特許第6130222号(P6130222)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130222
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】自動二輪車のハーネス支持構造
(51)【国際特許分類】
   B62J 6/18 20060101AFI20170508BHJP
   B62J 6/02 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   B62J6/18
   B62J6/02 J
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-109814(P2013-109814)
(22)【出願日】2013年5月24日
(65)【公開番号】特開2014-227109(P2014-227109A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】國貞 洋平
(72)【発明者】
【氏名】高谷 聡志
【審査官】 山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−161011(JP,A)
【文献】 特開平06−115473(JP,A)
【文献】 特開平11−198713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/18
B62J 6/02
B62K 19/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車のハーネス支持構造であって、
トップブリッジに、ハンドルに一端部が連結されたケーブル類の一部を固定するケーブルブラケットが支持され、
車体の前方に配置される機器を支持する機器ブラケットが前記ケーブルブラケットに取り付けられ、
前記ケーブルブラケットに、前記一部のケーブルの中間部を保持する保持部が設けられ、
前記ケーブルブラケットは、前記トップブリッジに連結されたブラケット本体から突出した突片と、この突片に係止された弾性体からなるグロメット部材とを有し、
前記保持部よりもハンドル側から近い位置で、前記グロメット部材により前記ケーブル類が保持されている自動二輪車のハーネス支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の自動二輪車のハーネス支持構造において、前記ケーブルブラケットおよび前記機器ブラケットの少なくとも一方に、前記保持部よりもハンドル側から遠い位置でケーブル類が前方へ移動するのを阻止する規制部が設けられている自動二輪車のハーネス支持構造。
【請求項3】
請求項2に記載の自動二輪車のハーネス支持構造において、前記ケーブル類が、前記ケーブルブラケットと前記機器ブラケットとで形成された上下方向を向く開口を通過し、
前記機器ブラケットが、前記規制部を構成している自動二輪車のハーネス支持構造。
【請求項4】
請求項2または3に記載の自動二輪車のハーネス支持構造において、前記保持部は左右一対設けられている自動二輪車のハーネス支持構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の自動二輪車のハーネス支持構造において、前記機器がヘッドランプである自動二輪車のハーネス支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車のハンドルに一端部が支持されたケーブル類を支持するハーネス支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車のハンドルには、種々のスイッチ、メータならびにクラッチ・アクセル等の操作具が配置され、それらの油圧ホース、ケーブルは、例えば、車体フレームの前端のヘッドパイプやこれに支持されたトップブリッジ、ボトムブリッジ等に設けた金具で固定されている。また、トップブリッジには、このような金具のほかに、車体の前方に配置される機器も支持される(例えば、特許文献1)。特許文献1では、このような機器として、シリンダ錠を有するコンビネーションスイッチが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−224751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の自動二輪車では、トップブリッジへの油圧ホース、ケーブルの支持と、コンビネーションスイッチの取り付けとを別々に行う必要があり、組立性がよくない。