特許第6130652号(P6130652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 寿産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6130652-条鋼の短尺条鋼検出方法 図000002
  • 特許6130652-条鋼の短尺条鋼検出方法 図000003
  • 特許6130652-条鋼の短尺条鋼検出方法 図000004
  • 特許6130652-条鋼の短尺条鋼検出方法 図000005
  • 特許6130652-条鋼の短尺条鋼検出方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130652
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】条鋼の短尺条鋼検出方法
(51)【国際特許分類】
   B21B 43/00 20060101AFI20170508BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20170508BHJP
   B21B 15/00 20060101ALI20170508BHJP
   B21B 39/00 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   B21B43/00 D
   B21C51/00 J
   B21B15/00 B
   B21B39/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-257099(P2012-257099)
(22)【出願日】2012年11月26日
(65)【公開番号】特開2014-104470(P2014-104470A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年11月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000182476
【氏名又は名称】寿産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086254
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 進
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 貞夫
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−145341(JP,A)
【文献】 特開2003−156312(JP,A)
【文献】 特開平02−212015(JP,A)
【文献】 特開2001−269770(JP,A)
【文献】 特開昭47−032573(JP,A)
【文献】 特開平04−258706(JP,A)
【文献】 特開昭62−050016(JP,A)
【文献】 特開昭49−071577(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0036137(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 43/00−43/12
B23D 36/00
G06T 1/00
B21C 51/00
B21B 15/00−15/02
B21B 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却ラインにおける冷却床で冷却された後の長尺条鋼を複数本並列に配列して搬送し、上記各長尺条鋼の先端部を下流側に配置してあるストッパーに当接させた後に、上記ストッパーの上流側に配置してあるコールドシアーで上記各長尺条鋼を切断することにより、所要長さに切断された条鋼である定尺寸法の定尺条鋼を得る工程において、
