(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態に係るナビゲーション装置100について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1に、本発明に係る実施形態に係るナビゲーション装置100の概略を示す。移動体に搭載されたナビゲーション装置100は、後述する通信装置13を介して、記憶装置160と通信可能な通信装置150と有線、無線のいずれかの方法で通信することが可能となっている。なお、ナビゲーション装置100の通信装置13と、記憶装置160と通信可能な通信装置150とは、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、WiFi(登録商標)等の無線ネットワーク、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線、USB(登録商標)ケーブル等の有線、の各種通信方法により接続される。
【0012】
また、移動体には、ナビゲーション装置100が着脱可能に搭載される。本実施形態においては、ナビゲーション装置100は、現在位置情報等を取得することが可能な情報処理装置である。しかし、本願発明の対象となるナビゲーション装置は、
図1に示すナビゲーション装置100に限られるものではない。例えば、移動体に組み込まれた各種制御機器であってもよい。
【0013】
通信装置150は、移動体の運転者あるいは乗員が有する携帯電話機器等の移動端末であり、例えばスマートフォンやフィーチャーフォン、あるいはPDA(Personal Digital Assistance)、ノートパソコン等である。なお、通信装置150は、内部インターフェースを介して記憶装置160と接続するものであってもよいし、記憶装置160を別装置として外部インターフェースを介して接続するものであってもよい。
【0014】
本実施形態においては、移動体の乗員が有する通信装置150と、ナビゲーション装置100とは、乗員の指示に従ってあるいは通信可能な状態になると、通信のための接続を確立させる。
【0015】
ここで、通信装置150は、記憶装置160に格納された後述する地図情報200を読み出してナビゲーション装置100へ送信し、あるいは書き込みを記憶装置160に指示することができる。
【0016】
ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(音声入力装置としてマイクロフォン41、音声出力装置としてスピーカ42を備える)と、入力装置5と、ROM(Read Only Memory)装置6と、車速センサ7と、ジャイロセンサ8と、GPS(Global Positioning System)受信装置9と、FM多重放送受信装置10と、ビーコン受信装置11と、ネットワーク通信装置12と、通信装置13と、を備えている。
【0017】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ7,8やGPS受信装置9、FM多重放送受信装置10等から出力される情報に基づいて現在地を算出する。また、得られた現在地の情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3あるいはROM装置6から読み出す。
【0018】
また、演算処理部1は、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2へ表示する。また、記憶装置3あるいはROM装置6に記憶されている地図データ等を用いて、現在地又はユーザから指示された出発地と、目的地(または、経由地や立ち寄り地)と、を結ぶ最適な経路である推奨経路を探索する。また、スピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0019】
ナビゲーション装置100の演算処理部1は、各デバイス間をバス25で接続した構成である。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM23と、各種ハードウェアを演算処理部1と接続するためのI/F(インターフェース)24と、を有する。
【0020】
ディスプレイ2は、演算処理部1等で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどで構成される。
【0021】
記憶装置3は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid
State Drive)、不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記憶媒体で構成される。
【0022】
この記憶媒体には、通常の経路探索装置に必要な地図データ(地図上の道路を構成するリンクのリンクデータを含む)である地図情報200と、ナビゲーション装置100の外部の装置であって通信装置13を介して接続される装置の状態を記録する外部装置テーブル300と、外部装置の接続経路に応じて使用する地図情報を優先付ける接続優先テーブル400と、が記憶されている。
【0023】
