(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130405
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】微小機械測定素子
(51)【国際特許分類】
G01L 13/06 20060101AFI20170508BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20170508BHJP
G01F 1/40 20060101ALI20170508BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
G01L13/06 R
B81B3/00
G01F1/40
H01L29/84 A
H01L29/84 B
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-560291(P2014-560291)
(86)(22)【出願日】2013年2月8日
(65)【公表番号】特表2015-512046(P2015-512046A)
(43)【公表日】2015年4月23日
(86)【国際出願番号】EP2013052548
(87)【国際公開番号】WO2013131711
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2014年10月16日
【審判番号】不服2016-7385(P2016-7385/J1)
【審判請求日】2016年5月20日
(31)【優先権主張番号】102012102020.5
(32)【優先日】2012年3月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】オシュトリック, ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】シッファー, ミヒャエル
【合議体】
【審判長】
清水 稔
【審判官】
関根 洋之
【審判官】
酒井 伸芳
(56)【参考文献】
【文献】
特表平1−503326(JP,A)
【文献】
特開平7−103840(JP,A)
【文献】
特開昭64−27275(JP,A)
【文献】
特開平1−92634(JP,A)
【文献】
特開2005−91166(JP,A)
【文献】
特開平8−247873(JP,A)
【文献】
特開平7−167724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 13/06
B81B 3/00
G01F 1/40
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面(211)と上面(212)とを有するメンブレン(21)を備えた検知素子(2)と、
前記検知素子(2)に直接接続されたキャップ(3)と、
前記検知素子(2)の電気的接続のための少なくとも1つのコンタクト面(9)と、
を備えた微小機械測定素子(1)であって、
前記検知素子(2)および前記キャップ(3)は、第1の小室(4)を形成し、
前記第1の小室(4)は、第1の開口部(5)を備え、
前記第1の開口部(5)は、前記キャップ(3)に形成され、
前記検知素子(2)は、前記キャップ(3)に向いていない面が直接担体(6)と接続されており、
前記検知素子(2)および前記担体(6)によって、第2の小室(7)が形成されており、
前記第2の小室(7)は、第2の開口部(8)を備え、
前記第2の開口部(8)は、前記検知素子(2)において、前記第2の開口部(8)が当該検知素子(2)を貫通し、他の通路を介さず直接的に外部と連通しており、
前記少なくとも1つのコンタクト面(9)は、前記検知素子(2)の前記キャップ(3)に向いた面で、前記検知素子(2)上に配設されており、
前記少なくとも1つのコンタクト面(9)は、少なくとも部分的に前記キャップ(3)の外側に配設されている、
ことを特徴とする、微小機械測定素子。
【請求項2】
前記メンブレン(21)の前記上面(212)は、前記第1の開口部(5)によって第1の媒体が到達可能となっており、
前記メンブレン(21)の前記下面(211)は、前記第2の開口部(8)によって第2の媒体が到達可能となっている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の微小機械測定素子。
【請求項3】
前記微小機械測定素子(1)は、複数の外面を備え、
