(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明における
扉開閉検出システムの好適な実施の形態について図面を用いて説明する。なお、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における扉開閉検出装置1の設置方法の例示図である。
【0012】
図1(a)は、扉開閉検出装置1aを、開き戸タイプのドア9aに設置する場合の例示図である。一方、
図1(b)は、扉開閉検出装置1bを、引き戸タイプのドア9bに設置する場合の例示図である。
【0013】
ドア9aは、ドアノブ90aを用いて、ドア9aを扉移動方向に押したり引いたりすることにより開閉される。また、ドア9bは、ドアノブ90bを用いて、ドア9bを扉移動方向にスライドさせることにより開閉される。
【0014】
扉開閉検出装置1aは、ドア9aの上方に設置され、振り子11を備えている。そして、扉開閉検出装置1aは、扉開閉時の振り子11の扉移動方向の振動を利用して、扉が開閉移動している状態を検出することができる。扉開閉検出装置1bについても同様である。
【0015】
扉開閉検出装置1aと扉開閉検出装置1bは、同一の構造及び機能を有しており、ドア9aまたはドア9bへの固定面だけが異なっている。扉開閉検出装置1aと扉開閉検出装置1bは、
図1に示すように、振り子11の振動方向が、扉開閉時の扉移動方向と一致するようにドア9に固定されている。
【0016】
本実施の形態1における扉開閉検出装置1は、このように、扉開閉時に、振り子11が扉移動方向に振れることができるものであれば、どのような扉に対しても適用することが可能であり、設置性に優れたものとなっている。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態1における扉開閉検出装置1の内部構造の例示図である。
図2(a)は、
図1(a)に示す扉開閉検出装置1aの構造を示している。また、
図2(b)は、
図1(b)に示す扉開閉検出装置1bの構造を示している。
【0018】
ここからは、扉開閉検出装置1a及び扉開閉検出装置1bの動作について説明するが、先に述べたように、扉開閉検出装置1a及び扉開閉検出装置1bは構造及び機能ともに同一であるため、説明は、
図2(a)に示す扉開閉検出装置1aについてのみ行い、扉開閉検出装置1bについては説明を省略する。
【0019】
また、以下の説明では、扉開閉検出装置1aと扉開閉検出装置1bとを合わせて扉開閉検出装置1とする。また、同様に、ドア9a及びドア9bをドア9とし、ケース10a及びケース10bをケース10とする。
【0020】
図2(a)に示す扉開閉検出装置1は、ケース10、振り子11、振り子歯車110、振り子軸111、振り子軸受112、発電機12、発電機歯車120、発電機軸121、整流器13、蓄電器14、無線送信部15、及びアンテナ16を備えて構成される。
【0021】
ケース10は、扉開閉検出装置1の構成要素を収納するとともに、扉開閉検出装置1の振り子11の振動方向が、扉開閉時の扉移動方向と一致するようにドア9に固定されている。
【0022】
振り子11は、ドア9の開閉開始時には、慣性により扉の移動方向と逆方向に振れる。そして、ドア9の開閉完了後には、振れが収まるまで往復動作を繰り返す。
【0023】
振り子11の往復運動のエネルギーは、まず、振り子軸受112間の振り子軸111の回転運動に変換される。そして、振り子軸111の回転運動は、振り子歯車110及び発電機歯車120を介して、発電機軸121に伝えられる。この結果、発電機12は、発電機軸121の回転を利用して電力を発電することができる。
【0024】
しかしながら、このとき、振り子11は往復動作するため、発電機軸121は正転と逆転を繰り返し、発電機12の出力電圧は、振幅が正負に振動することになる。そこで、整流器13は、発電機12の出力電圧を整流して、交流を直流に変換している。
【0025】
また、整流器13による整流後の直流電圧は、振幅が変動しており、このままでは電力として利用することが難しいため、例えば、コンデンサ等の蓄電器14を用いることにより電圧を安定化させている。
【0026】
