特許第6130712号(P6130712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130712
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/12 20060101AFI20170508BHJP
   F04B 39/06 20060101ALI20170508BHJP
   F04B 39/16 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   F04B39/12 101F
   F04B39/12 F
   F04B39/06 G
   F04B39/16 D
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-87381(P2013-87381)
(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公開番号】特開2014-88869(P2014-88869A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2016年4月11日
(31)【優先権主張番号】特願2012-220162(P2012-220162)
(32)【優先日】2012年10月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591252781
【氏名又は名称】ヒューグルエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091281
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】秋 淵雄
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝宏
(72)【発明者】
【氏名】白根 智博
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−198123(JP,A)
【文献】 特開昭49−068304(JP,A)
【文献】 特開2008−207434(JP,A)
【文献】 特開2006−063881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/12
F04B 39/06
F04B 39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から区画された内部空間を有する密閉ケースと、
フィルタにより浄化されたガスを前記内部空間に導入するガス導入部と、
前記密閉ケースに収納され前記内部空間から吸気したガスを送気するブロワと、
前記ブロワの周囲を覆うように配置され、かつ、前記ガス導入部から前記内部空間に導入されたガスを冷却する冷却手段と、
前記ブロワが送気するガスを外部へ導出するガス導出部と、
を有する密閉送風源を備えたガス浄化装置であって、
前記密閉送風源は、
前記ガス導入部が、外部から供給されたガスが流入するガス流入口と、このガス流入口と前記ブロワとの間に配置されて前記内部空間へガスを放出する通孔付きの開放放出部と、を備え、前記ガス導出部が、前記ブロワにより送気されるガスが通過する送気部と、この送気部を通過したガスを外部に排出するためのガス流出口と、を有することを特徴とするガス浄化装置。
【請求項2】
外部から区画された内部空間を有する密閉ケースと、
フィルタにより浄化されたガスを前記内部空間に導入するガス導入部と、
前記密閉ケースに収納され前記内部空間から吸気したガスを送気するブロワと、
前記ブロワの周囲を覆うように配置され、かつ、前記ガス導入部から前記内部空間に導入されたガスを冷却する冷却手段と、
前記ブロワが送気するガスを外部へ導出するガス導出部と、
を有する密閉送風源を備えたガス浄化装置であって、
前記密閉送風源は、
前記ガス導入部が、外部から供給されたガスが流入するガス流入口と、このガス流入口と前記ブロワとの間に配置されて前記内部空間へガスを放出するパイプと、を備え、前記ガス導出部が、前記ブロワにより送気されるガスが通過する送気部と、この送気部を通過したガスを外部に排出するためのガス流出口と、を有することを特徴とするガス浄化装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載したガス浄化装置において、
前記密閉送風源は、