図2は、地図情報200の構成を示す図である。地図情報200は、地図上の区画された領域である地域ID201ごとに区分けされ、当該領域には、地図を構成する情報の新旧を特定するバージョン202と、当該領域ごとに地図を構成する情報の複製の許可、参照の許可等の権限を特定するパーミッション203が対応づけられている。また、当該地域ID201には、地図上の地域ID201ごとにその内部を区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)210が含まれている。また、メッシュID210ごとに、そのメッシュに含まれる道路を構成する各リンクおよびその接続点であるノードを含むリンクデータ220を含んでいる。
【0024】
リンクデータ220は、リンクの識別子であるリンクID221ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報222、リンクを含む道路の種別を示す道路種別223、リンクの長さを示すリンク長224、予め記憶されたリンク旅行時間225、開始接続リンクおよび終了接続リンク226、リンクを含む道路の制限速度を示す制限速度227などを含んでいる。なお、開始接続リンクおよび終了接続リンク226は、当該リンクの開始ノードに接続するリンクである開始接続リンクと、当該リンクの終了ノードに接続するリンクである終了接続リンクと、を特定する情報である。
【0025】
なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理するようにしているが、これに限られない。例えば、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別しないものであってもよい。
【0026】
また、地図情報200には、リンクデータ220の他にも、POI(Point Of Interest)等の施設等の存在、位置、サービス内容等の付帯情報が含まれる。
【0027】
図3は、外部装置テーブル300の構成を示す図である。外部装置テーブル300は、ナビゲーション装置100とは異なる他の装置である外部装置を識別する装置ID301と、当該外部装置とナビゲーション装置100との接続手段を特定する接続経路302と、が対応付けられた情報を備える。また、装置ID301ごとに、地図データ提供元311と、地図データ地域ID312と、地図データバージョン313と、パーミッション314と、利用状態315と、利用中プロセス316と、が対応付けられた情報の組が複数組対応付けられている。
【0028】
地図データ提供元311は、地図データ地域ID312と地図データバージョン313とで特定される地図情報の提供を行っている提供者を特定する情報である。例えば、地図データ提供元311は、地図データを作成、販売している地図業者を特定する情報である。なお、地図データは、提供元に応じてデータフォーマットや含まれる情報等が異なるため、原則的には提供元が異なると互換性がない。
【0029】
地図データ地域ID312は、地図上の所定の範囲を所定の規則で分割した地域の一つを特定する情報である。地図データバージョン313は、地図データ地域ID312で特定される地域についての地図情報の新しさを、所定のルールで付番された数値等を用いて特定する情報である。なお、地図データバージョン313は、地図情報の提供元により独自に付番され、ある地域の地図情報の提供元が同一主体であれば、原則的に同一の付番体系となる。また、バージョンを示す数値が大きいほど、新しい情報に基づいて作成された地図情報であるといえる。
【0030】
パーミッション314は、地図データ地域ID312と地図データバージョン313とで特定される地図情報へのアクセス権限を特定する情報である。例えば、「読み取り可能」、「読み取りおよび更新元としての読み取り可能」等の情報である。
【0031】
利用状態315は、地図データ地域ID312と地図データバージョン313とで特定される地図情報の利用(読み出し等)されている状態を特定する情報である。例えば、読み出し中であることを示す「Read」、更新中であることを示す「Update」、未使用状態であることを示す「Idle」等の状態を特定する情報である。
【0032】
利用中プロセス316は、地図データ地域ID312と地図データバージョン313とで特定される地図情報を利用(読み出し等)している処理(プロセス)を特定する情報である。例えば、地図情報の更新を行う機能部が当該地図情報を更新している場合、当該更新を行う機能部を特定する情報である。
【0033】
図4は、接続優先テーブル400の構成を示す図である。接続優先テーブル400は、ナビゲーション装置100とは異なる他の装置である外部装置とナビゲーション装置100との接続手段を特定する接続経路401ごとに、優先的に地図情報を取得する順位を特定する優先順位402が対応付けられた情報を備える。なお、優先順位402については、接続経路401における規格上の通信速度の早いものから優先させるよう予め定められているものとしているが、これに限られない。例えば、接続経路401による通信速度を所定のサンプリングにより実際に計測して、通信速度の速い規格順に優先順位を定めるよう所定のタイミングでチューニングするようにしてもよい。インターネット等を接続手段として経由する場合には、環境や通信状況に応じて通信速度の変動が激しい場合もあるためである。
