(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付の図面を参照して説明される本発明の実施例から、本発明の構成、作用及び他の特徴が容易に理解されるであろう。以下に説明される実施例は、本発明の技術的特徴が3GPPシステムに適用された例である。
【0018】
本明細書は、LTEシステム及びLTE−Aシステムを取り上げて本発明の実施例を説明するが、これは例示であり、本発明の実施例は、上記定義に該当するどのような通信システムに適用してもよい。また、本明細書は周波数分割2重通信(FDD)方式を基準にして本発明の実施例について説明するが、これは例示であり、本発明の実施例は、周波数分割半2重通信(H−FDD)方式又は時分割2重通信(TDD)方式にも同様の適用が可能である。
【0019】
図2は、3GPP無線接続ネットワーク規格に基づく端末とE−UTRANとの間の無線インタフェースプロトコルの制御プレーン及びユーザプレーンの構造を示す図である。制御プレーンは、端末及びネットワークが呼を管理するために用いる制御メッセージが送信される通路を意味する。ユーザプレーンは、アプリケーション層で生成されたデータ、例えば、音声データ又はインターネットパケットデータなどが送信される通路を意味する。
【0020】
第1層である物理層は、物理チャネルを用いて上位層に情報転送サービスを提供する。物理層は、上位にある媒体接続制御(MAC)層とトランスポートチャネルを介して接続されている。トランスポートチャネルを介して媒体接続制御層と物理層との間でデータが移動する。送信側の物理層と受信側の物理層との間には物理チャネルを介してデータが移動する。物理チャネルは時間及び周波数を無線リソースとして用いる。具体的には、物理チャネルは、ダウンリンクでは直交周波数分割多元接続(OFDMA)方式で変調され、アップリンクでは単一搬送波周波数分割多元接続(SC−FDMA)方式で変調される。
【0021】
第2層のMAC層は論理チャネルを用いて上位層である無線リンク制御(RLC)層にサービスを提供する。第2層のRLC層は高信頼データ伝送をサポートする。RLC層の機能は、MAC層内部の機能ブロックとしてもよい。第2層のパケットデータ融合プロトコル(PDCP)層は、帯域幅の狭い無線インタフェースによってIPv4又はIPv6のようなIPパケットを効率的に送信するために、冗長な制御情報を減らすヘッダ圧縮機能を提供する。
【0022】
第3層の最下部に位置している無線リソース制御(RRC)層は、制御プレーンだけに定義される。RRC層は無線ベアラ(RB)の設定(Configuration)、再設定(Re−configuration)及び解放(Release)について論理チャネル、トランスポートチャネル及び物理チャネルの制御を担当する。RBは、端末とネットワークとの間のデータ伝達のために第2層によって提供されるサービスを意味する。そのために、端末のRRC層及びネットワークのRRC層はRRCメッセージを交換する。端末及びネットワークのRRC層の間にRRC接続がある場合、端末はRRC接続状態(Connected Mode)になり、そうでない場合は、RRC休止状態(Idle Mode)になる。RRC層の上位にある非接続層(NAS)は、セッション管理、移動性管理などの機能を提供する。
【0023】
基地局(eNB)を構成する一つのセルは、1.25、2.5、5、10、15、20MHzなどの帯域幅のいずれか一つに設定され、複数の端末に下り又は上り送信サービスを提供する。別個のセルは、別個の帯域幅を提供するように設定されるとよい。
【0024】
ネットワークから端末にデータを送信する下りトランスポートチャネルは、システム情報を送信する同報チャネル(BCH)、呼出しメッセージを送信する呼出しチャネル(PCH)、ユーザ情報又は制御メッセージを送信する下り共有チャネル(SCH)などがある。下りマルチキャスト又は同報サービスの情報又は制御メッセージは、下りSCHを介して送信してもよいし、別の下りマルチキャストチャネル(MCH)を介して送信してもよい。一方、端末からネットワークにデータを送信する上りトランスポートチャネルには、初期制御メッセージを送信するランダム接続チャネル(RACH)、ユーザ情報又は制御メッセージを送信する上り共有チャネル(SCH)がある。トランスポートチャネルの上位にあり、トランスポートチャネルにマップされる論理チャネルには、同報制御チャネル(BCCH)、呼出し制御チャネル(PCCH)、共通制御チャネル(CCCH)、マルチキャスト制御チャネル(MCCH)、マルチキャスト情報チャネル(MTCH)などがある。
【0025】
図3は、3GPPシステムに用いられる物理チャネル及びこれらのチャネルを用いた一般の信号送信方法を説明するための図である。
【0026】
端末は電源が入ったり、新しくセルに進入したりすると、基地局と同期を取るなどの初期セル探索作業を行う(S301)。そのために、端末は基地局から1次同期チャネル(P−SCH)及び2次同期チャネル(S−SCH)を受信して基地局と同期を取り、セルIDなどの情報を取得してもよい。その後、端末は基地局から物理同報チャネルを受信してセル内の同報情報を取得してもよい。一方、端末は初期セル探索段階でダウンリンク参照信号(DL RS)を受信してダウンリンクチャネル状態を確認してもよい。
【0027】
初期セル探索を終えた端末は、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)及び該PDCCHに含まれた情報に基づいて物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)を受信することによって、より具体的なシステム情報を取得することができる(S302)。
【0028】
一方、基地局に最初に接続したり、信号送信のための無線リソースがなかったりした場合には、端末は基地局に対してランダム接続手順(RACH)を行ってもよい(S303乃至S306)。そのために、端末は、物理ランダム接続チャネル(PRACH)を介して特定シーケンスをプリアンブルとして送信し(S303及びS305)、PDCCH及び対応するPDSCHを介してプリアンブルに対する応答メッセージを受信してもよい(S304及びS306)。競合ベースのRACHについては衝突解決手順(Contention Resolution Procedure)を更に行ってもよい。
【0029】
