特許第6130635号(P6130635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130635
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】コンバインカバー
(51)【国際特許分類】
   B60J 11/04 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
   B60J11/04 G
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-182388(P2012-182388)
(22)【出願日】2012年8月21日
(65)【公開番号】特開2014-40139(P2014-40139A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000217251
【氏名又は名称】田中産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512217282
【氏名又は名称】株式会社五十嵐商会
(74)【代理人】
【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】田中 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】徳留 終一
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 善隆
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−254760(JP,A)
【文献】 特開2004−058750(JP,A)
【文献】 特開平11−286219(JP,A)
【文献】 実開昭49−063030(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3113978(JP,U)
【文献】 実開平06−068942(JP,U)
【文献】 実開昭50−084940(JP,U)
【文献】 実開平03−072022(JP,U)
【文献】 実開昭56−079415(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体上部にオーガを収容自在に装備したコンバインのカバーであって、前記コンバインの上部を覆う上面部に、その周囲を拡張し、四方に垂れ下がって前記コンバインの前後左右の全側面を覆う前後左右の側面部を備えた矩形状のカバー本体と、該カバー本体の前記上面部の裏面中央に設けた前記オーガに着脱自在な仮止めバンドと、前記カバー本体の左右側面部それぞれの長手方向の中途表面に基端が縫着され、前記コンバインの前方と後方それぞれに回り込んで先端同士を着脱自在に連結する前後一組の結束ベルトとを備え、前記カバー本体は、前記前後左右の側面部が前記上面部の中央向かって均等に折り畳まれており、仮止めバンドを収容位置にある前記オーガの中央またはその近傍に取り付けたとき、前記前後左右の側面部を展開することにより前記コンバインの上部および前後左右を覆うように位置決めされることを特徴としたコンバインカバー。
【請求項2】
カバー本体は、コンバインの操縦席を露出する開閉部が形成されている請求項1記載のコンバインカバー。
【請求項3】
開閉部は、上面部の操縦席側方にコンバインの長手方向に設けた上面開口部と、前記操縦席側の側面に前記コンバインの高さ方向に設けた側面開口部とが連続するL字状に形成されている請求項2記載のコンバインカバー。
【請求項4】
側面開口部の下端は操縦席側の側面の下縁に達する請求項3記載のコンバインカバー。
【請求項5】
開閉部は、上面部の操縦席側方にコンバインの長手方向に設けた上面開口部の端部と、前記操縦席側の側面の下方に前記上面開口部と同方向に設けた下縁開口部の端部を、前記コンバインの高さ方向に設けられる側面開口部によって接続したコ字状に形成されている請求項2記載のコンバインカバー。
【請求項6】
カバー本体は、上面部のオーガ先端に対応した部分と、前記上面部の四隅とに、補強布を設けたものである請求項1から5のうち何れか一項記載のコンバインカバー。
【請求項7】
結束ベルトは、前後それぞれが上下2本を一組とする請求項1から6のうち何れか一項記載のコンバインカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置決めが容易なコンバインの保管用カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインを保管する際、通常は、ブルーシートなどでコンバインをすっぽり覆い、周囲をロープなどで縛っていた。しかし、コンバインに被せたシートが風に煽られるなどして位置が定まりにくいため、一部をネットで構成した保護カバーが提案されている(特許文献1)。また、コンバインの投影面積の約2倍の面積を有するシートを地面に敷き、その半分にコンバインを載置した後、残り半分を折り重ねてコンバインを完全に包むようにしたシートも提案されている(特許文献2)。
