(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。まず、
図1および
図2を参照して、本発明の一実施形態に係るモータ駆動装置組立体10について説明する。なお、以下の説明においては、図中の直交座標系に示す方向を基準とし、便宜上、x軸プラス方向を右方、y軸プラス方向を前方、z軸プラス方向を上方とする。
【0016】
モータ駆動装置組立体10は、開閉可能な扉16を有する中空の制御盤ロッカー12の内部に収容されている。モータ駆動装置組立体10は、複数のモータ駆動装置14を備える。
【0017】
モータ駆動装置14の各々は、例えば工作機械または産業用ロボットに内蔵されたサーボモータへ電力を供給するための装置であって、後述するヒートシンクを有する。
図2に、これらモータ駆動装置14のうち、互いに左右方向に隣接して配置された第1のモータ駆動装置14Aおよび第2のモータ駆動装置14Bが示されている。
【0018】
第1のモータ駆動装置14Aは、筐体18と、該筐体18内に収容された電子素子(図示せず)と、筐体18の前部に取り付けられた(第1の)ヒートシンク20とを備える。筐体18は、例えば樹脂から作製された中空部材であって、内部空間を画定している。電子素子は、パワー素子または電解コンデンサ等を含み、筐体18の内部空間に実装されている。
【0019】
ヒートシンク20は、複数の放熱フィン22を有する。放熱フィン22の各々は、ヒートシンク20の上端部と下端部との間で延在する。放熱フィン22は、左右方向に略等間隔で整列するように、配置されている。
【0020】
左右方向に互いに隣り合う2つの放熱フィン22の間には、流路24が画定されている。流路24の各々は、ヒートシンク20の上端部から下端部まで下方へ延在し、ヒートシンク20の上端部および下端部の各々にて、外部へ開口する。この流路24内を気体が流動することによって、ヒートシンク20から放熱される。
【0021】
ヒートシンク20の左端面26には、該左端面26から左方へ突出する複数の凸部28および30が形成されている。凸部28および30は、互いに前後方向に並ぶように配置され、凸部28と凸部30との間には、凹部32が画定されている。
【0022】
同様に、ヒートシンク20の右端面34には、該右端面34から右方へ突出する複数の凸部36および38が形成されている。凸部36および38は、互いに前後方向に並ぶように配置され、凸部36と凸部38との間には、凹部40が画定されている。
【0023】
筐体18内に収容された電子素子は、ヒートシンク20に取り付けられており、電子素子にて生じた熱は、ヒートシンク20に伝導し、該ヒートシンク20から放熱される。
【0024】
第2のモータ駆動装置14Bは、第1のモータ駆動装置14Aと同様の構成を備える。具体的には、第2のモータ駆動装置14Bは、筐体42と、該筐体42内に収容された電子素子(図示せず)と、筐体42の前部に取り付けられた(第2の)ヒートシンク44とを備える。筐体42は、例えば樹脂から作製された中空部材であって、その内部空間に電子素子を収容している。
【0025】
ヒートシンク44は、上述のヒートシンク20と同様の構成を有しており、ヒートシンク20の右側に隣接して配置されている。具体的には、ヒートシンク44は、複数の放熱フィン46を有する。放熱フィン46の各々は、ヒートシンク44の上端部と下端部との間で延在する。放熱フィン46は、左右方向に略等間隔で整列するように、配置されている。
【0026】
左右方向に互いに隣り合う2つの放熱フィン46の間には、流路48が画定されている。流路48の各々は、ヒートシンク44の上端部から下端部まで下方へ延在し、ヒートシンク44の上端部および下端部の各々にて、外部へ開口する。
【0027】
ヒートシンク44の左端面50には、該左端面50から左方へ突出する複数の凸部52および54が形成されている。凸部52および54は、互いに前後方向に並ぶように配置され、凸部52と凸部54との間には、凹部56が画定されている。
【0028】