上述の手順を行った端末は、以降、一般的な上り/下り信号送信手順として、PDCCH/PDSCHの受信(S307)及び物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)/物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)の送信(S308)を行ってもよい。特に、端末はPDCCHを介してダウンリンク制御情報(DCI)を受信する。ここで、DCIは、端末に関するリソース割当情報のような制御情報を含み、その使用目的によってフォーマットが異なる。
【0030】
一方、端末がアップリンクで基地局に送信する、又は端末が基地局から受信する制御情報は、ダウンリンク/アップリンクACK/NACK信号、チャネル品質指示子(CQI)、プリコーディング行列インデクス(PMI)、ランク指示子(RI)などを含む。3GPP LTEシステムにおいて、端末は、上述したCQI/PMI/RIなどの制御情報を、PUSCH及び/又はPUCCHを用いて送信することができる。
【0031】
図4は、LTEシステムで用いられる無線フレームの構造を例示する図である。
【0032】
図4を参照すると、無線フレームは、10ms(327200×T
s)の長さを有し、10個の均等なサイズのサブフレームで構成されている。それぞれのサブフレームは1msの長さを有し、2個のスロットで構成されている。それぞれのスロットは0.5ms(15360×T
s)の長さを有する。ここで、T
sとはサンプリング時間を指し、T
s=1/(15kHz×2048)=3.2552×10
-8(約33ns)で表示される。スロットは、時間領域で複数のOFDMシンボルを含み、周波数領域で複数のリソースブロック(RB)を含む。LTEシステムにおいて一つのリソースブロックは12個の副搬送波×7(6)個のOFDMシンボルを含む。データの送信される単位時間である送信時間間隔(TTI)は、一つ以上のサブフレーム単位であってよい。上述した無線フレームの構造は例示に過ぎず、無線フレームに含まれるサブフレームの数、サブフレームに含まれるスロットの数、又はスロットに含まれるOFDMシンボルの数は変更してもよい。
【0033】
図5は、ダウンリンク無線フレームにおいて一つのサブフレームの制御領域に含まれる制御チャネルを例示する図である。
【0034】
図5を参照すると、サブフレームは14個のOFDMシンボルで構成されている。サブフレーム設定によって、先頭の1〜3個のOFDMシンボルは制御領域として使われ、残り13〜11個のOFDMシンボルはデータ領域として使われる。同図で、R1乃至R4は、アンテナ0乃至3に対する基準信号(RS)(又はパイロット信号)を表す。RSは、制御領域及びデータ領域を問わずにサブフレーム内に一定のパターンで固定される。制御チャネルは、制御領域においてRSの割り当てられていないリソースに割り当てられ、情報チャネルも、データ領域においてRSの割り当てられていないリソースに割り当てられる。制御領域に割り当てられる制御チャネルには、物理制御フォーマット指示子チャネル(PCFICH)、物理ハイブリッド自動再送要求指示子チャネル(PHICH)、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)などがある。
【0035】
PCFICHは、物理制御フォーマット指示子チャネルであり、サブフレームごとにPDCCHに使われるOFDMシンボルの個数を端末に通知する。PCFICHは最初のOFDMシンボルに位置し、PHICH及びPDCCHに優先して設定される。PCFICHは4個のリソース要素グループ(REG)で構成され、REGはそれぞれ、セルIDに基づいて制御領域内に分散される。1個のREGは4個のリソース要素(RE)で構成される。REは1個の副搬送波×1個のOFDMシンボルとして定義される最小物理リソースを表す。PCFICH値は帯域幅によって1乃至3又は2乃至4の値を指示し、QPSKで変調される。
【0036】
PHICHは、物理HARQ指示子チャネルであり、アップリンク送信に対するHARQ ACK/NACKを搬送するために使われる。すなわち、PHICHは、UL HARQのためのDL ACK/NACK情報が送信されるチャネルを意味する。PHICHは、1個のREGで構成され、セル特定(cell−specific)にスクランブルされる。ACK/NACKは1ビットで指示され、BPSKで変調される。変調されたACK/NACKは、拡散係数(SF)=2又は4で拡散される。同一のリソースにマップされる複数のPHICHは、PHICHグループを構成する。PHICHグループに多重化されるPHICHの個数は拡散符号の個数によって決定される。PHICH(グループ)は周波数領域及び/又は時間領域でダイバシチ利得を得るために3回反復される。
【0037】
PDCCHは物理ダウンリンク制御チャネルであり、サブフレームの先頭n個のOFDMシンボルに割り当てられる。ここで、nは1以上の整数であり、PCFICHによって指示される。PDCCHは、一つ以上のCCEで構成される。PDCCHは、トランスポートチャネルである呼出しチャネル(PCH)及びダウンリンク共有チャネル(DL−SCH)のリソース割当に関連した情報、アップリンクスケジュール許可、HARQ情報などを各端末又は端末グループに通知する。PCH及びDL−SCHはPDSCHを介して送信される。したがって、基地局及び端末は一般に、特定の制御情報又は特定のサービスデータ以外は、PDSCHを介してデータをそれぞれ送信及び受信する。
【0038】
PDSCHのデータがどの端末(一つ又は複数の端末)に送信されるか、これら端末がどのようにPDSCHデータを受信して復号をすべきかに関する情報などは、PDCCHに含めて送信される。例えば、特定PDCCHが“A”という無線ネットワーク一時識別情報(RNTI)でCRCマスクされており、“B”という無線リソース(例、周波数位置)及び“C”というDCIフォーマット、すなわち、送信形式情報(例えば、送信ブロックサイズ、変調方式、符号化情報など)を用いて送信されるデータに関する情報が特定サブフレームで送信されると仮定する。この場合、セル内の端末は、自分が有しているRNTI情報を用いてPDCCHを監視し、“A”のRNTIを有している一つ以上の端末があると、当該端末はPDCCHを受信し、受信したPDCCHの情報を用いて“B”及び“C”によって指示されるPDSCHを受信する。
【0039】
図6は、LTEシステムで用いられるアップリンクサブフレームの構造を示す図である。
【0040】