【0003】
これら従来の発明によれば、特許文献1の場合はネットの通気性により風に煽られることが少なくなり、特許文献2の場合はシート半分にコンバインが載っているため風でシートが吹き飛ばされることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−58750号公報
【特許文献2】特開平11−286219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のものは、一部がネットで構成されるだけで、コンバインの装備中、雨水等で濡れては不都合な部分、即ち操縦席や脱穀部等を覆うのに、防水性等を有する通常のシート部分も相当面積を占める。このため、このシート部分が風の煽りを受けて位置がずれる可能性があることに変わりはない。しかも、ネットの部分は雨風が通るため、コンバイン全体を保護するものではない。
【0006】
一方、特許文献2のものも、コンバインの上に覆い被せるシート半分(被覆部)が風の煽りを受けて、位置を定めにくいことは、通常のシートと同じである。しかも、コンバインが載るシート半分(載置部)が、コンバインの走行により破けやすいという重大な問題も有している。
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、コンバインに被せる段階での位置ずれをなくしたコンバインカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために本発明のコンバインカバーは、車体上部にオーガを収容自在に装備したコンバインのカバーであって、前記コンバインの上部を覆う上面部に、その周囲を拡張し、四方に垂れ下がって前記コンバインの前後左右の全側面を覆う前後左右の側面部を備えた矩形状のカバー本体と、該カバー本体の前記上面部の裏面中央に設けた前記オーガに着脱自在な仮止めバンドと、前記カバー本体の左右側面部それぞれの長手方向の中途表面に基端が縫着され、前記コンバインの前方と後方それぞれに回り込んで先端同士を着脱自在に連結する前後一組の結束ベルトとを備え、前記カバー本体は、前記前後左右の側面部が前記上面部の中央向かって均等に折り畳まれており、仮止めバンドを収容位置にある前記オーガの中央またはその近傍に取り付けたとき、前記前後左右の側面部を展開することにより前記コンバインの上部および前後左右を覆うように位置決めされる。
【0009】
仮止めバンドをオーガに取り付けることで、カバー本体が風に煽られるなどして吹き飛ぶことを防止する。これと同時に、仮止めバンドを所定の収容位置にあるオーガの中央またはその近傍に取り付けることで、展開時にカバー本体がコンバイン全体を覆うように位置決めする作用をも行う。言い換えれば、仮止めバンドによる仮止め後は、カバー本体を細かく位置調整しなくとも、そのまま結束ベルトの連結作業に移ることができる。この結束ベルトは、コンバインの前後それぞれで、左右一対を一組として、組の関係にある左右のベルト先端をバックル等で留め合わせることで、カバー本体をコンバインにしっかり固定することができる。なお、バックルは雄雌が着脱自在な構造のほか、左右一方のベルトだけに設け、他方のベルトを長さ調整自在に挿通する構造のものでもよい。
【0010】
カバー本体は、コンバインの操縦席を露出して、該操縦席に乗降且つ操縦を可能とする開閉部が形成されていることが好ましい。カバー装着後に、前記開閉部を開けるのみで、コンバインを操縦することができるからである。この開閉部は、上面部の操縦席側方に設けた前後方向の上面開口部と、前記操縦席側の側面部に設けた高さ方向の側面開口部とが連続するL字状に形成されるか、上面部の操縦席側方に設けた前後方向の上面開口部の端部と、前記操縦席側の側面部の下方に設けた前後方向の下縁開口部の端部を、高さ方向の側面開口部によって接続したコ字状に形成されていることが好ましい。操縦席への乗降と操縦をより容易に行うような開口形状とするためである。なお、開閉部をL字状に形成する場合、側面開口部の下端は操縦席側の側面部の下縁に達する開放端とすることで、開閉部を大きく開口することができる。
【0011】
また、カバー本体は、上面部のオーガ先端に対応した部分と、前記上面部と周囲の側面部によって形成される四隅とに、補強布を設けたものであることが好ましい。擦れや折り曲げによって破けやすい箇所を補強するためである。