同様に、ヒートシンク44の右端面58には、該右端面58から右方へ突出する複数の凸部60および62が形成されている。凸部60および62は、互いに前後方向に並ぶように配置され、凸部60と凸部62との間には、凹部64が画定されている。
【0029】
筐体42内に収容された電子素子は、ヒートシンク44に取り付けられており、電子素子にて生じた熱は、ヒートシンク44に伝導する。
【0030】
本実施形態においては、ヒートシンク20とヒートシンク44とは、凸部36、38、52、54、および凹部40、56を介して、互いに着脱可能に連結されている。より具体的には、ヒートシンク20の右端面34に形成された凸部38(第1係合部)が、ヒートシンク44の左端面50に形成された凹部56(第2係合部)と、脱離可能に係合している。
【0031】
同様に、ヒートシンク44の左端面50に形成された凸部52(第2係合部)が、ヒートシンク20の右端面34に形成された凹部40(第1係合部)と、脱離可能に係合している。
【0032】
これら凸部38、52および凹部40、56によって、ヒートシンク20とヒートシンク44とは、着脱可能に互いに直接連結され、これにより、ヒートシンク20とヒートシンク44との間で熱伝導が可能となる。
【0033】
このように、本実施形態においては、凸部36、38、52、54、および凹部40、56は、ヒートシンク20とヒートシンク44とを互いに熱伝導可能に連結する連結部66を構成している。
【0034】
この連結部66を通して、ヒートシンク20に生じた熱は、ヒートシンク44へ伝導することができる一方、ヒートシンク44に生じた熱は、ヒートシンク20へ伝導することができる。その結果、ヒートシンク20およびヒートシンク44の各々よりも大きな放熱能力を有するヒートシンク組立体が、構成されることになる。
【0035】
本実施形態においては、制御盤ロッカー12は、前端壁12aと、該前端壁12aから後方へ離隔して配置され、該前端壁12aと対向する板状のパネル12bとを有する。パネル12bは、筐体18とヒートシンク20との連結部分、および、筐体42とヒートシンク44との連結部分を通過するように、延在している。
【0036】
前端壁12aとパネル12bとの間には、通気路12cが画定される。通気路12cは、外気に通じており、通気路12c内を流動する気体の流路を形成する。通気路12c内を流動する気体によって、ヒートシンク20および44から抜熱される。
【0037】
本実施形態によれば、使用者は、第1のモータ駆動装置14Aおよび第2のモータ駆動装置14Bの稼働状況に応じて、連結部66を介して、ヒートシンク20とヒートシンク44とを互いに連結したり、ヒートシンク20とヒートシンク44とを互いから分離させたりすることができる。
【0038】
一例として、第1のモータ駆動装置14Aの消費電力が比較的大きい一方で、第2のモータ駆動装置14Bにおける消費電力が比較的小さい稼働状況を想定する。
【0039】
このような場合において、仮にヒートシンク20とヒートシンク44とが互いから分離されていると、第1のモータ駆動装置14Aの電子素子の温度が、第2のモータ駆動装置14Bの電子素子よりも高くなり得る。そうすると、第1のモータ駆動装置14Aの電子素子の寿命が、第2のモータ駆動装置14Bの電子素子よりも短くなってしまう虞がある。
【0040】
そこで、本実施形態によれば、使用者は、このような稼働状況に鑑み、ヒートシンク20とヒートシンク44とを、連結部66を介して互いに連結することができる。
【0041】
そうすると、ヒートシンク20とヒートシンク44との間で熱伝導が可能となり、ヒートシンク20およびヒートシンク44が、より大きな放熱能力を有するヒートシンク組立体として機能することになる。これにより、ヒートシンク20およびヒートシンク44の温度を均一化することができる。
【0042】
したがって、仮に第1のモータ駆動装置14Aの消費電力が第2のモータ駆動装置14Bよりも大きくなるような稼働状況であったとしても、第1のモータ駆動装置14Aの電子素子、および第2のモータ駆動装置14Bの電子素子の温度を、より均一化することができる。
【0043】
