に、処理したトナー粒子における負電荷の増加を示すグラフである。
図2図2は、本実施形態による、倍率1000倍で表面上のCCAが見えるようにした、処理したトナー粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図3図3は、本実施形態による、倍率6000倍で表面上のCCAが見えるようにした、処理したトナー粒子のSEM画像である。
図4図4は、本実施形態による、倍率10000倍で表面上のCCAが見えるようにした、処理したトナー粒子のSEM画像である。
図5図5は、本実施形態による、倍率30000倍で表面上のCCAが見えるようにした、処理したトナー粒子のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書は、優れた帯電特性を有するトナーおよびトナー粒子を調製するためのプロセスを開示する。本明細書のトナーは、トナー粒子を融着させた後に、トナー粒子の帯電性を高めるためにトナー粒子を処理する1つ以上の工程を用いて調製されてもよい。この処理工程は、電荷制御剤分散物を加えた後、高せん断および熱を加える工程を含んでいてもよい。具体的には、融着の後にトナー粒子を洗浄し、再び懸濁させ、次いで、電荷制御剤分散物を加える。一定の高せん断を加え、ガラス転移温度(Tg)より高い温度にして、スラリーを1時間までの時間混合し、Tgより低い温度まで冷却し、洗浄し、乾燥させる。試験から、処理した粒子は、未処理の粒子と比較したとき、負電荷が増えていることが示された。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書のトナーは、ラテックスポリマーと、任意要素の着色剤、任意要素のワックス、他の任意要素の添加剤とを合わせることによって調製されてもよい。ラテックスポリマーは、当該技術分野の技術常識の範囲内にある任意の方法によって調製されてもよいが、いくつかの実施形態では、ラテックスポリマーは、半連続的な乳化重合を含む乳化重合方法によって調製されてもよく、トナーは、乳化凝集トナーを含んでいてもよい。乳化凝集は、ミクロン未満のラテックスと顔料粒子を両方とも凝集させてトナーの大きさの粒子にすることを含み、粒径の成長は、例えば、いくつかの実施形態では、0.1ミクロン〜15ミクロンである。
【0013】
(樹脂)
トナーに使用するラテックスを調製するのに適した任意のモノマーを利用してもよい。上述のように、いくつかの実施形態では、トナーを乳化凝集によって製造してもよい。ラテックスポリマーエマルション、それによって得られるラテックスエマルション中のラテックス粒子を作成するのに有用な適切なモノマーとしては、限定されないが、スチレン、アクリレート、メタクリレート、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0014】
いくつかの実施形態では、ラテックスポリマーは、少なくとも1つのポリマーを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つとは、1〜20であってもよく、いくつかの実施形態では、3〜10であってもよい。例示的なポリマーとしては、スチレンアクリレート、スチレンブタジエン、スチレンメタクリレートが挙げられ、さらに具体的には、ポリ(スチレン−アクリル酸アルキル)、ポリ(スチレン−1,3−ジエン)、ポリ(スチレン−メタクリル酸アルキル)、ポリ(スチレン−アクリル酸アルキル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−1,3−ジエン−アクリル酸)、ポリ(スチレン−メタクリル酸アルキル−アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸アルキル−アクリル酸アルキル)、ポリ(メタクリル酸アルキル−アクリル酸アリール)、ポリ(メタクリル酸アリール−アクリル酸アルキル)、ポリ(メタクリル酸アルキル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸アルキル−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−1,3−ジエン−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(アクリル酸アルキル−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(メチルスチレン−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸メチル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸エチル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸プロピル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸ブチル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸メチル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸エチル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸プロピル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸ブチル−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(メチルスチレン−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸メチル−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸エチル−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸プロピル−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸ブチル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸メチル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸エチル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸プロピル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸ブチル−イソプレン)、ポリ(スチレン−アクリル酸プロピル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル)、ポリ(スチレン−ブタジエン−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリルニトリル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(スチレン−メタクリル酸ブチル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−メタクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(アクリロニトリル−アクリル酸ブチル−アクリル酸)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。ポリマーは、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、または交互コポリマーであってもよい。
【0015】
それに加え、ポリエステル樹脂をラテックスポリマーとして使用してもよい。使用可能な適切なポリエステルとしては、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはプロピレンカーボネートの反応生成物から得られるもの、およびこれらの反応生成物とフマル酸とを反応させることによって得られるポリエステル(米国特許第5,227,460号に開示されるようなもの、その開示内容は、参照することで本明細書に組み込まれる)、テレフタル酸ジメチルと、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオールおよびペンタエリスリトールとの反応から得られる分岐したポリエステル樹脂が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリエステル樹脂の組み合わせ(アモルファスポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含む)を利用してもよい。このようなポリエステルの例としては、米国特許公開第2009/0047593号に開示されているものが挙げられ、その開示内容は、参照することで全体的に本明細書に組み込まれる。
【0016】
いくつかの実施形態では、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル)をラテックスポリマーとして利用してもよい。このラテックスのガラス転移温度は、本明細書のトナーを作成するためにラテックスを使用し得る実施形態では、35℃〜75℃、いくつかの実施形態では、40℃〜70℃、いくつかの実施形態では、45℃〜65℃であってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、トナーを作成するために使用される樹脂は、重量平均分子量(Mw)が25kpse〜75kpse、いくつかの実施形態では、30kpse〜55kpse、他の実施形態では、35kpse〜55kpseであってもよい。トナーを作成するために使用される樹脂は、数平均分子量(Mn)が1kpse〜30kpse、いくつかの実施形態では、2kpse〜20kpse、他の実施形態では、3kpse〜15kpseであってもよい。したがって、樹脂の多分散性、すなわち、Mw/Mnは、0.5〜15、いくつかの実施形態では、0.75〜10、他の実施形態では、1〜5であってもよい。したがって、トナー中に存在する樹脂の量は、50%(重量/重量)〜90%(重量/重量)、さらなる実施形態では、65%(重量/重量)〜85%(重量/重量)、他の実施形態では、70%(重量/重量)〜80%(重量/重量)であってもよい。
【0018】
(界面活性剤)
いくつかの実施形態では、界面活性剤および補助界面活性剤を含有する水相中でラテックスを調製してもよい。ラテックス分散物を作成するためにポリマーとともに利用可能な界面活性剤は、固形分が0.01〜15重量%、いくつかの実施形態では、0.1〜10重量%、いくつかの実施形態では、1〜7.5重量%のイオン系界面活性剤または非イオン系界面活性剤、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0019】
利用可能なアニオン系界面活性剤としては、サルフェートおよびスルホネート、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキルサルフェートおよびジアルキルベンゼンアルキルスルホネート、Aldrichから入手可能なアビエチン酸のような酸、第一工業製薬株式会社から得られるNEOGEN R(商標)、NEOGEN SC(商標)、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0020】
カチオン系界面活性剤の例としては、限定されないが、アンモニウム類、例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンザルコニウム、C12、C15、C17トリメチルアンモニウムブロミド、これらの組み合わせなどが挙げられる。他のカチオン系界面活性剤としては、臭化セチルピリジニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、Alkaril Chemical Companyから入手可能なMIRAPOLおよびALKAQUAT、Kao Chemicalsから入手可能なSANISOL(塩化ベンザルコニウム)、これらの組み合わせなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、適切なカチオン系界面活性剤としては、Kao Corp.から入手可能な、主にベンジルジメチルアルコニウムクロリドであるSANISOL B−50が挙げられる。
【0021】
非イオン系界面活性剤の例としては、限定されないが、アルコール類、酸類、エーテル類、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、これらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、Rhone−Poulenac製の市販の界面活性剤、例えば、IGEPAL CA−210(商標)、IGEPAL CA−520(商標)、IGEPAL CA−720(商標)、IGEPAL CO−890(商標)、IGEPAL CO−720(商標)、IGEPAL CO−290(商標)、IGEPAL CA−210(商標)、ANTAROX 890(商標)、ANTAROX 897(商標)を利用してもよい。
