(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンロバーナを有する加熱部と、前記コンロバーナにガスを供給するためのガス流路と、このガス流路に配設されるラッチ式電磁弁と、このラッチ式電磁弁に通電する電流を出力する制御部と、を備え、閉弁状態の前記ラッチ式電磁弁に前記制御部から出力される開弁用電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁が開弁して前記ラッチ式電磁弁が開弁状態に移行し、前記ラッチ式電磁弁が前記開弁状態に移行した後は前記開弁用電流がしゃ断された後も前記ラッチ式電磁弁が前記開弁状態を維持し、前記開弁状態の前記ラッチ式電磁弁に前記制御部から出力される閉弁用電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁が前記閉弁状態に移行するように構成されたガスコンロにおいて、
前記ラッチ式電磁弁は、弁体がスプリングによって付勢されて閉弁状態となり、前記開弁電流の通電がしゃ断された後には、マグネットによる吸引力によって前記開弁状態を維持するように構成され、
前記ラッチ式電磁弁は、前記開弁状態において前記閉弁用電流より絶対値が小さい閉弁用中間電流を通電することで前記開弁状態から前記ラッチ式電磁弁の開度を前記閉弁状態と前記開弁状態の間の閉弁時中間開度に維持可能であり、
前記閉弁時中間開度において、前記弁体が前記開弁方向に移動したときに、前記スプリングの付勢力の増加分が、前記閉弁用中間電流の通電により生じる吸引力の増加分より大きくなるように構成され、
前記開弁状態の前記ラッチ式電磁弁を閉弁するときに、前記制御部は、その出力を所定時間に亘り前記閉弁用中間電流に維持した後に前記閉弁用電流を出力することを特徴とするガスコンロ。
前記ラッチ式電磁弁は、前記開弁状態において前記閉弁用電流より絶対値が小さい第一の閉弁用中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記開弁状態と前記閉弁状態の間の第一の閉弁時中間開度に維持可能であり、また、前記開弁状態において前記閉弁用電流より絶対値が小さく前記第一の閉弁用中間電流より絶対値が大きい第二の閉弁用中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記第一の閉弁時中間開度と前記閉弁状態の間の第二の閉弁時中間開度に維持可能であり、
前記開弁状態の前記ラッチ式電磁弁を閉弁するときに、前記制御部は、その出力を前記第一の閉弁用中間電流から前記第二の閉弁用中間電流に徐々に変化させた後に前記閉弁用電流を出力することを特徴とする請求項1または請求項2記載のガスコンロ。
前記ラッチ式電磁弁は、前記ラッチ式電磁弁に前記開弁用電流より小さい開弁用中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記閉弁状態と前記開弁状態の間の開弁時中間開度に維持可能であり、
前記閉弁状態の前記ラッチ式電磁弁を開弁するときに、前記制御部は、その出力を所定時間に亘り前記開弁用中間電流に維持した後に前記開弁用電流を出力することを特徴とする請求項1〜請求項3記載のガスコンロ。
前記ラッチ式電磁弁は、前記ラッチ式電磁弁に前記開弁用電流より小さい第一の開弁用中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記閉弁状態と前記開弁状態の間の第一の開弁時中間開度に維持可能であり、また、前記ラッチ式電磁弁に前記開弁用電流より小さく前記第一の開弁用中間電流より大きい第二の開弁用中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記第一の開弁時中間開度と前記開弁状態の間の第二の開弁時中間開度に維持可能であり、
前記閉弁状態の前記ラッチ式電磁弁を開弁するときに、前記制御部は、その出力を前記第一の開弁用中間電流から前記第二の開弁用中間電流に徐々に変化させた後に前記開弁用電流を出力することを特徴とする請求項4記載のガスコンロ。
ガス流量制限部を備えたバイパス流路が前記ラッチ式電磁弁と並列に接続されて前記ガス流路に配設され、前記ラッチ式電磁弁の開閉によって前記コンロバーナの火力が大火力と小火力とに切替えられることを特徴とする請求項1〜請求項5記載のガスコンロ。
前記コンロバーナによって加熱される調理容器の温度を検知する温度検出手段を備え、前記調理容器の温度を所定の設定温度に維持すべく、前記温度検出手段の検知温度に基づいて前記ラッチ式電磁弁の開閉によって前記コンロバーナの火力が大火力と小火力とに切替えられることを特徴とする請求項6記載のガスコンロ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のようなガスコンロでは、ラッチ式電磁弁が開弁した大火力の状態からラッチ式電磁弁が閉弁した小火力の状態に切替える際に、ラッチ式電磁弁に備える弁体の位置が時間の経過と共に急変するものであり、コンロバーナの火力が大火力から小火力に急変するものであるから、急激なコンロバーナへのガス供給量の減少に対するコンロバーナへの一次空気の供給の追従が遅れることに起因して、コンロバーナへの一次空気の供給量が過多となり、大火力から小火力に急変するときにコンロバーナに形成される炎が吹き消えするおそれがあり、改善が望まれていた。
【0007】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、ラッチ式電磁弁を用いてコンロバーナの火力の切替えを行いコンロバーナの火力を大火力の状態から小火力の状態に切替えたときにも、コンロバーナへのガス供給量の急激な減少が抑制されて、急激なコンロバーナへのガス供給量の減少に対するコンロバーナへの一次空気の供給の追従が遅れることに起因してコンロバーナへの一次空気の供給量が過多となることによるコンロバーナの火炎の吹き消えが抑制されたガスコンロを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のガスコンロは、コンロバーナを有する加熱部と、前記コンロバーナにガスを供給するためのガス流路と、このガス流路に配設されるラッチ式電磁弁と、このラッチ式電磁弁に通電する電流を出力する制御部と、を備え、閉弁状態の前記ラッチ式電磁弁に前記制御部から出力される開弁用電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁が開弁して前記ラッチ式電磁弁が開弁状態に移行し、前記ラッチ式電磁弁が前記開弁状態に移行した後は前記開弁用電流がしゃ断された後も前記ラッチ式電磁弁が前記開弁状態を維持し、前記開弁状態の前記ラッチ式電磁弁に前記制御部から出力される閉弁用電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁が前記閉弁状態に移行するように構成され、
前記ラッチ式電磁弁は、弁体がスプリングによって付勢されて閉弁状態となり、前記開弁電流の通電がしゃ断された後には、マグネットによる吸引力によって前記開弁状態を維持するように構成され、請求項1に係るガスコンロは、前記ラッチ式電磁弁は、前記開弁状態において前記閉弁用電流より絶対値が小さい閉弁用中間電流を通電することで前記開弁状態から前記ラッチ式電磁弁の開度を前記閉弁状態と前記開弁状態の間の閉弁時中間開度に維持可能であり、
前記閉弁時中間開度において、前記弁体が前記開弁方向に移動したときに、前記スプリングの付勢力の増加分が、前記閉弁用中間電流の通電により生じる吸引力の増加分より大きくなるように構成され、前記開弁状態の前記ラッチ式電磁弁を閉弁するときに、前記制御部は、その出力を所定時間に亘り前記閉弁用中間電流に維持した後に前記閉弁用電流を出力する点を特徴とする。
【0009】
つまり、ガスコンロに備えるラッチ式電磁弁は、ラッチ式電磁弁に閉弁用電流より絶対値が小さい閉弁用中間電流を通電することでラッチ式電磁弁の開度を開弁状態と閉弁状態の間の閉弁時中間開度に維持可能であるように構成する。そして、開弁状態のラッチ式電磁弁を閉弁するときに、ガスコンロに備える制御部は、その出力を所定時間に亘り閉弁用中間電流に維持した後に閉弁用電流を出力するのである。
【0010】
このように構成することで、開弁状態のラッチ式電磁弁を閉弁するときに、ラッチ式電磁弁が閉弁状態になる前に所定時間に亘り開弁状態と閉弁状態の間の閉弁時中間開度に維持されることになり、ラッチ式電磁弁の開度は、開弁状態から閉弁状態に急変しないから、コンロバーナへのガス供給量の急激な減少が抑制される。
【0011】
そして、コンロバーナへのガス供給量の急激な減少が抑制されるから、急激なコンロバーナへのガス供給量の減少に対してコンロバーナへの一次空気の供給量が適切に減少すること、つまり、急激なコンロバーナへのガス供給量の減少に対してコンロバーナへの一次空気の供給量の減少が追従すること、が遅れることにより、コンロバーナへの一次空気の供給量が過多となってしまうことが抑制されて、一次空気の供給量が過多となることによってコンロバーナの火炎の吹き消えが発生してしまう、ことが抑制される。
【0012】
要するに、請求項1によれば、コンロバーナへのガス供給量の急激な減少が抑制されて、コンロバーナの火力を大火力の状態から小火力の状態に切替えたときにも、コンロバーナの火炎が吹き消えることが抑制されたガスコンロとすることが可能となる。
【0013】
請求項2に係るガスコンロは、請求項1に係るガスコンロにおいて、