【0034】
図1に戻って説明する。音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、ユーザやその他の搭乗者が発した声などのナビゲーション装置100の外部の音声を取得する。
【0035】
スピーカ42は、演算処理部1で生成されたユーザへのメッセージを音声として出力する。マイクロフォン41とスピーカ42は、移動体の所定の部位に、別個に配されている。ただし、一体の筐体に収納されていても良い。ナビゲーション装置100は、マイクロフォン41及びスピーカ42を、それぞれ複数備えることができる。
【0036】
入力装置5は、ユーザからの指示をユーザによる操作を介して受け付ける装置である。入力装置5は、タッチパネル51と、ダイヤルスイッチ52と、その他のハードスイッチ(図示しない)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。また、入力装置5には、ナビゲーション装置100に対して遠隔で操作指示を行うことができるリモートコントローラが含まれる。リモートコントローラは、ダイヤルスイッチやスクロールキー、縮尺変更キーなどを備え、各キーやスイッチが操作された情報をナビゲーション装置100に送出することができる。
【0037】
タッチパネル51は、ディスプレイ2の表示面側に搭載され、表示画面を透視可能である。タッチパネル51は、ディスプレイ2に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル51は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。なお、タッチパネル51は、同時に複数のタッチ位置を検出することのできるマルチタッチを実現できるものであってもよい。
【0038】
ダイヤルスイッチ52は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、パルス信号の数から、回転角度を求める。
【0039】
ROM装置6は、CD-ROMやDVD-ROM等のROMや、IC(Integrated Circuit)カードといった、少なくとも読み取りが可能な記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、例えば、動画データや、音声データなどが記憶されている。
【0040】
車速センサ7,ジャイロセンサ8およびGPS受信装置9は、ナビゲーション装置100で現在地(例えば、自車位置)を検出するために使用されるものである。車速センサ7は、車速を算出するのに用いる値を出力するセンサである。ジャイロセンサ8は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。GPS受信装置9は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率とを3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在地、進行速度および進行方位を測定するものである。
【0041】
FM多重放送受信装置10は、FM放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報などやFM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などがある。
【0042】
ビーコン受信装置11は、VICS情報などの概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報や緊急警報などを受信する。例えば、光により通信する光ビーコン、電波により通信する電波ビーコン等の受信装置である。
【0043】
ネットワーク通信装置12は、ナビゲーション装置100を、図示しない移動体内の制御ネットワーク規格であるCAN(Controller Area Network)等に対応するネットワークに接続させ、ネットワークに接続された他の移動体内の制御装置であるECU(Electronic Control Unit)とCANメッセージ等をやり取りすることで通信を行う装置である。
【0044】
通信装置13は、記憶装置160と通信可能な通信装置150との通信を開始、継続、終了させる。通信装置13は、通信装置150とは、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、WiFi(登録商標)等の無線ネットワーク、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線、USB(登録商標)ケーブル等の有線、の各種通信方法により接続する。また、通信装置13は、定期的あるいは所定のタイミングで通信装置150の発見および接続を試み、接続可能な通信装置150に対して通信を確立させる。
【0045】
図5は、演算処理部1の機能構成を示す図である。演算処理部1には、基本制御部101と、入力受付部102と、出力処理部103と、地図情報選定部104と、外部装置接続部105と、地図情報読出部106と、地図情報更新部107と、経路誘導部108と、が含まれる。
【0046】
