【実施例】
【0027】
本発明について、
図1の例に基づいて以下に記述する。後者は、航空機11.1、11.2、11.3、11.4と、少なくとも1個の地上装置との間の衛星通信システムを示す。地上装置は、航空会社オペレーションセンターAOCと、航空ナビゲーションサービスプロバイダANSPを介して航空交通管理ネットワークに接続された航空管制官とを結合する地上ネットワークATNに属している。
【0028】
本システムは、戻りチャネルリソースとして知られる衛星通信リソースを用いて、航空機11.1、11.2、11.3、11.4から地上装置へメッセージを送信することができる。航空機11.1、11.2、11.3、11.4の各々は、地上装置と通信するためのオンボードアプリケーションおよび端末を含んでいる。航空機から送られるメッセージにはサービスが関連付けられている。例えば以下のものが挙げられる。パイロットおよび航空管制官に航空機の軌跡をリアルタイムで調整させることを可能にするサービスCOTRAC。サービスからのメッセージは特定のサイズを有し、通信ネットワークの優先順位および端末間のタイミング要件が関連付けられている。
【0029】
通信システムは、航空機と地上装置の間(逆も同様)のトラフィックのチャネリングに責任を負う装置12を含んでいる。本明細書の他の箇所でゲートウェイと称する装置12を介して、航空機と地上装置の間で交換される全てのメッセージが通過する。
【0030】
通信システムはまた、航空機(機数が数千を超える場合がある)間で衛星通信リソースを共有させる責任を負うコントロールセンターNCC13を含んでいる。航空機同士で通信リソースを容易に分け合えるように、通信リソースはフレームに時分割される。各フレームは次いで、タイムスロットに分割される。割当計画は、メッセージの送信用にタイムスロットを割り当てる。
【0031】
ゲートウェイ12は、航空会社オペレーションセンターAOCと航空交通管理ネットワークに接続された航空管制官を結合する地上ネットワークATNへ、航空ナビゲーションサービスプロバイダANSPを介してメッセージを送信する。
【0032】
通常、ゲートウェイ12およびコントロールセンターNCC13は、同一施設に置かれていてよいが、他のアーキテクチャによれば、これらの2個の機器は異なる場所に置かれていてもよい。
【0033】
この第2の場合において、地上通信ネットワークはこれら2個の機器の間にあって、衛星遅延と比較して伝播遅延が短いと考慮される。
【0034】
端末ユーザー11.1、11.2、11.3、11.4から来るメッセージを送信する従来技術による通常の方法を
図2に示す。当該方法は、メッセージの断片またはメッセージ全体が消失したときのデータ送信の場合を示す。当該方法は
図2に更に詳細に記述されている。データの送信、および誤り検知機構の予備的ステップは本発明による方法と同一である。
【0035】
衛星通信ネットワークを介したメッセージ送信を行なうために、公知の方法は、第1の端末11.2により、少なくとも1個のメッセージのための容量に対する要求、すなわちメッセージのサイズを示す要求、およびフランス特許出願第1000804号明細書に記述されている割当方法を用いる場合、端末によるメッセージの受信日付を示す時間基準、および関連があれば、メッセージに関連付けられた通信ネットワークの端末間でのタイミング要件、およびメッセージに関連付けられた優先順位、の送信を行なう第1のステップ21を含んでいる。実際には、容量に対する要求は、メッセージに関連付けられたサービスの種類に関する情報を含んでいてよい。サービスは次いで、メッセージの優先順位およびタイミング要件を暗黙的に示す。要求は、航空機11.1、11.2、11.3、11.4の間でのリソースの分配を担当するコントロールセンターNCC13へ送られる。
【0036】
容量に対する要求に応答して、通信リソース用のコントロールセンターNCC13は、(タイムスロットの形式で)要求を発した端末に通信リソースを割り当てる。フランス特許出願第1000804号明細書に記述されているような割当方法を用いる場合、この割当は、メッセージに関連付けられた時間基準およびタイミング要件を考慮しながらメッセージの順序付けの計算を実行することにより決定される。
【0037】
続いて、第2のステップ22で、コントロールセンターNCC13は、計算されたメッセージの順序付けに基づいて決定された割当計画を、航空機の端末へブロードキャストする。
【0038】