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、ハンドルからの油圧ホース、ケーブルの支持と、車体前方に配置される機器の取り付けを行う際の組立性を向上させることのできる自動二輪車のハーネス支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の自動二輪車のハーネス支持構造は、トップブリッジに、ハンドルに一端部が連結されたケーブル類の一部を固定するケーブルブラケットが支持され、車体の前方に配置される機器を支持する機器ブラケットが前記ケーブルブラケットに取り付けられている。前記機器は、例えば、ヘッドランプである。ここで、「ケーブル類」とは、油圧系統のホース、または電気系統もしくは機械系統のケーブルをいう。
【0007】
この構成によれば、ケーブルブラケットをトップブリッジに取り付けて、ケーブル類をケーブルブラケットに固定した後で、機器が連結された機器ブラケットをケーブルブラケットに取り付けることができる。これにより、トップブリッジへのケーブル類の支持と、機器の取り付けが容易になり、組立性が向上する。
【0008】
本発明において、前記ケーブルブラケットに、前記一部のケーブルの中間部を保持する保持部が設けられ、前記ケーブルブラケットおよび前記機器ブラケットの少なくとも一方に、前記保持部よりもハンドル側から遠い位置でケーブル類が前方へ移動するのを阻止する規制部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、保持部によりケーブル類が固定されるとともに、規制部によりケーブル類が前方へ移動するのが抑制されるので、ケーブル類をコンパクトに支持、案内できる。
【0009】
保持部と規制部とが設けられている場合、前記ケーブル類が、前記ケーブルブラケットと前記機器ブラケットとで形成された上下方向を向く開口を通過し、前記機器ブラケットが、前記規制部を構成していることが好ましい。この構成によれば、機器ブラケット自体が規制部を構成するので、別途規制部を設けることなくケーブル類を効果的に規制できる。
【0010】
保持部が設けられている場合、前記保持部は左右一対設けられていることが好ましい。この構成によれば、左右のハンドルのケーブル類を支持、案内できる。
【0011】
保持部が設けられている場合、前記ケーブルブラケットは、前記トップブリッジに連結されたブラケット本体から突出した突片と、この突片に係止された弾性体からなるグロメット部材とを有し、前記保持部よりもハンドル側から近い位置で、前記グロメット部材により前記ケーブル類が保持されていることが好ましい。この構成によれば、グロメット部材によりケーブル類が束ねられるので、ケーブル類の固定が容易になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の自動二輪車のハーネス支持構造によれば、ケーブルブラケットをトップブリッジに取り付けて、ケーブル類をケーブルブラケットに固定した後で、機器が連結された機器ブラケットをケーブルブラケットに取り付けることができる。これにより、トップブリッジへのケーブル類の支持と、機器の取り付けが容易になり、組立性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係るハーネス支持構造を備えた自動二輪車を示す側面図である。
図2】同自動二輪車の要部を示す正面図である。
図3】同自動二輪車のケーブルブラケットを示す正面図である。
図4】同自動二輪車の上部ランプブラケットを示す斜視図である。
図5】同上部ランプブラケットにヘッドランプ装置の電源ユニットを組み付けた状態示す斜視図である。
図6】同ケーブルブラケットのグロメット部材を示す斜視図である。
図7図2に上部ランプブラケットを追加した正面図である。
図8】同自動二輪車の前部を前方斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。本明細書において、「左側」および「右側」は、車両に乗車した操縦者から見た左右側をいう。
【0015】
図1は本発明が適用される自動二輪車を示す。この自動二輪車の車体フレームFRは、前半部を構成するメインフレーム1と、メインフレーム1の後部に連結されて車体フレームFRの後半部を構成するリヤフレーム2とを有する。このメインフレーム1の前端にヘッドパイプ3が取り付けられ、このヘッドパイプ3に回動自在に挿通されたステアリングシャフト(図示せず)にトップブリッジ4およびボトムブリッジ5が取り付けられ、これらトップブリッジ4およびボトムブリッジ5にフロントフォーク8が支持されている。このフロントフォーク8の下端部に前輪9が支持され、前輪9の上方にフロントフェンダ15が取り付けられている。フロントフォーク8の上端部のトップブリッジ4にハンドル10およびメータユニット6が取り付けられている。メータユニット6の前方にメータバイザ18が配置され、メータバイザ18の先端部にポジションランプ20が配置されている。