前記第1の開口部(5)および前記第2の開口部(8)は、同じ外面に配設されている、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の微小機械測定素子。
【請求項4】
前記微小機械測定素子(1)は、相対圧センサおよび/または差圧センサとして形成されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の微小機械測定素子。
【請求項5】
前記微小機械測定素子(1)は、体積流量センサおよび/または流量センサとして形成されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の微小機械測定素子。
【請求項6】
前記検知素子(2)は、圧力測定および/または流量測定のための圧電抵抗性測定ブリッジを形成する、抵抗パターン(22)と導電部(23)とを備える、ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の微小機械測定素子。
【請求項7】
前記測定ブリッジは、機能層(複数)によって形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の微小機械測定素子。
【請求項8】
前記担体(6)および/または前記キャップ(3)は、ガラスを備えるか、またはガラスから成ることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の微小機械測定素子。
【請求項9】
前記担体(6)および/または前記キャップ(3)は、シリコンを備えるか、またはシリコンから成ることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の微小機械測定素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微小機械測定素子に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも企業内部では、たとえば圧力センサとして、差圧センサ,相対圧センサ,絶対圧センサ等の微小機械測定素子(mikromechanische Messelemente)が開発されていることが知られている。差圧センサまたは相対圧センサは、通常2つの圧力接続部を必要とし、これらの圧力接続部は、たとえば湿性の溶液媒体を含む媒体または腐食性の媒体を導入する。この際この圧力センサの媒体導入部は、電気的接続部をこの媒体による損傷から保護するために、適合した構造および接続技術によって電気的接続部から分離されなけらばならない。さらにこの構造および接続技術はそれ自体媒体に対し安定でなければならない。これによって可能な接着および接合技術の多様性は制限を受ける。
【0003】
公知の差圧センサまたは相対圧センサは、圧電抵抗性センサ素子または容量性センサ素子を用いて動作するものであり、1つ以上の測定素子を有している。この際、検知素子を備えた公知の差圧センサにおいては、一般的に対向する2つの面に媒体導入部が配設されており、すなわち測定圧が背面から導入され、これに対し周囲圧すなわち基準圧は測定メンブレンの前面に作用する。これにより、媒体接続部が一方の面で迂回されるかあるいは2つの異なる面に取付けられるように、この圧力センサのハウジングを形成することが強制的に必要となる。さらに、通常は、センサ素子の上面にある導電部およびボンディングワイヤは、基準媒体に暴露される。このため保護されていないセンサ素子の使用分野は、不十分な化学的耐性によって制限される。この耐性の改善のため、電気的接続部の保護および媒体分離のために、伝達媒体が周囲から除外され得るようにグロブトップゲル(Gelverguss)が用いられるか、あるいはこの伝達媒体が周囲から分離され、センサ素子の壊れやすい領域がたとえばオイルなどの内部媒体によって保護されるように、金属メンブレンが用いられる。この金属メンブレンは、たとえばハウジングの蓋の一部であってよい。
【0004】
以上より、差圧測定または流量測定のためには、少なくとも2つの測定素子に基づいたシステムが構築される。2つの測定素子を有する公知のシステムは、電気的コンタクトの媒体に対する保護を必要としないが、正確な測定のために、これらの素子は、校正処理によって互いに調整されなければならない。
【0005】