無線送信部15は、蓄電器14の電圧が、例えば、扉開閉検出情報8を外部に無線送信するために必要な閾値電圧以上となった場合に起動される。すなわち、無線送信部15は、扉が開閉移動している状態であることを検出する扉開閉検出センサとしての役割をも果たしている。
【0027】
更に、無線送信部15は、蓄電器14の電圧が閾値電圧値以上である期間において、扉開閉検出情報8を、アンテナ16を用いて外部に無線送信する。すなわち、無線送信部15は、蓄電器14の電圧が閾値電圧値以上となったタイミングで無線送信を開始し、蓄電器14の電圧が閾値電圧値未満となったタイミングで無線送信を終了する。
【0028】
このとき、無線送信部15は、扉開閉検出情報8として、例えば、各扉開閉検出装置1に固有のID番号を含めて無線送信する。この結果、複数の扉開閉検出装置1を用いる場合でも、受信側では、扉開閉検出装置1のID番号と、扉開閉検出装置1の設置箇所との対応関係を把握することができるようになる。なお、扉開閉検出情報8には、ID番号以外の情報が含まれていてもよい。
【0029】
各扉開閉検出装置1に固有のID番号は、
図2(a)に示すように、無線送信部15に設けられたID設定部150によって設定される。ID設定部150としては、例えば、1から9の番号を設定することができるロータリスイッチを利用することができる。ここで、もし、1つのロータリスイッチではID番号が足りない場合は、ロータリスイッチを複数用いるようにすればよい。
【0030】
一般的に、ID番号等の扉開閉検出情報8は、情報量が小さいため、無線送信に必要な時間も短くて済む。したがって、蓄電器14の容量は小さなものでも対応が可能である。
【0031】
なお、
図2に示す扉開閉検出装置1では、振り子11の動作が目視で確認できるように、振り子11を、ケース10の外側に配置しているが、振り子11を、ケース10内部に納めるようにしても同様の効果が得られる。この場合でも、例えば、ケース10を透明の材質で形成するようにすれば、振り子11の動作が目視で確認できるようになる。
【0032】
次に、上記の扉開閉検出装置1を用いた、扉開閉検出システムについて説明する。
【0033】
図3は、本発明の実施の形態1における扉開閉検出システムのブロック図である。
図3に示す扉開閉検出システムは、複数の扉開閉検出装置1(1)、1(2)、自動報知装置2、報知手段3、及び表示モニタ4を備えて構成される。
【0034】
また、自動報知装置2は、受信部21、制御演算部22、条件設定メモリ23、時計24、行動履歴格納メモリ25、及び、モード切替えスイッチ26を備えて構成される。また、報知手段3は、ブザー31、及び、第1の通信装置32aを備えて構成される。
【0035】
なお、
図3では、2個の扉開閉検出装置1(1)、(2)を備えた例を示しているが、扉開閉検出装置1の個数nは、自然数であればよい。以下、
図3を用いて、本実施の形態1における扉開閉検出システムの構成要素の機能について詳しく説明する。
【0036】
受信部21は、扉開閉検出装置1から扉開閉検出情報8を受信する。そして、制御演算部22は、受信部21が受信した扉開閉検出情報8に基づいて、条件設定メモリ23に記憶されたID番号に対して日付及び時刻情報を付加した行動履歴情報を時系列で生成し、行動履歴格納メモリ25に格納する。
【0037】
このとき、例えば、扉の開閉速度が遅い場合など、同一の扉開閉検出情報8が複数回送信されるような場合には、例えば、1分以内に受信した扉開閉検出情報8を合わせて1回とカウントすることにより、同一の扉開閉検出情報8の重複を避けることができる。
【0038】
条件設定メモリ23には、異常を報知するか否かの異常報知条件として、一定期間内の各扉の開閉回数の上限及び下限の設定値を予め記憶させておく。制御演算部22は、この異常報知条件が満たされた場合には、ブザー31を鳴らす、または、第1の通信装置32aを制御することにより、異常報知条件を満たした扉の開閉回数情報を含む情報を、第1の通信網5aを介して、近親者の所持する携帯電話機6aに電子メールとして報知する。
【0039】
また、自動報知装置2は、モード切替えスイッチ26を備えており、例えば、自動報知装置2に、防犯用の「外出」モードと、安否確認用の「在室」モードの2つの運転モードを持たせることができる。この結果、「外出」モードでは、「在室」モードよりも、異常報知条件を厳しくして、異常が報知され易いようにし、更に、異常を報知する際のブザー31の音を大きくするなどして、扉開閉検出システムをより柔軟に運用することができるようになる。