実際には、コントロールセンターNCCは、各種の航空機から発せられた容量に対する要求を連続的に受信する。コントロールセンターNCCは一定の間隔で、各種のメッセージの順序付けを計算する。次いで、この順序付けから割当計画が決定される。割当計画は、どの端末が所与の期間(1個以上のタイムスロット)にわたり通信リソースを介して送信する権利を有しているかを判定する。順序付けおよび割当計画は、容量に対する新たな要求を考慮しながら、例えば毎秒再計算される。
【0039】
ステップ23でユーザーが自分に割り当てられた通信リソース(換言すれば、対応するタイムスロット)を知らされていれば、当該ユーザーは割り当てられた時間内で自身のメッセージを送る。
【0040】
メッセージまたは断片の消失が生じた場合、ゲートウェイが端末と協働して実装した検知機構24により、当該端末にメッセージの消失を通知することができる。断片またはメッセージの送信における誤りを検知する一般的な技術は、ゲートウェイが、受信した断片の全てに肯定応答するものである。一定時間(機構を効率化すべく最短にされなければならない)経過後に、端末が肯定応答を一切受信しなかった場合、断片が消失したものと見なし、当該断片の送信処理を更新する。端末はまた、受信した断片を示す肯定応答を受信することができ、従って、受信しなかったものを推定することができる(しかしこの方法では消失した最後の断片は検知できない)。以下においてこの種の検知を暗黙的であると分類する。ユーザーは次いで、本方法の第1のステップ、新たな通信リソースを得るために容量25に対する要求を送信するステップ、新たな割当計画26を待つステップ、およびゲートウェイ(GES)へメッセージを再送信27するためのステップを再生成しなければならない。
【0041】
本発明によれば、検知はまた、(ARQ型の)エラー回復機構の実装に加え、メッセージの少なくとも1個の断片の消失をコントロールセンターに通知するゲートウェイ(予想される断片の非受信)により既に保存されている割当計画に基づいていてもよい。以下においてこの種の検知を明示的であると分類する。
【0042】
図3に本発明による方法を示す。公知の方法と同一の方法において、本方法は、衛星通信ネットワークを介してメッセージを送信するために、少なくとも1個のメッセージの容量に対する要求を端末300からコントロールセンターNCC303へ送る第1のステップ31を含んでいる。
【0043】
続いて、第2のステップ32において、コントロールセンターNCC303は、計算されたメッセージの計算された順序付けに基づいて決定された割当計画を航空機の端末へブロードキャストする。本発明の基本的な特徴によれば、当該割当計画はまた、ゲートウェイ302へも送信される。
【0044】
実際には、コントロールセンターNCC13は、各種の航空機から発せられた容量に対する要求を連続的に受信する。コントロールセンターNCC13は一定の間隔で各種のメッセージの順序付けを計算する。次いで、この順序付けから割当計画が決定される。割当計画は、どの端末が所与の期間(1個以上のタイムスロット)にわたり通信リソースを介して送信する権利を有しているかを判定する。順序付けおよび割当計画は、容量に対する新たな要求を考慮しながら、例えば毎秒再計算される。この割当計画はまた、定期的にゲートウェイ302へ送信される。
【0045】
ステップ33でユーザーが自分に割り当てられた通信リソース(換言すれば、対応するタイムスロット)を知らされていれば、当該ユーザーは割り当てられた時間内で自身のメッセージを送る。
【0046】
メッセージまたは断片34の消失が生じた場合、上述のように、ゲートウェイが端末と協働して実装した検知機構により、当該端末にメッセージの消失を通知することができる。また、本発明によれば、ゲートウェイは、先行するステップ32において送信されていた割当計画を認識しており、メッセージまたは断片の消失または誤りを検知して識別することができる。
【0047】
ステップ35において、ゲートウェイ302は、どのメッセージまたは断片が消失したかを通信ネットワークNCCのコントロールセンター303に指示する。コントロールセンターは、本方法の当該ステップ時点における、消失したメッセージの特徴および要件を保存しているため、通信ネットワークNCCのコントロールセンター303は、消失したメッセージ(またはメッセージの断片の)の新たな送信のために必要な通信リソースを、各メッセージのタイミング要件が満たされるように当該割当計画に入れることができる。各メッセージのタイミング要件を遵守するには、フランス特許出願第1000804号明細書に記述されているような割当方法を用いる必要がある。