これらの圧力センサは、一般的には、その背面のみが測定媒体に暴露される、少なくとも2つの測定素子を備えるが、コストのかかる校正処理が必要であり、あるいは、たとえばコンタクトパッドや測定ブリッジのような壊れやすい素子の少なくとも活性面を、媒体の浸食に対し保護するように、システムレベルでの保護装置が用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態の課題は、コストがかかる電気的コンタクトの保護装置を無くすことができる微小機械測定素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は請求項1に記載の発明によって解決される。この発明の有利な変形実施例が、従属請求項に示されている。
【0008】
少なくとも1つの実施形態による微小機械測定素子は、検知素子を備える。この検知素子は、上面と下面とを有するメンブレンを備える。たとえばこの検知素子は、一体的に実装されていてよい。この検知素子は、とりわけ測定メンブレンを有するシリコンチップとして実装されてよい。このシリコンチップは、たとえばシリコンウェハから製造されてよく、ここでこの測定メンブレンは、薄くなった領域、たとえばシリコンチップが薄くエッチングされた領域を形成する。好ましくは、この検知素子は、圧電抵抗素子として実装されており、以下では活性面とも呼称される、この検知素子の上面に、圧電抵抗パターン,導電部,およびコンタクト面を備える。圧力に依存したメンブレンおよびこれに埋め込まれた、たとえばホイートストンブリッジに接続された圧電抵抗パターンの変型により、この圧電抵抗パターンの抵抗変化の結果、このホイートストンブリッジの出力電圧が変化され、この変化によって印加された圧力または圧力変化が測定される。代替としてこの検知素子は、たとえば少なくとも1つのコンデンサがシリコンチップに実装された容量性素子として実装されてもよい。圧力印加の際に、このコンデンサの容量が変化し、これによって圧力測定が可能となる。
【0009】
本発明の微小機械測定素子は、さらに検知素子に直接接続されているキャップを備える。とりわけこれはキャップが直接検知素子に固定されていることを意味している。たとえばこのキャップは、一体的に形成されていてよい。
【0010】
この検知素子およびキャップは、好ましくは第1の小室を形成する。この第1の小室は、少なくとも1つの第1の開口部を備える。たとえばこの検知素子およびキャップは、空洞を形成し、この空洞は上記の第1の開口部を用いて外部から到達可能である。好ましくはこの小室は、1つの第1の媒体、たとえばオイルによって充填されている。
【0011】
1つの変型実施例によれば、本発明の微小機械測定素子は、少なくとも1つのコンタクト面を備える。好ましくはこの少なくとも1つのコンタクト面は、上記の検知素子上に配設されており、この検知素子の電気的コンタクト部の機能を果たしている。たとえばこの少なくとも1つのコンタクト面は、コンタクトパッドとして形成されていてよい。
【0012】
もう1つの変型実施例によれば、上記のメンブレンの上面は、この第1の開口部によって第1の媒体に対し到達可能となっている。この第1の媒体は、とりわけこのメンブレンの上面と直接的に接しており、このメンブレンへ印加される圧力を伝達する。
【0013】
もう1つの変型実施例によれば、この検知素子は、そのキャップに向いていない面が直接担体と接続している。たとえばこの検知素子は、この担体に直接固定されている。この検知素子および担体は、第2の小室を形成し、この第2の小室は、好ましくは第2の開口部を備える。この第2の開口部は、とりわけ空洞となっており、この空洞は、上記の第2の開口部によって到達可能である。好ましくはこの第2の小室は、第2の媒体によって充填されている。上記の第1および第2の媒体は、以下では測定媒体または伝達媒体とも呼称される。
【0014】
もう1つの変型実施例によれば、上記のメンブレンの下面は、この第2の開口部によって上記の第2の媒体に対し到達可能となっている。とりわけこの第2の媒体は、このメンブレンの下面と直接的に接しており、このメンブレンへ印加される圧力を伝達する。
【0015】
ここで記載する測定素子においては、圧力導入、すなわちメンブレンへの圧力伝達および、上記の媒体分離、すなわち第2の媒体からの第1の媒体の分離が、担体とキャップの特別な設計、およびチップレベルでのそれぞれの開口部によって実現されている。これらの実現方法は、ゼロレベルパッケージング(Zero Level Packaging)またはチップレベルパッケージング(Chip Level Packaging)とも呼称される。これによりこの検知素子は、コンタクト面を用いずに、またはコストのかかるボンディングワイヤも用いずに、媒体の浸食から守られなければならないように、容易にさらに加工することができ、有利である。この際このキャップおよび担体は、保護部品あるいは安定化部品となり、これらは媒体分離を保証し、差圧測定または相対圧測定を可能とする。