前記ガス導入部のガス流入口と、前記ガス導出部のガス流出口と、の周囲を冷却する第二冷却手段をさらに備えることを特徴とするガス浄化装置。
【請求項4】
外部から供給されたガスが通過するプレフィルタと、このプレフィルタを通ったガスが供給される請求項1〜3の何れかに記載した密閉送風源と、この密閉送風源から排出されるガスを冷却する熱交換器と、この熱交換器により冷却されたガスが通過するHEPAフィルタと、を備えたことを特徴とするガス浄化装置。
【請求項5】
請求項4に記載したガス浄化装置において、
前記プレフィルタ、前記密閉送風源、前記熱交換器及び前記HEPAフィルタを、単一のケーシングに収納したことを特徴とするガス浄化装置。
【請求項6】
外部から供給されたガスが通過するプレフィルタと、このプレフィルタを通ったガスが供給される請求項1〜3の何れかに記載した密閉送風源と、この密閉送風源から排出されるガスが通過するHEPAフィルタと、を備えたことを特徴とするガス浄化装置。
【請求項7】
請求項6に記載したガス浄化装置において、
前記プレフィルタ、前記密閉送風源及び前記HEPAフィルタを、単一のケーシングに収納したことを特徴とするガス浄化装置。
【請求項8】
請求項に記載したガス浄化装置において、
前記プレフィルタ及び前記HEPAフィルタが収納されたフィルタユニットと前記密閉送風源とを、ガス流路を介して連結・分離可能に形成したことを特徴とするガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等の製造工程に使用して好適なガス浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、二つの電極間にある有機材料を電圧により誘起し、再び元に戻る時に光を放出する現象を利用した自然発光型素子である。そして、RGB各発光層の有機EL素子をマトリクス状に複数配置して有機ELディスプレイを構成する。
この有機ELディスプレイには、低消費電力で発熱が少なく、薄型軽量という特性がある。更に、有機ELディスプレイの画質は、良好な色再現性、高コントラスト、動画応答性とピーク精度の高さ、視野角依存性がない等の優れた特性を持つ。
【0003】
有機ELディスプレイの有機材料は、水や酸素に触れると劣化しやすいという特性がある。そこで、有機ELディスプレイの製造に当たっては、真空下、または窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で、RGB各発光層等の金属電極材料を真空蒸着によって基板に成膜し、また、大気に触れない状態でガラスの接着や封止を行っている。
【0004】
さて、有機ELディスプレイを不活性ガス雰囲気下で製造する場合、長尺の製造ライン全体をカバーにより覆い、このカバーの内部に不活性ガスを充填することがある。しかしながら、製造途中で発生する塵埃や微小片(以下、単に異物という)によって不活性ガスが汚染されることがあり、通常はガス浄化装置により前記カバー内の不活性ガスをクリーニングし、異物を除去するようにしている。
【0005】
ここで、有機ELディスプレイの製造に関する従来技術として、例えば、特許文献1,2に記載された装置が知られている。
特許文献1,2に記載された装置では、何れも密閉された容器に電動送風機を収納している。そして、特許文献1では、冷却板にガスを接触させて熱交換を行い、この冷却板に接する水冷パイプにより排熱を行う構造を採用している。また、特許文献2では、電動送風機が作り出す風によって送風機のモータを冷却することにより、自己冷却を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-198364号公報(図1図3等)
【特許文献2】特開2008-128224号公報(図1図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の図1図2に記載された装置では小型の冷却機構で熱交換するため不活性ガスとの接触面積が少なく、冷却効果が弱いという問題があった。
また、特許文献2の図1図2図4に記載された装置では、冷却ファンが不活性ガスを送風してモータを冷却しているため、冷却ファン機構から発する異物が不活性ガスに混入する恐れがあった。さらに冷却ファン機構を気密構造にしないと異物に加えて周囲から大気が混入する恐れがあり、大気が混入すると有機材料が水や酸素に触れて劣化し、発光できないダークスポットと呼ばれる不良部位が発生して製品の歩留まりが悪くなる等の問題があった。
【0008】