【0040】
具体的には、例えば、予め、条件設定メモリ23内に、各動作モード用の複数の異常報知条件を記憶させておき、自動報知装置2の動作モードを切替えるためのモード切替えスイッチ26と連動させて、条件設定メモリ23内の異常報知条件を切替えるようにすればよい。
【0041】
次に、この扉開閉検出システムを、独居老人の住居に設置する場合の具体例を説明する。
【0042】
図3に示す扉開閉検出システムが設置された住居内では、独居老人が、日常生活において1日に1回以上は開閉すると考えられる玄関、居間、寝室、トイレ、浴室、冷蔵庫等の扉に、それぞれ扉開閉検出装置1が設置されている。
【0043】
また、扉開閉検出装置1のID設定部150には、玄関はID番号1、居間はID番号2、寝室はID番号3、トイレはID番号4、浴室はID番号5、冷蔵庫はID番号6が設定されている。更に、予め条件設定メモリ23には、扉開閉検出装置1のID番号と扉開閉検出装置1の設置箇所との対応関係が登録されている。
【0044】
この結果、独居老人が、扉開閉検出装置1が設置された扉を開閉する毎に、扉開閉検出情報8が、扉開閉検出装置1から自動報知装置2に無線送信されることになる。
【0045】
制御演算部22は、受信部21が受信した扉開閉検出情報8に対して、時計24から入力した日付及び時刻情報付加し、更に、扉開閉検出装置1のID番号と扉開閉検出装置1の設置箇所との対応関係とを付加して、行動履歴格納メモリ25に時系列で行動履歴情報として格納する。
【0046】
図4は、本発明の実施の形態1における行動履歴格納メモリ25の内容の例示図である。
図4に示す、行動履歴格納メモリ25の内容である行動履歴情報は、自動報知装置2によって、表示モニタ4に表示される。
【0047】
図4に示す行動履歴情報により、例えば、独居老人は、2月3日には、7時30分に起床し、トイレに行った後、7時40分に居間で冷蔵庫を開けていることが分かる。また、8時25分に、居間に設置された自動報知装置2のモード切替えスイッチ26を「外出」に切替えた後、8時33分に玄関から外出し、その後、11時00分に帰宅し、11時05分に、モード切替えスイッチ26を「在室」に戻し、その後トイレに入っていることが分かる。
【0048】
このように、扉開閉検出システムが設置された住居内では、独居老人が意識することなしに、扉の開閉動作だけで独居老人の行動履歴情報を生成することができる。そして、行動履歴情報は、後で表示モニタ4に表示させて見ることができる。この行動履歴情報を、別居する近親者が定期的に確認することにより、独居老人の日常の生活行動パターンを確認することができる。
【0049】
また、この独居老人の日常の生活行動パターンから、予め異常報知条件を設定して記憶させておくことにより、異常報知条件が満たされた場合には、別居している近親者に対して異常を報知して、独居老人の安否の確認を促すことができる。
【0050】
具体的には、条件設定メモリ23には、以下のような異常報知条件を設定しておく。例えば、トイレの扉開閉回数が1日2回以下または20回以上、玄関の扉開閉回数が1日0回または20回以上、風呂の扉開閉回数が1週間に3回以下、または、午前中にいずれの扉開閉も0回、といったように設定しておく。
【0051】
制御演算部22は、異常報知条件が満たされた場合には、ブザー31を鳴らす、または、第1の通信装置32aを制御することにより、異常報知条件を満たした扉の開閉回数情報を含む情報を、第1の通信網5aを介して、近親者の所持する携帯電話機6aに電子メールとして報知する。
【0052】
電子メールを受け取った近親者は、例えば、独居老人に対して電話を掛け、通話できた場合には状況確認を行い、通話が確認できない場合には独居老人宅を訪問する。このように、迅速に独居老人の安否を確認することができる。
【0053】
なお、ブザー31は、独居老人本人への異常の報知手段3として有効であるとともに、近隣の住人への異常の報知手段3としても有効であるが、近所迷惑になるような場合においては、無効としても良い。
【0054】