【0016】
もう1つの変型実施例によれば、この担体には上記の第2の開口部が形成されている。たとえばこの担体は、第2の開口部を形成する貫通孔を備えてよい。たとえばこの第2の開口部は、この担体を貫通して、上記の検知素子のメンブレンの主伸張方向にほぼ平行な方向に延在してよい。代替としてこの第2の開口部は、この検知素子のメンブレンの主伸張方向にほぼ直角な方向に延在してよい。
【0017】
もう1つの変型実施例によれば、この検知素子には上記の第2の開口部が形成されている。たとえばこの検知素子は、この第2の開口部を形成する貫通孔を備えてよい。好ましくは、この第2の開口部はこの検知素子を貫通して、この検知素子のメンブレンの主伸張方向にほぼ平行な方向に延在してよい。
【0018】
もう1つの変型実施例によれば、この第2の開口部は、第2の媒体が上記のメンブレンの上面に到達することを可能とする。これによってこの第2の媒体を介して印加された測定圧は、このメンブレンに伝達されることができる。
【0019】
もう1つの変型実施例によれば、上記のキャップには上記の第1の開口部が形成されている。たとえばこのキャップは、第1の開口部を形成する貫通孔を備えてよい。たとえばこの第1の開口部は、上記の担体または検知素子を貫通して延在する第2の開口部にほぼ平行な方向に延在する。
【0020】
もう1つの変型実施例によれば、上記の第1の開口部は、上記の検知素子および上記の担体を貫通して延在する。たとえばこの第1の開口部は、この担体および検知素子を貫通する貫通孔によって生成されていてよい。
【0021】
もう1つの変型実施例によれば、上記の第1の開口部は、上記の第1の媒体が上記のメンブレンの上面に到達することを可能とするように形成されている。これによってこの第1の媒体を介して印加された測定圧は、このメンブレンに伝達されることができる。
【0022】
もう1つの変型実施例によれば、本発明の測定素子は、複数の外面を備える。たとえばこの測定素子は、直方体形状,立方体形状,または平板形状に形成されていてよく、あるいはこの測定素子に直方体形状,立方体形状,または平板形状を与えるような外形寸法を備えていてよい。これらの外面は、適宜他の幾何形状を形成していてよい。好ましくは上記の第1の開口部および第2の開口部は、この測定素子の同じ外面に配設されている。
【0023】
ここに記載する測定素子によって、一方の面にこれらの媒体導入部が設けられた構成、すなわち上記の第1および第2の開口部によって、上記のキャップおよび担体によって形成され得るハウジングの単純化が、システムレベルで達成される。これはこれらの媒体接続部が、1つのプロセスステップで生成されることができるからである。
【0024】
もう1つの変形実施例によれば、上記のキャップに向いた検知素子の面上の、上記の少なくとも1つのコンタクト面は、この検知素子上に配設されている。好ましくはこの少なくとも1つのコンタクト面は、少なくとも部分的にこのキャップの外側に配設されている。もう1つの好ましい変形実施例によれば、この少なくとも1つのコンタクト面は、完全にこのキャップの外側に配設されている。これによってこの検知素子あるいはシリコンチップの電気的接続部は、上記の測定素子の媒体接続部から分離されている。これによってこの少なくとも1つのコンタクト面が、測定媒体に対する保護がコストのかかる手段によって行われないようにすることができ、有利である。
【0025】
もう1つの変形実施例によれば、本発明の測定素子は相対圧センサとして形成される。この相対圧センサは、たとえば大気圧に対する圧力差測定としてこの相対圧を決定する。
【0026】
もう1つの変型実施例によれば、本発明の測定素子は、差圧センサとして形成される。ここでこの差圧センサは、2つの圧力の間の差を決定する差圧を測定する。
【0027】
もう1つの変形実施例によれば、本発明の測定素子は、体積流量センサおよび/または流量センサとして形成される。とりわけこの測定素子は、微小化された体積流量センサおよび/または流量センサとして実装されてよい。この際、たとえばオリフィス(Blende)によって形成された測定通路の断面積狭窄部(Querschnittsverengung)の前後での圧力差が測定されるが、この圧力差は体積流量に比例するので、適切な校正に基づいて流量測定あるいは体積流量測定が可能となる。
