特許第6130582号(P6130582)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6130582
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】ヘアバンド
(51)【国際特許分類】
   A45D 8/36 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
   A45D8/36 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-238107(P2016-238107)
(22)【出願日】2016年12月8日
【審査請求日】2016年12月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】714006750
【氏名又は名称】滝沢 幸子
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 幸子
【審査官】 横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−116902(JP,U)
【文献】 実開昭62−100104(JP,U)
【文献】 実開平05−031701(JP,U)
【文献】 米国特許第01638756(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0094768(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 8/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成して、一部に挿入口を設けた環状部材の両端部を、ゴム紐が挿入できるよう空間を設けて結合してなる環状帯を、環状帯の対向部を部分的に連結することで形成される2つの環状帯の中央部付近を、更に連結することで上下2連状の環状帯とした2連状の環状帯と、前記挿入口から挿入され、2連状の環状帯を通り、両端部が結合されたゴム紐とを有したヘアバンドであって、2連状の環状帯を耳の上下に位置するよう装着することで、上下のずれを防止することを特徴とするヘアバンド。
【請求項2】
筒状に形成した環状部材の両端部を、ゴム紐が挿入できるよう空間を形成して結合した環状帯を2つ用意し、一方には挿入口を設け、前記環状帯の対向する2か所を2つの連結部材で連結して上下2連の環状帯とした2連の環状帯と、一方の連結部内にはゴム紐が挿入できる空間が設けられ、前記挿入口から挿入され、2連の環状帯及び一方の連結部材を通り、両端部が結合されたゴム紐とを備えたヘアバンドであって、2連の環状帯を耳の上下に位置するよう装着することで、上下のずれを防止することを特徴とするヘアバンド。
【請求項3】
筒状に形成した環状部材の両端部を、ゴム紐が挿入できるよう空間を形成して結合した環状帯を2つ用意し、前記2つの環状帯にそれぞれ挿入口を設け、前記環状帯の対向する2か所を連結して上下2連の環状帯とした2連の環状帯と、前記挿入口から挿入され、それぞれの環状帯を通り、両端部が結合されたゴム紐とを備えたヘアバンドであって、2連の環状帯を耳の上下に位置するよう装着することで、上下のずれを防止することを特徴とするヘアバンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアバンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヘアバンドには、布を単純に円状に縫い合わせゴム等の伸縮性を利用した物や、ヘアピン等の髪留め具でバンドを頭に固定する物などがあるが、ヘアバンドを利用する上での課題は、装着後にヘアバンドが上下にずれてしまうことにある。
【0003】
