(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スクリュー要素SEが、モジュール構造方式にて1つの中核軸と、前記中核軸のための1つの配置ソケットを有するスクリュー要素とからできているか、または一体構造方式のスクリューとして存在するか、または一体構造方式で製造された個々のサブセグメントからなるスクリュー軸として存在することを特徴とする、請求項1または2に記載の脱ガス装置。
少なくとも1つの脱ガスゾーンが、前記押出機(14)の前記搬送方向における前記供給ゾーン(4)の上流に配置されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の脱ガス装置。
前記押出機(3)の上流に、それぞれ脱ガス押出機または脱ガス混錬機として設計された1つのプレ押出機(2)または1つのプレ混錬機が配置されていることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の脱ガス装置。
前記エラストマー含有媒体(EM)に、溶液−スチレン−ブタジエンゴム(SSBR)またはエマルジョン−スチレン−ブタジエンゴム(ESBR)のようなスチレン−ブタジエン−ゴム、天然ゴム(NR)、ネオジウムブタジエンゴム(NdBR)、リチウム−ブタジエンゴム(LiBR)、およびコバルト−ブタジエンゴム(CoBR)のようなブタジエン−ゴム(BR)、イソプレン−ゴム(IR)、エチレンプロピレンジエン(Mクラス)ゴム(EPDM)のようなエチレン−プロピレン−ジエン−ゴム、エチレン−プロピレン−ゴム、アクリルニトリル−ブタジエン−ゴム(NBR)のようなニトリル−ゴム、水素化ニトリルゴム(HNBR)、イソブテン−イソプレン−ゴム(IIR)のようなブチルゴム、クロロブチルゴム(CIIR)のようなハロブチルゴム、およびブロモブチルゴム(BIIR)、またはアミンまたはフォスフィンによる転換によりハロブチルゴムから製造されたイオノマー、第3フォスフィンによるBIIRの転換により得られるイオノマー、クロロプレン−ゴム(CR)、エチレン−ビニルアセテート−ゴム(EVAおよびEVM)、ポリウレタン−ゴム、グッタペルカ、フルオロゴム、シリコンゴム、スルフィドゴム、クロロスルホニル−ポリエチレン−ゴム、ならびに上記のエラストマーの任意の混合物が使用されることを特徴とする、請求項21または22に記載の方法。
前記エラストマー含有媒体(EM)の形状が、懸濁液、ペースト、溶液、溶解物、塊状固形素地、または上記の形状の混合であることを特徴とする、請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
前記脱ガス通気孔(16)および前記脱ガスドーム(17)内の圧力が1hPa〜2,000hPaであることを特徴とする、請求項21から26のいずれか一項に記載の方法。
前記脱ガス装置の前記押出機に、またはプレ押出機またはプレ混錬機に、ストリッピング剤が供給されることを特徴とする、請求項21から27のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
押出成形は、ポリマーの製造、処理、および加工において頻繁に使用される方法である。ここにおいて、およびこれ以降、押出成形という言葉は、単軸押出機または多軸押出機における媒体の処理のことを言う。
【0003】
ポリマーの製造では、ポリマー含有媒体からモノマー、オリゴマー、助剤、および溶媒等の揮発性成分を除去するために、押出成形が工業的に使用されている([1]、192〜212頁、[1]=クレメンス・コールグリューバー。2軸押出機、ハンザー出版ミュンヘン2007年)。押出成形では、場合によって追加的に、たとえばグラフト、官能基の修飾、または分子量の適切な増減により分子量を変更するなどしてポリマーの化学的改質を行うことができ、あるいはポリマーにたとえば添加剤を混合して変換することができる。
【0004】
押出成形にはこうした利点がある一方で、特に処理要素として一般的に押出機内に使用されるスクリュー要素のカム領域において、押出成形されるべきポリマー含有媒体内に非常に多くのエネルギーが放散され、それによって局所的に過大な過熱が生じ得るという欠点がある。この局所的な過熱は、臭い、色、化学的組成を変化させるなど生成物に損傷をもたらす可能性があり、あるいはゲル体またはフィッシュアイ等により生成物を不均質にする可能性がある。
【0005】
局所的な過熱における各種ポリマーの損傷見本は、たとえば特許文献1の22頁7行目から24頁25行目までに記載されている。
【0006】
特にたとえばポリブタジエン(BR)、天然ゴム(NR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、ブロモブチルゴム(BIIR)、スチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)、クロロプレン−ゴム(CR)、ブタジエン−アクリロニトリル−ゴム(NBR)、部分水素化ブタジエン−アクリロニトリル−ゴム(HNBR)、およびエチレン−プロピレン−ジエン−コポリマー(EPDM)等のゴムは、温度が高過ぎると架橋およびゲル形成の傾向があり、そのためそれらから製造される生成物の機械的特性は大きく低下する。クロロブチルゴム、ブロモブチルゴムおよびクロロプレンゴムが含まれる場合、温度が高くなると腐食性の塩化水素または臭化水素が遊離することがあり、それらがポリマーのさらなる分解を触媒する。
【0007】
ポリマー損傷が起こる際の反応速度は温度に依存し、反応速度定数k(T)は下記のアルニウスの式によって表すことができる。
k(T)=A
*exp(−E
A/(R
*T))
この式で、kは反応速度定数、Tは絶対温度(単位[K])、Aは頻度因子、E
Aは活性化エネルギー(単位[J/mol])、Rは一般気体定数(単位[J/(mol
*K)])である。
【0008】
従ってポリマー含有媒体の押出成形方法は、エネルギー関連の観点からも一般に、平均温度の上昇ができるだけ小さくなるように、かつたとえば典型的なエルトメンガースクリュープロファイルを有する従来技術によるスクリュー要素のカム領域で生じるような局所的な温度ピークが回避されるように設計されなければならない。
【0009】
特にポリマー含有媒体からたとえば残留溶媒や水等の揮発性成分を除去する場合、揮発性成分の除去を促進する高度の表面リニューアルを、スクリュージオメトリによって達成することが引き続き有利である。
【0010】
従来技術は、これらの問題に対処する解決策の端緒を多く有する。
【0011】
特許文献2には、1条式の処理要素および/またはスクリュー要素を有する2軸スクリュー機械が開示されている。断面においてスクリュー要素の外輪郭線は円弧からなる。回転方向に延びるアクティブなフランクは、3つの円弧からなる外輪郭線を有し、それらの円弧の中心はスクリュー要素の外径上または長軸上にある。欠点は、これらのスクリュー要素が、加工される材料に作用するせん断流および/または膨張流の調整に際して可変性に乏しいことである。
【0012】
特許文献3および特許文献4には、角を取って丸くした形状により押出成形中にポリマー含有材料へのエネルギー投入量が少なくなる押出機用処理方法、特にスクリュー要素が開示されている。
【0013】
特許文献5には、バイモーダルポリオレフィンを脱ガスする処理プラントおよび方法が開示されている。この処理プラントでは、2つの同期作動式2軸押出機が直列に並んでおり、その際流れ方向から見て2番目の押出機が、処理されるべきポリオレフィンを脱ガスするための脱ガスゾーンを有する。この処理プラントの欠点は、脱ガス性能、すなわち望ましからざる揮発性成分の脱ガス率が低いことである。
【0014】
特許文献6には、激しく脱ガスする材料を加工するための方法および装置が開示されている。この押出装置は、1つの主押出機とこれに脇から開口する2つの副押出機を有し、それにより主押出機の気化ゾーン内で生じるガス流が少なくとも3つの部分流に分かれ、その後それらは押出機から排出される。
【0015】