その結果、第1のモータ駆動装置14Aおよび第2のモータ駆動装置14Bの電子素子の間で寿命にバラつきが生じてしまうのを、防止することができる。
【0044】
その一方で、例えば、第1のモータ駆動装置14Aおよび第2のモータ駆動装置14Bの消費電力がともに小さく、ヒートシンク20および44を連結させる必要がない稼働状況となった場合、使用者は、ヒートシンク20とヒートシンク44とを容易に分離できる。
【0045】
次に、
図3を参照して、他の実施形態に係るモータ駆動装置組立体70について説明する。なお、以下に説明する種々の実施形態において、既述の実施形態と同様の要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0046】
モータ駆動装置組立体70は、上述のモータ駆動装置組立体10の代わりに、制御盤ロッカー12の内部に収容され得る。モータ駆動装置組立体70は、複数のモータ駆動装置72と、互いに隣接する2つのモータ駆動装置72のヒートシンクを着脱可能に連結する連結部74とを備える。
【0047】
図3には、複数のモータ駆動装置72のうち、互いに左右方向に隣接して配置された第1のモータ駆動装置72Aおよび第2のモータ駆動装置72Bが、拡大して示されている。第1のモータ駆動装置72Aは、筐体18と、該筐体18内に収容された電子素子(図示せず)と、筐体18の前部に取り付けられた(第1の)ヒートシンク76とを備える。
【0048】
ヒートシンク76は、複数の放熱フィン22を有し、左右方向に互いに隣り合う2つの放熱フィン22の間には、流路24が画定されている。
【0049】
ヒートシンク76の左端面78には、該左端面78から内方へ凹む凹部80が形成されている。一方、ヒートシンク76の右端面82には、該右端面82から内方へ凹む凹部84が形成されている。
【0050】
第2のモータ駆動装置72Bは、第1のモータ駆動装置72Aと同様の構成を備える。具体的には、第2のモータ駆動装置72Bは、筐体42と、該筐体42内に収容された電子素子(図示せず)と、筐体42の前部に取り付けられた(第2の)ヒートシンク86とを備える。
【0051】
ヒートシンク86は、複数の放熱フィン46を有し、左右方向に互いに隣り合う2つの放熱フィン46の間には、流路48が画定されている。
【0052】
ヒートシンク86の左端面88には、該左端面88から内方へ凹む凹部90が形成されている。一方、ヒートシンク86の右端面92には、該右端面92から内方へ凹む凹部94が形成されている。
【0053】
なお、上述の実施形態と同様に、制御盤ロッカー12のパネル12bは、筐体18とヒートシンク76との連結部分、および、筐体42とヒートシンク86との連結部分を通過するように、延在している。
【0054】
連結部74は、ヒートシンク76およびヒートシンク86とは別体の熱伝導性部材から作製されている。連結部74は、ヒートシンク76およびヒートシンク86と接触するように、ヒートシンク76とヒートシンク86との間に介挿されている。
【0055】
より具体的には、連結部74は、本体部96と、凸部98および100と、放熱フィン102とを有する。本体部96の左端面104は、ヒートシンク76の右端面82と当接している一方、本体部96の右端面106は、ヒートシンク86の左端面88と当接している。
【0056】
放熱フィン102は、本体部96の外面から外方へ突出するように設けられた板状部材である。なお、
図3においては、1枚の放熱フィン102が図示されているが、複数の放熱フィン102が、互いに離隔して配置されてもよい。
【0057】
凸部98は、本体部96の左端面104から外方へ突出するように形成されている。凸部98は、ヒートシンク76の右端面82に形成された凹部84に、脱離可能に係合する。
【0058】
一方、凸部100は、本体部96の右端面106から外方へ突出するように形成されている。凸部100は、ヒートシンク86の左端面88に形成された凹部90に、脱離可能に係合する。
【0059】