前記ラッチ式電磁弁は、マグネットの磁力による吸引力によって可動磁性体が固定磁性体に吸引されて前記開弁状態を維持するものであり、前記可動磁性体が複数の可動磁性体からなり、前記複数の可動磁性体間には第一のギャップが、前記可動磁性体と前記固定磁性体との間には第二のギャップが形成され、前記閉弁用中間電流の通電によって前記第一のギャップにおける前記マグネットの磁力による吸引力が減少して前記第一のギャップにおけるギャップ長が変化する、または、前記閉弁用中間電流の通電によって前記第二のギャップにおける前記マグネットの磁力による吸引力が減少して前記第二のギャップにおけるギャップ長が変化することで前記ラッチ式電磁弁の開度が前記閉弁時中間開度に維持される点を特徴とする。
【0014】
つまり、ラッチ式電磁弁は、マグネットの磁力による吸引力によって可動磁性体が固定磁性体に吸引されて開弁状態を維持するものである。そして、可動磁性体が複数の可動磁性体からなり、この複数の可動磁性体間には第一のギャップが形成され、可動磁性体と固定磁性体との間には第二のギャップが形成されるのである。そして、制御部から出力される閉弁用中間電流の通電によって第一のギャップにおけるマグネットの磁力による吸引力が減少して第一のギャップにおけるギャップ長が変化する、または、制御部から出力される閉弁用中間電流の通電によって第二のギャップにおけるマグネットの磁力による吸引力が減少して第二のギャップにおけるギャップ長が変化することでラッチ式電磁弁の開度が前記閉弁時中間開度に維持されるように構成するのである。
【0015】
このように構成することで、開弁状態のラッチ式電磁弁を閉弁するときに、ラッチ式電磁弁が閉弁状態になる前に開弁状態と閉弁状態の間の閉弁時中間開度に維持されることになるが、その際に閉弁用中間電流の通電によって第一のギャップにおけるマグネットの磁力による吸引力が減少して第一のギャップにおけるギャップ長が変化する、または、閉弁用中間電流の通電によって第二のギャップにおけるマグネットの磁力による吸引力が減少して第二のギャップにおけるギャップ長が変化することでラッチ式電磁弁の開度が閉弁時中間開度に維持されるように構成するのである。
【0016】
つまり、一般的なラッチ式電磁弁のように、ひとつの可動磁性体が固定磁性体に吸引されて開弁状態を維持する場合、閉弁用中間電流の印加によってひとつの可動磁性体と固定磁性体との間の一箇所のギャップにおけるギャップ長を少し変化させて閉弁時中間開度に維持しようとしたときであっても、上記ひとつの可動磁性体と固定磁性体との間の一箇所のギャップにおけるギャップ長を増加させる方向に付勢するスプリング力と、上記ひとつの可動磁性体と固定磁性体との間の一箇所のギャップに磁気的に生じている吸引力と、のバランスが崩れて上記スプリング力が上記磁気的に生じている吸引力より大きい状態になってしまうと、ラッチ式電磁弁は閉弁時中間開度に維持できず、ラッチ式電磁弁は一気に閉弁状態に至ってしまう。
【0017】
これに対し、請求項2に係るガスコンロにおけるラッチ式電磁弁のように、可動磁性体が複数の可動磁性体からなり、複数の可動磁性体間には第一のギャップが、可動磁性体と固定磁性体との間には第二のギャップが形成されるように構成しておき、閉弁用中間電流の通電によって第一のギャップ若しくは第二のギャップ何れかにおけるギャップ長が増加し易いように構成しておけば、閉弁用中間電流の通電によって第一のギャップにおけるマグネットの磁力による吸引力が減少して第一のギャップにおけるギャップ長が変化する、または、閉弁用中間電流の通電によって第二のギャップにおけるマグネットの磁力による吸引力が減少して第二のギャップにおけるギャップ長が変化することでラッチ式電磁弁の開度が閉弁時中間開度に維持されるようになる。
【0018】
このような構成の場合、第一のギャップ若しくは第二のギャップ何れか一方におけるギャップ長を増加させる方向に付勢するスプリング力が、第一のギャップ若しくは第二のギャップ何れか一方において磁気的に生じている吸引力より大きくなって、この箇所のギャップ長が閉弁状態におけるギャップ長まで増加した場合であっても、第一のギャップ若しくは第二のギャップ何れか一方に対する他方においては、開弁状態におけるギャップ長を維持することが可能であり、ラッチ式電磁弁は一気に閉弁状態に至ってしまうことなく、ラッチ式電磁弁の開度を閉弁時中間開度に維持可能である。
【0019】
換言すると、閉弁用中間電流の通電によって第一のギャップ若しくは第二のギャップ何れか一方におけるギャップ長が増加しやすいように、第一のギャップ若しくは第二のギャップ何れか他方においては、ギャップ長が増加し難い若しくはギャップ長がゼロを維持するように構成することで、閉弁用中間電流の通電によっても第一のギャップ及び第二のギャップが共に閉弁状態におけるギャップ長まで増加してラッチ式電磁弁が一気に閉弁状態に至ってしまうことなく、ラッチ式電磁弁の開度を閉弁時中間開度に維持する構成とすることが可能である。
【0020】
要するに、請求項2によれば、コンロバーナの火力を大火力の状態から小火力の状態に切替えたときにも、コンロバーナへのガス供給量の急激な減少が確実に抑制されて、コンロバーナの火炎が吹き消えることが抑制されたガスコンロとすることができる。
【0021】
請求項3に係るガスコンロは、請求項1または請求項2に係るガスコンロにおいて、
前記ラッチ式電磁弁は、前記開弁状態において前記閉弁用電流より絶対値が小さい第一の閉弁用中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記開弁状態と前記閉弁状態の間の第一の閉弁時中間開度に維持可能であり、また、前記開弁状態において前記閉弁用電流より絶対値が小さく前記第一の閉弁用中間電流より絶対値が大きい第二の閉弁用中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記第一の閉弁時中間開度と前記閉弁状態の間の第二の閉弁時中間開度に維持可能であり、
前記開弁状態の前記ラッチ式電磁弁を閉弁するときに、前記制御部は、その出力を前記第一の閉弁用中間電流から前記第二の閉弁用中間電流に徐々に変化させた後に前記閉弁用電流を出力する点を特徴とする。
【0022】
つまり、ラッチ式電磁弁は、開弁状態において閉弁用電流より絶対値が小さい第一の閉弁用中間電流を通電することでラッチ式電磁弁の開度を開弁状態と閉弁状態の間の第一の閉弁時中間開度に維持可能に、また、開弁状態において閉弁用電流より絶対値が小さく第一の閉弁用中間電流より絶対値が大きい第二の閉弁用中間電流を通電することでラッチ式電磁弁の開度を第一の閉弁時中間開度と閉弁状態の間の第二の閉弁時中間開度に維持可能に構成しておき、開弁状態のラッチ式電磁弁を閉弁するときに、制御部は、その出力を第一の閉弁用中間電流から第二の閉弁用中間電流に徐々に変化させた後に閉弁用電流を出力するのである。
【0023】
この様に構成した場合、ラッチ式電磁弁は、第一の閉弁時中間開度から第二の閉弁時中間開度にその開度を徐々に減少させることになる。そして、ラッチ式電磁弁は、その開度が第二の中間開度になった後に閉弁状態に至ることになるから、ラッチ式電磁弁の開度は、開弁状態から閉弁状態に急変せず、徐々にその開度が減少する過程を経た後に閉弁状態に至ることになり、コンロバーナへのガス供給量の急激な減少が一層抑制される。
【0024】
要するに、請求項3によれば、請求項1または請求項2による効果に加えて、コンロバーナへのガス供給量の急激な減少が一層抑制されたガスコンロとすることが可能となる。
【0025】
請求項4に係るガスコンロは、請求項1〜請求項3に係るガスコンロにおいて、
前記ラッチ式電磁弁は、前記ラッチ式電磁弁に前記開弁用電流より小さい開弁用中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記閉弁状態と前記開弁状態の間の開弁時中間開度に維持可能であり、
前記閉弁状態の前記ラッチ式電磁弁を開弁するときに、前記制御部は、その出力を所定時間に亘り前記開弁用中間電流に維持した後に前記開弁用電流を出力する点を特徴とする。
【0026】
このように構成することで、ラッチ式電磁弁を用いてコンロバーナの火力の切替えを行いコンロバーナの火力を小火力の状態から大火力の状態に切替えたときにも、閉弁状態のラッチ式電磁弁が開弁状態に至る過程において、閉弁状態のラッチ式電磁弁が一気に開弁状態に至るのではなく、コンロバーナへのガス供給量の急激な増大が抑制されて、小火力から大火力への火力増大時にもコンロバーナに形成される炎の急激な広がりが抑制されたガスコンロとすることが可能となる。
【0027】
つまり、請求項4によれば、ラッチ式電磁弁を用いてコンロバーナの火力の切替えを行いコンロバーナの火力を小火力の状態から大火力の状態に切替えたときにも、コンロバーナに形成される炎の急激な広がりが抑制されたガスコンロとすることができる。
【0028】
請求項5に係るガスコンロは、請求項4に係るガスコンロにおいて、
前記ラッチ式電磁弁は、前記ラッチ式電磁弁に前記開弁用電流より小さい第一の開弁用中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記閉弁状態と前記開弁状態の間の第一の開弁時中間開度に維持可能であり、また、前記ラッチ式電磁弁に前記開弁用電流より小さく前記第一の開弁用中間電流より大きい第二の開弁用中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記第一の開弁時中間開度と前記開弁状態の間の第二の開弁時中間開度に維持可能であり、