図6を参照すると、アップリンクサブフレームは、制御情報を運ぶPUCCHが割り当てられる領域と、ユーザデータを運ぶPUSCHが割り当てられる領域とに区別されている。サブフレームの中間部分がPUSCHに割り当てられ、周波数領域においてデータ領域の両端部がPUCCHに割り当てられる。PUCCH上で送信される制御情報は、HARQに用いられるACK/NACK、ダウンリンクチャネル状態を表すCQI、MIMOのためのRI、アップリンクリソース割当要求であるスケジュール要求(SR)などがある。一つの端末のPUCCHは、サブフレーム内の各スロットにおいて別個の周波数を占める一つのリソースブロックを使用する。すなわち、PUCCHに割り当てられる2個のリソースブロックは、スロット境界で周波数ホップする。特に、
図6は、m=0のPUCCH、m=1のPUCCH、m=2のPUCCH、m=3のPUCCHがサブフレームに割り当てられる例を示している。
【0041】
以下、多入力多出力(MIMO)システムについて説明する。MIMOは、複数の送信アンテナ及び複数の受信アンテナを使用する方法であり、この方法によってデータの送受信効率を向上させることができる。すなわち、無線通信システムの送信端又は受信端で複数のアンテナを使用することによって、容量を増大させ、性能を向上させることができる。以下、本文献においてMIMOを「複数アンテナ」と呼ぶこともある。
【0042】
複数アンテナ技術では、一つの全体メッセージを受信するために、単一アンテナ経路に依存せず、複数のアンテナから受信したデータ断片を一つに併合することによってデータを完成する。複数アンテナ技術を用いると、特定したサイズのセル領域内でデータ送信速度を向上させること、又は、特定データ送信速度を保障しながらシステムサービス範囲(coverage)を増加させること、が可能である。また、この技術は移動通信端末及び中継器などに幅広く用いることができる。複数アンテナ技術によれば、単一アンテナを用いる従来技術による移動体通信における送信量の限界を克服することができる。
【0043】
一般的な複数アンテナ(MIMO)通信システムの構成図が、
図7に示されている。送信端にはN
T個の送信アンテナが設けられており、受信端にはN
R個の受信アンテナが設けられている。このように、送信端及び受信端の両方が複数のアンテナを用いる場合が、送信端又は受信端のいずれか一方でのみ複数のアンテナを用いる場合に比べて、理論的なチャネル送信容量が増加する。チャネル送信容量の増加はアンテナの数に比例する。したがって、送信速度が向上し、周波数効率が向上する。一つのアンテナを用いる場合における最大送信速度をR
oとすると、複数アンテナを用いるときの送信速度は、理論的に、次の式1のように、最大送信速度R
oにレート増加率R
iをかけた分だけ増加することが可能である。ここで、R
iは、N
T及びN
Rのうち小さい値である。
【0045】
例えば、4個の送信アンテナ及び4個の受信アンテナを用いるMIMO通信システムでは、単一アンテナシステムに比べて理論上、4倍の送信速度を取得することができる。このような複数アンテナシステムの理論的容量増加が90年代半ばに証明されて以来、実質的にデータ送信速度を向上させるための種々の技術が現在も活発に研究されており、そのいくつかの技術は既に3世代移動通信及び次世代無線LANなどの様々な無線通信の標準に反映されている。
【0046】
現在までの複数アンテナ関連研究動向を見ると、様々なチャネル環境及び多元接続環境における複数アンテナ通信容量計算などに関連した情報理論側面の研究、複数アンテナシステムの無線チャネル測定及びモデル導出の研究、そして送信信頼度の向上及び送信速度の向上のための時空間信号処理技術の研究など、様々な観点から活発な研究が行われている。
【0047】
複数アンテナシステムにおける通信方法をより具体的に説明するためにこれを数学的にモデリングすると、次のように示すことができる。
図4に示すように、N
T個の送信アンテナ及びN
R個の受信アンテナが存在するとする。まず、送信信号については、N
T個の送信アンテナがあるとき、最大送信可能な情報はN
T個であるから、送信情報を次の式2のようなベクトルで表すことができる。
【0049】
一方、送信情報S
1,S
2,・・・,S
NTそれぞれに対する送信電力は異ってもよく、このとき、それぞれの送信電力をP
1,P
2,・・・,P
NTとすれば、送信電力の調整された送信情報は、次の式3のようにベクトルで表すことができる。
【0051】
また、hat−Sを送信電力の対角行列Pを用いて表すと、次の式4の通りになる。
【0053】
一方、送信電力の調整された情報ベクトルhat−Sに重み行列Wが適用されて、実際に送信されるN
T個の送信信号x
1,x
2,・・・,x
NTが構成される場合を考える。ここで、重み行列は、送信情報をトランスポートチャネル状況などに応じて各アンテナに適宜分配する役割を果たす。このような送信信号x
1,x
2,・・・,x
NTはベクトルxを用いて次の式5のように表すことができる。ここで、W
ijは、i番目の送信アンテナ及びj番目の情報間の重み値を意味する。Wは、重み行列又はプリコーディング行列と呼ばれる。
【0055】
一般に、チャネル行列のランクの物理的な意味は、与えられたチャネルで互いに異なる情報を送りうる最大数ということができる。したがって、チャネル行列のランク(rank)は、互いに独立している行又は列の個数のうち、最小の個数と定義されるため、行列のランクは、行又は列の個数より大きくなることはない。数式的に例示すると、チャネル行列Hのランク(rank(H))は、式6のように制限される。
【0057】
また、複数アンテナ技術を用いて送信する異なる情報をそれぞれ、「送信ストリーム」又は簡単に「ストリーム」と定義するとする。このような「ストリーム」は「レイヤ」と呼ばれることもある。そのため、送信ストリームの個数は、当然ながら、互いに異なる情報を送りうる最大数であるチャネルのランクより大きくなることはない。したがって、チャネル行列Hは、次の式7のように表すことができる。
【0059】
ここで、“# of streams”は、ストリームの数を表す。一方、ここで、一つのストリームは一つ以上のアンテナを通じて送信可能であるという点に注意されたい。
【0060】
一つ以上のストリームを複数のアンテナに対応付ける方法には、様々なものがある。該方法を複数アンテナ技術の種類によって区別すると、次のとおりである。1個のストリームが複数のアンテナを経て送信される場合は空間ダイバシチ方式であり、複数のストリームが複数のアンテナを経て送信される場合は空間多重化方式であるといえる。もちろん、その中間形態である、空間ダイバシチと空間多重化とを混合(Hybrid)した形態も可能である。