予め、上記コールドシアーと上記ストッパーとの間であって上記コールドシアー下流側近傍位置に第1カメラ及び上記ストッパー上流側近傍位置に第2カメラをそれぞれ配置しておき、
上記コールドシアーと上記ストッパーとの間で、切断された条鋼について下記の撮影データ(D1),(D2)を得てから、
・上記条鋼先端部と上記ストッパーとの先端側距離(Kst)を上記第2カメ
ラで撮影した撮影データ(D1)
・上記条鋼後端部と上記コールドシアーとの後端側距離(Kcs)を上記第1
カメラで撮影した撮影データ(D2)
上記撮影データ(D1),(D2)を演算装置に送り、上記第2カメラの撮影データ(D1)と、上記第1カメラの撮影データ(D2)を基に先端側距離(Kst)及び後端側距離(Kcs)をそれぞれ演算し、これらの演算により得た結果が下記の判定条件式1に示すように上記演算装置に予め入力してある閾値を越えた場合に「短尺条鋼有り」の警報を出力する
ことを特徴とする条鋼の短尺条鋼検出方法。
判定条件式1:(Kst+Kcs)>Kth
ただし、K≧Kth
K:コールドシアーとストッパーとの間の距離
Kth:「コールドシアーとストッパーとの間の距離」の閾値
【請求項2】
冷却ラインにおける冷却床で冷却された後の長尺条鋼を複数本並列に配列して搬送し、上記各長尺条鋼の先端部を下流側に配置してあるストッパーに当接させた後に、上記ストッパーの上流側に配置してあるコールドシアーで長尺条鋼を切断することにより、所要長さに切断された条鋼である定尺寸法の定尺条鋼を得る工程において、
予め、上記コールドシアーと上記ストッパーとの間であって上記コールドシアー下流側近傍位置に第1カメラ及びストッパー上流側近傍位置に第2カメラをそれぞれ配置しておき、
上記コールドシアーと上記ストッパーとの間で、切断された条鋼について下記の撮影データ(D3),(D4)を得てから、
・上記ストッパー近傍の条鋼先端部の条鋼の本数(Kstn)を上記第2カメ
ラで撮影した撮影データ(D3)
・上記コールドシアー近傍の条鋼後端部の条鋼の本数(Kcsn)を上記第1
カメラで撮影した撮影データ(D4)
上記撮影データ(D3),(D4)を演算装置に送り、上記第2カメラの撮影データ(D3)と、上記第1カメラの撮影データ(D4)を基に上記条鋼先端部の条鋼の本数(Kstn)及び上記条鋼後端部の条鋼の本数(Kcsn)をそれぞれ演算して、下記の判定条件式2に示すように演算により得た上記条鋼先端部の条鋼の本数と上記条鋼後端部の条鋼の本数が一致しない場合に、「短尺条鋼有り」の警報を出力することを特徴とする条鋼の短尺条鋼検出方法。
判定条件式2:Kstn≠Kcsn
【請求項3】
冷却ラインにおける冷却床で冷却された後の長尺条鋼を複数本並列に配列して搬送し、各長尺条鋼の先端部を下流側に配置してあるストッパーに当接させた後に、上記ストッパーの上流側に配置してあるコールドシアーで長尺条鋼を切断することにより、所要長さに切断された条鋼である定尺寸法の定尺条鋼を得る工程において、
予め、上記コールドシアーと上記ストッパーとの間であって上記コールドシアー下流側近傍位置に第1カメラ、上記ストッパー上流側近傍位置に第2カメラ及び上記コールドシアーとストッパーとの中間位置に第3カメラをそれぞれ配置しておき、
上記コールドシアーとストッパーとの間で、切断された条鋼について下記の撮影データ(D3),(D4),(D5)を得てから、
・上記ストッパー近傍の条鋼先端部の条鋼の本数(Kstn)を上記第2カメ
ラで撮影した撮影データ(D3)
・上記コールドシアー近傍の条鋼後端部の条鋼の本数(Kcsn)を上記第1
カメラで撮影した撮影データ(D4)
・上記コールドシアーと上記ストッパーとの間で切断された条鋼の本数(Km
in)を上記第3カメラで撮影した撮影データ(D5)
上記撮影データ(D3),(D4),(D5)を演算装置に送り、下記の判定条件式3に示すように演算により得た上記条鋼本数(Kmin)が上記条鋼先端部の条鋼の本数(Kstn)又は上記条鋼後端部の条鋼の本数(Kcsn)のいずれかに一致しない場合に、上記コールドシアーと上記ストッパーとの間に上記条鋼の重畳があると判定し、「短尺条鋼有り」の警報を出力することを特徴とする条鋼の短尺条鋼検出方法。