前記閉弁状態の前記ラッチ式電磁弁を開弁するときに、前記制御部は、その出力を前記第一の開弁用中間電流から前記第二の開弁用中間電流に徐々に変化させた後に前記開弁用電流を出力することを特徴とする点を特徴とする。
【0029】
つまり、ラッチ式電磁弁は、ラッチ式電磁弁に開弁用電流より小さい第一の中間電流を通電することでラッチ式電磁弁の開度を閉弁状態と開弁状態の間の第一の中間開度に維持可能であるように構成する。また、ラッチ式電磁弁に開弁用電流より小さく第一の中間電流より大きい第二の中間電流を通電することでラッチ式電磁弁の開度を第一の中間開度と開弁状態の間の第二の中間開度に維持可能であるように構成する。そして、閉弁状態のラッチ式電磁弁を開弁するときに、制御部は、先ずその出力を第一の中間電流から第二の中間電流に徐々に増加させる。そしてその後に開弁用電流を出力するように構成するのである。
【0030】
このように構成することで、閉弁状態のラッチ式電磁弁を開弁するときに、ラッチ式電磁弁が開弁状態になる前に閉弁状態と開弁状態の間の第一の中間開度に維持され、そしてその後、ラッチ式電磁弁は、第一の中間開度から第二の中間開度にその開度を徐々に増加させることになる。そして、ラッチ式電磁弁は、その開度が第二の中間開度になった後に上記開弁状態に至ることになるから、ラッチ式電磁弁の開度は、閉弁状態から開弁状態に急変せず、徐々にその開度を増加する過程を経た後に開弁状態に至ることになり、コンロバーナへのガス供給量の急激な増大が一層抑制される。
【0031】
要するに、請求項5によれば、請求項4による効果に加えて、コンロバーナの火力を小火力の状態から大火力の状態に切替えるときに、コンロバーナへのガス供給量の急激な増大が一層抑制されたガスコンロとすることが可能となる。
【0032】
請求項6に係るガスコンロは、請求項1〜請求項5に係るガスコンロにおいて、
ガス流量制限部を備えたバイパス流路が前記ラッチ式電磁弁と並列に接続されて前記ガス流路に配設され、前記ラッチ式電磁弁の開閉によって前記コンロバーナの火力が大火力と小火力とに切替えられる点を特徴とする。
【0033】
つまり、ガス流量制限部を備えたバイパス流路がラッチ式電磁弁と並列に接続されてガス流路に配設される。そして、ラッチ式電磁弁の開閉によってコンロバーナの火力が大火力と小火力とに切替えられるように構成するのである。
【0034】
このように構成すると、コンロバーナの火力を大火力と小火力とに切替えられるようにする場合に、ラッチ式電磁弁の開閉によって切替えるものであるから、例えば、ガス流路の途中に設けた開口部におけるガス通過量を増減する閉子をステッピングモータなどのモータにより駆動して火力の大小を切替えるように構成した場合に比べて低コストでガスコンロが構成できる。
【0035】
すなわち、請求項6によれば、コンロバーナの火力を大火力と小火力とに切替えられるガスコンロが低コストで構成でき、請求項1〜請求項5による効果を好適に有らしめるガスコンロとすることができる。
【0036】
請求項7に係るガスコンロは、請求項6に係るガスコンロにおいて、
前記コンロバーナによって加熱される調理容器の温度を検知する温度検出手段を備え、前記調理容器の温度を所定の設定温度に維持すべく、前記温度検出手段の検知温度に基づいて前記ラッチ式電磁弁の開閉によって前記コンロバーナの火力が大火力と小火力とに切替えられる点を特徴とする。
【0037】
つまり、コンロバーナによって加熱される調理容器の温度を検知する温度検出手段を備える。そして、調理容器の温度を所定の設定温度に維持すべく、温度検出手段の検知温度に基づいてラッチ式電磁弁の開閉によってコンロバーナの火力が大火力と小火力とに切替えられるように構成するのである。
【0038】
このように構成することで、度検出手段の検知温度に基づいてコンロバーナの火力を大火力と小火力とに切替えられるようにする場合に、請求項6の構成を好適に用いてラッチ式電磁弁の開閉によって切替えるように構成することができ、低コストで構成できる。
【0039】
すなわち、請求項7によれば、温度検出手段の検知温度に基づいてコンロバーナの火力を大火力と小火力とに切替えられるガスコンロが低コストで構成でき、請求項6による効果を好適に有らしめるガスコンロとすることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、コンロバーナへのガス供給量の急激な減少が抑制されて、コンロバーナの火力を大火力の状態から小火力の状態に切替えたときにも、コンロバーナの火炎が吹き消えることが抑制されたガスコンロとすることが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、コンロバーナの火力を大火力の状態から小火力の状態に切替えたときにも、コンロバーナへのガス供給量の急激な減少が確実に抑制されて、コンロバーナの火炎が吹き消えることが抑制されたガスコンロとすることができる。
請求項3に記載の発明によれば、コンロバーナへのガス供給量の急激な減少が一層抑制されたガスコンロとすることが可能となる。
【0041】
請求項4に記載の発明によれば、ラッチ式電磁弁を用いてコンロバーナの火力の切替えを行いコンロバーナの火力を小火力の状態から大火力の状態に切替えたときにも、コンロバーナに形成される炎の急激な広がりが抑制されたガスコンロとすることができる。
請求項5に記載の発明によれば、コンロバーナの火力を小火力の状態から大火力の状態に切替えるときに、コンロバーナへのガス供給量の急激な増大が一層抑制されたガスコンロとすることが可能となる。
請求項6に記載の発明によれば、コンロバーナの火力を大火力と小火力とに切替えられるガスコンロが低コストで構成できる。
請求項7に記載の発明によれば、温度検出手段の検知温度に基づいてコンロバーナの火力を大火力と小火力とに切替えられるガスコンロが低コストで構成できる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の一実施形態のガスコンロとして、コンロ部とグリルを備えたビルトイン型のガスコンロ1について、添付図面に基づいて説明する。
【0044】
図1に示すように、ガスコンロ1の天面部を構成するトッププレート11には複数の加熱部2が設けてある。本実施形態では
図1に示すように、向かって左側および右側に加熱部2として高火力のコンロバーナ31を備えたコンロ部2aが設けてある。トッププレート11の上面には各コンロバーナ31を中心にして五徳21が設けてあり、前記コンロバーナ31と五徳21と、点火装置23及び点火検知装置24(
図3参照)とで、加熱部2としてのコンロ部2aが構成される。
【0045】
なお、点火装置23は、入力回路(高圧トランスの1次側巻き線を含む)が一つに対して出力回路(高圧トランスの2次側巻き線)が各バーナの数だけ備えられ、一つの前記入力回路への通電により各々の前記出力回路(高圧トランスの2次側巻き線)に高電圧が発生し、各バーナの全てに点火用放電のための高電圧が供給される。
【0046】
各コンロ部2aには、
図5に示すように、五徳21上に載置される調理容器を検知する容器検知手段25と、調理容器の下面の温度を検知する温度センサ26とが設けてある。容器検知手段25は、ガスコンロ1に固定される支持部25aと、支持部25aに上下方向に移動自在に支持される可動部25bと、可動部25bの上下位置を検知する検知スイッチ25cと、で構成される。可動部25bはばね等の付勢手段(図示せず)により上方に付勢され、その上端部は五徳21よりも上方に突出する。この状態で五徳21上に調理容器が載置されると、可動部25bの上端部が調理容器の下面に押し下げられ、可動部25bの下動に伴い検知スイッチ25cにより下動が検知され、後述する制御部H(図示せず)に認識される。そして、可動部25bの上端部に温度センサ26が設けられ、調理容器が五徳21上に載置された時に調理容器の下面に当接して温度を検知し、温度は制御部H(図示せず)に認識される。
【0047】
またガスコンロ1には、
図1に示すように、加熱部2としてのグリル2bが設けてある。グリル2bは、
ガスコンロ1の本体内の中央部に形成されるグリル庫と、グリル庫内に設けられる加熱手段としてのグリルバーナ(図示せず)と、点火装置23及び点火検知装置24とで構成され、グリル2bの前端はガスコンロ1の前面部12に開口していてグリル扉28によって開閉自在に閉塞される。
【0048】
点火装置23は、イグナイタ(図示せず)で発生させる高圧パルスにより、コンロバーナ31及びグリルバーナの燃料ガスの吐出口に設けられる点火プラグに放電を起こさせて点火するもので、イグナイタは制御部H(図示せず)により制御される。
【0049】
点火検知装置24は、コンロバーナ31及びグリルバーナに設けられる熱電対からなるもので、点火されると火炎の熱により発生する熱起電力が制御部H(図示せず)に認識される。
【0050】
グリル扉28の両側には、
図1に示すように、グリル扉28とともにガスコンロ1の前面部12を構成する前面パネルP1、P2が設けてあり、左側の前面パネルP1の上側には、左側のコンロバーナ31を点火/消火するための点消火ボタン14aが設けてあり、右側の前面パネルP2の上側の左側より、グリルバーナを点火/消火するための点消火ボタン14b、右側のコンロバーナ31を点火/消火するための点消火ボタン14cとが設けてある。これら点消火ボタン14(14a〜14c)が、加熱部2での加熱の開始/加熱の停止を手動で行うための加熱/停止手動操作部となっている。また前面部12には、各加熱部2の加熱量を手動で調節するための加熱量手動操作部となる火力調節レバー15(15a〜15c)がそれぞれ各点消火ボタン14a〜14cの上に設けてある。