【0016】
前記メインフレーム1の後端部には、スイングアームブラケット11が設けられ、このスイングアームブラケット11に、スイングアーム12が、前端部に挿通されたピボット軸13を介して上下揺動自在に支持されている。このスイングアーム12の後端部には後輪14が支持されている。メインフレーム1の中央下部にはエンジンEが支持され、このエンジンEがチェーンのような動力伝達機構16を介して後輪14を駆動する。
【0017】
リヤフレーム2にライダーシート22と同乗者シート24とが支持され、リヤフレーム2の後端にテールランプ26が支持されている。テールランプ26の下方には、後輪14の上方に位置するリヤフェンダ36が取り付けられている。
【0018】
メインフレーム1の上部、つまり、車体上部で、前記ハンドル10とライダーシート22との間には、燃料タンク25が取り付けられている。また、前記トップブリッジ4およびボトムブリッジ5に、車体の前方に配置される機器であるヘッドランプ装置40が支持され、このヘッドランプ装置40に、ヘッドランプ装置40を上方、下方および両側方から覆う樹脂製のフロントカウル30が支持されている。
【0019】
本実施形態のヘッドランプ装置40は、光源としてLEDを用いており、上部ランプブラケット28および下部ランプブラケット29を介して、トップブリッジ4およびボトムブリッジ5にそれぞれ取り付けられている。上部ランプブラケット28の詳細は後述する。フロントカウル30の後方に、燃料タンク25の下部からエンジンEの前方および下部にかけての部分を側方から覆う樹脂製のサイドカウル31が装着されている。
【0020】
図2に示すように、ハンドル10は、両端部が中央部よりもせり上がった形状の単一のハンドルバー32と、その左右両端部に装着されたグリップ34L,34Rとを有している。右側のグリップ34Rは機械系または電気系のアクセルグリップであり、このアクセルグリップ34Rからアクセルグリップ用ケーブル34aが下方の後方に延びている。また、ハンドルバー32の右側に油圧ブレーキ系のブレーキレバー37が取り付けられ、ブレーキレバー37からオイルを通すブレーキホース37aが下方から後方に延びている。
【0021】
ハンドルバー32の左側には、油圧クラッチ系のクラッチレバー38および電気系のグリップスイッチ42が取り付けられ、クラッチレバー38およびグリップスイッチ42からオイルを通すクラッチホース38aおよび電線を被覆したグリップスイッチ用ケーブル42aがそれぞれ下方の後方に延びている。グリップスイッチ42は、例えば、方向指示ランプのスイッチである。本明細書では、これらアクセルグリップ用ケーブル34a、ブレーキホース37a、クラッチホース38aおよびグリップスイッチ用ケーブル42aを総称して「ケーブル類44」と呼ぶ。
【0022】
前記メータユニット6のメータ用ハーネス6aおよびポジションランプ20のポジションランプ用ケーブル20aも下方の後方に延びている。詳細には、メータ用ハーネス6aは直接メインハーネス21に連なり、ポジションランプ用ケーブル20aはカプラ23を介して分岐部21aからメインハーネス21に繋がっており、メインハーネス21が車体後方に向かって延びている。トップブリッジ4に、これらメータ用ハーネス6a、ポジションランプ用ケーブル20aおよび前記ケーブル類44を固定するケーブルブラケット50が支持されている。
【0023】
図3に示すように、ケーブルブラケット50は、左右のブラケット本体52,53と、これらブラケット本体52,53を接続する接続部材54とが、溶接により連結されて構成されている。本実施形態では、ブラケット本体52,53は、金属性の板材を折り曲げ加工することにより形成され、接続部材54は、金属性の棒材である。
【0024】
左側のブラケット本体52と右側のブラケット本体53とは、右側のブラケット本体53が前記ケーブル類44の中間部を保持する第1保持部56を有する点を除いて、構造および形状は同じである。したがって、左右のブラケット本体52,53の構造、形状については、右側のブラケット本体53についてのみ説明する。なお、ケーブルブラケット50の第1保持部56は、左右両方のブラケット本体52,53に設けてもよく、また、左側のブラケット本体52にのみ設けてもよい。第1保持部56を左右一対設けると、左右のハンドルからのケーブル類44を安定して支持、案内できる。
【0025】