基本制御部101は、様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の機能部の動作を制御する。また、各種センサ、GPS受信装置9等の情報を取得し、マップマッチング処理等を行って現在地を特定する。また、随時、移動した日付および時刻と、位置と、を対応付けて、リンクごとに移動履歴を記憶装置3に記憶する。さらに、各処理部からの要求に応じて、現在時刻を出力する。
【0047】
また、基本制御部101は、現在地又はユーザから指示された出発地と、目的地(または、経由地や立ち寄り地)とを結ぶ最適な経路である推奨経路を探索する。当該経路探索においては、ダイクストラ法等の経路探索ロジックを用いて、道路の所定の区間(リンク)に対して予め設定されたリンクコストに基づいて、リンクコストが最小となる経路を探索する。
【0048】
入力受付部102は、入力装置5またはマイクロフォン41を介して入力されたユーザからの入力指示を受け付け、その入力指示に関する情報であるタッチの座標位置や、音声情報とともに、要求内容に対応する処理を実行するように基本制御部101へ伝達する。例えば、ユーザが推奨経路の探索を要求したときは、その要求指示を基本制御部101に要求する。すなわち、入力受付部102は、接触する操作により指示を受け付ける接触指示受付部であるといえる。また、入力受付部102は、音声による操作により指示を受け付ける音声指示受付部であるともいえる。
【0049】
出力処理部103は、例えばポリゴン情報等、表示させる画面を構成する情報を受け取り、ディスプレイ2に描画するための信号に変換してディスプレイ2に対して描画する指示を行う。
【0050】
地図情報選定部104は、使用する地図情報を、外部装置を含めた記憶装置から選定する。具体的には、地図情報選定部104は、基本制御部101が経路探索・誘導に使用する地図情報を特定するにあたり、接続された外部装置の記憶装置160および記憶装置3の中から適した地図情報を特定し、地図情報の読み出し元として選定する。
【0051】
外部装置接続部105は、ナビゲーション装置100とは異なる外部装置と、ナビゲーション装置100とを通信可能に接続させる処理を実施する。具体的には、外部装置接続部105は、地図情報選定部104が選定した地図情報を読み出すための通信路を外部装置である通信装置150との間で確立させ、記憶装置160が格納する情報の取得を可能ならしめる。
【0052】
地図情報読出部106は、外部装置接続部105により接続された外部装置から、地図情報選定部104が選定した地図情報を読み出す。
【0053】
地図情報更新部107は、外部装置接続部105により接続された外部機器から読み出した地図情報を用いて、ナビゲーション装置100が記憶装置3に有する地図情報の更新を実施する。
【0054】
経路誘導部108は、外部装置接続部105により接続された外部機器から読み出した地図情報を用いて、基本制御部101が探索した推奨経路に基づいて、移動体の現在地が推奨経路から逸脱しないよう、推奨経路を表示させつつスピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0055】
上記した演算処理部1の各機能部、すなわち基本制御部101、入力受付部102、出力処理部103、地図情報選定部104、外部装置接続部105、地図情報読出部106、地図情報更新部107、経路誘導部108は、CPU21が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、RAM22には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。
【0056】
なお、上記した各構成要素は、ナビゲーション装置100の構成を、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。そのため、構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0057】
また、各機能部は、ハードウェア(ASIC、GPUなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0058】
なお、記憶装置160に格納された地図情報200は、ナビゲーション装置100の記憶装置3に格納された地図情報200と略同様の地図情報であり、少なくとも共通する範囲の情報を有する。
【0059】
[動作の説明]次に、ナビゲーション装置100が実施する使用地図選定処理の動作について説明する。
図6に示す使用地図選定処理は、ナビゲーション装置100の入力装置5あるいは音声入出力装置4を介して移動体の乗員から指示を受け付けた場合、通信装置150が新たに接続された場合、通信装置150の接続が解除された場合、および所定の周期のいずれかまたはその組み合わせのタイミングで、開始される。
【0060】
まず、地図情報選定部104は、使用する地図の地域IDを特定する(ステップS001)。具体的には、地図情報選定部104は、利用者が地図を表示する対象として指示した地点あるいは範囲が含まれる地図上の地域を特定し、当該地域のIDを特定する。または、地図情報選定部104は、利用者が地図を表示する対象として特に明示の指示をしていない場合には、現在地が属する地域のIDを特定する。