【0022】
特定の界面活性剤またはこれらの組み合わせの選択、および使用すべきそれぞれの量は、当該技術分野の技術常識の範囲内にある。
【0023】
いくつかの実施形態では、ラテックスポリマーを作成するために開始剤を加えてもよい。適切な開始剤の例としては、水溶性開始剤(例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム)、有機過酸化物およびアゾ化合物(Vazo過酸化物、例えば、VAZO 64(商標)、2−メチル 2−2’−アゾビスプロパンニトリル、VAZO 88(商標)、2−2’−アゾビスイソブチルアミド無水物、およびこれらの組み合わせを含む)を含む有機可溶性開始剤が挙げられる。利用可能な他の水可溶性開始剤としては、アゾアミジン化合物、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−アミノ−フェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]四塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N(フェニルメチル)プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−2−プロペニルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシ−エチル)2−メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0024】
開始剤を適切な量で、例えば、モノマーの0.1〜8重量%、いくつかの実施形態では、0.2〜5重量%、いくつかの実施形態では、0.5〜4重量%の量で加えてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、ラテックスポリマーを作成するときに連鎖移動剤も使用してもよい。適切な連鎖移動剤としては、本明細書にしたがって乳化重合を行うとき、ラテックスポリマーの重量比を制御するために、モノマーの0.1〜10重量%、いくつかの実施形態では、0.2〜5重量%、いくつかの実施形態では、0.5〜3.5重量%の量のドデカンチオール、オクタンチオール、四臭化炭素、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0026】
いくつかの実施形態では、ラテックスポリマーおよびこのポリマーを構成する粒子を作成するとき、機能性ポリマーを含むことが有利な場合がある。適切な機能性モノマーとしては、カルボン酸官能基を含むモノマーが挙げられる。このようなモノマーは、以下の式(I)を有していてもよく、
【化1】
式中、R1は、水素またはメチル基であり、R2およびR3は、独立して、炭素原子を1〜12個含むアルキル基またはフェニル基から選択され、nは、0〜20、いくつかの実施形態では、1〜10である。このような機能性モノマーの例としては、ベータカルボキシアクリル酸エチル(β−CEA)、ポリ(2−カルボキシエチル)アクリレート、2−カルボキシメタクリル酸エチル、これらの組み合わせなどが挙げられる。利用可能な他の機能性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸およびその誘導体、および上述のものの組み合わせが挙げられる。
【0027】
いくつかの実施形態では、カルボン酸官能基を含む機能性モノマーは、良好な乳化重合の結果を達成するために少量の金属イオン(例えば、ナトリウム、カリウムおよび/またはカルシウム)を含有していてもよい。金属イオンは、カルボン酸官能基を含む機能性モノマーの0.001〜10重量%、いくつかの実施形態では、0.5〜5重量%、いくつかの実施形態では、0.75〜4重量%の量で存在していてもよい。
【0028】
機能性モノマーが存在する場合、機能性モノマーを、全モノマーの0.01〜10重量%、いくつかの実施形態では、0.05〜5重量%、いくつかの実施形態では、0.1〜3重量%の量で加えてもよい。
【0029】
(ワックス)
また、乳化凝集合成中にラテックスポリマーを作成するときに、ワックス分散物を加えてもよい。適切なワックスとしては、例えば、粒径が体積平均径で50〜1000ナノメートル、いくつかの実施形態では、100〜500ナノメートルのミクロン未満のワックス粒子を水およびイオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、またはこれらの組み合わせの水相に懸濁させたものが挙げられる。このような界面活性剤には、上述のものが含まれる。イオン系界面活性剤または非イオン系界面活性剤は、ワックスの0.1〜20重量%、いくつかの実施形態では、0.5〜15重量%の量で存在していてもよい。
【0030】
本明細書の実施形態のワックス分散物としては、例えば、天然の植物ワックス、天然の動物ワックス、鉱物ワックスおよび/または合成ワックスが挙げられる。天然の植物ワックスの例としては、例えば、カルナバろう、カンデリラろう、和ろう、ヤマモモろうが挙げられる。天然の動物ワックスの例としては、例えば、蜜ろう、プニックワックス、ラノリン、ラックワックス、シェラックワックス、鯨ろうが挙げられる。鉱物ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、微晶質ワックス、モンタンワックス、オゾケライトワックス、セレシンワックス、ペトロラタムワックス、石油ワックスが挙げられる。本明細書の合成ワックスとしては、例えば、Fischer−Tropschワックス、アクリレートワックス、脂肪酸アミドワックス、シリコーンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
ポリプロピレンワックスおよびポリエチレンワックスの例としては、Allied ChemicalおよびBaker Petroliteから市販されているもの、Michelman Inc.およびDaniels Products Companyから入手可能なワックスエマルション、Eastman Chemical Products,Inc.から市販されているEPOLENE N−15、三洋化成株式会社から入手可能な、重量平均分子量が小さなポリプロピレンVISCOL 550−P、および同様の物質が挙げられる。いくつかの実施形態では、市販のポリエチレンワックスは、分子量(Mw)が100〜5000、いくつかの実施形態では、250〜2500であり、一方、市販のポリプロピレンワックスは、分子量が200〜10,000、いくつかの実施形態では、400〜5000である。