右側のブラケット本体53は、支持部58と、支持部58から上方斜め外方に延びる案内部60とを有している。前記第1保持部56は、支持部58の上縁における内側部分に設けられている。以降。「内側」および「外側」は車幅方向の内側および外側をいう。第1保持部56は、金属片を前方に約90°折り曲げることにより形成されており、第1保持部56に貫通孔56aが形成されている。
【0026】
支持部58の下端部は、接続部材54を抱き込むように後方に折り曲げられ、この曲げられた部分に、前記接続部材54が溶接されている。支持部58に前後方向を向いたボルト挿通孔62が形成され、ボルト挿通孔62の外側に前後方向を向いたねじ孔からなる機器取付孔64が形成されている。本実施形態では、機器取付孔64は、支持部58の後面に固着された溶接ナット(図示せず)により構成されている。
【0027】
案内部60の外側端部に、案内部60から前方に突出した突片66が設けられている。突片66は、案内部60の上縁から前側に折り曲げられた第1の突片68と、下縁から前側に折り曲げられた第2の突片70とからなり、第1の突片68の方が、案内部60の延在方向に長く形成されている。突片66に、ゴムのような弾性体からなるグロメット部材69が係止される。
【0028】
図6に示すように、グロメット部材69は、上壁63と、下壁65と、これら上壁63および下壁65を連結する連結壁67とを有する、前方に開いたほぼU字形状である。上壁63および下壁65の前端面に、前方に凹入した被係止溝63a,65aがそれぞれ形成され、これら被係止溝63a,65aが、図3に示す第1および第2の突片68,70にそれぞれ係止される。
【0029】
接続部材54の左右方向中間部に、上下方向に延びる板材からなる第2の保持部72が溶接により固着されている。第2の保持部72は、図2のメータ用ハーネス6aおよびポジションランプ用ケーブル20aを保持するためのもので、図3に示すように、接続部材54に固着された中間部を挟んで、第2の保持部72の上部および下部に、前後方向を向いた貫通孔72a,72bがそれぞれ形成されている。
【0030】
図4は、ヘッドランプ装置40を支持する機器ブラケットである上部ランプブラケット28を前方斜め上方から見た斜視図である。上部ランプブラケット28は、板金を折り曲げることで形成され、左右方向中央部のボックス係止部74と、ボックス係止部74の左右両端部から後方斜め左右方向にそれぞれ傾斜して延びる傾斜部75,75と、各傾斜部75,75から左右方向に延びるランプ支持部76,76と、各ランプ支持部76,76から後方に延びるブリッジ取付部78,78とを有している。各傾斜部75,75には貫通孔75a,75aが形成され、各ランプ支持部76,76には、前後方向を向くランプ取付孔76a,76aが形成されている。
【0031】
ボックス係止部74は、上部を構成する左右方向に長い長方形状の上半部80と、上半部80の両端部から下方に延びる一対の下半部82,82とを有する門型である。ボックス係止部74の下半部82,82の下端部に、前方に延びる係止片84,84がそれぞれ形成されている。
【0032】
図5に示すように、上部ランプブラケット28のボックス係止部74には、ゴムのような弾性体からなる箱状のボックス85を介してヘッドランプ装置40(図1)の電源回路ユニット86が係止される。詳細には、電源回路ユニット86をボックス85内に上方から嵌め込み、ボックス85の左右のブラケット係止部88,88の係合溝88a,88aに、上部ランプブラケット28の左右の係止片84,84を係止させることで、ボックス85を介して電源回路ユニット86が係止される。
【0033】
電源回路ユニット86は、電源(図示しないバッテリ)からの直流電力を制御して、ヘッドランプ装置40(図1)の光源であるLEDに給電する。電源回路ユニット86は、正面視で矩形のユニット本体87を有し、ユニット本体87の上部に上方を向いた出力側コネクタ94が2つ設けられ、下部に下方を向いた入力側コネクタ96が1つ設けられている。入力側コネクタ94は、電源回路ユニット86と車体側の電源とを接続する入力ケーブル95(図8)に接続され、出力側コネクタ96は、電源回路ユニット86とヘッドランプ装置40(図1)とを接続する出力ケーブルに接続される。
【0034】
図4の各ブリッジ取付部78,78の後端は、後方斜め上方に傾斜する傾斜壁90,90を有しており、傾斜壁90,90にボルト挿通孔90a,90aが形成されている。右側のブリッジ取付部78に、ケーブルブラケット50の第1保持部56と協働してケーブル類44(図2)を保持する第3の保持部92が設けられている。上部ランプブラケット28とケーブルブラケット50とにより、上下方向を向く開口91が形成されている。
【0035】