判定条件式3:Kstn≠Kmin
又は
Kcsn≠Kmin
【請求項4】
冷却ラインにおける冷却床で冷却された後の長尺条鋼を複数本並列に配列して搬送し、上記各長尺条鋼の先端部を下流側に配置してあるストッパーに当接させた後に、上記ストッパーの上流側に配置してあるコールドシアーで上記各長尺条鋼を切断することにより、所要長さに切断された条鋼である定尺寸法の定尺条鋼を得る工程において、
予め、上記コールドシアーと上記ストッパーとの間であって上記コールドシアー下流側近傍位置に第1カメラ、上記ストッパー上流側近傍位置に第2カメラ及び上記コールドシアーと上記ストッパーとの中間位置に第3カメラをそれぞれ配置しておき、
上記コールドシアーと上記ストッパーとの間で、切断された条鋼について下記の撮影データ(D1),(D2),(D3),(D4),(D5)を得てから、
・上記条鋼先端部と上記ストッパーとの先端側距離(Kst)を上記第2カメ
ラで撮影した撮影データ(D1)
・上記条鋼後端部と上記コールドシアーとの後端側距離(Kcs)を上記第1
カメラで撮影した撮影データ(D2)
・上記ストッパー近傍の条鋼先端部の条鋼の本数(Kstn)を上記第2カメ
ラで撮影した撮影データ(D3)
・上記コールドシアー近傍の条鋼後端部の条鋼の本数(Kcsn)を上記第1
カメラで撮影した撮影データ(D4)
・上記コールドシアーと上記ストッパーとの間で切断された条鋼の本数(Km
in)を上記第3カメラで撮影した撮影データ(D5)
上記撮影データ(D1),(D2),(D3),(D4),(D5)を演算装置に送り、演算結果が下記(1),(2),(3)のいずれかに該当する場合に「短尺条鋼有り」の警報を出力することを特徴とする条鋼の短尺条鋼検出方法。
(1)上記第2カメラの撮影データ(D1)と、上記第1カメラの撮影データ
(D2)を基に先端側距離(Kst)及び後端側距離(Kcs)をそれぞ
れ演算し、演算により得た結果が下記の判定条件式1に示すように上記演
算装置に予め入力してある閾値を越えた場合。
判定条件式1:(Kst+Kcs)>Kth
ただし、K≧Kth
K:コールドシアーとストッパーとの間の距離
Kth:「コールドシアーとストッパーとの間の距離」の閾値
(2)上記第2カメラの撮影データ(D3)と、上記第1カメラの撮影データ
を基に上記条鋼先端部の条鋼の本数(Kstn)及び上記条鋼後端部の条
鋼の本数(Kcsn)をそれぞれ演算して、演算により得た結果が下記の
判定条件式2に示すように上記条鋼先端部の条鋼の本数と上記条鋼後端部
の条鋼の本数が一致しない場合。
判定条件式2:Kstn≠Kcsn
(3)下記の判定条件式3に示すように演算により得た上記条鋼の本数(Km
in)が、上記条鋼先端部の条鋼の本数(Kstn)又は上記条鋼後端部
の条鋼の本数(Kcsn)のいずれかに一致しない場合。
判定条件式3:Kstn≠Kmin
又は
Kcsn≠Kmin
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却床で冷却された後の長尺条鋼(異形棒鋼を含む棒線材及び形鋼等の鋼材であって、その長さが断面に対して長いもの)を所要の定尺寸法の条鋼を得る工程における条鋼の短尺条鋼検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
長尺条鋼を要求仕様に応じて所定長さに切断する場合、冷却床を通過後の長尺条鋼は、搬送テーブルローラーで複数本並列に配列されてコールドシアーを通過してこのコールドシアー下流側に設けてあるストッパーに当接するまで送られて、その後コールドシアーで所要の定尺寸法に順次切断される(特開2003−145341号公報)。