【0062】
無線通信システムにおいてパケットを送信するとき、送信されるパケットは無線チャネルを介して送信されるため、送信過程で信号の歪みが発生することがある。このように歪んだ信号を受信側で正しく受信するには、チャネルの情報を理解し、そのチャネル情報によって送信信号の歪みを補正してもよい。チャネルの情報を理解するには、送信側、受信側の両方で知っている信号を送信し、その信号がチャネルを介して受信されたとき、その信号の歪み度合からチャネルの情報を知る方法を主に用いる。このときに送信される送信側、受信側の両方で知っている信号をパイロット信号又は参照信号と呼ぶ。
【0063】
また、今まで移動通信システムではパケットを送信する際、1個の送信アンテナ及び1個の受信アンテナを使用するのが一般的であったが、最近では、多重送信アンテナ及び多重受信アンテナを採択して送受信効率の向上を図っている。送信側又は受信側で複数アンテナを使って容量増大又は性能改善を図る場合に、正しい信号受信のためには各送信アンテナと受信アンテナとの間のチャネル状況を知る必要があり、よって、送信アンテナ別に別個の参照信号が存在しなければならない。
【0064】
無線通信システムにおいて、参照信号はその目的によって2種類に大別されることがある。すなわち、チャネル情報取得のための参照信号及びデータ復調のための参照信号である。前者は、UEがダウンリンクのチャネル情報を取得するために用いられるため、広帯域で送信されなければならず、特定サブフレームでダウンリンクデータを受信しないUEであっても、当該参照信号を受信してチャネル測定を行う必要がある。さらに、この参照信号は、ハンドオーバなどの移動性管理のための測定にも用いられる。
【0065】
後者は、基地局がダウンリンクデータを送信する場合に当該データと共に送信する参照信号であり、UEはこの参照信号を受信することによってチャネル推定ができ、データ復調が可能である。この参照信号は、データが送信される領域で送信されなければならない。
【0066】
LTEシステムではユニキャストサービスのために2種類のダウンリンク参照信号が定義されている。具体的には、チャネル状態に関する情報の取得及びハンドオーバなどに関連した測定のために用いられる共通参照信号(CRS)と、データの復調のために用いられる専用参照信号(DRS)とに区別できる。ここで、CRSはセル特定参照信号、専用参照信号は端末特定参照信号と呼んでもよい。
【0067】
LTEシステムにおいてDRSはデータ復調だけに用いられ、CRSはチャネル情報取得及びデータ復調の両方に用いられる。このCRSはセル特定参照信号であり、広帯域にわたってサブフレームごとに送信される。また、CRSは、基地局の送信アンテナ数に従って最大4個のアンテナポートに基づいて送信される。例えば、基地局の送信アンテナの個数が二つであるとき、0番及び1番のアンテナポートに対するCRSが送信され、四つであるとき、0〜3番のアンテナポートに対するCRSがそれぞれ送信される。
【0068】
図8は、LTEシステムにおいて送信アンテナポートが4個である場合の、一般的なCRSパターンを例示する図である。
【0069】
図8を参照すると、LTEシステムにおいてCRSが時間−周波数リソースにマップされる場合、周波数軸において1アンテナポートに対する参照信号は6REごとにマップされて送信される。1RBが周波数上で12REで構成されているため、1アンテナポートに対するREとしては、1RB当たり2REが使われる。
【0070】
図9は、LTEシステムにおいて送信アンテナポート0に対するCRSパターンを例示する図である。
【0071】
一方、LTEシステムの進展した形態である高度LTE(LTE−A)システムにおいて、基地局はダウンリンクで最大8個の送信アンテナをサポートできるように設計しなければならない。そのため、最大8個の送信アンテナに対する参照信号送信もサポートしなければならない。
【0072】
具体的には、LTEシステムにおいて、ダウンリンク参照信号は最大4個のアンテナポートに対する参照信号しか定義されていないため、LTE−Aシステムにおいて基地局が5個〜8個のダウンリンク送信アンテナを持つ場合、これらのアンテナポートに対する参照信号を更に定義しなければならない。また、最大8個の送信アンテナポートに対する参照信号は、上述したチャネル測定の用途及びデータ復調の用途の両方について定義する必要がある。
【0073】
LTE−Aシステムをデザインする上で重要な考慮事項の一つは、後方互換性である。すなわち、LTE端末がLTE−Aシステムでも何ら無理なく動作し、システムもこれをサポートすべきであるということを考慮する必要がある。参照信号送信の観点から見たとき、LTEシステムで定義されているCRSが送信される時間−周波数領域において、最大8個の送信アンテナポートに対するRSを更に定義しなければならない。しかし、LTE−Aシステムにおいて、既存LTEシステムのCRSと同様の方式で最大8個の送信アンテナに対する参照信号パターンをサブフレームごとに全帯域に追加するようにすると、オーバヘッドが過度に大きくなってしまう。
【0074】
そこで、LTE−Aシステムにおいて新しく設計される参照信号は2種類に大別される。すなわち、MCS、PMIなどの選択のためのチャネル測定目的の参照信号(CSI−RS)と、8個の送信アンテナから送信されるデータ復調のための参照信号(DM−RS)とである。
【0075】
チャネル測定目的の参照信号であるCSI−RSは、既存のCRSがチャネル推定のための測定、ハンドオーバなどの測定、などの目的のために用いられると同時に、データ復調のために用いられていたのに対し、チャネル推定のための測定の目的を中心に設計されることに特徴がある。CSI−RSは、チャネル状態に関する情報を得る目的のためだけに送信されるため、CRSとは違い、サブフレームごとに送信しなくてもよい。現在、LTE−A標準において、CSI−RSはアンテナポート15から22まで割り当てられるようになっており、CSI−RS設定情報は上位層信号通知によって受信されるようになっている。
【0076】
また、データ復調のためには、該当の時間−周波数領域でスケジュールされたUEに専用参照信号としてDM−RSが送信される。すなわち、特定UEに送信されるDM−RSは、当該UEがスケジュールされた領域、すなわち、データを受信する時間−周波数領域だけで送信される。
【0077】