【0051】
ガス弁ブロック6は、
図3、
図4に示すように、器具栓本体60に、内部のガス流路61と、ガス流路61の上流端となる導入口61a及び下流端となる導出口61bとが設けてある。内部のガス流路61には、上流側より安全弁62用の弁孔、メイン弁63用の弁孔が設けてある。メイン弁63用の弁孔の下流側は、大火用の流路61cと小火用の流路61dとが並列に設けてあり、大火用の流路61cに大火力/小火力切替用のラッチ式電磁弁LB1用の弁孔が設けてあり、小火用の流路61dにラッチ式電磁弁LB2用の弁孔が設けてある。
【0052】
ラッチ式電磁弁LB1の弁孔の下流側と、ラッチ式電磁弁LB2の下流側に位置する小火用オリフィスof2の下流側で大火用の流路61cと小火用の流路61dとが合流し、さらにその下流側には、火力調節レバー15と連動する手動流量制御弁65用の弁孔が設けてある。
【0053】
因みに、上述した容器検知手段25により調理容器が検知されていない時に点消火ボタン14を操作した場合には、制御部H(図示せず)によりラッチ式電磁弁LB1及びラッチ式電磁弁LB2が閉止されて、加熱を開始しないようにする容器検知制御が行われるもので、五徳21上に調理容器が載置されていない場合にはコンロバーナ31に炎が形成されないように構成してある。
【0054】
また、ガス流路61には、前記ラッチ式電磁弁LB1及びラッチ式電磁弁LB2を設けた部分をバイパスするバイパス流路BPが設けてあり、このバイパス流路BPにバイパス用オリフィスof1が設けてある。バイパス用オリフィスof1は、ガス弁ブロック6を複数器種で共用するために設けられるもので、ガス弁ブロック6を他の機種への応用において使用する時には開口される場合があるが、本実施例においては、バイパス用オリフィスof1は閉塞体(図示せず)により閉塞されている。
【0055】
火力調節レバー15を大火の位置に設定しておいたときに、ラッチ式電磁弁LB1とラッチ式電磁弁LB2の開・閉の組み合わせに応じて、コンロバーナ31の火力は下表の様に制御部H(図示せず)により調整制御される。
【0056】
【表1】
なお、ラッチ式電磁弁LB1、LB2は、開弁用の極性のパルス電流の通電により開放状態に移行し、その後は通電を停止した後にも開放状態を維持し、閉弁用の極性(開弁用とは逆極性)のパルス電流の通電により閉止状態に移行し、その後は通電を停止した後にも閉止状態を維持する。このとき電流のパルス幅は200〜300m秒に設定されており、コンロの火力を種々の状態に維持する場合にも省電力であるから、機器の電源として乾電池が用いられる場合に特に好適に用いられる。
なお、ラッチ式電磁弁LB1については、後に詳述する。
【0057】
手動流量制御弁65用の弁孔の下流側は、コンロバーナ31にガスを供給するための導出口61bに至る。
器具栓本体60には、スライダ66が前後方向に移動自在に取り付けてあり、スライダ66は前端面が点消火ボタン14に組み込まれたチャイルドロック用スライド部(図示せず)により後方に押圧されることで後退するようになっている。
【0058】
チャイルドロック用スライド部が内部に組み込まれた点消火ボタン14は、前後動自在に設けられるもので、前記点消火ボタン14の指で押される部分よりも上側の部分がコンロ本体側に枢支されて指で押される部分が前後動し、スライダ66の前端面を後方に押圧する。スライダ66には、例えば既存のハート型カム等からなる前位置と後位置の切替機構(図示せず)が設けてあり、前記点消火ボタン14を押し操作する毎に、スライダ66が後位置から前進して前位置に位置したり、前位置から後退して後位置に位置して、前位置と後位置とが切り替わって保持される。
【0059】
また、スライダ66の進退に伴って進退するバルブロッド67が設けてある。バルブロッド67の先端側はガス流路61内に挿入され、その先端部は後方すなわち下流側より上流側に向けて、メイン弁63用の弁孔と安全弁62用の弁孔とに挿通されている。バルブロッド67は、スライダ66が前位置から後位置に切り替わる際、一旦後位置よりも後方の最後位置に後退してから後位置にまで前進するが、この最後位置に移動した時に、安全弁62用の弁孔を上流側より閉止している安全弁62の弁体を上流側に移動させて、安全弁62用の弁孔を開放する。安全弁62は電磁弁からなり、弁体が前方すなわち下流側に前進することで安全弁62用の弁孔を後方より閉止し、弁体が後方すなわち上流側に後退することで安全弁62用の弁孔を開放する。
【0060】
安全弁62は、点火検知装置24により火炎が検知されている場合にのみ制御部H(図示せず)により開放状態が維持され、火炎が検知されなくなると制御部H(図示せず)による開放状態の維持が停止して閉止される。これにより、煮こぼれや風により立ち消えが起こって点火検知装置24の火炎が検知されなくなった場合に、燃料ガスの流出が防止される。また、温度センサ26により検知された調理容器の下面の温度が所定の温度(例えば250℃)に達すると、空焚きや焦げ付き等の異常が発生していると判定して、安全弁62を閉止する。このように、安全弁62、点火検知装置24、温度センサ26により異常検知手段が構成されている。
【0061】
バルブロッド67の途中には、メイン弁63用の弁孔を開閉するメイン弁体が設けてある。そして、スライダ66が前位置に位置している時にはメイン弁体がメイン弁63用の弁孔を後方より閉止し、スライダ66が後位置に位置している時にはメイン弁体がメイン弁63用の弁孔より後方に位置してメイン弁63用の弁孔を開放する。
【0062】
手動流量制御弁65用の弁孔は、火力調整用のニードル65aの前後方向の移動により開度が自在に調節される。ニードル65aは、火力調節レバー15を操作することで、開度の調節がなされ、火力調節レバー15が右に行く程、燃料ガスの供給量が多くなるように調節される。
【0063】
点消火ボタン14又はスライダ66の位置によりON/OFFが切り替わる器具栓スイッチが設けてある。器具栓スイッチは、点消火ボタン14(又はスライダ66)が前位置に位置している時にはOFFとなり、後位置(最後位置も含む)に位置している時にONとなる。
【0064】
コンロバーナ31、グリルバーナの点火を行うには、点消火ボタン14を押し操作して、スライダ66を前位置から後位置に後退させる。スライダ66とともに後退したバルブロッド67により、安全弁62が開放されると共にメイン弁63が開放され、燃料ガスがコンロバーナ31、グリルバーナに供給される。また、スライダ66が後退することにより器具栓スイッチがONとなり、制御部H(図示せず)への給電がONとなって制御部H(図示せず)が動作を開始する。
【0065】
点消火ボタン14を押し操作されて、加熱が開始されると、火力調節レバー15を操作することで、所望の火力が得られる。なお、左側のコンロバーナ31を備えたコンロ部2aの火力調節レバー15は、該コンロ部2aの操作部を操作して点火を行う時、操作部の操作と連動して火力が中火力側に移動するようになっていて、点火時には中程度の火力となっている。
【0066】
点消火ボタン14のスライダ66を前位置にすると、メイン弁63が閉止して消火し、器具栓スイッチがOFFになり、安全弁62が閉止すると共に電源保持信号の出力が停止して制御部H(図示せず)への給電が終了する。
【0067】
次に、自動調理について説明する。ガスコンロ1の左側の前面パネルの下側には、
図2に示すように、コンロ用の調理設定部7が設けてある。なお、ガスコンロ1の右側の前面パネルの右下の左側には、グリル用の調理設定部が設けてあるが細部については詳述しない。また、ガスコンロ1の右側の前面パネルの右下の右側には、マイクロコンピュータからなる制御部H(図示せず)の電源となる電池が収容される電池ケース13が設けてある。
【0068】
コンロ用の調理設定部7は、揚げもの、湯わかし、炊飯の自動調理のメニュー(オートメニュー)を設定するための一組のオートメニュー設定部71及びオートメニュー表示部72と、調理時間を設定するためのタイマ入力部73及びタイマ表示74とを備えている。オートメニュー設定部71として、揚げものスイッチ71aと、湯わかしスイッチ71bと、炊飯スイッチ71cと、が設けてある。揚げものモードは、コンロバーナ31の点火後、使用者により設定された温度に達するようにコンロバーナ31の火力を自動調節する自動調理モードであり、揚げものスイッチ71aは、何回押すかで200℃、180℃、160℃といった複数種類の揚げものの調理の中から目的とする温度の揚げもの調理が設定できると共に、揚げもの表示部72aに前記設定が表示されるようになっている。
【0069】
また、湯わかしモードや炊飯モードは、コンロバーナ31の点火後、予め設定された燃焼条件で燃焼させ、湯わかしや炊飯の完了が予測される時点で自動的にコンロバーナ31を消火する自動調理モードである。湯わかしスイッチ71bは、何回押すかで自動消火、5分保温といった、湯わかし後にすぐ消火するか、あるいは一定時間保温するかといった湯わかしを選択して設定できると共に、湯わかし表示部72bに前記設定が表示されるようになっている。また、炊飯スイッチ71cは、何回押すかでごはん、おかゆといった複数種類の炊飯の調理の中から目的とする炊飯の調理が設定できると共に、炊飯表示部72cに前記設定が表示されるようになっている。
【0070】
揚げものモードを選択して、制御部H(図示せず)によって揚げものモードが実行される場合を一例として、ラッチ式電磁弁LB1について詳しく説明する。なお、ラッチ式電磁弁LB2の構成等はラッチ式電磁弁LB1と同様であるので本書においてラッチ式電磁弁LB2に関しては詳細な説明を省略する。
