(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6130545
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】キャップ分別ペットボトル回収箱
(51)【国際特許分類】
B65F 1/16 20060101AFI20170508BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20170508BHJP
【FI】
B65F1/16
G06Q10/00 400
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-75444(P2016-75444)
(22)【出願日】2016年3月17日
【審査請求日】2016年3月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316003047
【氏名又は名称】カン インホ
【氏名又は名称原語表記】KANG INHO
(72)【発明者】
【氏名】カン インホ
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
特許第4915973(JP,B2)
【文献】
特開2012−035927(JP,A)
【文献】
特開2000−076533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 1/16
G06Q 10/00
B09B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットボトル回収箱にペットボトルを投入する人に、キャップをペットボトルから取り外すことを促してキャップを分別することを学ばせるための学習用ペットボトル/キャップ分別装置であり、ペットボトルを入れるペットボトル投入口であって普段は閉鎖されているペットボトル投入口と、
前記ペットボトル投入口から入れられた前記ペットボトルを貯めるボトル回収タンクと、
前記ペットボトルのキャップを挿入するキャップの挿入口と、
前記キャップを貯めるキャップタンクと、
前記キャップ挿入口に前記ペットボトルから人手によって取り外されたキャップが入れられることによりペットボトル投入口を開放する機構を有し、
前記ペットボトル投入口を開放する機構が、ペットボトル投入口を開放するシャッターとこのシャッターを開閉する機構であって、このシャッターを開閉する機構が、キャップ挿入口から入ったキャップを検出するセンサと、センサからの検出信号を受けてシャッターを開方向に移動させるモータとを有することを特徴とするキャップを分別することを学ばせるための学習用ペットボトル/キャップ分別装置。
【請求項2】
さらに、前記ペットボトルからキャップを外して前記挿入口に入れることで前記シャッターが開くことを利用者に示す表示を有することを特徴とする請求項1に記載のキャップを分別することを学ばせるための学習用ペットボトル/キャップ分別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みのペットボトルを捨てるときにおいて、キャップを取らない限り、ペットボトル自体を捨てられない仕組みのキャップ分別を伴ったペットボトルの回収箱である。
【背景技術】
【0002】
ペットボトルのリサイクルのために、分別回収が行われている。この際、キャップをボトル本体から外してから回収箱に投入することが望ましい。エコキャップ推進協会では、ペットボトルのキャップを回収して再生ペレットとして使用したり、キャップの販売による売上金を震災復興金や地域支援金として寄付している。コンビニなどの店頭にはペットボトルを分別して回収する回収箱が設置されているが、そのような回収箱から回収されたペットボトルは、そのキャップが必ずしも外されているわけではない。このため、そのようなボックスにペットボトルを投入する際に、キャップをペットボトルから外して分別すことができるような仕組みが要望されている。
【0003】
従来の技術として、特許文献2や特許文献1のような回転式キャップ抜き具はすでに存在していたが、これらの従来技術は、いずれも握力のない人たちに代わって自動でキャップを回転して取り外すための装置である。このような装置をペットボトル回収箱に取り付けてもキャップの回収率が向上するとは思えない。また、従来技術の装置は複雑で製造コストも高くなる。
【0004】
また、特許文献3や特許文献4や特許文献5のようなペットボトル回収において手間を省く仕組みの従来技術もあった。だが、いずれもキャップの分別と回収という点では十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−162254
【特許文献2】特開2013−095493
【特許文献3】特開2005−153019