【0032】
いくつかの実施形態では、ワックスを官能基化してもよい。ワックスを官能基化するために付加される基の例としては、アミン、アミド、イミド、エステル、四級アミンおよび/またはカルボン酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、官能基化されたワックスは、アクリルポリマーエマルション、例えば、JONCRYL 74、89、130、537および538(すべてJohnson Diversey,Incから入手可能)、またはAllied Chemical、Baker Petrolite CorporationおよびJohnson Diversey,Inc.から市販されている塩素化ポリプロピレンおよび塩素化ポリエチレンであってもよい。
【0033】
ワックスは、トナーの0.1〜30重量%、いくつかの実施形態では、2〜20重量%の量で存在していてもよい。
【0034】
着色剤分散物にラテックス粒子を加えてもよい。着色剤分散物としては、例えば、粒径が例えば体積平均径で50〜500ナノメートル、いくつかの実施形態では、100〜400ナノメートルのミクロン未満の着色剤粒子が挙げられる。着色剤粒子を、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、またはこれらの組み合わせを含む水系の水相に懸濁させてもよい。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、イオン系界面活性剤であってもよく、着色剤の1〜25重量%、いくつかの実施形態では、4〜15重量%であってもよい。
【0035】
本明細書のトナーを作成するのに有用な着色剤としては、顔料、染料、顔料と染料の混合物、顔料混合物、染料混合物などが挙げられる。着色剤は、例えば、カーボンブラック、シアン、イエロー、マゼンタ、レッド、オレンジ、ブラウン、グリーン、ブルー、バイオレット、およびこれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、顔料を利用してもよい。本明細書で使用する場合、顔料には、選択的な色吸収の結果、反射する光の色を変える材料が含まれる。いくつかの実施形態では、一般的に水溶液で塗布され得る染料とは対照的に、顔料は、一般的に不溶性である。例えば、染料は、保持する媒剤(バインダー)に可溶性であってもよく、顔料は、保持する媒剤に不溶性であってもよい。
【0036】
着色剤が顔料である実施形態では、顔料は、例えば、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、レッド、グリーン、オレンジ、ブラウン、バイオレット、イエロー、RHODAMINE B(商標)型を含む蛍光着色剤などであってもよい。
【0037】
着色剤は、本明細書のトナー中に、トナーの1〜25重量%、いくつかの実施形態では、2〜15重量%の量で存在していてもよい。
【0038】
色域のために、高純度の有機可溶性染料を利用してもよく、染料は、種々の適切な量、例えば、トナーの0.5〜20重量%、いくつかの実施形態では、5〜18重量%の量で選択される。
【0039】
いくつかの実施形態では、着色剤の例としては、カラーインデックス構造番号(Color Index Constitution Number)が74160のPigment Blue 15:3、カラーインデックス構造番号が45160:3のMagenta Pigment Red 81:3、カラーインデックス構造番号が21105のYellow 17、および食用染料などの既知の染料、イエロー、ブルー、グリーン、レッド、マゼンタの染料などが挙げられる。
【0040】
他の実施形態では、マゼンタ顔料、Pigment Red 122(2,9−ジメチルキナクリドン)、Pigment Red 185、Pigment Red 192、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 235、Pigment Red 269、これらの組み合わせなどを着色剤として利用してもよい。Pigment Red 122(本明細書ではPR−122と呼ばれることがある)は、その固有のマゼンタの色合いのため、トナー、プラスチック、インクおよびコーティングの着色に広く使用されている。PR−122、Pigment Red 269、Pigment Red 185(本明細書ではPR−185と呼ばれることがある)の構造を以下に記載する。
【0041】
【化2】
【0042】
いくつかの実施形態では、乳化凝集プロセスの速度を制御するために、pH調節剤を加えてもよい。本明細書のプロセスで利用されるpH調節剤は、製造される生成物に悪影響を与えない任意の酸または塩基であってもよい。適切な塩基としては、金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、および場合によりこれらの組み合わせが挙げられる。適切な酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、クエン酸、酢酸、および場合によりこれらの組み合わせが挙げられる。したがって、加える塩基の量は、0.1%(重量/重量)〜20%(重量/重量)、他の実施形態では、0.2%(重量/重量)〜10%(重量/重量)、さらなる実施形態では、0.5%(重量/重量)〜5%(重量/重量)であってもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、ラテックスおよび水系着色剤分散物を凝集させている間、または凝集させる前に、凝固剤を加えてもよい。処理条件に依存して、凝固剤を1分〜60分、いくつかの実施形態では、1.25分〜20分、いくつかの実施形態では、2分〜15分かけて加えてもよい。
【0044】