特許文献7には、混錬機を用いてポリマー含有媒体から揮発性成分を除去する方法が開示されている。この場合エネルギーの一部は混錬機の壁を介して導入され、溶媒の気化に使用される。さらにエネルギーは、混錬機の回転する軸を介して機械的エネルギーとして導入される。混錬機による機械的エネルギーの導入は生成物の粘性に大きく依存することから、工業的方法としてのこの方法の可変性は大きく低下し、その結果この方法の魅力も大きく減少する。
【0016】
特許文献8には、1つの逆方向脱ガスゾーンと、真空下で稼働する流れ方向の複数の脱ガスゾーンとを有する、プラスチックを脱ガスする装置および方法が開示されている。この真空状態は、揮発性成分の残留濃度を低くするのに必要である。
【0017】
1つのフラッシュタンクおよび1つまたは複数の押出機を用いたゴム溶液の直接的脱ガスが非特許文献1、ならびに特許文献9および特許文献10に開示されている。
【0018】
特許文献11には、乾燥プロセス中に超音波ソノトロードを使用して、ブチルゴムのような含水量0.1重量%未満のポリマーを製造する方法が開示されている。しかし超音波による非常に大きいせん断荷重は、商業的利用には不利である。
【0019】
特許文献12には、ゴム溶液を濃縮する1段階式の方法が開示されている。この場合、真空下の脱ガスにより1段階で溶媒を除去するために、ゴム溶液は水蒸気で加熱され、それにより白いクラムが生成される。その際特許文献12は、低蒸気圧で揮発性成分を除去するのに大容量の蒸気流を必要とするので、不都合なことにさらなる水分をクラム内に閉じ込めてしまう。EP 0 764 076Aには、押出機稼働時の非対称のジオメトリによって、低温でもこの種の溶解物のダイナミックな混錬に寄与する、ポリマー溶解物を処理するためのスクリュー要素が開示されている。
【0020】
上に挙げた解決の糸口はしかし、エラストマー含有媒体の押出成形には転用できないか、あるいはまだ改善可能である。
【0021】
特許文献14には、特にポリマー溶解物、ポリマー溶液、およびポリマー分散液等のポリマー含有媒体を脱ガスする方法、ならびに上記の方法を実施するための脱ガス装置が開示されているが、この場合よりよい脱ガス成果を得るには、スクリュージオメトリが特定の幾何学的要件を満たす必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
よって本発明の課題は、高い脱ガス性能を、高いエラストマー装入量および僅少な揮発性成分残留量と併せて可能にする、エラストマー含有媒体から揮発性成分を除去する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の目的は、エラストマー含有媒体から揮発性化合物を除去するのに特に適しており、かつ少なくとも1つの押出機を有する装置であって、上記押出機は少なくとも
・1つのバレル、および対応する孔径D
nのn個のバレル孔B
n(nは2〜16の整数であり、特に好ましくは2〜12の整数であり、さらに特に好ましくは2〜8の整数であり、最も特に好ましくは2である)であって、上記バレル孔は互いに貫通し合い、好ましくは平行に配置されている、1つのバレル、およびn個のバレル孔B
nと、
・バレル孔B
nのそれぞれ1つの中に同心にて配置され、それぞれ1つの回転軸A
nを有し、かつそれぞれ少なくとも1つの処理要素を備える、n個の同方向に回転駆動可能な軸W
nであって、上記処理要素の円周方向の断面プロファイルが以下の特徴:
−上記軸W
nの回転軸A
nに対する上記処理要素の断面プロファイルの半径方向寸法に関するm個の極大値R
mmax n(mは1〜16の整数であり、好ましくは1〜8の整数であり、特に好ましくは1、2、3、または4であり、さらに好ましくは1、2、または3であり、最も好ましくは2または3である)であって、さらに、少なくとも1つの極大値R
mmax nが、上記軸W
nの回転軸A
nに対する上記処理要素の断面プロファイルの半径方向寸法に関する半径方向寸法の最大値R
max nであり、R
max nはR
max n<=(D
n/2)で定義される)、m個の極大値R
mmax n
を有する、n個の好ましくは同方向に回転駆動可能な軸W
nと、
・少なくとも1つの供給ゾーンと、
・エラストマー含有媒体の揮発性成分を押出機から排出するのに適したそれぞれ少なくとも1つの脱ガス通気孔を有する1つまたは複数の脱ガスゾーンと、
・少なくとも1つの排出ゾーンと、を備え、
【0026】
その際押出機は処理要素として、少なくとも以下の条件:
S1)2つの回転駆動可能な軸が、互いに貫通し合って隣り合うバレル孔B
nおよびB
n+1内にそれぞれ同心にて配置されており、上記2つの回転駆動可能な軸のスクリュー要素のプロファイル間のクリアランスA
SEが、上記軸の360度の同方向回転時の断面プロファイルにおいて、
i)0.001〜0.2A
D、他の実施形態では0.005〜0.05A
D(A
Dは、隣り合う2つの回転駆動可能な軸の回転軸の間隔である)である、
ii)かつ、少なくとも1つの最小値A
minSEと1つの最大値A
maxSE(A
maxSE≧1.3A
minSEであり、好ましくはA
maxSE≧1.5A
minSEであり、さらに好ましくはA
maxSE≧5.0A
minSEであり、かつ特に好ましくは10.0A
minSEであり、また他の実施形態ではA
maxSEが1.3〜10A
minSEであり、好ましくは1.5〜8.0であり、特に好ましくは1.5〜5.0である)とを有する
を満たすように設計されたスクリュー要素SEを有する。
【0027】
専門家には、条件i)によりA
maxSEが200A
minSE以下であり得ることは明白である。
【0028】
好ましくは以下の条件も満たされている。
S2)スクリュー要素の断面プロファイルが、プロファイル曲線の半径方向寸法に関して、以下のことが当てはまる少なくとも1つの最大値R
maxnを有する。
0.420D
n<R
max n<0.496D
n、好ましくは0.420D
n<R
max n<0.490D
n、好ましくは0.430D
n<R
max n<0.485D
n、さらに好ましくは0.440D
n<R
max n<0.482Dn、特に好ましくは0.450D
n<R
max n<0.480D
n。
【0029】
本発明の範囲には、明示的に記載された特徴および特徴の組み合わせの他に、各特徴について詳細に指定された優先範囲のあらゆる任意の組み合わせも含まれる。
【0030】
断面プロファイルとは、本発明の文脈においては、処理要素が配置されているところの軸の回転軸A
nに直交する平面における、処理要素、特にスクリュー要素のプロファイルを意味する。
【0031】
スクリュー要素という用語には、中核軸のための1つの配置ソケットを有するスクリュー要素と中核軸とからなる今日一般的なモジュール構造方式、たとえばワンピース形状のような一体構造方式のスクリュー、一体構造方式で製造された個々のサブセグメントからなるスクリュー軸、または上記構造方式の組み合わせが含まれる。
【0032】
互いに貫通し合うバレル孔とは、本発明においては、少なくとも押出機の長手方向の一部分に沿って、孔の全体に渡って断面プロファイル内に1つの共通の空隙を形成するようなバレル孔である。
【0033】
上記の幾何学的関係は、
図1、2a、および2bに示すように、密に噛合うツインスクリュー押出機用のいわゆる2条式の典型的なエルトメンガー・プロファイルをもとに描写される。このエルトメンガー・プロファイルは、スクリューカムの領域においてたとえば2つの極大値R
1maxおよびR
2maxを有し、上記スクリューカムもまた同じくそれぞれ、回転軸A1およびA2に対する断面プロファイルの半径方向寸法に関して最大値R
maxを有する。
【0034】
本文書におけると同様に文献内では、それぞれ軸W
nの回転軸A
nに対する断面プロファイルの半径方向寸法に関する最大値R
maxの少なくとも85%、好ましくは少なくとも95%を示すp個の極大値R
Pmaxを有するスクリュー要素は、p条式のスクリュープロファイルとも呼ばれる。
【0035】
回転方向の前方に位置するアクティブなフランクは、本発明の文脈では、スクリュー要素の断面プロファイルの、軸W
nの回転軸A
nに対する断面プロファイルの半径方向寸法に関するある極大値R
mmax nから回転方向の次の極小値R