定尺寸法に切断された条鋼は、搬送テーブルローラーで下流側の結束ラインに送られ結束されて、その後に製品として出荷される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−145341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、コールドシアーとストッパーの間で定尺長さに切断された条鋼に短尺が発生することがあり、このような短尺条鋼が製品として出荷されることを防止するために、条鋼の短尺を検出する必要があった。
従来の条鋼の短尺検出方法として、搬送テーブルローラーで搬送された複数本並列に配列された長尺条鋼の先端部が全てストッパーに当接していることの確認を、搬送テーブルローラーの回転数を計測する事などで行っている。
しかしながら、搬送テーブルローラーと搬送される長尺条鋼との間にスリップが発生することがあり、複数本並列に配列された全ての条鋼が正しくストッパーに搬送されて当接していないことがある。この時の上記ストッパーと条鋼の先端部との間に許容寸法を超える隙間が発生したままで後端部をコールドシアーで切断すると、短尺条鋼が発生する問題がある。
また、長尺条鋼切断の最終切断工程での問題点として、圧延工程で全長が不足している条鋼が冷却床から搬送され、この条鋼を前端側から後端側に向かって順次定尺で切断すると、条鋼の後端側に定尺に対して不足する短尺条鋼が発生する問題がある。
さらに、複数本並列に配列された条鋼が重なり合ってストッパーに搬送され、重なり合ったままの状態でコールドシアーによって切断されると、重なり合った条鋼が短尺で切断されることがある。
このように、短尺条鋼がそのまま製品として出荷されると、長さ不足の問題が発生するために、短尺条鋼を正確に検出して、出荷する製品に短尺条鋼が含まれないようにする必要がある。
本発明の目的は、短尺条鋼を確実に検出可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴は、冷却ラインにおける冷却床で冷却された後の長尺条鋼を複数本並列に配列して搬送し、上記各長尺条鋼の先端部を下流側に配置してあるストッパーに当接させた後に、上記ストッパーの上流側に配置してあるコールドシアーで上記各長尺条鋼を切断することにより、所要長さに切断された条鋼である定尺寸法の定尺条鋼を得る工程において、予め、上記コールドシアーと上記ストッパーとの間であって上記コールドシアー下流側近傍位置に第1カメラ及び上記ストッパー上流側近傍位置に第2カメラをそれぞれ配置しておき、上記コールドシアーと上記ストッパーとの間で、切断された条鋼について下記の撮影データ(D1),(D2)を得てから、
・上記条鋼先端部と上記ストッパーとの先端側距離(Kst)を上記第2カメ
ラで撮影した撮影データ(D1)
・上記条鋼後端部と上記コールドシアーとの後端側距離(Kcs)を上記第1
カメラで撮影した撮影データ(D2)
上記撮影データ(D1),(D2)を演算装置に送り、上記第2カメラの撮影データ(D1)と、上記第1カメラの撮影データ(D2)を基に先端側距離(Kst)及び後端側距離(Kcs)をそれぞれ演算し、これらの演算により得た結果が下記の判定条件式1に示すように上記演算装置に予め入力してある閾値を越えた場合に「短尺条鋼有り」の警報を出力することにある。
判定条件式1:(Kst+Kcs)>Kth
ただし、K≧Kth
K:コールドシアーとストッパーとの間の距離
Kth:「コールドシアーとストッパーとの間の距離」の閾値
本発明の第2の特徴は、上記第1の特徴に記載の工程を前提としており、予め、上記コールドシアーと上記ストッパーとの間であって上記コールドシアー下流側近傍位置に第1カメラ及びストッパー上流側近傍位置に第2カメラをそれぞれ配置しておき、
上記コールドシアーと上記ストッパーとの間で、切断された条鋼について下記の撮影データ(D3),(D4)を得てから、
・上記ストッパー近傍の条鋼先端部の条鋼の本数(Kstn)を上記第2カメ
ラで撮影した撮影データ(D3)
・上記コールドシアー近傍の条鋼後端部の条鋼の本数(Kcsn)を上記第1
カメラで撮影した撮影データ(D4)