【0012】
なお、結束ベルトは、コンバインの前側と後側それぞれで上下2本ずつ設けることが好ましい。高さのあるコンバインに対して、カバー本体をより確実に固定することができるからである。この場合、結束ベルトの結束方法は、上下で平行して結束するほか、クロスさせて結束するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコンバインカバーによれば、仮止めバンドによって、カバー本体をそのまま展開すればコンバイン全体を自ずと覆うことができる適正な位置に仮止めでき、しかも、この状態を維持して結束ベルトによる最終固定作業を行うことができる。したがって、少ない人員で、短時間にカバー装着が可能となる。
【0014】
また、カバー本体に乗降用の開閉部を設けたので、カバー全部を外すことなくコンバインを操縦でき、例えば畦に駐車したコンバインを倉庫等の別の保管場所に移動する際に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るコンバインカバーの展開図
図2】仮止めバンドの拡大図
図3】結束バンドの拡大図
図4】同カバーの使用方法を示す平面視説明図
図5】結束ベルトの結束態様を示す正面視説明図
図6】結束ベルトの別の結束態様を示す正面視説明図
図7】開閉部の別形態を示す平面視説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るコンバインカバーの展開図である。矩形状のカバー本体1のうち、主に、図面上、網掛けの部分でコンバインCの被覆部を構成している。つまり、カバー本体1は、コンバインCの上部を覆う上面部2と、その周囲に4つの側面部3〜6を備える。前後の側面部3・4はコンバインCの前後にそれぞれ対応し、左右の側面部5・6はコンバインCの左右にそれぞれ対応する。このようなカバー本体1は、コンバインCの上部に上面部2を被せたとき、側面部3〜6は四方に垂れ下がってコンバインC全体を覆うことができる面積・形状等を有している。このとき、図面上の白抜き部分も、コンバインCの側面に対応するものであるが、側面部3〜6の内側に折り込むなどすることで、コンバインCの周囲を完全に密封する。ただし、側面部3〜6によってコンバインCの前後左右の全側面が隙間なく覆われる場合は、当該白抜きの折り込み部分を省略することができる。
【0017】
本発明の対象であるコンバインCは、車体上部に、脱穀した籾を外部に排出するオーガOを備える。このオーガOは一端(図面上、下端)を支点として旋回するが、コンバインCの保管時には、通常、図1に示したように、平面視略対角線状に収容される。
【0018】
このようなコンバインCのカバーとして本発明では、上面部2の裏面にオーガOに着脱自在に取付けられる仮止めバンド7を設けている。この実施形態において、仮止めバンド7は上面部2のほぼ中央に位置している。よって、この仮止めバンド7をオーガOの中央またはその近傍に取り付けることで、カバー本体1を展開したときに、側面部3〜6が均等に展開され、カバー本体1を前後・左右を位置調整することなく、そのままの状態でコンバインC全体を覆うような位置決めがなされる。
【0019】
仮止めバンド7の具体的な構成例は、図2に示したように、2本のバンド7a・7bそれぞれに雄雌の面ファスナ7c・7dを設けておき、オーガOに巻回した状態でバンド7a・7bを結合するものである。
【0020】
カバー本体1には、上記仮止めバンド7のほか、結束ベルト8〜11を設けている。これら結束ベルト8〜11は、8a・8bと9a・9bが前側用として左右一対に組をなし、10a・10bと11a・11bが後側用として左右一対に組をなしている。つまり、この実施形態では、前側と後側それぞれで、上下2本を一組とする結束ベルトを設けている。
【0021】
そして、結束ベルト8〜11の各基端はカバー本体1の左右の側面部5・6それぞれの長手方向の中途表面に縫着している。さらに、結束ベルト8〜11の各先端にはバックル8c・8d、9c・9d、10c・10d、11c・11dを設けている。
【0022】
この実施形態におけるバックルは、図3に示したように、8c・8dと10c・10dは同一構造の受け金具であり、9c・9dと11c・11dは前記受け金具に対する同一構造の差し込み金具である。なお、受け金具であるバックル8c・8dと10c・10dは、余剰ベルトの長さを調整可能な絞り機能を有する。
【0023】
さらに、この実施形態では、カバー本体1にコンバインCの操縦席Dを露出する開閉部12を設けている。この実施形態の場合、図1に例示したコンバインCは、前方右側に操縦席Dを装備している。このため、前記操縦席D全体と、コンバインCの右側面に設けた乗降用ステップ(図示せず)を露出できるよう、上面部2の操縦席側方と、右側の側面部5の前方とにかけて、コ字状の開閉部12を設けている。なお、開閉部12の開閉構造はスライドファスナによって構成することができる。