【0061】
そして、地図情報選定部104は、保有する地図情報のバージョンと提供元、利用状態とを特定する(ステップS002)。具体的には、地図情報選定部104は、記憶装置3に含まれる地図情報200において、ステップS001で特定した地域IDとマッチする地域ID201に対応づけられた情報を特定し、そのバージョン202と、所定の提供元の情報と、利用状態とを特定する。なお、所定の提供元とは、地図情報のメタ情報に含まれる情報であり、地図情報の提供主体を示す情報である。また、利用状態とは、例えば地図情報へのアクセス可否を特定する(利用状態にあればアクセス不可、利用状態になければアクセス可とする)情報である。
【0062】
次に、地図情報選定部104は、外部装置の地図情報ごとのパーミッション、提供元、バージョン、利用状態を特定する(ステップS003)。具体的には、地図情報選定部104は、接続されている通信装置150の装置ID301ごとに、外部装置テーブル300を参照して、ステップS001で特定した地域IDとマッチする地図データ地域ID312に対応づけられた情報を特定し、そのパーミッション314と、地図データバージョン313と、地図データ提供元311の情報と、利用状態315とを特定する。
【0063】
そして、地図情報選定部104は、提供元が同一であって利用中でない地図情報のうち、最新のバージョンの地図であって利用状態が「Update」でない物を特定する(ステップS004)。具体的には、地図情報選定部104は、地図情報の提供元が自機の記憶装置3に格納された地図情報の提供元と同一であって利用状態が利用中にない地図情報のうち、最新のバージョンの地図であって利用状態が「Update」でない物を特定する。
【0064】
すなわち、地図情報選定部104は、データの整合性のある地図情報のうち、再新かつ利用可能な地図情報を特定する。なお、地図情報選定部104は、特定する対象となる地図情報の候補が複数となる場合、すなわち同一バージョンの地図情報を有する外部機器が複数存在する場合等においては、当該外部装置の装置ID301がナビゲーション装置100に接続する手段である接続経路302に応じて、接続優先テーブル400にて対応付けられた優先順位402を用いて優先順位が高い接続手段で接続された外部装置を優先させて接続対象を特定する。
【0065】
そして、外部装置接続部105は、特定した地図情報と接続を開始する(ステップS005)。具体的には、外部装置接続部105は、ステップS004にて特定した地図情報を格納している外部装置に対して接続を確立する。そして、地図情報読出部106は、特定した地域IDにより特定される地図情報との接続を開始する。
【0066】
以上が、使用地図選定処理の処理フローである。使用地図選定処理を行うことで、外部機器をも含めて、地図情報選定部104は、データの整合性のある地図情報のうち、再新かつ利用可能な地図情報を選定し、接続可能とすることができる。
【0067】
図7に示す地図更新処理は、接続した外部機器が所定の条件を満たす場合には、当該外部機器の地図情報を用いてナビゲーション装置100の地図情報を更新する処理である。地図更新処理は、ナビゲーション装置100の入力装置5あるいは音声入出力装置4を介して移動体の乗員から指示を受け付けた場合、通信装置150が新たに接続された場合、通信装置150の接続が解除された場合、および所定の周期のいずれかまたはその組み合わせのタイミングのいずれかまたはこれらの組み合わせで、開始される。
【0068】
まず、地図情報更新部107は、接続を開始した地図情報は外部装置の地図情報であるか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、地図情報更新部107は、使用地図選定処理において接続を開始した地図情報は、ナビゲーション装置100の外部の装置が有する地図情報であるか否かを、外部装置テーブル300を参照して、接続する地図データ地域ID312の属する装置ID301により判定する。外部装置の地図情報ではない場合には、地図情報更新部107は地図更新処理を終了させる。
【0069】
外部装置の地図情報である場合(ステップS101にて「Yes」の場合)には、地図情報更新部107は、接続を開始した地図情報は複製可能か否かを判定する(ステップS102)。具体的には、地図情報更新部107は、使用地図選定処理において接続を開始した地図情報は、複製可能であるか否かを、外部装置テーブル300を参照して、接続する地図データ地域ID312に対応付けられたパーミッション314により判定する。複製可能ではない場合には、地図情報更新部107は地図更新処理を終了させる。
【0070】
複製可能である場合(ステップS102にて「Yes」の場合)には、地図情報更新部107は、接続を開始した地図情報を複製のために読み取りを開始する(ステップS103)。
【0071】