mmin nまでの領域である。極大値R
mmax nまたは極小値R
mmin nが唯一の点である限り、それらはその定義に基づきアクティブなフランクF
aktの構成要素でもなければ、パッシブなフランクF
passの構成要素でもない。同じことは、たとえばカム角KWを越えてスクリュープロファイルの関数R(φ)(φは回転方向の回転軸A1および/またはA2に対する角度である)に関してプラトー状の極大値を呈するカム領域の中心M(定義された中心)についても当てはまる。この場合、
図1に示したように、プラトー状の最大値の中心から、スクリュー要素の回転方向に位置する極大値の最終点までの領域は、定義に従い同じくアクティブなフランクF
aktの一部である。スクリュー要素の回転方向の極大値の最終点は、
図1に示したエルトメンガー・プロファイルでは交点Spである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1にはさらに一例として半径0.9R
maxが記載されているが、これによりカム弧とフランク弧の交点Spが、この半径の外部に、すなわち0.9R
maxとR
maxの間にあって、プロファイル内で1つの屈曲を作り、この屈曲がスクリュー要素面に1つの稜を作ることが見て取れる。同じく
図1には、カム弧の接線T1とフランク弧の接線T2、ならびに接線T1とT2によって挟まれた小さい方の角度β(ここに示したエルトメンガー・プロファイルの場合約34°である)が示されている。
【0038】
図1に示したエルトメンガー・プロファイルの配置は、完全自浄式である。角度0°、45°、および90°による軸A1およびA2の同方向の回転について、
図2aにこの配置のために示したクリアランスA
SEは、一定かつ0であり、すなわち間隔A
maxSEおよびA
minSEは同じくそれぞれ0であり、すなわち特徴S1)は満たされない。処理要素の断面プロファイルの最大半径方向寸法はR
max=(D
n/2)=29mmであり、すなわち文献内に半径方向遊びとしても記載されている特徴S2)は同じく満たされない。隣り合う2つの回転駆動可能な軸A1とA2の回転軸の間隔A
Dはここでは48mmである。実地において一般的に、回転部品の機械的な損傷を避けるために0ではない一定の遊びA
maxSEが使用されることは、専門家の知るところである。
【0039】
図2bは、
図2aと同じエルトメンガー・プロファイルの配置を示すが、ただし回転軸A1とA2の間隔A
Dは、スクリュー要素間に遊びを作るために1.5mm増の49.5mmになっている。スクリュー要素の最大半径方向寸法R
max=(D
n/2)は、この場合同じく29mmである。クリアランスA
SEは、軸A1およびA2の360°の同方向回転時に一定を保ち、軸間隔A
Dに関して平均して約0.03である。クリアランスA
SEの推移は、
図3において回転角度0〜90°について示されている。この要素の対称性により、次の4分の1回転についてもこの推移は繰り返される。
図2aの配置の場合も、特徴S1)およびS2)は満たされない。
【0040】
図2cは、エルトメンガー・プロファイルから頭径を減らして作られたスクリュープロファイルの本発明による配置を示す。間隔A
SEは、軸A1およびA2の360°の同方向回転時に変化する。クリアランスA
SEの推移は、
図4において回転角度0〜90°について示されている。ここでもこの要素の対称性により、次の4分の1回転についてもこの推移は繰り返される。A
maxSEは1.45mmもしくは0.03A
D Dであり、A
minSEは0.31mmもしくは0.0064A
D Dである。A
Dは48mmである。A
maxSE=4.7A
minSE。従って特徴S1)は満たされる。
【0041】
頭径の縮小によって、同時に半径方向遊びも作られる。スクリュー要素の最大半径方向寸法はR
max=0.4743D
nである。従って特徴S2)は同じく満たされる。
【0042】
図2cに示したスクリュープロファイルは、標準エルトメンガー・プロファイルから作られる([1]の設計規定を参照のこと)。ここでは一例として、輪郭の外径57.8mm、軸間隔47.8mmが採用されている。まず、この数値を用いて、正確に擦る輪郭として[1]に記載されているようなプロファイルを作る。次に、軸間隔を48mmに拡大する(軸間隔拡大)。続いて、このプロファイルの回転軸の周りに半径27.65mmの円を描く。半径27.65mmのこの円は、このプロファイルの新たな外側フランクとなる。その際このプロファイルは対称的なままである。ここでは2条式のプロファイルであるので、新たな外側半径27.65mmを持つ2つの条を作る。
【0043】
幾何学的な設計自由度は、条件Sl)および好ましくは追加的にS2)の範囲内で高く、また、たとえば所与の正確に擦るスクリュープロファイルから半径方向遊びとクリアランスA
SEを構成するために、然るべきスクリュー要素および断面ジオメトリを構成する方法は専門家であれば十分に知っている。そのための既知の方法は、たとえば[1]の2.5.2章および5章に記載された軸間隔拡大、縦断面等間隔、および空間等間隔の方法である。軸間隔拡大の場合、スクリュープロファイルはより小さい直径で設計され、スクリュー間の遊びの分だけ引き離される。縦断面等間隔の場合、縦断面プロファイル曲線は、それぞれの要素の回転軸に平行に、スクリュー要素とスクリュー要素の遊びの半分だけ、プロファイル曲線に垂直に内側に向かって回転軸の方へ移動させられる。空間等間隔の場合、スクリュー要素がそこで自身を浄化するところの空間曲線を出発点として、スクリュー要素が、正確に擦るプロファイルの面に垂直の方向に、スクリューとスクリュー間の遊びの半分だけ縮小される。縦断面等間隔および空間等間隔が好ましく、空間等間隔の使用が特に好ましい。
【0044】
一例として、
図7から
図11もまた、以下のようにして作られたスクリュープロファイルの本発明による配置を示す。
【0045】
全てのケースでベースとなるのは、
図1に記載の外径が58mm、軸間隔Aが48mmの正確に擦る輪郭である。この構成は[1]に記載の通りになされた。これを出発点として以下のような修正が行われた。
【0046】
図7:半径46mmの円弧は、エルトメンガー・プロファイルのカムの2つの最終点がそのまま保持されるように配置された。これによりフランク基礎とカムの間に3.6mmの遊びができた。
【0047】
図8:カムは、半径13mmの円によって片側において修正された。この円の中心は、エルトメンガー・プロファイルの対称軸上にあった。この半径13mmの円は、当初のエルトメンガー・プロファイルの残ったカムへの円滑な移行部が存続するように置かれた。
【0048】
図9:当初のエルトメンガー・プロファイルのカムの中心を出発点として、当初のエルトメンガー・プロファイルの対称軸に対して50°の角度をなすように1つの直線が引かれた。
【0049】
図10:当初のエルトメンガー・プロファイルの対称軸に対して、対称軸から16mmの距離に1つの平行線が引かれた。これによりフランク基礎の一部が除去されて、カムとフランク基礎の間に部分的により大きい遊びができた。
【0050】
図11:ここに示したプロファイルは、通常のエルトメンガー・プロファイルとは異なる。基礎となるこの自浄式プロファイルは、軸間隔48mm、外径58mmのために設計されたもので、各4分円が3つの円弧からなる。この自浄式プロファイルでは、歯元半径が33mm、フランク半径が48mm、歯先半径が15mmである。歯元半径とフランク半径は、接線において互いに移行し、歯元と歯先の間にとがった屈曲点ができる。円周方向に遊びA
SEのバリエーションを得るために、フランク円の中心が1mmだけずらされ、それによりフランク半径は48.5mmに拡大した。さらに軸間隔を49mmに拡大すると、A
minSE=0.02A
D DおよびA
maxSE=0.032A
Dとなり、A
maxSE=1.6A
minSEとなる。このプロファイルの設計は
図12に示されている。回転角に依存するA
SEは
図13に示されている。
【0051】
本発明によれば、その断面プロファイルが、常に微分可能なプロファイル曲線によって完全に描写され得るようなスクリュー要素もまた、それらのスクリュー要素が特徴S1)を、好ましくは特徴S2)をも満たす限り使用することができる。