このように、ヒートシンク76およびヒートシンク86は、連結部74を介して、互いに着脱可能に連結されている。この連結部74を通して、ヒートシンク76とヒートシンク86との間で熱伝導が可能となる。その結果、各々のヒートシンク76および86よりも大きな冷却能力を有するヒートシンク組立体が、構成されることになる。
【0060】
本実施形態によれば、上述の実施形態と同様に、仮に第1のモータ駆動装置72Aの消費電力が第2のモータ駆動装置72Bよりも多くなるような稼働状況となったとしても、ヒートシンク76および86の温度を均一化することができる。
【0061】
このため、第1のモータ駆動装置72Aの電子素子、および第2のモータ駆動装置72Bの電子素子の温度を、均一化することができる。その結果、第1のモータ駆動装置72Aおよび第2のモータ駆動装置72Bの電子素子の間で寿命にバラつきが生じてしまうのを、防止することができる。
【0062】
また、本実施形態においては、連結部74に放熱フィン102が設けられているので、ヒートシンク76および86のヒートシンク組立体としての冷却能力を、さらに向上させることができる。
【0063】
次に、
図4を参照して、さらに他の実施形態に係るモータ駆動装置組立体110について説明する。モータ駆動装置組立体110は、上述のモータ駆動装置組立体10の代わりに、制御盤ロッカー12の内部に収容され得る。モータ駆動装置組立体110は、複数のモータ駆動装置112と、互いに隣接する2つのモータ駆動装置112のヒートシンクを連結する連結部114とを備える。
【0064】
図4には、複数のモータ駆動装置112のうち、互いに左右方向に隣接して配置された第1のモータ駆動装置112Aおよび第2のモータ駆動装置112Bを拡大して示している。
【0065】
第1のモータ駆動装置112Aは、筐体18と、該筐体18内に収容された電子素子(図示せず)と、筐体18の前部に取り付けられた(第1の)ヒートシンク116とを備える。ヒートシンク116は、複数の放熱フィン22を有し、左右方向に互いに隣り合う2つの放熱フィン22の間には、流路24が画定されている。
【0066】
第2のモータ駆動装置112Bは、筐体42と、該筐体42内に収容された電子素子(図示せず)と、筐体42の前部に取り付けられた(第2の)ヒートシンク118とを備える。ヒートシンク118は、複数の放熱フィン46を有し、左右方向に互いに隣り合う2つの放熱フィン46の間には、流路48が画定されている。
【0067】
なお、上述の実施形態と同様に、制御盤ロッカー12のパネル12bは、筐体18とヒートシンク116との連結部分、および、筐体42とヒートシンク118との連結部分を通過するように、延在している。
【0068】
連結部114は、ヒートシンク116およびヒートシンク118とは別体の熱伝導性部材から作製され、ヒートシンク116およびヒートシンク118と接触するように、ヒートシンク116とヒートシンク118との間に介挿されている。
【0069】
連結部114の左端面124は、熱伝導性接着剤を介して、ヒートシンク116の右端面120に接着されている。同様に、連結部114の右端面126は、熱伝導性接着剤を介して、ヒートシンク118の左端面122に接着されている。
【0070】
このように、ヒートシンク116およびヒートシンク118は、連結部114を介して、互いに連結されている。この連結部114を通して、ヒートシンク116とヒートシンク118との間で熱伝導が可能となる。その結果、各々のヒートシンク116および118よりも大きな冷却能力を有するヒートシンク組立体が、構成されることになる。
【0071】
本実施形態によれば、仮に第1のモータ駆動装置112Aの消費電力が第2のモータ駆動装置112Bよりも多くなるような稼働状況となったとしても、ヒートシンク116および118の温度を均一化することができる。
【0072】
このため、第1のモータ駆動装置112Aの電子素子、および第2のモータ駆動装置112Bの電子素子の温度を、均一化することができる。その結果、第1のモータ駆動装置112Aおよび第2のモータ駆動装置112Bの電子素子の間で寿命にバラつきが生じてしまうのを、防止することができる。
【0073】
次に、