【0048】
従って、端末に通知するステップ36において、当該端末は、以前に送られたメッセージの消失をゲートウェイ302から(暗黙的または明示的に)通知され、これと並行して、コントロールセンターNCC303は、メッセージの初期要件が満たされるように、割当計画に入れられた新たな通信リソースの入手可能性を当該端末に通知する(36b)。この情報により、ユーザーは直ちに、容量に対する要求を再定式化することなく、且つ容量に対する新たな要求および新たな割当計画の待ち時間を浪費することなく、消失した自分のメッセージを再送信することができる。端末によるメッセージ消失の検知、およびメッセージを再送信するための新たな通信リソースの入手可能性を示す情報(コントロールセンターNCC303から送られた)の送信は、消失したメッセージを再送信するためのリソースの予約に対する要求をユーザーが送る必要がないように同期されている。
【0049】
言うまでもなく、第1の送信の間に1個以上のメッセージ/断片が消失した場合、ステップ36で送信される新たな割当計画は、各メッセージの要件が満たされるように、時間的に連続的または非連続な1個以上の通信リソースを含んでいる。
【0050】
本発明の改良された一変型実施形態によれば、割当計画の計算は、フランス特許出願第1000804号明細書で権利請求されたような方法に従い実行することができる。更に、割当計画の計算は、当該方法の変型実施形態の任意のものに従い計算することができる。実際には、ゲートウェイ202がコントロールセンターNCC203にメッセージの消失を通知する都度、コントロールセンターNCC203は、メッセージのサイズ、メッセージに関連付けられたタイミング要件、およびシステムへのメッセージの到着の時間基準を考慮しながら容量に対する要求を生成する。フランス特許出願第1000804号明細書で権利請求された方法を用いる場合、必然的に当該メッセージに関連付けられたタイミング要件により課されるメッセージの有効期間の満了時点により近い(メッセージの初期消失に起因する)ため、上述のような要求の優先順位は一般に極めて高い。
【0051】
本発明の主な利点は、要求割当接続を用いる場合、チャネルを介した消失データの再送信に要する時間を最小化できる点である。更に、チャネルを介した消失データの検知および再送信を可能にする既存の機構を変更しなくてもよい。従って、航空交通の管理のフレームワーク内で送られるメッセージの端末間時間を最小化することができる。
【0052】
本方法がフランス特許出願第1000804号明細書に記述されているようなリソースの最適割当に関連付けられている場合、可能ならば、各メッセージの時間関連特性を、それが属するサービスのタイミング要件に準拠するように考慮に入れる。従ってこの解決策により、より多数の端末間でリソースを共有しながら、同時にそれらの全てサービスのタイミング要件の遵守を維持することができる。
【0053】
時間に関する利得は、少なくとも、衛星リンクを介したメッセージまたはメッセージの断片の各再送信の要求/割当の往復(またはRTT:Round Trip Time=往復時間)に対応し、これに更に、一定のリソースを介して2倍近い数の端末を、それらの全てのサービスのタイミング要件を満たしながら受容可能にする最適割当(フランス特許出願第1000804号明細書に記述されているような)という利得も付加しなければならない。衛星RTTにおける利得は、端末がこれらのメッセージまたは断片の1個(少なくとも1個の衛星アップリンク)の消失を認識した場合に、容量に対する要求を行なうのに要する合計時間に対応し、これに割当計画(少なくとも1個の追加的衛星アップリンク)の送信に必要とされる時間も付加しなければならない。メッセージ送信を行なう衛星RTTの当該利得(処理時間を含めずに約500ミリ秒)は、最短で1.4秒〜2.4秒間の値に対応するいくつかのサービスの端末間時間要件と比較して無視できない。性能に関するこの利得により、リソースの利用効率が向上でき、従ってより多数の端末が受容可能になって、一定のリソースを介してそれらの全てのサービスのタイミング要件が満たされる。
【0054】
本発明は、航空交通管理に用いる衛星通信システムに適用可能であり、より一般的には、メッセージ配信時間および信頼性に関するサービス品質の厳しい要件に拘束される任意の衛星通信システムに適用可能である。