上記撮影データ(D3),(D4)を演算装置に送り、上記第2カメラの撮影データ(D3)と、上記第1カメラの撮影データ(D4)を基に上記条鋼先端部の条鋼の本数(Kstn)及び上記条鋼後端部の条鋼の本数(Kcsn)をそれぞれ演算して、下記の判定条件式2に示すように演算により得た上記条鋼先端部の条鋼の本数と上記条鋼後端部の条鋼の本数が一致しない場合に、「短尺条鋼有り」の警報を出力することにある。
判定条件式2:Kstn≠Kcsn
本発明の第3の特徴は、上記第1の特徴に記載の工程を前提としており、予め、上記コールドシアーと上記ストッパーとの間であって上記コールドシアー下流側近傍位置に第1カメラ、上記ストッパー上流側近傍位置に第2カメラ及び上記コールドシアーとストッパーとの中間位置に第3カメラをそれぞれ配置しておき、
上記コールドシアーとストッパーとの間で、切断された条鋼について下記の撮影データ(D3),(D4),(D5)を得てから、
・上記ストッパー近傍の条鋼先端部の条鋼の本数(Kstn)を上記第2カメ
ラで撮影した撮影データ(D3)
・上記コールドシアー近傍の条鋼後端部の条鋼の本数(Kcsn)を上記第1
カメラで撮影した撮影データ(D4)
・上記コールドシアーと上記ストッパーとの間で切断された条鋼の本数(Km
in)を上記第3カメラで撮影した撮影データ(D5)
上記撮影データ(D3),(D4),(D5)を演算装置に送り、下記の判定条件式3に示すように演算により得た上記条鋼の本数(Kmin)が上記条鋼先端部の条鋼の本数(Kstn)又は上記条鋼後端部の条鋼の本数(Kcsn)のいずれかに一致しない場合に、上記コールドシアーと上記ストッパーとの間に上記条鋼の重畳があると判定し、「短尺条鋼有り」の警報を出力することにある。
判定条件式3:Kstn≠Kmin
又は
Kcsn≠Kmin
本発明の第4の特徴は、上記第1の特徴に記載の工程を前提としており、予め、上記コールドシアーと上記ストッパーとの間であって上記コールドシアー下流側近傍位置に第1カメラ、上記ストッパー上流側近傍位置に第2カメラ及び上記コールドシアーと上記ストッパーとの中間位置に第3カメラをそれぞれ配置しておき、上記コールドシアーと上記ストッパーとの間で、切断された条鋼について下記の撮影データ(D1),(D2),(D3),(D4),(D5)を得てから、
・上記条鋼先端部と上記ストッパーとの先端側距離(Kst)を上記第2カメ
ラで撮影した撮影データ(D1)
・上記条鋼後端部と上記コールドシアーとの後端側距離(Kcs)を上記第1
カメラで撮影した撮影データ(D2)
・上記ストッパー近傍の条鋼先端部の条鋼の本数(Kstn)を上記第2カメ
ラで撮影した撮影データ(D3)
・上記コールドシアー近傍の条鋼後端部の条鋼の本数(Kcsn)を上記第1
カメラで撮影した撮影データ(D4)
・上記コールドシアーと上記ストッパーとの間で切断された条鋼の本数(Km
in)を上記第3カメラで撮影した撮影データ(D5)
上記撮影データ(D1),(D2),(D3),(D4),(D5)を演算装置に送り、演算結果が下記(1),(2),(3)のいずれかに該当する場合に「短尺条鋼有り」の警報を出力することにある。
(1)上記第2カメラの撮影データ(D1)と、上記第1カメラの撮影データ
(D2)を基に先端側距離(Kst)及び後端側距離(Kcs)をそれぞ
れ演算し、演算により得た結果が下記の判定条件式1に示すように上記演
算装置に予め入力してある閾値を越えた場合。
判定条件式1:(Kst+Kcs)>Kth
ただし、K≧Kth
K:コールドシアーとストッパーとの間の距離
Kth:「コールドシアーとストッパーとの間の距離」の閾値
(2)上記第2カメラの撮影データ(D3)と、上記第1カメラの撮影データ
を基に上記条鋼先端部の条鋼の本数(Kstn)及び上記条鋼後端部の条
鋼の本数(Kcsn)をそれぞれ演算して、演算により得た結果が下記の
判定条件式2に示すように上記条鋼先端部の条鋼の本数と上記条鋼後端部
の条鋼の本数が一致しない場合。
判定条件式2:Kstn≠Kcsn
(3)下記の判定条件式3に示すように演算により得た上記条鋼の本数(Km