一方、次世代移動通信システムの標準であるLTE−Aシステムでは、データ送信速度を向上させるために、既存の標準ではサポートされていなかった多地点協調送受信(CoMP)方式をサポートすると予想される。ここでいうCoMP送受信方式は、陰影地域にある端末及び基地局(セル又はセクタ)間の通信性能を向上させるために、2個以上の基地局又はセルが相互協調して端末と通信する送受信方式のことを指す。
【0078】
CoMP送受信方式は、データ共有を用いた協調MIMO形態の合同処理(Joint Processing)(CoMP−JP)と、協調スケジュール/ビーム形成(CoMP−CS/CB)方式とに区別できる。
【0079】
ダウンリンクにおいて、合同処理方式では端末はCoMP送受信方式を行う各基地局からデータを即座かつ同時に受信することができ、各基地局から受信した信号を結合して受信性能を向上させることができる(合同送信、JT)。また、CoMP送受信方式を行う基地局のいずれか一つが特定時点に当該端末にデータを送信する方法(動的点選択、DPS)を考慮してもよい。これとは異なり、協調スケジュール/ビーム形成方式(CoMP−CS/CB)では端末はビーム形成を用いてデータを即座に一つの基地局、すなわちサービス提供基地局から受信することができる。
【0080】
アップリンクにおいて、合同処理方式では各基地局が端末からPUSCH信号を同時に受信することができる(合同受信、JR)。これとは異なり、協調スケジュール/ビーム形成方式(CoMP−CS/CB)では一つの基地局だけがPUSCHを受信するが、このとき、協調スケジュール/ビーム形成方式を用いるとの決定は、協調セル(又は基地局)によって行われる。
【0081】
一方、CoMP方式はマクロeNBのみで構成された同種ネットワークのほか、異種ネットワーク間に適用してもよい。
【0082】
図10は、CoMP方式が適用され得る異種ネットワークの構成を例示する図である。特に、
図10では、マクロeNB 901と、相対的に小さい送信電力で信号を送受信する遠隔無線装置(RRH)902とで構成されたネットワークを示している。ここで、マクロeNBのサービス範囲内に位置しているピコeNB又はRRHは、マクロeNBと光ケーブルなどで接続してもよい。また、RRHは、マイクロeNBと呼んでもよい。
【0083】
図10を参照すると、RRHのようなマイクロeNBの送信電力はマクロeNBの送信電力に比べて相対的に低いため、各RRHのサービス範囲はマクロeNBのサービス範囲に比べて相対的に小さいことが分かる。
【0084】
このようなCoMPシナリオで追求していることは、既存のマクロeNBだけが存在するシステムに比べて、追加されたRRHによって特定地域のサービス範囲の穴(coverage hole)をカバーしたり、RRH及びマクロeNBを含む多数の送信点(TP)同士の協調的な送信を用いて、全体的なシステムスループットを増大させる利得を得たりすることである。
【0085】
一方、
図10においてRRHは2種類に分類でき、その一つは、各RRHがいずれもマクロeNBと異なるセル識別子(cell−ID)を与えられたとき、各RRHを別の小型セルと見なしてもよい場合であり、もう一つは、各RRHがいずれもマクロeNBと同じセル識別子をもって動作する場合である。
【0086】
各RRH及びマクロeNBに別個のセル識別子が与えられた場合、これらはUEにとっては独立したセルとして認識される。この場合、各セルの境界に位置しているUEは、隣接セルから大きい干渉を受けることになる。このような干渉効果を減らし、送信速度を高めるための種々のCoMP方式が提案されつつある。
【0087】
一方、各RRH及びマクロeNBに同一のセル識別子が与えられた場合、上述したように、各RRHとマクロeNBがUEにとっては一つのセルとして認識される。UEは各RRHとマクロeNBからデータを受信し、データチャネルについては、各UEのデータ送信のために用いられたプリコーディングを参照信号にも同時に適用するため、各UEは、データが送信される自分の実際チャネルを推定することができる。ここで、プリコーディングが適用される参照信号が、上述したDM−RSである。
【0088】
上述した通り、既存LTEシステムの端末は、CRSだけによってチャネル推定を行い、これを用いてデータ復調及びチャネル状態情報フィードバックを行う。その他にも、セル追跡、周波数オフセット補償、同期化、受信信号強度指示子(RSSI)/基準信号受信電力(RSRP)/基準信号受信品質(RSRQ)測定のような無線リソース管理(RRM)測定などを行う。
【0089】
一方、LTE−Aシステムの端末では、既存のCRSの役割のうち、チャネル推定及びデータ復調に関連した役割はDM−RSが行い、チャネル状態情報フィードバックに関連した役割はCSI−RSが行うように拡張されたが、その他の機能は依然としてCRSが行うようになっている。
【0090】
本発明では、端末がセル(又は、別個のセル識別子を有していない送信点)の信号を測定する動作を行う際、チャネル状態情報フィードバックのためのCSI−RSを用いる方法を提案する。
【0091】
図11は、3GPP標準で定義しているCSI−RSパターンを例示する図である。特に、
図11は、8個のアンテナポートで定義されるCSI−RSパターンを例示している。
【0092】
図11を参照すると、1個のアンテナポートに対するCSI−RSは2個のOFDMシンボルにわたって拡散(spread)して送信され、2個のCSI−RSが2個のREを共有しながら直交符号によって区別される。例えば、数字0及び1で表現されたREは、CSI−RSアンテナポート0及び1を含む2個のREを意味する。
【0093】
本発明では、説明の便宜のために、CSI−RSアンテナポート0、1のように表現し、CRS又はDM−RSのような異なる種類のRSとの区別のために、CSI−RSアンテナポート0、1、等は、アンテナポート15、16、等のようなインデクスを有してもよい。CSI−RSは8個のアンテナポートのほかに、1、2又は4個のアンテナポートで定義されるように設定してもよい。
【0094】
CSI−RSは一般にサブフレームごとに送信されるのではなく、間欠的に一部のサブフレームだけで送信される。また、各CSI−RSアンテナポートの密度はCRSのアンテナポートの密度に比べて小さいため、端末がCSI−RSを用いて特定セル又は送信点に対するRSRP/RSRQなどの測定を行う場合は、測定の対象となる信号のエネルギが不充分となり、測定精度が低下する可能性がある。
【0095】