ベルヌーイの式を利用して、この体積流量の断面積狭窄部の前後での圧力差を用いて等価な静水圧(hydrostatischem Druck)を計算することができる。
【0028】
1つの変形実施例によれば、この検知素子は抵抗パターン(複数)および導電部(複数)を備える。これらの抵抗パターンは、たとえば圧力および/または流量測定のための圧電抵抗性測定ブリッジを形成する。好ましくはこの検知素子、とりわけシリコンチップにおいては、これらの抵抗パターンおよび導電部は、埋め込まれている。
【0029】
1つの変型実施例によれば、この測定ブリッジは、追加の機能層(複数)によって形成される。これらの機能層は、たとえば蒸着またはスパッタリングを用いて上記の検知素子上あるいはメンブレン上に取り付けられていてよい。
【0030】
もう1つの変形実施例によれば、上記の担体は、ガラスを備えるか、またはガラスから成っている。さらにこの担体は、シリコンを備えるか、またはシリコンから成っていることも可能である。
【0031】
もう1つの変型実施例によれば、上記のキャップは、ガラスを備えるか、またはガラスから成っている。さらにこのキャップは、シリコンを備えるか、またはシリコンから成っていることも可能である。
【0032】
もう1つの変型実施例によれば、本発明の測定素子の測定媒体に暴露されている部分、たとえばキャップおよび/または担体、あるいはキャップ/およびまたは担体の部分は、ボロシリケートガラス,シリコン,および/またはLPCVD窒化シリコンを備え、またはこれらの材料の1つから成っている。これによってこの測定素子は、湿性媒体および/または腐食性媒体に適合している。
【0033】
以下に、微小機械測定素子の実施形態例を、
図1〜3を参照して説明する。
【0034】
これらの実施形態例および図では、同等もしくは同等の機能の部分はそれぞれ同じ参照番号が付けられている。表示された素子およびそれらの互いの大きさの関係は、基本的に寸法通りとはなっていない。むしろたとえば層、部品および領域などの個々の要素をより見易くするため、および/またはより理解し易くするために誇張した厚さまたは大きさの寸法で示してある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第1の実施形態例による微小機械測定素子の概略断面図であり、ここで第1の開口部は検知素子および担体を貫通して延在している。
【
図2】もう1つの実施形態例による微小機械測定素子の概略断面図であり、ここで第1の開口部がキャップに形成されており、第2の開口部が担体に形成されている。
【
図3】もう1つの実施形態例による微小機械測定素子の概略断面図であり、ここで第2の開口部が検知素子に形成されている。
【0036】
図1は、微小機械測定素子1を断面概略図で示している。この微小機械測定素子1は、圧電抵抗性測定素子として実装されており、メンブレン21を含む検知素子2を備える。この検知素子2は、シリコンウェハから製造されたシリコンチップである。このメンブレン21は、下面211および上面212を備える。
【0037】
この微小機械測定素子1は、さらに担体6およびキャップ3を備える。図示された実施形態例においては、この担体6およびキャップ3はガラスを備え、上記の検知素子2と共にシリコン−ガラス接続体を形成する。キャップ3は検知素子2と直接接続しており、これによってキャップ3はチップ面に接続されている。この際この検知素子2およびキャップ3は、第1の小室4を形成し、ここでこの第1の小室4は、第1の開口部5を備える。この第1の開口部5は、上記の検知素子2の開裂部および担体6の開裂部によって形成される。上記のメンブレン21の上面212は、この第1の開口部5によって第1の媒体が到達可能となっている。こうしてこの第1の媒体は、印加された圧力をメンブレン21に伝達することができる。
【0038】
上記の検知素子2は、上記のキャップに向いていない面が直接担体6に接続されている。この際この検知素子2および担体6は、第2の小室7を形成する。この第2の小室7は、第2の開口部8を備える。これらの第1および第2の開口部5,8は、たとえばレーザードリル加工を用いて生成される。上記のメンブレン21の下面211は、この第2の開口部8によって第2の媒体が到達可能であり、これによりこの第2の媒体は、印加された圧力をメンブレン21に伝達することができる。これらの第1および第2の開口部5,8によって、このメンブレン21の両面への導入部が形成されている。
【0039】
