特許第6130713号(P6130713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6130713ガスを発生させる液体製品を収容するための袋
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130713
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】ガスを発生させる液体製品を収容するための袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/01 20060101AFI20170508BHJP
   B65D 30/08 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   B65D33/01
   B65D30/08
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-87399(P2013-87399)
(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公開番号】特開2013-220856(P2013-220856A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2016年4月7日
(31)【優先権主張番号】MI2012A 000647
(32)【優先日】2012年4月18日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】508218822
【氏名又は名称】ゴグリオ ソシエタ ペル アチオニ
【氏名又は名称原語表記】GOGLIO S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ゴグリオ フランコ
(72)【発明者】
【氏名】ボッティニ ジオルジオ
(72)【発明者】
【氏名】ファントーニ ルカ
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0272408(US,A1)
【文献】 特開平03−164403(JP,A)
【文献】 実開平06−001263(JP,U)
【文献】 特開2006−335447(JP,A)
【文献】 特開2009−179330(JP,A)
【文献】 実開昭61−051363(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0254636(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D30/00−33/38
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを発生させる液体製品を収容するための、二重壁タイプの袋であって、
上記袋が、周囲の熱封止線(3)に沿って互いに結合された2つの対向面(2)と、上記対向面(2)のうちの一つに取り付けられて上記液体製品を充填および排出するための注ぎ口(7)とを備え、
上記袋の二重壁が、ポリエチレンベースの透過性の内膜(5)と、補強のための外膜(6)とを備え、
上記外膜(6)が、ポリプロピレンとポリエチレン(PP/PE)の混合物である不織布のみで出来ていることを特徴とする袋。
【請求項2】
上記外膜(6)の不織布の重量が60ないし85g/mであることを特徴とする請求項に記載の袋。
【請求項3】
上記内膜(5)が、同時押し出し成形された、30μm、28g/mのLLDPE(線状低密度ポリエチレン)であることを特徴とする請求項1に記載の袋。
【請求項4】
上記液体製品が、貯蔵中にガスを発生させるものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の袋。
【請求項5】
上記ガスが二酸化炭素であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の袋。
【請求項6】
上記液体製品がイーストであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスを発生させる液体製品、特に製パンのためのイースト、を収容するための袋に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の記述では、特にイーストに言及しているが、本発明は、貯蔵中にガスを発生させる任意の液体製品またはペースト状製品に適用できることが理解されるであろう。
【0003】
イーストは、製造段階では液状であり、次いで、市場に出回るときには多くの場合粉状や固形の塊状に変形するために脱水される。使用段階では、イーストは、再び液状に戻る。
【0004】
近年、イーストを直接液状で製造・包装する傾向がある。これは、製造時に液状から固形状に変形させて使用時には逆に固形状から液状に変形させる段階が消えるという、実務上および経済上の観点から有利だからである。
【0005】
液状のイーストを貯蔵する際の問題は、10/20リットルの包装物について1日に1ないし3リットルにも及ぶ、著しく大量のガス、特にCOが発生するということである。
【0006】
それゆえ、袋は、一方では、ガスの高い透過性を有し、他方では、内容物の重量を支えられるくらい十分頑丈である必要がある。このような袋は通常、10/20リットルの容量がある。
【0007】
このような要件を満たすために、「二重壁」の袋が提案された。すなわち、これは、COに対し高い透過性を示す、非常に薄い厚み(30ないし50μm)でそのため機械強度が低いポリエチレンベースの内膜と、ナイロンベースの積層物で構成されて、80ないし150μmの厚みで、必要な機械強度を袋に与えるのに適した外膜とを有する。
【0008】
外膜は、透過性はないが、内膜を透過するガスの放出のための複数の小さな穴を有する。
【0009】
このように形作られた袋は、操作が容易ないわゆるバッグインボックス包装を構成するように、段ボール箱の内部に置かれる。
【0010】
上記のようなタイプの袋は、穴の開いた外膜を備えるにもかかわらず、袋を膨張させる傾向のあるガスの放出が不十分である点が見られるため、満足のいかないものである。
【0011】