特に、セル又は送信点が1個又は2個のアンテナポートを用いてCSI−RSを送信する場合は、CSI−RSの占めるエネルギが1PRB対(pair)において2REに過ぎないため、上記の問題はより深刻となる。又は、CSI−RSが多数のアンテナポートを占めている場合であっても、その一部だけを用いて測定を行うときは、例えば、特定の送信点に対する信号強度を測定する目的で、特定の送信点に割り当てられたアンテナポートだけを測定するときでも、上記の問題が同様に発生する可能性がある。
【0097】
このような問題点を解決するために、本発明の第1の実施例では、CSI−RSに基づいて測定を行う場合に、複数のアンテナポートを束ねて測定を行うように動作することを提案する。ここで、複数のアンテナポートを束ねるということは、複数のアンテナポートから送信されたCSI−RSを同一のアンテナから送信されたもの、すなわち、同一のチャネルを経たものと仮定してコヒーレント結合を行った後、RSRP/RSRQ/経路損失などを計算することを意味する。
【0098】
図12は、本発明の第1の実施例によってCSI−RSのアンテナポートを設定した例である。
【0099】
図12を参照すると、2個のアンテナを持つセル又は送信点が、4アンテナポートCSI−RSを設定し、かつアンテナポート0及び2、アンテナポート1及び3をそれぞれ同一のアンテナから送信している。この場合、端末は、アンテナポート0及び2、アンテナポート1及び3のCSI−RSをそれぞれコヒーレント結合できるため、測定精度が増大するという利点が得られる。
【0100】
特に、このような動作は、送信点における増幅器の制限などから、特定CSI−RS REの電力を増強(boost)することに限界があるとき、大きなエネルギを使って測定することが可能になるため好都合である。
【0101】
そのために、基地局は端末に、RRCなどの上位層信号を用いて、端末がRSRP/RSRQ/経路損失などを測定する時に共に使用できるCSI−RSアンテナポートの集合を通知してもよい。特に、ここで、共に使用できるCSI−RSアンテナポートは、端末がコヒーレント結合を仮定できるアンテナポートの集合で表してもよい。又は、各アンテナポートで測定値を別途に計算した後、共に使用できるCSI−RSアンテナポートに該当する測定値を平均する形態で測定動作を行ってもよい。
【0102】
より一般的には、セルは端末に、RRCなどの上位層信号を用いて、CSI−RSの各アンテナポート間の関係、例えば、同一の送信点(又はアンテナ)から送信されるか否か、同一のCSI−RSが反復されるか否か、又は拡散シーケンスなどを通知してもよい。
【0103】
上記動作を行う場合に、基地局は、追加的な信号を用いて、実際にPMI又はCQIのようなCSI情報を計算するときに端末が使用するアンテナポートの個数又はアンテナポートの集合を通知してもよい。
【0104】
例えば、
図12で、基地局は該当の端末に、自分の実際の送信アンテナ数は2であるため、端末がPMIを報告するとき、二つの送信アンテナのために設計された符号表(codebook)を使用するように指示することができる。勿論、端末は、上述したように、コヒーレント結合後に取得した測定に基づいて自分に適切なPMIを決定してもよい。
【0105】
一方、本発明の第1の実施例は、端末が複数のCSI−RS設定を結合してRSRP/RSRQ/経路損失を測定する形態にしてもよい。
【0106】
図13は、本発明の第1の実施例によってCSI−RSのアンテナポートを設定した他の例である。
【0107】
図13を参照すると、基地局は、単一のセル又は送信点から送信される二つのCSI−RS設定を信号通知し、端末は、同一のセル又は送信点から送信される二つのCSI−RSを結合してRSRP/RSRQ/経路損失などを測定する。
【0108】
すなわち、基地局は一つのCSI−RSを設定した後、これを同一のサブフレームで反復送信し、その事実をRRCのような上位層信号を用いて端末に通知することができる。このとき、CSI−RSが反復される位置は事前に定めてもよい。例えば、2アンテナポートCSI−RSが2回反復される場合に、2番目のCSI−RSの位置は、
図13のように4アンテナポートCSI−RSにおいてアンテナポート2及び3が送信される位置にしてもよい。
【0109】
より一般には、nアンテナポートCSI−RSがN回反復されるとき、その反復位置は、nアンテナポートCSI−RSのREを含むn*NアンテナポートCSI−RSが占めるREに決定してもよい。
【0110】
一方、複数のCSI−RS設定が信号通知される場合、同一のOFDMシンボルで送信されるCSI−RS設定を通知したときは、CSI−RSは同一の時間に送信されるため基地局の送信電力を共有することになる。しかし、別個のOFDMシンボル又はサブフレームで送信されるCSI−RS設定を通知したときは、CSI−RSは別個の時間に送信されるため、基地局の送信電力を共有しない。これによって、より大きい電力でCSI−RS送信をし、信号のエネルギを使って複数のCSI−RSを送信することができる。
【0111】
また、複数のCSI−RS設定をUEに指示し、全体CSI−RS設定の中から特定のCSI−RS設定を結合してRRM測定を行うためには、複数のCSI−RS設定の中から、どのCSI−RSを組み合わせて測定を行うかを指示しなければならない。このような信号通知オーバヘッドを軽減するために、eNBからUEに、特定サブフレームに存在するすべてのCSI−RSを結合してRRM測定を行うように指示する方法を更に提案する。この方法では、複数のCSI−RS設定のうち、該当のサブフレームに対する信号通知だけを行えばよいため、信号通知の単純化が可能である。
【0112】
また、このようなCSI−RSベースのRRM測定を周期的に行ってもよい。報告する周期、及び測定する対象を基地局が別に信号通知してもよい。さらに、このようなCSI−RSベースのRRM測定については、ダウンリンク/アップリンク制御信号通知を用いて非周期的測定を行うように指示することが好ましい。非周期的測定とは、周期的に測定を行うのではなく、指示によって、特定サブフレーム、又は複数のサブフレーム基準で1回の測定を取り、当該測定結果を報告することを指す。このような非周期的測定を指示するために、上述した一つのCSI−RS設定での単一アンテナの送信反復又は複数のCSI−RS設定を組み合わせる動作も非周期的に行ってよい。
【0114】
本発明の第2の実施例では、上述した第1の実施例を、干渉の大きさや空間的方向などを測定する干渉測定にも適用することを提案する。例えば、端末は、一つのCSI−RS設定を構成する複数のアンテナポートのうち、どのアンテナポートで測定された干渉は同じ属性を仮定することができるか、そして測定された干渉の平均値をCQIなどの計算時に活用できるかに関する情報を、RRCのような上位層信号によって基地局から受信してもよい。特に、このような干渉測定のためのCSI−RS設定は、送信電力を使用しない(zero transmission power)ように設定してもよい。