特開平11−244029においては、輪状に形成された伸縮性のないヘアバンドで、前記ヘアバンドに耳かけ穴2か所と、留め具を通すループ穴を複数ヶ所設け、耳かけ穴に耳を通すことで遮音を解消し、ループ穴から留め具を用いて髪の毛とヘアバンドを固定する技術が記載されているが、ヘアバンドの上下へのずれに対する効果は見込めず、ヘアバンドと留め具を別々に準備しなければいけないこと、複数の留め具(ヘアピン等)の取り付けが必要となり、着脱に手間がかかり利便性を損なうこと、取付の具合・髪質・髪の量などによって効果が左右されること、伸縮性のないバンドであるため髪の毛のまとまり感に乏しいなどの課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−244029号(要約書、図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のヘアバンドには、布を単純に円状に縫い合わせゴム等の伸縮性を利用した物や、ヘアピン等の留め具により布を頭に固定したりする物などがある。
ゴム等の伸縮性を利用したヘアバンドは、洗顔時・化粧時など使用中の体の動きなどによって、ずり上り・ずり下がりが起こったり締め付けられたりする事が起きやすい。また、留め具によりバンドを頭に固定する物は、留め具の準備とその取り付けが必要となり、着脱に手間がかかることや、髪の固定が不十分で時間の経過と共に髪がほつれて垂れてくる事は容易に想像できる。
【0006】
本発明は以上に述べた実情に艦がみ、頭部へ装着後のヘアバンドの上下へのズレを防止すること、併せて、前髪や側頭部の髪垂れを防ぎ、着脱が容易で、快適な装着性を維持し、締めつけ感、耳塞ぎ感の問題などを解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
筒状に形成して、一部に挿入口を設けた環状部材の両端部を、ゴム紐が挿入できるよう空間を設けて結合してなる環状帯を、環状帯の対向部を部分的に連結することで形成される2つの環状帯の中央部付近を、更に連結することで上下2連状の環状帯とし、前記挿入口からゴム紐を挿入してなり、2連状の環状帯を耳の上下に位置するよう装着することで、上下のズレを防止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のヘアバンドは、2連状の環状帯を耳の上下に配することで、上下のズレを防止することができ、併せて、装着性と装着感が向上するとともに、前髪や側頭部の髪垂れをしっかり防ぐことができる。
【0009】
また、従来は女性の洗顔時や化粧時の使用が主だっていたが、本発明により長時間の快適な装着が可能となるため、家事・リラックス時・スポーツ時などの汗止めなど生活全般において、男性においても活用できるものである。
【0010】
更に、高度な衛生環境が求められる製造現場などにおいても、本ヘアバンドで髪止めをしたのち衛生キャップを被ることによって、髪の毛やフケなどが落下して製品に混入したりするなどの事故を防ぐことに役立ち、衛生面の更なる向上が期待でき、宿泊施設などの業務用の消耗品として、サービスの向上に役立つことも期待できる。
【0011】
さらに、2連状の環状帯の中を通るゴムは1本であるため、2つの環状帯内のゴム紐の長さが調整でき、これにより締めつけ感を回避し装着感が向上するとともに、手軽な脱着感を得られ、耳塞ぎもなく、しっかり髪が押さえられ長時間の快適な装着が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】縫合前の環状部材の平面図
図2】縫合後の環状部材の正面図
図3】環状帯の斜視図
図4】1ヶ所連結した環状帯の斜視図
図5】2ヶ所連結した環状帯の斜視図
図6】完成したヘアバンドの一例の斜視図
図7】ゴム経路を示す斜視図
図8】ヘアバンドの装着状態を示す側面図
図9】2つの環状帯を用いたヘアバンドの一例の斜視図
図10】ゴム経路を示す斜視図
図11】ヘアバンドの装着状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のヘアバンドについて、図面を引用して説明する。
【実施例1】
【0014】
本ヘアバンドは、一つの環状部材を2か所連結することで、環状帯を2連状に配したことを特徴とする。
図2図3に示すように、環状部材を内部に空間を設けて筒状に縫合または結合し、縫合または結合の一部にゴム紐を挿入する挿入口10を設け、環状部材の両端部を、ゴム紐の経路を確保して結合し環状帯6を形成する。
次に図4図5に示すように、環状帯6の対向部を連結部材3aを用い部分的に連結し、もう一方の対向部を連結部材3bを用い連結することで、上下2連状の環状帯を形成する。ひとつの環状帯を2か所連結して2つの環状帯を形成しているため、2つの環状帯は厳密には2連ではないので2連状と表現している。