そこで、本発明の解決課題は、異物の混入や大気の侵入を防止しつつガスを浄化すると共に、ブロワ内のモータを効率よく冷却可能としたガス浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に係るガス浄化装置は、外部から区画された内部空間を有する密閉ケースと、
フィルタにより浄化されたガスを前記内部空間に導入するガス導入部と、
前記密閉ケースに収納され前記内部空間から吸気したガスを送気するブロワと、
前記ブロワの周囲を覆うように配置され、かつ、前記ガス導入部から前記内部空間に導入されたガスを冷却する冷却手段と、
前記ブロワが送気するガスを外部へ導出するガス導出部と、
を有する密閉送風源を備えたガス浄化装置であって、
前記密閉送風源は、
前記ガス導入部が、外部から供給されたガスが流入するガス流入口と、このガス流入口と前記ブロワとの間に配置されて前記内部空間へガスを放出する通孔付きの開放放出部と、を備え、前記ガス導出部が、前記ブロワにより送気されるガスが通過する送気部と、この送気部を通過したガスを外部に排出するためのガス流出口と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に係るガス浄化装置は、外部から区画された内部空間を有する密閉ケースと、
フィルタにより浄化されたガスを前記内部空間に導入するガス導入部と、
前記密閉ケースに収納され前記内部空間から吸気したガスを送気するブロワと、
前記ブロワの周囲を覆うように配置され、かつ、前記ガス導入部から前記内部空間に導入されたガスを冷却する冷却手段と、
前記ブロワが送気するガスを外部へ導出するガス導出部と、
を有する密閉送風源を備えたガス浄化装置であって、
前記密閉送風源は、
前記ガス導入部が、外部から供給されたガスが流入するガス流入口と、このガス流入口と前記ブロワとの間に配置されて前記内部空間へガスを放出するパイプと、を備え、前記ガス導出部が、前記ブロワにより送気されるガスが通過する送気部と、この送気部を通過したガスを外部に排出するためのガス流出口と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項3に係るガス浄化装置は、請求項1または請求項2に記載したガス浄化装置において、
前記密閉送風源は、前記ガス導入部のガス流入口と、前記ガス導出部のガス流出口と、の周囲を冷却する第二冷却手段をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係るガス浄化装置は、外部から供給されたガスが通過するプレフィルタと、このプレフィルタを通ったガスが供給される請求項1〜3の何れかに記載した密閉送風源と、この密閉送風源から排出されるガスを冷却する熱交換器と、この熱交換器により冷却されたガスが通過するHEPAフィルタと、を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項5に係るガス浄化装置は、請求項4に記載したガス浄化装置において、前記プレフィルタ、前記密閉送風源、前記熱交換器及び前記HEPAフィルタを、単一のケーシングに収納したことを特徴とする。
【0014】
請求項6に係るガス浄化装置は、外部から供給されたガスが通過するプレフィルタと、このプレフィルタを通ったガスが供給される請求項1〜3の何れかに記載した密閉送風源と、この密閉送風源から排出されるガスが通過するHEPAフィルタと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項7に係るガス浄化装置は、請求項6に記載したガス浄化装置において、前記プレフィルタ、前記密閉送風源及び前記HEPAフィルタを、単一のケーシングに収納したことを特徴とする。
【0016】
請求項8に係るガス浄化装置は、請求項に記載したガス浄化装置において、前記プレフィルタ及び前記HEPAフィルタが収納されたフィルタユニットと前記密閉送風源とを、ガス流路を介して連結・分離可能に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、回収したガスに異物が混入したり大気が侵入することもなく、ガスを冷却しながら浄化して再び外部に供給するガス浄化装置を提供することができる。また、密閉ケースの内部空間で冷却されたガスを用いてブロワ内のモータを冷却するようにガス流路を構成することにより、ブロワ内のモータを効率よく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のガス浄化装置に使用される密閉送風源の内部を側面から視た内部構成図である。