これは、液状のイーストが充填された袋が段ボール箱に入れられたときに、袋は箱になじみ、空いているままの袋の上部空間から遠い箇所では、袋の外側の表面と箱の内側の壁との間で圧力のかかる接触が起きるからである。
【0012】
圧力のかかる接触によって、袋の内膜とプラスチックの外膜との間で強い付着が起こり、実際には外膜に設けられた穴を塞いでしまい、それゆえガスの放出を妨げてしまう。このガスは、袋の上部に貯まる傾向があり、そこでは、収納ボックスの内壁と接触していない、外膜の穴の開いた表面は小さいので、ガスは排出が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/239432号明細書(2009年09月24日公開)
【特許文献2】独国実用新案第20 2006 011976号明細書(2006年10月19日公開)
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/116098号明細書(2008年05月22日公開)
【特許文献4】国際公開第98/46498号(1998年10月22日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、従来技術の上記の欠点を解消することである。
【0015】
より詳細には、本発明の目的は、そこに収容される製品の完全で迅速な脱気が可能な、液状のイーストのための袋を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、簡素で経済的に製造できる袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る袋は、添付の独立請求項1の特徴を有する。
【0018】
本発明の有利な形態は、従属請求項に記載されている。
【0019】
実質的には、本発明に係る袋は、
いわゆる二重壁タイプの袋であって、
ポリエチレンベースの高透過性の内膜と、補強のための外膜とを備え、
上記外膜が、ポリエチレンベースの繊維の不織布であり、上記内膜に封止可能であるようになっている。
【0020】
有利には、外膜の不織布の繊維は、重量が60ないし85g/mである、ポリプロピレンとポリエチレン(PP/PE)の混合物によって構成される。
【0021】
本発明のさらなる特徴は、添付図面に示された非限定の例を単に用いて実施形態の一つを参照する以下の詳細な説明によってより明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、簡素で経済的な手段で、袋に収容された液体製品によって発生したガスの完全で迅速な放出ができるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る袋の概略の平面図である。
図2図1の線II−IIに沿った拡大断面図である。
図3図1の袋の概略の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面を参照し、本発明に係る袋は、ガスを発生させる液体製品、特にイースト、を収容するための袋であり、部材番号1で示す。
【0025】
袋1は、外端4に平行に走る、周囲の熱封止線3を用いて結合された2つの対向面2を備える。
【0026】
添付図面に示すように、袋1は、最も簡単に形成される長方形形状に描いてあるが、他の任意の形状でもよいことは明らかである。
【0027】
袋1はいわゆる二重壁タイプのものであり、すなわち、袋1の2つの対向面2のそれぞれが、2つの膜、すなわち内膜5と補強のための外膜6とを有し、2つの対向面2は、互いに離れており、周囲の熱封止線3の所でのみ互いに結合している。
【0028】
袋1の2つの対向面2のうちの一つには、液体製品を充填および排出するための注ぎ口7が取り付けられている。注ぎ口7は、対応する対向面2の内部に封止された円形のベースフランジ8を有し、また、注ぎ口7は、この対向面2に形成された穴から突き出ており、蓋9によって閉じられる。
【0029】
袋1の二重壁の内膜5は、ガス、特に、COに対し、高透過性を有する。COは、袋に入っているイーストにより大量に生成され、1日、1気圧あたり、50リットル/m(50 l/m day atm)を超える。内膜5は、ポリエチレンベースであり、例えば同時押し出し成形されたLLDPE(線状低密度ポリエチレン)ベースであり、上述の高透過性値を達成することができるようにするために、非常に薄い厚み(約30μm)および28g/mの重量を有する。
【0030】
このような内膜5は、単独では非常にもろく、それゆえ破れやすい。
【0031】
それゆえ、外膜6は、袋に頑丈さを与え、破れやすさを回避する役割を割り当てられている。
【0032】
外膜6は、本発明によれば、60ないし85g/mの重量の、ポリプロピレンとポリエチレン(PP/PE)の混合物によって構成される繊維の不織布で出来ている。
【0033】
不織布の繊維を構成する混合物におけるポリエチレンの存在によって、内膜5に対する周囲の熱封止線3の動作が許可され、また、注ぎ口7のベースフランジ8の熱封止をも同様に許可される。
【0034】
PP/PE不織布の外膜6の製造によって、収納箱(バッグインボックス)、通常、段ボール箱に、袋1を挿入したときに内膜5と外膜6との間の付着による不利益を解消することが可能になる。
【0035】
実際、本発明に係る不織布は、従来技術の穴の開いたプラスチック膜よりも皺が大きいので、膜同士の付着を防止し、全表面にわたって微小な穴を有する外膜6の不織布を通して、ガス、特にCOの放出を容易にする。
【0036】
上述の内容から、簡素で経済的な手段で、袋1に収容された液体製品によって発生したCOガスの完全で迅速な放出ができるという、本願の利点は明らかであると考えられる。
【0037】
当然ながら、本発明は、ここまでに添付の図面に示した特定の実施形態には限定されず、代わりに、当業者に想到できる範囲で、それによって添付の請求項に規定した本発明の範囲から逸脱することなく、無数の詳細な変更を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、貯蔵中にガスを発生させる任意の液体製品またはペースト状製品に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 袋
2 対向面
3 熱封止線
4 外端
5 内膜
6 外膜
7 注ぎ口
8 ベースフランジ
9 蓋
図1
図2
図3