【0052】
本発明のさらなる実施形態では、押出機が1つのバレルと、n個(n=2〜16、特に好ましくはn=2〜12、さらに特に好ましくはn=2〜8、最も特に好ましくはn=2)のバレル孔B
nを有する。
【0053】
これらのバレル孔B
nは互いに貫通し合い、好ましくは平行に配置されている。
【0054】
少なくとも1つのバレルと、対応する孔径D
nを持つn個(nは2〜16の整数、特に好ましくは2〜12の整数、さらに特に好ましくは2〜8の整数、最も特に好ましくは2である)のバレル孔B
n(その際バレル孔が互いに貫通し合い、かつ好ましくは平行に配置されている)とを有する、本発明による押出機の適切なタイプは、たとえば2軸押出機、プラネタリギヤ押出機、またはリング押出機であり、その際2軸押出機またはリング押出機が好ましいが、より好ましいのは2軸押出機である。本発明による2軸押出機は、同方向に回転駆動可能である。
【0055】
ある実施形態では、少なくとも1つの押出機がさらに、少なくとも1つの分散ゾーンを有する。この分散ゾーンでは、たとえばストリッピング剤や他の添加剤をポリマーに供給することができる。分散ゾーンの処理要素は、たとえば混錬要素、歯ブロック、歯ロックワッシャ、または鋸歯状混合要素であり得る。適切な要素のこれ以外の選択肢は[1]に記載されている。
【0056】
スクリュー要素のアクティブなフランクの領域では、押出されるべきエラストマー含有媒体が、押出機軸W
nの回転時に、そのバレル孔B
n内において、徐々に狭くなるウェッジ内に押し込まれる。その際せん断流および膨張流が生じ、それらは特に本発明による脱ガスの間に高度の表面リニューアルをもたらし、その結果ポリマー含有媒体からの揮発性成分の拡散を向上させる。
【0057】
驚くことに、特徴S1)を、および好ましくはS2)をも満たすスクリュー要素が処理要素として押出機内にある場合、押出機の装入量性能および脱ガス性能は顕著に向上し得ることが分かった。
【0058】
科学的に明言するつもりはないが、透明なバレルを有する本発明による押出機での数回の実験からは、脱ガスが増えて粘性が上がると、エラストマー含有媒体が押出機内に綱状の形成物を形成すること、そしてこの形成物が、隣り合うスクリュー要素間の変化するクリアランスA
SEによって、および好ましくはさらにスクリュー要素とバレル壁間のS2)による半径方向遊びによって非常によく叩かれることが分かった。このようにして表面リニューアルおよび脱ガスが非常に大きく保証される。
【0059】
さらに、特徴S1)を、および好ましくはS2)をも満たすスクリュー要素が、高い脱ガス性能ながらエネルギー投入量を最小限に保ち、その結果押出されたエラストマーにおける上述した損傷を大幅にまたは完全に防ぐことができることが確認された。この効果は、特に上記の特徴を備えたスクリュー要素を少なくとも1つの脱ガスゾーンで使用した場合に完全に発揮される。押出機の少なくとも最後の脱ガスゾーンに対応するスクリュー要素を備えるのが好ましい。別の実施形態では、押出機の全ての脱ガスゾーンに対応するスクリュー要素が備わる。脱ガスゾーンの数は基本的に制限されておらず、押出機内の数は、たとえば1〜20、好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜8である。脱ガスゾーンは、通常押出機の流れ方向における供給ゾーンの下流に置かれるが、少なくとも1つの脱ガスゾーン(いわゆる逆脱ガスゾーン)が、押出機の流れ方向における供給ゾーンの上流に置かれる配置が好ましい。
【0060】
専門家には周知のことだが、脱ガスゾーンは一般的に、少なくとも1つの脱ガス通気孔を押出機バレル内に有しており、この開口部はいわゆる脱ガスドームに通じており、この脱ガスドームもまたガス排出管を介して凝縮器ユニットと接続されており、この凝縮器ユニット内で、ポリマー含有媒体から出る揮発性化合物が凝縮される。脱ガスゾーン内および脱ガスドーム内の圧力は、好ましくは特に真空ポンプのようなポンプによって制御される。
【0061】
エラストマー含有媒体から脱ガス通気孔および脱ガスドームを介して逃れ出てくる揮発性化合物は、その際エラストマーまたは生成物を巻き添えにしてつれてくる傾向があり、その結果最悪の場合脱ガス通気孔または脱ガスドームの閉塞を招く可能性がある。
【0062】
そのため本発明のある好ましい実施形態では、脱ガス通気孔および脱ガスドームは、エラストマー含有媒体または生成物のいずれの離脱を効果的に防ぐように、または減らすように設計されている。
【0063】
この目的を達成するのに適した装置は、脱ガス通気孔に取り付けられて押出機内に材料を送るように駆動される1波または多波、特に2波の栓スクリューであり、あるいはエラストマー含有媒体および生成物を押出機内に押し戻すために脱ガス通気孔の内部に配置されたローラまたはベルトである。上記の装置に代わるものとして、あるいはそれに加えて、表面への材料の付着を減らす、または妨げる被膜を脱ガス通気孔に使うことができる。それに適した被膜は、たとえばDLC(ダイヤモンドライクカーボン)、エチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびニッケル合金である。
【0064】
脱ガス通気孔および脱ガスドーム内の圧力は、たとえば1hPa〜2,000hPa、好ましくは5hPa〜900hPaである。
【0065】
ある代替的な実施形態では、脱ガスゾーン内に、さらに以下の条件を満たすスクリュー要素が使用される。
S3)スクリュー要素SEは、以下のようなピッチtを有する。
1.38D
n<t<5.00D
n、好ましくは1.60D
n<t<3.00D
n、特に好ましくは1.80D
n<t<2.50D
n、かつ最も特に好ましくは1.90D
n<t<2.40D
n
【0066】
押出機の流れ方向における供給ゾーンの下流に複数の脱ガスゾーンが接続されている場合、個々の脱ガスゾーンを互いに密閉して押出機の流れ方向の脱ガスを進捗させるために、個々の脱ガスゾーン間に圧力増大ゾーンおよび好ましくはさらに滞留要素を接続する必要がある。この場合脱ガスゾーンは、様々な圧力で、特に押出機の流れ方向に一般的に減少していく圧力で駆動され得る。
【0067】
脱ガスゾーンは、一般的に容積充填度約0.1〜0.6、好ましくは0.3〜0.5のいわゆる部分充填ゾーンとなるが、圧力増大ゾーン内および場合によっては滞留要素面では、容積充填度は1となる。そこは、完全充填されたゾーンまたは区間と呼ばれる。
【0068】
圧力増大ゾーン内の処理要素として、たとえば脱ガスゾーンにおけるよりピッチtが小さい従来の、本発明によらないスクリュー要素を使用することもできる。
【0069】
滞留要素として、たとえば逆方向搬送要素、小さいピッチの順方向搬送要素、混錬ブロック、滞留プレート、歯付き混合要素、または搬送容量の小さい一般的な要素を使用することができる。
【0070】
押出機は、たとえばストリッピング剤または他の添加剤をエラストマー含有媒体内に入れるために、たとえば少なくとも1つの分散ゾーンをも有することができる。驚くことに、少なくとも1つの分散ゾーンが、以下の条件を満たすように形成されたスクリュー要素を処理要素として有する場合、押出機内の分散作用が特によく機能することが分かった。
好ましい範囲を含む上述の値を伴う上記S1)、および/または
好ましい範囲を含む上述の値を伴う上記S2)、および/または
1.50D
n<t<12.00D
n、好ましくは1.60D
n<t<10.00D
n、特に好ましくは2.00D
n<t<9.00というピッチtのS4)
【0071】
特徴S1)およびS4)、またはS1)およびS2)を満たすスクリュー要素を分散ゾーン内に使用することが好ましく、特徴S1)、S2)、およびS4)を満たすスクリュー要素を分散ゾーン内に使用することが特に好ましい。
【0072】
脱ガスを促進するために、エラストマー含有媒体にストリッピング剤を添加する必要がある場合、押出機の流れ方向における脱ガスゾーンの上流に分散ゾーンを配置することが好ましい。
【0073】
ある実施形態では、押出機の流れ方向における脱ガスゾーンの上流に少なくとも部分的に緩和要素が設置されている。