適切な凝固剤の例としては、ポリアルミニウムハロゲン化物、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)または対応する臭化物、フッ化物またはヨウ化物、ポリアルミニウムシリケート、例えば、アルミニウムスルホシリケート(PASS)、塩化アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、シュウ酸カルシウム(potassium oxylate)、硫酸カルシウム、酢酸マグネシウム、亜硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸亜鉛、亜硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、これらの組み合わせなどを含む水溶性金属塩などが挙げられる。適切な凝固剤のひとつはPACであり、市販されており、また、塩化アルミニウムを水酸化ナトリウムで制御しつつ加水分解することによって調製することができる。一般的に、PACは、1モルの塩化アルミニウムに対し、2モルの塩基を付加することによって調製することができる。この種は、pH5未満の酸性条件で溶解し、保存したとき、可溶性であり、安定である。この種の溶液は、式Al13(OH)24(HO)12を含み、単位あたり7個の陽電荷を含むと考えられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、適切な凝固剤としては、多価金属塩、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリアルミニウムブロミド、またはポリアルミニウムスルホシリケートが挙げられる。多価金属塩は、硝酸溶液であってもよく、または、硫酸、塩酸、クエン酸または酢酸のような他の希酸溶液であってもよい。凝固剤を、トナーの0.01〜5重量%、いくつかの実施形態では、0.1〜3重量%、いくつかの実施形態では、0.5〜2重量%の量で加えてもよい。
【0046】
本明細書のトナーを作成する際に、錯体化することが可能な任意の凝集剤を使用してもよい。アルカリ土類金属塩または遷移金属塩の両方を凝集剤として利用してもよい。いくつかの実施形態では、アルカリ(II)塩は、スルホン酸ナトリウムポリエステルコロイドを着色剤とともに凝集させ、トナーコンポジットを作成することができるように選択することができる。このような塩としては、例えば、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、酢酸ベリリウム、硫酸ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化ストロンチウム、臭化ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、および場合によりこれらの組み合わせが挙げられる。凝集剤として利用可能な遷移金属塩または遷移金属アニオンの例としては、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウムまたは銀の酢酸塩;バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウムまたは銀のアセト酢酸塩;バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウムまたは銀の硫酸塩;アルミニウム塩、例えば、酢酸アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、例えばポリ塩化アルミニウム、これらの組み合わせなどが挙げられる。したがって、凝集剤の添加量は、0.01%(重量/重量)〜1%(重量/重量)、他の実施形態では、0.1%(重量/重量)〜0.5%(重量/重量)、さらなる実施形態では、0.15%(重量/重量)〜0.3%(重量/重量)であってもよい。
【0047】
電荷制御剤(CCA)をトナー粒子に加えてもよい。いくつかの実施形態では、CCAを、ラテックス、任意要素の着色剤分散物、ワックス、凝集剤に加え、トナー粒子にCCAを組み込んでもよい。他の実施形態では、粒子がシェルの一部として作成されたら、CCAを加えてもよい。CCAを使用すると、CCAが得られるトナーの画像化速度および品質に影響を与え得るため、トナーの摩擦帯電性にとって有用であろう。
【0048】
利用可能な適切な電荷制御剤としては、いくつかの実施形態では、サリチル酸、他の酸(例えば、ジカルボン酸誘導体、安息香酸、オキシナフトエ酸、スルホン酸)のような酸のアルキル誘導体の金属錯体、ポリヒドロキシアルカノエート四級ホスホニウムトリハロジンケートのような他の錯体、ジメチルスルホキシドの金属錯体、これらの組み合わせなどが挙げられる。このような錯体を作成するのに利用される金属としては、限定されないが、亜鉛、マンガン、鉄、カルシウム、ジルコニウム、アルミニウム、クロム、これらの組み合わせなどが挙げられる。サリチル酸の誘導体を作成するときに利用可能なアルキル基としては、限定されないが、メチル、ブチル、t−ブチル、プロピル、ヘキシル、これらの組み合わせなどが挙げられる。このような電荷制御剤の例としては、BONTRON(登録商標)E−84およびBONTRON(登録商標)E−88として市販されているものが挙げられる(Orient Chemicalから市販)。BONTRON(登録商標)E−84は、粉末形態の3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸の亜鉛錯体である。BONTRON(登録商標)E−88は、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンゾエート]と3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸の混合物である。他の適切なCCAとしては、米国特許第5,223,368号および同第5,324,613号(これらの開示内容は、それぞれ参照することで全体的に本明細書に組み込まれる)に開示されているような、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のカルシウム錯体、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のジルコニウム錯体、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム錯体、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0049】
電荷制御剤が利用される場合、電荷制御剤は、トナー粒子の0.01重量%〜10重量%、いくつかの実施形態では、0.05重量%〜5重量%、いくつかの実施形態では、0.1重量%〜3重量%の量で存在していてもよい。
【0050】