【0015】
2連状の環状帯に図7に示すように、挿入口10からゴム紐を挿入し、ゴム紐の両端部を連結することで、ヘアバンドは完成する。
2連状の環状帯の中に挿入するゴム紐は1本で経路できるようになっている。これにより、装着した時の2つの環状帯が頭部の位置により径が違うことに合わせ、ゴム紐の配置を調整ことで、締め付け具合が調整できるため、頭部に負担のない快適な装着を実現している。図8はヘアバンドの装着状態を示す側面図である。
【0016】
本ヘアバンドの特徴は、2連状の環状帯で形成される開口部2a及び2bにある。
この開口部に耳を入れることにより、耳がヘアバンドの上下移動の防止につながり、装着位置が安定する。連結部を除いた部分が開口部となるため、耳を入れる位置の自由度も向上する。
【0017】
次に本ヘアバンドの製作手順について説明する。
図1に示すように、例えば、横1m60cm、縦12cmの布を用意し、一端部と他端部を、縦方向において両端に1cm程度の縫い代をとり中心部である山折り部8より半分に折ったあと、内部に空間を設けて縫合または結合し筒状に形成する。
【0018】
つぎに、環状部材を4等分となるように、環状部材の折合わせ部4側に、環状部材の連結位置5a及び5bと、山折り部8側に環状部材の連結位置5c及び5dの位置決めをしておく。
ここで、別布で作成した連結部材3aの一方を、環状部材の連結位置5aに仮止めすると共に、連結部材3aの他方を環状部材の連結位置5bに仮止めをし、挿入口10を除き、環状部材の折合わせ部4を縫合する。縫合に替えて接着剤で結合してもよい。
【0019】
同様に、別布で作成した連結部材3bの一方を、環状部材の連結位置5cに仮止めすると共に、連結部材3bの他方を環状部材の連結位置5dに仮止めし縫合する。縫合に替えて接着剤で結合してもよい。
環状部材の折合わせ部4側の5a及び5bと、山折り部8側の5c及び5dを縫合または結合することで開口部2a及び2bを設けることができる。
【0020】
最後にゴム紐の挿入口10よりゴムを挿入し環状部材内に挿入し、両端を結ぶ、または縫合して完成する。ひとつの環状帯を2か所連結した構造であるため、2連状の環状帯の中に挿入するゴム紐は1本で経路できるようになっている。図3は環状帯の斜視図、図4は1ヶ所連結した環状帯の斜視図、図5は2ヶ所連結した環状帯の斜視図、図6は完成したヘアバンドの一例の斜視図、図7はゴム経路を示す斜視図である。
【実施例2】
【0021】
図9に示すように、ほぼ同じ大きさの2つの環状帯を2つ用意し、各々を連結部材3a、3bによって連結し2連に形成してもよい。筒状に形成した環状部材の両端部を、ゴム紐が挿入できるよう空間を設けて結合した環状帯を2つ用意する。一方の環状帯には挿入口を設け、前記環状帯の対向する2か所を結部材3a、3bにて連結して上下2連の環状帯を形成する。図11に示すように、一方の連結部材の内部にはゴム紐が挿入できる空間を設け、挿入口10からゴム紐を挿入し、ゴム紐の両端部を結合することで完成する。空間を設けた連結部材内を経路するゴム紐は、連結部材内で交差させる。
【0022】
本ヘアバンドの特徴は、2連状の環状帯で形成される開口部2a及び2bにある。
この開口部に耳を入れることにより、耳がヘアバンドの上下移動を防止し、装着位置が安定する。連結部分を除いた部分が開口部となるために耳を入れる位置の自由度も向上する。
【0023】
加えて、片側の連結部材内部にはゴム紐が挿入できる空間を確保することにより、2連状の環状帯の中に挿入するゴム紐は1本で経路できるようになっている。これにより、装着した時の2つの環状帯が頭部の位置により径が違うことに合わせ、ゴム紐の配置を調整ことで、締め付け具合が調整できるため、頭部に負担のない快適な装着を実現している。図12はヘアバンドの装着状態を示す側面図である。
【0024】
次に製作手順について図面を引用して説明する。
例えば、横80cm、縦12cmの布を2枚用意し、2枚それぞれに一端部と他端部を繋げて環状部材を形成する。つぎに2枚それぞれに縦方向において、両端に1cm程度の縫い代をとり山折り部8より半分に折る。
【0025】