第3の保持部92は、ワイヤを折り曲げることで形成され、溶接によりブリッジ取付部78に固着されている。本実施形態では、右側のブリッジ取付部78にのみ第3の保持部92が設けられているが、左側のブリッジ取付部78にのみ第3の保持部92を設けても、左右のブリッジ取付部78,78の両方に第3の保持部92を設けてもよく、あるいは第3の保持部92はなくてもよい。第3の保持部92を左右一対設けると、左右のハンドルからのケーブル類44を安定して支持、案内できる。なお、図5では、第3の保持部92の図示を省略している。
【0036】
ケーブルブラケット50および上部ランプブラケット28の車体への取り付け、およびケーブル類44の支持について説明する。まず、図2のケーブルブラケット50をトップブリッジ4に取り付ける。具体的には、図8に示すように、ケーブルブラケット50の支持部58のボルト挿通孔62に、ボルト100を前方から挿通し、トップブリッジ4に形成されたねじ孔(図示せず)にねじ込むことで、ケーブルブラケット50をトップブリッジ4に取り付ける。図8では、左側のブラケット本体52のボルト挿通孔62のみ図示しているが、右側のブラケット本体53も同様にトップブリッジ4にボルト連結される。
【0037】
つづいて、図2のメータ用ハーネス6a、ポジションランプ用ケーブル20aおよびケーブル類44をケーブルブラケット50に支持する。まず、右側のハンドル10から延びるアクセルグリップ用ケーブル34aおよびブレーキホース37aが、グロメット部材69により、右側のブラケット本体53の案内部60に保持され、左側のハンドル10から延びるクラッチホース38aおよびグリップスイッチ用ケーブル42aが、グロメット部材69により、左側のブラケット本体52の案内部60に保持される。
【0038】
図8に示すように、ケーブル類44は、第1および第2の突片68,70により上下方向の移動が規制され、かつ、グロメット部材69により前方への移動が規制された状態で束ねられ、案内部60に沿って内側に向かって斜め下方に延びる。
【0039】
右側のブラケット本体53の案内部60に沿って延びるケーブル類44の一部であるブレーキホース37aは、第1の保持部56に固定される。具体的には、グロメットのような筒状の鍔付き弾性体102の内部に、ブレーキホース37aを挿通し、第1の保持部56の貫通孔56a(図3)に取り付けた第1クランプ部材104により弾性体102を把持することで、ブレーキホース37aが第1の保持部56に固定される。
【0040】
つぎに、図2に示す車体中央部のメータ用ハーネス6aおよびポジションランプ用ケーブル20aを、ケーブルブラケット50に固定する。具体的には、図8に示すように、メータ用ハーネス6aが、第2の保持部72の上側の貫通孔72a(図3)に取り付けた第2クランプ部材106により把持された後、第2の保持部72の下側の貫通孔72b(図3)に取り付けた結束バンドのような固定具108により固定される。本実施形態の固定具108は、貫通孔72b(図3)に取り付けられる取付部108aと、メータ用ハーネス6aを固定する固定バンド部108bとを有している。
【0041】
ポジションランプ用ケーブル20aは、第2クランプ部材106を通過した後、上方へ折り返されて再度第2クランプ部材106を通って、メータ用ハーネス6aとともに第2クランプ部材106により把持される。第2クランプ部材106に二重に把持された後、ポジションランプ用ケーブル20aは、下方のカプラ23に接続され、図2に示すメインハーネス21に連結される。このように、ケーブルブラケット50により、ハンドル10に一端部が連結されたケーブル類44以外のケーブルも保持できる。
【0042】
左側のブラケット本体52の案内部60に沿って延びるケーブル類44の一部であるクラッチホース38aおよびグリップスイッチ用ケーブル42aは、グロメット部材69で保持される以外は、ケーブルブラケット50に保持されない。
【0043】
つづいて、上部ランプブラケット28を介してヘッドランプ装置40(図1)をケーブルブラケット50に取り付ける。その前に、あらかじめ図1に示すフロントカウル30とヘッドランプ装置40とを含むサブアッシを組み立てておく。具体的には、ボルト(図示せず)によりフロントカウル30をヘッドランプ装置40に取り付け、このヘッドランプ装置40を図4の上部ランプブラケット28に取り付ける。
【0044】
ヘッドランプ装置40の上部ランプブラケット28への取り付けは、上部ランプブラケット28のランプ取付孔76aに、ゴムのような弾性部材からなる筒状の鍔付グロメット110を挿通し、この鍔付グロメット110の内部に後方からボルト112を挿通し、ヘッドランプ装置40(図1)の図示しないねじ孔に締め付けることでなされる。これにより、フロントカウル30、ヘッドランプ装置40および上部ランプブラケット28を含むサブアッシが構成される。