乳化凝集プロセスでは、適切な反応器(例えば、混合容器)に反応剤を加えてもよい。ラテックス(場合により、分散物で)、CCA(場合により、分散物で)、任意要素の着色剤分散物、任意要素のワックス、任意要素の凝固剤、任意要素の凝集剤のブレンドを得て、これを撹拌し、ラテックスのガラス転移点(Tg)以上の温度まで、いくつかの実施形態では、30℃〜70℃、いくつかの実施形態では、40℃〜65℃、いくつかの実施形態では、45℃〜60℃まで、0.2時間〜6時間、いくつかの実施形態では、0.3〜5時間、いくつかの実施形態では、0.5時間〜3時間加熱し、体積平均径が3ミクロン〜15ミクロン、いくつかの実施形態では、4ミクロン〜8ミクロン、いくつかの実施形態では、5ミクロン〜7ミクロンのトナー凝集物を得てもよい。
【0051】
トナー粒子が、上述のようなシェル作成前の大きさに達すると、その後に、凝集粒子の上にシェルを作成してもよい。コアラテックスを作成するために上述のように利用される任意のラテックスを、シェルラテックスを作成するために利用してもよい。いくつかの実施形態では、スチレン−n−アクリル酸ブチルコポリマーを利用してシェルラテックスを作成してもよい。いくつかの実施形態では、シェルを作成するために利用されるラテックスは、ガラス転移温度が35℃〜75℃、いくつかの実施形態では、40℃〜70℃であってもよい。いくつかの実施形態では、シェルラテックスを、トナー粒子中に存在するラテックスの合計重量の20重量%を超えない量で加えた。さらなる実施形態では、シェルラテックスは、トナー粒子中に存在するラテックスの合計重量の10〜60重量%、12〜48重量%、または14.5〜38.5重量%含まれる。
【0052】
シェルラテックスが存在する場合、シェルラテックスを、浸漬、噴霧などの当業者の常識の範囲内にある任意の方法によって塗布してもよい。トナー粒子の望ましい最終粒径、いくつかの実施形態では、3ミクロン〜12ミクロン、他の実施形態では、4ミクロン〜8ミクロン、他の実施形態では、5ミクロン〜7ミクロンが得られるまで、シェルラテックスを塗布してもよい。他の実施形態では、凝集粒子が生成したら、シェルラテックスを加えてラテックスを系内で播種して半連続的に乳化共重合させることによって、トナー粒子を調製してもよい。
【0053】
望ましい最終粒径のトナー粒子が得られたら、塩基を用い、7を超えない値、または4.5を超えない値にpHを調節して粒子の成長プロセスを凍結させてもよい。具体的な実施形態では、pHを3.5〜7、いくつかの実施形態では、4〜6.5に調節する。塩基としては、任意の適切な塩基、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムが挙げられる。アルカリ金属水酸化物を、混合物の0.1〜30重量%、いくつかの実施形態では、0.5〜15重量%の量で加えてもよい。
【0054】
次いで、トナー粒子を融着させてもよい。融着は、撹拌し、80℃〜100℃、いくつかの実施形態では、90℃〜98℃の温度で0.5時間〜12時間、いくつかの実施形態では、1時間〜6時間加熱することを含んでいてもよい。融着を、さらに撹拌することによって促進してもよい。粒子の望ましい真円度または粗さ、例えば、0.960〜0.990、または0.965〜0.975に達するまで粒子を融着させる。
【0055】
次いで、混合物のpHを、例えば、酸を用いて3.5〜6、いくつかの実施形態では、3.7〜5.5まで下げ、トナー凝集物を融着させてもよい。適切な酸としては、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、クエン酸または酢酸が挙げられる。酸の添加量は、混合物の0.1〜30重量%、いくつかの実施形態では、1〜20重量%であってもよい。
【0056】
混合物を冷却工程または凍結工程で冷却する。冷却は、20℃〜40℃、いくつかの実施形態では、22℃〜30℃で1時間〜8時間、いくつかの実施形態では、1.5時間〜5時間行ってもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、融着したトナースラリーを冷却することは、20℃〜40℃、いくつかの実施形態では、22℃〜30℃の温度まですばやく冷却するために、冷媒、例えば、氷、ドライアイスなどを加えることによって急冷することを含む。急冷は、少量(例えば、2リットル未満、いくつかの実施形態では、0.1リットル〜1.5リットル)のトナーの場合、実現可能であろう。もっと大きなスケールでのプロセスの場合、例えば、10リットルを超える場合、トナー混合物をすばやく冷却することは、トナー混合物に冷媒を入れることによって、またはジャケットによる反応器の冷却を利用することによっても実現可能ではないか、または現実的ではないだろう。
【0058】
次いで、トナースラリーを洗浄してもよい。洗浄は、7〜12、いくつかの実施形態では、9〜11のpHで実施してもよい。洗浄は、30℃〜70℃、いくつかの実施形態では、40℃〜67℃の温度で実施してもよい。洗浄は、フィルターケーキを濾過し、トナー粒子を脱イオン水に再びスラリー化することを含んでいてもよい。フィルターケーキを脱イオン水によって1回以上洗浄するか、またはスラリーのpHを酸によって調節し、pH4で、脱イオン水洗浄液で1回洗浄し、次いで、場合により、脱イオン水洗浄液で1回以上洗浄してもよい。いくつかの実施形態では、粒子を水で3回洗浄してもよい。
【0059】
例えば、いくつかの実施形態では、トナー粒子を40℃の脱イオン水で洗浄し、濾過し、HCl酸を加えて再びスラリー化し、濾過し、新しい脱イオン水で再びスラリー化してもよい。濾液の溶液導電度が低い(10μS/cm未満)と測定されるまで洗浄を続けてもよく、溶液導電度が低いことは、イオン含有量が顕著に低く、金属(いくつかの実施形態では、亜鉛)による処理を妨害しないことを示す。
【0060】
金属イオン溶液を用いたトナー粒子の洗浄は、30℃〜50℃の温度で実施されてもよい。金属イオン溶液(いくつかの実施形態では、亜鉛を含む)を、1〜120滴の量でスラリーに滴下する。金属イオン溶液を1滴/分〜120滴/分、いくつかの実施形態では、5滴/分〜100滴/分、いくつかの実施形態では、10滴/分〜60滴/分の速度でスラリーに滴下し、0.5時間〜1.5時間、いくつかの実施形態では、0.75時間〜1.25時間、いくつかの実施形態では、1時間混合する。この混合時間の間に、スラリーを20℃〜60℃、他の実施形態では、30℃〜55℃、さらなる実施形態では、35℃〜45℃までわずかに加熱する。亜鉛は、粒子を凝集させることなく、トナー表面に制御された様式で付着する。
【0061】
いくつかの実施形態では、その後、粒子に対し、帯電特性を高めるために、溶液に金属を含むさらなる洗浄工程を実施してもよい。トナー粒子表面にある特定の金属系帯電剤(いくつかの実施形態では、サリチル酸亜鉛または他の同様の薬剤)の量を増やすと、トナー粒子の帯電性を高めるだろう。したがって、本明細書によれば、このような金属を含む洗浄工程は、トナー粒子の帯電性を高めるだろう。