in)が、上記条鋼先端部の条鋼の本数(Kstn)又は上記条鋼後端
部の条鋼の本数(Kcsn)のいずれかに一致しない場合。
判定条件式3:Kstn≠Kmin
又は
Kcsn≠Kmin
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数のカメラにより切断された条鋼に係る距離又は条鋼の本数を撮影した各撮影データを演算装置で演算することにより、短尺条鋼を検出することが可能になり、搬送ラインから検出された短尺条鋼を除去することにより、製品として出荷されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施に使用する冷却ライン、第1搬送ライン及び第2搬送ラインの関係の概要を示す平面図である。
図2】コールドシアー、ストッパー、第1、第2及び第3カメラの配置関係を示す拡大正面図である。
図3】コールドシアーとストッパー間の条鋼の切断状態を示す拡大平面図であって、並列している各条鋼間を広く開けて示している図である。
図4】条鋼のコールドシアー側端部(後端部)の切断面の有無を確認できる第2搬送ライン上の定尺条鋼の拡大平面図である。
図5】条鋼のコールドシアー側端部(後端部)の切断面の有無を確認できる第2搬送ライン上の定尺条鋼の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示す所要の定尺寸法の条鋼を得るシステムは、圧延工程の上流側(図左側)から下流側(図右側)に向かって順に、冷却床を有する条鋼の冷却ライン1、コールドシアー4、ストッパー5を備えている条鋼の第1搬送ライン2、そして、この搬送ラインに交差する方向に連続して条鋼の結束ラインに通じている定尺条鋼S1の第2搬送ライン3をそれぞれ設けてある。
【0009】
図2及び図3に示すように、コールドシアー4は固定刃4aとこれに隣接しかつ接触している上下動可能であるシアー刃4bとからなる。条鋼Sはシアー刃4bの上下動作によって切断される。
ストッパー5は定尺長さが異なる位置に複数設けてあって、必要とする定尺長さを合わせてストッパーを変更可能である。
また、コールドシアー4とストッパー5との間には3台のカメラ6,7,8を配置してある。
これらのカメラ6,7,8の配置位置について説明すると、第1カメラ6はコールドシアー4の上流側(図2左側)近傍の位置に、第2カメラ7はストッパー5の下流側(図2右側)近傍の位置に、第3カメラ8はコールドシアーとストッパーとの中間位置(ほぼ中間位置を含む)にそれぞれ配置されている。
【0010】
第1、第2及び第3カメラ6,7,8は、切断後の定尺条鋼S1について次の撮影データを演算装置に送ることが可能である。
第1の撮影データは、コールドシアー4下流側近傍の第1カメラ6が得た定尺条鋼S1の本数情報、ストッパー5上流側近傍の第2カメラ7が得た条鋼の本数情報並びに上記コールドシアーと上記ストッパーとの中間位置の第3カメラ8が得た条鋼の本数情報及び重畳の有無情報である。
第2の撮影データは、コールドシアー4下流側近傍の定尺条鋼S1の条鋼後端部S1bとコールドシアー4との距離を第1カメラ6で撮影した距離情報、ストッパー5上流側近傍の条鋼先端部S1aとコールドシアーとの距離を第2カメラ7で撮影した距離情報である。
上記演算装置による短尺条鋼S2を検出するための演算は、短尺条鋼S2の検出と短尺条鋼の本数検出との二通りについて行われ、上記条鋼本数検出の演算には条鋼の重畳有無の演算が含まれる。
【0011】
コールドシアー4とストッパー5との間に配置された第1、第2及び第3カメラ6,7,8に加えて、図1図4及び図5に示すように第2搬送ライン3上を搬送される定尺条鋼S1のコールドシアー側端部(条鋼後端部S1b)の切断面を撮影するための第4カメラ9(図1)を配置してある。第4カメラ9は、演算装置でコールドシアー4側端部(条鋼後端部S1b)の切断面の有無を確認するための撮影データを得ることを目的とする。