【0045】
つぎに、このサブアッシを、ケーブルブラケット50を介してトップブリッジ4に取り付ける。サブアッシのケーブルブラケット50への取り付けは、上部ランプブラケット28をケーブルブラケット50に取り付けることでなされる。具体的には、ボルト114を上部ランプブラケット28のボルト挿通孔90aに前方から挿通し、ケーブルブラケット50の機器取付孔64にねじ込むことで、サブアッシが、ケーブルブラケット50を介してトップブリッジ4に取り付けられる。なお、前述のように、図1のヘッドランプ装置40の下部は、下部ランプブラケット29を介してボトムブリッジ5に取り付けられる。
【0046】
つづいて、図8の上部ランプブラケット28にケーブル類44および入力ケーブル95を支持する。具体的には、右側のブラケット本体53の案内部60に沿って延びるケーブル類44の一部であるアクセルグリップ用ケーブル34aが、上部ランプブラケット28の第3の保持部92に保持される。また、電源回路ユニット86への入力ケーブル95は、コネクタ95aを介して電源回路ユニット86の入力側コネクタ94に接続される。入力ケーブル95は、上部ランプブラケット28の傾斜部75の貫通孔75aに取り付けられた結束バンドのような固定具116により固定される。このように、上部ランプブラケット28により、入力ケーブル95が保持される。
【0047】
図7は、フロントカウル30およびヘッドランプ装置40を省略して、ケーブルブラケット50に上部ランプブラケット28のみが取り付けられた状態を示している。同図に示すように、上部ランプブラケット28とケーブルブラケット50とにより形成された上下方向の開口91にメータ用ハーネス6a、ポジションランプ用ケーブル20aおよびケーブル類44が導かれている。
【0048】
ケーブル類44は、上記開口91を通過する際、上部ランプブラケット28に当接して、前方へ移動するのが阻止される。つまり、上部ランプブラケット28が、第1の保持部56よりもハンドル10から遠い位置でケーブル類44が前方へ移動するのを阻止する規制部120を構成する。具体的には、上部ランプブラケット28におけるボックス係止部74の上半部80、傾斜部75およびブリッジ取付部78が規制部120を構成している。このように、本実施形態では、上部ランプブラケット28自体を規制部120としているが、上部ランプブラケット28またはケーブルブラケット50に別途規制部120を設けてもよい。
【0049】
上記構成において、図7のケーブルブラケット50をトップブリッジ4に取り付けて、ケーブル類44をケーブルブラケット50に固定した後で、ヘッドランプ装置40(図1)が連結された上部ランプブラケット28をケーブルブラケット50に取り付けることができる。これにより、トップブリッジ4へのケーブル類44の支持と、ヘッドランプ装置40の取り付けが容易になり、組立性が向上する。
【0050】
ケーブルブラケット50に第1の保持部56が形成され、上部ランプブラケット28がケーブル類の前方への移動を阻止する規制部120として機能しているので、第1の保持部56によりケーブル類44が固定されるとともに、規制部120によりケーブル類44が前方へ移動するのが抑制され、ケーブル類44をコンパクトに支持、案内できる。さらに、上部ランプブラケット28自体が規制部120を構成しているので、別途規制部を設けることなくケーブル類44を効果的に規制できる。
【0051】
図8に示すように、第1の保持部56よりもハンドル10に近い位置で、突片66とグロメット部材とによりケーブル類44が保持されているので、第1の保持部56および第2の保持部92によるケーブル類44の固定が容易になる。
【0052】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。上記実施形態では、車体の前方に配置される機器としてヘッドランプ装置40を説明したが、ヘッドランプ装置40以外の機器、例えば、リレーボックス、電源回路、GPSアンテナユニット、ETCユニット、イモビアンプ等であってもよい。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
4 トップブリッジ
10 ハンドル
28 上部ランプブラケット(機器ブラケット)
40 ヘッドランプ装置(機器)
44 ケーブル類
50 ケーブルブラケット
52,53 ブラケット本体
56 第1保持部(保持部)
66 突片
69 グロメット部材
91 開口
120 規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8