また、以上の説明では、扉開閉検出システムは、独居老人の住居に設置されるとしたが、設置場所は独居老人の住居に限定されるものではない。例えば、単身で暮らしている子女等のアパートなどに設置すれば、近親者は子女等の安否を容易に確認することもできる。
【0055】
以上のように、実施の形態1によれば、振り子を備え、扉開閉時の振り子の扉移動方向の振動を利用して電力を発電及び蓄電できる構成となっている。この結果、外部電源及び電池を用いることなく、扉が開閉移動している状態を検出して扉開閉検出情報として外部に無線送信することができる設置性及び保守性に優れた扉開閉検出装置を得ることができる。
【0056】
また、無線送信部は、各無線送信部に固有のID番号を設定するためのID設定部を有し、無線送信の際には、ID番号を扉開閉検出情報に含めて送信している。この結果、複数の扉開閉検出装置を用いる場合でも、受信側では、扉開閉検出装置のID番号と、扉開閉検出装置の設置箇所との対応関係を把握することができる。
【0057】
また、受信部が受信した扉開閉検出情報に日付及び時刻情報を付加して、行動履歴格納メモリに時系列で行動履歴情報として格納し、この行動履歴情報を基に一定期間内の各扉の開閉回数を算出している。更に、条件設定メモリの異常報知条件が満たされた場合には、第1の通信装置を制御して第1の通信網を介して携帯電話機に電子メールを送信している。この結果、迅速に居住者の安否の確認を促すことができる扉開閉検出システムを得ることができる。
【0058】
また、報知手段として、ブザーを備えることにより、居住者本人へ異常報知するとともに、近隣の住人へも異常報知することがすることができる。
【0059】
実施の形態2.
本実施の形態2では、本発明の実施の形態1における、携帯電話機に電子メールを送信する第1の通信装置の代わりに、監視装置に異常を報知する第2の通信装置を、報知手段として用いることにより、先の実施の形態1と同様の効果を有する別の扉開閉検出システムを得る方法について紹介する。
【0060】
図5は、本発明の実施の形態2における扉開閉検出システムのブロック図である。
図5に示す扉開閉検出システムは、
図3に示す実施の形態1の扉開閉検出システムと、報知手段3のみが異なる。報知手段3以外の構成は、先の実施の形態1の
図3と同じである。
【0061】
図5に示す、本発明の実施の形態2における報知手段3は、ブザー31、第2の通信装置32bを備えて構成される。
【0062】
本実施の形態2の扉開閉検出システムは、例えば、マンションやアパート等のように、管理人が常駐している集合住宅等に適したシステムである。扉開閉検出システムは、集合住宅の各戸に設置され、監視装置6bは管理人室に設置される。
【0063】
各戸の扉開閉検出システムからの異常報知は、制御演算部22が、第2の通信装置32bを制御することにより、第2の通信網5bを介して、管理人室の監視装置6bに報知される。管理人は、監視装置6bで異常報知を受信すると、別居している近親者よりも早く、対象となる住居に出向くことができるため、より迅速に住人の安否を確認することができる。
【0064】
また、本発明の扉開閉検出装置1は、電池を用いていないので、例えば、扉開閉検出装置1が、普段は開けられることのない非常扉等に設置される場合でも、従来の電池を用いた場合のように、いざというときの電池切れを危惧することなく、管理人室で非常扉等の開閉を確認することができる。
【0065】
なお、以上の説明では、扉開閉検出システムは、集合住宅に設置されるとしたが、設置場所は集合住宅に限定されるものではない。例えば、居室を使用する人が限定されるような研究室と、その管理人室に設置しても良い。
【0066】
また、監視装置6bは、管理人室に設置されるとしたが、管理人室に限定されるものではない。例えば、集合住宅や研究室と契約している警備会社等に設置しても良い。
【0067】
以上のように、実施の形態2によれば、受信部が受信した扉開閉検出情報に日付及び時刻情報を付加して、行動履歴格納メモリに時系列で行動履歴情報として格納し、この行動履歴情報を基に一定期間内の各扉の開閉回数を算出している。更に、条件設定メモリの異常報知条件が満たされた場合には、第2の通信装置を制御して第2の通信網を介して監視装置に異常を報知している。この結果、より迅速に居住者の安否の確認を促すことができる扉開閉検出システムを得ることができる。