第4カメラ9による撮影データによって、第2搬送ライン3上の定尺条鋼S1の条鋼後端部S1bに切断面がなければ、短尺条鋼S2が存在する可能性が有り、すなわち「短尺条鋼有り」の通知を行う。第4カメラ9は、コールドシアー4で定尺条鋼の切断を繰り返した場合の一番最後に切断された条鋼の後端部が切断されない場合、短尺条鋼S2を含む製品が出荷されるのを防ぐためのものである。
【0012】
条鋼の切断について説明する。
条鋼の切断手順は下記のとおりである。
図1図3において、複数本並列に配列された各長尺条鋼Sが冷却ライン1における冷却床から搬送テーブルローラーで第1搬送ライン2のコールドシアー4に向かって搬送され、長尺条鋼Sの先端部がストッパー5に当接して停止する。
長尺条鋼Sが停止した後に、コールドシアー4で長尺条鋼を所要の寸法の条鋼に切断することにより、所要長さに切断された条鋼S1である定尺寸法の定尺条鋼を得る。
コールドシアー4の切断の際、図3に示すように、各長尺条鋼Sのうち、いずれかの先端部がストッパー5に当接しないままで、条鋼が切断された場合には、切断された条鋼S1中に短尺条鋼S2が含まれることになる。図3において、短尺条鋼S2の条鋼先端部S2aはストッパー5に当接することなく、このストッパーから上流側(図左側)に所定距離離れている。
【0013】
次に、短尺条鋼S2の検出方法について説明する。
説明上、使用する記号について下記のとおり定義する。
K=「コールドシアーとストッパーとの間」の距離
Kst=「ストッパーと条鋼先端部との間」の先端側距離
Kcs=「コールドシアーと条鋼後端部との間」の後端側距離
Kth=「コールドシアーとストッパーとの間の距離」の閾値
Kstn=「ストッパー近傍の条鋼先端部」の条鋼の本数
Kcsn=「コールドシアー近傍の条鋼後端部」の条鋼の本数
Kmin=「コールドシアーとストッパーとの間」で切断された条鋼の本数
切断された条鋼S1に対して、第1、第2及び第3カメラ6,7,8を利用して各撮影データを得てから、各撮影データを演算装置に送って所定事項の演算をし、「短尺条鋼有り」の有無を判定する。
【0014】
図2及び図3において、第1カメラ6及び第2カメラ7による距離データを利用して判定を行う。
コールドシアー4とストッパー5との間で、切断された条鋼S1について下記の撮影データ(D1),(D2)を得る。
・条鋼先端部S1aとストッパー5との先端側距離(Kst)を第2カメラ7
で撮影した撮影データ(D1)
・条鋼後端部S1bとコールドシアー4との後端側距離(Kcs)を第1カメ
ラ6で撮影した撮影データ(D2)
その後、撮影データ(D1),(D2)を演算装置に送り、第2カメラ7の撮影データ(D1)と、第1カメラ6の撮影データ(D2)を基に先端側距離(Kst)及び後端側距離(Kcs)をそれぞれ演算し、これらの演算により得た結果が下記の判定条件式1に示すように上記演算装置に予め入力してある閾値を越えた場合に「短尺条鋼有り」の警報を出力する。
判定条件式1:(Kst+Kcs)>Kth
ただし、K≧Kth
【0015】
図2及び図3において、第1カメラ6及び第2カメラ7による条鋼の本数データを利用して判定を行う。
コールドシアー4とストッパー5との間で、切断された条鋼S1について下記の撮影データ(D3),(D4)を得る。
・ストッパー5近傍の条鋼先端部S1aの条鋼の本数(Kstn)を第2カメ
ラ7で撮影した撮影データ(D3)
・コールドシアー4近傍の条鋼後端部S1bの条鋼の本数(Kcsn)を第1
カメラ6で撮影した撮影データ(D4)
その後、撮影データ(D3),(D4)を演算装置に送り、第2カメラ7の撮影データ(D3)と、第1カメラ6の撮影データ(D4)を基に上記条鋼先端部S1aの条鋼の本数(Kstn)及び上記条鋼後端部S1bの条鋼の本数(Kcsn)をそれぞれ演算して、下記の判定条件式2に示すように演算により得た上記条鋼先端部の条鋼の本数と上記条鋼後端部の条鋼の本数が一致しない場合に、「短尺条鋼有り」の警報を出力する。
判定条件式2:Kstn≠Kcsn
【0016】