【0115】
他の例として、端末は、一つ以上のCSI−RS設定を受信し、そのうちどのCSI−RS設定で測定された干渉が同一の属性を仮定できるか、そして測定された干渉の平均値をCQIなどの計算時に活用できるかに関する情報を、RRCのような上位層信号によって基地局から受信してもよい。
【0116】
以降、干渉測定の観点で、本発明の動作を、図面を参照してより詳しく説明する。
【0117】
図14は、本発明の第2の実施例によってCSI−RSのアンテナポートを設定した例である。特に、
図14は、一つのCSI−RS設定に属するアンテナポート(又はRE)のうち、同一の干渉と仮定できるグループを指定した例を示している。
【0118】
図14を参照すると、基地局は、8アンテナポートCSI−RS設定を一つ設定し、且つこのCSI−RS設定は空送信電力CSI−RSとする。この場合、基地局は、別の信号を用いて、この8アンテナポートCSI−RS設定のうち、アンテナポート0乃至アンテナポート3で測定される干渉は、同一の干渉状況を仮定して平均が取れる干渉測定グループ1と指定している。
【0119】
また、基地局は、残りのアンテナポート4乃至アンテナポート7で測定される干渉は、上記グループ1と異なる干渉状況を仮定し、これら4個のアンテナポート同士だけで平均が取れる干渉測定グループ2と指定している。
【0120】
このような動作によって、基地局は、少ない数のCSI−RS設定を維持しながらも様々な干渉状況を反映して、端末が干渉測定を行うようにすることができる。様々な干渉状況の例には、基地局の隣接セル又は隣接送信点が干渉測定グループ1に該当するREでは自分のダウンリンク信号を送信する動作を行うが、干渉測定グループ2に該当するREでは沈黙動作(muting)を行い、何ら干渉を与えない場合がある。そのために、当該基地局は、自分がどのREで沈黙動作を行うかを隣接基地局又は送信点に報告し、又は隣接基地局又は送信点が特定REで沈黙動作を行うこと(又は、沈黙REの数を増減すること)を要求する信号を伝達してもよい。
【0121】
図15は、本発明の第2の実施例によってCSI−RSのアンテナポートを設定した他の例である。
【0122】
図15を参照すると、基地局は、CSI−RS設定1及びCSI−RS設定2のように二つの8アンテナポートCSI−RS設定を設定している。この場合、基地局は、別の信号を用いて、これら二つのCSI−RS設定で測定された干渉は同一の干渉状況にあると仮定してもよいことを通知し、これを受信した端末は、二つの設定に該当する合計16個のREで測定された干渉を平均し、最終干渉として推定することができる。
【0123】
特に、このような動作は、CSI−RSの数が相対的に少ないサブフレーム及びREで送信されるため、単一のCSI−RS設定だけで干渉測定を行う場合に生じ得る測定の不正確性を改善することができる。又は、信号通知オーバヘッドを減らすために、同一のサブフレームに存在するCSI−RS設定(又は、無送信電力設定又は干渉測定用設定)では常に同一の干渉環境にあると見なせるように動作することも可能である。
【0124】
また、二つの異なったCSI−RS設定間に別の信号通知又は規定がないときは、端末は、二つの設定で測定された干渉は同一の環境にあると見なさないように規定してもよい。
【0125】
上述した本発明の干渉測定動作は、サブフレームのセットと連動してもよい。例えば、CSI−RS設定を用いた干渉測定は、CSI測定サブフレームサブセット設定と連動してもよい。より具体的には、端末が複数のCSI−RS設定のうち、特定CSI−RS設定(又は、一つのCSI−RS設定における一部の特定アンテナポート)を用いて干渉を測定するように設定され、これと同時にPMI/CQI/RIのようなCSI報告のために行う一連の測定動作が一部の選択的なサブフレームに制限される、制限的CSI測定のためのサブフレームサブセットも設定することが可能である。
【0126】
この場合、端末は、CSI−RS設定のうち、同一のサブフレームサブセットに属するREだけを同一の干渉環境に置かれていると仮定して干渉測定を行うことが好ましい。すなわち、同一のCSI−RS設定に属するREであっても、異なったCSI測定サブフレームサブセットに属すると、同一でない干渉環境の測定と見なし、当該REは一緒に平均を取らない。
【0127】
例えば、干渉測定を行うCSI−RS設定の周期が5サブフレームであり、かつオフセットが0のとき、このCSI−RSパターンはサブフレーム0,5,10,15,…に現れる。ここでは、基地局が二つのCSI測定サブフレームサブセットを設定し、サブフレームサブセット1は偶数サブフレームに、サブフレームサブセット2は奇数サブフレームに設定したとする。この場合、CSI−RSパターンのうち、サブフレーム0,10,20,…で測定された干渉からサブフレームサブセット1に対する干渉量を推定し、サブフレーム5,15,25,…で測定された干渉からサブフレームサブセット2に対する干渉量を推定する。言い換えると、特定サブフレームで干渉測定を行うCSI−RSが存在するとき、このCSI−RSから測定された干渉測定値は、当該サブフレームを含むCSI測定サブフレームサブセットに属するすべてのサブフレームでの干渉値を代表する。
【0128】
一方、CSI−RS設定の周期がCSI測定サブフレームの反復周期と適切に合わないこともある。これは、一般に、CSI−RS設定の周期は5msの倍数に設定されるのに対し、CSI測定サブフレームの反復周期は、LTEシステムのUL HARQプロセスの周期である8ms単位に設定されるためである。
【0129】
この場合、CSI測定サブフレームサブセットに対する信号通知とは別途の独立したサブフレームサブセットを信号通知し、このサブフレームサブセットに属するCSI−RS設定のREだけに対して同一の干渉状況にあると仮定することが好ましい。万一、CSI−RS設定内の別途のサブフレームサブセットに対する信号通知が与えられなかった場合は、CSI−RS設定内の全REで同一の干渉状況を仮定して干渉測定を行ってもよく、これは、CSI測定サブフレームサブセット信号通知とは関わりのない動作、すなわち、非制限的CSI測定に該当する。非制限的CSI測定を行う場合、特定サブフレームで干渉測定を行うCSI−RSが存在するときは、該CSI−RSから測定された干渉測定値が全サブフレームでの干渉値を代表する。
【0130】