図5を参照して、さらに他の実施形態に係るモータ駆動装置組立体130について説明する。モータ駆動装置組立体130は、第1のモータ駆動装置132A、第2のモータ駆動装置132B、および連結部137を備える。
【0074】
第1のモータ駆動装置132Aは、ヒートシンク134、制御部136、通信部138、温度センサ140、および電力検出部142を備える。第1のモータ駆動装置132Aは、例えば、上述の第1のモータ駆動装置14A、72A、または112Aと同じ構成を備え得る。この場合、ヒートシンク134は、上述のヒートシンク20、76、または116と同じ構成を有し得る。
【0075】
制御部136は、CPUおよび記憶部等を含み、第1のモータ駆動装置132Aの筐体(例えば、筐体18)内に実装される。制御部136は、第1のモータ駆動装置132Aの各要素を直接的または間接的に制御する。
【0076】
通信部138は、第2のモータ駆動装置132Bに設けられた通信部148に通信可能に接続されている。通信部138は、例えば、有線または無線で、通信部148と通信する。
【0077】
温度センサ140は、熱電対または白金測温抵抗体等を含み、制御部136からの指令に応じて、ヒートシンク134の温度を検出する。温度センサ140は、検出した温度に係るデータを、制御部136へ送信する。
【0078】
電力検出部142は、制御部136からの指令に応じて、第1のモータ駆動装置132Aに内蔵された
電子素子の消費電力を検出する。電力検出部142は、検出した消費電力に係るデータを、制御部136へ送信する。
【0079】
一例として、複数の電力検出部142が設置され、該電力検出部142の各々が、
電子素子(例えばパワー素子)のうちの1つの電力を検出してもよい。また、他の例として、1つの電力検出部142が、複数の
電子素子からなる電力増幅器全体としての消費電力を検出するように設置されてもよい。
【0080】
第2のモータ駆動装置132Bは、ヒートシンク144、制御部146、通信部148、および電力検出部150を備える。第2のモータ駆動装置132Bは、例えば、上述の第2のモータ駆動装置14B、72B、または112Bと同じ構成を備え得る。この場合、ヒートシンク144は、上述のヒートシンク44、86、または118と同じ構成を有し得る。
【0081】
制御部146は、CPUおよび記憶部等を含み、第2のモータ駆動装置132Bの筐体(例えば、筐体42)内に実装される。制御部146は、第2のモータ駆動装置132Bの各要素を直接的または間接的に制御する。
【0082】
通信部148は、上述したように、第1のモータ駆動装置132Aの通信部138と、有線または無線で、通信可能に接続されている。電力検出部150は、第2のモータ駆動装置132Bに内蔵された
電子素子の消費電力を検出し、検出した消費電力に係るデータを、制御部146へ送信する。
【0083】
連結部137は、第1のモータ駆動装置132Aのヒートシンク134と、第2のモータ駆動装置132Bのヒートシンク144とを、互いに熱伝導可能に連結する。連結部137は、例えば、上述の連結部66、74、または114と同じ構成を有し得る。
【0084】
次に、
図6を参照して、第1のモータ駆動装置132Aの動作フローの一例について説明する。
図6に示すフローは、第1のモータ駆動装置132Aの制御部136が、使用者または上位コントローラ(例えば、工作機械コントローラ)から、工作機械等に内蔵されたサーボモータを駆動する指令を受け付けたときに、開始する。
【0085】
ステップS1において、制御部136は、工作機械等に内蔵されたサーボモータへの電力供給を開始する。具体的には、制御部136は、例えば加工プログラムに従って、パワー素子等の
電子素子によって電力を生成し、生成した電力を工作機械等のサーボモータへ出力する。
【0086】
ステップS2において、制御部136は、第1のモータ駆動装置132Aの消費電力P
1を取得する。具体的には、制御部136は、電力検出部142に指令を送り、第1のモータ駆動装置132Aに内蔵された
電子素子の消費電力P
1を検出させ、電力検出部142から該消費電力P
1に係るデータを取得する。