【0062】
融着した後、本実施形態のプロセスは、トナー粒子に対して1つ以上のさらなる処理工程を行い、トナー粒子の帯電特性を高める。いくつかの実施形態では、トナー粒子に対し、上述のように最後の洗浄を行い、トナー粒子を水に再び懸濁させる。いくつかの実施形態では、トナーの濡れたケーキを、水、いくつかの実施形態では、脱イオン水に再び懸濁させ、20℃〜50℃、いくつかの実施形態では、35℃〜45℃、他の実施形態では、40℃まで加熱する。次いで、このスラリーに電荷制御剤分散物を加える。
【0063】
分散物は、金属系帯電剤、例えば、サリチル酸亜鉛、サリチル酸クロム、サリチル酸アルミニウム、または他の金属系電荷制御剤を含んでいてもよい。これに分散物を加え、金属サリチル酸塩がトナー粒子表面に接続するように混合する。この工程で適切な金属帯電剤の供給源としては、酢酸亜鉛、酪酸亜鉛、塩素酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、クエン酸亜鉛、フッ化亜鉛、サリチル酸亜鉛、サリチル酸アルミニウム、フッ化亜鉛四水和物、3,5−ジ三級ブチルサリチル酸亜鉛、3,5−ジ三級ブチルサリチル酸アルミニウム、これらの組み合わせなどを挙げることができる。本明細書によれば、分散物は、本明細書に開示しているような任意の適切なCCAを組み込んでもよい。具体的な実施形態では、あらゆるゾーンにおけるトナーの帯電性と寿命を高めるために、CCA、例えば、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、または、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンゾエート]と3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸の混合物を加えてもよい。いくつかの実施形態では、分散物中の帯電制御剤は、合計固形分で、反応器中で一緒に混合するあらゆる成分を含むCCA(粒子バッチの合計重量)の0.1〜10重量%、または0.5〜8重量%、または1〜6重量%の量で加える。いくつかの実施形態では、スラリーは、固形分合計の10〜20%を含むバッチの固形分である。したがって、いくつかの実施形態では、分散物中の帯電制御性固体を、スラリーの合計固形分の0.05〜10重量%、または2.0〜5.0重量%の量で加える。
【0064】
次いで、電荷制御剤分散物を含むスラリーを、ラテックスのTgより高い温度、例えば、40〜65℃、または45〜55℃まで加熱し、一定の高せん断を加え、1時間まで、例えば、2〜120分、または20〜60分混合する。スラリーを1,000〜10,000RPM、または4,000〜7,000RPMの速度で混合する。
【0065】
次いで、処理したトナーを濾過し、脱イオン水に再び懸濁させ、次いで、48時間かけて凍結乾燥させてもよい。粒子の水分量が0重量%〜1重量%、いくつかの実施形態では、0.1重量%〜0.7重量%になるまで乾燥を続けてもよい。製造したトナー粒子は、摩擦電荷が−2μC/g〜−60μC/g、または−10μC/g〜−45μC/g、または−20μC/g〜−35μC/gである。
【0066】
(添加剤)
洗浄または乾燥させた後にトナー組成物に加えることが可能な表面添加剤としては、例えば、金属塩、脂肪酸金属塩、コロイド状シリカ、金属酸化物、チタン酸ストロンチウム、これらの組み合わせなどが挙げられ、添加剤は、それぞれ、トナーの0.1〜10重量%、例えば、0.5〜7重量%の量で存在する。他の添加剤としては、ステアリン酸亜鉛、Degussaから入手可能なAEROSIL R972(登録商標)が挙げられる。コーティングされたシリカも、例えば、トナーの0.05〜5重量%、例えば、0.1〜2重量%の量で選択されてもよい。これらの添加剤を、凝集中に加えてもよく、生成したトナー生成物にブレンドしてもよい。
【0067】
本明細書のラテックスを利用して製造されるトナー粒子は、粒径が1ミクロン〜20ミクロン、いくつかの実施形態では、2ミクロン〜15ミクロン、いくつかの実施形態では、3ミクロン〜7ミクロンであってもよい。本明細書のトナー粒子は、真円度が0.9〜0.99、いくつかの実施形態では、0.92〜0.98であってもよい。
【0068】
本明細書の方法にしたがって、従来のトナーと比べていくつかの利点をもつトナー粒子を得てもよい。(1)粒子の摩擦電荷のロバスト性が大きく、トナーの欠陥が減り、機械性能が向上する。(2)実装しやすく、既存の凝集/融着プロセスに対し、大きな変更がない。(3)製造時間が短くなり、再加工(品質の向上)の必要が減ることによって、生産性が上がり、単位製造コスト(UMC)が小さくなる。
【0069】
本明細書のトナーを、プリンタ、複写機などを含む種々の画像形成デバイスに使用することができる。本明細書にしたがって作られたトナーは、画像形成プロセス(特に、ゼログラフィープロセス)に優れており、画像の解像度が優れており、信号対雑音比が許容される値であり、画像が均一な高品質の着色画像を得ることができる。さらに、本明細書のトナーを、デジタル画像形成システムおよびプロセスのような電子写真の画像形成および印刷システムのために選択することができる。
【0070】
本明細書に開示するプロセスを用いて得られるトナーと、コーティングされた担体(例えば、鋼、フェライトなど)のような既知の担体粒子とを混合することによって、現像剤組成物を調製することができる。担体は、トナーの2重量%〜8重量%、いくつかの実施形態では、4重量%〜6重量%の量で存在していてもよい。また、担体粒子は、例えば、導電性カーボンブラックのような導電性成分が分散したポリメタクリル酸メチル(PMMA)のようなポリマーコーティングを表面に備えるコアを含んでいてもよい。担体のコーティングとしては、シリコーン樹脂、例えば、メチルシルセスキオキサン、フルオロポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデン、帯電列に隣接していない樹脂混合物(例えば、ポリフッ化ビニリデンとアクリル樹脂のようなアクリル熱硬化性樹脂)、これらの組み合わせおよび他の既知の成分が挙げられる。
【0071】
放電領域での現像によって現像を実施してもよい。放電領域の現像において、感光体を帯電させ、次いで、現像すべき領域を放電する。現像場およびトナーの電荷は、感光体上の帯電した領域とトナーが反発し、放電した領域に引き付けられるようになっている。この現像プロセスをレーザースキャナで用いる。
【0072】