【0071】
揚げものスイッチ71aを押し操作し、揚げものモードを選択してコンロバーナ31に点火すると制御部H(図示せず)によって揚げものモードが実行され、制御部H(図示せず)は、温度センサ26により検出される調理容器の温度を設定された温度(200℃、180℃、160℃の何れか。)に維持すべく、ラッチ式電磁弁LB1を開閉し、コンロバーナ31の火力が大火力と小火力とに切替えられる。
【0072】
詳述すると、温度センサ26により検出される調理容器の温度が設定された温度より大きいときはラッチ式電磁弁LB1を閉弁して、
図3、
図4に示すバイパス用オリフィスof2を備えた小火用流路61dのみからコンロバーナ31にガスが供給されて、コンロバーナ31の火力が小火力になり、また、温度センサ26により検出される調理容器の温度が設定された温度より小さいときはラッチ式電磁弁LB1を開弁して、
図3、
図4に示すバイパス用オリフィスof2を備えた小火用流路61dとラッチ式電磁弁LB1の両方の流路からコンロバーナ31にガスが供給されて、コンロバーナ31の火力が大火力になる。
【0073】
以下、ラッチ式電磁弁LB1、および、制御部H(図示せず)によるラッチ式電磁弁LB1の駆動、について
図6〜
図15を参照して説明を加える。
【0074】
図6は、ラッチ式電磁弁LB1の閉弁状態を示している。図に示すように、ラッチ式電磁弁LB1は、可動磁性体であるプランジャーとして、第一のプランジャー52a及び第二のプランジャー52bの複数のプランジャーを備える。なお、第一のプランジャー52aにおける第二のランジャー52bと対向する端部には非磁性体の突起52tを備えており、ラッチ式電磁弁LB1が開弁状態となったときに第一のプランジャー52aと第二のプランジャー52bとが非磁性体の突起52tを介して当接することで、第一のプランジャー52aと第二のプランジャー52bとが直接当接しない、つまり、第一の可動磁性体と第二の可動磁性体とが当接しないように構成されている。
【0075】
要するに、第一のプランジャー52aと第二のプランジャー52bとの間には第一のギャップ57aが形成され、閉弁状態において非磁性体の突起52tの先端と第二のプランジャー52bとは距離Aを隔てて離間している。以下の説明において、非磁性体の突起52tの先端と第二のプランジャー52bとの間の距離を、第一のギャップ57aにおける離間距離と呼ぶ。
【0076】
また、ラッチ式電磁弁LB1は、固定磁性体としてコア59を備え、第二のプランジャー52bとコア59との間には第二のギャップ57bが形成され、閉弁状態において第二のプランジャー52bとコア59とは距離Bを隔てて離間している。以下の説明において、第二のプランジャー52bとコア59との間の距離を、第二のギャップ57bにおける離間距離と呼ぶ。
【0077】
第一のプランジャー52aと第二のプランジャー52bとの間には、第一のギャップ57aを広げる方向に付勢する第一のスプリング54aを備え、第二のプランジャー52bとコア59との間には、第二のギャップ57bを広げる方向に付勢する第二のスプリング54bを備える。また、コア59における第二のプランジャー52bと対向する側と反対側の端部は、マグネット55の一方の磁極側と当接している。
【0078】
さらに、第一のプランジャー52aの側面と第三のギャップ58を介して対向し、マグネット55におけるコア59と当接する側の上記一方の磁極側とは反対側の磁極側と当接するヨーク56を備え、第一のプランジャー52aと第一のギャップ57aと第二のプランジャー52bと第二のギャップ57bとコア59とマグネット55とヨーク56と第三のギャップ58とで閉じた磁気回路MCを構成する。
【0079】
また、制御部Hからの電流を正方向に通電することでラッチ式電磁弁LB1を開弁する方向に磁気回路MCに磁界を生じるソレノイド(コイル)53を備え、第一のプランジャー52aと第一のギャップ57aと第二のプランジャー52bと第二のギャップ57bとコア59とが直列に配置されてソレノイド53の中心を貫通し、コア59の端部と当接するマグネット55から延びて第三のギャップ58を介して第一のプランジャー52aと磁気的に結合するヨーク56がソレノイド53の外側に配置される。
【0080】
ラッチ式電磁弁LB1は、制御部Hからの電流を正方向に通電することで一旦開弁状態に至った後は、制御部Hからの通電がしゃ断された後も、磁気回路MC中にマグネット55が存在することで、マグネット55による起磁力によって開弁状態を維持するものである。
【0081】
つまり、
図6に示すラッチ式電磁弁LB1の閉弁状態において、第二のプランジャー52bが第二のスプリング54bによって図における上側に付勢されて、かつ、第一のプランジャー52aが第一のスプリング54aによって図における上側に付勢されて、弁体部51が弁座50に閉じ付勢されガスがしゃ断される。
また、制御部H(図示せず)からラッチ式電磁弁LB1のソレノイド53に開弁用電流I3が通電された、
図10に示す開弁状態においては、磁気回路MCにおける第一のギャップ57aにおいて第一のプランジャー52aと第二のプランジャー52bとの間に生じる吸引力が第一のスプリング54aの付勢力より大きくなり第一のプランジャー52aが図における下側に吸引されて非磁性体の突起52tが第二のプランジャー52bと当接して、かつ、磁気回路MCにおける第二のギャップ57bにおいて第二のプランジャー52bとコア59との間に生じる吸引力が第二のスプリング54bの付勢力より大きくなり第二のプランジャー52bがコア59と当接して、弁体部51が弁座50から離間した開弁状態に至り、ガスが通流可能になっている。
【0082】
そして、非磁性体の突起52tが第二のプランジャー52bと当接し第二のプランジャー52bがコア59と当接した状態に一旦なると、ソレノイド53への正方向の通電がしゃ断されても、マグネット55の起磁力によって磁性体の突起52tが第二のプランジャー52bと当接し第二のプランジャー52bがコア59と当接して弁体部51が弁座50から離間した開弁状態を維持する。
【0083】
本実施形態では、制御部H(図示せず)は、閉弁状態にあるラッチ式電磁弁LB1を上述の開弁状態へと駆動する際に、つぎのように駆動用電流を出力する。なお、本書において、「制御部H(図示せず)が駆動用電流を出力する」と記載する場合、定電流回路等を用いた電流源による駆動のみを意味するのではなく、定電圧回路等を用いた電圧源による駆動を含めるものである。
【0084】
ラッチ式電磁弁LB1は、ラッチ式電磁弁LB1に開弁用電流I3より小さい中間電流を通電することでラッチ式電磁弁LB1の開度を上記閉弁状態と上記開弁状態の間の中間開度に維持可能であり、この点について説明を加える。
【0085】
図11は、本実施形態における、ラッチ式電磁弁LB1の弁開度と第一のスプリング54a及び第二のスプリング54bにより弁体部51に作用する付勢力Sとの関係、及び、ラッチ式電磁弁LB1の弁開度とマグネット55のみにより生じて弁体部51に作用する吸引力f0との関係を示す。なお、マグネット55の起磁力によって発生する第一のギャップ57aにおける第一のプランジャー52aと第二のプランジャー52bとの間の吸引力と第二のギャップ57bにおける第二のプランジャー52bとコア59との間の吸引力は等しいものであり、また、第一のスプリング54aのバネ定数は2gf/mmで、第二のスプリング54bのバネ定数は1gf/mmで、閉弁状態での第一のギャップ57aにおける離間距離Aは2mm、閉弁状態での第二のギャップ57bにおける離間距離Bは2mmであるとする場合を例として説明する。
【0086】
なお、
図11において、ストローク(弁開度)が3/4より小さい状態から3/4より大きくなる付近で吸引力f0が急激に大きくなっているが、これは、第二のギャップ57bにおいて、第二のプランジャー52bがコア59と当接する前の状態から当接した後の状態に移行するときに、磁気回路MCの磁気抵抗が急激に減少して、吸引力f0が急激に大きくなることを示している。因みに、第二のギャップ57bにおいて、第二のプランジャー52bがコア59と当接する前の状態から当接した後の状態に移行するときに、磁気回路MCの磁気抵抗が急激に減少して、吸引力f0が急激に大きくなる点については、第二のプランジャー52bおよびコア59の構成などにより異なった特性を示すものであるが、本書においては詳しく説明しない。
【0087】
ソレノイド53の通電による吸引力より第一のプランジャー52aに止着された弁体部51が吸引されてこの吸引力と第一のスプリング54a及び第二のスプリング54bにより弁体部51に作用する付勢力Sとがバランスした状態で開弁方向に徐々に移動すると、弁体部51のストロークと上記付勢力Sの関係は、
図11に示すように、ストロークが3/4以下では上記付勢力SはS1で示され、ストロークが3/4以上では上記付勢力SはS2で示される。
【0088】
つまり、ストロークが3/4以下では、バネ定数が2gf/mmの第一のスプリング54aとバネ定数が1gf/mmの第二のスプリング54bとが直列に配列されることになるから、第一のギャップ57aにおける第一のプランジャー52aと第二のプランジャー52bとの間の吸引力と、第二のギャップ57bにおける第二のプランジャー52bとコア59との間の吸引力は等しい場合には、たとえば、第一のギャップ57aにおいて2gfの吸引力が作用して1mm圧縮されると同時に第二のギャップ57bにおいて2gfの吸引力が作用して2mm圧縮されることになり、一つのギャップにバネ定数が2/3(≒0.667)gf/mmのスプリングが1本配置されている場合と同様の特性S1を示すことになる。