【特許文献4】特開2000−167511
【特許文献5】実用新案登録第3144881号
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ペットボトルを捨てる際、キャップを取り外さずにそのまま捨ててしまう人をよく見かける。しかし、従来のペットボトル回収箱では、キャップを取り外してボトルだけを投入するような仕組みになっていない。このため、人々はキャップを取り外すことなくボトルをそのままペットボトル回収箱に投入することになる。そこで本発明は、ペットボトル回収箱にペットボトルを投入する人に、キャップをボトルから取り外すことを促して、キャップを分別することを可能とする新規なペットボトルの回収箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ペットボトルを入れるペットボトル投入口であって普段は閉鎖されているペットボトル投入口と、そのペットボトル投入口から入れられたペットボトルを貯めるボトル回収タンクと、ペットボトルのキャップを挿入するキャップ挿入口と、キャップを貯めるキャップタンクと、キャップ挿入口に入れられることによりペットボトル投入口を開放する機構を有するペットボトル/キャップ分別装置である。
【0009】
【発明の効果】
【0010】
この装置では、普段は閉鎖しているペットボトル投入口1を、キャップ挿入口2にキャップが挿入されることにより開放する機能を有する。そのため、ペットボトルから外したキャップを挿入口2に入れない限り、ペットボトル投入口1からペットボトルを投入することができない。従って、利用者は自ずとキャップをペットボトルから外すことを行うことになる。それゆえ、従来技術のようにキャップを機械式に回して外すための複雑な機構や装置も不要となる。また、この装置は、キャップをボトルとは分けて回収させる操作を利用者に学習させている点で、環境及び社会的なモラルの学習機能を備えている。この装置を使用することで、エコキャップ推進協会のキャップ回収率を向上させ、キャップの再生や販売を通じて社会貢献につながる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、ペットボトル回収箱の外観を示す図である。
【
図3】
図3は、回収箱の他の実施形態における開閉機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
図1に示したように、回収箱8の外観は、傾斜した上面にペットボトルの投入口1とその横にキャップの挿入口2がある。投入口1には、投入口1を開閉可能なシャッター3が取り付けられ、シャッター3を開閉するための開閉機構が内部に設けられている。回収箱8の内部を
図2の内部断面図で説明する。開閉機構は、シャッター3に取り付けられたラック3aと、ラック3aと噛み合うピニオンギア3bと、ピニオンギア3bを回転するモ−タ6と、投入されたキャップを検知するセンサ5と、センサ5がキャップを検知したときにモ−タ6を駆動する駆動回路7を有する。シャッター3は投入口1を閉じる位置と投入口1を開ける位置の間をモータ6により移動することができ、通常は投入口1を閉じる位置に位置付けられている。つまり、普段は投入口1が閉鎖されていて利用者はペットボトルを投入することができない状態である。駆動回路7はセンサ5からのキャップ検出信号受信してモータ6を駆動してシャッター3を開位置に移動させる。センサ5は、例えば、光照射部と受光部を持つ光学センサや、感圧式センサや、機械式センサなどにすることができる。キャップの挿入口2の近傍には、
図1に示すように「ペットボトルからキャップを外してして下の穴に入れると左のシャッターが開きます」と書かれた表示4が付されている。
【0013】
この回収箱8は次のように動作する。まず、利用者がペットボトルを回収箱8に入れるときにシャッター3が閉じられているために、そのままではペットボトルを投入口1から入れることはできない。利用者は表示4に気が付き、利用者が自らペットボトルからキャップを外す。次いで、表示4に従って、外したキャップをキャップの挿入口2に入れると、キャップはキャップタンク10に落下する。この際、落下するキャップをセンサ5が検知する。センサ5は、検知信号を駆動回路7に送り、駆動回路7はモ−タ6に駆動電流を流す。これによりモ−タ6が駆動して、ピニオンギア3bを回転してシャッター3を一定時間だけ開ける。その間に、利用者は投入口1からペットボトルをボトル回収タンク9に入れることができる。一定時間後、モータ6は逆回転してシャッター3閉じる。こうしてペットボトルとキャップが分別回収される。この実施形態では、シャッター開閉機構がペットボトル投入口の開放機構となる。
【0014】
<第2実施形態>
上記例では、シャッター3を開閉するための開閉機構として、シャッター3に取り付けたラック3a、ピニオンギア3b、モータ6、駆動回路7、センサ5などを使ったが、それに限らない。動力源を要さない機械式にすることができる。たとえば、