【0074】
緩和要素は、たとえば回転する、または固定された多孔板であり得る。
【0075】
そのような多孔板は、たとえばJP 59 048136A、US 3 501 807、DE 34 31 063、DE 623 903およびPCT/EP2011/062636によって知られている。
【0076】
緩和要素としては、たとえば逆方向搬送要素、ピッチが非常に小さい順方向搬送要素、混錬ブロック、または滞留プレートも使用できる。
【0077】
ある好ましい実施形態では、稼働中はバレルと固定接続されるが、取り外し可能であり、押出機内にある各軸を収容するためにそれぞれ1つの配置ソケットを有し、好ましくは軸用のスライドシールのような働きをする、固定された多孔板が使用される。配置ソケットと軸との半径方向間隔sは、バレル孔の直径Dとの関係において、好ましくは0.001≦s/D≦0.02、好ましくは0.002≦s/D≦0.01、特に好ましくは0.003≦s/D≦0.006である。
【0078】
この多孔板は、1つまたは複数の、好ましくは多数の孔を有しており、その際孔直径dは、たとえば1mm≦d≦6mm、好ましくは1.5mm≦d≦5mm、特に好ましくは2mm≦d≦4mmである。
【0079】
別の同様に好ましい実施形態では、多孔板は、軸を外さなくともバレルから取り外せるように、複数の部分、好ましくは2つの部分から設計されている。
【0080】
多孔板使用の特に優れた利点は、多孔板を通り抜けるエラストマー含有媒体が、後続の脱ガスゾーンの自由空間内で綱状に形成され、ノズルプレート前のポリマー含有媒体と比べてより大きい表面積を呈することにある。これにより揮発性化合物は、エラストマー含有媒体から容易に抜け出し、そこから離れることができる。
【0081】
一般に押出機は、添加剤を導入するために1つまたは複数の供給開口部を有するが、それらは基本的に押出機内のどこにでも配置することができ、好ましくは脱ガスゾーン外に、好ましくは分散ゾーンがある場合にはその中に配置できる。
【0082】
供給開口部から供給できる添加剤の例としては、特に(ハロ)ブチルゴム生成物の場合、安定剤、ESBO(エポキシ化大豆油)等の酸捕捉剤、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸塩、酸化防止剤等がある。好適な酸化防止剤の例としては、ブチルヒドロキシトルエン等の立体障害性フェノール、およびそれらの誘導体、たとえばイルガノックス1010および1076、アミン、メルカプトベンゾイミダゾール、ある種の亜リン酸エステル等がある。
【0083】
代替的に、または追加的に、これらの添加剤は、脱ガス装置進入前のポリマー媒体PMに供給することもでき、またそれが液体の場合は、ストリッピング剤と一緒に押出機内に供給することができる。
【0084】
専門家には周知のことだが、半径方向遊びは与えられた範囲内で一定または可変であり得る。また半径方向遊びの範囲内でスクリュープロファイルをずらすことも可能である。
【0085】
一般的にスクリュー要素を製造するために好ましい原料は、鋼、特に窒化鋼、クロム鋼、工具鋼、および特殊鋼、ならびに鉄、ニッケル、またはコバルトをベースにして粉末冶金的に製造された金属複合材料である。この他には、ニッケルベースの合金、およびセラミック等の非金属材料がある。
【0086】
本発明による脱ガス装置はさらに、押出機の上流に、プレ押出機またはプレ混錬機を有することもでき、これらはそれぞれ脱ガス押出機もしくは脱ガス混錬機として形成されている。
【0087】
そのような配置は、原理としてはEP 2 353 839 AまたはPCT/EP2011/054415によって知られている。
【0088】
脱ガス装置の1つの実施形態では、脱ガスするプレ押出機または脱ガスするプレ混錬機と(主)押出機を接続する引渡しゾーンが、少なくとも1つの、好ましくは厳密に1つの緩和要素、特に上述したノズルプレートのような緩和要素を有することができる。
【0089】
脱ガス装置の別の実施形態では、脱ガスするプレ押出機または脱ガスするプレ混錬機と(主)押出機を接続する引渡しゾーンが、たとえばスロットルのような少なくとも1つの圧力制御ユニットを有することができ、このスロットルによりプレ押出機またはプレ混錬機へのエネルギー投入量を制御することができる。
【0090】
脱ガス装置のこの2段階構造により、高い脱ガス性能と同時に、エラストマー含有媒体の高装入量を達成することができる。
【0091】
脱ガスするプレ押出機を使用する場合、脱ガスされるべきポリマー含有媒体の粘性が(まだ)低いことからエネルギー投入量は少ないので、その回転数は一般的に高く選択される。これにより揮発性化合物の比率を、(主)押出機への供給前に大幅に減らすことができる。
【0092】
脱ガスするプレ押出機または脱ガスするプレ混錬機の上流には、脱ガス性能をさらに上げるために、1つまたは複数のさらなる濃縮機ユニットを設置することができる。
【0093】
そのような濃縮機ユニットは、たとえば従来技術によって十分に知られているフラッシュベーパライザやサイクロンであってもよい。
【0094】
ある実施形態では、濃縮ユニットが少なくとも
・1つの脱ガスタンク(その際この脱ガスタンクの底部は1つのポンプと接続されており、かつこの脱ガスタンクの上部は少なくとも1つのガス排出管と接続されている)と組み合わされた1つの加熱装置と、
・上記濃縮ユニットの上記ポンプ、または押出機またはプレ押出機またはプレ混錬機の供給ゾーンと接続された1つの加熱ユニット
を有する。
【0095】
本発明の文脈において、「接続された」という用語は、直接的または間接的な接続を含んでおり、その際間接的な接続はたとえばホースや管を介して行うことができる。「接続された」という用語はさらに、接続された状態にあるユニットと装置の間にさらなるユニットまたは装置が配置されているというオプションを含む。
【0096】
対応する濃縮機ユニットは、WO2010/031823 Aによって十分に知られている。
【0097】
本発明のさらなる特徴、利点、および詳細は、下記の例示的な実施形態の説明から判明する。
【0098】
上述した、および以下に述べる実施形態を含む本発明による脱ガス装置は、特にエラストマー含有媒体を脱ガスする方法において使用するのに適しており、それゆえ本発明の別の目的は、少なくとも1つのエラストマーと少なくとも1つの揮発性化合物とを含むエラストマー含有媒体(EM)から揮発性化合物を除去する方法であり、この方法は少なくとも以下の工程を含む。
a)エラストマー含有媒体(EM)を本発明による脱ガス装置内に供給することであって、上記脱ガス装置は、揮発性化合物がエラストマー含有媒体(EM)から脱ガスユニットの脱ガス通気孔を介して逃れ出るように、かつエラストマー含有媒体(EM)の揮発性化合物が少なくなるように、かつ脱ガス装置から出る際にエラストマー含有媒体からポリマーが生成物Pとして得られるように、その際この生成物の揮発性化合物の割合が、脱ガス装置内に供給されたエラストマー含有媒体(EM)のそれより低く、好ましくはエラストマーの質量に対して揮発性化合物の総含有量が1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下となるように稼働される。
【0099】
本発明によれば、エラストマー含有媒体(EM)は、少なくとも1つのエラストマーと少なくとも1つの揮発性化合物を含む媒体である。
【0100】
エラストマーは、天然または合成のエラストマーであり得るが、好ましくは重量平均分子量が2,000g/mol超、特に好ましくは5,000g/mol超、最も好ましくは20,000〜2,000,000g/molの天然または合成エラストマーであり得る。
【0101】