第1カメラ6、第2カメラ7及び第3カメラ8による条鋼の本数データを利用して判定を行う。
コールドシアー4とストッパー5との間で、切断された条鋼S1について下記の撮影データ(D3),(D4),(D5)を得る。
・ストッパー5近傍の条鋼先端部S1aの条鋼の本数(Kstn)を第2カメ
ラ7で撮影した撮影データ(D3)
・コールドシアー4近傍の条鋼後端部S1bの条鋼の本数(Kcsn)を第1
カメラ6で撮影した撮影データ(D4)
・コールドシアー4とストッパー5との間で切断された条鋼S1の本数(K
min)を第3カメラ8で撮影した撮影データ(D5)
上記撮影データ(D3),(D4),(D5)を演算装置に送り、下記の判定条件式3に示すように演算により得た上記条鋼S1の本数(Kmin)が上記条鋼先端部S1aの条鋼の本数(Kstn)又は上記条鋼後端部S1bの条鋼の本数(Kcsn)のいずれかに一致しない場合に、コールドシアー4とストッパー5との間に上記条鋼S1の重畳があると判定し、「短尺条鋼有り」の警報を出力する。
判定条件式3:Kstn≠Kmin
又は
Kcsn≠Kmin
【0017】
判定条件式1、判定条件式2又は判定条件式3のいずれかが成立した場合は、「短尺条鋼有り」と判定し、演算装置から短尺条鋼の警報等を発令する。
【0018】
上述したように、冷却ライン1における冷却床からコールドシアー4側に送られてきた、長尺条鋼Sを所定の長さに連続的に切断された定尺条鋼S1を第2搬送ライン3を介して結束ラインに搬送する。そして、長尺条鋼Sを複数回コールドシアー4で切断した場合に、最後の切断を行う際に所定の長さに対して、切断された条鋼S1が僅かに短くなり、その条鋼後端部S1bは最後の切断が行われずに条鋼後端部に切断面が無い短尺条鋼S2が発生することがある(図4及び図5)。
もし、判定条件式1、判定条件式2及び判定条件式3を満たすことなく、定尺条鋼S1中に短尺条鋼S2が含まれないと判断された場合であっても、図4に示すように、定尺条鋼S1中に、短尺条鋼S2のような条鋼後端部S2bに切断面がない場合は、「短尺条鋼有り」と判定する必要が出てくる。
このような場合を考慮して、図1に示すように、結束ラインへ向かう第2搬送ライン3上に定尺条鋼S1のコールドシアー4側の条鋼後端部S1bの切断面を第4カメラ9によって撮影して切断面の有無を確認する。すなわち、ストッパー5下流側の定尺条鋼S1が結束機等に搬送される際に、条鋼後端部側のコールドシアー4側切断面を第4カメラ9で計測して、切断面の有無を判定する。
切断面があれば短尺条鋼ではなく、切断面がなければ短尺条鋼であるとの判定がされる。
【0019】
このように、切断された条鋼S1の条鋼先端部S1aとストッパー5との距離と条鋼の本数を第2カメラ7で撮影し、切断された条鋼後端部S1bとコールドシアー4との距離と条鋼の本数を第1カメラ6で撮影し、第3カメラ8で切断されたかつ複数本並列に配列された条鋼S1を撮影し、条鋼の重畳の有無を撮影する。
上記の判定条件式1、判定条件式2又は判定条件式3に該当した場合は、演算装置から「短尺条鋼有り」の警報等を発令してオペレーターに通知する。検出された短尺条鋼は搬送ラインのどこにあるかの位置情報をオペレーターに提供することにより、短尺条鋼S2を第2搬送ライン3から除去すれば、不良品である短尺条鋼が製品として出荷されることを防止することができる。
【0020】
本発明において、第4カメラ9の撮影データを利用する検束方法は、不可欠要件ではなく、必要に応じて採用又は不採用にすることが可能である。
ストッパー5は、条鋼の定尺寸法(定尺長さ)を変更可能にするために、その位置を変更可能にするのが良い。
【符号の説明】
【0021】
1 冷却ライン
2 第1搬送ライン
3 第2搬送ライン
4 コールドシアー
5 ストッパー
6 第1カメラ
7 第2カメラ
8 第3カメラ
9 第4カメラ
S 長尺条鋼(条鋼)
S1 切断された条鋼(定尺条鋼)
S1a 条鋼先端部
S1b 条鋼後端部
S2 短尺条鋼
S2b 短尺条鋼の条鋼後端部
図1
図2
図3
図4
図5