図3に示したように、キャップ投入口20の近傍にキャップ(のギザギザ)をはめ込んで回転させることができる筒13(挿入口)を設ける。そしてベルト12の一端を筒13に連結し、ベルト12の他端をシャッター3に連結する。シャッターは、ガイド(図には示していません)上を左右方向にスライド移動してペットボトルの投入口1を開放できるようにする。シャッター3には、バネ11を連結してシャッターが閉じる方向に戻り力が作用するようにしておく。
【0015】
このような機構を持つ装置において、利用者はまずキャップを筒13に差し込んで筒13を矢印の方向に回すと、ベルト12が筒13に巻き取られるとともに、シャッター3が移動してペットボトルの投入口1を開放する。ペットボトル投入口1からペットボトルを入れた後に、筒を回している手を緩めると、シャッタ−がバネ11により元の閉鎖位置に戻る。そのキャップをとり、キャップ投入口20に投入し、キャップのみがリサイクルできる。この実施形態の回収箱は動力源を必要としないので、公園等の屋外に設置できるメリットがある。この場合、投入口20と筒13を一体にして筒13の奥に投入口20を設けてもよい。
【0016】
<変形例>
第1および第2の実施形態ではシャッター開閉機構がペットボトル投入口の開放機構であった。すなわち、ペットボトル投入口を開放するためにシャッターを機械式的に制御して開けた。しかし、シャッターを直接、手動で開閉できるようにしてもよい。この場合に、シャッターの開閉を規制するロック機構を設ける。ロック機構は、第1実施形態ではセンサ5がキャップの挿入を検知したときに、ロックを解除する。ロックが解除されると、利用者は直接、手でシャッターをスライドして開放することができるようになる。シャッターは、例えば、ばね付勢して利用者が手を放すと元の位置に戻るように構成する。そして、一定時間経過後、再び、ロック機構がシャッターをロックする。第2実施形態では、ベルト12を使用してシャッター3を開閉したが、シャッターにロック機構を設けて、ベルトによってロック機構を作動させるように構成してもよい。この場合もシャッターは、例えば、ばね付勢して利用者が手を放すと元の位置に戻るように構成する。この変形例では、ロック機構がペットボトル投入口の解放機構となる。
【0017】
上で説明した実施形態では、シャッター3としてスライド移動してペットボトル投入口を開閉するシャッターを例示したが、これに限らず所定の軸(ヒンジ)を基点として回転するドアタイプのシャッターでもよい。前述のロック機構と組み合わせると、利用者はキャップを投入口に入れる(または入れて回すと)と、ロックが解除されるので、利用者はシャッターを押し開けてペットボトルを投入口から押し込むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
この発明のペットボトル/キャップ分別装置では、ペットボトルから外したキャップを投入口2に入れない限り、ペットボトルの投入口を開放することができない。このため、利用者は自ずとキャップをペットボトルから外すことを行うことになる。それゆえ、従来技術のようにキャップを機械式に回して外すための複雑な機構や装置も不要となる。また、この装置は、キャップをボトルとは分けて回収させる操作を利用者に学習させている点で、環境及び社会的なモラルの学習機能を備えている。この装置を使用することで、エコキャップ推進協会のキャップ回収率を向上させ、キャップの再生や販売を通じて社会貢献につながる。
【符号の説明】
【0019】
1 ペットボトルの投入口
2 キャップの挿入口
3 シャッター
3a ラック
3b ピニオンギア
4 「ペットボトルからキャップを外してして下の穴に入れると左のシャッターが開きます」と書かれた表示
5 センサ
6 モータ
7 駆動回路
8 回収箱(ペットボトル/キャップ分別装置)
9 ペットボトルのボトル回収タンク
10 キャップタンク
11 バネ
12 ベルト
13 キャップ(のギザギザ)をはめ込んで回転させることができる筒(実際のペットボトルのねじ部の形でも可)
20 キャップ投入口
【要約】
【課題】ペットボトル回収箱8にペットボトルを投入する人に、キャップをボトルから取り外すことを促して、キャップを分別することを可能とする。
【解決手段】
ペットボトル/キャップ分別装置は、ペットボトルを入れるペットボトル投入口1と、そのペットボトル投入口から入れられたペットボトルを貯めるボトル回収タンク9と、ペットボトルのキャップを入れるキャップ挿入口2とそのキャップ挿入口から入れられたキャップを貯めるキャップタンク10と、ペットボトル投入口を開閉する投入口カバーであるシャッター3と、キャップ投入口からキャップが入れられたときに入口カバーであるシャッター3を開ける機構を有する。
【選択図】
図2