天然または合成のエラストマーの例には、溶液−スチレン−ブタジエンゴム(SSBR)またはエマルジョン−スチレン−ブタジエンゴム(ESBR)のようなスチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム(NR)、ネオジウムブタジエンゴム(NdBR)、リチウム−ブタジエンゴム(LiBR)、およびコバルト−ブタジエンゴム(CoBR)のようなブタジエン−ゴム(BR)、イソプレン−ゴム(IR)、エチレンプロピレンジエン(Mクラス)ゴム(EPDM)のようなエチレン−プロピレン−ジエン−ゴム、エチレン−プロピレン−ゴム、アクリルニトリル−ブタジエン−ゴム(NBR)のようなニトリル−ゴム、水素化ニトリルゴム(HNBR)、イソブテン−イソプレン−ゴム(IIR)のようなブチルゴム、クロロブチルゴム(CIIR)のようなハロブチルゴム、およびブロモブチルゴム(BIIR)、またはアミンまたはフォスフィンによる転換によりハロブチルゴムから製造されたイオノマー、好ましくは第3フォスフィンによるBIIRの転換により得られるイオノマー、クロロプレン−ゴム(CR)、エチレン−ビニルアセテート−ゴム(EVAおよびEVM)、ポリウレタン−ゴム、グッタペルカ、フルオロゴム、シリコンゴム、スルフィドゴム、クロロスルホニル−ポリエチレン−ゴム、ならびに上記エラストマーの任意の混合物が含まれる。
【0102】
本発明の文脈において、ブチルゴムという用語は、イソブテンと少なくとも1つのさらなるコモノマーとからなるコポリマーを意味し、その際少なくとも1つのコモノマーは共役2重結合を呈する。好ましい1つのブチルゴムは、イソブテン(2−メチルプロペン)とイソプレン(2−メチルブタ−1.3−ジエン)とのコポリマーであり、これはまたイソブテン−イソプレン−ゴムまたは略してIIRとも呼ばれる。モル基準で、このポリマー内のイソプレン含有量は、0.001〜10mol%、好ましくは0.5〜8、特に好ましくは1.8〜2.3Mol%である。IIRは、不規則に分布したイソプレン単位を有する線状ポリイソブテン鎖からなる。これらのイソプレン単位は、ポリマー鎖内に不飽和箇所を導き入れ、それにより加硫が可能になる。IIRの質量平均分子量Mwは、たとえば50,000〜1,000,000g/mol、好ましくは300,000〜1,000,000g/molの範囲にある。
【0103】
ハロゲン化ブチルゴムCIIRおよびBIIRは、ポリマーと化学結合したある程度の量のハロゲンをも含んでいる。化学結合したハロゲンの量は、通例エラストマーの総質量に対して0重量%超から3重量%までの範囲内にある。(ハロ)ブチルゴムは、添加剤、たとえば0.0001〜4phr(phr=ゴム重量についてゴム100部あたりの部数)のエポキシ化大豆油(ESBO)、0.0001〜5phrのステアリン酸カルシウム、および0.0001〜0.5phrの酸化防止剤をも含むことが可能であろう。ブチルゴムの適用に応じて、他の添加剤すなわち充填剤または着色剤も使用可能である。
【0104】
ブロモブチルゴムBIIRの場合、完成品中の一般的な臭素含有量は1.5〜2.5重量%であり、好ましくは1.6〜2.0重量%である。
【0105】
クロロブチルゴムの場合、完成品中の一般的な塩素含有量は1.0〜1.5重量%であり、好ましくは1.15〜1.35重量%である。
【0106】
本発明において使用されるエラストマー含有媒体は、たとえば懸濁液、ペースト、溶液、塊状固形素地、団粒(いわゆるクラム)の形状、または上記形状の混合形状をとり得る。
【0107】
本発明の文脈において、「揮発性化合物」という用語は、圧力1013hPaにおいて250℃未満の沸点を有する化合物を意味する。揮発性化合物とは、特に水および他の揮発性無機化合物、ならびに揮発性有機化合物である。揮発性有機化合物は一般的に、重合またはそれに続く加工工程に使用される溶媒、たとえば重合プロセスに由来するモノマーまたはオリゴマー、またはたとえば添加剤のような他の有機化合物である。セメントとも呼ばれるエラストマー含有媒体EMは、たとえば3〜98重量%のエラストマーと、2〜97重量%の揮発性化合物、特に有機溶媒、または有機溶媒および水とを含み、その際上記の成分は合わせて、エラストマー含有媒体の総質量の90〜100重量%、好ましくは95〜100重量%になる。100重量%になるための残りは、たとえば無機物、またはたとえば添加剤のような非エラストマー有機物であり得る。
【0108】
有機溶媒は、たとえば4〜10個の炭素原子、好ましくは4〜7個の炭素原子を有する線状アルカンまたは分岐アルカンからなる群から選択することができる。より好ましい有機溶媒は、n−ペンタン、イソ−ペンタン、n−ヘキサン、シクロ−ヘキサン、イソ−ヘキサン、メチル−シクロペンタン、メチル−シクロヘキサン、およびn−ヘプタンを含むか、またはそれらからなる溶媒であり、またそれらのアルカンを含むか、またはそれらからなる任意の混合物でもある。
【0109】
ある実施形態では、押出機内に供給されるエラストマー含有媒体EMは、好ましくは30〜98重量%のエラストマーと、2〜70重量%の揮発性化合物、特に有機溶媒、または有機溶媒および水を含み、その際上記の成分の合計は、ポリマー含有媒体の総質量の90〜100重量%、好ましくは95〜100重量%になる。
【0110】
押出機内に供給されるこのエラストマー含有媒体EMは、好ましくは40〜95重量%のエラストマーと、5〜60重量%の揮発性化合物、特に有機溶媒、または有機溶媒および水とを含み、その際上記の成分の合計は、エラストマー含有媒体の総質量の90〜100重量%、好ましくは95〜100重量%になる。
【0111】
この脱ガスユニットが、押出機の上流にある脱ガスするプレ押出機、または脱ガスするプレ混錬機、または濃縮機ユニットを含む場合、脱ガスするプレ押出機内、脱ガスするプレ混錬機内、または濃縮機ユニット内に供給されるエラストマー含有媒体EMは、たとえば10〜95重量%のエラストマーと、5〜90重量%の揮発性化合物、好ましくは15〜80重量%のエラストマーと、20〜85重量%の揮発性化合物、特に好ましくは15〜70重量%のエラストマーと、30〜85重量%の揮発性化合物を含み、その際この揮発性化合物は、特に有機溶媒、または有機溶媒および水であり、その際上記の成分の合計は、エラストマー含有媒体の総質量の90〜100重量%、好ましくは95〜100重量%になる。
【0112】
専門家には明らかなことだが、脱ガスするプレ押出機内または脱ガスするプレ混錬機内への進入時のエラストマー含有媒体EM内の揮発性化合物の含有量は、下流の押出機内への進入時より少ない。同じことは、脱ガスするプレ押出機または脱ガスするプレ混錬機の上流の濃縮機ユニットに進入する時のエラストマー含有媒体EM内の揮発性化合物の含有量にも当てはまる。
【0113】
この場合、濃縮機ユニット内に供給されるエラストマー含有媒体EMは、好ましくは5〜80重量%のエラストマーと、20〜95重量%の揮発性化合物、好ましくは10〜75重量%のエラストマーと、25〜90重量%の揮発性化合物を含み、その際この揮発性化合物は、特に有機溶媒、または有機溶媒および水であり、その際上記の成分の合計は、エラストマー含有媒体の総質量の90〜100重量%、好ましくは95〜100重量%になる。
【0114】
本発明のある実施形態では、押出機はバレルを介して300℃まで加熱され得るか、またはそこまで冷却され得る。
【0115】
ある好ましい実施形態では、押出機が、様々な温度で別個の複数ゾーンを互いに独立して駆動させる装置を含み、それによりそれらのゾーンの加熱、非加熱、冷却のいずれかが可能になる。
【0116】
好ましい押出機材料は、腐食性がなく、かつ主として生成物Pのエラストマー含有媒体の、金属または金属イオンによる汚染を回避するものでなければならない。
【0117】
好ましい押出機材料は、窒化鋼、混粒鋼、ステンレス鋼、ニッケルベースの合金、焼結金属等の複合材料、熱間等方圧加圧材料、ステライト等の硬質耐摩耗材料、たとえばセラミック、窒化チタン、窒化クロム、およびダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる被膜を被せた金属を含む。
【0118】
脱ガスゾーンのガス排出管は、凝縮システムに接続することができ、好ましくは凝縮システムそのものでもある。
【0119】
一般に、凝縮システムの目的は、ガス通気孔からガス排気管を介して除去された揮発性化合物を回収することであり、凝縮システムは通常、1つの凝縮器と1つの真空ポンプを含む。従来技術によって知られる全ての凝縮システムは、揮発性化合物の回収のために使用され得る。
【0120】