【0087】
このように、本実施形態においては、制御部136は、第1のモータ駆動装置132Aの消費電力P
1を取得する第1の電力取得部152(
図5)としての機能を有する。
【0088】
ステップS3において、制御部136は、第2のモータ駆動装置132Bの消費電力P
2を取得する。具体的には、制御部136は、通信部138を通して、第2のモータ駆動装置132Bの消費電力P
2を要求する電力要求指令を、第2のモータ駆動装置132Bの通信部148へ送信する。
【0089】
第2のモータ駆動装置132Bの制御部146は、通信部148を通して電力要求指令を受け付けると、電力検出部150に指令を送り、第2のモータ駆動装置132Bに内蔵された
電子素子の消費電力P
2を検出させる。
【0090】
そして、制御部146は、電力検出部150から消費電力P
2に係るデータを取得して、通信部148を通して、第1のモータ駆動装置132Aの通信部138へ送信する。第1のモータ駆動装置132Aの制御部136は、通信部138を通して、第2のモータ駆動装置132Bの消費電力P
2を取得する。
【0091】
このように、本実施形態においては、制御部136は、第2のモータ駆動装置132Bの消費電力P
2を取得する第2の電力取得部154(
図5)としての機能を有する。
【0092】
ステップS4において、制御部136は、ヒートシンク134の温度を取得する。具体的には、制御部136は、温度センサ140に指令を送り、ヒートシンク134の温度Tを検出させる。
【0093】
そして、制御部136は、温度センサ140から、温度Tに係るデータを取得する。このように、本実施形態においては、制御部136は、ヒートシンク134の温度Tを取得する温度取得部156(
図5)としての機能を有する。
【0094】
ステップS5において、制御部136は、ヒートシンク134およびヒートシンク144から構成されるヒートシンク組立体の合成熱抵抗Zを算出する。具体的には、制御部136は、ステップS2にて取得した消費電力P
1と、ステップS3にて取得した消費電力P
2との合計消費電力P
T(=P
1+P
2)を算出する。
【0095】
そして、制御部136は、算出した合計消費電力P
Tと、ステップS4にて取得した温度Tと、レファレンス温度T
0とを以下の式1に代入し、合成熱抵抗Zを算出する。
Z=(T−T
0)/P
T・・・(式1)
なお、レファレンス温度T
0は、第1のモータ駆動装置132Aの
電子素子に電力が加えられる前に温度センサ140によって計測された温度であってもよい。または、レファレンス温度T
0は、モータ駆動装置組立体130の周囲の大気温度であってもよい。
【0096】
このように、本実施形態においては、制御部136は、合計消費電力P
Tと温度Tとに基づいて合成熱抵抗Zを算出する熱抵抗算出部158(
図5)としての機能を有する。
【0097】
ステップS6において、制御部136は、第1のモータ駆動装置132Aおよび第2のモータ駆動装置132Bの合計消費電力の許容値P
MAXを算出する。
【0098】
ここで、第1のモータ駆動装置132Aおよび第2のモータ駆動装置132Bに内蔵されている
電子素子には、許容温度T
MAXが予め規定されている。この許容温度T
MAXは、例えば、制御部136に設けられた記憶部に予め記憶される。
【0099】
制御部136は、このステップS6において、許容温度T
MAX(例えば、各
電子素子の許容温度のうち最低値のもの)と、上述のレファレンス温度T
0と、ステップS5にて算出した合成熱抵抗Zとを、以下の式2に代入し、許容値P
MAXを算出する。
P
MAX=(T
MAX−T
0)/Z・・・(式2)
このように、本実施形態においては、制御部136は、合成熱抵抗Zと許容温度T
MAXとに基づいて合計消費電力の許容値P
MAXを算出する許容値算出部160(
図5)としての機能を有する。
【0100】
ステップS7において、制御部136は、ステップS6にて算出した許容値P
MAXと、ステップS5にて算出した合計消費電力P
Tとの差δ
P(=P
MAX−P