【0089】
そして、ストロークが3/4になった時点で第二のプランジャー52bがコア59と当接するから、ストロークが3/4以上では、バネ定数が1gf/mmの第二のスプリング54bのみによる特性S2を示すことになる。
【0090】
図12は、本実施形態においてソレノイド53に正方向に通電したときにラッチ式電磁弁LB1の弁開度とスプリング(第一のスプリング54aと第二のスプリング54b)による付勢力S、及び、ラッチ式電磁弁LB1に正方向に通電される電流I1〜I3により弁体部51に生じる吸引力f1〜f3との関係を示す。
【0091】
図12に示すように、制御部H(図示せず)が出力する駆動用電流のソレノイド53に正方向に通電される電流I1〜I3によって生じる弁体部51に生じる吸引力f1〜f3は、第一のプランジャー52aと第二のプランジャー52bとの間の第一のギャップ57aの長さ、及び、第二のプランジャー52bとコア59との間の第二のギャップ57bの長さ、及び、ヨーク56と第一のプランジャー52aとの間の第三のギャップ58の長さの和(=第一のギャップ57aの長さ+第二のギャップ57bの長さ+第三のギャップ58の長さ)を含むギャップ長の総和の変化に対し概ね反比例的(反比例的とは単純な反比例ではなく実際には各々のギャップのべき乗の反比例を含む複雑な関数に示される特性を示す。)に変化するため、ラッチ式電磁弁LB1が閉弁状態から開弁状態に近づくほど第一のギャップ57aおよび第二のギャップ57bの合計の長さは短くなるからその特性は、
図12に示すような下に凸となる曲線となる。
【0092】
図12を参照して、ソレノイド53に通電する正方向の電流I1〜I3に対応して、弁体部51を開弁方向に付勢する吸引力f1〜f3が生じるものとすると、第一のスプリング54aおよび第二のスプリング54bの直列配列による付勢力Sによって弁体部51は上方向に付勢され、電流Ii(i=1、2、3)の通電によって生じる吸引力fi(i=1、2、3)によって第一のプランジャー52aに止着された弁体部51は下方向に吸引されるので、
fi<S
の時には、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51が弁座50に近づく方向、つまり、上方向に移動し、弁体部51が弁座50に当接すると弁体部51が弁座50に当接した状態で閉じ付勢されてガスがしゃ断されることになり、
fi>S
の時には、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51は、弁体部51が弁座50から遠ざかる方向、つまり、下方向に移動することになる。
【0093】
そして、第一のスプリング54aおよび第二のスプリング54bの直列配列による付勢力Sと、電流Ii(i=1、2、3)の通電によって生じる吸引力fi(i=1、2、3)とが等しい状態、つまり、
fi=S
の時には、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51は、弁体部51が弁座50から遠ざかる方向、及び、弁体部51が弁座50に近づく方向の何れにも移動せず、弁体部51と弁座50との距離は、ラッチ式電磁弁LB1の閉弁状態における弁体部51と弁座50との距離、及び、ラッチ式電磁弁LB1の開弁状態における弁体部51と弁座50との距離の間の距離に維持されることになる。
言い換えると、ラッチ式電磁弁LB1は、ラッチ式電磁弁LB1に開弁電流より小さい開弁用中間電流を通電することでラッチ式電磁弁LB1の開度を上記閉弁状態と上記開弁状態の間の中間開度に維持可能である。
【0094】
そして、本実施形態では、閉弁状態のラッチ式電磁弁LB1を開弁するときに、制御部H(図示せず)は、出力を所定時間に亘り開弁用中間電流に維持しながら、その出力電流を徐々に増加させた後に開弁用電流I3を出力してラッチ式電磁弁LB1が開弁状態に至るものであり、以下この点について説明を加える。
【0095】
図12を参照して、全閉状態におけるラッチ式電磁弁LB1は、マグネット55によって生じる吸引力f0が第一のスプリング54aおよび第二のスプリング54bの直列配列による付勢力Sより小さいため、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51は移動せず全閉状態を維持する。
【0096】
そして、ラッチ式電磁弁LB1の全閉状態において、制御部H(図示せず)から正方向の電流I1をソレノイド53に通電すると、電流I1のソレノイド53への通電によって生じる吸引力f1によって、f1>Sとなって、ラッチ式電磁弁LB1は、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51が下方向に移動し、弁体部51が少し下方向に移動した図におけるP1に対応する位置(中間位置)においてf1=Sとなってそのときの弁開度(開弁時中間開度)が維持可能である。つまり、正方向の電流I1は、開弁用中間電流に相当する。
【0097】
なお、このとき、上述のように、第一のスプリング54aのバネ定数は2gf/mmで、第二のスプリング54bのバネ定数は1gf/mmの2倍で、第一のギャップ57aにおける第一のプランジャー52aと第二のプランジャー52bとの間の吸引力と第二のギャップ57bにおける第二のプランジャー52bとコア59との間の吸引力は等しいものとすると、第一のギャップ57aにおける第一のプランジャー52aと第二のプランジャー52bとの間の離間距離の減少分は、第二のプランジャー52bとコア59との間の離間距離の減少分の1/2となる。
【0098】
そして、P1に対応する位置(中間位置)における弁開度(中間開度)にあるラッチ式電磁弁LB1に通電される正方向の電流をさらにI2まで増加させると、制御部H(図示せず)からの出力電流I2のソレノイド53への通電による吸引力f2によって、f2>Sとなって、ラッチ式電磁弁LB1は、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51がさらに下方向に移動可能となり、弁体部51がさらに下方向に移動した図におけるP2に対応する位置(中間位置)においてf2=Sとなってそのときの弁開度(開弁時中間開度)が維持可能である。つまり、正方向の電流I2も、開弁用中間電流に相当する。
【0099】
上述のように、ラッチ式電磁弁LB1は、ラッチ式電磁弁LB1にfi(i=1、2)=Sとなる開弁用中間電流Ii(i=1、2、)を通電することでラッチ式電磁弁LB1の開度を上記閉弁状態と上記開弁状態の間の中間開度に維持可能であるが、fi(i=1、2)=Sである場合に、ラッチ式電磁弁LB1が安定的に中間開度を維持可能な場合と、ラッチ式電磁弁LB1が安定的には中間開度を維持できない場合があることに注意を要し、上述のP1、P2はいずれもラッチ式電磁弁LB1が安定的に開弁時中間開度を維持可能な場合に対応するfi(i=1、2)=Sとなる位置を示す。
【0100】
詳しく説明すると、制御部H(図示せず)からの正方向の出力電流I3のソレノイド53への通電による吸引力f2によって、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51が図におけるP2に対応する位置に移動したときには、f2=Sであり、しかも、
図12におけるP2においては、外乱等により、第一のプランジャー52aに止着される弁体部51が少し下方向に移動したときにはf2<Sとなることで第一のプランジャー52aに止着される弁体部51が逆方向の上方向に移動することになりラッチ式電磁弁LB1はP2に対応する位置に戻ることになり、ラッチ式電磁弁LB1は安定的に開弁時中間開度を維持できる。
【0101】
これに対し、制御部H(図示せず)からの正方向の出力電流I2のソレノイド53への通電による吸引力f2によって、もし、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51が図におけるP3に対応する位置まで移動したときには、f2=Sであっても、そのときの弁開度を安定して維持できない。なぜならば、
図12におけるP3においては、外乱等により、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51が少しでも下方向に移動したときにはf2>Sとなることで第一のプランジャー52aに止着された弁体部51がさらに下方向に移動することになりラッチ式電磁弁LB1は全開状態に至ることになる。
【0102】
つまり、制御部H(図示せず)からの正方向の出力電流I2のソレノイド53への通電による吸引力f2によって、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51が
図12におけるP2に対応する位置に位置する場合、すなわち、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51をラッチ式電磁弁LB1の全開状態の方向に微小距離移動させたときに、正方向の電流Iiのソレノイド53への通電により生じる吸引力の増加分に比べて第一のスプリング54aや第二のスプリング54bによる付勢力Sの増加分が大きい場合には、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51はその位置に留まり、そのときの弁開度(開弁時中間開度)が維持可能であるが、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51が