一般に、場合によっては水と揮発性有機化合物を分離する相分離の実施後、凝縮された揮発性化合物をエラストマー含有媒体の調製プロセスにフィードバックすることが好ましい。
【0121】
脱ガス装置の下流には、好ましくは冷却機能を有する生成物加工装置があり得る。
【0122】
冷却機能を有する生成物加工装置は、この目的の専門家には周知の全ての装置、たとえば対流空気冷却式空圧クラムコンベヤ、対流空気冷却式振動クラムコンベヤ、冷却接触面式振動クラムコンベヤ、対流空気冷却式ベルトコンベヤ、冷却ベルト式ベルトコンベヤ、散水装置、および水が冷却剤として働く水中ペレタイザーを含む。
【0123】
生成物Pは、その後最終梱包および発送のために加工され得る。(ハロ)ブチルゴムは、たとえば60℃以下まで冷却され、たとえば液圧プレスで束に形成され、その後発送用の紙箱または木箱に梱包される。
【0124】
一般に、押出機の供給ゾーンへのエラストマー含有媒体EMの供給率を上げるには、それに応じて押出機の回転数を上げる必要がある。さらに、回転数によってエラストマー含有媒体EMの滞留時間が決まる。従って回転数、供給率、および押出機直径は、通常は互いに依存している。押出機は通常、無次元装入量V/n
*d
3が約0.01〜約0.2、好ましくは約0.015〜約0.1に調節されるように稼働され、その際Vは体積流率を、nは回転/分で表される回転数を、dは押出機の有効直径を意味する。最大および最小の供給率および回転数は、たとえば押出機の大きさ、エラストマー含有媒体EMに含まれるエラストマーの物理特性、およびポリマー内に残される揮発性化合物の目標値によって決定される。しかし稼働パラメータは、これらの特性をもとに、数回の初期実験を経て専門家によって決められることがある。
【0125】
本発明のある実施形態では、押出機は、5〜25,000キログラム/時の供給率で、好ましくは5〜6,000キログラム/時で稼働される。
【0126】
一般に、押出機、ならびにプレ押出機またはプレ混錬機における脱ガスは、他の揮発性化合物と共に除去されるストリッピング剤の添加により補助され得る。ストリッピング剤は、基本的に押出機ユニットのどこでも添加できるが、脱ガスゾーン外の、たとえば1つまたは複数の圧力増大ゾーンまたは分散ゾーンで添加するのが好ましい。
【0127】
好適なストリッピング剤は、エラストマー含有媒体(EM)に対して不活性、かつ100℃における蒸気圧が100hPa超の物質である。
【0128】
本発明の文脈において、「不活性」という用語は、ストリッピング剤がポリマーと化学反応しない、または識別可能な形で化学反応しないことを意味する。好適なストリッピング剤は、窒素、二酸化炭素、希ガス、プロパン、ブタン、水、または上記物質の混合物である。ストリッピング剤の量は、押出機の排出ゾーンで得られるエラストマーの量の0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%であり得る。
【0129】
本発明を、実施例ならびに
図5および
図6を参照して詳しく説明するが、しかし本発明はそれらに限定されるわけではない。
【0130】
図5は、本発明による脱ガス装置の押出機の縦断面、および上流のプレ押出機の横断面を示す。
【0131】
図6は、上記押出機の上流に配置されたプレ押出機の縦断面を示す。
【実施例】
【0132】
分析方法
エラストマー含有媒体EMの含水量:サンプルを遠心分離器に入れ、4000rpmで5分間遠心分離を行った。次にアンプルの底において水を集め秤量した。
【0133】
揮発性化合物の総濃度:生成物(P)のサンプルを2×2mmの大きさの小片に切断した。約30gの上記生成物をアルミニウム容器に入れた。容器と生成物の重量を正確に測定した。次に、生成物の入った容器を、真空度130hPa、温度105℃の真空炉に60分間入れた。乾燥後容器をデシケータ内に入れ、30分間冷却した。次に容器を再度秤量した。損失重量を算定した。
【0134】
生成物P中の残留溶媒含有量:生成物P中の残留溶媒含有量を、気化室ガスクロマトグラフィーにより測定した。サンプルの定量(0.5±0.005g)を気化室アンプルに入れ、測定した量の溶媒(1.2ジクロロベンゼン、ODCB)を加えた。アンプルを閉じ生成物が溶解するまで振った。サンプルと気相がアンプル(気化室)内で平衡となり揮発性有機化合物が分散されるまで、アンプルを加熱した。気化室ガスの一部を、サンプルをクロマトグラフィーカラムに沿って搬送するキャリアガス流内に噴射した。GCの較正には既知の組成の標準を使用した。内部標準として使うために、溶媒にトルエンを添加した。
【0135】
生成物P中の残留含水量:揮発性化合物の総量は、水、溶媒、およびその他の揮発性化合物の合計である。モノマー等のその他の揮発性化合物の割合は、実験したケースでは概ね0.0005重量%未満だったので、残留含水量は、揮発性化合物の総量から溶媒含有量を差し引くことによって得ることができた。
【0136】
エラストマー含有媒体EM中の溶媒含有量を、ガスクロマトグラフィーにより測定した。内部標準はイソオクタンであった。サンプルをトルエンで希釈し、その後ガスクロマトグラフ内に噴射した。以下の仕様を持つガスクロマトグラフHP 6890を用いてガスクロマトグラフィーを行った。
【0137】
【表1】
【0138】
以下の実施例では次のエラストマー含有媒体EMを使用した。
【0139】
EM−Iの調製
粗ブロモブチルゴム溶液を商業用生産施設から入手し、水分含有相から有機相を分離した。水分含有相の有機相からの分離は、WO2010/031823 A、特に
図7およびその説明によって知られている。次に、この有機相をEM−Iとして実験に使用した。EM−Iは、ブロモブチルゴムを約23重量%、ヘキサン異性体を約74重量%、および水を3重量%含む(これら3つの成分を100重量%として計算)。他の添加剤のブロモブチルゴム質量に対する濃度は、
ESBO:1〜1.6phr、ステアリン酸カルシウム:1.3〜1.7phr、およびイルガノックス:0.03〜0.1phrであった。
【0140】
よってエラストマーと揮発性化合物の合計は、エラストマー含有媒体の総質量の97.55〜98.30重量%となった。
【0141】
EM−Iから得られたブロモブチルゴムは、押出成形後に以下の特性を呈した。
ムーニー粘度(ML1+8、125℃)28〜36、結合臭素含有量1.6〜2.0重量%
【0142】
実施例1:プレ濃縮
濃縮機ユニット
この実施例に使用した濃縮機ユニットは、WO2010/031823 Aの特に
図1に記載のものと類似のものであった。前述のように調製したエラストマー含有媒体EM−Iを加熱装置まで送るために、ギヤポンプを使用した。加熱装置はチューブ・イン・チューブ型の熱交換器であった。この場合、内部から蒸気によって加熱される複数の管が1つのシェル管内に収容されており、このシェル管はまた同時に生成物をも収容する。さらに、生成物に接触する内部管の外面上には、良好な熱移動をもたらす混合要素が収容されている。加熱媒体は蒸気であり、その流量は、設定した媒体温度に応じて制御することができた。圧力逃し弁を濃縮機ユニットの上流に取り付けて、弁の上流の圧力を目標値に自動制御した。この目標値は、加熱装置内で加熱されるエラストマー含有媒体EM−Iの沸騰を回避するように選択した。加熱されたエラストマー含有媒体EM−Iを上から脱ガスタンク内に導いた。脱ガスタンクの円錐状の排出口にはギヤポンプが備えられていた。このギヤポンプの利点は、高粘度の扱いが可能で、かつ高圧を作り出せることにあった。濃縮段階後の濃度を調べるために、濃縮されたエラストマー含有媒体EM−IIからサンプルを採取した。
【0143】
(実施例1)
加熱装置の加熱媒体を160℃に設定して、エラストマー含有媒体EM−Iを135℃まで加熱した。脱ガスタンク内の圧力は大気圧であった。大気圧であったので、気化した揮発性成分は脱ガスタンクから凝縮機を介して導かれた。凝縮機は水で冷却され、凝縮した液体成分が、周囲環境に直接接続されていた回収容器に流れ落ちた。それにより脱ガスタンク内はほぼ周囲環境の圧力になった。脱ガスタンクの排出口における濃縮されたエラストマー含有媒体EM−IIは、抽出ポンプを使って濃縮機ユニットから上述のように送ることができた。濃縮されたエラストマー含有媒体EM−IIのヘキサン濃度は約43重量%であった。