磁気ブラシ現像プロセスによって現像を行ってもよい。この方法は、本明細書のトナーと磁気担体粒子とを含む現像剤材料を磁石によって運ぶことを伴う。磁石の磁場によって、ブラシ状の構造に磁気担体が整列し、この「磁気ブラシ」が、感光体の静電画像を生じる表面と接触する。感光体の放電した領域に対する静電引力によって、トナー粒子がブラシから静電画像へと引き付けられ、画像の現像が起こる。いくつかの実施形態では、現像剤が導電性担体粒子を含み、バイアスがかかった磁石から担体粒子を介して感光体へと電流を流すことができる導電性磁気ブラシプロセスを使用する。
【0073】
また、画像形成方法は、本明細書に開示するトナーを伴う。この画像形成プロセスは、電子印刷磁気画像文字認識装置で画像を作成し、その後、本明細書のトナー組成物を用いて画像を現像することを含む。静電手段によって光伝導性材料の表面に画像を作成し、現像することは、よく知られている。基本的なゼログラフィープロセスは、光伝導性絶縁層の上に均一な静電電荷を配置することと、この層を、光と影画像にさらし、光のあたった層の領域にある電荷は失われることと、微細に分割された検電材料(例えば、トナー)を画像の上に堆積させることによって、得られた静電潜像を現像することとを含む。トナーは、通常は、層の電荷が残っている領域に引き付けられ、それにより、静電潜像に対応するトナー画像が作られるだろう。次いで、この粉末状の画像を支持表面(例えば、紙)に転写してもよい。その後、転写された画像を熱によって支持表面に永久的に固着させてもよい。光導電層を均一に帯電し、次いで、光および影画像に層をさらすことによって潜像を作成することに代わり、画像の構造になるように層を直接帯電させることによって潜像を作成してもよい。その後、粉末状の画像を光導電層に固着させ、粉末画像の転写を行わない。溶媒またはオーバーコーティング処理のような他の適切な固定手段を上の熱固定工程と置き換えてもよい。
【実施例】
【0074】
(実施例1)
スチレン/ブチルアクリレートラテックスポリマーを低粘度ワックス(いくつかの実施形態では、パラフィンワックスである)、2:1〜6:1の比率のカーボンブラックおよびシアン顔料と混合した。次いで、この混合物にポリ塩化アルミニウムを加え、この混合物を3,000〜8,000RPMで20分間かけて均質に混合する。IKA(登録商標)Werke Ultra Turrax T50 Homogenizerを使用した。均質化したら、反応器の内容物を、粒子がシェル作成前の粒半径(この実施例では、5.6〜5.8ミクロン)に達するまで、ポリマーのガラス転移温度に近い温度(この実施例では、52℃)まで90〜120分かけて加熱した。凝集物が適切な粒径になったら、この同じポリマーを加え、ラテックス添加剤合計の20%を超えない量でシェルを作成した。
【0075】
塩基(この実施例では、水酸化ナトリウム)を加え、粒子の成長プロセスを凍結させた。凍結させた粒子のバッチ温度を80℃以上まで上げ、pHが4.5を超えないように調節した。次いで、このバッチを、粒子の真円度(粗さ)に到達するまで(この実施例では0.960〜0.980)、90℃〜99℃の温度で50〜120分かけて融着させた。次いで、このバッチを複数回の洗浄プロセスで洗浄した。例えば、このバッチをふるい分けし、次いで濾過し、母液を除去した。次いで、濡れたケーキを再び分散させ、このサイクルを2回以上繰り返した。
【0076】
最後の洗浄の後に、粒子を2リットルの実験用ガラス反応器中で再び処理し、IKAホモジナイザを用い、以下のように粒子のTgより高い温度で粒子表面にE−88を接続した。洗浄した粒子170グラムを蒸留水900gに再び懸濁させ、ジャケット温度70℃で、cIKA Ultra Turrex T50分散器およびG45F Headによって連続的に均質化しつつ、2リットルの反応器に入れた。次いで、乾燥基準で3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム電荷制御剤2.6gを含むE−88水分散物27.7gを加えた。次いで、このスラリーを、E−88粒子存在下、粒子を最大70℃で35分間かけて均質化しつつ、温度を上げた。
【0077】
次いで、連続して均質化し、粒径を測定しつつ、このスラリーを室温まで冷却した。remove E−88分散物界面活性剤を除去したらスラリーを濾過し、200gの蒸留(脱イオン)水に再び懸濁させた。次いで、処理した粒子のスラリーを凍結乾燥して乾燥粒子を得た。具体的に、次いで、このスラリーを凍結乾燥瓶に入れ、これを−25〜45℃で20〜40分間、シェル乾燥器に入れた。次いで、トナー粒子の水分が0.5%未満になるまで、凍結させたスラリーを凍結乾燥器具に2〜4日間入れた。SEMの最初の結果から、図2〜5からわかるように、E−88粒子の接続が示された。表1からわかるように、均質化中のさまざまな時間間隔で粒径分析を行った。
【表1】
【0078】
いくつかの実施形態では、回収したトナー粒子は、粒径が5.0〜8.0、または6.0〜7.0ミクロンであった。
【0079】
次いで、乾燥させた親粒子を採取し、ポリメチルメタクリレートポリマーでコーティングされた35μmのフェライトコアを含む未処理のコントロール担体と比較し、初期の摩擦電荷を測定した。未処理の粒子であるコントロール1およびコントロール2と比較して、処理した粒子では負電荷の増加が示された(図1に示されるように)。コントロール1およびコントロール2は、2回の異なるバッチで製造された未処理の粒子であり、処理した粒子と同じ成分を用いるが、CCAを添加しないで同じ様式で製造された。図1に示されるように、処理したトナーは、電荷の低下が示されたBゾーンおよびJゾーンの条件での未処理のコントロール粒子と比較して、Bゾーン条件で負電荷(Q/M)の上昇を示した。
【0080】
図2〜5は、表面上のCCAが見えるようにした、処理したトナー粒子のSEM画像を示す。これらの図は、倍率が1000(図2)、6000(図3)、10000(図4)、30000(図5)でのSEM画像である。
【0081】
まとめると、本実施形態は、融着したトナー粒子をさらに処理し、洗浄プロセス中にトナー粒子に電荷制御剤(CCA)を接続する、トナーを作るプロセスを提供する。上に示されるように、このプロセスは、SEMおよび摩擦電荷測定から明らかなように、粒子にCCAをうまく接着し、トナーの電荷を高める。本実施形態は、電荷制御剤の接着が乾燥サイクル中に維持される様式を提供する。例えば、低い帯電性に起因する高温高湿ゾーンでの欠陥が印刷性能および寿命にひどく悪い影響を与える場合に、これらの種類の改良は、1成分現像(SCD)帯電系の電気写真システムに役立つ。
図1
図2
図3
図4
図5