図12におけるP3に対応する位置に位置する場合、すなわち、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51をラッチ式電磁弁LB1の全開状態の方向に微小距離移動させたときに、正方向の電流Iiのソレノイド53への通電により生じる吸引力の増加分に比べて第一のスプリング54aや第二のスプリング54bによる付勢力Sの増加分が小さい場合には、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51はその位置に留まることができず、そのときの弁開度が維持できない。
【0103】
言い換えると、本実施形態におけるラッチ式電磁弁LB1は、ソレノイド53への通電による吸引力が第一のスプリング54aや第二のスプリング54bによる付勢力Sと等しくなる全閉状態と全開状態との間の中間開度となる弁開度において、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51をラッチ式電磁弁LB1の全開状態の方向に微小距離移動させたときに、駆動用電流のソレノイド53への通電により生じる吸引力の増加分に比べて第一のスプリング54aや第二のスプリング54bによる付勢力Sの増加分が大きくなるような、開弁用電流より小さい正方向の電流Iiつまり開弁用中間電流Iiが存在することになる。
なお、正方向の電流I3を通電することで吸引力f3が発生して、ストロークによらずf3>Sとなり、ラッチ式電磁弁LB1は開弁状態に至るもので、I3は開弁用電流に相当する。
【0104】
本実施形態のラッチ式電磁弁LB1では、上述のように、開弁用中間電流として、I1、及び、I1より大きいI2の中間電流が存在し、閉弁状態のラッチ式電磁弁LB1を開弁するときに、制御部H(図示せず))は、その出力をI1、I2を経由して徐々に増加させ、その後に吸引力f3を発生させる開弁用電流I3を出力して、徐々に開弁するように構成してある。このときのソレノイド53への通電電流と対応するソレノイド53への供給電圧と第一のプランジャー52aに止着された弁体部51の位置とラッチ式電磁弁LB1の弁開度とラッチ式電磁弁LB1を通過するガスの流量との関係は、例えば、
図15のようになる。
【0105】
上述のような構成によって、コンロバーナ31へのガス供給量の急激な増大が抑制され、コンロバーナ31への一次空気の供給の追従が遅れることに起因するコンロバーナ31の火炎のイエロー発生が抑制され、小火力から大火力への火力増大時にコンロバーナ31に形成される炎の急激な広がりが抑制されたガスコンロ1となっている。
【0106】
本実施形態のラッチ式電磁弁LB1では、上述の構成に加え、開弁状態からは、以下のように徐々に閉弁するように構成してある。
つまり、本実施形態のラッチ式電磁弁LB1では上述のように、非磁性体の突起52tが第二のプランジャー52bと当接し、第二のプランジャー52bがコア59と当接した開弁状態に一旦なると、ソレノイド53への正方向の通電がしゃ断されても、マグネット55の起磁力によって磁性体の突起52tが第二のプランジャー52bと当接し第二のプランジャー52bがコア59と当接して弁体部51が弁座50から離間した開弁状態を維持するように構成されているが、開弁状態では、制御部Hからソレノイド53に正方向の開弁用中間電流Iiとは極性が異なる逆極性の閉弁用中間電流Jiを通電することで、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51を、開弁状態と閉弁状態の中間開度に維持可能であり、この点について説明を加える。
【0107】
制御部Hからソレノイド53に、正方向の開弁用中間電流Iiとは極性が異なる逆極性の閉弁用中間電流Jiを通電することで、マグネット55による起磁力が打ち消される方向に磁界を発生することが出来るので、閉弁用中間電流Jiの通電によってマグネット55による吸引力は減少することになる。
【0108】
本実施形態のラッチ式電磁弁LB1では、制御部Hからソレノイド53に、正方向の開弁用中間電流Iiとは極性が異なる閉弁用中間電流J1を通電したときに、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51に作用する吸引力は
図13に示すg1のように減少し、図のq1に対応する第一のプランジャー52aに止着された弁体部51の位置を維持する。
【0109】
図13のq1においては、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51が外乱等により開弁方向に微小移動した場合にも、S>g1となり、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51がq1に対応する位置に戻り、また、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51が外乱等により閉弁方向に微小移動した場合にも、S<g1となり、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51がq1に対応する位置に戻ることになるから、制御部Hからソレノイド53に、正方向の開弁用中間電流Iiとは極性が異なりその絶対値が閉弁用電流J3より小さい閉弁用中間電流J1を通電したときには、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51がq2に対応する閉弁時中間開度に維持可能である。
【0110】
また、制御部Hからソレノイド53に、正方向の開弁用中間電流Iiとは極性が異なりその絶対値がJ1より大きい閉弁用中間電流J2を通電したときに、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51に作用する吸引力は
図13に示すg2のように減少する。
【0111】
図13のq2においては、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51が外乱等により開弁方向に微小移動した場合にも、S>g2となり、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51がq2に対応する位置に戻り、また、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51が外乱等により閉弁方向に微小移動した場合にも、S<g2となり、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51がq2に対応する位置に戻ることになるから、制御部Hからソレノイド53に、正方向の開弁用中間電流Iiとは極性が異なりその絶対値がJ1より大きい閉弁用中間電流J2を通電したときには、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51がq2に対応する閉弁時中間開度に維持可能である。
【0112】
さらに正方向の開弁用中間電流Iiとは極性が異なる閉弁用中間電流J2の絶対値を大きくして、
図13における吸引力g3を生じる電流J3を制御部Hからソレノイド53に通電すると、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51さらに閉弁状態に対応する側に移動することになる。
【0113】
ここで、たとえば、ソレノイド53への通電がしゃ断され状態で、閉弁状態のラッチ式電磁弁LB1の弁体部51をたとえば外力により、閉弁状態に対応する位置側に向けて移動させて、
図13のq0に対応する位置より閉弁状態側に第一のプランジャー52aに止着された弁体部51を移動させると、S>f0となり第一のプランジャー52aに止着された弁体部51はさらに閉弁状態側に向けて移動することになり、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51は閉弁状態に対応する位置まで移動する。
【0114】
したがって、
図13における吸引力g3を生じる上記電流J3を制御部Hからソレノイド53に通電して、弁体部51が
図13のq0に対応する位置より閉弁状態側に一旦移動した後は、電流J3の通電をしゃ断した後も、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51は閉弁状態に対応する位置まで移動してラッチ式電磁弁LB1は、閉弁状態を維持することになる。すなわち、電流J3が閉弁用電流に相当する。
【0115】
なお、本実施形態のラッチ式電磁弁LB1では、開弁状態においては、第二のギャップ57bで第二のプランジャー(第二の可動磁性体)52bとコア(固定磁性体)59とが当接し、第一のギャップ57aで第一のプランジャー(第一の可動磁性体)52aと第二のプランジャー(第二の可動磁性体)52bとが直接当接せず第一のギャップ57aで第一のプランジャー(第一の可動磁性体)52aと第二のプランジャー(第二の可動磁性体)52bとは非磁性体の突起52tを介して当接するものであるから、ストローク(弁開度)が3/4より小さい状態に移動するときに、第一のギャップ57aにおける第一のプランジャー(第一の可動磁性体)52aと第二のプランジャー(第二の可動磁性体)52bとの離間距離が大きくなり始めたときにも、第二のギャップ57bで第二のプランジャー(第二の可動磁性体)52bとコア(固定磁性体)59とは当接を維持した状態を維持するから、ソレノイド53に閉弁用中間電流Jiを通電したときのストロークと吸引力giとの関係、及び、ストロークと付勢力Sとの関係は