【0144】
脱ガス装置(1)
プレ濃縮されたEM−IIは、加熱装置を介して脱ガス装置(1)内に導かれた。加熱装置は、濃縮機ユニット内で使用されたものと同じ構造方式の熱交換器であった。脱ガス装置は、1つのプレ押出機(2)、すなわち孔径Dl=D2=57mm、有効長さ720mmの1つの反転2軸押出機と、1つの主押出機(3)、すなわち孔径Dl=D2=58.3mm、有効長さ3225mmの1つの共回転2軸押出機とからなるものであった。有効長さとは、この場合生成物との接触が起こる長さを意味する。
【0145】
脱ガス装置の2つの押出機は、押出機またはプレ押出機の各供給ゾーン(4および4.1)の上流に、圧力制御装置として1つの制御弁(5および5.1)を含んでいた。
【0146】
プレ押出機は、プレ押出機(6)の搬送方向における供給ゾーン(4.1)の下流に配置された1つの脱ガスゾーン(7.1)と、プレ押出機(6)の供給ゾーン(4.1)の上流に配置された1つの脱ガスゾーン(7.R)とを有していた。脱ガスゾーン(7.R)は、1つのガス排出管と接続されかつ脱ガスドーム(9.R)を有する1つのガス通気孔(8.R)を有し、脱ガスゾーン(7.1)は、1つのガス排出管と接続されかつ脱ガスドーム(9.1)を有する1つのガス通気孔(8.1)を有していた。1つの圧力増大ゾーン(10.1)と1つの滞留要素(11)がプレ押出機(6)の搬送方向における脱ガスゾーン(7.1)の下流に配置されていた。。滞留要素(11)の下流では、1つの引渡しゾーン(12)が主押出機(3)へと通じていた。引渡しゾーン(12)は、制御弁(5)の入口へと開口する1つの加熱可能な管からなり、上記制御弁はまた主押出機(3)の供給ゾーン(4)の開始部を示すものであった。
【0147】
プレ押出機(2)のガス排気管は、吸引ユニットおよび凝縮ユニットと接続されていた。ガスの吸引は真空ポンプで行われ、圧縮されたガスはそこから1つの水冷凝縮機へと導かれた。プレ押出機のバレル(13)は、蒸気による可変加熱が可能なように設計されていた。
【0148】
主押出機は、押出機(14)の搬送方向における供給ゾーン(4)の下流に配置された3つの脱ガスゾーン(15.1、15.2、および15.3)と、押出機(14)の供給ゾーン(4)の上流に配置された1つの脱ガスゾーン(15.R)とを有していた。脱ガスゾーン(15.R)は、1つのガス排出管と接続されかつ脱ガスドーム(17.R)を有する1つのガス通気孔(16.R)を有し、脱ガスゾーン(15.1、15.2、および15.3)は、それぞれ1つのガス排出管と接続されかつ脱ガスドーム(17.1、17.2、および17.3)を有するそれぞれ1つのガス通気孔(16.1、16.2、および16.3)を有していた。ガス排出管は、1つの機械的真空ポンプと1つの下流接続の水冷凝縮機とからなる1つの凝縮機ユニットと接続されていた。ガス排出管は、直列に接続された2つの機械的真空ポンプと1つの下流接続の水冷凝縮機とからなる1つの凝縮機ユニットと接続されていた。
【0149】
押出機(14)の搬送方向における脱ガスゾーン(15.1)の下流に配置される形で、1つの圧力増大ゾーン(18.1)があり、またこれの下流に配置される形で1つの第1分散ゾーン(19.1)があった。
【0150】
押出機(14)の搬送方向における脱ガスゾーン(15.2および15.3)の下流に配置される形で、同じくそれぞれ1つの圧力増大ゾーン(18.2および18.3)があった。また圧力増大ゾーン(18.2および18.3)の下流に配置される形で、それぞれ1つの分散ゾーン(19.2および19.3)があった。圧力増大ゾーン(18.1、18.2、および18.3)と分散ゾーン(19.1、19.2、および19.3)の間には、1つの滞留要素(20.1、20.2、および20.3)と、押出機(14)の搬送方向における分散ゾーン(19.1および19.2)の下流に配置される形でそれぞれ1対の、取出し可能なように分割されてバレル(21)内に固定されたフィルタディスク(22.1および22.2)とがあった。
【0151】
押出機(14)の流れ方向における最後の圧力増大ゾーン(18.3)の下流に配置される形で、押出機からの排出ゾーン(23)があった。この排出部は、1つの水中造粒部(24)へと開口する1つの固定のノズルプレートから形成された。押出機の圧力増大ゾーン(18.3)と造粒機のノズルプレート(23)の間には、1つのスタートアップバルブがあり、これにより、ノズルプレートを通して水中造粒機に生成物を搬送する代わりに、バイパスを通して用意された1つの受け容器に生成物を押出すことが可能になる。このバイパスは、主に押出成形装置の始動および停止に使用される。
【0152】
押出機は、分散ゾーン(19.1、19.2、および19.3)の領域内に、ストリッピング剤を供給するための入口開口部(25.1、25.2、および25.3)を有していた。
【0153】
バレルは、複数の部分からなり、また押出機内の温度プロファイルを少なくともある程度まで制御するために、互いに独立して加熱または冷却される3つのゾーンに分割可能なように形成されていた。加熱と冷却は蒸気または冷却水により行われた。
【0154】
脱ガスゾーン、圧力増大ゾーン、および分散ゾーンのために使用された処理要素とその仕様明細は、以下の実施例に記載されている。
【0155】
(実施例2)
実施例1から得られたプレ濃縮されたエラストマー含有媒体EM−IIは、1つの加熱装置を介して180kg/hの速度で脱ガス装置内に導かれ、その後脱ガス装置の排出ゾーン(24)において約80kg/hの速度で脱ガス済みの乾燥生成物になった。その際加熱装置への蒸気の供給は、制御弁(5.1)におけるPM−IIの温度が約110℃になるように調整された。制御弁における圧力は1.3Mpaに設定された。プレ押出機の2つのゾーン内の圧力は、400mbar(絶対圧)に設定された。プレ押出機のバレル(13)の加熱可能部分内の加熱温度は、約160℃であった。引渡しゾーン(4)の開始部において、さらに濃縮されたエラストマー含有媒体EM−IIIのゴム割合は約80重量%であった。次にEM−IIIは、温度100℃および圧力約2.0Mpaで、供給ゾーン(4)内の主押出機(3)内に導入された。引渡しゾーンにおける圧力は、主押出機の供給ゾーンにおける圧力制御装置を全開にした状態で得られた。
【0156】
(実施例3〜6)
実施例1および実施例2に従って得られた、さらに濃縮された生成物EM−IIIは、主押出機(3)内に導入され、その際様々なスクリュー要素が脱ガスゾーンおよび分散ゾーン内で使用された。
【0157】
脱ガスゾーン(15.R)および脱ガスゾーン(15.1)は、絶対圧約100〜180mbarで稼働された。脱ガスゾーン(15.2および15.3)の圧力は、絶対圧約50mbarに設定された。技術的に見て、このようなプロセスにおいて真空圧を厳密に一定に保つことは難しいので、実験が進むにつれて相殺されるような変動が生じる。
【0158】
脱ガスゾーン(15.1)の下流に配置された分散ゾーン(19.1)内に、0.5〜0.6kg/hの速度でストリッピング剤として窒素が導入された。
【0159】
脱ガスゾーン(15.2)の下流に配置された分散ゾーン(19.2)内に、3.6kg/hの速度でステアリン酸カルシウム入りの水(ステアリン酸カルシウム45重量%)からなる分散液が導入された。
【0160】
脱ガスゾーン(15.3)の下流に配置された分散ゾーン(19.3)内に、3.6kg/hの速度でステアリン酸カルシウム入りの水(ステアリン酸カルシウム45重量%)からなる分散液が導入された。
【0161】
主押出機の押出機軸の回転数は60min
−1〜90min
−1であった。
【0162】
表2a)に、各実施例で使用したスクリュー要素をまとめた。
【0163】
【表2】
【0164】
【表3】
【0165】
【表4】
【0166】
これらの実施例から以下のことが分かる。
実施例1では、条件S2)は満たされるが条件S1)は満たされず、脱ガス結果は不十分である。
【0167】
実施例2および3では、条件S1)およびS2)が満たされ、脱ガス結果は非常に良好である。