図2】本発明のガス浄化装置に使用される密閉送風源の内部を正面から視た内部構成図である。
図3】本発明のガス浄化装置に使用される密閉送風源の内部を背面から視た内部構成図である。
図4】本発明の第1実施例に係るガス浄化装置の構成図である。
図5】本発明の第2実施例に係るガス浄化装置の構成図である。
図6】本発明の第3実施例に係るガス浄化装置の構成図である。
図7】本発明の第4実施例に係るガス浄化装置の構成図である。
図8】本発明のガス浄化装置に使用される密閉送風源の他の例を示す構成図である。
図9】本発明のガス浄化装置に使用される密閉送風源の他の例を示す構成図である。
図10】本発明のガス浄化装置に使用される密閉送風源の他の例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明のガス浄化装置に使用される密閉送風源100の内部を側面から視た構成図、図2は同じく正面から視た構成図、図3は同じく背面から視た構成図である。図1図3において、密閉送風源100は、蓋101aおよび有底筒状の収容体101bを有する密閉ケース101と、この密閉ケース101内に収納されたボルテックスブロワ102と、密閉ケース101の内周面において螺旋状に配置された冷却管103とを備えている。
【0021】
また、104は製造ラインからの不活性ガス(例えば窒素(N)ガス)が供給されるガス流入口であり、このガス流入口104から流入した不活性ガスは、開放放出部105を介して内部空間へ供給されるようになっている。これらガス流入口104および開放放出部105はガス導入部の具体例である。なお、図1図2で示すように、開放放出部105には多数の通孔105aが設けられている。この開放放出部105の通孔105aから不活性ガスが放出される。この不活性ガスは螺旋状の冷却管103に接触して冷却された後、図3で示すようにボルテックスブロワ102の吸気口102aを介してボルテックスブロワ102の内部に流入し、ホースやパイプなどの送気部106を介してガス流出口107に到達するように構成されている。これら送気部106およびガス流出口107はガス導出部の具体例である。
【0022】
冷却管103の両端部は、冷却水供給口103a及び冷却水排出口103bに接続され、図示されていない外部の冷却ポンプから送られる冷却水が冷却管103を通過することにより、密閉ケース101の内部空間に充満しているガスが冷却される。この冷却管103は螺旋状に構成しており、不活性ガスとの接触面積を大幅に増大させている。なお、この密閉送風源100における不活性ガスの冷却を一次冷却という。
【0023】
密閉ケース101の底面には、キャスター及びストッパーが取り付けられており、密閉送風源100の移動及び固定を容易にしている。
また、ボルテックスブロワ102の内部に設けられたモータを駆動するためのインバータ等の制御ユニットは、密閉ケース101内に収納しても良いし、密閉ケース101の外部に配置しても良い。
【0024】
次に、図4は本発明の第1実施例に係るガス浄化装置の構成図である。
図4において、製造プロセスから回収された不活性ガスは、流路501を介してフィルタユニット200内のプレフィルタ201を通り、流路502から前記密閉送風源100のガス流入口104に流入する。
製造プロセスとしては、例えば有機ELディスプレイの製造工程において、基板の表面を不活性ガスにより除塵する除塵装置が考えられ、除塵後の不活性ガスを回収して冷却しながら浄化し、冷却・浄化後のガスを除塵装置に再び供給する。前記プレフィルタ201は、浄化前のガスから大部分の異物を除去して一次浄化を行うために設けられている。
【0025】
密閉送風源100における動作は前述したとおりであり、一次浄化された不活性ガスはガス流入口104から開放放出部105の通孔105aを介して密閉ケース101内の内部空間へ放出される。この内部空間に放出された不活性ガスは冷却管103により一次冷却され、ボルテックスブロワ102の吸気口102aを経てボルテックスブロワ102の内部に流入し、送気部106を介してガス流出口107から外部に排出される。ガス流出口107から排出された不活性ガスは、図4の流路503を介して熱交換器300に供給される。
上記のように、一次冷却された不活性ガスをボルテックスブロワ102の内部に流入させて送気部106から排出することにより、ボルテックスブロワ102の内部のモータを効率よく冷却することができる。
【0026】