このようにして、CSI−RS設定から測定された干渉をCSI報告動作に活用してもよい。例えば、基地局は、特定周期的/非周期的CSI報告で活用すべき干渉測定のために使用するCSI−RS設定又はアンテナポートを、RRCのような上位層信号又はL1/L2制御信号を用いて指定してもよい。
【0131】
以上説明したようなCSI−RSベースの測定(例えば、RSRP、RSRQ、経路損失、干渉など)を行うとき、CSI−RS送信が不規則的に現れる場合がある。例えば、CSI−RSは周期的に送信されるように設定されるが、この送信周期が、PBCHのような、旧型(legacy)端末が必ず受信すべき信号と重なる場合には、該当サブフレームの該当RBではCSI−RSが送信されなくなる。そのため、端末は、このようなCSI−RS REに対しては、上述した測定を行うことを排除することによって正しい動作が可能となる。
【0132】
特に、経路損失測定ベースの電力制御においては、端末がCSI−RSの送信されないREで(例えば、PBCHが代わりに送信されるREで)CSI−RSベースの経路損失を測定するとき、実際の基地局との経路損失ではなく不正確な測定値が得られ、そのため、アップリンク送信電力を余分に高く又は低く設定する問題がある。したがって、端末は、CSI−RSに基づいてRSRP、RSRQ、経路損失、干渉などの測定動作を行う際に、CSI−RSよりも高い優先順位を持つ信号と重なるREの位置をあらかじめ把握しておき、このようなREでは測定をしないか、又は、このようなRE以外のREで測定された値だけを用いて該当の動作(例えば、アップリンク送信電力制御)を行うように定義する必要がある。また、このようなREの位置は、上位層信号を用いて当該端末に伝達されることが好ましい。
【0133】
上述の本発明は、CSI−RSに限定されるものではなく、CRSを用いた測定にも適用可能であることは明らかである。
【0134】
図16は、本発明の一実施例に係る通信装置のブロック構成図である。
【0135】
図16を参照すると、通信装置1600は、プロセッサ1610、メモリ1620、RFモジュール1630、表示モジュール1640及びユーザインタフェースモジュール1650を備えている。
【0136】
通信装置1600は、説明の便宜のために例示したものであり、一部のモジュールを省略してもよく、必要なモジュールを更に備えてもよい。また、通信装置1600において、一部のモジュールをより細分化してもよい。プロセッサ1610は、図面を参照して例示した本発明の実施例に係る動作を実行するように構成される。具体的には、プロセッサ1610の詳細な動作は、
図1乃至
図15に記載された内容を参照されたい。
【0137】
メモリ1620は、プロセッサ1610に接続し、オペレーティングシステム、アプリケーション、プログラムコード、データなどを記憶する。RFモジュール1630はプロセッサ1610に接続され、基底帯域信号を無線信号に変換したり、無線信号を基底帯域信号に変換したりする機能を実行する。そのために、RFモジュール1630は、アナログ変換、増幅、フィルタリング及び周波数アップ変換、又はこれらの逆過程を行う。表示モジュール1640はプロセッサ1610に接続し、様々な情報を表示する。表示モジュール1640としては、これらに制限されるものではないが、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)のような周知の要素を使用する。ユーザインタフェースモジュール1650はプロセッサ1610に接続され、キーパッド、タッチスクリーンなどのような周知のユーザインタフェースの組合せで構成してもよい。
【0138】
以上説明した実施例は、本発明の構成要素及び特徴を所定形態に結合したものである。各構成要素又は特徴は、別の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮しなければならない。各構成要素又は特徴は、他の構成要素や特徴と結合しない形態で実施してもよく、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成してもよい。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更可能である。ある実施例の一部構成や特徴は、別の実施例に含まれることもあり、別の実施例の対応する構成又は特徴に置き換えられることもある。特許請求の範囲において明示的な引用関係にない請求項を結合して実施例を構成してもよく、出願後の補正によって新しい請求項として含めてもよいことは明らかである。
【0139】
本文書で基地局によって行われるとした特定動作は、場合によっては、その上位ノードによって行われることもある。すなわち、基地局を含む複数のネットワークノードで構成されるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局又は基地局以外のネットワークノードによって行われることは明らかである。基地局は、固定局、ノードB、強化ノードB(eNB)、アクセスポイントなどの用語にしてもよい。
【0140】
本発明に係る実施例は様々な手段、例えば、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの結合などによって実現してもよい。ハードウェアによる実現において、本発明の一実施例は、一つ又はそれ以上の特定用途集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラム可能論理デバイス(PLD)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって実現してもよい。
【0141】
ファームウェア又はソフトウェアによる実現において、本発明の一実施例は、以上で説明された機能又は動作を実行するモジュール、手順、関数などの形態で実現してもよい。ソフトウェアコードは、メモリユニットに記憶され、プロセッサによって駆動してもよい。メモリユニットは、プロセッサの内部又は外部に設けられ、既に公知の様々な手段によってプロセッサとデータを授受することができる。
【0142】
本発明は、本発明の特徴から逸脱しない範囲で別の特定の形態に具体化してもよいことは当業者にとって自明である。したがって、上記の詳細な説明は、いずれの面においても制限的に解釈してはならず、例示的なものと考えなければならない。本発明の範囲は、本願請求項の合理的な解釈によって決定することが望ましく、本発明の均等範囲内における変更はいずれも本発明の範囲に含まれる。