図14のようになる。
【0116】
つまり、
図14においては、ストローク(弁開度)が2/4と3/4の間で第二のプランジャー52bとコア59とが当接しなくなって、第一のスプリング54aと第二のスプリング54bとが直列に配置された場合の合成のバネ定数が不連続になり、また、磁気回路MCの磁気抵抗が急激の増加して電流J3を通電したときの吸引力g3が急激に変化(低下)することを表している。
【0117】
図14の場合であっても、吸引力g3を生じる閉弁用電流J3を制御部Hからソレノイド53に通電して、弁体部51が
図13のq0に対応する位置より閉弁状態側に一旦移動した後は、電流J3の通電をしゃ断した後も、第一のプランジャー52aに止着された弁体部51は閉弁状態に対応する位置まで移動してラッチ式電磁弁LB1は、閉弁状態を維持することになり、電流J3が閉弁用電流に相当する。
【0118】
なお、閉弁用電流J3より絶対値が小さく、絶対値がJ1より大きい閉弁用中間電流は、複数存在し、制御部Hから閉弁常態のラッチ式電磁弁LB1のソレノイド53に、開弁用電流とは極性が異なる逆極性の電流を徐々に増加して通電することで、複数の閉弁用中間電流Jiの夫々に対応する弁開度間に亘ってラッチ式電磁弁LB1の開度が徐々に変化することになる。
【0119】
本実施形態のラッチ式電磁弁LB1では、上述のように、閉弁用中間電流として、J1、及び、J1より絶対値が大きいJ2の中間電流が存在し、開弁状態のラッチ式電磁弁LB1を閉弁するときに、制御部H(図示せず))は、その出力電流の絶対値をJ1、J2を経由して徐々に増加させ、その後に吸引力がg3まで減少する閉弁用電流J3を出力して、徐々に閉弁するように構成してある。このときのソレノイド53への通電電流と対応するソレノイド53への供給電圧と第一のプランジャー52aに止着された弁体部51の位置とラッチ式電磁弁LB1の弁開度とラッチ式電磁弁LB1を通過するガスの流量との関係は、例えば、
図15のようになる。
【0120】
このように、本実施形態のラッチ式電磁弁は、開弁状態から閉弁状態に移行するときに、その開度が開弁状態における開度から閉弁状態における開度の間の閉弁時中間開度に所定時間維持されるから、急激なコンロバーナ31へのガス供給量の減少に対してコンロバーナ31への一次空気の供給量の減少が追従することが遅れることにより、コンロバーナ31への一次空気の供給量が過多となってしまうことが抑制されて、一次空気の供給量が過多となることによってコンロバーナ31の火炎の吹き消えが発生してしまうことが抑制される。
【0121】
これに対し、駆動用コイルに開弁用電圧をステップ状に印加して開弁して、駆動用コイルに閉弁用電圧をステップ状に印加して閉弁する従来のラッチ式電磁弁では、
図16に示すように、開弁用電圧の印加によってその弁開度が全閉状態から全開状態にステップ状に変化し、閉弁用電圧の印加によってその弁開度が全開状態から全閉状態にステップ状に変化するものであり、コンロバーナ31へのガス供給量が急激に増大し、減少する。
【0122】
閉弁状態から開弁状態への移行時、および、開弁状態から閉弁状態への移行時におけるラッチ式電磁弁LB1について、説明を加える。
【0123】
〔閉弁状態〕
図6に示す、ラッチ式電磁弁LB1の閉弁状態では、弁体部51が弁座50と当接してガスがしゃ断される。なお、本実施形態ではこの閉弁状態における、第一のギャップ57aにおける離間距離Aは例えば2mmであり、第二のギャップ57bにおける離間距離Bは例えば2mmである。
【0124】
〔開弁時中間開度を維持する状態1〕
図7に示す、制御部Hからソレノイド53に正方向に開弁用中間電流Iiが通電されてラッチ式電磁弁LB1が開弁時中間開度を維持する状態1では、第一のプランジャー52aが第二のプランジャー52bに吸引されて第一のギャップ57aにおける離間距離が例えば1.5mmと短くなり、第二のプランジャー52bがコア59に吸引されて第二のギャップ57bにおける離間距離が例えば1mmと短くなっており、弁体部51が弁座50から例えば1.5mm離間して、閉弁状態と開弁状態の間の開弁時中間開度に維持される。
【0125】
〔開弁時中間開度を維持する状態2〕
図8に示す、制御部Hからソレノイド53に正方向に開弁時中間開度を維持する状態1より大きい開弁用中間電流Iiが通電されてラッチ式電磁弁LB1が開弁時中間開度を維持する状態2では、第一のプランジャー52aが第二のプランジャー52bに吸引されて第一のギャップ57aにおける離間距離が例えば1mmと短くなり、第二のプランジャー52bがコア59に吸引されて第二のプランジャー52bがコア59と当接し、弁体部51が弁座50から例えば3mm離間して、上記開弁時中間開度を維持する状態1における開弁時中間開度と開弁状態の間の開弁時中間開度に維持される。
【0126】
〔開弁状態〕
制御部Hからソレノイド53に正方向に開弁用電流I3が通電されると、ラッチ式電磁弁LB1は
図10に示す、開弁状態に至り、第一のプランジャー52aが第二のプランジャー52bに吸引されて第一のプランジャー52aが第二のプランジャー52bと当接し、第二のプランジャー52bがコア59に吸引されて第二のプランジャー52bがコア59と当接し、弁体部51が弁座50から例えば4mm離間した状態となる。なお、この開弁状態では、制御部Hからソレノイド53への正方向の通電がしゃ断された後も、マグネット55による起磁力により、第一のプランジャー52aが第二のプランジャー52bに吸引されて第一のプランジャー52aが第二のプランジャー52bと当接し、第二のプランジャー52bがコア59に吸引されて第二のプランジャー52bがコア59と当接した状態を維持する。
【0127】
〔閉弁時中間開度を維持する状態1〕
開弁状態において、制御部Hからソレノイド53に、Iiとは逆方向に閉弁用中間電流Jiが通電されると、第一のギャップ57aで第一のプランジャー(第一の可動磁性体)52aと第二のプランジャー(第二の可動磁性体)52bとが直接当接せず第一のギャップ57aで第一のプランジャー(第一の可動磁性体)52aと第二のプランジャー(第二の可動磁性体)52bとは非磁性体の突起52tを介して当接するように構成されていること、および、第一のスプリング54aのバネ定数が第二のスプリング54bのバネ定数より大きく構成されていることにより、第二のプランジャー52bがコア59に吸引されて第二のプランジャー52bがコア59と当接した状態を保ちながら、先ず第一のプランジャー52aが第二のプランジャー52bと離間して、弁体部51が弁座50から離間した、
図9に示す状態に至る。
【0128】
〔閉弁時中間開度を維持する状態2〕
図9に示す状態において、制御部Hからソレノイド53に逆方向に上記閉弁時中間開度を維持する状態1より絶対値が大きい閉弁用中間電流Jiが通電されると、第二のプランジャー52bがコア59に吸引されて第二のプランジャー52bがコア59と当接した状態で、第一のプランジャー52aが第二のプランジャー52bとがさらに離間して、弁体部51が弁座50から離間した状態に至る。
【0129】
〔閉弁状態〕
上記閉弁時中間開度を維持する状態2において、制御部Hからソレノイド53に逆方向に閉弁用電流J3が通電されると、ラッチ式電磁弁LB1は
図6に示す、閉弁状態に至り、第一のプランジャー52aが第二のプランジャー52bと離間して、第二のプランジャー52bがコア59と離間して、弁体部51が弁座50と当接してガスがしゃ断された閉弁状態となる。なお、この閉弁状態では、制御部Hからソレノイド53への逆方向の通電がしゃ断された後も、第一のスプリング54aおよび第二のスプリング54bの付勢力により、第一のプランジャー52aが第二のプランジャー52bと離間し第二のプランジャー52bがコア59と離間して弁体部51が弁座50と当接してガスがしゃ断された状態を維持する。
〔別実施形態〕
【0130】
(1)上述の実施形態では、ソレノイド53への通電電流およびこの通電電流と対応するソレノイド53への供給電圧の絶対値が、時間の変化と共に連続的に増加する所謂ランプ入力としてあったが、ソレノイド53への通電電流およびこの通電電流と対応するソレノイド53への供給電圧の絶対値が時間と共に複数段に段階的に増加するように構成してもよい。
(2)上述の実施形態では、ガスコンロ1をグリルを備えたビルトイン型のガスコンロ1として説明したが、ガスコンロ1は、コンロ台などに載置して設置される据え置き型のテーブルコンロであってもよい。またグリルは備えなくてもよい。
(3)上述の実施形態では、ラッチ式電磁弁LB1及びラッチ式電磁弁LB2を閉止することで、コンロバーナ31へのガスの供給をしゃ断するように構成されていたが、ラッチ式電磁弁LB2は備えず、ラッチ式電磁弁LB1の開閉によって、ガス量の大小のみを切替えるように構成してもよい。
(4)非磁性体の突起52tは、第一のプランジャー52aに備えるのではなく第二のプランジャー52bに備えるように構成しても良い。
(5)開弁状態において第一のプランジャー52aと第二のプランジャー52bとが非磁性体の突起52tを介して当接するのではなく、開弁状態において第一のプランジャー52aと第二のプランジャー52bとが樹脂やゴムから成る非磁性体の膜状体を介して当接するように構成しても良い。
(6)その他、閉弁状態における第一のギャップ57aにおける離間距離および第二のギャップ57bにおける離間距離、第一のスプリング54aのバネ定数および第二のスプリング54bのバネ定数を含め、具体的な実施形態は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々変更可能である。