次に、別布で作成した連結部材3aを、例えば横10cm、縦5cmの布に、その4辺に1cmの縫い代を配し、環状部材の横方向から二つ折りにしたものの一方を、折合わせ部4を開放した状態で、環状部材の折合わせ部4の任意の一点に仮止めすると共に、連結部材3aの他方を、もう一方の環状部材の任意の一点に仮止めし、共に縫合する。
【0026】
この時連結部材3aは二つ折りの状態ではなく開いた状態で仮止めし、横10cmの長さのうち5cmを縫合する。もう一つの連結部材3bの一方及び他方を、開放した状態の環状部材の二等分の位置に仮止めし本縫いする。この場合も連結部材は二つ折り状態ではなく開いた状態で仮止めし横10cmのうち5cmを縫合する。
【0027】
次に、連結部材を半分に折り合わせた状態で環状部材を中折りにし、連結部材部分とゴム挿入口を除いた全てを縫い合わせる。そのあと、本縫いしていない側の連結部材3a、連結部材3bの折合わせ位置をまつり縫いとする。この作業は環状部材内にゴム紐を通すための空洞を確保するためである。その時点で縫い合わされていない連結部材の縫い合わせ部は、連結部材とゴム用の空洞部の縫い合わせを防ぐためであり、かつ作業の自由度を高め効率的に遂行するためのものである。
最後に、ゴム挿入口よりゴムを環状部材内に通し、端と端を結んでまたは縫い合わせて完成させる。
【実施例3】
【0028】
2連の環状帯の中を空洞として繋げない事も可能である。
その場合の製法は、すでに縫合し3a、3bとして形成された連結部材を、2本の環状部材の折合わせ部に挟みこむよう配置し、2本の環状部材のそれぞれにゴムを挿入するための2カ所のゴムの挿入口以外の折り合わせ部分を縫い合わせ、ゴムを挿入、貫通させ、縫合するか結び完成する。
【0029】
この製法の場合、装着時のゴムの長さ調整は不可能となるが、施工面においてはゴム貫通部を空洞にする製作方法と比較し容易となる。
上記のように、本発明によるヘアバンドは、連結部材により連結することで現出する開口部に耳を挟みこむ事ができるため、ずり上がり・ずり下がりの防止となる。
【0030】
さらに、2連の環状部材の中を通るゴムは1本であるため、耳の上下でそれぞれの環状部材の長さの調整が可能となる。
よって締めつけ感を回避し装着感が向上するとともに手軽な脱着感を得られ、耳塞ぎもなく、しっかり髪が押さえられ長時間の快適な装着が可能となる。
【0031】
本発明は、以上に述べた実施形態に限定されない。
素材の質や厚みによっては、連結部材の連結方法によってゴムの通りを阻害しヘアバンドの長さの調整に手間が掛り、仕上がりの美観を損ねる場合がある。その場合には連結部材の端部の仕上げ処理を施したうえでヘアバンド表面に直接縫い合わせる等の別な方法もある。ゴムの通り道を阻害せず、仕上りの美観に影響しないのであれば連結方法は限定するものではない。
【0032】
縫製や接着が可能で髪や皮膚にストレスを与えない素材であれば素材は布に限定するものではない。例えば宿泊施設など使用回数を限定するような用途の場合などは紙等の素材を採用したり、浴室など湿度の高い場所や生産現場における衛生面向上を目的とする場合にはビニール等の素材を採用したりできる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のヘアバンドは、工業生産が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 耳
2 開口部(2a、2b)
3 連結部材(3a、3b)
4 環状部材の折合わせ部
5 環状部材の連結位置(5a、5b、5c、5d)
6 環状帯
8 山折り部
9 縫合位置
10 挿入口
11 ゴム経路
12 ヘアバンド本体
【要約】
【課題】
本発明は、頭部に装着したヘアバンドが、締め付けられたり、ずり上がったりずり下がったりしないヘアバンドを提供することを課題とする。
【解決手段】
筒状に形成して、一部に挿入口を設けたバンド部の両端部を、ゴム紐が挿入できるよう空間を設けて結合してなる環状帯を、環状帯の対向部を部分的に連結することで形成される2つの環状帯の中央部付近を、更に連結することで上下2連状の環状帯とし、前記挿入口からゴム紐を挿入してなり、2連状の環状帯を耳の上下に位置するよう装着することで、上下のずれを防止することを特徴とする。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11