熱交換器300は、密閉送風源100から送られた不活性ガスを適宜、温度調節しながら二次冷却するためのものであり、二次冷却後のガスの温度が製造プロセスに適した温度となるように、図示されていないコントローラによって冷却水温度や水量等が制御される。
なお、製造プロセスから回収されるガスの温度は、例えば60〜80[℃]に達することも多く、この高温ガスを浄化して再び製造プロセスに戻すと基板や電極材料の劣化等、種々の問題を生じる。このため、熱交換器300によってガスを例えば23[℃]程度の常温まで冷却し、冷却後のガスを製造プロセスに供給することで、製品の劣化や不良の発生を防止し、歩留まりを向上させることができる。
【0027】
図4において、熱交換器300を通った二次冷却後のガスは、流路504を介してフィルタユニット200内のHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ202により二次浄化され、流路505を介して製造プロセスに供給される。HEPAフィルタ202は、二次冷却後のガス(一次浄化ガス)から高い粒子捕集率(例えば、定格風量で粒径が0.3[μm]の粒子に対して99.97[%]以上:JIS Z 8122)により微小な異物を除去するものである。
ここで、流路501〜505は、パイプまたはホースにより構成されている。
【0028】
上記のように、第1実施例のガス浄化装置においては、プレフィルタ201により一次浄化した不活性ガスを密閉送風源100の密閉ケース101内に充満させて一次冷却し、その後に一次冷却ガスを熱交換器300により二次冷却して温度調節を行うと共に、HEPAフィルタ202により高効率の二次浄化を行ってから製造プロセスに供給している。
従って、密閉ケース101内の不活性ガスに対して、更に外部から異物が混入する恐れがなく、仮にボルテックスブロワ102のモータ等から若干の異物が発生したとしても、その異物は後段のHEPAフィルタ202により確実に除去されるので、高純度の浄化ガスが製造プロセスに供給されることになる。
加えて、密閉送風源100による不活性ガスの一次冷却、熱交換器300による温度調節を伴った二次冷却を行うことにより、製造プロセスから回収された不活性ガスが高温である場合でも、これを所定温度に冷却して再び製造プロセスに供給することができ、適切な温度条件のもとで基板の除塵等を行うことが可能である。
【0029】
次に、図5は本発明の第2実施例に係るガス浄化装置の構成図である。
図4に示した第1実施例では、プレフィルタ201及びHEPAフィルタ202を単一のケーシングに収納してフィルタユニット200を形成することを予定しているが、図5に示すように、密閉送風源100、熱交換器300、プレフィルタ201及びHEPAフィルタ202を、単一のケーシング401に収納してもよい。この場合、各機器の配置を工夫し、流路502〜504の長さを最短に設定することにより、全体的に小型のガス浄化装置を実現することができる。
【0030】
図6は本発明の第3実施例に係るガス浄化装置の構成図である。
この第3実施例は、図5の第2実施例から熱交換器300を除去したものに相当し、密閉送風源100、プレフィルタ201及びHEPAフィルタ202が単一のケーシング402に収納されている。
製造プロセスから回収されるガスがそれほど高温にならない場合や、密閉送風源100での一次冷却時に温度調節が可能な場合等には、図6のように熱交換器300を除去することにより、第1実施例、第2実施例よりも構成が簡単で一層小型のガス浄化装置を実現することができる。
【0031】
図7は本発明の第4実施例に係るガス浄化装置の構成図である。
この第4実施例は、フィルタユニット200と密閉送風源100とを分離し、密閉送風源100の流路502,503の端部に取り付けたジョイント512,513によってフィルタユニット200内のプレフィルタ201及びHEPAフィルタ202に連結するように構成されている。なお、この第4実施例でも、熱交換器300は用いられていない。
【0032】
図6の第3実施例では、ガス浄化装置の全体をケーシング401に収納しているが、設置スペースに余裕がなくケーシング401を設置できないこともある。そのような場合には、第4実施例に示すようにフィルタユニット200と密閉送風源100とを分離し、流路502,503を例えば可撓性のあるホース等により形成すれば、フィルタユニット200と密閉送風源100とを任意の位置関係で設置できるため、狭いスペースを有効的に利用することができる。同時に、フィルタユニット200と密閉送風源100とが分離されていれば、各部の保守点検作業も容易になり、メンテナンス性に優れたガス浄化装置を提供することができる。
【0033】