一方の面での媒体接続部の配設、すなわち一方の面での第1および第2の開口部5,8の配設は、図示された実施形態例においては、シリコン−ガラス接続体における2つの貫通孔によって実現される。公知の測定素子と比較して、
図1に示す測定素子1の製造においては、単に1つの追加エッチングステップが必要なだけであり、ここで隣接する測定素子のそれぞれのメンブレンは、1つの追加エッチングステップによって貫通エッチング(durchgeatzt)される。これはいわゆるバッチプロセスで実現することができる。
【0040】
本発明の微小機械測定素子1は、さらにコンタクト面9を備え、このコンタクト面はいわゆるコンタクトパッドとして実装され、測定素子1の電気的コンタクト部の役割を果たす。このコンタクト面9は、検知素子2上に配設され、上記の第1の小室4の外側および上記の第2の小室7の外側にある。この検知素子2の電気的接続部は、媒体接続部から分離されている。以上によりコンタクト面9が第1または第2の小室4,7に存在する媒体と接触することが無いことを保証することができ、これによりこのコンタクト面9が、たとえば腐食性媒体による媒体浸食に対して効果的に保護される。コンタクト面やボンディングワイヤ等の電気的導電部の腐食は、この図示された測定素子では既にチップ面で防止することができる。
図1に示す実施形態による測定素子の製造の際には、この電気的コンタクト方向は、上記の検知素子2の取り付け方向と一致する。
【0041】
代替として、本発明の測定素子1は、この測定素子1あるいは検知素子2の接続のための複数のコンタクト面を備えることができる。
【0042】
さらに本発明の測定素子1は、検知素子2に埋め込まれている抵抗パターン22および導電部23を備える。これらの抵抗パターン22および導電部23は、圧力測定のための測定ブリッジを形成する。
【0043】
本発明の微小機械測定素子1は、図示された実施形態例においては、相対圧センサまたは差圧センサとして実装されており、ここでチップ面への媒体導入部が実現されており、この媒体はこの測定素子の下面、すなわちこの測定素子のキャップにむいていない面から導入される。
【0044】
図2には、もう1つの実施形態例による微小機械測定素子1の概略断面図が示されている。
図1に示す実施形態例とは異なり、第1の開口部5は、キャップ3に形成されている。この第1の開口部5および第2の開口部8は、好ましくはキャップ3および担体6へのレーザ照射によってそれぞれ穴がドリル加工されることによって、形成される。
【0045】
図2に示す実施形態例においても、コンタクト面9はこれを媒体が充填された小室4,8の外側に配設することによって、測定媒体との接触の好ましくない影響から保護される。
図1に示す実施形態と異なり、電気的コンタクト方向は、上記の検知素子2の取り付け方向に対し直角となっている。
【0046】
本発明の微小機械測定素子1は、図示された実施形態においては、相対圧センサまたは差圧センサとして実装されており、ここでチップ面への媒体導入部が実現されており、測定素子の上面および下面を接続する媒体がこの測定素子の一方の面から導入される。ここでこの下面は、測定素子のキャップに向いていない面で定義され、上面は、この測定素子のキャップに向いた面で定義されている。
【0047】
図3は、もう1つの実施形態例による微小機械測定素子の概略断面図を示す。
図2に示す実施形態例とは異なり、第2の開口部8は、検知素子に形成されている。図示された実施形態例においては、第1の開口部5および第2の開口部8は、レーザードリル加工を用いてキャップ3あるいは検知素子2に実現されている。
【0048】
同様にこの微小機械測定素子1は、図示された実施形態例においては、相対圧センサまたは差圧センサとして実装されており、ここでチップ面への媒体導入部が実現されており、ここでもこの測定素子の下面と上面とを接続する媒体は、この測定素子の一方の面から導入される。
【0049】
本発明は、これらの実施形態例を参照した記載によって、これらに限定されず、あらゆる新たな特徴およびこれらの特徴のあらゆる組み合わせを包含するものである。
【0050】
これはとりわけ請求項における特徴のあらゆる組み合わせを含んでいる。また、特徴またはこれらの組み合わせ自体が請求項または実施形態例に顕わに示されていない場合も含んでいる。
【符号の説明】
【0051】
1 : 測定素子
2 : 検知素子
21 : メンブレン
211 : 下面
212 : 上面
22 : 抵抗パターン
23 : 導電部
3 : キャップ
4 : 第1の小室
5 : 第1の開口部
6 : 担体
7 : 第2の小室
8 : 第2の開口部
9 : コンタクト面