【0024】
上記構成のコンバインカバーの使用方法は、まず図4に示したように、仮止めバンド7が操作しやすい大きさに全体を折り畳んでおき、これをオーガOの中央に載せる。折り畳み方は任意であるが、四周の側面部3〜6を中心に向かってほぼ均等に折り畳むのが、後の展開のしやすさから便宜である。そして、図2に示した要領で、仮止めバンド7をオーガOに取り付ける。次に、カバー本体1を展開し、側面部3〜6をコンバインCの周囲に垂れ下げる。そして、最後に、コンバインCの前後で結束ベルト8〜11を連結すれば装着が完了する。なお、カバー本体1は矩形状であるため、図1上、白抜きで示した4つの角片を有するが、これら角片は、結束ベルト8〜11を連結する前に、側面部3〜6の内側に三角に折り込んだ状態にしておく。ただし、角片は、説明の便宜上、図面において完全な四角形で示しているが、コンバインCの外形によっては完全な四角形とはならない。
【0025】
結束ベルト8〜11は、図5に示したように、上下を平行に結束することであってもよいが、図6に示したように、クロスして結束することで、カバー本体1を全体に下に引き下げて、より浮き上がりのない状態で装着することができる。
【0026】
また、結束ベルト8〜11は、基端を左右の側面部5・6の中途に縫着しているため、前後の側面部3・4との角部に基端を縫着するよりも、左右の側面部5・6を前後反対方向に引っ張る力が強くなり、適度なテンションをもってカバー本体1を装着することができる。
【0027】
このようにして、コンバインCに密着した状態でカバー本体1を取り付けることが好ましいのであるが、特に、オーガOの先端やコンバインCの上面の四隅と密着することによって、当該部分が破ける恐れがある。
【0028】
そこで、図1に示すように、上面部2のオーガOの先端に対応する領域と、コンバインCの上面四隅に対応する上面部2と側面部3〜8間の四隅に、補強布13・・・13を設けておくことが好ましい。補強布13はカバー本体1の表裏何れの面に設けてもよいが、コンバインCと直に接触するようにカバー本体1の裏面に設けることが好ましい。
【0029】
なお、カバー本体1の素材は、防水性があり、しかも紫外線を防ぐものが好ましいが、従来のコンバインカバーと同じものを採用することができる。
【0030】
また結束ベルト8〜11についても、農業用具である籾収容袋の胴締めベルトなどに採用されているものと同じものを採用することができ、また、太さも任意である。さらに、ゴム等によって伸縮性を有するベルトであってもよい。
【0031】
さらに、結束ベルトの数は、コンバインCの大きさ(高さ)に応じて変更可能であり、3〜5畳狩り用であれば上記実施形態のように上下2本ずつで十分であるが、6畳狩り以上の大型コンバインの場合は3本一組とすることも可能であり、逆に、2畳狩り以下の小型コンバインであれば、前後に1本ずつとすることも可能である。
【0032】
本発明では、カバーを装着したままコンバインCを操縦可能とするために、開閉部12を設けるという特徴を有しているが、上記実施形態のように、開閉部12をコ字状に形成するほか、図7に示すように、L字状に形成することも可能である。このL字状の開閉部20は、上記コ字状の開閉部12から右側の側面部5の下縁に設けた前後方向の下縁開口部を省略したものである。言い換えれば、L字状の開閉部20は、上面部2の操縦席D側方(左側)に設けた前後方向の上面開口部20aと、操縦席D側(右側)の側面部5に設けた高さ方向の側面開口部20bとを、端部同士連結してL字状をなしており、前記側面開口部20bの下端部に上面開口部20aと平行する下縁開口部20cを設ければコ字状の開閉部12とすることができる。
【0033】
L字状とコ字状とでは、コ字状のほうが下縁開口部20cを有する分、開口が大きくなるが、L字状であっても、側面開口部20bの下端を側面部5の下縁まで延長して開放端20dとすることで、コ字状と同様の大きさで開口を確保することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 カバー本体
2 上面部
3 前側の側面部
4 後側の側面部
5 右側の側面部
6 左側の側面部
7 仮止めバンド
8 右前の結束ベルト(上下一組)
9 左前の結束ベルト(上下一組)
10 右後の結束ベルト(上下一組)
11 左後の結束ベルト(上下一組)
12 開閉部
13 補強布
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7