なお、図5の第2実施例、図6の第3実施例におけるケーシング401,402内の各部の相対的な位置関係は特に限定されず、各部を平面的に配置し、または垂直方向に積層して配置する等、ガス浄化装置の設置スペースを考慮しながら任意に設計すれば良い。
【0034】
次に、図8は、本発明のガス浄化装置に使用される密閉送風源の他の例を示す構成図である。この密閉送風源100Aでは、開放放出部105に代えて通常のパイプ108を配置したものである。このパイプ108は通孔がない管であり、下側の一個の開口のみから不活性ガスが噴射される。これらガス流入口104およびパイプ108はガス導入部の具体例である。
【0035】
すなわち、外部の流路502(図4図7を参照)から供給される不活性ガスはガス流入口104からパイプ108を経て密閉ケース101の内部空間に放出される。この不活性ガスは冷却管103に接触して冷却された後、ボルテックスブロワ102の吸気口102aからボルテックスブロワ102の内部および送気部106を経てガス流出口107から外部の流路503(図4図7を参照)に排出される。このような密閉送風源としても良い。
なお、図8の密閉送風源100Aは、図4図7に示したガス浄化装置のすべてに適用可能である。
【0036】
次に、図9は、本発明のガス浄化装置に使用される密閉送風源の他の例を示す構成図である。この密閉送風源100Bでは、ガス流入口104およびガス流出口107の周囲を冷却水が通過するようにして不活性ガスをさらに冷却する構成を採用する。密閉ケース101は、蓋101a、収容体101bに加え、さらに冷却水供給口101c、冷却水排出口101dを備える。蓋101aには冷却水供給口101cおよび冷却水排出口101dを通過する流路が形成されており、冷却水供給口101cからの冷却水はこの流路を通過して冷却水排出口101dから流出される。これらは第二冷却手段として機能する。
【0037】
このような密閉送風源100Bでは、蓋101aのガス流入口104で冷却された不活性ガスを密閉ケース101の内部空間内に放出してボルテックスブロワ102へ供給する。これによりボルテックスブロワ102の内部の温度を更に下げる効果が見込める。ボルテックスブロワ102の内部温度を下げることでブロワ内のベアリング寿命延長など各種の利点がある。そして、蓋101aのガス流出口107付近で更に不活性ガスを冷却した上で送気する。これにより不活性ガスの更なる冷却効果も見込める。
【0038】
次に、図10は、本発明のガス浄化装置に使用される密閉送風源の他の例を示す構成図である。この密閉送風源100Cでは、不活性ガスの流路が図1の例と逆になっている。
すなわち、外部の流路502(図4図7を参照)から供給される不活性ガスはガス流入口104Aから送気部106を経てボルテックスブロワ102の内部に供給され、ボルテックスブロワ102の排気口102bから密閉ケース101の内部空間に放出された不活性ガスは冷却管103に接触して冷却された後、開放収集部105Aの通孔105Bを介してガス流出口107Aから外部の流路503(図4図7を参照)に排出される。
【0039】
この密閉送風源100Cは、ボルテックスブロワ102内のモータの冷却機能は図1の密閉送風源100より若干劣っているが、回収したガスを密閉空間内で冷却して再び外部に供給する点では図1の密閉送風源100と同等の機能を持つものである。
なお、図10の密閉送風源100Cは、図4図7に示したガス浄化装置のすべてに適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のガス浄化装置は、有機ELディスプレイ等の製造工程における不活性ガスの浄化に限らず、各種の製造設備、空調設備、測定・試験設備などにおけるガスの浄化に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
100,100A,100B,100C:密閉送風源
101:密閉ケース
102:ボルテックスブロワ
102a:吸気口
102b:排気口
103:冷却管
103a:冷却水供給口
103b:冷却水排出口
104,104A:ガス流入口
105:開放放出部
105a:通孔
105A:開放収集部
105B:通孔
106:送気部
107,107A:ガス流出口
200:フィルタユニット
201:プレフィルタ
202:HEPAフィルタ
300:熱交換器
401,402:ケーシング
501〜505:流路
512,513:ジョイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10