T)を算出する。このように、本実施形態においては、制御部136は、許容値P
MAXと合計消費電力P
Tとの差δ
Pを算出する電力差算出部162(
図5)としての機能を有する。
【0101】
ステップS8において、制御部136は、ステップS7にて算出した差δ
Pが、予め定められた閾値αよりも小さいか否かを判定する。一例として、この閾値αは、制御部136に内蔵された記憶部に予め記憶される。
【0102】
制御部136は、このステップS8において、閾値αを記憶部から読み出し、ステップS7にて算出した差δ
Pの絶対値(|δ
P|)と照らし合わせる。制御部136は、|δ
P|が閾値αよりも小さい(すなわち、|δ
P|<α)場合、YESと判定し、ステップS9へ進む。一方、制御部136は、|δ
P|が閾値α以上である(すなわち、|δ
P|≧α)場合、NOと判定し、ステップS10へ進む。
【0103】
ステップS9において、制御部136は、第1のモータ駆動装置132Aおよび第2のモータ駆動装置132Bの合計消費電力P
Tが許容値P
MAXに近い値となっている旨を表す警告信号を生成する。
【0104】
例えば、制御部136は、警告信号を音声信号として生成し、スピーカ(図示せず)を通して音波として使用者へ出力する。または、制御部136は、警告信号を画像信号として生成し、ディスプレイ装置(図示せず)を通して画像として使用者へ出力する。
【0105】
ステップS10において、制御部136は、使用者または上位コントローラから、サーボモータの駆動を終了する終了指令を受け付けた否かを判定する。制御部136は、終了指令を受け付けた場合、YESと判定し、ステップS11へ進む。一方、制御部136は、終了指令を受け付けていない場合、NOと判定し、ステップS2へ戻る。
【0106】
ステップS11において、制御部136は、工作機械等に内蔵されたサーボモータへの電力供給を停止し、
図6に示すフローを終了する。
【0107】
このように、本実施形態においては、制御部136は、第2のモータ駆動装置132Bの制御部146と通信して消費電力P
2を取得し、合計消費電力P
Tを算出している。そして、制御部136は、合計消費電力P
Tと温度Tとに基づいて、合成熱抵抗Zを算出している(ステップS5)。
【0108】
この構成によれば、制御部136は、ヒートシンク134およびヒートシンク144から構成されるヒートシンク組立体の合成熱抵抗Zを、稼働中に、リアルタイム且つ高精度に検出することができる。
【0109】
また、本実施形態においては、制御部136は、算出した合成熱抵抗Zと
電子素子の
許容温度TMAXとに基づいて、第1のモータ駆動装置132Aおよび第2のモータ駆動装置132Bの合計消費電力の許容値P
MAXを算出している(ステップS6)。
【0110】
この構成によれば、制御部136は、第1のモータ駆動装置132Aおよび第2のモータ駆動装置132Bの合計消費電力の許容値P
MAXを、稼働中に、リアルタイム且つ高精度に把握することができる。
【0111】
また、本実施形態においては、制御部136は、算出した許容値P
MAXと合計消費電力P
Tとの差δ
Pを算出し(ステップS7)、該差δ
Pが閾値αよりも小さい(ステップS8にてYES)と判定した場合、使用者に警告を発信している(ステップS9)。
【0112】
この構成によれば、使用者は、ヒートシンク134および144から構成されたヒートシンク組立体の温度が、第1のモータ駆動装置132Aまたは第2のモータ駆動装置132Bの
電子素子の許容温度T
MAXに近づいていることを、自動的且つ確実に認識できる。
【0113】
なお、制御部136は、ステップS5にて算出した合成熱抵抗Z、ステップS6にて算出した許容値P
MAX、またはステップS7にて算出した差δ
Pを、ディスプレイ装置(図示せず)を通して、リアルタイムで使用者に報知してもよい。
【0114】
また、上述のステップS8にてYESと判定された場合に、制御部136は、ステップS9にて警告を表示するとともに、第1のモータ駆動装置132Aの消費電力(すなわち、第1のモータ駆動装置132Aの出力電力)を低減するように、該第1のモータ駆動装置132Aの運転モードを変更してもよい。