そして、地図情報更新部107は、読み取った地図情報を用い更新する(ステップS104)。具体的には、地図情報更新部107は、使用地図選定処理において接続を開始した地図情報の読み取った情報と、記憶装置3に格納されている地図情報200とを比較して、差異を抽出する。そして、地図情報更新部107は、差異のある部分について使用地図選定処理において接続を開始した地図情報の読み取った情報を用いて記憶装置3に格納されている地図情報200の該当部分の情報を更新する。その際、地図情報更新部107は、更新される地図情報の利用状態を「Update」に設定する。利用状態を「Update」に設定しておくことで、使用地図選定処理において接続先として選定されることを防ぐことができるため、更新中の地図情報を他の処理により割り込まれて更新中の不整合が含まれうる地図情報を読み出されることを防ぐことができる。
【0072】
そして、地図情報更新部107は、更新が終了すると、更新された地図情報の利用状態を「Idle」に変更する(ステップS105)。このようにすることで、更新終了後は他の処理部例えば経路誘導部108等により地図情報を読み取る対象とすることができる。
【0073】
以上が、地図更新処理のフローである。地図更新処理を行うことで、外部装置から地図情報を読み取り、ナビゲーション装置100の地図情報を更新することができる。また、更新される地図情報については、更新中は接続させないように制御できるため、整合しない更新途中の地図情報を利用することなく、優先順は低いが整合する地図情報を利用させるための制御を行うことができる。
【0074】
図8は、外部装置からの地図情報の利用を可能とするナビゲーション装置100において表示される画面500の構成例を示す図である。画面500では、現在地およびその進行方向を図形で示すロケータ501と、リンク502と、接続中の地図情報を有する装置を示す指示を受け付ける地図デバイス確認入力領域503と、が示される。
【0075】
そして、地図デバイス確認入力領域503に対する入力指示を、入力装置5を介して受け付けると、地図情報選定部104は、接続されている外部装置についての装置ID301を外部装置テーブル300から取得する。
【0076】
そして、出力処理部103は、接続されている外部装置についての装置ID301を、
図8に示すタッチ後の画面において地図提供装置表示領域510に表示させる。
【0077】
図9は、外部装置からの地図情報の利用を可能とするナビゲーション装置100において表示される画面600の構成例を示す図である。画面600では、ナビゲーション装置100に接続される機器ごとに表示領域601、602、603が表示され、最新のバージョンの地図情報を有する地域とそのバージョンとが機器ごとに表示される。例えば、東京都、神奈川、千葉県等の地域については、ナビゲーション装置100が最新の地図情報を有しそれぞれのバージョンが1.01、1.00、1.00である場合には、その旨がナビゲーション装置100の表示領域601に表示される。一方で、北海道の地域については、外部機器Aが最新の地図情報を有しそのバージョンが1.02である場合には、外部機器Aの表示領域602に表示される。地図提供元が異なる地図情報を有する外部機器Bについては、地図提供元に不整合がある旨およびその旨を示す標識610が外部機器Bの表示領域603に表示される。
【0078】
以上が、第一の実施形態に係るナビゲーション装置100の構成および処理内容である。第一の実施形態によれば、ナビゲーション装置100に接続された他の機器がより新しい地図情報を有しており所定の条件を満たす場合には、当該他の機器から地図情報を取得して利用することができる。そのため、地図更新を行うために地図情報を使用できないという事態を回避することができる。
【0079】
また、複製の許可がなされている地図情報であれば、ナビゲーション装置100の地図情報を更新することができる。更新の間は更新されている地図情報へアクセスすることは不可能であるが、更新元となる外部機器の地図情報へのアクセスは可能であるため、使用上の不便を発生させないといえる。ただし、本発明は、上記の実施形態に制限されない。上記の第一の実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。
【0080】
以下、本発明に係る変形例について説明する。例えば、地図情報選定部104は、外部機器が有する地図情報が利用量に応じて課金される従量制等の使用料を要するものである場合には、最新の地図情報であったとしても当該外部機器の地図情報は使用しないよう制限するようにしてもよい。このようにすることで、大量の使用料を外部機器の所有者に不意に支払わせる可能性を避けることができる。
【0081】
また例えば、外部装置接続部105は、一度接続した地図情報であっても、その後の継続利用上の困難が発生した場合には、接続を終了させ、別の地図情報に接続するようにしてもよい。このような場合にいう困難とは、例えば外部機器の動力源からの給電環境が悪化した場合や、通信速度が低下した場合、熱暴走、あるいは外部機器がスマートフォン等である場合に通話を開始した場合等の負荷の増大がみられる場合等である。
【0082】
また例えば、外部装置接続部105が接続する対象としては、地図情報に限定されない。例えばVICS等により配信された渋滞や工事、走行制限等の交通状況を示す情報であってもよいし、駐車場の空き情報等の情報であってもよい。また、店舗等の施設の情報、営業時間の情報等であってもよい。
【0083】
以上、本発明の実施形態について、第一の実施形態を挙げて説明した。なお、ナビゲーション装置に限らず、情報処理が可能な機器全般においても適用することができる。