【0115】
この場合において、第1のモータ駆動装置132Aの制御部136と、第2のモータ駆動装置132Bの制御部146とは、互いに通信しつつ、第1のモータ駆動装置132Aの出力電力と、第2のモータ駆動装置132Bの出力電力との割合を調整してもよい。
【0116】
一例として、第1のモータ駆動装置132Aの消費電力が40Wである一方、第2のモータ駆動装置132Bの消費電力が100Wである場合に、制御部136は、第1のモータ駆動装置132Aの出力電力を増加する一方、制御部146は、第2のモータ駆動装置132Bの出力電力を低減する。
【0117】
この構成によれば、第1のモータ駆動装置132Aおよび第2のモータ駆動装置132Bにおいて、
電子素子が発熱により故障してしまうのを防ぎつつ、出力電力の最大化を図ることができる。
【0118】
また、温度センサ140は、第2のモータ駆動装置132Bのヒートシンク144の温度Tを取得するように配置されてもよい。この場合、制御部136は、ステップS4にてヒートシンク144の温度Tを取得し、該温度Tに基づいて、合成熱抵抗Zを算出する。
【0119】
また、第2のモータ駆動装置132Bが、ヒートシンク144の温度Tを検出可能な他の温度センサを備え、該他の温度センサは、第2のモータ駆動装置132Bの制御部146へ温度に係るデータを送信してもよい。
【0120】
この場合において、第1のモータ駆動装置132Aの制御部136は、ステップS4において、第2のモータ駆動装置132Bの制御部146と通信し、
該他の温度セン
サによって検出されたヒートシンク144の温度Tを取得する。
【0121】
なお、
図2に示す実施形態においては、連結部66が、ヒートシンク20に形成された第1係合部(凸部38、凹部40)と、ヒートシンク44に形成された第2係合部(凹部56、凸部52)とを有する場合について述べた。
【0122】
しかしながら、これに限らず、例えば、連結部は、ヒートシンク20とヒートシンク44とを磁力によって互いに直接連結するように、構成されてもよい。この場合、連結部は、ヒートシンク20の右端面34に設けられた第1の磁石と、ヒートシンク44の左端面50に設けられ、第1の磁石に吸着可能な第2の磁石とを有してもよい。
【0123】
また、連結部は、ボルト等の締結具を有し、該締結具を介して、ヒートシンク20とヒートシンク44とを互いに直接連結してもよい。
【0124】
同様に、
図3に示す実施形態において、連結部74とヒートシンク76(またはヒートシンク86)とを、磁力によって互いに直接連結してもよい。この場合、連結部74の本体部96の左端面104に第1の磁石を設けて、ヒートシンク76の右端面82に第1の磁石と吸着可能な第2の磁石を設けてもよい。
【0125】
また、
図4に示す実施形態において、連結部114は、ヒートシンク116とヒートシンク118とを互いに接着する熱伝導性接着剤のみを有してもよい。すなわち、この場合は、ヒートシンク116とヒートシンク118とは、熱伝導性接着剤によって互いに接着される。
【0126】
以上、発明の実施形態を通じて本発明を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、本発明の実施形態の中で説明されている特徴を組み合わせた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得るが、これら特徴の組み合わせの全てが、発明の解決手段に必須であるとは限らない。さらに、上述の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることも当業者に明らかである。
【0127】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、工程、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」、「次いで」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。